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Academic year: 2021

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(1)

【背景】 肺癌は日本人のがん死亡原因の第

1

位を占める。小細胞肺癌は、肺癌の中でも悪

性度が高く、進行癌として発見されることが多く、化学療法が治療の主体となる。

近年、非小細胞肺癌においては分子標的治療が発展し、

EGFR

遺伝子変異や

ALK

融合遺伝 子などのドライバー遺伝子変異が発見され、それらをターゲットとした治療は既存の化学 療法に対して優れた治療成績を示した。しかし、小細胞肺癌における分子標的治療は確立 されていない。mTOR 阻害薬は、国内において腎細胞癌、膵内神経分泌腫瘍および乳癌に 対し保険適応が承認されており、優れた抗腫瘍効果を示す。小細胞肺癌においても、

mTOR

は約

50%に過剰発現が認められると報告されており、 mTOR

阻害薬は小細胞肺癌において も有望な治療である可能性が示唆される。しかしながら、海外における第

II

相試験におい て、mTOR 阻害剤は再発小細胞肺癌患者に対する認容性が報告されたが、その治療成績は 限定的なものであった。そのため、小細胞肺癌に対する

mTOR

阻害剤の感受性因子の同定 と耐性化の解明が望まれている。

【目的】小細胞肺癌に対する

mTOR

阻害薬の抗腫瘍効果、治療標的因子及び耐性化機序に ついて検討する。

【方法】7 種類の小細胞肺癌細胞株(SBC5、H69、PC6、MS1、SBC3、Lu139、N231)

を用いて、mTOR阻害薬

3

種類(Temsirolimus, Everolimus, Rapamycin)に対する抗腫 瘍効果を

MTS assay

にて評価し、IC50により感受性株と耐性株に分類した。Everolimus 感受性株を用いて、Everolimus 低濃度持続暴露により耐性株を作成し、DNA マイクロア レイとリン酸化抗体アレイにより耐性株における遺伝子発現及びキナーゼ変化を評価した。

【結果】

7

種類の小細胞肺癌細胞株のうち、SBC5のみ

3

種類の

mTOR

阻害薬に感受性を示し、

感受性株と分類した。PI3K/AKT/mTORシグナルのタンパク発現解析をウエスタンブロッ ト法にて検討したところ、全ての細胞株において

mTOR

の高発現が認められた。H69を除 く

5

種類の耐性株では、 p-eIF4Eの高発現が認められた。

mTOR

阻害剤感受性株

SBC5

に対する

Everolimus

低濃度持続暴露により、

2

か月後に、

2種類の

Everlimus

耐性株(SBC5 R1、SBC5 R10)を樹立した。DNAマイクロアレイに よる遺伝子発現解析にて、両耐性株において

SBC5

親株と比較して

MYC

SPP1

の有意 な発現上昇を認めた。リン酸化キナーゼアレイによる解析においては、両耐性株で

p-EGFR

の発現上昇が認められた。耐性株における

MYC, SPP1, p-EGFR

のタンパク発現上昇はウ エスタンブロット法により確認した。

MYC

に対する

FISH

解析においては、両耐性株にお ける

MYC

増幅は認められなかった。

Everolimus

耐性株における

PI3K/AKT/mTOR

シグナルのタンパク発現解析において、

両耐性株において

p-eIF4E

の発現上昇が認められた。5 種類の耐性株および

SBC5 R1、

(2)

SBC5 R10

p-eIF4E

発現上昇における

MYC

の関与を検討するため、siMYCを用いた検 討において、SBC5 R1において

MYC

抑制により

eIF4E

の発現低下が得られた。

SBC5 R1

SBC5 R10

に対し、

siRNA

による

eIF4E

抑制後の

Everolimus

感受性を

MTS assay

にて評価したところ、両耐性株について、Everolimusに対する感受性の回復が得ら れた。また、siRNAによる

MYC

抑制後の

Everolimus

感受性を

MTS assay

にて評価した ところ、両耐性株について、Everolimus感受性回復が認められた。

以上の結果により、小細胞肺癌細胞株における

Everolimus

耐性化には、

p-eIF4E

発現上 昇が関与しており、

MYC

過剰発現によるバイパス経路を介する

p-eIF4E

活性化がその機序 として考えられた。

【結語】

小 細 胞 肺 癌 に お い て 、

Everolimus

に 対 す る 耐 性 化 機 序 と し て

MYC

を 介 す る

PI3K/AKT/mTOR

シグナル非依存的な

eIF4E

活性化が重要な働きをしていることを明らか にした。 小細胞肺癌に対する

MYC-eIF4E

の制御は、mTOR阻害薬治療の新規治療標的 になり得る。

参照

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