長野工業高等専門学校紀要 ・第
2 8
号( 1 9 9 4 ) 1
座位時における負荷部表示装置の開発
宮尾芳一 青木博夫 和田一秀
(平成
6
年9
月3 0
日 受理)The Development of the Apparatus for Display of Loaded Part at Sitting Yosikazu MIYAO Hiroo AOKI Kazuhide WADA
Fa c i ngt hes o c i e t yoft heage d, p e opl ewhone e dt hewe l f a r ea p pa r a t usar ei nc r e as ・ i n g,a n dne c e s s a r yappa r a t usar evar i e d. Sot hec o mme r c i a l l yde ve l o pe dappar at usc a n no tal way sme e tt hee a c hne e ds .
Byt heway,ge ne r al l ys pe aki ng,t het i meofs i t t i n goft hehan di c ap pe dp FOpl ear e l o nge rt hant heme no fhe a l t h. Be s i de s , t he yc a nno tmo vet he i rownbod i e sast hel a t t e r c a n.Anda mongt he m,t he r ear epe o pl ewhoha vel e s i o no fs e ns ea tt hebut t oc ks .So , t
he r ea r eno taf e wpe o pl ewhoa r es uf fe r e df r o m t hebe ds o r e .Top r e ve ntt hatdi s e as e , de ve l o pme n toft hea ppar a t uswhi c hc andi s pl ayl o a de dpa r tont h ebut t oc kshasbe e n d e s i r e d.
The r e f o r ewede v e l op e dt hes uc hap pa r a t us .Byus i ng仇i sapp a r at us ,t hel e ar ni n g e f fe c toft her e l a t i o nbe t we e nt hel oa de dc o ndi t i ona nds l i g hts e ns eoft heha ndi c appe d c a nbee xp e c t e d.
1
.
は じ め に高齢化社会 を迎 え,福祉機器を必要 としている人 は年々増加 し,必要 とされ る機器 も多様 化 している.福祉機器は商業ベースで開発 されているが,各々の障害の状態に対応 しきれ な いのが現状である.そこで我々は,工学的技術で少 しで も貢献すべ く福祉関連機器 の開発 を 行 っている1).
健常者 に比べ,障害者 はどうしても座 っている時間が長い. また,一般的に座 っている場 合 も体の動 きが少ない.背部 に感覚障害を持っ人 もいる.そのため,いわゆる床ずれがお こ ることもあ り,それに悩 まされている人 も少な くない.そこで床ずれを防 ぐためにどの部分 に負荷がかかっているかを表示す る装置の開発が求め られていた.我々は,座 っているとき 一定時間同じ位置に負荷がかかると表示す る装置を開発'したので報告す る.
また,腎部 に感覚障害の持つ人が この装置を使 うことによって,負荷のかかっている状態 と自分のわずかな感覚の関係が学習できる効果 も期待できる.
●機械工学科 助教授
= 電気工学科 助教授 日暮機械工学科 技官
.写.基 本 p機 能
本装置 は要望 に答 え,次の機能 を満たす ように製作 した.
・同一部分の負荷状態のカウン トが
3 0
分 になった ら,その位置 を表示す る.・3 0
秒間の無負荷状態が続いた らカウソ トを リセ ットす る.・上記の時間設定 を簡単 に変更で きる.
・使用者 に違和感を与 えない.
・どの椅子で も使 うことがで き,rセソ与の厚み はク ッシ ョpソ程度 とす る.
3.
システムの構成基本機能を満たすために,図
1
に示すシステムを構築 した.座布 団内に組み込 まれたセンサのデ、‑ タを順次 ポケコン (シャープPC G1 81 3 )
に取 り込み/負荷 のかか っている時間をガウン トす る.そ して,一定時間負荷状態が疲 いた ら表示部 のLEDを表示す る.各位置 における負荷の大 きさを 判別で きるセ ンサだ と色々な応用 が考 えられるが,セ ンサ等が複雑 とな り装置も大がか りになって し ま う. ここでは簡便であ り,セ ソ サの厚みを少 な くす るため, スポ
図
1
システム構成ソジを押 しているか,いないかを判断す るセソサ とした.
ポケコンを使用 した理 由は コンピュータ機能でデータ処理が色々 と発展 させ られ ること, パ ソコソと違 い持 ち運 びが簡単であることによる.
図2 センサ部
座位時における負荷部表示装置の開発
3‑ 1 センサ機能マット
マ ッ ト部 は,通常の使用 と変 わ りな く違和感がない よ うに
,4 0 0×4 00×3 0
nnのスポンジを 用いた.セ ソサは,図2
に示す よ うにスポンジに64
個 の穴 をあけ,上部のゴム板 の穴 中心 の それぞれ取 り付 けた接点に5V
電圧をかけ,それがスポンジ下部 の導電板 に接す ることで, 接点 の電位 レベルが無負荷状態 のH ( Hi gh)
か ら負荷状態 のL ( Low)
にな る. このH
,L
の信号をデータとした. どの部分に負荷がかか っているかの6 4
個のデータを, 8
個ずつ順 次ボケコソに転送す る.また,体重が軽 いため完全に接点を押せない ときは, スポソジの穴 内にコイ.ソ状 の導電板 を置 くことで調整がで きる.
3‑2
電子回路マ ッ トの どの位置 に負荷がかかっているかのデータを, ポケ コンに転送す る為 の入力 回路 を図
3 (a)
,ポケコンか らのデータでLED
を点灯 させ る出力回路を図3
(b)に示す.(1) 入力回路
マ ットか らのデータを
I C SN7 4 4 6 5( Oc t a 13 ・ St a t eBu sBuf fe r s )
に入れ る.・これはデー タがH
かしかをポケコンに送 るためのI C
である.使用す るポケ コンが8
ビッ トであ り,6 4
個 のデ∵タを同時に入力す ることがで きない.そ こで, このIC
l個 につ きマ ッ・トのセ ンサ8
箇所 が対応 し,計8
個が使われている.この
I C SN7 4 1 5 4( 4t o1 6De mul t i p l e xe r )
は,ボケコソか らの一定時間毎 の信号 によ り図
3 ( a
) 入力回路人ノJ側 8個 の
l C SN7 4 4 6 5
を順序 よ く作動 させ, データを転送す るための ものであ る.( 2 )
出力 回路一定時間負荷状 態 で
, L
の信号 が続 くと, ボ ケコソ内 よ り指示 が出て,表示部 のLED
を 点灯 させ る. ボ ケ コソか らのデータ転送 は瞬時 であ るため,デ ータ内容 を保持す るためI C SN7 4 5 3 ( Oc t a 】 3 ‑ St at e D‑ Lat ch e s )
を2
個使 用 した. この2
個 のI C SN7 4 5 7 3
も,r C
S N7 4 1 5 4
に よ り入力側8
個 のI C
と共 に順序 よ く作動 させ, チ‑タを転送す る.3‑3 ポケコンソフ ト
ポケコンの プ ログラム ソフ トの フp‑チ ャー トをL対 ̀lに′示す. ボケコソ内には
6 4
個 の位置 セ ソサそれぞれに電位 レベルがH
(撫負荷状態) か
L
(無負荷状態) の時間 を和 算す るカウソタを設 けた.まず, プ ログ ラムをスター トさせ,マ ッ ト内の
1
つめ位置 のセ ソサか らH
かし
かのデータを取 り込む.L
な らは,負荷 のカ ウソ トに加算 し, それが3 0
分相 当以 上 な らばLE
t)を点灯 させ る信号 を送 る.30
分相 当未満 な らは次のセ ソサのデ ータ処理 に移 る.Lな らは無負荷 の カ ウソ ト
741 51 7 日 川
を加算 し, それが
3 0
秒相 当以上 な らは, その位LIjEqのセ ンサのLL
とH
の カ ウソ トを ゼ ロに リセ ッ トす る.30
秒未満相 当 な ら は,次のデータに移 る. これをマ ッ ト内 の6 4
個 のセ ソサについて順番 に,繰 り返図
4
フローチャー ト9: :1 2
1 0: :3
4] 二 1 7 8 1一 ▲ ' ー N ‑ 0 ⁝ 3 ▲「 5 付nY O9 8
( こ れL S TT '‑
だ■たチ図
3
(b).tli力Ur,]路写真 1 表示部
座位時における負荷部表示装置の開発
し行 う.
3‑ 4 表示部
どの位置 に負荷がかかっているか分 かるよ うに,写真
1
に示す よ うに マ ッ ト内のセ ンサ4
箇所 につ き1
個 の割合で,計1 6
個 のLED
を椅子 の 写真を張 りつけた板 に埋め込 んだ.今 回
, 4
個 やセ ソサ の うち どれ か1
個 で も3 0
分 負荷状 態 が続 くとLED
を点灯 させ るよ うにした.写真上 のLED
の位置はセ ンサの位置 に 対応 させ, どの位置が負荷状態か,一 目で判断で きるよ うに した.表示 板 との接続 コー ドは1. 5 m
の長 さとし, 目につ き易 い位置 に掲示 で きるよ うにした.‑
4.
機 能 試 験本装置が正常 に働 くか機能試験を行 った.
まず,負荷のか.か り方の実態を知 るために,セ ソサか ら転送 され る
8
ビッ トのデータをプ リソ トアウ トした.その1
例 を図5
に示す.図
5
の1‑8,9‑1 6
は布団内のセ ソサ6 4
個の位置を示す番号 である.2 5 5
や6 3
はセソサのH,L
の8
∴ビッ トを1 0
進数に変換 した もので あ る.すなわち
1‑8‑ 2 5 5
‑‑1 1 1 1 1 1 1 1 9‑1 6‑ 2 5 5
‑‑1 1 1 1 1 1 1 1
573959Lr)5fJlql1dO531Lr72‑8'‑212'̲J
I
'̲1lIlllIllllrllt6
▲ ︼ ' ︼
nv 8
6A︼︼
AUl123ATAT'beU︼〜 〜 二
〜二二 1 O' 7 tr) 3 1 9 7
1●.1
23At▲75 l〜ト〜l〜〜〜l〜 〜 l 〜 〜 〜 〜 〜 1 O77 5 3 ●l d7 7
11 9 7 tr) 3 1 9 7
12P'▲︼■皿︼tE71 2 3 ■1 4 一h■
図5 プT)ソ ト アウト例
1 7 ‑2 4‑ 6 3
‑‑0 0 1 1 1 1 1 1
に転送 データを分析す ることで,負荷 のかか り方が詳細 に記録で きる.
このマ ッ トの各位置のセ ンサのデ‑タを時間の経過でまとめた例 を次 に示す.図
6 ( a)
紘,たきている状態 寝ている状態
IA r "
□ n ・ l ■ ■
(a
)負 荷 状 態(b)連続負荷時 間の‑割合 図
6
結果例健常者が椅子 に座 り,起 きている状態 と寝 ている状態 との負荷 のかか り方を調べた結果であ る. この よ うに,時間 の経過 と共 にどの位置に負荷状態の変化があるかを, よく観察 できる.
起 きていると,色々 な箇所 の腎部が動いていることがわかる.
図 6
(b)紘,同 じ位置 に連続 して負荷がかかる時間の割合をグラフに示 した ものであ る.起 きている状態では,負荷 のかか っている連続時間が5
分以内のものが9 0%
以上 を占め ている が,3 0
分以上 はほ とん どない. しかt,寝 ている状態では, はば全 てが3 0
分以上連続 してお り,腎部 の動 きが少 ない. また,測定後 に足が しびれていた ことか らも,明 らかに血行が悪 くな.っていた ことが分 かる.この実験では
,3 0
分 の負荷状態が継続 した とき,その箇所 に対応す る表示部 のLED
が正 常 に点灯す ることを確認 した.5.
お わ り に我々は,座 っているとき一定時間同 じ位置に負荷がかかると表示す る装置 を開発 し, これ によ り,腎部 に感覚障害を持つ人が,負荷状態が把握で き床ずれを未然 に防 く・ことができ, 自分 の負荷のかけ方を把握 できると思われ る. また, この装置で,具体的に負荷の状 態を計 測で きることも分かった.今後 は装置の改良 とともに色々な人 のデータを取 り検討 したい.
なお,本研究 を行 うにあた り, ご協力Ⅰ臥 、た本校卒業生黒田将仁君,中嶋 さつ きさんに感 謝いた します. さらに,親切 なご指導, ご助言を頂 いた長野県 リ‑ ビリテ‑シ ョソセ ンター の皆様 に感謝の意を表 します.
参 考 文 献