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Sharetter: Bluetooth電波と顔認識を利用した被写検知に基づく写真共有

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2016-HCI-169 No.7 2016/8/29. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Sharetter: Bluetooth 電波と顔認識を利用した被写検知に基づく写真共有 高田一真†1 渡邊恵太†1 概要: 写真は撮る人−撮られる人(物)の関係で成り立っている.写真を撮られると,自分が写った写真は,撮影した 人の所有するカメラの中に保存される.そのため,被写体となった人は自分が写っている写真であるのにも関わらず, 撮影者からその写真を提供してもらわない限り,その写真を持つことはできない.つまり,写真に写っているのは自 分だが,持っているのは他人であるという所有と肖像の帰属の矛盾が生じる.そこで本研究では,写真に撮られた人 に自分が写っている可能性のある写真を瞬時に通知/共有するシステム Sharetter を提案する.Sharetter では Bluetooth の電波強度と顔認識から,被写体の写り込んでいる可能性を算出し,それを被写率として定義する.その被写率に基 づき,通知や写真の共有を行う.. 1. はじめに 写真は撮る人−撮られる人(物)の関係で成り立っている. 写真を撮られると,自分が写った写真は,撮影した人の所 有するカメラの中に保存される.そのため,被写体となっ た人は自分が写っている写真であるにも関わらず,撮影者 からその写真を共有してもらわない限り,その写真を所有 することはできない. 一般的に特定のグループ内では,撮影者にカジュアルに 写真が欲しいと要求すれば,多くの場合自分自身が写った 写真を手に入れることができる.撮影者から被写体に写真 を共有する手段として,Google Photos や LINE などでネッ トワークを通じて行われることがある.また,撮影した写 真を現像して,被写体に直接渡すこともある.しかし,撮. 図 1 Sharetter のコンセプト : 撮影者が撮影した写真に. 影枚数が膨大な場合や,共有に手間がかかるため,撮影者. 周辺の人物が写り込んでいた場合,その写真は周辺の人に. 自身が強く要求されないと煩わしさから共有されない場合. 共有される. などがある.これらのことから,被写体は写真を撮られて も,写っている写真は撮影者が所有したままになってしま うことがある.. いる. そこで本研究では Sharetter(図 1)を提案する.Sharetter は,. また,被写体が撮影されたことに気づかない場合,被写. 撮影時に周辺の被写体に撮影された可能性があることを瞬. 体は撮影者にその場で要求することができないので,自分. 時に通知/共有するシステムである.本研究では,Bluetooth. が写った写真を所有することができない.さらに,個人の. の電波強度と顔認識から被写体が写真に写り込んでいる可. 顔が特定できるような写真がオンラインで配信されると,. 能性を算出し,それを被写率として定義する.この被写率. 肖像の問題が生じる可能性がある.このような問題を防止. に基づいて,撮影の通知や写真の共有を行う.. するために,スマートフォンではシャッター音を明示的に 鳴らすことで撮影を周知させる仕様となっている.しかし,. 2. Sharetter. シャッター音を消すことができる静音カメラアプリや撮影. Sharetter は撮影者がシャッターボタンを押した瞬間に,. 場所のスマートフォン以外のデジタルカメラでは撮影時に. 撮影した写真はサーバにアップロードされ,BLE(Bluetooth. シャッター音が鳴らないものもあり,撮影したことが周知. Low Energy)を利用して,周囲の被写体に撮影を行ったこと. されないため,撮影に気づかない場合がある.これらのこ. を瞬時に撮影した写真を通知/共有する.被写体の端末は撮. とより,写真は撮影者に権利があるのか,被写体に権利が. 影者から送信された BLE 電波を受け取ると,写真をサーバ. あるのかの問題,写真の所有や肖像の帰属の矛盾が生じて. で参照し,顔認識システムを利用して個人の顔の一致率を 算出した後,その写真における被写率に基づいて瞬時に被. †1 明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科 Department of Frontier Media Science, School of Interdisciplinary Mathematical Science, Meiji University . ⓒ2016 Information Processing Society of Japan. 写体に被写可能性を通知,その写真を表示する.. 1.

(2) Vol.2016-HCI-169 No.7 2016/8/29. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 2.1 被写率. ! = 50 × ' × (/360. 被写率とは,被写体自身がどれくらいの可能性で写り込 んでいるのかを示す値である.被写率の値は,被写体と撮. X: 被写率. 影者との距離と,顔認識システムから算出した個人の顔の. L: 撮影者と被写体の距離. 判別による一致度や顔検出の有無の組合せによって算出す. R: 撮影者の所有するカメラの画角. る.被写率はまず顔認識の顔の一致度で計算し,顔の識別 や検出が困難な場合に,被写体と撮影者との距離を用いて. この場合の写真は,撮影者が風景を撮影している時にその. 計算する.以下,被写体の写り方を以下の 3 種類に整理す. 写真に写り込んでしまった副次的な場合や,表情が極端に. る.. 異なる場合,写真画像の画質や明るさが不鮮明によって個. (A) (B) (C). 被写体本人の顔が識別可能である場合. 人を特定できない場合が想定できる.. 被写体本人の顔は識別不可能だが,写真内に顔が検. (C). 出された場合. 顔認識システムが被写体となっている人物も,人の顔も. 写真内に顔が検出されない場合. 検出できない場合がある.この時被写率は,距離と撮影者. 写真内に顔が検出されない場合. 次に,(A)〜(C)のそれぞれの場合における被写率の算出方. の所有する端末のカメラの画角に依存する.よって,被写. 法を記述する.. 率の一般化した計算式を以下のように定義する.. (A). 被写体本人の顔が識別可能である場合. ! = $ × &/360. 顔認識システムが被写体となっている人物が写っている と識別した場合,被写率の値は,距離に関係なく,顔認識. X: 被写率. システムによって算出した被写体自身の顔の一致率と同値. L: 撮影者と被写体の距離. であると定義する.よって,この場合の被写率の一般化し. R: 撮影者の所有するカメラの画角. た計算式は以下のようになる.. $ ! = + 50 2. この場合の写真は,周囲で風景が撮られた場合,または写 真の中に被写体自身は存在するが,カメラの反対方向を向 いているなど,顔がほぼ見えない状態などが想定できる.. X: 被写率. 2.2 実際の写真における被写率の測定. D: 顔認識システムから算出される,顔の一致率. 2.1 で定義した被写率を用いて,実際に撮影を行い被写. この場合の写真は記念写真や集合写真や,カメラを意識し. パターンで,3 人の被写体をいくつかの状態に分けて撮影. て撮影した正面を向いているような写真が想定できる.. した.また,カメラの画角を 60 度とおき,算出された被写. (B). 率は,小数点第 1 位を四捨五入したものとする.図 3 の写. 率を測定実験を行った.今回の実験の写真は図 2〜図 5 の 4. 被写体本人の顔は識別不可能だが,写真内に顔が検 出された場合. 真を基準として,3 人の被写体を左から順に(イ), (ロ), (ハ). 顔識別システムが被写体となっている人物が写り込んで. とする.実際に測定した被写率を,それぞれの図内の人物. いると判別できないが,誰かの顔は検出できている場合,. 上部に表記する.. 被写率は,顔の有無と撮影者と被写体の間の距離,カメラ の画角を用いて算出する.. 【写真パターン1】. まず,被写体の顔の識別はされないが,顔が検出される ということから,顔の一致率を 50 と仮定する.この 50 と いう値は,顔の一致率の最大値である 100 の半分の値であ り,自分の顔なのか,そうではないかを示した値である. 次に,距離が近いほど写っている可能性が高くなり,遠い ほど写っている可能性は低くなるので,Bluetooth 電波の届 く距離,即ち 0m〜30m の範囲内で 0m を最大値 100%,30m を最小値 0%とおいて,仮定した顔の一致率 50 に掛け算す る.さらに,端末のカメラの画角を R と仮定すると,撮影 者の撮影する範囲に被写体が含まれる確率は R/360 となる ので,さらにこれを掛け算する.よって,この場合の被写. 図 2 被写体全員が同じ地点に立った場合の写真. 率の一般化した計算式を以下のように定義する. 図 2 の写真は,被写体である 3 人が撮影者から 1.5m 離. ⓒ2016 Information Processing Society of Japan. 2.

(3) Vol.2016-HCI-169 No.7 2016/8/29. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report れた地点で正面を向いている状態で撮影したものである.. り被写率が算出される.以上より,この写真における 3 人. ここでは,特定のグループ内での集合写真の様な状況を想. の被写率は図 4 のようになった.. 定した.この時,被写体全員の顔が識別可能だったので,. 【写真パターン 4】. 2.1 の(A)より,被写率は顔の識別率と同値になる.以上よ り,3 人の被写率は図 2 のようになった. 【写真パターン 2】. 図 5 図 6 の各領域の最大地点に被写体が立った時の写真 図 5 の写真では,図 2 の電波強度の届く範囲と顔の識別 図 3 被写体がそれぞれ別の地点に立った場合の写真. 可能性をもとに,各領域の最大地点に被写体に立ってもら い,撮影を行った.30m 地点に立った被写体(イ)と,15m. 図 3 の写真では 3 人の被写体は正面を向いているが,撮. 地点に立った被写体(ロ)は,顔が識別されなかったので,. 影者と被写体の距離がそれぞれ違う地点で撮影を行った.. 2.1 の(C)より被写率は算出され,一番手前の 1.5m 地点の被. この場合,手前の 2 人の被写体(イ)と(ロ)は顔の識別が可能. 写体(ハ)は顔の識別が可能だったので,2.1 の(A)より被写. だったので,被写率は 2.1 の(A)より,識別率と同値になる.. 率は算出された.以上より,3 人の被写率は図 5 のように. しかし,最も奥の 4.5m 地点に立っている(ハ)の被写体は顔. なる.. の識別も検出もされなかった.つまり,被写体(ハ)には 2.1. 以上 4 つの写真パターンの結果より,撮影者と被写体の. の(C)より,被写率が算出される.以上より,3 人の被写率. 距離と,顔の識別可能性を示した図を作成した(図 6).. は図 3 のようになった. 【写真パターン 3】. 図 4 2 人の被写体は同じ地点で正面を向いており,もう 1 人はその後ろを横切っている写真 図 4 の写真では,2 人の被写体(ロ)と(ハ)が 1.5m の地点. 図 6 撮影者との距離から考えられる顔の識別可能性と. で正面を向いており,もう 1 人の奥の被写体(イ)は,主体. BLE 電波の範囲. となる被写体(ロ)と(ハ)の後ろを横切って,副次的に写り込 んでしまったという状態を想定して撮影した写真である. 被写体(イ)と撮影者の距離は,3.0m である.正面を向いて いる被写体(ロ)と(ハ)は,顔の識別が可能だったので,被写. 2.3 利用方法と仕組み Sharetter は AndroidOS 上で動くアプリケーションである. 端末にインストールし,起動すると使用可能になる.被写. 率は 2.1 の(A)より算出され,奥を歩いている被写体(イ)は. 通知を受けるユーザも,撮影するユーザも Sharetter をイン. 顔が識別されないかつ,検出もされないので,2.1 の(C)よ. ストールする必要がある.. ⓒ2016 Information Processing Society of Japan. 3.

(4) Vol.2016-HCI-169 No.7 2016/8/29. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report アプリケーションを起動すると,図 7 のようにそれまで 周囲で撮影された写真とユーザの被写率の履歴が表示され る.図3の画面左下の人物のアイコンをタッチすると,端 末の写真フォルダが開かれるので,ユーザは登録したい顔 が写っている画像を選択する.そうすると,ユーザの顔情 報が登録される. 画面中央下のカメラのアイコンをタッチすると,カメラ が起動する.カメラを起動して画面をタッチすると,写真 が撮影され,その写真は端末のアルバムへ保存されると同 時に,Web サーバにアップロードされる.そして,アップ ロードされた写真の ID を Web サーバから受け取り,BLE の電波が届く周辺のユーザ全員に送信する. 2.4 実装方法 Sharetter は AndroidOS バージョン 5.0 以上で,BLE に対. 応した端末で動作する.BLE には,周囲をスキャンして電 波を受信する Central モードと,電波を発信する Peripheral モードがある.Sharetter ではユーザがカメラのシャッター. 図 7 周囲で撮られた写真と,被写率の表示. ボタンを押した瞬間に Peripheral モードに切り替わり,撮 影したことと,写真のユニーク ID の情報を周囲の Central. り,被写率は低くなるので被写可能性通知は目的通り利用. モードの端末に Advertise(送信)する.Advertise する情報. できる.図 5 における被写体(イ)と(ロ)についても,この 2. には標準化された 128bit 形式の文字列 ID である UUID と,. 人の被写体は正面を向いているのにも関わらず,撮影者か. 電波強度の値である RSSI,12 文字以下の文字情報を入れ. らの距離が大きく離れているため,顔認識システムで識別. ることが可能である.スマートフォンに搭載された BLE は,. も共有も行われず,被写率は低くなるので被写可能性通知. この電波を利用した UUID 及び電波強度の取得が可能であ. は目的通り利用できる.. り,何かに近づいたらお知らせをプッシュ通知するなどの. ここで問題となるのは,図 3 の被写体(ハ)の被写率の値. ビーコンとして利用されることがある.Sharetter では撮影. である.図 3 の被写体(ハ)は,顔が正面を向いているにも. した写真をアップロードした際に,それぞれの画像に対し. 関わらず,顔認識システムによる顔の識別も検出もされな. て 12 文字以下のユニークな ID が発行されるようにした.. いので,被写率が低い値となっている.考えられる原因と. このユニーク ID を受け取った撮影者の端末は,周囲の. して,写真に写っている顔が小さすぎて顔のパーツが読み. Central モードの端末に Advertise する.BLE を受信した端. 取れないことがあげられる.そのため,実際には人の目で. 末は,RSSI からおおよその距離を算出し,送られてきた ID. 個人の識別が可能なのに,被写率が低いという矛盾が起き. の画像をサーバで参照して自分自身の情報をチェックし,. ている.ユーザが,被写率が低い場合は写真を共有しない. 通知の提示を行う.. などの閾値を設定している場合は,本来なら所有したい写. 今回の試作では写真のアップロードや保存,写真の顔検. 真なのにそれができない可能性がある.また,今回の実験. 出や識別を行うサーバをサーバサイド JavaScript である. の撮影は全て明るい場所での撮影だが,暗い場所での撮影. Node.js で構築し,Android アプリケーションは Java で開発. や,逆光状態の写真や登録した顔の表情と違った表情での. した.顔認識システムは NTT docomo の API[11]を利用した.. 撮影などでは,人の目では個人の顔の識別などが行えても,. 3. 考察. 顔認識システムが識別も検出も行えない場合も同様の問題 が生じると考えられる.また,撮影端末ごとの解像度やズ. 3.1 被写率の正確性. ーム率にも同様のことが言える. その場合は,解像度やズ. 今回の実験において算出された被写率についての考察を. ーム率も被写率の計算に入れることも検討する.. 行う.図 2 のように,顔が正面を向いていて,撮影者との. 3.2 共有されることになる写真の性質. 距離が近い場合には高い確率で被写体の顔識別が行われ,. Sharetter の導入によって写真の共有という課題において. 被写率も高い値となるので,自分が写っているという被写. より速く,簡単になる.これによりイベント後に写真の共. 可能性通知は目的通り利用できる.また,図 4 の被写体(イ). 有について友人に求める必要がなくなる.一方で被写率の. の被写率や,図 5 の被写体(イ)と(ロ)の被写率も正しいと言. 正確性の問題から,被写率による共有の閾値を下げる使い. える.図 4 の被写体(イ)は顔が完全に横を向いているため,. 方をする可能性が出てくる.その場合,自分自身が写り込. 顔認識システムによる顔の識別も検出も行われない.つま. んでいない写真も多く共有されてしまう可能性がある.た. ⓒ2016 Information Processing Society of Japan. 4.

(5) Vol.2016-HCI-169 No.7 2016/8/29. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report だし,いずれの写真も電波強度の関係から半径 30m 以内の. 自動共有されることを知っている撮影者は,積極的に他者. 写真である.写真の共有の仕方についての課題と解決策に. を撮影し,写真を共有する文化も生まれるかもしれない.. ついては次章の議論で詳しく述べる.. これらの設計と共有は.プライバシー性よりもエンターテ. 4. 議論. イメント性の高いものと捉えられる. 4.1.2 写真共有のプライバシー性を重視した設計. Sharetter により,被写率に基づき撮影者の周辺にいる人. 一方この課題をネガティブに捉えると,友人と撮った写. 物に写真を即座に共有できるようになる.自分自身が写り. 真が近くの見知らぬ人にも共有され,被写体が欲しくない. 込んでいる写真は得られる仕組みが実現できる.一方で被. 写真も共有されてしまうため,写真の不正利用などによる. 写率の算出値によって共有に望ましくない写真を共有して. プライバシー侵害と流出の問題が考えられる.例えば,個. しまうことや,共有が望ましかった写真が共有されないこ. 人の家での撮影が周辺の他の住宅にも写真が通知されてし. とが起こる.ここでは共有に望ましい写真だけを適切に共. まう問題があげられる.ただし,この問題は被写通知の設. 有する方法や解決策について先行研究を踏まえて議論する.. 定で,顔認識システムから算出される結果において,自分 の顔が含まれていない場合や,撮影者と被写体の距離が一. 4.1 即時的な写真共有について. 定上離れている場合などは通知しないという閾値をユーザ. 現在の Sharetter の設計では,BLE の電波の届く範囲のユ. が設定すれば,通知を不可にできる.また,屋内で撮影し. ーザ全員に写真を送信する仕組みになっている.依田らの. た場合は,周辺の住宅に通知が届くまで,電波が減衰する. 提案[1]では音を使用してグループを作成し,その場限りで. 可能性が高い.この場合,被写率が低くなるので,これも. の写真共有の手法を提案しているが,この方法だとグルー. 被写通知の設定で通知を不可にできる.また,発信した. プ作成までに時間がかかり,写真に写り込んでいるグルー. BLE の電波の減衰によって,通知自体が届かない場合も考. プ外の被写体に写真の共有はできない.Sharetter は特定の. えられる.TwiPhoto[4]では Twitter を利用して写真共有とコ. グループ内である場合でも,瞬時に写真が共有できるため,. ミュニケーションを同時に行っているが,Twitter は特定の. 写真を後で送ってもらうなどの手間が省ける.また,副次. 友人間だけでなく,不特定多数の見知らぬ人ともコミュニ. 的に写真に写り込んでしまった被写体にも写真が共有され. ケーションが可能なので,プライバシーの問題が懸念され. るので,冒頭で述べた写真共有の課題は解決する.しかし,. ることなどが考えられる.. 課題となるのは撮影された可能性を通知するという目的の. これらの解決方法として,例えば,白鷹らの共有写真選. ため,自分以外の見知らぬ人が写り込んでいる写真や,欲. 択支援システム[10]では,写真を 3 種類に分けることで,. しくない写真も共有される点である.. 共有するべき写真を選択するシステムを提案している.こ. 4.1.1 写真共有のエンターテイメント性を重視した設計. れらはエンターテイメント性よりもプライバシー性の高い. 4.1 の課題をポジティブに捉えれば,周辺でどのような. ものとして捉えられる.. 写真が撮影されているかがわかるため,白井らのジオタグ. 以上より,個人情報の侵害と流出の問題は,Sharetter に. 付き写真を用いたホットスポット分類[6]や,西脇らの写真. おける被写通知の程度をユーザ自身が設定する,もしくは. 共有サイトを用いた穴場スポットの抽出[7]のように,観光. 前提として開示制御をすることによって解決する可能性は. への応用やリアルタイムに周辺で起きていることを把握で. ある.. きる面白さもあると考えられる.. 4.2 写り込んだ場合の対応. また,自分が写っていない写真を共有された場合におい. 冒頭で述べた通り,現在はシャッター音を鳴らすことで. ては,自分の周囲30mの写真なので、そこでおきている. 撮影を周知している.つまり,シャッター音が被写可能性. 状況のコンテクストになるため,自分が写っていなかった. を提示していた.しかし,シャッター音だけでは撮られた. としても価値があるということを踏まえると,写真を利用. のか撮られていないのかはその状況をよく判断しなければ. したコミュニケーションも考えられる.例えば,市村らの. わからない.また,写ったか写っていないかの懸念も生じ. 提案するフォトフレームシステムTwiPhoto[4]や,角らの. てしまうし,見知らぬ人に撮影した写真を見せてもらうと. PhotoChat[8]は,撮影した写真を共有することで,ユーザ同. いうことも困難である.これらの問題は,Sharetter の導入. 士のコミュニケーションを支援する提案をしている.. によってシャッター音が不要になるため,静かな場所での. これらを踏まえて,Sharetter では撮影地点を中心とした. 撮影が可能になることや,その場で撮影された写真が共有. 約半径 30m の円の内部という範囲を考え,特定区域内での. されるため,どんな写真が撮られたのかも被写体となった. ネットワークにおける写真の共有コミュニケーションなど. 可能性のある人は確認ができる.. も考えられる.また,ある撮影者が撮り逃した写真が共有. 問題は被写通知が届き,本当は写りたくなかったのに写. される可能性もあり,撮影者の撮り逃しということもなく. り込んでしまった場合や,被写体が望んでいない写真の通. なると考えられる.さらに,他者が映るとその人に写真が. 知/共有などの対応である.ただし,これらの問題はユーザ. ⓒ2016 Information Processing Society of Japan. 5.

(6) Vol.2016-HCI-169 No.7 2016/8/29. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report の個人の使用ライセンスの発行や,写真の受信制限,保存 制限などを実装すれば,通知の不可や共有の制限が可能に. [6]. なる.また,自分が写り込んでいる可能性のある写真以外 は通知,提示しないという実装や Web サーバへの写真の削 除要求,写り込んでいる顔のモザイク処理や自分が写らな. [7] [8]. いようなトリミング処理の要求の対応などで解決できる可 能性はある.例えば,小西らの提案[9]では,被写体と閲覧 者の親密度をカレンダー情報から推定し,写真の開示制御. [9]. を行っている.また,山田らのプライバシーバイザーの提 案[5]は撮影時のみ,人の視覚に違和感を与えずに,被写体 の同定を不能にする方式のウェアラブルデバイスでプライ. [10]. バシーの流出を防止することを提案している.同様の手法 を取ることが可能な研究として,人物の位置情報の取得手 法として,赤外線の機構を身体に装着し,特定人物の位置 を 識 別 し な が ら ID 情 報 が 読 み 取 る こ と が 可 能 に な る Balloon Tag の研究があげられる[2].これの応用として,被. [11]. Symposium 2012 白井元浩, 廣田雅春, 横山昌平, 石川博. ジオタグ付き写真を 用いたホットスポットの分類とランドマークの形状抽出手法. DEIM Forum 2013 D8-1 西脇達也, 北山大輔. 写真共有サイトを用いた穴場スポット の抽出. DEIM Forum 2015, pp, 4-5 角康之, 伊藤惇, 西田豊明. PhotoChat: 写真と書き込みの共 有によるコミュニケーション支援システム. 情報処理学会論 文誌 Vol49, No.6, 2008 小西葉月, 白鷹靖子, 小松知世, 長竹祐美子, 小舘亮之, 茂木 学, 深山篤, 下村道夫. 被写体と閲覧者の親密度を考慮した 写真共有サービスにおける開示制御の提案. 電子情報通信学 会, 信学技報, LOIS2012-73(2013-3) 白鷹靖子, 小西葉月, 小松知世, 長竹祐美子, 小舘亮之, 茂木 学, 深山篤, 下村道夫. 写真共有サービスにおける共有写真 選択支援システムの提案. 電子情報通信学会, 信学技報 LOIS2012-74(2013-3) “NTT docomo Developer support 画像認識(顔,オブジェクト認 識)【Powered by PUX】”. https://dev.smt.docomo.ne.jp/?p=common_page&p_name=pux_fac eauthentication, (参照 2016-08-08).. 写体自身から撮られたくないという情報を発信することが 可能であると考えられる. これらの対応や実装次第で Sharetter を社会での利用を広 めようとした際に重要な設計のポイントになると考えられ, 今後の課題である.. 5. おわりに 本研究では写真の所有や肖像の帰属の矛盾に対し,周辺 の被写体に写真を瞬時に被写通知,共有することを可能に するシステム Sharetter を提案,試作した.被写率という値 の定義により,撮影された可能性を知ることによる写真の 扱い方や応用性,実際の写真の被写率について考察と議論 を行った.今後は被写率の算出に補正をかける検討をする と共に,撮影されたという感覚の出現や,被写通知された 後の新たなインタラクション設計などについて考えていき たい. 謝辞. 本研究を進めるにあたり,度重なる議論と,多く. の実験に協力してくれた同輩と渡邊研究室の皆様に感謝し ます.. 参考文献 [1]. [2]. [3] [4]. [5]. 依田みなみ, 高松有紀, 羽田久一. アドホックなコミュニテ ィのための写真共有の手法. エンターテイメントコンピュー ティングシンポジウム論文集 2013, p. 3-8. 青木恒. カメラで読み取る赤外線タグとその応用. インタラ クティブシステムとソフトウェア VIII, 近代科学社, 2000, p. 131-136 高田一真, 渡邊恵太. Sharetter: Bluetooth 電波を利用した被写 検知の検討と試作. インタラクション 2016 市村哲, 福島敏行, 梁超. 写真共有と Twitter 投稿によるコミ ュニケーションが可能なデジタルフォトフレーム. 情報処理 学会研究報告, 山田隆行, 合志清一, 越前功. カメラによる写り込みを防止 するプライバシーバイザーの提案. Computer Security. ⓒ2016 Information Processing Society of Japan. 6.

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図 1  Sharetter のコンセプト  :  撮影者が撮影した写真に 周辺の人物が写り込んでいた場合,その写真は周辺の人に 共有される  いる.  そこで本研究では Sharetter( 図 1) を提案する. Sharetter は, 撮影時に周辺の被写体に撮影された可能性があることを瞬 時に通知 / 共有するシステムである.本研究では, Bluetooth の電波強度と顔認識から被写体が写真に写り込んでいる可 能性を算出し,それを被写率として定義する.この被写率 に基づいて,撮影の通知や写真の共有

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