• 検索結果がありません。

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート : -カザフスタン及びウズベキスタンを中心として- 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート : -カザフスタン及びウズベキスタンを中心として- 利用統計を見る"

Copied!
45
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート

:

-カザフスタン及びウズベキスタンを中心として-著者名(日)

笠原 俊宏

雑誌名

東洋法学

45

1

ページ

77-120

発行年

2001-09-01

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000409/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート

カザフスタン及びウズベキスタンを中心として

東洋法学

一 二 三 四 五 ︵参考資料一︶ ︵参考資料二︶ ︵参考資料三︶ 目  次 緒言 中央アジア諸国の国際私法立法の概観 カザフスタン国際私法の内容及び特徴 ウズベキスタン国際私法の内容及び特徴 結語     カザフスタン民法典中の国際私法規定     カザフスタン家族法典中の国際私法規定     ウズベキスタン民法典中の国際私法規定

(3)

78 中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 緒 言  ソビエト連邦の消滅後、確たる求心力を失った旧連邦諸国が、急激な政治的、経済的改革を背景としていかな る法体系を構築しようとしているかは、兼ねてより注目されてきたところであるが、その現状について詳細な情 報を入手することは必ずしも容易なことではない。国際私法立法の分野における改革に限定してみても、現在の 段階において、包括的な実定国際私法について知ることができたのは、僅かに、ロシア連邦︵拙稿﹁ロシア国際私 法の改正とその特質について﹂比較法三五号一三九頁以下︶、エストニア共和国︵拙稿﹁外国国際私法立法に関する研究 ノート㈲   エストニアの国際私法規定︵一九九四年︶ー﹂国際研究論叢︵大阪国際大学紀要︶二巻四号八七頁以下︶、 リトワニア共和国︵拙稿﹁外国国際私法立法に関する研究ノートω  リトワニア民法典︵一九六五年︶および婚姻・ 家族法典︵一九七〇年︶中の国際私法規定  ﹂国際研究論叢︵大阪国際大学紀要︶一二巻丁二号合併号一〇七頁以下︶、 ベラルーシ共和国︵拙稿﹁外国国際私法立法に関する研究ノート⑩  ベラルーシ民法典中の国際私法規定︵一九九九 年︶ー﹂国際研究論叢︵大阪国際大学紀要︶一四巻四号六五頁以下︶のそれに限られる。その他、ウクライナ国際私 法についても、包括的な新立法草案が用意されていることが知られている︵罫琴切oひq・拐冨お貫9辞鼻ぎけ雫 墨け一〇墨一冨くひ窪寄ω巴。gαきω一Φω雲霞Φω国鼻ω旨ΦB酵①ωα巴鋤O田窪ωΦ巨α仁図ζ。ω一α。一ρ一2筥巴3辞o凶け 巨①旨呂8巴這8も。島9さらに、拙稿・前掲国際研究論叢一四巻四号七九頁注③参照︶。ヨーロッパに位置する上述の 諸国に対して、同じく旧ソビエト連邦諸国ないし独立国家共同体の中でも、中央アジア諸国の国際私法の全体像

(4)

については、これまで殆ど知られることがなかった。しかし、近時、カザフスタン及びウズベキスタンを始めと して、徐々にそれらの諸国の国際私法立法に関する情報に接する機会が拡大しているように見られる。通例、中 央アジア諸国としては、上記の両国のほか、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの諸共和国が挙げ られるが、ここにおいては、それらの国々に加えて、グルジア、アゼルバイジャン、アルメニア等、コーカサス 地方の諸国についても、何らかの情報が得られたその国際私法立法に関し、若干の言及とともに比較法的考察を 試みようとするのがこの小稿である。 二 中央アジア諸国の国際私法立法の概観

東洋法学

 旧ソビエト連邦諸国における政治的・経済的変動が国際私法の改革に及ぼした重要な影響の結果として方向付 けられたのが国際化であることは、改めて指摘するまでもないであろう。その促進が国際的・地域的条約の締結 や立法モデルの採択によって行なわれるのが一般的であるが、その点については、ロシア連邦及びその他の独立 国家共同体諸国についても例外ではない。そして、従来通り、そこにおける中心的役割を演じているのがロシア 連邦にほかならない。国際化の法的根拠として、ロシア連邦の新憲法︵一九九三年︶第一五条第四項は次のよう に謳っている。すなわち、﹁国際法及びロシア連邦の国際条約によって広く認められた原則及び法規は、その法体 系の不可欠な一部を構成する。ロシア連邦のいずれかの国際条約が法律によって定められている規則とは別のそ れを定めるときは、適用されるのは国際条約上の規則である。﹂とするのがそれである︵なお、樋口陽一“吉田善明

(5)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 編﹃解説世界憲法集︵第四版︶﹄︵三省堂、二〇〇一年︶三五五頁︵新美治一︶、阿部照哉H畑博行編﹃世界の憲法集︵第二 版︶﹄︵有信堂、一九九八年︶四四四頁︵宮地芳範︶参照︶。そのような立場はロシア連邦の立法機関において採られて いるとともに、ロシア憲法裁判所もまた、一九九五年七月三一日判決において、国際法及び国際条約上の原則及 び法規がとくに国内立法によって誠実に遵守されるべきことを強調している︵ω○讐5冨拐貫8●鼻。”つ島。9 ωξダ︶。国際法規の優先に関するこのような規定は独立国家共同体諸国の憲法においても見ることができる。例え ば、アルメニア、グルジア、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ウクライナ等の国々の憲法がそ れである。それらの中、国際法及び国際条約上の法規が国内立法の一部を成すことを明言しているのがアルメニ ア憲法第六条及びウクライナ憲法第九条であり、また、それらの法規が直接的な効力を有することを明言してい るのがカザフスタン憲法第四条及びキルギスタン憲法第一二条である︵国畠○拐ご誘軍8.簿。も蕊一参照︶。  独立国家共同体諸国における国際私法関連立法として、現在、とりわけ重要な役割を果たしているのは一連の 地域的条約である。それとして、アルメニア、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタン、 トルクメニスタン、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバの諸共和国によって署名ないし批准されている 一九九三年一月二二日の﹁司法共助並びに民事的、家族的及び刑事的法律関係に関する独立国家共同体条約﹂の ほか、それらの諸国間の二国間条約がある︵ωo讐拐一麩ω貫・P魯.も。島ω●る・覧きo奉”い、騨簿碧9Φこ巴巴甜巨畳9 歪ω器窪日畳酵Φ8魯9叶巨Φ旨呂8巴冥ぞρ襯く器R筐2①8辞9江導Φ旨畳8巴蜜一議一8刈もμωε。一方、国際 的条約として、一九八○年の﹁国際物品売買契約に関する国連条約﹂︵ウィーン条約︶、海外投資の保護に関する 80

(6)

東洋法学

一九八五年の﹁ソウル条約﹂及び一九六五年の﹁ワシントン条約﹂、一連の﹁工業所有権の保護に関する基本的合 意﹂︵パリ条約、マドリッド条約、特許協力条約︶が挙げられるほか、グルジアやベラルーシは﹁文学的及び美術 的著作物の保護に関するベルヌ条約﹂に加盟しており、また、一九五八年の﹁外国仲裁判断の承認及び執行に関 するニューヨーク条約﹂には、殆ど全ての独立国家共同体諸国が加盟している︵ω。讐琶麩ω貫β鼻.も.島㎝参照︶。 しかし、ハーグ国際私法条約は、ロシア、ベラルーシ、アルメニア等において発効している一九五四年の﹁民事 手続問題に関する条約﹂及び一九六一年の﹁外国公文書の認証を不要とする条約﹂を除き、独立国家共同体諸国 においては行なわれていない。しかし、今後、人権問題との関連における新しい取り組みにより、とくに家族の 権利に関するハーグ条約への独立国家共同体諸国の加盟が促進されるものと見られているが、すでに、一九九三 年五月二九日の﹁子の保護及び国際養子縁組に関する協力に関するハーグ条約﹂への参加がロシアによって表明 されている︵閃o碧霧ξ誘貫8乙霊︶P蕊9。  他方、国内立法についていえば、国際私法をも含め、その重要な役割を果たしているのが独立国家共同体汎加 盟国議会立法委員会によって作成された一連の﹁法律モデル﹂︵巨ω白a皿8︶である。それらについては、独立 国家共同体加盟国における採用が勧告されているが、その筆頭として挙げられるのが、一九九五年から一九九六 年に架けて同委員会によって採択された﹁民法典モデル﹂であり、その第三部の最終章﹁国際私法﹂が抵触規定 をもって構成されている︵切o碧霧σ誘貫8乙答堕p島8。同章を殆ど修正することなく採用しているのがウズベ キスタン共和国民法典︵参考資料三︶及びアルメニア共和国民法典である。また、より近時においては、ベラルー

(7)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート シ共和国民法典がそれに則っている︵拙稿・前掲国際研究論叢一四巻四号七〇頁以下︶。兼ねてより、その施行が待た れているロシア連邦民法典第三部︵一九九六年一一月三〇日ロシィスカヤ紙︶及びウクライナ民法典草案は、右 ﹁民法典モデル﹂と相違する一連の規定をも有するが、それらに対する同モデルの影響を否定することはできない ︵ω○閃2ω一零ω民”oPo霊”P島巳。  次に、﹁民法典モデル﹂の内容についてである。旧ソビエト連邦においては、伝統的に国際私法規定は個々の 法典︵民法典、家族法典、民事訴訟法典等︶の中に置かれていた。﹁民法典モデル﹂が採用しているのもこの形態 である。ウズベキスタン、アルメニア等が採択した新民法典及びカザフスタン民法典草案においても、同モデル の法規がそのような形で導入されている。カザフスタンの現行国際私法規定及びウズベキスタン新民法典中の国 際私法規定については章を改めて論及することとし、ここにおいて一九九五年のアルメニア民法典第一二章﹁国 際私法﹂︵第一二五三条乃至第一二九二条︶についてのみ極く簡単に言及すれば、同法典第八○節が総則規定を置 いて、アルメニア国際私法にとっては初めて、性質決定、強行法規の適用、公序条項、反致に関して定めており、 また、同法典第八一節が重要な抵触規則を置いている︵団○碧窃冨拐貫8﹄霊”戸島G 。9誓室︶。因みに、一九七〇 年四月一日のモルドバ婚姻・家族法典は未だ全面的な改正は実施されていないが、その中の国際私法規定︵第一 九一条乃至第二〇三条︶もまた、国際養子縁組に関する規定につき、一九九二年八月四日の法律によって修正︵追 加︶されている︵守お旨きミ男包ρヲ鼠旨蝕9巴8田Φ己且困且ωo冨詩おo拝寓o箆磐しN蒔臣臥R巨堕ψ一ε。  それに対して、グルジア及びアゼルバイジャンは別の形態を採用している。すなわち、前者はすでに七三箇条 82

(8)

に亘る国際私法規則及び国際民事訴訟法規則の単独法︵国際私法規則に関する一九九八年五月二〇日法律︶を同 年一〇月一日から施行させており︵評茜Bきミ閃包9鉾騨ρOΦ○茜δp︶H。 。Pご9R§堕ω、嵩律︶、また、一方、後者 も一九九八年六月一七日草案において同様の立場を採っており、国際私法規定の個々の法典への分散という形態 は採られていない。将来における法律の適用の単純化、及び、とくに労働法の分野における抵触規則の欠敏の補 充の容易化が、そのような立場の長所として指摘されている︵ωo碧5一雲ω貫8●9.も●島ε。 三 カザフスタン国際私法の内容及び特徴

東洋法学

 カザフスタン国際私法として、まず、同国民法典中の国際私法規定︵第五五八条乃至第五六五条︶についてで ある。これは一九六一年二一月八日の﹁ソビエト社会主義連邦及び連邦諸共和国の民事及び民事手続立法の基本 原則﹂︵一九七七年五月一六日改正︶を基礎とするものであり、一九九二年一月一日からソビエト連邦諸共和国を 拘束することになっていた一九九一年五月三一日の﹁ソビエト社会主義連邦及び連邦諸共和国の民事立法の基本 原則﹂︵匡.罫ωo讐ωσ妻ω互讐︾二ω費冨一ε鑛器qR囚o∈ω一8旨9ヨ①巳昌αRω〇三Φ9旨8§島づα窪匡一邑一Φ房$讐8血R Oごω︸勺轟圏ωα8営8琶簿δ昌巴窪ギぞ簿と呂くR壁ぼ①霧お畠房︵以下、弓勾震として引用︶お8あ●お一中︶は、一九九 一年一二月二六日のソビエト連邦の崩壊のためカザフスタンにおいては行なわれていない︵︾薯色ω鼠唇戸N員 国昇&O匹⋮鵬8ωN亀邑O湯−仁且ぎ冨ヨ魯9巴窪曽色冥O器辱8辟ωαΦ吋国8昌穿囚器碧房$P弓即畏這鐸ψ呂ご。ま た、一九六九年八月六日のカザフスタン婚姻・家族法典︵一九七〇年一月一日施行︶中の国際私法規定は、同法

(9)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 典第一八二条乃至一九一条であるが、それらは一九九三年一〇月二二日に部分的に改正されている。  まず、カザフスタン国際私法上、外国法の適用の制限に関する民法典第五六四条及び婚姻・家族法典第一九一 条第一項を除き、総論規定が欠けていることが指摘されるべきであろう。また、その各論規定の多くは、カザフ スタン法が適用されるべき場合について定めた一方的抵触規定であり、あるいは、その民法典第八条に見られる ように、一部の規定はソビエト連邦に属する諸共和国間における法律の適用関係について定めたものである。な お、カザフスタン民法典中の基本的な抵触規定としては、次のようないくつかのものが指摘されるべきであろう。 すなわち、契約における当事者自治を原則として、締結地法の適用を補則とし︵第五六二条第一項参照︶、物権に ついては物の所在地法に依るとしながら︵第五六二条の三第一項︶、運送中の物については発送地国法に依り︵第 五六二条第三項︶、不法行為については原因事実発生地法に依るとしながら、当事者双方がソビエト人であるとき はソビエト法に依り︵第五六二条の四第一項及び第二項︶、相続については被相続人の最後の常居所地法に依る︵第 五六三条第一項︶とする諸規定がそれらである。  一方、カザフスタン婚姻・家族法典中の抵触規定に見られる一方主義は、その民法典中のそれに比して更に徹 底されている。カザフスタンにおける婚姻締結、夫婦間の関係、親子間の関係、養子縁組、父子関係の確定、扶 養料の請求、後見及び保佐、婚姻の解消、並びに、身分登録につき、カザフスタン法に依るべきことを定める同 法典第八条は、カザフスタン法の立場を余すところなく物語っているといっても過言ではないであろう。なお、 外国人によるカザフスタン国籍の子の養子縁組は、すでに一九九三年一〇月二二日の改正法によって許されてい 84

(10)

るところであるが、一九九八年一二月には、それに関する規定がさらに充実されている αξ3>霧鼠巳oおU霧禦き号鐙Bけ80どψHN9参照︶。 四 ウズベキスタン国際私法の内容及び特徴

東洋法学

 ウズベキスタン共和国国会︵○露匡鶴臣ω︶によって一九九五年二一月二一日及び一九九六年八月二九日の民法 典︵一九九六年一二月二七日修正、一九九七年三月一日発効︶が採択される以前、同国において施行されていた のは、一九六一年一二月八日の﹁ソビエト社会主義連邦及び連邦諸共和国の民事及び民事手続立法の基本原則﹂ ︵一九七七年五月一六日改正︶を全面的に模倣した一九六三年三月二三日のウズベキスタン民法典であった︵毒.中 ω9一9Ω<臣9紆亀夢Φ勾8昏浮d呂Φζω貫P一。。刈も嵐・︶。しかし、一九九一年の﹁ソビエト社会主義連邦及び連 邦諸共和国の民事立法の基本原則﹂については、ウズベキスタンは、カザフスタン及びロシア連邦に追随するこ とはなく、むしろ、一連の個別の独立した法律によって代替し、法体系の増補を図っていた︵ゆ邑Φこげ耳︶。ウズ ベキスタンのその新しい民法典は、独立国家共同体加盟国による最初のものであり、大幅に﹁民法典モデル﹂に 依拠したものではあるが、多くの点において同モデルと一致するものではない。家族法は別個の法典の対象とし て、民法典においては触れられていないが、次に述べるように、国際私法についてはかなり詳細に規定されてい る︵︼罫江9蕎阜︶。  ウズベキスタン国際私法の法源として、民法典第二編第六章﹁民事法関係への国際私法規定の適用﹂が第七〇

(11)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 節において﹁総則規定﹂について規定し、また、第七一節において﹁抵触規定﹂について規定している。まず、 前者について、その内容を個別的に列挙するならば、渉外的民事法関係の準拠法の決定に関する基本原則︵第一 一五八条︶、法律関係の性質決定︵第二五九条︶、外国法の内容の確定︵第一一六〇条︶、狭義の反致及び転致︵第 一一六一条︶、法律回避︵第一一六二条︶、相互主義︵第一一六三条︶、公序︵第一一六四条︶、強行規定の適用︵第 二六五条︶、多数法国法の適用︵第二六六条︶、外国人の権利の報復的制限︵第こ六七条︶等がそれである. 次いで、後者についていえば、人事︵第一一六八条乃至第一一七八条︶、知的所有権︵第一一七九条及び第一一八 ○条︶、取引の方式︵第一一八一条︶、代理権︵第一一八二条︶、出訴期限︵第一一八三条︶、物権︵第一一八四条 乃至第二八八条︶、契約債務︵第二八九条乃至第二九二条︶、契約外債務︵第二九三条乃至第二九六条︶、 相続︵第一一九七条乃至第一一九九条︶がそれらの諸規定である。前述のように、婚姻及び親子関係等に関する 国際私法規定は民法典には含まれていない。それは婚姻及び家族法典に含まれているものと推察されるが、その 現行実定法規に関する情報は得られていない。  まず、総論規定の特徴についていえば、それらの規定の内容はベラルーシ民法典中の国際私法規定のそれらと ほぼ一致するものであり、従って、同国法に関する言及︵拙稿・前掲国際研究論叢一四巻四号六七頁以下︶はほぼそ のままウズベキスタン国際私法の総論規定についても通用するであろう。それらの中にあって、強行法規の適用 に関する第一一六五条が、ベラルーシ法よりも一早く、いわゆる﹁強行法規特別連結の理論﹂の立場をより明確 に表明していた点は注目されるべきであろう。すなわち、同条第一項がウズベキスタン法上の強行法規の適用の 86

(12)

東洋法学

優先を規定するとともに、同条第二項においては、当面の法律関係と密接な関連性を有するいずれかの国の法律 に従い、同国の強行法規が適用されなければならないときは、準拠法如何に拘わらず、﹁裁判所はかような法規の 指定及び性質並びにその適用の結果をも考慮して﹂それを適用することができることが定められている。このよ うな総合的な判断が求められていることの趣旨は、本来適用されるべき法を排除してまで特別連結することが、 弱者保護等の一定の現代的理念に基づいていることの確認を求めていることにあると思われる。なお、反致に関 する第一一六一条第一項は、原則として、外国法の指定が外国実質法の指定であることを明言しているが、同条 第二項は、いくつかの抵触規定による外国法の指定の場合には、狭義の反致のみならず、転致をも認めている。 それらは属人法が適用されるべき場合について定めた規定であり、その意味においては、法例第三二条本文が反 致の考慮を本国法が適用される場合のみに限定しているのと同様である。従って、ウズベキスタン国際私法上、 反致が考慮されなければならない場合は比較的に多いと見るべきであろう。しかも、それに該当する場合には、 前述のように、狭義の反致だけではなく、転致をも考慮しようとする点にウズベキスタン法上の立場の特徴があ る。その他、当事者意思の明示の要請︵第一一五八条第二項参照︶、補充的連結における蜜接関連性の原則︵同条第 三項参照︶、性質決定における法廷地法主義︵第一一五九条第一項参照︶、法律回避による連結の無効︵第二六二条 参照︶、公序による外国法適用排除の場合におけるウズベキスタン法︵法廷地法︶の適用︵第二六四条参照︶、多 数法国法の指定における間接指定主義︵第二六六条参照︶等に見られる立場は、ベラルーシ法と同一である。  次に、各論規定についても、若干の形式的な相違を除き、ベラルーシ法とほぼ同一の内容を有している。従っ

(13)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート て、同法に関する前出拙稿での解説をもって足りるところであるが、特徴的な点について重ねて指摘しておきた い。まず、物権の準拠法について採られているのが同則主義である︵第一一八四条参照︶。但し、輸送手段及び登記 された物については登記国法主義が採られ︵第二八六条参照︶、移動中の物については発送地国法主義が採られて いる︵第二八七条参照︶。また、物権の保護については、権利者の選択により、物の所在地法と法廷地法の範囲に おける制限的当事者自治が導入されている︵第一一八八条第一項参照︶。次に、契約債務について導入されている当 事者自治の原則が徹底されていることが注目される。例えば、契約の全体についても、又、その一部についても 可能であり、準拠法の指定及びその変更はいつでも可能である︵第一一八九条参照︶。当事者による合意がない場合 には、契約類型に従い、当事者の一方の設立準拠法、居所地法又は本拠地法が適用され、契約の特徴的給付は顧 慮されていない︵第二九〇条参照︶。契約外債務については、原因事実発生地法主義を原則とするが、当事者が同 一国の国民であった場合には、同国法に依る︵第一一九四条参照︶。そして、相続については、被相続人によるその 者の本国法の選択が認められているが、それがないときは、その者の最後の常居所地法が適用される︵第一一九七 条参照︶。 五 結 …五 ロロ 88  ソビエト連邦の消滅後、カザフスタン及びウズベキスタンを含め、中央アジア諸国、さらには、コーカサス諸 国等において新たに成立した現行国際私法及び国際私法草案について鳥畷することにより、総括的に、次の三つ

(14)

東洋法学

の点が確たる傾向として指摘されている。すなわち、第一に、かつて多く見られた一方的抵触規定が衰退し、そ の多くが双方的抵触規定へと変身している点である。第二に、固定的な単一的連結からより柔軟な連結への顕著 な発展が認められる点である。そして、第三に、とくに家族法の分野において、国籍主義の原則が確立されると 同時に、本国法と住所地法乃至常居所地法との組み合わせが支持されている点である︵ωo碧参σ誘貫8,。Fも.富。 9ω巳戸︶。それらの点は、この小稿において、未だ改革前のカザフスタン国際私法と一先ず改革後のウズベキスタ ン国際私法の両者を比較検討するだけでも明白であろう。  そして、また、急激にもたらされた旧ソビエト連邦の崩壊と分断に対する独立国家共同体諸国の不安の一端が が結実したともいえる﹁法律モデル﹂に依拠することにより、昔日の一体性を辛うじて保持しようとした時代も すでに過去のものになりつつある。ロシア連邦が国際私法規定を含むその新民法典第三部の施行に踏み切ったと いうことは未だに聞かれていないが、そのような足踏み状態が継続していることの理由もまた、右モデルに依存 することに対して生じてきた懐疑の念が払拭されないことにあるのかもしれない。この小稿の続編として、別稿 をもって言及することが予定されているグルジアやアゼルバイジャンの国際私法が、その草案の起草の段階にお いて模範としたのが一九八七年のスイス国際私法典や一九九五年のイタリア国際私法典であったと伝えられてい るが︵団畠2巴薯ω貫oP鼻.”マ島ε、そのことにも象徴されるように、もはや、ロシア国際私法の旧ソビエト諸 国国際私法に与える影響が然して大きくないことは歴然としている。そして、その場合、右の二つの国際私法典 においても援用されているように、やはり、ハーグ国際私法条約そのもの、又は、それによって採られている立

(15)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 場が有力な基準となるものと思われる。  今後、中央アジア諸国乃至独立国家共同体諸国の国際私法が歩もうとしている道程は、抵触法革命後における 大陸型国際私法の展開とも一致するものであることが確信される。その意味において、中央アジア諸国乃至独立 国家共同体諸国の国際私法は、かつてドイツのケーゲル︵O■囚畠9によって叫ばれた﹁国際私法の危機﹂を全 く経験することなく、冷戦時代の敵対国アメリカの国際私法へ一気に接近しようとしているということになるで あろう。そうした動向に接して、またしても痛感されることになるのは、新しい内容を備えた国際私法の立法化 のための積極的な取り組みにおいて、わが国がいかに立ち遅れているかということである。その点は、東アジア 諸国における昨今の﹁近代化﹂ないし﹁現代化﹂により、一層、際立ちつつあるように見られる。  以下に掲げるのは、カザフスタン民法典中の国際私法規定、カザフスタン家族法典中の国際私法規定、ウズベ キスタン民法典中の国際私法規定の試訳である。カザフスタン法については、独語訳が、田菊貝這逡あ・ω旨律に 掲載されており、また、それが、い因390一一段\甲囚岳鴨吋\白・空段言閃≧●ω蝉日菖魯Φミ固ωδぼ鴇︾島R①霞8巴零箒 弓零O①器9ρ一〇〇PψG 。8斥に転載されている。一方、ウズベキスタン法については、↓箒くぎ○鴨ao欺ぎω葺仁けρ Ω証一〇〇80P冨国8呂浮d昏o鉦ω冨P一88P囑一9器ρに、≦。国●団昌一段教授による英語訳が掲載されてお り、また、囚8もぎ一一段\因岳鵬R\覆①﹃営閃\ω餌目こ害魯\盟Φぼ層騨騨ρ︸ωb置斥には、それとともに、︾Z仁ゆ冨おR 博士による独語訳が掲載されている。 90

(16)

︵参考資料一︶カザフスタン民法典中の国際私法規定

東洋法学

カザフスタン

ソビエト社会主義共和国民法典

      ︵一九六三年一二月二八日成立、 一九六四年七月一日施行︶ 第八条 カザフスタン・ソビエト社会主義共和国における他の連邦共和国民事立法の適用  他の連邦共和国の民事立法は、カザフスタン・ソビエト社会主義共和国において、次に掲げる規則に従って適 用される。  一 物権から生じる法律関係については、財産が所在する地の法律が適用される。  二 権利能力及び行為能力は、法律行為の実行に際し、法律行為が行なわれる地の法律に従って決定される。  三 法律行為の方式は、法律行為が行なわれる地の法律に従って決定される。    法律又は法律行為の当事者の合意によって別段に定められていないときは、法律行為の実行地の法は、法   律行為から生じる義務についても適用される。  四 損害惹起に因る責任については、訴訟が審理される地の法、又、被害者の申立てにより、損害が加えられ   た地の法が適用される。

(17)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 六 五 相続法関係については、相続開始地の法が行なわれる。 時効の問題は、当該法律関係を規律する立法が属する連邦共和国の法に従って裁決される。 第九章 外国人及び無国籍者の権利能力、 外国民事法及び国際条約の適用       ︵一九八二年八月二日改正︶ 第五五八条 外国人の民事上の権利能力  外国人はカザフスタン・ソビエト社会主義共和国においてソビエト市民と同一の民事上の権利能力を享受する。 個別の例外はソビエト社会主義共和国連邦法によって定められることができる。  ソビエト社会主義共和国連邦内閣︵ソビエト社会主義共和国連邦及び連邦共和国の民事立法の原則第一二二条︶ は、ソビエト市民について民事上の権利能力の特別な制限が存在する国家の国民について、報復措置として制限 を決定することができる。 第五五九条 無国籍者の民事上の権利能力︵一九七七年七月八日改正︶  無国籍者はカザフスタン・ソビエト社会主義共和国においてソビエト市民と同一の民事上の権利能力を享受す る。個別の例外はソビエト社会主義共和国連邦法によって定められることができる。 第五五九条の一 外国人及び無国籍者の民事上の行為能力についての法律の適用  外国人の民事上の行為能力は、その者が国民である国の法律に従って決定される。 92

(18)

東洋法学

 無国籍者の民事上の行為能力は、その者がその住所を有する国の法律に従って決定される。  外国人及び無国籍者の民事上の行為能力は、カザフスタン・ソビエト社会主義共和国において行なわれる法律 行為、及び、カザフスタン・ソビエト社会主義共和国における加害によって発生する債務に関し、ソビエト法に 従って決定される。  カザフスタン・ソビエト社会主義共和国に平常的に居住している外国人及び無国籍者は、行為無能力者又は制 限的行為能力者であることにつき、ソビエト社会主義共和国連邦及びカザフスタン・ソビエト社会主義共和国の 立法によって定められている手続きに基づいてのみ宣告されることができる。 第五六〇条 外国の企業及び機関の民事上の権利能力︵一九七七年七月八日改正︶  外国の企業及び機関は、カザフスタン・ソビエト社会主義共和国において、特別な許可なく、渉外取引の分野 における法律行為、並びに、それと関連した為替、保険及び他の法律行為を行なうべき権利が帰属するソビエト の渉外取引機関及びその他のソビエトの機関とかような法律行為を行なうことができる。  外国の企業及び機関の民事上の権利能力は、渉外取引の分野における法律行為、並びに、それと関連した為替、 保険及び他の法律行為の実行に際し、企業又は機関が設立された国の法律に従って決定される。 第五六一条 法律行為の実行の準拠法  外国において行なわれる法律行為の方式は、その実行地の法律に服する。但し、その法律行為は、ソビエト社 会主義共和国連邦の立法上及び本法典上の要求が遵守されているときは、方式の不遵守を理由として無効である

(19)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート と宣告されてはならない。  ソビエトの機関によって行なわれる渉外取引行為の方式、及び、その署名の手続きは、その法律行為の実行地 に拘わらず、ソビエト社会主義共和国連邦の立法によって決定される。  カザフスタン・ソビエト社会主義共和国の領域における建物に関する法律行為の方式は、ソビエト社会主義共 和国連邦の立法及び本法典の規定に従う。 第五六二条渉外取引行為に因る債務の準拠法︵一九七七年七月八日改正︶  渉外取引の法律行為の当事者の権利及び義務は、当事者の別の合意がないときは、それが締結された地の法律 に従って規律される。  物に対する所有権の成立及び消滅は、渉外取引の法律行為に際し、当事者の別の合意がないときは、その実行 地の法律に従って決定される。  渉外取引の法律行為に基づいて運送中である物に対する所有権は、当事者の別の合意がないときは、物が発送 された国の法律に従って決定される。 第五六二条の一 代理権の方式及び有効期問についての準拠法  代理権の方式及び有効期間は、代理権が授与された国の法律に従って規律される。但し、代理権は、それがソ ビエトの法律上の要求と一致するときは、方式の不遵守を理由として無効であると宣告されてはならない。 第五六二条の二 訴えの消滅時効の準拠法 94

(20)

東洋法学

 訴えの消滅時効は、その法律関係の当事者の権利及び義務について適用される立法が属する国の法律に従って 規律される。  ソビエトの立法は、訴えの消滅時効がいかなる請求に及ばないかを決定する。 第五六二条の三 所有権についての準拠法  物に対する所有権は、物が所在する国の法律に従って決定される。  ソビエト社会主義共和国連邦及びカザフスタン・ソビエト社会主義共和国の立法によって別段に定められてい ない限り、物に対する所有権の成立及び消滅は、所有権の成立又は消滅のための原因となるその行為が行なわれ たか、又は、その他の事実が発生した当時、物が所在した国の法律に従って規律される。 第五六二条の四 損害惹起に因る義務の準拠法︵一九七七年七月八日改正︶  加害に因る債務からの権利及び義務は、損害賠償請求のための理由となるその行為が行なわれたか、又は、そ の他の事実が発生した国の法律に従って決定される。  外国における加害に因る債務に関する双方の権利及び義務は、当事者がソビエト国民又はソビエト機関である ときは、ソビエト法に従って決定される。  損害賠償請求のための理由となる行為又はその他の事実が、ソビエトの立法に従い、不法でないときは、外国 法は適用されない。 第五六三条 相続の準拠法

(21)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート  相続法関係は、被相続人がその者の最後の平常的な住所を有した国の法律に従って決定される。  人の遺言を作成し、又、それを撤回する能力、並びに、遺言及び撤回の方式は、終意処分者が作成又は撤回の 当時その者の平常的な居所を有した国の法律に従って決定される。但し、遺言又はその撤回は、作成地若しくは 撤回地の法律上又はソビエト法上の要件が満たされているときは、方式の欠映を理由として無効であると見倣さ れてはならない。  ソビエト社会主義共和国連邦に所在する建物の相続は、いずれの場合にも、ソビエト法に従って規律される。 相続されるべき建物がソビエト社会主義共和国連邦の領域に所在するときは、同一の法律に従い、人の遺言を作 成し、又、それを撤回する能力、並びに、これに関する方式が決定される。 第五六四条 外国法の適用の制限  外国法は、その適用がソビエトの国家秩序の原則に反することになるときは適用されない。 第五六五条 国際条約︵一九八二年八月二日改正︶  ソビエト社会主義共和国連邦の国際条約が、ソビエトの民事立法が含む規則とは別のそれを定めるときは、国 際条約上の規則が適用される。  カザフスタン・ソビエト社会主義共和国の民事立法に関しては、カザフスタン・ソビエト社会主義共和国の国 際条約においてカザフスタン・ソビエト社会主義共和国の民事立法に定められている規則とは別のそれが定めら れているときは、同様に行なわれる。 96

(22)

︵参考資料二︶カザフスタン家族法典中の国際私法規定

カザフスタ

ン共和国婚姻及び家族法典

︵一九六九年八月六日成立、一九七〇年一月一日施行、 一九九三年一〇月二二日改正︶

東洋法学

   第一章 総  則 第八条 婚姻及び家族に関するカザフスタン共和国立法の適用  カザフスタン共和国においては、婚姻締結、夫婦間の関係、親子問の関係、養子縁組、父子関係の確定、扶養 料の請求、後見及び保佐、婚姻の解消、並びに、身分の登録は、それらの身分行為がその機関によって取り扱わ れるか、若しくは、登録され、又は、発生した訴訟事件がその機関によって裁決されるときは、カザフスタンの 立法によって規律される。    第六章 外国の婚姻及び家族法典並びに国際条約の適用 第一八二条婚姻及び家族法の分野における外国人及び無国籍者の権利及び義務

(23)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート  カザフスタン共和国憲法との調和において、カザフスタン共和国における外国人は、カザフスタン国民と同一 の婚姻及び家族法の分野における権利及び義務を享受する。例外はカザフスタン共和国法によって定められるこ とができる。カザフスタン共和国に平常的に居住している無国籍者は、婚姻及び家族法の分野においてカザフス タン国民と同一の権利及び義務を有する。 第一八三条カザフスタン国民と外国人及びカザフスタン共和国における外国人間の婚姻締結  カザフスタン国民と外国人との問の婚姻締結、及び、外国人問の婚姻締結は、カザフスタン共和国においては、 カザフスタン法に従って行なわれる。  カザフスタン共和国における外国の大使館又は領事館において行なわれる外国国民問の婚姻締結は、それらの 者が、婚姻締結の当時、大使又は領事を任命した国家に帰属するときは、相互主義に基づき、カザフスタン共和 国において有効なものとして承認される。 第一八四条 カザフスタン共和国領事館におけるカザフスタン国民間の婚姻締結、カザフスタン領域外に       おいて締結されている婚姻の承認  カザフスタン共和国の領域外に平常的に居住しているカザフスタン国民間における婚姻は、カザフスタン共和 国の領事館において締結される。  カザフスタン共和国の領域外におけるカザフスタン国民と外国人との問の婚姻が、その地の方式の遵守のもと に締結されるときは、本法典第一五条ないし第一七条及び第四三条から明らかになる障碍が存在していない限り、 98

(24)

東洋法学

それはカザフスタン共和国においても有効である。  外国国民の間における婚姻であって、カザフスタン共和国の領域外においてその国家の法に従って締結される ものは、それがカザフスタンの法律及びカザフスタン共和国の国際条約に違反しない限り、カザフスタン共和国 においても有効である。 第一八五条カザフスタン共和国におけるカザフスタン国民と外国人との間の婚姻の解消並びに外国人問       の婚姻の解消、カザフスタン共和国の領域外において行なわれている婚姻解消の承認  カザフスタン国民と外国人との間における婚姻の解消、並びに、外国人問における婚姻の解消は、カザフスタ ンの立法に従って行なわれる。  カザフスタン国民と外国人との間における婚姻の解消であって、その国家の法に従ってカザフスタン共和国の 領域外において行なわれているものは、婚姻解消の当時、夫婦の少なくとも一方がカザフスタン共和国の領域外 において平常的に居住していた限り、カザフスタン共和国においても承認される。  カザフスタン国民の間における婚姻解消であって、カザフスタン共和国の領域外においてその国家の法に従っ て行なわれていたものは、夫婦の双方が婚姻解消の当時カザフスタン共和国の領域外において平常的に居住して いたときは、カザフスタン共和国においても承認される。  外国国民の問における婚姻解消であって、その国家の法に従い、カザフスタン共和国の領域外において行なわ れていたものは、カザフスタン共和国においても有効である。

(25)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート  カザフスタン共和国の領域外において平常的に居住しているカザフスタン国民は、その者の配偶者の国籍に拘 わらず、カザフスタン最高裁判所の指揮のもとにその手続きを実行するカザフスタン共和国裁判所により、カザ フスタン共和国の領域外において生活しているその者との婚姻を解消させることができる。カザフスタンの立法 に従い、戸籍官吏の面前における離婚が許可されているときは、婚姻はカザフスタン共和国の領事館において解 消されることができる。 第一八六条カザフスタン共和国における父子関係の確認、外国において行なわれた父子関係確認の承認  父子関係の確認は、カザフスタン共和国においては、親子の国籍及びそれらの者の居所地に拘わらず、カザフ スタンの立法に従って行なわれる。  カザフスタンの立法に従い、戸籍官吏の面前における父子関係の確認が許可されているときは、カザフスタン 共和国の領域外に居住する親子は、少なくとも親側がカザフスタン国民であるとき、相当する父子関係確認申立 をカザフスタン領事館へ申し立てる権利を有する。 第一八七条 外国に平常的に居住するカザフスタン国籍の子の渉外的養子縁組  カザフスタン共和国の領域外において平常的に居住しているカザフスタン国籍の子の養子縁組は、カザフスタ ン領事館において行なわれる。養親がカザフスタン国民でない場合においては、子がカザフスタン共和国の国籍 を有するとき、その子の養子縁組につき、カザフスタン教育省の許可が必要とされる。  相当する許可があるときは、カザフスタン国籍の子のその住所地国の管轄機関における渉外的養子縁組も承認 100

(26)

東洋法学

される。 第一八八条 外国におけるカザフスタン国民のための後見︵保佐︶の命令、並びに、カザフスタン共和国       における外国人のための後見︵保佐︶の命令、外国後見︵外国保佐︶の承認  カザフスタン共和国の領域外において平常的に居住している未成年者、行為無能力者又は制限的行為能力者で あるカザフスタン国民、並びに、カザフスタン共和国において生活している外国人のための後見︵保佐︶の命令 は、カザフスタンの立法に従って行なわれる。  カザフスタン共和国の領域外における外国人のためにその国家の法に従って命令された後見︵保佐︶は、カザ フスタン共和国においても有効なものとして承認される。 第一八九条 外国におけるカザフスタン国民の身分登録  カザフスタンの領域外において平常的に居住しているカザフスタン国民の身分行為の登録は、カザフスタン領 事館において行なわれる。  領事館における登録に際し、申立人がカザフスタン国民であるときは、カザフスタン共和国の立法が適用され る。 第一九〇条外国身分証書の承認  カザフスタン国民、外国人及び無国籍者のため、それらの者の身分に関し、外国の管轄機関によってその国の 法に従って発行された証書は、領事の認証が行なわれているときは、カザフスタン共和国においても有効なもの

(27)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート とする。 第一九一条カザフスタン共和国における外国の婚姻及び家族法並びに国際条約の適用  婚姻及び家族に関する外国法の適用、又は、その法律に基づく身分行為の承認は、適用又は承認がカザフスタ ン共和国の国家秩序の原則に反するときは行なわれない。  カザフスタン共和国の国際条約に基づき、婚姻及び家族に関するカザフスタンの立法が含む法規定とは別のそ れが施行されるときは、国際条約上の法規定が適用される。 ︵訳者付記︶ 第一五条 第一六条 第疇七条 第四三条 第一八四条第二項において挙げられている婚姻及び家族法典中の諸規定は、 するものである。  婚姻締結の要件  最少婚姻年齢︵一九九一一年二一月一  婚姻障害  婚姻の取消し 一三日改正︶ 次のような事項を内容と 102

(28)

︵参考資料三︶ウズベキスタン民法典中の国際私法規定

東洋法学

   ウズベキスタン共和国民法典︵一九九七年三月百施行︶

     第二編    第六章 民事法関係への国際私法規定の適用      第七〇節 総則規定 第一一五八条渉外的要素により複雑化された民事法関係への適用に従属する法律の決定  外国市民又は外国法人が関与するか、又は、他の渉外的要素によって複雑化された民事法関係への適用に従属 する法律は、本法典、他の法律、国際条約、及び、承認された国際慣習に基づき、又、当事者の合意に基づいて も決定されるものとする。  法律選択に関する当事者の合意は明示されるか、又は、契約の条件、及び、全体として考慮された事案の情況 から直接的に生じなければならない。  本条第一項に従い、適用に従属する法律を決定することができないときは、渉外的要素によって複雑化された

(29)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 民事法関係と最も密接に関連した法律が適用されるものとする。  外国法規定の適用は、その規定が公法的性格を有することのみに基づいて制限されてはならない。 第一一五九条法的性質決定  裁判所又は他の国家機関による法律概念の法的性質決定は、法律によって別段に定められていない限り、それ に関し、議論の考慮地国たるウズベキスタン共和国の法律に従った解釈に基づくものとする。  法律概念が、議論の考慮地国たるウズベキスタン共和国の法律に知られていないか、又は、他の名称のもとに おいてか、若しくは、他の内容をもって知られており、かつ、ウズベキスタン共和国の法律に従った解釈によっ て決定されることができないときは、それに関する法的性質決定の場合において外国の法律も又適用されること ができる。 第二六〇条 外国法規定の内容の確定  外国法の適用に際し、裁判所又は国家機関は、それぞれの外国におけるその公的解釈、適用の実務及び学説に 従い、その規定の内容を確定するものとする。  外国法規定の内容の確定のため、裁判所又は他の国家機関は、確立された手続きにより、法務省、並びに、外 国において設立されたものを含め、他の所轄国家機関及び研究所に援助及び説明を依頼するか、又は、鑑定人の 協力を求めることができる。  事件の当事者は、それらの者がその要求又は抗弁の立証において援用する外国法規定の内容を確証する文書を 104

(30)

東洋法学

提出する権利を有し、さらに、それらの規定の内容の確定において裁判所又は他の国家機関を支援するものとす る。  本条に従って執られた手段に拘わらず、外国法規定の内容が相当の期問内に確定されないときは、ウズベキス タン共和国の法律が適用されるものとする。 第国一六一条狭義の反致及び第三国法への転致  本章の規則に従った外国法へのいかなる送致も、本条によって定められた場合を除き、それぞれの国の抵触法 への送致ではなく、実質法への送致として考慮されなければならない。  ウズベキスタン共和国の法律への狭義の反致、及び、第三国の法律への転致は、本法典第二六八条、第一一 六九条第一項、第三項、第五項、第一一七一条及び第一一七四条に従った外国法の適用の場合において適用する ものとする。 第一=ハ閣一条法律の回避の結果  本法典によって規律された関係の当事者の合意及び他の行為であって、個々の関係を他の法律に従属させるた め、適用に服する法律に関する本章の規則の回避に向けられたものは無効とする。その場合においては、本章に 従って適用に服するそれぞれの国家の法律が適用されるものとする。

第[一六三条相互性

 裁判所又は他の国家機関は、相互主義に拠る外国法の適用がウズベキスタン共和国の法律によって定められて

(31)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート いる場合を除き、ウズベキスタン共和国の法律がそれぞれの外国において類似の関係に適用されるか否かに拘わ らず、外国法を適用するものとする。  外国法の適用が相互性に依拠するときは、それが存在しないことが証明されない限り、それが存在することが 推定されるものとする。 第二六四条 公の政策に関する留保  外国法は、その適用がウズベキスタン共和国の法秩序︵公の政策︶上の基本的原則に反することになる場合に は適用されないものとする。その場合には、ウズベキスタン共和国の法律が適用されるものとする。  外国法の適用の拒否は、単にそれぞれの外国の法的、政治的又は経済的制度のウズベキスタン共和国の法的、 政治的又は経済的制度との差異に基づいてはならない。 第一一六五条 強行規定の適用  本章の規則は、適用に服する法律に拘わらず、それぞれの関係を規律するウズベキスタン共和国の法律上の強 行規定の効力に影響しないものとする。  本章の規則に従い、いずれかの国の法律を適用するに際し、関係と密接な関連性を有する他の国の法律に依れ ば、強行規定がそれぞれの関係を規律しなければならないときは、裁判所は、適用に服する法律に拘わらず、そ の国の法律上のかような規定を適用することができる。その適用においては、裁判所は、かような規定の指定及 び性格、並びに、その適用の結果をも考慮しなければならない。 106

(32)

第二六六条多数の法律制度を有する国の法律の適用  いくつかの領域的又は他の法律的制度が効力を有する国の法律が適用に服する場合においては、法律制度はそ の国の法律に従って適用されるものとする。 第一一六七条 報復  報復的制限︵報復︶は、ウズベキスタン共和国政府により、ウズベキスタン共和国の市民及び法人の権利の特 別な制限が存在する国家の市民及び法人の権利に関し、設定されることができる。 第七一節 抵触規定 第[款 人

東洋法学

第一一六八条 自然人の属人法  自然人の属人法は、その者が市民権を有する国の法律であると見倣される。  人が二個以上の市民権を有するときは、属人法はその者が最も密接に関係している国の法律であると見倣され る。  無国籍者の属人法は、その者が永続的に居住する国の法律であると見倣される。  避難民の属人法は、避難所を与えた国の法律であると見倣される。

(33)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 第一一六九条 自然人の権利能力及び行為能力  自然人の権利能力及び行為能力は、その者の属人法によって決定されるものとする。  外国市民及び無国籍者は、ウズベキスタン共和国の法律又は国際条約によって定められた場合を除き、ウズベ キスタン共和国においてウズベキスタン共和国市民と同様に民事上の権利能力を享受するものとする。  取引、及び、損害の惹起の結果として発生する債務に関する自然人の民事上の行為能力は、取引を締結する地、 又は、損害の惹起に因る債務を発生させる地の国の法律に従って決定されるものとする。  自然人の個人企業家であるための権利能力、並びに、それと関連する権利及び義務を有するための権利能力は、 自然人が個人企業家として登録されている国の法律に従って決定されるものとする。登録国がない場合において は、主たる個人企業活動実行地国の法律が適用されるものとする。  自然人が行為能力を欠くか、又は、制限的行為能力を有するとの想定は、法廷地国の法律に従うものとする。 第二七〇条自然人の行方不明の想定、及び、その者への死亡宣告  自然人の行方不明の想定、及び、その者への死亡宣告は、法廷地国の法律に従うものとする。 第一一七一条自然人の氏名  自然人の氏名並びにその使用及び保護の権利は、本法典第一九条第四項及び第七項並びに第一一七九条及び第 一一入○条によって定められた規則から別段に発生しない限り、その者の属人法によって決定されるものとする。 第一一七二条ウズベキスタン共和国の領域外におけるウズベキスタン共和国市民の民事上の身分行為の登録 108

(34)

東洋法学

 ウズベキスタン共和国の領域外に居住しているウズベキスタン共和国市民の民事上の身分行為の登録は、ウズ ベキスタン共和国の領事館において行なわれるものとする。それを行なうにおいて、ウズベキスタン共和国の立 法が適用されるものとする。 第一一七三条民事上の身分行為の証明における外国機関発行文書の承認  ウズベキスタン共和国の領域外において外国の法律に従って行なわれた民事上の身分行為の証明におけるそれ ぞれの国家の権限を有する機関によって発行された文書は、認証が存在するときは、ウズベキスタン共和国市民、 外国市民及び無国籍者につき、ウズベキスタン共和国において有効であると見倣される。 第一一七四条信託及び後見  未成年者、行為能力を欠く者、又は、成年に達した者であって、行為能力において制限されている者に対する 信託又は後見は、法廷地国の法律に従って設定及び解除されるものとする。  受託者︵又は後見入︶の信託︵又は後見︶を引き受ける義務は、受託者︵又は後見人︶として指名された者の 属人法に従って決定されるものとする。  受託者︵又は後見人︶と信託︵又は後見︶のもとにある者の間の法律関係は、その制度が受託者︵又は後見人︶ を指名した国の法律に従って決定されるものとする。但し、信託︵又は後見︶のもとにある者がウズベキスタン 共和国に居住するときは、ウズベキスタン共和国の法律がその者にとってより有利である限り、それが適用され るものとする。

(35)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート  ウズベキスタン共和国の領域外に居住しているウズベキスタン共和国市民に対して設定された信託︵又は後見︶ は、信託︵若しくは後見︶の設定又はその承認に反対する法律に基づくウズベキスタン共和国のそれぞれの領事 館の異議がないとき、ウズベキスタン共和国において有効であると見倣される。 第[]七五条 法人の法  法人の法は、その法人が設立されている国の法律であると見倣される。 第閣一七六条 法人の権利能力  法人の民事上の権利能力は、法人の法によって決定されるものとする。  外国法人は、その機関又は代表が取引を締結した国の法律に知られていないその取引を締結するその機関又は 代表の権限の制限を援用してはならない。 第一一七七条外国法人のウズベキスタン共和国における活動の国家制度  外国法人は、ウズベキスタン共和国の法律により、外国法人について別段に定められていない限り、ウズベキ スタン共和国において民事立法によって規律された企業活動及び他の活動を行なうものとする。 第一一七八条渉外的要素を有する民事法関係における国家の関与  本章の規則は、法律によって別段に定められていない限り、国家が関与する渉外的要素を有する民事法関係に 全体として適用するものとする。 110

(36)

第二款 私有の無体財産権、知的所有権 第一口七九条 私有の無体財産権の保護  私有の無体財産権の保護に関する請求権の理由となった行為又は他の情況が発生した国の法律が、かような権 利に適用されものとする。 第一一八O条 知的財産権  知的財産権の保護が要求されている国の法律が、かような権利に適用されものとする。  知的財産権を対象とする契約は、本章の契約債務に関する規定に従って決定される法律に依って規律されるも のとする。 第三款 取引、代理、出訴期限

東洋法学

第二八一条取引の方式

 取引の方式はその締結地法に従属するものとする。但し、外国において締結された取引は、ウズベキスタン共 和国の法律上の要件が遵守されていたときは、方式の遵守に欠ける結果として無効であると見倣されてはならな い。  渉外的経済取引は、当事者の一方がウズベキスタン共和国法人又はウズベキスタン共和国市民であっても、取

(37)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート 引締結地に拘わらず、書面によって締結されるものとする。  不動産に関する取引の方式は、その不動産が所在している国の法律に服し、又、ウズベキスタン共和国におけ る国家登記簿に登記されている不動産に関する取引の方式は、ウズベキスタン共和国の法律に服するものとする。

第一一八二条代理権

 代理権の方式及び期問は、代理権が授与されている国の法律に従って決定されるものとする。但し、代理権は、 ウズベキスタン共和国の法律上の要件が遵守されていたときは、方式の遵守に欠ける結果として無効であると見 倣されてはならない。

第国國八三条出訴期限

 出訴期限はそれぞれの関係を規律するための準拠法に従って決定されるものとする。  出訴期限が及ばない請求権は、それぞれの関係の当事者の一方がウズベキスタン共和国市民又はウズベキスタ ン共和国法人であっても、ウズベキスタン共和国の法律に従って決定されるものとする。  第四款 物に対する権利 第二八四条物に対する権利の準拠法に関する一般規定  不動産及び動産に対する所有権及び他の物権は、法律によって別段に定められていない限り、その財産が所在 している国の法律に従って決定されるものとする。 112

(38)

東洋法学

 財産の不動産又は動産への帰属、及び、財産の他の法的性質は、その財産が所在している国の法律に従って決 定されるものとする。 第一一八五条 物権の発生及び消滅  財産に対する物権の発生及び消滅は、ウズベキスタン共和国の法律によって別段に定められていない限り、物 権の発生又は消滅の原因となった行為又は他の情況が生じた当時、その財産が所在していた国の法律に従って決 定されるものとする。  取引の対象である財産に対する物権の発生及び消滅は、当事者の合意によって別段に定められていない限り、 その取引が従属している法律に従って決定されるものとする。  取得時効の結果としての財産所有権の発生は、取得時効期間の満了の当時、財産が所在していた国の法律によっ て決定されるものとする。 第一一八六条輸送手段及び国家登記簿への登記に服する他の財産に対する物権  輸送手段及び国家登記簿への登記に服する他の財産に対する物権は、それらの輸送手段又は財産が登記されて いた国の法律に従って決定されるものとする。 第一一八七条 移動中の動産に対する物権  取引に関連して移動中の動産に対する所有権及び他の物権は、当事者の合意によって別段に定められていない 限り、その財産が発送された国の法律に従って決定されるものとする。

(39)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート

第一一八八条物権の保護

 財産が所在している国の法律、又は、法廷地国の法律が、申込者の選択により、所有権及び他の物権の保護に 適用されるものとする。  その財産が所在している国の法律は、不動産に対する所有権及び他の物権の保護に適用するものとする。ウズ ベキスタン共和国の法律はウズベキスタン共和国の国家登記簿へ登記されている財産に関して適用されるものと する。  第五款 契約債務 第一一八九条 契約当事者の合意による法選択  契約は、法律によって別段に定められていない限り、当事者の合意によって選択された国の法律によって規律 されるものとする。  契約当事者は、契約全体のためか、又は、その個々の部分のための準拠法を選択することができる。  準拠法の選択は、契約締結時及びその後のいつでも、契約当事者によってなされることができる。当事者は又 いつでも契約の準拠法の変更に関して合意することができる。 第一一九〇条 当事者の合意を欠く契約の準拠法  契約当事者のその契約への適用に服する法律に関する合意がない場合において、当事者の一方が次に掲げる者 114

(40)

東洋法学

であるときは、その者が設立されているか、居所又は活動の本拠地を有する国の法律が適用されるものとする。   売買契約における売り主   贈与契約における贈与者   リース︵又は財産賃貸借︶契約における賃貸人又は賃借人   無償使用契約における貸し主   自由業契約における自由業者   運送契約における運送人   運送取扱契約における取扱人   貸付契約又は他の融資契約における貸付人   委任契約における代理人   代理店契約における代理店   寄託契約における受託者   保険契約における保険者   質権設定契約における質権設定者   独占的権利の使用に関するライセンス契約における許可者 契約当事者の適用に服する法律に関する合意がない場合においては、本条第一項の規定に拘わらず、次に掲げ

(41)

中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究ノート る国の法律が適用されるものとする。   不動産に関する契約には、その財産が所在している国の法律   合弁活動に関する契約、及び、自由業の創設に関する契約には、かような活動が行なわれているか、又は、  契約によって定められた結果が創出されている国の法律   競売においてか、競争を顧慮してか、又は、証券取引所において締結された契約には、競売若しくは競争が  行なわれているか、又は、証券取引所が所在している国の法律  当事者の適用に服する法律に関する合意がない場合において、本条第一項及び第二項に挙げられていない契約 には、当事者が設立されているか、居所、又は、かような契約の内容にとって決定的な意義を有する履行を遂行 する活動の本拠地を有する国の法律が適用されるものとする。契約の内容にとって決定的な意義を有する履行を 決定することができない場合においては、契約が最も密接に関連している国の法律が適用されるものとする。 第二九一条外国の参加を伴う法人の創設に関する契約の準拠法  法人が設立される国の法律が、外国の参加を伴う法人の創設に関する契約に適用されるものとする。 第一一九二条準拠法の適用範囲  本款の規定による契約の準拠法は、特に次に掲げる事項を含むものとする。   契約の解釈   当事者の権利及び義務 116

(42)

東洋法学

  契約の履行   契約の不履行又は不適切な履行の効果   契約の終了   契約の不存在又は無効   契約に関連する請求権の譲渡及び債務の移転  履行のための手段及び手続き、並びに、不適切な履行の場合において採用されなければならない方法、さらに、 準拠法に関しては、履行が存在する国の法律も考慮されるものとする。  第六款 契約外債務 第一一九三条単独行為からの債務  本章第四款の規則は単独行為からの債務︵報酬の公約、委任のない他人のための活動、その他︶に適用される ものとする。 第一一九四条被害惹起の結果としての債務  被害を惹起することの結果として生じる債務に関する権利及び義務は、損害の賠償に関する請求の理由となっ た行為又は他の情況が生じた国の法律に従って決定されるものとする。  外国において被害を惹起することの結果として生じる債務に関する権利及び義務は、当事者が同一国家の市民

参照

関連したドキュメント

看板,商品などのはみだしも歩行速度に影響をあたえて

cin,newquinoloneなどの多剤併用療法がまず 選択されることが多い6,7).しかし化学療法は1

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ

 トルコ石がいつの頃から人々の装飾品とし て利用され始めたのかはよく分かっていない が、考古資料をみると、古代中国では

1 月13日の試料に見られた,高い ΣDP の濃度及び低い f anti 値に対 し LRAT が関与しているのかどうかは不明である。北米と中国で生 産される DP の

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

しかし私の理解と違うのは、寿岳章子が京都の「よろこび」を残さず読者に見せてくれる

ASTM E2500-07 ISPE は、2005 年初頭、FDA から奨励され、設備や施設が意図された使用に適しているこ