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平成 14 年 7 月より再検討の審議を重ね, 改正前会計基準において認められていた例外処理を廃止する結論に至り, 平成 19 年 3 月に会計基準が改正され, 従来売買取引とみなす規定の対象は, 所有権移転ファイナンス リース取引のみであったのが, 所有権移転の有無を問わず, その対象となり (

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リース取引と税務

Lease Dealings and Tax Treatment

町 惇 彦

Atsuhiko MACHI

<要約> 平成 19 年度の改正により所有権移転外 ファイナンス・リース取引はそれまで賃貸借取引に 係る方法に準じた会計処理のオフバランスを認めて きたが, 会計上は,この例外処理を認めず,所有 権移転外ファイナンス・リース取引の処理方法を売 買処理に統一した。税務上も基本的に会計基準に即 した取扱いを行うこととした。この所有権移転外フ ァイナンス・リース取引のオンバランス化の論点を 紹介し,オンバランス・オフバランスのメリット, 会計基準と税制の相違点及び減価償却の計算にどの ように影響するか確認する。 <キーワード> オンバランス,賃貸借取引,メリ ット,現在価値基準,経済的耐用年数基準 1.リース取引の概要 リース取引は法的には賃貸借取引であるが,改正前 会計基準では,経済的実態に着目し,通常の売買取 引に係る方法に準じた会計処理を採用している。 しかし,ファイナンス・リース取引のうち,所有権 移転外ファイナンス・リース取引については,一定 の注記を要件として通常の賃貸借取引に係る方法に 準じた会計処理を採用することも認めてきたことか ら,大半の企業においてこの例外処理が採用されて いる。この例外処理の再検討を行い,改正前会計基 準の問題点として,特定のユーザーに対して長期間 貸与し中途解約を原則として認めないといった賃貸 借にない特徴の取引であり,このため,リース契約 は,民法上の賃貸借に金融的側面を加味した契約類 型と整理され,リース会社は,リース物件について, 修繕・保守義務,危険負担,瑕疵担保責任を負わな い,借手にその全てを負担させるフルペイアウトの 契約内容になっていることから,また「ディスクロ ージャーの観点から借手に資産および負債を認識す べきであり,特にレンタルと異なり,使用の有無に かかわらず借手はリース料の支払義務を負い,キャ ッシュ・フローが固定されることから,「借手は, 債務を計上すべきであること」「本来,代替的な処理 を認められるのは,異なった経済的実態に異なる会 計処理を適用することで,事実をより適切に伝えら れる場合であるのに,例外処理がほぼすべてを占め る現状は,会計基準の趣旨を否定するような特異な 状況であり,早急に是正される必要があること」の 2 点が企業会計基準委員会ASBJ が問題とした点であ り(会計基準 31 項)(あずさ監査法人・KPMG 税理士法人 2008.7)

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平成 14 年 7 月より再検討の審議を重ね,改正前会計 基準において認められていた例外処理を廃止する結 論に至り,平成 19 年 3 月に会計基準が改正され,従 来売買取引とみなす規定の対象は,所有権移転ファ イナンス・リース取引のみであったのが,所有権移 転の有無を問わず,その対象となり(法人税法 64 条の 2 第 1 項),所有権移転外ファイナンス・リース 取引も原則として「売買取引」とみなされることに なった。平成20 年4月1日以降に締結される契約で, ファイナンス・リース取引に該当するものは,リー ス会計上も税務上も売買があったものとして処理さ れることになった(リース会計基準 9 項・法人税法 64 条の 2①)。 そのため,ファイナンス・リース取引に係る投下資 金はリース料(賃借料)として費用処理するのではな く,オンバランスした固定資産の減価償却を通じて 費用化されることとなった。 2.リース取引の分類 会計基準およびリース税制におけるリース取引の 分類は,いずれも改正前会計基準および平成 19 年度 税制改正前のリース税制における分類を踏襲してい る。 会計基準ではファイナンス・リース取引(基準 5)と ファイナンス・リース取引以外のリース取引をオペ レーティング・リース取引(基準 6)に分類している が,会計基準の「ファイナンス・リース取引」およ び「オペレーティング・リース取引」の範囲と税制 上の「リース取引」(法法 64 の 2①)および「リー ス取引以外の賃貸借取引」(法法 64 の 2②)の範囲 は完全に一致するわけではないが,おのおのほぼ同 様である。 3.所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権 移転外ファイナンス・リース取引の区分 「ファイナンス・リース取引」とは,①リース期間 の中途において当該契約を解除することができない リース取引またはこれに準ずるリース取引で「解約 不能リース取引」②借手が,リース取引に基づき使 用する物件からもたらされる経済的利益を実質的に 享受することができ,かつ,当該リース物件の使用 に伴って生じるコストを実質的に負担することとな るリース取引をいう「フルペイアウト」(リース会計 基準 5 項、適用指針 5 項)。 「オペレーティング・リース取引」とは,ファイナ ンス・リース取引以外のリース取引をいう(リース 会計基準 6 項)。 税務上はオペレーティング・リース取引の規定はな く,賃貸借取引そのものの扱いになっている。 会計基準規定のファイナンス・リース取引(5 項)は 同規定の税法基準(法 64 条の 2 第 3 項第一号・二号) との要件を満たす必要があり,その経済的実質に基 づいて判断すべきもので,更に次の(1)又は(2)のい ずれかに該当する場合に,ファイナンス・リース取 引と判定される(適用指針 9 項)。 (1) 現在価値基準 リース料総額の現在価値≧見積現金購入価額×90% (2) 経済的耐用年数基準 解約不能のリース期間≧経済的耐用年数×75% 耐用年数基準に関する会計と税務の相違 リース期間÷ 耐用年数 会計上の取扱 い 税務上の取扱 い 70%(60%)未満 賃貸借処理 売買処理 70%(60%)以上 ~75%未満 賃貸借処理 賃貸借処理 75%以上~120% 以下 売買処理(原則) 賃貸借処理(例 外) 賃貸借処理 120%超 売買処理(原則) 賃貸借処理(例 外) 売買処理 (注1) 会計と税務で同じ耐用年数を用いるものとする。 (注2) カッコ付きで記した 60%は、物件の耐用年数が 10 年以上の場合に適用される。 加藤久明『現代リース会計論』2007 年 6 月 25 日 140 頁より抜粋 現在価値基準は,リース料を現在価値に割り引くが, 税務上は,賃借料の金額の合計額がその資産の取得 のために通常要する価額のおおむね 90%に相当する 金額を超える場合には,資産の使用に伴って生ずる 費用を実質的に負担すべきものであることに該当す るものとする(令 131 の 2②)。 解約不能期間中のリース料総額>リース資産の取得

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に要する価額×90% 「現在価値に割り引かない方が数値は大きくなるた め,割り引かない税法基準の方がフルペイアウト判 定となる可能性が高い。それは,会計上オペレーテ ィング・リース取引と判定される取引でも,税務上 はファイナンス・リース取引と判定されるケースが ありえるということになる」(大熊一弘 2011.5)。 会計上の耐用年数基準はその割合が「75%以上」の場 合に売買処理することを原則としているが,「70%未 満」(耐用年数が 10 年以上の場合は 60%未満),また は「120%超」である場合を挙げていた(基本通達 12 の 5-2-7 現在削除された)。「税務上では,経済的耐 用年数の判定基準はない」(大熊一弘 2011.5)。 以下の改正リース税制における4要件①~④のうち ④の要件は税法特有の規定で、新リース会計基準に 従って所有権移転外ファイナンス・リース取引と判 定された場合であっても,④の要件に該当する場合 は税務上の取扱いとして「所有権移転リース取引」 と判定されます。(税理士法人赤坂共同事務 2008.4)。 ① 譲渡条件付きの「リース取引」 ② 割安購入選択権付き「リース取引」 ③ 特別仕様物件または識別困難な資産の「リース 取引」 ④ リース期間が法定耐用年数に比して相当短い 「リース取引」 リース期間が法定耐用年数に比して相当短いもの (そのリース取引に係る賃借人の法人税の負担を著 しく軽減することになると認められるものに限る) であること(令 48 の 2⑤五)。「相当短いもの」とは リース期間がリース資産の耐用年数の 100 分の 70 を下回る期間であるものをいう(基本通達 7-6 の 2-7)。 税務上は、賃借料(リース料)の金額の合計額がそ の資産の取得のために通常要する価額のおおむね 90%に相当する金額を超える場合には,当該資産の使 用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきことと されている(法令 131 条の 2 第 2 項)。会計上は,リ ース料総額を現在価値に割り引いて 90%基準判定を 行うが,税務上は,リース料総額そのもので判定を おこなう。現在価値に割り引かない税法基準の方が フルペイアウト判定となる可能性が高い。税務上の ファイナンス・リースの方が,会計よりも範囲が尐 し広くなる。会計上,フルペイアウトに該当しない と判定され,オペレーティング・リース取引と判定 された場合,賃貸借処理が適用される。それに対し て,税法上,フルペイアウトに該当すると判定され, ファイナンス・リース取引と判定された場合,売買 があったものとして取り扱われる。このような不一 致が実務上の問題を発生させるのかは,結論として は,法人税法上は,問題は発生しない。 ファイナンス・リース取引と判定されたもののうち 次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合には,所 有権移転ファイナンス・リース取引に該当するもの とし,それ以外のファイナンス・リース取引は,所 有権移転外ファイナンス・リース取引に該当するも のとする(適用指針 10 項)。 (1)リース契約上,リース期間終了後又はリース期間 の中途で,リース物件の所有権が借手に移転する こととされているリース取引 (2)リース契約上,借手に対して,リース期間終了後 又はリース期間の中途で,名目的価額又はその行 使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な 価額で買い取る権利(割安購入選択権)が与えら れており,その行使が確実に予想されるリース取 引 (3)リース物件が、借手の用途等に合わせて特別の仕 様により製作又は建設されたものであって,当該 リース物件の返還後,貸手が第三者に再びリース 又は売却することが困難であるため,その使用可 能期間を通じて借手によってのみ使用されること が明らかなリース取引 この平成 19 年に公表された新会計基準では,所有 権ファイナンス・リースだけでなく,所有権移転 外ファイナンス・リースについても,例外なく売 買取引に準じて会計処理を行うことになった(会 計基準第 9 項、適用指針第 21 項、36 項)。「ただ し,依然として両者(所有権移転と移転外)を分類 している(会計基準第 8 項)。これは、リース資産 の減価償却方法,利息相当額に関する取り扱い等 に違いがあるためである」(吉田博文,・安達俊夫・

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青山伸一)。 4.所有権移転外FLの例外処理容認の理由 「リース会計基準の基本的な考え方は,ファイナ ンス・リース取引については経済的実質を重視し て売買取引として処理し,オンバランスすること にある。しかし,この原則に対して,リース業界 から根強い反対が寄せられた。レッシー・サイド からみると,リース利用の目的は事務の合理化, 簡便な会計処理,リース料の経費処理,陳腐化対 応,効率的資金運用,コスト把握・予算管理の容 易性等の利点が挙げられるが,こうした利点が損 なわれることにより,リース利用の減退,ひいて は設備投資促進に大きな影響を与えることになる。 レッサー・サイドからみるとリース利用の利点が 失われることから,リース産業そのものの存立基 盤が損なわれる恐れがある。またメーカー・サイ ドからすると新しい販売促進手段であるリースの メリットである資金負担の軽減や債権回収上のリ スク回避が失われ,メーカーの経営が大きな影響 を受けることになりかねない。リース業界はファ イナンス・リース取引の資産化が上述したような 経済的影響を及ぼすことを懸念して,これに強く 反対し,法的側面を重視した現行の賃貸借方式を 継続することを主張した。こうした実状をふまえ て,リース会計基準は,売買に係る方法に準じて 会計処理を行うことを原則としながら他方におい て例外規定を設け,リース物件の所有権が借手に 移転すると認められるもの以外のファイナンス・ リース取引については,通常の賃貸借取引に係る 方法に準じて会計処理を行うことができるとして, 現行の会計実務を容認することにした。ただし, この場合には売買として処理してオン・バランス した場合と同様な情報を注記として開示すること を条件としたのである。」 このように,会計基準の設定過程において,産業 界は,リースをオンバランス化するという基本的 な考え方それ自体に対して,いわゆる経済的帰結 論をもとに強く反対していた。そのことが,所有 権移転外 FL に限って例外法を容認するという妥 協につながったと考えられる。(加藤久明 2007.6) 5.オンバランス化への改定動向 リースが法的形式に従って,賃貸借されてきたのは, 有形固定資産の認識を使用権でなく,所有権と関連 づけられてきたことと,継続的契約のリースは,当 事者双方が将来的な義務の履行を残した未履行契約 であると理解されてきたことが理由であった。リー ス会計基準(現行基準)は,法的形式よりも経済的 実質を重視して,法的形式は賃貸借であってもその 実質が割賦購入に近いものは賃貸借としてではなく, 割賦購入として処理されることが要求される。リー スと割賦購入の類似性が成立するのは,物件の所有 に伴うリスクと便益が実質的にすべて移転する場合 と考えられるが,現行基準では,ノンキャンセラブ ル要件とフルペイアウト要件を同時に満たす場合に それが生じるとしている。現行基準は,取引の経済 的実質に注目して,リースと割賦購入の類似性が成 立する場合,すなわち,リスクと便益の全部移転が 生じる場合に,レッシーに対してリース・オンバラ ンス化を要請している(リスク・経済価値アプロー チ)。現行基準(リース会計基準)がリース・オンバ ランス化を要請するのは,リースと割賦購入の比較 可能性を確保するためである。例えば,リース期間 と耐用年数が同じで,残存価額がゼロ,リース総額 が物件の購入価額と概ね等しく,その支払いを免れ ない場合,物件の取得にあたってリースと割賦購入 のどちらを選択しても,その経済的実質は同等と捉 えられる。ところが,物件の取得者は,割賦購入と して処理するとオンバランス化し,賃貸借として処 理するとオフバランス化することになる。 オンバランス化は,資産と資本の比率や負債と資 本の比率を悪化させるが,オフバランス化によって それは避けることができる。物件の取得者はこのオ フバランス効果を享受するために,取引の経済的実 質が同じであれば割賦購入よりもリースを選択する。 現行基準はリースと割賦購入の比較可能性の欠陥を 防ぐ意味が込められている。 現行基準のリスク・経済価値アプローチに基づく リースの分類方法に問題があるとされた。リスクと

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便益が全部移転する場合に,リースはオンバランス 化される。その一部が移転するだけではオンバラン ス化されない。リスクと便益の全部移転は,ノンキ ャンセラブル要件とフルペイアウト要件を同時に満 たすことにより判定されるから,たとえノンキャン セラブル要件を満たしても,フルペイアウト要件を 満たさなければ,解約不能 OL として注記されるにと どまり,オンバランス化されないことになる。しか しながら,理論上,解約不能 OL から生じる権利(使 用権)・義務(リース料支払義務)は,金額の多寡はあ るとしても,レッシーがその権利を占有することが でき,かつ,その義務を回避することができないと いう点で,FL から生じる権利・義務と本質的に異な るものではない。よって解約不能 OL は,FL と同様 にオンバランス化しなければならない。また使用権 は所有権の一部であるから,リースによる「使用」 と購入による「所有」は,そもそも同じであるはず がない。よって,「全部移転」の論理で両者の会計処 理を無理やり同質化するのではなく,「一部移転」で 考えて会計処理する方が,リース会計的表現として 適切でありうる。また,現行基準は有効に機能して いない。会計基準上は,リース・オンバランス化の 要件と基準が明確にされているが,企業側ではどの 基準にも適合しないように契約条項を工夫するなど, 意図的な基準回避行動が展開されている。具体的に は,フルペイアウト要件の回避行動が顕著である。 なかでも耐用年数基準 75%、現在価値基準 90%につい て,現在価値基準で,91%であればオン,89%であれ ばオフとして処理される。これは,所定の割合を超 えるか否かによって,リスクと便益が全部移転する か否か,リースの経済的実質が売買なのか賃貸借な のかを判定していることによる。このごく僅かの差 でオン・オフの処理が変わってしまう。そのような 絶対的な線引きが基準回避行動の温床となっている のであり,全部移転のみで判断し,一部移転のオン バランス化がないことが,FL の OL 化を助長してい ると結論づけた。一部移転のオンバランス化が問題 となり,全部移転(所有権の移転)ではなく,所有 権の構成要素である使用権の移転(一部移転)でもっ て,リースをオンバランス化することが検討される ことになった。これは,割賦購入との類似性によっ てリースをオンバランス化することを放棄すること を意味する。現行基準におけるリース・オンバラン ス化の論理的基盤そのものが問題視された。1996 年 発表されたスペシャル・レポートはリース・オンバ ランス化の論拠を資産・負債の定義及び認識基準と の整合性に求めている。レッシーは,リース期間に わたって物件を使用して経済的便益を得ることがで き,かつレッサーにリース料を支払わなければなら ないので,経済的便益が企業に流入するか,または 流出する可能性が高い,またリース料は使用権の対 価であると想定され,リース料の額は契約上明記さ れているから,リース資産・負債の金額は測定可能 である。このように概念フレームワークとの整合性 に基づいて認識すべき資産・負債が実在しているこ とを説明し,それをリース・オンバランス化の論拠 とした。現行基準(経済的実質によるリース会計)が ノンキャンセラブル要件とフルペイアウト要件の同 時充足を不可欠とするが,SR(概念フレームワークに よるリース会計)は,ノンキャンセラブル要件の充足 を必要とし,フルペイアウト要件の充足を不要とす る。したがって,SR の考え方によれば,FL と解約不 能 OL は,金額の多寡はあるとしても,リース期間に 係る権利・義務が確定的であることに変わりはない から,ともにオンバランス化すべきことになる(加藤 久明 2007.6)。 現行リース会計基準では,リース期間の中途での解 約は不能とし,かつ,使用する物件からもたらされ る経済的利益を享受すること,当該物件の使用に伴 って生じるコストを負担することとなるリース取引 として,フルペイアウトを要件とし,現在価値基準, 経済的耐用年数基準のいずれかに該当する場合をF Lの要件とするも,「税務上では,経済的耐用年数の 判定基準はない」(大熊一弘 2011.5)・(法人税法 基本通達 12 の 5-2-7 削除)。これは,企業がどの基 準にも適合しないように意図的に基準回避行動を展 開することによる実務上の混乱を回避するために, SR(概念フレームワークによるリース会計)の所 有権売買から使用権の売買の考え方から,フルペイ アウト要件の充足を不要とするとされている。

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6.リースのメリット ①資金調達効果がある リースの利用によって一括払いで購入するのと違 い,多額の金額を一時に支払う必要性がなくなり, 使わずに済んだ余剰分は,他のプロジェクトに投資 が可能となる。銀行から資金を借り入れるとなると, 支払能力に応じて借入限度枠が限定され,融資額が 制限される。 ②陳腐化に対応できる 購入物件は,耐用年数にわたって減価償却を行う が,耐用年数を経過する前に陳腐化してしまうこと が多いから,耐用年数より短いリース期間を設定す る場合が多く,陳腐化に対応している。 ③オフバランス効果がある リース取引を売買処理する場合,会計上,資産と して計上しなければならないが,賃貸借処理する場 合は,リース料の全額を費用として損益計算書に計 上することができ,資産計上もないから,安全性の 指標の悪化,企業能力の低下が減尐したようにみえ, 借入限度枠の引き下げ等が予想されるので,資金調 達能力は減尐する。そのため借入れを伴いながら物 件を導入しても,財務比率を悪化させない手法があ るとしたら,そちらを選択する。 ⑤ 節税効果がある 税務上,購入の場合は,耐用年数にわたって減価 償却費を損金算入することが認められる。借入を伴 っている場合には,支払利息を損金算入することも 認められる。これに対して,リースの場合は,リー ス料の全額を損金算入することができる。そのため, 物件を購入する代わりにリースを利用し,物件の購 入代金をリース料として支払い,リース期間を耐用 年数よりも短く設定しておけば,損金を前倒しで参 入することになるので,その効果は,耐用年数を圧 縮して早期償却を行うことに等しいといわれている。 (加藤久明 2007.6) 7.次の設例の会計処理を,会計基準・適用指針に 従って具体的に会計処理(借手)に必要な解説を示 してみる。 [設例]リース物件(機械装置) 前提条件 (1) 所有権移転条項 なし (2) 割安購入選択権 なし (3) リース物件は特別仕様ではない。 (4) リース開始日:×1 年 4 月 1 日,解約不能リー ス期間:5 年 (5) リース料支払:×2 年 3 月 31 日から 5 回均等払 年額:20,000 円、 (6) 借手の見積現金購入価額:101,000 円 (7) リース物件(機械装置)の経済的耐用年数:8 年 (8) 借手の減価償却方法はリース定額法で行う (9) 借手の追加借入利子率:年 3% (10)リース期間終了時に処分価額 10,000 円まで保 証する残価保証条項が付いている。 (11)リース期間終了時のリース物件の処分価値は 4,000 円であった。 [借手の会計処理] ファイナンス・リース取引の判定(適用指針 9) ① 現在価値基準による判定 貸手の計算利子率を知り得ないため,借手の追加借 入利子率である年 3%を用いてリース料総額を現在 価値に割り引くと

 

 

1 0.03

100,220 000 , 10 03 . 0 1 000 , 20 03 . 0 1 000 , 20 03 . 0 1 000 , 20 03 . 0 1 000 , 20 03 . 0 1 000 , 20 5 5 4 3 2             年金現価係数 n r 2% 3% 1 年 0.9804 0.9709 2 年 1.9416 1.9135 3 年 2.8839 2.8286 4 年 3.8077 3.7171 5 年 4.7135 4.5797 6 年 5.6014 5.4172 現価係数 1年 : 0.9709 2年 : 0.9426 3年 : 0.9151 4年 : 0.8885 5年 : 0.8626

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年金現価係数と現価係数で計算する場合 20,000×4.5797+10,000×0.8626=100,220 100,220>101,000×90%=90,900 ② 経済的耐用年数基準 5 年÷8 年=0.625 62.6%<75% 経済的耐用年数基準には該当しないが,現在価値基 準に該当するので,ファイナンス・リース取引と判 定され,さらに前提条件(1)~(3)により,所 有権移転外ファイナンス・リース取引と判定される。 ×1 年 4 月 1 日(リース開始時) (借)リース資産 100,220 (貸)リース債務 100,220 利息法によるリース債務返済スケジュール表 日付 期首 元本 リース 料 利息分 元本 返済 期末 元本 1/4/1 100,220 100,220 2/3/31 100,220 20,000 3,007 16,993 83,227 3/3/31 83,227 20,000 2,497 17,503 65,724 4/3/31 65,724 20,000 1,971 18,029 47,695 5/3/31 47,695 20,000 1,431 18,569 29,126 6/3/31 29,126 20,000 874 19,126 10,000 当期末(2/3/31)のリース料支払時 (借)支払利息 3,007 (貸)現金預金 20,000 リース債務 16,993 当期末の減価償却費の計算 リース資産の償却年数については,原則として,リ ース期間を耐用年数とすることとされているが,リ ース期間終了後の再リース期間をファイナンス・リ ース取引の判定においてリース期間に含めている場 合は,再リース期間を当該耐用年数に含めるものと する。また,残存価額については原則としてゼロと することとされている(リース会計基準 12 項 リー ス定額法)が,リース契約上に残価保証の取決めがあ る場合は,原則として,その残価保証額を残存価額 とする(適用指針 27 項)。 (100220―10,000)÷5=18,044 (借)減価償却費 18,044 (貸)リース資産減価償 却累計額 18,044 リース期間終了時の処理 リース期間終了時においては,通常,リース資産の 償却は完了し,リース債務も完了しているため,リ ース資産を貸手に返却する処理を除き,特に会計処 理を要しない。ただし,リース契約に残価保証の取 決めがある場合は,貸手に対する不足額の確定時に 当該不足額をリース資産売却損等として処理する。 また,再リース期間を耐用年数に含めない場合の 再リース料は,原則として,発生時の費用として処 理する(適用指針 29 項)。 残価保証額 10,000-処分額 4,000=6,000 円(指針 29) (借)リース資産売却損 6,000 (貸) 未払金 6,000 リース債務 10,000 その他の流動資産 10,000 8.中小企業の「所有権移転外ファイナンス・リー ス取引に係る会計処理」 「所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借 手は,通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理 を行う。ただし,通常の賃貸借取引に係る方法に準 じて会計処理を行うことができる」(中小企業の会 計に関する指針 74-3)。売買取引として処理する(リ ース会計基準 9 項、適用指針 21 項)ことが本来の処 理方法となっているが,中小企業にはその処理を賃 貸借として処理することを容認している。19 年税制 改正前所有権移転外ファイナンス・リース取引の例 外処理を引き続き認めた。その理由の一つには、「購 入(売買処理)とリース(賃貸借処理)のどちらを選択 しても,課税所得の計算上,法人税の総額は同じで ある」(加藤久明 2007.6)。ことが根拠の根底にある。 9.尐額リース資産及び短期のリース取引に関する 簡便的な取り扱い(適用指針 34.35) (1)重要性が乏しい減価償却資産について,購入時に 費用処理する方法が採用されている場合で,リース 料総額が当該基準額以下のリース取引 (2)リース期間が1年以内のリース取引 (3)企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリー ス取引で,リース契約1件当たりのリース料総額(維 持管理費用相当額又は通常の保守等の役務提供相当 額のリース料総額に占める割合が重要な場合には, その合理的見積額を除くことができる。)が 300 万円 以下のリース取引(ただし,所有権移転外ファイナン ス・リース取引に限る。) (1)~(3)の箇々のリース資産に該当する場合,オペ レーティング・リース取引の会計処理に準じて,通

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常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行う ことができる。「なお、この場合でも,税法上はあく までもファイナンス・リース取引であるため売買が あったものとして取り扱われる」(大熊一弘 2011.5)。 その場合,「賃借料として損金経理した金額は,償却 費として損金経理した金額に含まれるものとされ る」(法令 131 の 2③)。利息を含んだリース料を賃 借料として,リース期間内に損金経理する賃貸借処 理の方が,事務処理上,簡便である。 ① (借)リース料(賃借料) ×× (貸)現金預金 ×× (借)減価償却費 ×× (貸)リース料(賃借料) ×× ② (借)リース債務 ×× 支 払 利 息 ×× (貸)現金預金 ×× (借)減価償却費 ×× (貸)リース資産減価償 却累計額 ×× 一方,「支払うべきリース料の額を賃借料として損金 経理をしているときには,当該リース料の額のうち 元本返済額に相当する部分の金額については,償却 費として損金経理をした金額に含まれるものとす る」(法人税法基本通達 12 の 5-2-3)場合は,リース 料に含められている利息部分が明らかで,支払利息 勘定で計上する。 リース資産の減価償却費は,耐用年数間に償却され るが,賃貸借処理する場合には耐用年数より短いリ ース期間を設定する。 リース定額法は残存価額をゼロとして早期償却を行 うため減価償却費が大きく,従って,損金処理額が 多い分だけ,課税所得が尐なくなり,リース期間中 は,賃貸借処理の方が税額は尐なくなり,借手にと って節税のメリットとなるが,耐用年数経過時点で 比較をすれば,「購入と(売買処理)とリース(賃貸 借処理)のどちらを選択しても,課税所得の計算上, 法人税の総額は同じである」(加藤久明 2007.6)。と いう結論が導き出される。 参考文献 税理士法人赤坂共同事務所編著(2008 年 4 月発行) 『リース取引の会計と税務』31,中央経済社 あずさ監査法人KPMG税理士法人編著(2008 年 7 月発行)『リース会計・税務の実務ガイド』6 ページ 中央経済社 井上雅彦著『リースの法律・会計・税務』税務研究 会出版局 太田達也著『リース取引の会計と税務』税務研究会 出版局 加藤久明著(2007 年 6 月発行)『現代リース会計論』 31.32.33.160 ページ 中央経済社 北村信彦著日本税理士会連合会編(2007 年 9 月)『リ ース取引』第6版 中央経済社 吉田博文・安達俊夫・青山伸一著(2007 年 12 月)『リ ースの会計と税務』 96 ページ 税務経理協会 大熊一弘著(2011 年 5 月発行)「リース資産の減価償 却」税経通信 2011.5 月号 76 ページ

参照

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