計上の認識
著者
菅原 計
著者別名
Sugawara Kei
雑誌名
経営論集
巻
39
ページ
1-24
発行年
1993-03-30
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005695/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja1
フ ァイナン ス・リー スの特殊性 と税務会 計上 の認識
菅
原
計
目
次
はじめに1.
ファイナンス・リー ス取引の課税上の問題点2
.リース通達の意図 とその問題点3.
リース取引 の実質的性格4.
租税法律主義からみた通達課税の問題点
おわりに
は じめに
リ- ス(lease) とい う用語 は,現在で はかな り一般 に普 及 して い るが,リ
ー スとは何 かにつ いて は, 必ず し も明確 に定義化 さ れてい るわけで はない。
もともとリー ス(lease)は,賃貸借 を意味す る言葉であ っ たが,現 在で はリ
ー スとい えば,賃貸 借で はな くファ イナン ス・ リー ス(finance-lease) の意
味で使 われるこ とが多 い。
この論文 にお い て も特 に断 らない かぎ り, リー スをファ イ ナン ス・ リース
の意味で使っ てい る。 問題 は, ファイナン ス・ リー ス とは何 かであ り, この
ファイナン ス・ リ← スの定義 も未だ確立 していない ところ にあ る。 その理由
は, リー ス取 引 の契約 が複雑で あ り,一概 にパターン化 す るこ とが難 しいか
らであろう。
ファイナン ス・リー ス(finance ¬lease
)は,法形式的 には賃貸借(operating-lease
)契 約 を とっ て い るが, 明 らかに単純 な賃貸借契約(operating-leasecontract
)で は ない。こ こで は,ファイナン ス・ リ- スが どの よ うにオペレ ー
ティング ・リー ス と異 な り, 税務会 計上 これを どの よう に認 識 しな ければ な
らない か,税 務行政上 リー スに関 す る唯一 の基準 は「リー ス通達」で あ るが,
「リー ス通達 」 は租税法上法 源 とな りう るか否 か につい て以下検 討 したい。
1. フ ァイナ ンス・リース取 引の課 税上の問 題点
∧
わが国 におい ては,1963 年 に初 めてn ー ス会社 が出現 して以来, 現在で は
その数 が1,000 社 を超 え,リー ス産業 は今 や8 ∼10 兆円 の市場規模 を もつ成長
産業 と言 われて いる。 その ほ とん どの)I
ス会社 が, い わゆ るフ ァイナン ス
・ リー ス とい われてい るに もかか わ らず, わが国 にお い ては, ファ イナン ス
・ リー スに関 す る会 計基準す ら存在 して いない。1980
年7 月7 日, 日本公認会 計士協会 の会 計制度委員 会が 「研 究報告第1
号」 として,
「セール・ アンド ・ リー スバ ッ クの会計処 理」を公表 し,この中
で ファイナン ス・ リー スの特 徴 と望 まし い会 計処理 を提 言 してい るが,同「研
究報告」 は, その前文で リー スの取引慣 行 が来成熟で且 つ法的 に も検 討課題
が残 さ れてい るこ とを理由 に,「本提案 を もって 直 ちに実 務 を拘 束す るこ とは
適当で はない と判断 さ れた」 とし, これカリ ー ス会計処 理の基準で はない こ
とを明 言してい る。
もっ と も, この「研究報告」 は, アメリカで のFASBStatement
の紹介の
域 をで てい ない。アメ リカで は,1953 年6 月 にAccountingResearchBulletinNo.43
で ,レ ッ シー(lessee)の財務 諸表 で の開示 を要求 し,1964年9 月のAPBOpinionNo.5
で は,AccountingResearchBulletinNo.43
及 びAccountingResearchStudyNo.4
で否定的で あっ た使 用権 の獲 得 に対 して も, 資産及 び
負債 として計 上す べ きこ とを明 らかにしてい る。
さ らに,1966 年5 月のAPBOpinionNo.7
で は,レ ッサ ー(lessor)のリー
スに伴う収益及び費用の処理 について,financingmethod
とoperatingmethod
に分 けて明 らか にし,次 いで1972 年11 月のAPBOpinionNo.27
で は,製 造業
務(manufacturer
)又 ぱデ ィー ラー(dealer )によ るリー ス会 計処理を示 し,
翌年OpinionNo.31
で もリー ス会 計 処理 を扱っ てい る。
これらのリース会計処理を集約した ものとして,1976年11月にFASBStatementNo.l3
が公表 さ れた。その後,内容 は基 本的 に変 わらない が,特殊状況 に対 応
す るた め部分的 に修 正さ れ,又 は付加さ れて現在 に至っ てい る。 それらは,FASBStatementNo.22,No.23,No.27,No.28,Na29,No.91,No.98
で公
表 さ れてい る。
ファイナンスリ ースの特殊性と税務会計上の認識3 ところ でy ー スの 問題 は, 法 形 式上 賃 貸 借 契 約 を とっ て い るに もか か わ ら ず, 実質 的 に は売 買 又 は金 融取 引 で あ る とこ ろ に存 在 す る。 フ ァ イ ナ ン ス・ リ ー ス産 業 を 発 達 さ せ た 原 因 は, リ ー ス資 産 を利 用 す るユ ー ザ ー の 経済 的 メ リ ッ トが 大 き い とい わ れ る。 その理 由 につ い て ,JohnH.Myers は,次 の10 項 目 をあ げ る(1)。1) 他 の 方法 で は 入 手 出来 な い資 産 の利 用 獲 得2 ) 一一時 的 な 必 要 性 を満 た す た め3 ) 所 有 に よ る危 険 を避 け るた め4 ) 営業 の 委 託5) 原価 把 握 の 明確 性6 ) 固 定 資 産 獲 得 に 伴 う 制約 の 回 避7 ) 租 税 優 遇 を受 け て い る リ ー ス業 者 か ら リ- スす るこ とに よ る不 動 産 税 の 排 除8 ) 購 入又 は 用 役 の利 点獲 得9 ) 租 税 節 約 又 は租 税繰 延 の利 点10 ) 他 の財 務 的 利 点 の獲 得 こ の中 で , 最 も大 きな利 点 は租 税 節 約 と財 務 的 利 点 で あ る。 す な わ ち, 実 質 的 にぱ売 買 又 は 金 融取 引 に もか か わ らず, オペ レ ー テ イング リ て処 理 す る とこ ろ に, 租 税 及 び財 務 上 の 最 大 の メ リ ッ ト が あ る。FASB は,レ ッ シー (lessee )の 立 場 か ら,次 の4 つ の 基 準 の う ち, ど れ か1 以 上 を満 た す 場 合 に は, キ ャ ピ タ ル ・ リ ー ス(capitallease )と し て認 識 し, 資 産 取 得 と負 債 計 上 の会 計 処 理 を し な け れば な ら な い とす る(2)。1 ) リー ス物 件 の所 有権(ownershipoftheproperty )が, リー ス期 間終 了 まで にレ ッ シ ー(lessee ) に移 転 す る。2 ) その リ ー ス に 割 安 購 入 選 択 権(abargainpurchaseoption) がつ い て い る。・3 ) リース期 間が, 実質的 にリー ス物 件 の見積 経済年数(theestimatedeconomiclife ) の75 %以 上 で あ る。4 ) リー ス開 始 時 点 にお い て,レ ッ サ ー(lessor) に よっ て支 払 われ る費用 を 除 い た最 小 リ ー ス支 払 額 の現 在 価値(thepresentvalueoftheminimumleasepayments )カリ ― ス物 件 の 公 正 価 値 額(投 資 税 額 控 除 が あ れば それ を 控 除 し た ) のgo %以 上 で あ る。
y ースに関 して は,会計 にお いて も経済的実質主義(substanceoverform
)
の観 点 から, オフ・バ ラン ス(off-balance )を避 け るべ きで あ り,こ れを資
産 及び負債 として計上 すべ きこ とが提唱 さ れてい る。
わが国 におい ては,リー スに関 して唯一 の会計規 制を行っ てい るのは,
「リ
ー ス通達」で あ るが,「リー ス通達」 は会 計基準で はな い。「リー ス通達」 の
趣 旨 は, ファ イナン ス・y ー スが,通 常の賃貸 借 とし て会 計上 処 理さ れ, そ
れが課税上 も認 めら れる と,経済 的実質 にお いて,実際 に購 入 した納税 者 と,
リー スによっ て購入 した と同様 に当該資産 を使 用で/き る納 税者 との間 に, 課
税上 不公平 が生 じ るこ とにあ る。 この課税上 の弊害 を除去 しよ う とす るの が
「リー ス通達」 の意図 す る ところであ る。
しかし,確 定 決算基 準 を前提 とし, 会計制度依 存性 を公準 として 掲 げ る税
務会計学 の立場 からす る と, こ れはむしろ企業会計上 の 処理基 準 の確立 が前
提 とな る。 さ ら に, 課税上 の弊害 を除去す る目的で, 納 税者 が処 理 した賃貸
借処 理を否 認 す るた めには, 同じ く税務会計公 準た る租 税法律主 義 の立 場 か
ら,「別段 の定 め」 によら なけ れば ならず,「通達」 によ り否認 す るこ とは税
務会 計学上 容認で きない。
犬
2 。リー ス通達 の意図 とその 問題点
万
「リー ス通達」 は,1978 年7 月20 日付 けで 「リー ス取 引 に係 る法 人税及 び
所得 税の取 扱 につ いて」 が 発遣 さ れ, いわゆ るレバ レ ッジド ・リ ー スに関 し
て 「リー ス期 間が法定耐 用年 数 よ りも長 いリー ス取引 に対 す る税務上 の取 扱
につ いて」 が,1988 年4 月26 日に発遣さ れた。
=1978
年 「リ ー ス通達」 は, リー ス取引の 中で 賃貸借 とし て取 扱 う と課税上
弊害 があ る と認 め られ るリー スにつ いて,売買 とし て認定 す る もの と前払 費
用 としで認定 す る もの とを とりあげ てい る。課 税上 弊害 があ る とは, 明 らか
に緻 斉的実質 からみれば賃貸借ではない,いわゆるファイナンス・リース
(finance-lease
)取 引 に対 し てであ る。1978年 「リー ス通達」で は,賃貸 借 とは実質 的
に認 められな い判断 基準 を次 の2 つ の要件 に求 める(197絆 「11 ス通達J1 」
。1
) リー ス期 間 が定 めら れてお り, そのリー ス期 間中 に支 払 われ るリ- ス料
の合計額 が, 少 なく と も,リ ー ス会 社 にお け るその契 約 の対 象 となっ た物
件 (リー ス物件) の取 得価額 及び その取 引 に係 る付随 費用 (リ ース物件 の
取得 に要 した資金 の利 子, 固定 資産税, 保険料等 その取引 に関 連 してりー
ファイナンス・リースの特殊性 と税務会計上の認識5 乙 ス会社 が支 出 す る費 用 を い う。)の額 の合 計 額 のio お む ね 全 部 を 支 弁 す る よ う に定 め ら れ て い る こ と。2 ) リー ス期 間 中 に お け る契 約 の解 除 が禁 止 さ れて い る こ と (解 約 禁 止 条 項 が ない契 約 で あ っ て, 賃 借 人 が契 約 違 反 を した 場 合 又 は 解 約 を す る場 合 に お い て, リ ー ス会 社 が リ ー ス期 間 の う ち未 経 過 の 期 間 に係 る リ ー ス料 の合 計 額の お お む ね全 部 に相 当 す る金 額 を賃 借 人 に対 し て 請 求 す る こ とが で き るこ と とさ れ て い る もの を 含 む。) く こ れ ら2 つ の 要 件 は, リ ー ス会 社 に とっ て物 件 購 入代 金 と して 支 払っ た 金 額 (投 資 額 ) を 全 額 リ ー ス期 間 中 に回 収 す るこ と(fulトpayout ) が 前提 とな っ て い る取 引 で あ る。 こ れが , 仲 介 の リー ス会 社 で は な く直 接 製 造 会 社 か ら リー スす る場 合 に は, こ の 関 係 が よ り明 ら か に な る。 そこで , 同 「 リ ー ス通 達 」 は, 上 記 の2 つ の要 件 を満 た し, さ ら に次 の 各 項 且 に該 当 す る リ ー ス取 引 は, リ ー ス物 件 の引 渡時 点 で 売 買 と し て 認 定 す る とい う(1978年「リース通達」2 )。1 ) リー ス期 間 の 経 過 後 に その リ ー ス物 件 を無 償 又 は名 目 的 な対 価 に よ り賃 借 人 に譲 渡 す る こ と又 は無 償 と変 わら な い 名 目 的 な再 リ ー ス料 に よう て再 \ リ ーミス す る こ とがy ー ス契 約 に お い て定 め ら れで い る リ ー ス取 引 (契 約 書 上 それ らの こ とが 明 示 さ れて い な い リ ー ス取 引 で あ っ て, 事 実 上 , 当 事 者 間 にお いて それ ら の こ とが 予 定 さ れ て い る と認 め ら れ る もの を 含 む。)。2 ) 土地 , 建 物 , 建 物 附 属 設 備 又 は構 築 物 (建 設工 事 等 の 用 に供 す る簡 易 建 物, 広 告 用 の構 築 物 等 で 移 設 が 比較 的 容 易 に行 い得 る もの を 除 く。)を対 象 とす るリ ー ス取 引 。3 ) 機 械 装 置 等 で , その主 要 部 分 が 賃 借 人 にお け る用 途 , その 設 置 場 所 の 状 し 況 等 に合 わせ て特 別 な仕 様 に よ り製 作 さ れ た もので あ るた め, リ ー ス会 社 が その返 還 を 受 け て再 び 他 に 賃 貸 す る こ とが 困 難 で あ っ て, その 使 用 可 能 期 間 を通 じ て 当該 賃 借 人 にお い て の み 使 用 さ れ る と認 め ら れ る もの を対 象 とす るリ ー ス取 引 。4 ) 建 設工 事 の仮 設 資 材 の よ う に賃 借 人 にお け る使 用 又 は消 費 の状 況 か ら み て リー ス物 件 の 特 定 が 不 可 能 と認 め ら れ る もの を対 象 とす るV ー ス取 引。5 )1 )か ら4 )まで に掲 げ るリ ー ス取 引 以 外 の リ ー ス取 引 で , その リ- ス契 約 に おい て!i ー ス期 間 カリ ー ス物 件 の法 定 耐 用 年 数 に比 べ て相 当短 く定 め ら れ, か つ, リ ー ス期 間 の 中途 又 は リ ー ス期 間 の 経 過後 に賃 借 人 が その り ー
ス 物 件 を購 入 す る権 利 又 は義 務 (購 入 選 択 権卜 を 有 す る旨 定 め ら れ て い る もの ( リ ー ス契 約 にお い て, 賃 借 人 が 購 入 選 択 権 に基 づ き当 該 リ ー ス物 件 を購 入 す る場 合 の対 価 の 額 が定 め ら れ て い る リ ー ス取 引 で , その 対 価 の 額 が その リー ス物 件 に つ き法 定 耐 用 年 数 を基 礎 とし て定 額 法 に よ り計 算 し た その売 買 の 時 に お け る未 償 却 残 額 に相 当 す る金 額 以 上 の金 額 とさ れ て い る もの を 除 く。)。 但 し,「 その 賃 借 人 に お け る当 該 リ ー ス物 件 と同 一 種 類 の リ ー ス物 件 に係 る 既 往 の リ ー ス取 引 の状 況 , 当 該 リ ー ス 物 件 の性 質 その 他 の状 況 か ら み て, リ ー ス期 間 の 経 過 後 に 当 該 リー ス物 件 が リー ス会 社 に返 還 さ れ, 又 は 廃棄 さ れ る こ とが明 らか な場 合 に は, その リー ス物 件 に 係 るリ ー ス取 引 につ い て は, 売 買 とし て取 扱 わ な い こ とが で き る。」(197絆「リース通達」2 の前文)とあ るか ら, 契 約 上 リ ー ス物 件 の所 有 がレ ッサ ー(lessor )にあ る こ とを 明 確 に し,リー ス 物 件 に は所 有 権 を 表 わ す ラベ ル を貼 り,ユ ー ザ ー(lessee )に有 償又 は無 償 に 限 らず リ ー ス物 件 の譲 渡 を し ない こ とを 契 約 上 明 示 す れば , 売 買 とし て 認 定 さ れ な い こ と にな る。 例 えば, リー ス期 間 が5 年 で, リ ー ス物 件 の 法 定 耐 用 年 数11 年(定 率0.189 ), リ ー ス料 総 額 ¥9,600,000 (年 額 ¥1,920,000 ),リー ス会 社 の リ ー ス物 件 取 得 原価 ¥8,400,000 とし て,こ れを 通 常 の 賃 貸 借 契 約 とし て認 定 す る と"7. ザ ー (lessee ) は, 毎 年 ¥1,920,000 の 賃 借 料 を 支 払 い こ れ を損 金 経 理 し, リ ー ス会 社(lessor) は賃 貸 料 を益 金 とし て計 上 し, リー ス物 件 の 減 価 償 却 費 を損 金 とし て計上 す るこ とに な る。 し か し, 実質 的 にみ れば , ユ ー ザ ー (lessee ) ぱ√ リ ー ス物 件 の選 定, 機 能 変 更 , 特 別 仕 様 か ら維 持 管 理 まで すべ て行 っ て お り, その 意 味 で は 実 質 的 購 入 者 と変 わ りは な い。 従 っ て, 売 買 と認 定 さ れ た場 合 には, 減 価 償 却 費 の 損 金 計 上 は, リ ー ス会 社 で は な くユ ー ザ ー が し な け れば な らな い。 売 買 認識 に よ る会 計 処 理 は 次 の よ う に な る。 〈ユ ーザ ー の 処 理 〉
資
産8,400,000
支払手数料
未
払
金
減価償却費
240,000 1,680,000 1 ,587,600 金1 払 未 現 資産
8,400,000
1,920,000
1,587,600
現 金1.200,000 収 貸 ﹂ 受 賃 前
料
益
840,000
360,000
フ ァ イ ナ ン ス・リ ー ス の 特 殊 性 と 税 務 会 計 上 の 認 識7〈 リ ース会 社の処理〉
資
産8,400,000
延 払 譲 渡 未 収 金9,600,000
譲
現
渡 原 価8,400,000 金1,920,000延払 譲渡利 益控除
960,000現
金
延 払 譲 渡 高
資
産
延 払 譲 渡 未 収 金
繰延延払譲渡利益
8,400,000
9,600,000
8,400,000
1,920,000
960,000
売 買 とし て の 要 件 に該 当 し な い リ- スで , リ ー ス期 間 がV ー ス物 件 の法 定 耐 用 年 数 に比 べ て 相 当 短 い場 合 に は , リ ー ス料 の一 部 を 前払 費 用 とし て取 扱 う とす る(1978年「リース通達」3) 。 その 場 合 の,相 当短 い か否 か の 判断 は法 定 耐 用 年 数 の100 分 の70 に相 当 す る年 数 を下 回 る期 間 で あ るか否 か によ る(1978年リ ース通達)3(2))。 な お, 法 定 耐 用 年 数 が10 年 を超 え る とき は100 分 の60 とな り, 一 年 未満 の端 数 は切 捨 て て判 断 す る。 し か し, 前 払 費 用 とし て 認定 す る こ とは, リ ー ス期 間 にお け る賃 借 料 と再 リ ー ス期 間 に お け る名 目 的 な 賃 借 料 を 平均 化 し, 適正 賃 借料 に基 づ い て損 金 額 を算 定 し よ う とす る もの で あ る か ら, 再 リ ー ス期 間 が 最 初 か ら存 在 し な い リー ス取 引 に は適 用 で き な い。 例 えば, 基 本 リー ス期 間 が6 年, 基 本 リ ー ス期 間 の リ ー ス料 が¥1,200,000, 再 リ ー ス期 間 が3 年, 再 リ ー ス期 間 の リ ー ス料 が ¥120,000 ,リ- ス物 件 の法 定 耐 用年 数 が11 年 で あ れば , 相 当短 い リ ー ス期 間 に該 当 す る。 こ の場 合 , 税 務上 の適 耳デ│リー ス額 はY840,000 とな り,基 本リー ス期 間 にお いてぱ,毎年¥360,000 が 前 払 費 用 とし て処 理 さ れ る。 こ の会 計 処 理 を示 す と次 の よ う に な る。 〈 ユ ーザ ー の 処 理 〉賃
前
借
料
払
費
用
〈 リ ー ス会 社 の 処 理 〉 現840,000
360,000
金1,200,000
リースを利 用 した資金捻出方法 として,セール・アンド・リー スバ ック
(sale-and-leaseback
)があ る。い ままで使 用して きた経営上 必須 の資産 を売却 し,
同資産 に賃貸 借契約 を締 結す るこ とに より, 継続 し て使 用収 益 す るこ とがで
き る とい う ものであ る。これに対 して,1978 年 リ ー ス通 達 は,
「所 有 していた
中古資産 をいっ た んリー ス会 社 に譲渡 した上, こ れを リー ス契 約 に より賃借
した場合 にお いて, その一連 の取引 が取 引当事 者 の意図, 取引 物件 の内容等
か らみて実質 的 に金融取 引 と認 めら れるときは, 当初 か ら その譲渡 がなかっ
た もの として取 扱 う。」
(1978
年リ ース通達j6 )とす る。 こ れは, 税務会計上 の
問題 というよ りは, むしろ企業会計上 の問題で あ る。 なぜ な ら, リー ス・バ
ックの意図 は, 明 らかに売 却益 の計上 にあ るか らで あ る。税 務上 は,一種 の
譲 渡担保 とし て捉 え,売 却 とリー ス・バ ック に実質 的関 連性 が認 め られれば,
こ れを金融取 引 として認定 し,譲 渡益 課税を行 わな い とい う もので あ る。
例 えば,取 得価額 \7,600,000, 帳 簿価額¥6,745,000 (法 定 耐 用年数8 年)
の資産 を売 却 し,こ れを リース期 間5 年, リー ス総 額¥8,000,000 (年 リース
料¥1,600,000 )で リース・バ ックした場合 を とりあ げ よ う。税務上 ,この取
引は金 融取引 と認定さ れ,リー ス料総額¥8,000,000 から帳簿 価額¥6,745,000
を控 除 した金額 が利 息 と認定 され る。 リー ス料 に占 め る利 息 と借入金の関係
を表 にす ると次 の よう にな る。 なお. 利 息は級数法 によっ た。
年1(NlCO ’ ^LO支
払
利
息
502,000
376,500
251,000
125,500
1,255,000借 入 金 返 済1,600,0001,098,0001,223,5001,349,0001,474,500
6,745,000 リ−
ス
料1,600,0001,600,0001,600,0001,600,0001,600,000
8,000,000
こ れを セラー(seller ) とバ イヤー(buyer )の会 計処 理 とし て示 す と次の
ように な る。
〈 セ ラ ー (lessee ) の 処 理 〉 ( 第1 年 度 )
現
金
借
入
金
減 価償却費(
第^ 年度)
借
入
金
支 払 利 息
減価 償却費
6,745,000 1,600,000 855,0001,098,000
502,000
855,000
フ ァ イナン スリ ー スの特殊性 と税務会計上 の認識9金
金
産
入
借
現
資
現
資
〈バ イヤー (lessor) の会計 処理 〉
(第1 年度)
貸 付 金 現 金( 第2 年 度) 現 金6,745,000
1,600,000
1,600,000現
貸
金
産
付金
金
貸
付
金
受 取 利 息
6,745,000
1,600,000
855,000
1,600,000
855,0006,745,000
1,600,000
1,098,000
502,000
税務会計学上, 賃貸借の法 形式 を とっ てい るフ ァイナ ン ス・ リー ス取 引 を
否 認 して売買又 は金融取 引 と認定 す る根拠 は, それが真 実・ 公正 な課税所得
を構 成せず, 従っ て課税の 公平 性 が害 さ れ る場合で あ る。特 に, リー ス期間
を法定耐用年数 よ りも短 く設定 して, リー ス料 を損金計上 す る処理 は, ユー
ザ ー にとっ て は大 きな租税節 約 にな る。 かか るリー スの 弊害 を除去 し よう と
したのが,1978 年 の「リー ス通達」 であっ た。
ところが, 法定耐用年 数 を超 え るリー ス期 間を設定す るい わゆるレバ レ ッ
ジド ・リー ス(leveraged-lease )が出現 した。このレバレ ッジド・・;ー ス も
ファ イナン ス・ リース とし て捉 え, 売買 又 は金融 として税務上 取扱 う とい う
のが,1988 年 の「 リー ス通達」 であ る。
レ バレ ッジド ・ リー ス とは, リー ス物 件価額 の70 %か ら80 %の資金 を借入
れ るこ とによ りレッサ ーの多 額の 資金調 達 を容 易 にし, その上 税務上定 率法
償却 により最初 の数年間 損失 を計上 す るこ とによっ て余裕 資金を運用で きる
とい うメ リット を もたらす。 故 に, レバ レ ッジド・ リー スにおいて は, 常 に
複数 によ る投資 家のグル ープ によっ て リー ス物件 が提供 さ れ る。 この種 のリ
ー スは, 通 常1 社で は調達で きないほ ど高価 なy ー ス物件 (航 空機 等) のリ
ー スにみ られ る。1985
年 に生 まれた という わが国レ バレッ ジド ・ リー スの仕 組 みは,「まず製
造者 か ら物 件 の所 有権 を原購入契約 譲渡契約 に基づ きわが国 の リー ス会社 が
取 得 した後, それぞれのリー ス会社 が探 して きた複数 の投 資家 (企業) に一
一
定 の持分 を売却 す る。 持分の譲渡 を受 け所 有 者 となっ た 複数の企業 は,ユ ー
ザ ー=レ ッ シーに リー スを行 なう。
(3)
」
投 資家 を募 る方式 として, わが国 において は民法上 の組合 方式 と商法上 の
匿 名組合 方式 があ る。 組合方式で は,各 当事者 が出資 して共 同 の事業を営 む
こ とに なるか ら(民法667)リー ス物件 は共同 名義 にな り各組合 員 が個別 にリー
ス損益 を計上 す るこ とにな る。 匿名組合 方式で は, 出 資者 は営業 により生 ず
る利益 の分 配だ けを約 す るこ とにより成立 す るか ら
(商法535)組合員 の出資額
は営業 社 の 財産 とな り, 出資者 はV ー スに関 して第 三 者 に対 して権利義務 を
有 しない。 わが国で, よく採 られてい る方式 ぱ, この匿 名組 合方式であ る。
レバレ ッジド・ リー ス(leveraged-lease )は,通 常法 定 耐用年数 より も長
い リー ス期 間を設定 す る。 そこで,1988 年 の 「リー ス通達」で は, リー ス期
間が法定 耐用 年数の100 分の120 に相 当する年 数 を超 え, さ らに次 の4 つの要
件 を満 たす ものは, 賃貸借で はなく売買又 は金融取 引 として認定 す るという。
金融取 引 として認定 す る場合 は,新 購入資産 の リー ス・バ ッ クが予定さ れて
い る。4 つ の 要件 とは次 の とお りで あ る(1988
年「リース通達」!)
。
山
リ ー ス物 件 が一 旦賃借人 におい て取 得 さ れた上で その賃貸 借 を行 うこ と
を条件 に賃貸 人 に譲渡 された もので あ るこ と, 又 は リー ス物 件 を賃貸人が
直接取 得 した上で 賃借人 に賃貸 す る形式 を採 る もので あっ て も,その選定,
メーカ ー との交渉 が賃借人 にお いて行 われてい るな ど その取 得 が実質的 に
賃借 人 にお いて行 われてい る と認 められる もので あ るこ と。
(2) リー ス期 間中の リー ス料 の額 の合 計額が 賃貸人 にお け る ワ- ス物件の取
得価額 及 び その取 引 に係 る付随 費用 の額 の合計 額 のお お む ね全部を回収 す
る もの とし て算 定さ れてい るこ と。
(3) リー ス期 間中 にお けるリー ス契約 の解 除 が禁 止 さ れてい るこ と, あ るい
は中途解 約 を す る場合で も, 賃借人 が, リー ス期 間の うち未 経過期 間に対
応 す るりー ス料 のおお むね全部 を支 払 うこ とになっ て い るか又 はそのりー
ファイナンス・リースの特殊性 と税務会計上の認識11 ス物 件 に つ き引 取 り をす るこ とが 明 らか な こ と。(4) リー ス契 約 の 中 に, 賃 借 人 が公 正 な 市 場 価 額 で リ ー ス物 件 を 購 入 す る旨 の 条項( 公 正 市 場 価 額 条項) が付 さ れ て い な い こ と。 こ れ ら の要 件 の 中で,(1)(2)(3)は通 常 の フ ァ イ ナ ン ス・ リー スの 特 徴 で あ り,(4) は1978 年 リ ー ス通 達で は 購 入 選 択 権 の 有 無 を 要 件 とし て い た が, こ れ に 公 正 市 場価 額 の概 念 を 入 れた もので あ る。 とこ ろ で , こ れ ら の4 つ の 要件 を満 た す とい う こ とは, 実質 的 に み れば, ユ ーザ ー に所 有権 が 移 転 し て い る もの と認識 で き る。 公 正 市場 価 額 条項 が あ る とい う こ とぱ, 公 正 市 場 価 額 が 残 リ ー ス価 額 よ り も高 け れば ユ ーザ ー は 購 入 し な い だ ろ う し, 公 正 市 場 価 額 が 残 リ ー ス価 額 よ り低 け れば レ ッサ ー が売 却 し な い だ ろ う とい う こ とが前 提 条 件 とし て予 定 さ れ て い る。 そこで , 公 正 市 場 価 額 が付 さ れて い る場 合 で も, 次 の す べ て の 要 件 を 満 た さ な い とき は, 公 正 市 場 価 額 条 項 が付 さ れ て い な い もの と し て取 り扱 う とさ れ る(1988年「リース通達」1 注3) 。 イ リー ス物 件 の リ ー ス期 間終 了 時 に お け る市 場 価 額 が 残 価( リ ー ス料 の 算 定法 に 当 たっ て 取 得 価 額 及 び その取 引 に係 る付 随 費 用 の 額 の 合 計 額 の う ち リ ー ス料 とし て 回 収 し な い こ と とした 金 額 を い う。)を上 回 る可 能性 が 高 い と認 め ら れ るこ と。 ロ 賃借 人 が リ ー ス物 件 を 購 入 す る権利 若 し く は義 務 を有 す る場 合 にお い て, 当該 権利 の 行 使 若 し くは 当該 義 務 の 履 行 を す る と き又 は 賃 貸 人 が リ ー ス物 件 を引 取 る場 合 の い ず れに お い て も, 残 価 と市 場 価 額 との差 額 につ い て い か な る精 算 又 は調 整 を もし な い こ とが 明 ら かで あ る こ と。 ノ ゝ
リース期間がリース物件の使用可能期間よりも相当短いこ と。
このうち, ハの使用可能期間よりも相当短 いとは,4 分の3 以下の期間を
い う。
例 えば,法 定耐 用年数 が10年(定率0.206 )の リー ス物 件 を(使 用可能年 数20
年リ ー ス期間15年で,V ース料総額¥120,000,000(年リース料¥8,000,000 ),
リー 不営業社 の物 件取 得価 額¥102,000,000 とした場合 の, 賃貸借 と売 買 との
関係 を表す と表1 の ように なる。
この表 によ れば, レバレ ッジド ・ リー ス(leveraged-lease ) にお いては,
リー ス営業 社又 は投 資家集団 におい て, 定率法 によ る減 価償 却費 を計上 する
た め,最初の5 年 間の利 益 が赤字 になる。 その後 は, 除 々 に黒 字 に転化 する
が, 結局投資によっ て租税を繰延べ ることになる。 この租税節約分が, リー
ス料にも跳 ね返 りユーザーにとっ てもメリットがあるといわれる。
ニ
くユ ー ザ ー四12345678910
]H12
9 り411 15合計
(Lessee) 〉 リ ー ス 料8,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,0008,000,000120,000,000
物件価格6,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,0006,800,000
102,000,000 手 数 料1,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,000 18,000,000(表1)
償却限度額21,012,00016,683,52813,258,57210,527,0128,362,7766,639,7925,274,0124,202,4003,319,8962,647,512
91,927,500ファ イナン ス・リー スの特 殊性 と税務会 計上 の認識13 〈 リ ー ス 営 業 社 又 は 投 資 家 集 団 (Lessor )〉 年 度 リ ー ス 料 収 入 減 価 償 却 費1 \8,000,00021,012,00028,000,00016,683,52838,000,00013,258,57248,000,00010,527,01258,000,0008,362,77668,000,0006,639,79278,000,0005,274,01288,000,0004,202,40098,000 。0003,319,896108,000,0002,647,512118,000,000128,000,000138,000,000148,000,000158,000,000
合計120,000,000
91,927,500 営 業 利 益 −13,012,000 −8,683,528 −5,258,572 −2,527,012 −362,7761,360,2082,725,9883,797,6004,680,1045,352,488 延 払 譲 渡利 益1,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001,200,0001 ,200,0001,200,0001 ,200,0001,200,0001,200,0001 ,200,0001,200,000 18,000,000しかし, 実質 的 には売 買 と認識 しなけ ればな らないか ら, ユ ーザ ー側で リ
ー ス物件 の減 価 償却費 を計上 す るこ とになり, リー ス営業 社又 は投資家集団
においては, 販売基 準 に よる収益 の一括計上 か, 延払条 件 付譲渡 の処理の ど
ちらかが選択で きる。
延払条件付譲渡の処理によれば,初年度から毎期¥1,200,000
の譲渡所得 が認 識さ れる。延払譲 渡 の処理 を選択 し なけ れば, 最 初の年度 に
¥18,000,000 の所 得 が認識 さ れるこ とになる。
ユーザ ーは,賃貸 借であ れば,v ー ス料¥8,000,000 が毎 期損 金 として認識
さ れるが,実質 的 には売買 なので ,資産価額¥102,000,000 のV ー ス物件 を購
入し,リー ス料 の うち¥1,200,000 と減価償却費 が損金 として認識 さ れるこ と
にな る。 実質 認 識 に よ る会計 処理 を示す と次の ようにな る。
〈 ユ ーザ ー (lessee )〉
払
手
払
資
未
支
減 価 償
数
却
産102,000,000
金6,800,000
料1,200,000
費21,012,000
金
金
払
未
現
102,000,000
8,000,000
資〈 リー ス営業 社又 は投 資家集 団 (lessor)〉
資
産
」02,000,000
延払譲渡未収金120,000,000
延 払 譲 渡 原価102,000,000
現
金8,000,000
延払譲渡利益控除16,800,000
産21,012,000現
金
延 払 譲 渡 高
資
産
延払譲 渡未収 金
繰延延払譲 渡利益
102,000,000
120,000,000
102,000,000
8,000,000
16,800,000
リー ス通達 は, 要件 を提示 す るこ とによ り, それらの要件 に該 当す
るV-ス取 引 を売買又 は金融取引 と認定 し よう とす る。しか し,問題 は,「通達」に
よっ て否認で きるか どうか とい う点 と, 実質 課税 という実質 によ る認 定 を出
発点 とし てい なが ら, 結 局形式 要件 に とら われてし まっ た点 にあ る。 この こ
とぱ,現 実のリ ー ス期 間が,リー ス物 件 の法定耐用年数 の70 % か ら120%の範
囲内で 意識的 に設定さ れてい るこ とか ら もうなず ける。
3 。リー ス取引の実 質的性格
ファイナン ス・ リー ス(finance 一lease)は,法 形式上 賃貸借契約 を とっ て
いるが, 実質的 にぱ賃貸借で はない。 それで は, い かな る取引 と認識 すべ き
かにつ いては定説 はない。 しか し, ファ イナン ス・リー ス取引 は, 法的 実質
からみ る とに 賃貸借で は な くむしろ金銭 貸借取 引で あ り,経済的 実質 か らみ
る と賃貸借取 引で はな くむしろ売買取 引 とい える。
し かしなが ら, フ ァイナン ス・ リー スは, リー ス物件 によ り異 なるリー ス
契 約が結 ば れ, 必ず し も明確 な一線 を引 きにくい面 があ る。 故 にリー スは,
種 々の側面 を同 時 に兼 ね備 えてい る複合取 引 とい える。 その中で, あ る側面
を重視 して捉 えるこ とによ り, 色 々 な説 が生 まれ る。一 般 には,特 殊賃貸借
説, 実質金融 説, 実質割賦購 入 説, 使 用権 設定説の4 つ の説があ る とい う(4)
。
特殊賃貸借 説 とは, 賃 貸借で はあ るが い くつ かの点で 特殊性 が見 られ るた
ファイナンスリ ースの特殊性と税務会計上の認識15 め, 賃貸 借 の 特 殊 な形 態 とみ る。 その 特 殊 性 とは, リー ス期 間 中 に 物 件 価 格 の 概 ね全 部 を 回 収 す る こ とが 予 定 さ れ て い る こ と (fulトpayout-method), 中 途 解 約 禁 止 条 項 があ るこ と, 中 途 解 約 の場 合 に は残 リ ー ス料 の 全 額 を 回 収 す るた め の特 殊 な損 害 違 約 金 の特 約 が あ るこ とな どで あ る。 こ の 説 で は, 特 殊 な 賃 貸借 で あ る と捉 え るが , 実 は こ の特 殊 性 は賃 貸 借 とは明 確 に 異 な る要 件 で あ るこ とを 意識 し て い な い。 実 質 金 融 説 とは, リ ー ス料 は, リ ー ス会 社 (lessor ) の ユ ーザ ー (lessee ) へ の 融 資 に対 す る元 利 金 の均 等 分 割 払 いで あ り, リ ー ス 物件 は譲 渡 担 保 物 件 で あ る と捉 え る。セ ー ル ・ ア ン ド ・ リ ー スバ ッ ク(sale-and-leaseback ) に お い ては, 明 ら か に金 融取 引 と し て 実 質 的 に捉 え るべ きで あ る が, 他 の リ ー ス取 引 にお い て は確 か に金 融 的 側 面 が あ るこ とを否 定で きな い が , さ り とて 全 て の リ ー スを 金 融 取 引 とし て 認 識 す る こ と も適 当で は な い。 実 質割 賦 購 入 説 とは, リ ー ス料 を ユ ー ザ ー(lessee )の 物 件 購 入 代 金 の分 割 払 で あ る と捉 え る。所 有 権 が 移 転 し な い の は, リ ー ス会 社 (lessor )のユ ー ザ ー(lessee ) に対 す る売 却 債 権 の 担 保 物 件(所 有 権 留 保 物 件 ) とみ る。物 件 に よっ て は,全 て の リー ス物 件 が, 最 終 的 にユ ーザ ー に帰 属 す る わ けで は な い。 実 際 の契 約 にお い て は,「 リ ー ス通 達 」の影 響 もあ り,物 件 は必 ず リ ー ス会 社 に返 還 す る よ う契 約 上 明 文化 さ れ て い る もの もあ る。 実 質 的 にみ る と, リ ー ス取 引 は明 ら か に使 用権 を獲 得 し て い る た め, 割 賦 購 入 し た の と同 様 の 経 済 的 効 果 を有 し て い るこ とは確 かで あ る。 し か し, 契 約 の法 的 実質 性 か ら見 れ ば, 返 還 を条 件 に し て い るこ と, 又 中途 解 約 に よ り 物 件 を返 還 し て も, 残 リ ー ス料 の 支 払 い が 強 制 さ れ るこ とは, まさ に 金 融 的 性 格 が 強 い とい え る。 に もか か わ ら ず, リ ー ス物 件 の 占 有 的 使 用 とい う経 済 的 実 質 か ら み れ ば, この 割 賦 購 入 説 は か な り有 力 とい え る。 特 に, 税 務 会 計 公 準 た る課 税 の 公平 性 の 要 請 に基 づ く 実 質 課 税 の論 理 か ら容 認 さ れ う る。 使 用 権 設 定 説 に よ る と, リ ー ス契 約 とは 使 用 権 又 は利 用 権 に対 す る対 価 の 分 割 払 で あ る とす る。づ ー ス会 社(lessor )に は,使 用 権 の な い 所 有 権 が 成 立 し,ユ ーザ ー(lessee )に は所 有 権 の な い 使 用 権 が 成 立 す る。 リ ー ス料 は,リ ー ス会 社 の ユ ー ザ ー に対 す る 占 有 的 使 用 の た めの 物 件 購 入取 得 価 額 の 対 価 と さ れ る。こ れ は,法 的 形 式 を 尊 重 し な が ら,ユ ーザ ー(lessee )の 使 用 権 を 資 産 認 識 し, リ ー ス未 払 金 を 負 債 とし て 認 識 し よ う とす る もので あ る。 こ れら の説 に お い て, リ ー ス契 約 の法 形 式 を重 視 す る の が, 特 殊 賃 貸 借 説
と使 用権 設定 説で, 前者は特 殊性 は認 め るが処理上 は通 常 の賃 貸借であ るの
に対 し,後 者 はリー ス期 間中の占有的使用権 を資産 とし て認識 すべ きだ とす
る。前者 は,わが国 のリー ス会計実務であ り, リ ー スを資 産化(capitaトlease)
す るための会 計 処理の根拠 として後 者が とら れ る。
会 計 の機 能 は, 本来経済的価値 変動 を正 し く認識 し, 測定 し, 伝達す るこ
とにあ り,法 的 関係 を認識・測定 す る もので は ないが, 第三者 との取 引で経
済価値 変動 が生 ず る場合 には,法的 にいか な る契約 によっ てい るか により,
会計 処理上 の認識 ・測定 は少 なか らず影 響を受 け る。 私法 的 自治の原則は,
租 税法 にお い て も守 られな ければ な らないが, それは当該 取引 による所 得が
真 実・公正 な課 税所 得概念の枠内 にあ る場合 に限 ら れる。
真 実・公正 な課税所 得概念 から見 れば, リー ス取引 は賃貸借取引 とい う法
形式 を巧み に利 用 した租税回避 に近 い取 引 とい える。 実質 課税 の実質 とは,
本来 「実質 に含 まれ る人間関係を捨象 して経済的 現実 を重 視す る考 え方であ
るo(5)
」
しかし, 経 済取引 自体 人間行動であ り,契 約 とい う法 形 式 もまた現実的経
済行動 を相互 に規制 す る人間 によ る経済的 意思表 示 の表 れで あ る。 その意味
で は,完 全 に人間関係 を捨 象した経済的現 実 を捉 え るこ とは困難であ り, も
し捉 えるこ とがで きた として もそれが真 実・公正 とは限 らない。 しかし,実
質 主義 の( 着眼 点は契約 の背後 にあ る取引 の実 態で あ るノ6)」
リー ス判例 におい て も, 契 約の背後 にあ る実態 か ら, 単 な る賃貸借ではな
い とい う判断 がむしろ定着 してい る。 法的形 式 は賃貸借で も,法 的実質性 か
らみ れば明 らかに賃貸借で はない。 裁判上問題 にな るのは, リー ス契約がな
ん らかの理由 で解 除さ れた場合であ る。 例 えば次 の ような裁判 事例 があ る。
リー ス期 間の途 中で, リー ス物件 に瑕疵が あ り, その上 台風 水害のた めリ
ー ス物件の使 用 が不能になっ た。借主(lessee) は,使用 不能 を理由 にリ- ス
料 の支 払い を拒絶 したが, リ ース会 社ぱ, 残 リー ス料 に相 当 す る規定損失 金
を支払 わな け れば契約 は解 除 しな い と主張 した。 こ れに対 し,大 阪地裁 は借
主 に残y ー ス料 及び遅延損害金 を支払 うよ う命じた(1976年3 月26日大阪地裁判決)。
この判例 は, リー ス契約 が物件 の賃 貸借 とい う形式 を とっ てぱい るが√ 実
質的 には物件 の賃貸借契約で はな いこ とを判示 した もので あ る。物件 の瑕疵
に対 す る損 害賠 償責任 は, リー ス契約上 借主 と物件提供 者 との関係 において
生 じ る。しかし,物件 の売買 は形式上 物件提供 者(manufacturerordealer)
ファイナンス.i;ースの特殊性と税務会計上の認識17 とリ ー ス会 社 で はあ るが, リ ー ス会 社 の 目的 は実 質 的 に は 物 件 の 賃 貸 借 で は な く,投資 金額 の全 額 回収 にあ るか ら,物件 に瑕疵 があっ て もリー ス会 社(lessor ) が 責 任 を負 わな い とい う免 責 条 項 を契 約上 設 定 す る。 リー ス契 約 に お い て は,「物 件 の引 渡 しを 受 け た後, 所 定 期 限 まで に こ れ を 検 査 した上 , 右 物 件 に瑕 疵 あ る と きは, こ れを 直 ち に貸 主 に 通 知 し, 或 は貸 主 に交付 す べ き借 受 証 に その 旨 を 記載 し た 場 合 にお い て は, 貸 主 は貸 与 物 件 の売 主 に対 す る損 害 賠 償 請 求 権 を 借主 に譲 渡 す るが , 借 主 が 右 通 知 を怠 っ た と き は, 物 件 は 完 全 な 状 態 で 引 渡 さ れた もの とみ な さ れ, 借 主 は以 後 一 切 の 苦 情 を述 べ るこ とがで き な い。 物 件 の 隠 れた瑕 疵 につ い て も同 様 で あ る/7 )」 リ ー ス契 約 に お い て は , この よ う に物 件 の瑕 疵 につ い で は, リ ー ス会 社 が 買 主 た る損 害 賠 償 請 求 権 を 行 使 せ ず, こ れを 借 受 証 に記 載 し た 場 合 の み, 借 主 に買 主 た る損 害 賠 償 請 求 権 を譲 渡 す る条項 が み ら れ る。 こ の こ とは, 実 質 的 にみ れば , リ ー ス会 社 ぱ物 件 の所 有 権 者 た る損 害 賠 償 請 求 権 を最 初 か ら放 棄 し てい る こ とを 意 味 す る。従 っ て,物 件 瑕 疵 に対 す る損 害 賠 償 に つ い て は, 借 主(lessee ) が 直 接 物 件 提 供 者 (manufacturerordealer ) と交 渉 し な け れば な らな い こ とか らみ れば , 経 済 的 実質 上 レ ッ シ ー は, リ ー ス 物 件 を購 入 し た の と同 じ で あ り, リー ス会 社 は物 件 購 入 の 融 資 を し た こ とに な る。 その 意 味 で 中途 解 約 禁 止 条 項 の 存 在 も首 肯 で き る。 ところで , 問 題 は , 所 定 の 借受 証 に記 載 の な い 場 合 に は, リ ー ス物 件 が完 全 な状 態で 引 渡 さ れた もの とし て, リ ー ス会 社 が一 切 の 責 任 を 負 わ な い とい う免 責特 約 が, 法 契 約 上 有 効 か 否 かで あ る。 リー ス物件 の 瑕 疵 が 判 明 し, 使 用 不 能 の場 合, 当 然 な が ら契 約 内 容 に違 反 す る わけで あ るか ら, 借 主 は 賃 貸 借 契 約で あ れば 何 時 に て も契 約 解 除 を 請 求 で き る(民法617)。もし,売 買 で あ れ ば, 隠 れた る瑕 疵 あ りた る と きは 売 主 に瑕 疵 担 保 責任 が 生 じ(民法570) 商 法 で は 隠 れた る瑕 疵 につ い て は6 ヵ 月以 内 の 通 知 の 規 定 が あ るが , 悪 意 の あ る売 主 には適 用 さ れ な い 旨 の 規 定 が あ る(商法526)。 こ れに関 し て 次 の よ うな 判 例 が あ る。 借 主 は, 電 算機 シ ス テ ム一 式 を リ ー ス物 件 とし てV ー ス し た が, 途 中で 故 障 が 多 く瑕 疵 の あ る こ とが 判 明 した 。 そ こで , 借 主 は リ ー ス会 社 に解 約 の 申 入 れ を し, リ ー ス会 社 は こ れを受 け て 契 約 を解 除 し た 。 し か し, 原 告 リー ス会 社 は, 契 約 解 除 に よ る約 定 損 害 金 と 遅 延 損 害 金 (年15 %) の支 払 命 令 を 東 京 地 裁 に提 訴 した 。 被 告ユ ーザ ー は, リ ー ス契 約 に お け る免 責 特 約 は ユ ー ザ ー に とっ て あ ま り
に も不利 な特 約で あ り, かか る条 項 は 単な る例 文 にす ぎず, 法の信義誠実 の
原則 及び公序良 俗 に違反 し無 効で あ る と主張 した。判決 は,民法570 条,民法566
条,商 法526条 はい わゆ る任 意規 定であ り, 免 責特 約 は有 効で あ ると/
して
被告 ユーザ ー にりー 戈会社の 請求 す る約定損 害金 を支 払 うよう命じ た(1982年6
月22日東京地裁判決)
。
地裁 の判決 は次の ように その理 由 を述べ る。
「瑕疵 担保 責任 比関す る民商法
の規定 は任意規 定であっ て契約者 当事 者間で こ れを排 除 す る合 意は有効で あ
る と解 さ れ るところ, 原告は各種機 械等 の リー スを専業 とす る会社であ るこ
とは, 当事者 間に争いがな く, また, 本件 リー ス契約 は実質的 に被 告会社 ら
に対 す る金融的機 能を営 む ものであ り, 原告 に本件電算機 の瑕疵 に対 す る能
力 が ないこ とから, その瑕疵 等 に関す る免責特約 を締 結す る必要 があ るこ と
は, 前掲甲 第一 号証 及 び弁論 の 全趣 旨 によ りこ れを認 めるこ とがで きる(8)
。」
この判例 において ぱ, リー ス契約 は実質的 に金融取引で あ る とし,残 リー
ス料 と遅延損害 金の支払 い義 務が借主 にあ る とした。法契約 からすれば, リ
ー ス契 約 はレ ッシー(lessee) とレ ッサ ー(lessor)との契約で あ るから,こ
の両 当事者 においては, 実質的 に金 融取 引 とみな ければ な らない。
しかし, これを リー ス物件 から み る と, レ ッシーは, 特殊仕 様の注文物件
を直接 メーカ ー(manufacurer
) か ら獲得 してい る。 その う え,当該物件 の
保 守管 理はレ ッシーの責任で あ るから, 経済的 実質 か らみれば, 明 らかに物
件購 入 と同様 の使用収益 をリ ース物 件 か ら得 てい るこ とにな る。 もし, 隠 れ
た る瑕疵 に より契約解 除に なっ た場 合で も, か か る損害 賠償 請求 はレ ッサー
か ら請求権 を譲受 けてメーカ ーに請求 す るこ とにな る。 税務会計認 識におい
ては, かか る経済的 実質 か ら減価償 却 の計上 をユ ーザ ー にお いて実行すべ き
もの と判断 す る。 この点,法 的実質 と経済 的 実質で は, 認識が 異な る。
ただ, 経 済的 実質 からみて も金 融的取 引 と見 なけ れば ならないこ とがあ る。
リー ス・バ ック(sale-and-leaseback
)やリ ー ス物件の価額 に比較 して異 常
に高額 な リー ス料総 額の場合 が これ に該 当す る。 物件価額 に比較 して異 常に
高額 なリー ス契約 は, 通常の リー ス契約 で は ないので, かか るリー ス契 約 は
無効で あ る とい う判断 が なさ れた事件 があ る(1982年4 月26日東京地裁判決)
。
借主 は,仲 介者か ら3,000 万円 の融 資を受 けるこ とになっ たが,その仲介者
カ
リ ー ス会社 に融資 させ るこ とを提案 し, その た めには なん らかのリー ス物
件 を必要 とした。 そこで, 借主 が病 院で あっ た ため血液分析 装 置をリー ス物
ファイナンス・リースの特殊性 と税務会計上の認識19 件 とし た。 し か し, その 装 置 は採 算 が とれ る もの で な か っ た の で , 借 主 は 保 守 管 理 も行 わ ず その ま ま放 置 した 。 リ ー ス契 約 で は, リ ー ス期 間60 ヵ 月, リ ー ス料 月額118 万7,000 円で あ っ た 。 リ ー ス契 約 後,1 年2 ヵ 月 後 か らリ ー ス料 が 支 払 わ れ な くな っ た ので , リ ース 会 社 は契 約 を解 除 し, 債 務 不 履 行 に よ る損 害 賠 償 請 求 訴 訟 を 起 こ した。 被 告 の主 張 は,リ ー ス物 件 の 価 額 が せ いぜ い1,000 万 円 程 度 で あ る こI, その 物 件 価 値 と利 息 制 限法 を 適 用 す る と, 既 に元 利 合 計 は 支 払 っ て い る こ と, 他 の 連 帯 保 証 人 は, 当初5,500 万 円 と信 じ て い た 物 件 が 実 は1,000 万 円 程 度 で あ っ た こ との 錯 誤 , 及 び 署 名 の 段 階 で 金 銭 貸 借 契 約 との 錯 誤 が め っ た こ とを 主 張 し, 契 約 の無 効 を主 張 した。 こ れ に対 し, 判 決 は, 契 約 時6 年 前 の 製 造 時 で 「 当時 の 価 格 は 二 , 八〇 〇 万 円 前 後 と推 認 で き る。 し て み る と, 昭 和五 二 年 当時 , 本 件 物 件 を リ ー ス物 件 とし て, リ ー ス料 総 額 七 , 一 二 二 万 円 , 規 定 損 害 金 の 基 本額 五 , 五 〇〇 万 円 とす る よ う な リー ス契 約 が締 結 さ れ るこ とは, と う て い 正 常 な取 引 とい え な いい9)」 とし, 原 告 の 請求 を棄 却 し た。 七 か し,し こ の 判 決 は, リ ー スの 実 質 性 を看 過 し た もの で あ り, レ ッサ ー の 目的 カリ ー ス物 件 に関係 な く投 資 額 の 全 額 回 収 に あ るこ とを 見 過ご した た め, 誤 っ た判 断 を し て し まっ た。 この リ ー ス契 約 は, 最 初 か ら金 銭 貸 借契 約 を秘 匿 す るた め の 契 約 で はあ っ た が, 法 的 に も又 経 済 的 に も その 実 質 は 金 銭 貸借 契 約 で あ っ た と解 し な け れば な ら ない 。 こ の よ うに リ ー ス取 引 は, 法 形 式上 は賃 貸 借 契 約 を とっ て ぱ い るが, 実質 的 に は金 融 機 能 と売 買 機 能 を と もに有 す る複 雑 な 取 引 で あ る。 リ ー ス物 件 に 瑕 疵 が な く, リ ー ス料 が リ ー ス期 間 満 了 時 まで 滞 り な く支 払 わ れ る限 り, ユ ー ザ ー もレ ッ サ ー も賃 貸 借 で あ る こ とを 強調 す る。 し か し, リ ー ス期 間 の途 中 で 契 約 が 解 除 さ れ る と, レ ッ サ ー は免 責 条 項 を 盾 に金 融 的 側 面 を 強調 し, レ ッ シ ーは 賃 貸 借 で あ り免 責 条 項 ぱ 無 効 で あ る と主 張 す る。 多 くの判 例 は, 法 的 実質 か ら判 断 し て リー スの 賃 貸 借 性 を否 定 七 金 融 性 に基 づ い た判 断 を し て い る とい え る。 税 務 会 計 学 は , 法 形 式 に依 存 し た会 計 処 理 を 前 提 とし , 法 的 実質 性 も勘 案 し な が ら, 真 実 ・ 公 正 な 課 税 所 得 を 認 識 ・測 定 し よ う と す る。 か か る税 務 会 計 認 識 にお い て, 認 識 基 準 とし て作 用 す るの ぱ,「実 質 主 義 」で あ り, その認 識 要 件 は, 公 平 的 中立 性 , 負 担 能 力性 及 び経 済 的 実 質 性 で あ る。 こ れ らの要
件を満たすリ一久の実質 に基づいて,リースの課税を的確に判断 しなければ
ならない。
4 。 租 税 法 律 主 義 か ら み た 通 達 課 税 の 問 題 点 会 計 の認 識 基 準 とし て,「企 業 会 計 原 則 」ぱ,発 生 主 義 及 び 実 現 主 義 を 提 唱 し て は い るが, 発 生 主 義 は個 別 認 識 基 準 とし て は 不 適 格 で あ り, 実 現 主 義 は もっ ぱ ら未 実現 利 益 を排 除 す る基 準 とし て位 置づ け ら れ て い る た め, 会 計 認 識 の 要 件 とし て経 済 的 実 質 の 思 考 が み られ な い。J 。 。 少 な く て も経 済 的 実質 思 考(substanceoverform) の 判 断 要 件 が な い 限 り, 会 計 上 利 用 権 を 貸 借 対 照 表 に資 産 とし て計上 し よ う とす るい か な る基 準 も生 ま れ得 な い。 故 に わ が 国 の会 計 実 務 上 , フ ァ イ ナ ン ス ・ リ ー スで あ っ て も賃 貸 借 とし て処 理 す る慣 行 が定 着 し てい る。 こ れに対 す る唯 一 の 歯 止 め と し て 作 用 し て い る の は,1978 年 及 び1988 年 の 「 リ ー ス通 達 」 で あ る。 「リ ー ス通 達 」 に よ り, リ ー ス業 界 に 自 粛 が起 こ り, 節 税 の み を 目的 とす る極 端 な リー ス契 約 は影 を潜 め る にい たっ た。 その 意味 で , わ が 国 の リ ー ス 産 業 に多 大 の 影 響 を 与 え て い る こ とは 事 実 で あ る。し か し,「 リ ー ス通 達 」 も また 税務 会 計 学 か ら み れば , 認 識 要 件 の設 定 に 問題 が あ る。 つ ま り, 実 質 的 に判 断 し な け れば な ら な い と ころ を, 形 式 基 準 を もっ て 認識 要 件 を 設 定 し て し まっ た こ とで あ る。 従 っ て, こ の 形 式基 準 を外 す た め に新 た な且 つ 複雑 なく リー ス契 約 を 次 か ら次 と生 じ さ せ るこ とに なっ た。 た とえ ば, レ バ レ ッ ジ ド ・ リ ー ス(leveraged-lease ),メ ン テ ナ ン ス・ リ ー ス(maintenance-lease ), パ ッ ケ ジド ・ リー ス (packaged-lease ) な どで あ る6 づ さ ら に,「 リ ー ス通 達 」は ,フ ァ イナ ン ス・V ー スを 実 質 的 に認 識 し よ う と す るので は な く, リ ー スを オペ レ ー テ ィ ン グ ・ リー ス と捉 え に オペ レ ー テ ィ ン グ ・ リ ー ス の 中 か ら, 一 定 の形 式 要件 を 満 た す もの を売 買 て は 金 融 取 引 と し て認 定 し よ う とす る。 税 務会 計 学 に お け る実 質 課 税 の論 理 か ら い えば , リ ー ス を フ ァ イ ナ ン ス・ リ ー ス とし て捉 え, リー ス と認 識 す る た め の 要件 を経 済 的 実 質 の観 点 か ら 設 定 し な け れば な らな い。 税 務 通 達 は, 税 務 行 政 上 の示 達 で あ り納 税 者 を拘 束 す る もの で は な い し, 裁 判 にお け る判 断 論 拠 と もな り得 な い が, 税務 行 政上 こ の よ う に扱 う とい う 行 政 判 断 が 公 表 さ れ る こ とに よ り, 一 定 の抑 止 力 が あ る と共 に税 務 行 政 上 の 慣 行 とし て 定 着 す る虞 が あ る。 とい う め は,「現 実 の税 務 行 政 は,通 達 を 根 拠ファイナンス・y ースの特殊性と税務会計上の認識21 とし て行 わ れ て い るか ら, 納 税 者 の 方 で 争 わ な い 限 り, 通 達 に従 っ て処 分 が 確 定 す 心。 す な わ ち, 通 達 は, 事 実上 国 民 を 拘 束 し, 法 源 と同 様 の 機 能 を 働 か し てい る。(10) し か し, こ れ は税 務 会 計 公 準 た る租 税 法 律 主 義 に違反 す る こ とは明 らかで あ る。 税 務 会 計 学上 の 認 識 は, 真 実 ・ 公 正 な 課 税 所 得 を 計 測 す るた め に実 質 課 税 の論 理 に基 づ くべ き こ とを 基 本 とす るが, 実質 課 税 に名 を借 りた 税 務 官 庁 の 独 断 的 ・ 恣 意 的 判断 を擁 護 す る もの で は な い。 税務 行 政 上 , 実 質 課 税 に よ る認 定 を す る た めに は, 当 該 課 税 要 件 が 租 税 法 上 明 文 化 さ れて い るこ とを 必 要 とす る。 こ れが 租 税 要 件 明 確 主 義 で あ る。 通 達 には, 法 令 の解 釈 又 は 運 用 の 基 本 的 事 項 につ き一 般 的 取 扱 方 針 を 定 め た 解 釈 通 達 た る 「基 本 通 達 」 と, 特 定 の個 別 問題 につ い て租 税 上 の取 扱 を 周 知 徹 底 さ せ る た め に発 遣 さ れ る 「個 別 通 達 」 とが あ る≒ 「 リー ス通 達 」 は, 後 者 の 「個 別 通 達 」 に該 当 す る。 個 別 通 達 が , 具 体 的 に 税務 指 針 とし て作 用 す るた め に は, その根 拠 が租 税 法 又 は 租 税 慣 習 に存 在 し, その 一 定 の 枠 の 中 で の確 認 的 示 達 で なけ れば な ら な いレ1978 年7 月20 日,「 リー ス取 引 に係 る法 人 税 及 び所 得 税 の 取 扱 い に つ い て」 とい う個 別 通 達 が 発遣 さ れた 。こ の 通 達 の 発 遣 趣 旨 につ い て同 通 達 は,「現 在 広 く一 般 に行 わ れて い るい わ ゆ る フ ァ イ ナ ン ス ・ リー ス につ い ては, その経 済 的 実 質 にお い て一 般 の賃 貸 借 と異 な る面 を有 し て い る とこ ろ か ら, こ れ を 一 般 の賃 貸 借 と同 様 に取 扱 う こ とに課 税 上 弊 害 の あ る もの も認 め ら れ るので , 個 々 の リ ー ス取 引 の経 済 的 実質 に応 じ て こ れ を 売 買 取 引 等 とし て取 扱 う こ と とし,その 処 理 の 統 一 を 図 る こ と とし た もので あ る。」(1978年「リース通達」(趣旨)) と, 述 べ る。 し か し, 課 税上 い か な る弊 害 が あ る か の 具 体 的 認 識 もな く, フ ァ イナ ン ス ・ リ ー スの明 確 な定 義 もな い ま ま, 通 達 を根 拠 に し て課 税 当 局 が賃 貸借 取 引 を 否 認 し売 買 等 とし て税 務 認 定 し, その 認 定 に基 づ き課 税 す る こ とは可 能 で あ ろ うか。否, こ れ は,「現 行 の 租 税 を 変 更 す るに は,法 律又 は 法 律 の定 め る 条 件 に よ るこ とを 必 要 とす る。」(憲法84)とい う 憲法 に 明 ら か に違 反 す る とい わ な け れば な ら な い。 もっ と も, 企 業 会 計 上 公 正 な会 計基 準 とし て リー ス取 引 の会 計処 理 が 定 着 し, そ れを 税 務 行 政 上 に お い て も容 認 す る とい う場合 は そ の 限 りで は な い が, 既 に触 れた よ う に同 じ 経 済 的 実質 主 義 が強 調 さ れ て も, 会 計 上 の実 質 主 義 と税 務 会 計 上 の 実 質 主 義 は, その判 断 の認 識 要 件 が 異 な る
ため, リー ス取 引 において もその会計処理 は異 ならざ るを えない。 その意味
で ぱ, 会計 制度依 存性 た る税務会 計公準 の税務 認定上 の確 認 た るこ とを もっ
て, 個別通達 の発遺根 拠 として正 当化 するこ ともで きない。
し かし, リ ー ス取 引 につ いて,実質 的会計 処理 が定 着 し てい ない からこ そ,
税務 認定 におい ては慎 重に対応 し なければ ならず, その た めには法条文化 す
る前 に一 応の 税務行政 上 の考 え方を通達を もっ て明 ら かにし, こ れに対 する
社会一般 の反 応 の 中で, 課税上 の問題点を整理 し, 租税 法 律 に条 文化す る と
きの参考 にす る とい う通達 の意義 もあ るか もしれない。
確 かに個別 通達 に は,個別 問題 に対 す る税務官庁 にお け る一応 の見解 とい
う意味 もあ る と思 われるが,発遣趣 旨の「経済的 実質 に応 じて こ れを売買取
引等 として取 扱 うこ と とし, その処 理の統一 を図 るこ と とした」 という文言
は, 一応 の見 解 どこ ろ か明 らかに税務上 の認定基準 を示 し, それに基づ いて
課税 するこ とを宣言 した もので あ る。 とすれば, これ は明 らか に憲法 に違反
す る通達課税 とい わな ければ ならない。
問題は, 通 達 課税 が長い間反復的 に行 われて きて, その通達 によ る課税 の
法違反で あ るこ とが判 明し た場合, 従来 の通達 課税 に禁 反 言 (estoppel) の
原則 が適用 さ れるか ど うかで あ る。 これは, 法 の信義則 の問題で あ り, この
信義則 を通せ ば, 従来 の税 務行政 の もとでの納 税者 に遡及 し て不利 な取扱 い
はで きない と解 さ れ る。つ まり,
「一般 の納税者 が税務 行政 庁の指導 ・取扱 い
を多年 に わたっ て信 頼 して それに善意 に従っ て きた場合 に ぱ, 例 外 として租
税法 律主義 の 原理 を まげて その ような善意の納税 者の信 頼保 護 の要請 に答 え
なけ れば,著 し く正義 の理念 に反 す るこ とにな るo」 か らで あ る。
このよ うに, 善意 の納税 者を保 護すべ く働 ら く禁 反言 の原 則, 信義則 の原
則 が,通達 課税 を媒 介 とす ると, はからず も通達 課税 の違法 性 を後 に問 えな
くなっ てし まう。 こ のこ とは,個別 通達によ るリー スに対 す る税務 行政上 の
取 扱 が, リー ス税 務慣 習 を形成 す るこ とを意味 し, それは また法 と同 じよ う
な法的効力 を有 す るにいた るこ ともあ る。
し かしなが ら, 税務会 計学上租税法 律主義 に違反 す る通達 課税 を容認で き
ない。 禁反言 の原 則 が, 納税者の保護 のために租税法 にお いて も適用 され る
とす る考 え方 に賛成で あ るが, しかし禁反言 の原則 か ら通 達課税 を税務行政
上 止むを得 えない とす る考 え方 には賛成で きない。 む しろ, 通達 によっ て税
務慣習 を形成 させ よ う とす る税務行政 に問題 があ り, リー ス通達 が発遣さ れ
フ ァ イナン ス・リ ースの特 殊性 と税務会 計上 の認識23 て か ら ,14 年 も 経 っ て い る に も か か わ ら ず , 通 達 課 税 で あ る と の 国 民 的 批 判 が 生 ま れ て い な い こ と に も 問 題 が あ る と い わ な け れ ば な ら な い 。
おわりに
リ- ス(finance-lease )は,契 約上 賃貸借形式 を とり,会計上 も賃貸 借の
処理 をす るこ とによ り, 財務上 及 び税務上 の メリット を十分受 けるこ とが出
来 る特殊取引 として定着 す るにい たっ たが, 税務会 計学 上 これを賃貸借 とし
て課税関係 を認識 す るわけにはい か ない。
なぜな ら, 賃貸借契約 にはみ ら れない, 中途解約禁 止, リー ス物 件の瑕疵
担保責任 の免 責,レ ッシーの保 守 ・管理 責任,解約 によ る規定 損害金の支 払
等の特殊な条項カ
リ ー ス契 約 に はみ られ る。 多 くの判例 にお いて も, リー ス
は賃貸借 と異 なる特殊 な金融取 引で あ ると捉 えられてい る。税務会 計認識 に
おいては, 真実・公正 な課税所 得概 念を形成 する上で, リー スの経 済的実質
性 か ら売買 と認識す べ き もの及 び金 融 と認識 すべ き ものを適切 に識 別し, 実
質 課税すべ き もの と考 える。
しかしなが ら, 税務会計 認識 ・測定 ・伝達 は, それらが成立 す る基 礎的 前
提 として税務会 計公 準 た る租税法 律主義 を満 たさ なければな らない。 税務行
政 における否 認の論 理 は, 憲法 第84 条 に基づ く租税法 に よる課税要件 明確 主
義 による。 その点, リー スにお け る否 認 は, 租税法 に明 文規定が ないので,
リー ス通達 によ るこ とにな る。 こ れは, 明 らかに税務会 計公準 にお ける租 税
法律主義 を満 たさない。
それにして も,リー ス(finance-lease )は,通常の賃貸 借 と異 な る取引で
あ るこ とが認識 さ れてい るに もか か わらず, 依然 として賃貸借取 引 としての
会 計処理が慣 行化 さ れて い るわが国 の企業 会計 制度 に疑 問を感 じざ るを得 な
い。 税務会 計公準 として会 計 制度 依存性 をあ げ る理由 は, 本来 企業 会計 は経
済変動を客観 的 に確定的 に捉 えて認識・測 定 が行 われて いるこ とを前提 に,
こ れを課税所 得計測上 尊重 しよ う とす る ものであ るが,リー スの会 計 肌行 は,
こ れを尊重 し て その まま容認 す る と, 課 税の公平性 が著 し く損 な われる結果
を もたらすこ とにな る恰好 の例 とな る。
問題 の次元 が異 なるに もかか わらず, かか る企業会計 の遅 れを理由 に, 通
達 が発遣 さ れ, それに基づ く税務 行政 が実 質課税 に名を借 りて 正 当化 さ れる
こ とだけは どうして も避 け なけ れば ならない。
(1992.9.30.)〔注 〕 剛JohnH.Myers,ReportingofLeasesinFinancialStatements ,AccountingResearchStudyNo.4,AmericanInstituteofCertifiedPublicAccountant,1962,p.12. (2)FinancialAccountingStandardsBoard,StatementofFinancialAccountingStandardsNo.l3:AccountingforLeases,FASB,1976,Paragraph7.(3 ) 外立 憲治「国際 リース取引 の構造」,加 藤一郎, 椿寿夫 編『リー ス取 引法講座〈下 〉』 金融財政事 情研 究会,1986 年,250 頁。 (4) 大西武士 「 ファ イナン ス・リー ス契約 解除 の実務」,同 上 書,103-105 頁。 (5) 青柳文司 『会計 学の基礎』中央経 済社,1991 年,257 頁。 (6) 同上 書,257 頁。 (7) 野口憲三 『判例 に学ぶ リース取引 』商事法 務研 究会,1985 年,35 頁。 (8) 同上 書,100 頁。 (9) 同上 書,133 頁。 (10) 斉 藤稔 『租 税法律主義 入門』中央 経済社,1992 年,58 頁 。 (11) 関守 「通達」, 金子 宏編 集 『税務 百科 大辞典 』ぎ ょ うせ い,・1980 年√402 頁。 (12) 北野弘 久 『憲法 と税 財政 』三省堂,1983 年,138 頁。