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Tetsuo NAGATANI東京医科大学八王子医療センター皮膚科

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Academic year: 2021

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一 493 一

東医大誌 63(6):493−495,2005

The 10th World Congress on Cancers of the Skinに参加して

 長 谷哲 男 Tetsuo NAGATANI

東京医科大学八王子医療センター皮膚科

 10回目を迎えた国際皮膚がん学会(The lOth

World Congress on Cancers of the Skin)はウイーン大

学皮膚科主催で5月13日から16日の四日間オース トリアのウィーンで開催されました。会議はウィーン 中心部よりほど近い地下鉄沿線(Michelbeuern AKH)

のAllgemeines Ki ankenhaus Wien(下図)で病院内に

ある4つの会議室と2個所のホールを使用して行わ

れました。

 13のシンポジウム、5つのプレナリーセッション、

44題の口演、165題のポスター発表がもたれ前々回に 参加したチューリッヒでの会議にも増して盛大に行 われました。本会議ではメラノーマ、メラノーマ以外 の皮膚がん、皮膚リンパ腫の3大テーマにつき討論が 行われたが、残念ながら画期的研究発表や治療に直結 する発表は少なかったと言わざるを得ませんでした。

しかし、オープニングセレモニーはウィーンらしく

(?)、弦楽五重奏でモーツァルトやハイドンの曲を間に 挟みながら会長挨拶、学会長挨拶などが行われまし た。以下に会議の内容を簡単に紹介します。

Allgemeines Krankenhaus Wien

メラノーマに関する発表

 メラニン細胞からメラノーマへの形質転換に関わ るシグナル伝達経路についてWellbrock Cの講演が ありました。N−RAS(5−30%で遺伝子変異)、 B−RAF

(30−60%で遺伝子変異)、PTEN(20−30%で遺伝子の欠 損)は従来からメラノーマの発がん過程で重要な役 割を演じていると考えられていました。また、メラニ ン細胞は各種増殖因子によりRAS−PI3kinase−

cAMPの経路が活性化され形態変化(樹状細胞化)、メ ラニン合成系の活性化、増殖能の低下がもたらされ、

成熟メラニン細胞に分化してゆくわけですが、メラ ノーマではPTENが不活化することにより下流の AKTの活性化がおこり、腫瘍細胞の増殖能の充進、不 死化、運動能の醜虜が生ずることが解説されました。

B−RAFについてもERKの活性化を促進することが 解説されました。これらを踏まえPTEN、 B−RAFが分 子標的治療のターゲットとなりうると報告されまし

た。

 またメラノーマの臨床病型ごと遺伝子変異につい ても報告された(Bastian B)。比較的若年発症で紫外線 発症でもある表在拡大型メラノーマ(SSM)に多く見 られるB−RAF、 N−RASの遺伝子変異が紫外線とは関 係しない粘膜メラノーマや日本人で頻度の高い末端 黒子型メラノーマ(ALM)で見られない点はともか く、同じ紫外線発症であり高齢発症の悪性黒子型メラ ノーマ(LMM)にも見られない点についてはその理 由は不明とされた。LMMやALMではサイタリン DlのmRNAのコピー数が増加していること、即ち、

細胞周期が動いていることが発表された。

 メラノーマの治療に関するシンポジウムでは、ペプ

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一 494 一 東京医科大学雑誌、 第63巻第6号

チドワクチン療法、樹状細胞療法に関して新たな展開 はなく、アジュバント療法としてDTIC単独療法と、

MAGEをターゲットとしたワクチン療法とでのover−

all survivalについての比較研究でも有意差が見られ なかった(Becker J)。また、多剤併用化学療法でも biochemothrapy(IFNαやIL2との併用療法)を含め て何らsurvivalに有意に影響を与えるプロトコールが 示されなかった(Garbe G)。唯一、 B−RAF阻害薬 BAY43−9006に期待がもたれた。

 また、メラノーマで,血管新生は勿論、VEGF−Cなど のリンパ管増殖因子の発現増強が認められる腫瘍で は、転移を起こしやすく、転移リンパ節でもVEGF−C の発現増強とリンパ管新生が起こっていることが報 告された(Detmar M)。

 そこで、現時点では初回手術療法が極めて重要と言 わざるを得ず、sentinel node biopsyの持つ意義につい て改めて確認された。そのため転移の有無の判定に、1 つtyrosinaseのみでなく、MAGEやMART−1などの mRNAの発現を組み合わせて判定すべきと報告され

た(Landi G)。

メラノーマ以外の皮膚がん

 メラノーマ以外の皮膚がんについてはpicoto Aと Salasche SからMohs surgeryについて詳細に報告され た。Mohs surgeryの基本的な考え方は、余分な切除は 行わないこと、できる限り侵襲を少なくすることにつ きる。そのための執刀者の覚悟のほども説明された。

ただMohs surgeryの弱点として、腫瘍がスキップする ように広がる場合の対応は難しくなる点、全ての境界 を100%見ないとMohs surgeryにならない点が挙げら れた。Mohs surgeryの優れている点は5年生存率が初 発腫瘍で99%、再発腫瘍で97%と抜群の治療成績を収

めていることである。

 皮膚がん治療薬ではCox−2阻害薬の有用性、隆起性 皮膚線維肉腫に対するグリペックの効果、有棘細胞癌 にイレッサを使用するなど少々行き詰まり気味の発 表に終始した。

 Photodynamic therapy(PDT)は大きな注目と期待 を込めて行われてきた治療法であるが、その長期経過 観察症例についての発表があった。Mortonによると 基底細胞癌では、凍結療法と同様再発率が高いことが 報告された。決して理想的な治療法ではないことが示 されたが、それでも負担が少ないことなどからその有 用性に関しては一概に否定できないとのことであっ

た。

皮膚リンパ腫

 皮膚リンパ腫のシンポジウムでは、新しい皮膚リン パ腫の分類であるWHO−EORTC分類に関して詳細

に説明された。皮膚リンパ腫の分子遺伝子研究でもま だ特に目立った発表には至らず、治療についても、従 来の域を出ているとは言い難かった。ただ、日本では

使用できないRXRのBexatoteneやBRMのlmi−

quimodの有効性については大変興味深く聞かせてい ただきました。

 全般的に、世界が注目する新知見はなかったが、参 加することで、現在の皮膚がん研究、皮膚がん治療の 実際を短い時間で習得でき、また、その限界を知るこ

とができた意義ある会議でありました。

 学会に懸き物の懇親会は毎日午後7時頃から行わ

れました。14日はAlbertina s palatial Habsburg rooms で絵画、彫刻の数々に囲まれての懇親会。

 15日はウィーン郊外のワインカラーFuhrgassel−

Huberでの懇親会と朝から夜中までほぼ一日中他国

AlbertinaよりVienna市街

調戯

禰1纐{一魏搬

Fuhrgassel−Huber

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2005年ll月 長谷:The lOth World Congress on Cancers of the Skinに参加して 一 495 一

の会員と過ごす日々でした。       ランスからの参加者との間で国際交流を深めること  アルゼンチン、ドイツ、オーストリア、アメリカ、フ  ができた意義ある学会でした。

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参照

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