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ゲーム理論による海賊版業者の意思決定過程の分析

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2019-EIP-84 No.11 2019/6/4. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. ゲーム理論による海賊版業者の意思決定過程の分析 藤田 邦彦1,a). 概要:日本はコンテンツ立国を目指し,国家の方針としてコンテンツ産業を育成しているところである.知 的財産権侵害はこの方針に真っ向から歯向かうものであるが,知的財産権侵害に関する事犯は増加傾向に あり,その対策は喫緊の課題である.本研究では,知的財産権侵害を企図する者が,実際に行動に移すか否 かをどのように判断するか,その意思決定過程を,ゲーム理論の枠組みを利用して数理的に分析する.こ れにより,知的財産権侵害を企図する者の行動を予測し,有効な防止策の立案に資する貢献が期待できる.. An Analysis of Decision Making Process of Bootlegger and its Countermeasures Using Game Theory. 1. はじめに 日本では,2004 年に「コンテンツの創造、保護及び活用. らい小さい,という現状が明らかになった.また,この結 果を踏まえ,海賊版業者が権利を侵害しないという意思決 定に導く方法について考察した.. の促進に関する法律」が制定され,その前後より現在に至. 本論文の構成は次の通りである.2 章では先行事例とし. るまで,知的財産戦略本部を中心に国を挙げてコンテンツ. ていわゆるマリカー裁判の判例を紹介する.3 章ではモデ. 産業の振興に力を入れている.2016 年の日本におけるコ. ルの定義と分析を行い,分析結果を受けて海賊版業者が権. ンテンツ産業の市場規模は 11 兆 6,986 億円であり,2012. 利を侵害しないという意思決定に導く方法について考察す. 年以降,増加傾向で推移している [1].. る.最後に 4 章で結論と今後の課題について述べる.. コンテンツ市場の拡大に伴い,コンテンツの知的財産権 侵害も無視し得ない規模になりつつある.特許庁の調査 [2] によると,2015 年度の模倣被害総額は 1,028 億円に上る. また,警察庁の調査 [3] によると,知的財産権侵害事犯の検. 2. 事例紹介 任天堂が,公道カートとマリオ(ゲームキャラクター) の衣装を貸し出すサービスを提供している企業「マリカー」. 挙事件数は 515 件であり,ここ数年は高止まりしている状. (東京都品川区,現社名は『MARI モビリティ開発』 )に対. 況である.知的財産権侵害は国家を挙げての方針に真っ向. し,著作権などを侵害しているとし,東京地裁に 2017 年. から歯向かうものであり,その対策は喫緊の課題である.. に提起した訴訟について,判決文 [4] を元に概要を述べる.. 本研究では,ある企業が権利を有する著作物を,ある業 者(以下「海賊版業者」という)が無断で二次利用して製. 2.1 任天堂側の主張. 品化するか否か,という意思決定問題を,ゲーム理論の枠. マリカーが貸し出すカートと衣装のモチーフが,任天堂. 組みを用いてモデル化し数理的に分析する.モデル化にお. が権利を有するキャラクターである「マリオ」 「ルイージ」. いては,関連する先行事例の判例に基づき,損害賠償請求. 「ヨッシー」 「クッパ」などであったことから任天堂は株式. 額の決定に関連するパラメータの値を設定した.分析の結. 会社マリカーを訴えることとした.. 果,海賊版業者にとって,著作物の権利を有する企業から. ( 1 ) 「マリオカート」および「マリカー」など類似する言. 損害賠償を提訴され賠償金を支払うリスクは無視できるく. 葉を営業上で使用したとしてこれが不正競争防止法に. 文京学院大学 経営学部 Bunkyo Gakuin University, 1-19-1, Mukogaoka, Bunkyo, Tokyo 113–8668, Japan [email protected]. ( 2 ) 任天堂が所有している著作権と類似するものが映った. 違反していること 1. a). ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 動画をインターネット上にアップロードしたとして著. 1.

(2) Vol.2019-EIP-84 No.11 2019/6/4. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 作権(複製権または翻案権,公衆送信権)侵害である. 周知かつ著名といえるはずがない.このことは,訪日外国. こと. 人に対するアンケート調査において, 「マリカー」の片仮名. ( 3 ) 任天堂の周知または著名な商品などの表示であるもの. の表示を原告のビデオゲームソフトの名前として認知して. と類似するコスチュームおよび人形を使用する行為は. いる者の割合がわずか 0.4%(228 人中 1 人)にすぎなかっ. 不正競争防止法違反であること. たことからも明らかである.. ( 4 ) 任天堂の周知または著名な商品などの表示であるもの. 本件各写真及び本件各動画に写っているのは「緑と白を. と類似するコスチュームの貸出し行為が著作権(貸与. 基調とした服を着た人間」あるいは「肌色及び白を基調と. 権)侵害になること. した服を着た人間」であり,原告が原告表現物ヨッシー及. ( 5 ) これらによる損害賠償 6,940 万円を請求する マリカーは「マリカー」を 2016 年に商標登録申請して おり,商標権を有していること,またそれを使用して営業 をしていたことが争点である.. び原告表現物クッパの特徴として主張するものを直接感得 することはできない. 本件各動画の冒頭においては,関係団体の自己識別表示 であり,原告を想記させるような記載がない本件ロゴが. 損害賠償請求額の算出根拠は次の通りである.. 表示されていることに加え,本件宣伝行為におけるコス. • 2 時間ツアー料金が 8,000 円. チュームを着用した人物の使用は,「コスプレをして公道. • 全店舗を通じて,1 日 5 人 1 組の利用者が 10 組利用. をカートで走る」という本件レンタル事業の内容を説明す. したとして 1 日当たりの売り上げは,40 万円(8,000. るためのものであり, 「商品等表示としての使用」には当た. 円× 5 人× 10 組). らない.また,本件マリオ人形は,店舗内に販売目的で設. • 設立から訴訟提起の期間 1 年 9 か月 (630 日) の売り上 げは 2 億 5,200 万円(40 万円× 630 日)となり,少な くとも 2 億 5,000 万円となる. • 本件訴訟提起後,平成 30 年 3 月までの売り上げは,少 なくとも 3 億円となる. • 本件訴訟提起後,店舗数を拡大し連日 50 台以上の公道. 置されていた商品である. 任天堂が任天堂の表現物ヨッシー,クッパの特徴として 主張するのは,具体的表現である任天堂の表現物ヨッシー, クッパの表現上の本質的特徴を主張するものではない.ま た,任天堂が主張する任天堂の表現物ヨッシー,クッパと 本件コスチュームの共通点は,いずれもアイデアであるか,. カートを貸し出しているとの報道から,利用者は訴訟. 恐竜,悪役怪獣等をイラスト化ないしキャラクター化する. 提起前の 3 倍と仮定し,1 日当たりの売り上げは 120. 際に一般的に用いられるありふれた表現であって,これら. 万円(8,000 円× 5 人× 30 組)で,当該期間における. の点が共通するからといって,本件コスチュームが任天堂. 売り上げは,4 億 6,800 万円(120 万円× 390 日)とな. の表現物ヨッシー,クッパの複製物または翻案物となるも. り,少なくとも 4 億 4,400 万円となる. のではない.. • 売り上げ合計は 6 億 9,400 万円(2 億 5,000 万円+4 億 4,400 万円) • マリオを不正に利用したとして実施料率 10%を売り上 げ合計に乗じる. • よって損害賠償請求額は,6 億 9400 万円× 0.1=6,940 万円とする. 本件レンタル事業は,公道カートやサービス自体の魅力, また営業努力により,それ自体が高い顧客吸引力を有して おり,原告文字表示マリカー等自体の売り上げに対する寄 与は低い.また,本件販売整備事業については,その取引 相手は関係団体であって,同団体は被告会社と原告の間に 何らの取引関係も存在しないことを理解しているから,原 告の顧客吸引力が前記事業の売り上げに寄与することはあ. 2.2 マリカー側の主張 本件レンタル事業の需要者は,外国人旅行者,在日米軍関. り得ない.したがって,原告文字表示マリカー等に係る実 施料率はゼロか大幅に減額されるべきである.. 係者又は在日大使館員などの訪日外国人であるところ,任 天堂は,マリオカート及びマリカーが訪日外国人において 周知かつ著名であることについての主張立証を行っていな い.任天堂がマリカーの周知性・著名性の根拠として提出. 2.3 判決 東京地裁は侵害を認め,マリカーに 1,000 万円の損害賠 償の支払いを命じた.. する証拠は,すべて日本語で表記された日本人向けメディ. しかし,現在も株式会社マリカーは名前を変え,株式会. アによるものであり,訪日外国人についてこれを立証する. 社 Mari モビリティ開発 という名前で裁判の情報が公開さ. 証拠はない.また, 「マリカー」の欧文字は「MariKar」又. れている.(裁判の最中に企業名をこちらに変更している). は「MariKa」となるところ,これらの文字列について,イ. また,海外向けのサイトとして作られている MariCAR と. ンターネットの検索エンジンで検索しても「マリオカート」. いうホームページも存在しており,Facebook や,LINE,. に関するウェブサイトは一切表示されないのであるから,. 掲載されているメールアドレスや電話番号から予約するこ. 片仮名表示による「マリカー」表示が訪日外国人にとって. とができるようになっている.. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 2.

(3) Vol.2019-EIP-84 No.11 2019/6/4. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 業者𝒂のペイオフ. 𝒔 − 𝒄 − 𝟎. 𝟏𝒔. 𝑟 = 0 の場合. 𝑐(コスト). 𝑟 = 1 の場合. 業者𝑎を提訴する 確率𝑟. エリアα. 企業𝒃 企業𝑏 に無断で 二次利用する. 業者𝑎を提訴しない 確率1 − 𝑟. エリアβ. 業者𝒂のペイオフ 𝒔 − 𝒄. 業者𝒂 しない. 業者𝒂のペイオフ. 𝟎 𝑠(売り上げ). 図 1 海賊版業者のゲームの木. 図 2 海賊版業者のペイオフのグラフ. Fig. 1 Game tree of a bootlegger.. Fig. 2 Plotting payoffs of a bootlegger.. 3. モデルの定義と分析 本節では,ある企業の著作物を,海賊版業者が無断で二 次利用して製品化するか否か,という意思決定問題を,ゲー ム理論の枠組みを用いてモデル化し数理的に分析する.. 3.1 シナリオ 海賊版業者 a は,企業 b が権利を有する著作物を,無断 で二次利用して製品化することにより利益を得ようとして いる.業者 a は,当該製品の売り上げを s,当該製品の製. 定のモデル化を行う. 企業 b が損害賠償請求訴訟を提起する場合のペイオフは, 得られた利益から損害賠償請求額を減じた額であり,下式 により与えられる.. (s − c) − 0.1s. (1). 一方,企業 b が損害賠償請求訴訟を提起しない場合のペイ オフは,利益そのものであるから,下式により与えられる.. s−c. (2). 作にかかるコストを c と見込んでおり,さらに,企業 b が. 上式 (1),(2) は,確率的に生じると業者 a は考えている.. 著作権侵害訴訟を提起する確率を r と見込んでいる.. すなわち,(1) が発生する確率を r,(2) が発生する確率を. もし企業 b が提訴した場合,a に対する損害賠償の請求 額は,利用料率を 10%としこれに売り上げを乗じた 0.1s で あると,a は考えているとする.請求額の算出根拠は 2.1 節に示した判例に基づく.. 3.2 プレイヤ 本研究のゲームにおけるプレイヤは,業者 a と企業 b で ある.. 3.3 逐次手番ゲーム 本モデルのシナリオでは,最初に業者 a が行動(企業 b. 1 − r と見込んでいる.以上のことをゲームの木で表現し たものが,図 1 である. この確率を勘案した業者 a のペイオフは下式で与えら れる.. r((s − c) − 0.1s) + (1 − r)(s − c) = r(0.9s − c) + (s − c − rs + rc) = 0.9rs − rc + s − c − rs + rc = −0.1rs + s − c = s(1 − 0.1r) − c. (3). が権利を有する著作物を無断で二次利用して製品化)し,. 業者 a は,式 (3) の結果が正の値をとるとき,行動(企業. 次に企業 b が行動(業者 a に対して損害賠償請求の訴訟を. b が権利を有する著作物を無断で二次利用して製品化)し,. 「起こす」または「起こさない」 )する.つまり,プレイヤー. それ以外のときは何もしない,という意思決定を下す .こ. は同時に行動するのではなく,順番に行動するため,逐次. れを売り上げ s とコスト c のグラフで表現すると図 2 のよ. 手番ゲームである.. うになる.. 3.4 ペイオフ. 3.5 考察. 業者 a は,上記の逐次手番ゲームをシミュレートし,損. 業者 a が利益を得られるのは c < s(1 − 0.1r) のときであ. 害賠償請求額や損害賠償請求訴訟を提起される確率を勘案. り,グラフ上のパターンで強調したエリア(エリア α +エ. してもなお利益が得られる場合のみ,製品化を行うという. リア β )にあるときである.特に,企業 b が損害賠償を提. 意思決定を行うものとする.以上の仮定に基づき,意思決. 訴する確率 r = 0 のとき(エリア α +エリア β )と比べ,. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 3.

(4) Vol.2019-EIP-84 No.11 2019/6/4. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 企業 b が損害賠償を提訴する確率が r = 1 のとき(エリア. 用する可能性を減じることができる.. β )に,利益を得られる領域が(定性的な言い方だが)少し. ただし,コミットメントを使う場合には,その信憑性が. しか変わらない(エリア α 分だけ減少)点に注意を払う必. 重要である.企業 b は常に提訴する,ということを,海賊. 要がある.エリア α の面積はエリア β の 9 分の 1 であり,. 版業者に信じさせなければならない.信憑性を担保するに. これは事業の成否のリスクと比べると無視してもよいぐら. あたって参考になるのが,ディズニーの戦略である.ディ. い小さなリスクと考えられる.. ズニーは著作権管理に厳格であるということは既に都市伝. また,この損害賠償請求額は,あくまで請求額である.. 説の域にまで達している.これはコミットメントに成功し. 実際に裁判となり,海賊版業者が敗訴しない確率や,敗訴. ている証左であるといえよう.. したとしても確定した賠償額は請求額より低くなるのが通. 3.6.2 懲罰的損害賠償. 例であることを勘案すると,さらにリスクは小さくなる.. 損害賠償の請求額の算出根拠は,業者の当該事業の売り. 例えば,2 章に挙げた事例では,請求額が 6,940 万円なの. 上げの 10%であるというのが,判例で示されていることは. に対し,裁判所から命じられた賠償額は 1,000 万円である.. 既に述べた.これはに日本おいては損害を金銭的に評価し. 被告が未だに事業を継続していることは,被告の経営に対. た額を賠償額とする制度を採用しているからである.一方. する当該訴訟の影響が小さかった傍証になり得ると考えら. でアメリカでは,加害者の行為が強い非難に値すると認め. れる.. られる場合に,裁判所または陪審の裁量により,加害者に. 以上のことから言えるのは,ある企業の著作物を無断で. 制裁を加えて,将来の同様の行為を抑止する目的で,実際. 二次利用して製品化するという事業は,特に毀損する評判. の損害の補填としての賠償に加えて,上乗せして支払うこ. やブランドなどがないような海賊版業者にとっては,提訴. とを命じられる「懲罰的損害賠償」が実施される場合があ. され損害賠償請求されるリスクは無視できるほど小さいた. る [6].. め,意思決定においては決定的な要因とはならないことで. 日本でもアメリカに倣い,懲罰賠償制を導入すべきとの. ある.むしろ,無断で二次利用して製品化する事業そのも. 立法論も強い.しかしそれは被侵害者が,場合によっては. のの見通しが,業者の意思決定に大きな影響を及ぼすもの. 実損以上の利益を得る可能性も認めることになる.これは,. と結論づけられる.. 現行の日本の制度とは決定的に異質な面を有しており,知 的財産関連法令の範囲をはるかに超え,法制度全体あるい. 3.6 防止策 前節で述べた通り,現状は著作権を有する企業 b には著 しく不利な状態にあるといえる.海賊版業者 a において. は裁判に対する国民の意識の大転換を意味し,社会への影 響は広汎に渡ることが明確なため,少なくとも直近での導 入の可能性はかなり低いといえる [6].. は,高額な二次利用のライセンス料を企業 b に支払うより. 一方で,企業 b の事業がグローバルに展開されている場. も,訴訟されるリスクを冒してでも無断で二次利用して製. 合*1 ,不法行為がなされた国において懲罰的損害賠償が認. 品化する方が,利益が大きい可能性が高いからである.. められているのであればこれを用い,上記コミットメント. このような現状に対し,以下の 2 つの防止策について考. の信憑性を高めるとともに,実際に利得を追求する海賊版. 察する.. 業者が,無断で二次利用して製品化する,という選択肢を. 3.6.1 コミットメント. 採用する可能性を減じることができる.. 本章における検討の枠組みは,図 1 に示すような逐次 手番ゲームである.逐次手番ゲームにおいては,自分の行. 4. おわりに. 動をあえて限定するような意思表示することにより,相手. 本研究では,ある企業が権利を有する著作物を,海賊版. の行動をうまく誘導することができる場合がある.これを. 業者が無断で二次利用して製品化するか否か,という意思. 「コミットメント」という [5].. 決定問題を,ゲーム理論の枠組みを用いてモデル化し分析. 本研究の例において,海賊版業者 a に無断で自社のキャ. した.モデル化においては,関連する先行事例の判例に基. ラクタを二次利用されたときの企業 b の採り得る戦略は,. づき,損害賠償請求額の決定に関するパラメータの設定を. 提訴するかしないかの 2 つである.ここで企業 b が,無断. 行った.. で二次利用された場合は必ず訴訟するという意思表示を表. 分析の結果,海賊版業者にとって,著作物の権利を有す. 明したとする.つまり,常に r = 1 であり,訴訟しないと. る企業から損害賠償を提訴され賠償金を支払うリスクは無. いう選択肢を企業 b 自らが放棄する,ということである.. 視できるくらい小さい,という現状が明らかになった.ま. この場合,海賊版業者 a のペイオフが減少することが確. た,この結果を踏まえ,海賊版業者が権利を侵害しないと. 定する.図 2 におけるエリア α はなくなり,エリア β だけ. いう意思決定に導くための方法として,コミットメントと. のペイオフしか見込めなくなる.このことにより,無断で 二次利用して製品化する,という選択肢を海賊版業者が採 ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. *1. 例えば,2 章で登場した任天堂は,近年の海外売り上げ比率は常 に 70%を超える.. 4.

(5) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-EIP-84 No.11 2019/6/4. 懲罰的損害賠償について考察した. 今後は,提案モデルの評価と精緻化へのフィードバック のため,提案モデルが様々な状況に適用できるかを確認す ることにより,提案モデルの適用範囲を明確にしたい.具 体的には,これまでの知的財産権侵害に関する判例を収集 し,それらの事例に対してモデルの適用を行うことで,モ デルと現実の乖離状況を特定したい. 参考文献 [1]. [2]. [3]. [4]. [5] [6]. 総 務 省:情 報 通 信 白 書 平 成 30 年 版 第 5 章 第 1 節 8「 コ ン テ ン ツ 市 場 の 動 向 」( オ ン ラ イ ン ), 入手先< http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/ whitepaper/h30.html >,(2019). 特 許 庁:2015 年 度 模 倣 被 害 実 態 調 査 報 告 書 ,入 手 先 < https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/mohohin/ jittai.html >,(2016). 警 察 庁:平 成 29 年 に お け る 生 活 経 済 事 犯 の 検 挙 状 況 等 に つ い て ,入 手 先 < https://www.npa.go.jp/ publications/statistics/safetylife/seikeikan/ H29nennpou.pdf >,(2018). 東 京 地 裁:平 成 2 9 年( ワ )第 6 2 9 3 号 入 手 先 < http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/ 072/088072_hanrei.pdf >,(2018). 渡辺隆裕:ゲーム理論入門, pp. 65–71, 日本経済新聞出版 社 (2008). 中山信弘:著作権法, pp. 500–501, 有斐閣 (2007).. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 5.

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