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Academic year: 2021

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新刊紹介

著者 鳴橋 直弘

雑誌名 植物地理・分類研究 = The journal of phytogeography and toxonomy

51

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ページ 201‑203

発行年 2003‑12‑25

URL http://hdl.handle.net/2297/48624

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新刊紹介

○ 栃木県自然環境調査研究会植物部会(編):栃木県自然環境基礎調査 とちぎの植物!" A 4判,534

頁(!,534頁(".20033月.栃木県林務部自然環境課.非売品.

本書は標本に基づく栃木県の植物誌である。

!巻は,カラー写真8頁(64図),栃木県の概要(地形・地質,気候),総論(植物研究史の概略,調査 方法,調査結果概要),各論(各地域の植物,重要種の分布・生態等,開花期・結実期,主要樹木の栃木県で の垂直分布,分布図),維管束植物目録からなっている。巻末近くにある栃木県植物相関係文献目録は,10 に渡り,充実している。第"巻は,栃木県維管束植物目録の証拠標本のリストである。これらの標本は栃木県 立博物館に収蔵されている。リストは,学名,和名,標本番号,産地,標高,産地の1/2.5万地形図及び3 メッシュコード,採集年月日,採集者名,備考からなる。本書にでてくる分類群の数は,種,亜種,変種,雑 種を合わせて2,808であるという。1994年から2000年までの7年間で,現況調査総計1,463回,40,547 の標本を作製したという。その他の標本と合わせて,42,516点の標本に基づいており,調査メンバーの意気 込みが伝わってくる本である。

購入希望者は,栃木県文書学事課情報公開班(担当佐野さん,Tel. 028―623―2073)へ申込むと,!"

セットで3,940円(送料実費)で購入できる。 (鳴橋直弘)

○ 渡辺定路:改訂増補 福井県植物誌 B 5判,464頁.2003711日.福井新聞社.8,000円.

本書は1989年に自費出版された「福井県植物誌」の改訂版である。福井県は,日本のほぼ中央に位置し,

また,日本海に面しているため,寒暖両系の植物が存在し,多くの日本海要素も見られる。面積の割には種数 の多い県である。

この本には,カラー図版52頁,福井県の自然環境,福井県の植物相に続き,福井県野生高等植物としてシ ダ植物以上3,000種類弱がリストアップされ,分類群ごとに産地と標本番号が掲載されている。

この植物誌の証拠標本となっている約6万点の標本は,福井市自然史博物館に収蔵されていて閲覧可能で ある。このことの意義は大きく,福井県植物誌の価値を高めている。著者は,1955年に福井大学を卒業後,

中・高等学校の教壇に立ち,1993年に定年,現在福井市自然史博物館館長として,今日まで福井県の植物誌 解明のために頑張ってこられた。同定のために多くの専門家に標本を送ったという。この本はそういう著者の 長年にわたる努力の結果である。

故里見信生先生の北陸植物図譜の線画の転載(本誌旧名「北陸の植物」に掲載)は旧版同様であるが,まれ に掲載されていた分布図が新版では全くなくなっているのは残念である。

旧版は長く絶版になっており,残念であったが,今回改訂増補された新版がでたので,推薦したい。

(鳴橋直弘)

○ 大工園 認:野の花めぐり 春編 B 6判,248頁.2003211日.南方新社.2,000円.野の花め ぐり 夏編 B 6判,254頁.200355日.南方新社.2,000円. 野の花めぐり 夏・初秋編 B 6判,

252頁.2003830日.南方新社.2,000円. 野の花めぐり 秋・初冬編 B 6判,261頁.200311 17日.南方新社.2,000円.

本シリーズは,春編,夏編,夏・初秋編,秋・初冬編の4分冊からなり,本学会会員鹿児島大学名誉教授 の初島住彦先生の監修によるものである。

本書は,鹿児島県本土で撮影された草本性と木本性野生種1,290種の写真と解説の植物図鑑である。花の小 さな樹木,イネ科,シダ植物などの大半は除かれている。殆どの頁は,1枚のカラー写真からなっているが,

まれに,2枚であったり,1枚でも花の場合は果実が,果実の場合は花が添えられている。各植物には,和名,

学名,科名,撮影された市や町(撮影月),花期,5〜6行の解説文,および簡単な生育地・産状・分布が書か れている。

この本の大きな特色は,その植物を食草としている蝶類を記載している点である。また,巻末には蝶の食草 索引がついている。

ミツバツチグリやキジムシロの花期が3月から9月と書かれている。シバナは6月から10月と書かれてい る。これは種全体の花期のように思える。できれば,鹿児島県での花期を書いてほしかった。

掲載されている植物は主に日本各地に広く分布する植物であるので珍しいものは少ないが,アカミノヤブガ ラシ,ツクシシオガマ,リュウキュウコスミレ,ヒメキセワタ,モミジバヒルガオ,タカクマホトトギス,チ

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ョウセンノギク等,本州では見られないものもある。写真はきれいで見ていて楽しい本である。 (鳴橋直弘)

○ 加藤僖重:牧野標本館所蔵のシーボルトコレクション A 5判,288頁.2003111日.思文閣出版.

5,400円.

本書は,東京都立大学理学部牧野標本館に収蔵されているシーボルトコレクション(2,574点)を紹介した 本である。

このコレクションは,シーボルト没後,彼の妻がロシアのマキシモヴィッチに売却したもので,ロシアのサ ンクト・ペテルスブルクにあるコマロフ植物研究所に保存されていた。その一部が,タカジャン博士により,

1963年に故水島正美先生(当時の牧野標本館主任研究員)に送られてきたものである。

本書は,シーボルト作製の標本,ビュルガー作製の標本,ピエロー作製の標本,小野蘭山作製の標本,水谷 助六作製の標本,伊藤圭介作製の標本,大河内存真作製の標本,平井海蔵作製の標本,桂川甫賢作製の標本,

美馬順三作製の標本,中山作三郎作製の標本,熊吉が作製したと考えられる標本,マキシモヴィッチの標本,

および付記と付表からなる。

マキシモヴィッチが,「東亜新種植物総覧」(1866)を書く時に,シーボルトコレクションを利用していた とは,筆者には驚きであった。日本の近代植物分類学の夜明け前の時代の本草学や本草学者の系譜が分かって 面白い本である。また,著者らにより,2004年に牧野標本館からシーボルトコレクションの全標本が,CD―

ROMで公表される予定という。 (鳴橋直弘)

○ 国際植物分類学連合:国際植物命名規約(セントルイス規約)2000 B 5判,174頁.20031125日.

日本植物分類学会.2,000円(送料込み)

本書は第16回国際植物学会議,ミズリー州セントルイス,19997―8月で採択されたInternational code of botanical nomenclature(Saint Louis Code)の日本語訳書である。国際植物命名規約邦訳委員会(大橋 広好委員長,永益英敏副委員長,黒沢高秀,邑田 仁,中井秀樹,根本智行,野崎久義,岡田 元,米倉浩司 の各委員)によって翻訳された。

今回の規約で最も大きな変更点はタイプ指定に関する規定である。また,化石植物の命名法も根本的に変更 されている。190811日以降は,属より上のランクの学名の語尾は,明白にランクを示す用語がなくて も自らのランクを示す,という日付けの限定が行われた。

巻末に国際植物命名規約邦訳委員会による植物命名法用語が加えられている。これは大変有用である。ちな みに,binary nameを二語名,binary nomenclature, binominal nomenclatureを二語名法と訳され,種の 学名は,二名法ではなく,二語名法となる。

学名は規則によって付けられている。その規則は国際植物学会議の命名部会で改正される。いつでも最新の 規則のもとで運用しなければならない。これまで,1988年版(国際植物命名規約 1992年津村研究所発行)

1994年版(国際植物命名規約 東京規約 1997年津村研究所発行)が大橋広好氏によって翻訳され,多 くの日本人の役に立ってきた。今回は本のサイズも大きくなりさらに安価になった。学名にあまり関心のない 方でも,座右に備えられることをお薦めしたい1冊である。

購入希望者は,氏名,住所,電話番号,希望部数を記入し,永益英敏氏(〒606―8501京都市左京区吉田本 京都大学総合博物館 FAX 075―753―3276)に申込まれるとよい。 (鳴橋直弘)

○ 矢原徹一(監修)・永田芳男(写真):レッドデータプランツ A 12取判変形,720頁.20031215 日.山と溪谷社.4,200円.

2000年に発行された環境庁(当時)の『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物−植物I(維管束植物) には,絶滅危惧種として1,665の植物が挙げられている。本書は,これに野生絶滅,準絶滅危惧,情報不足を

合わせた1,867の分類群から841種類を写真で紹介し,植物解説,撮影記,都道府県別の分布状況を加えた

ものである。本文の配列は「被子植物双子葉合弁花類」「離弁花類」「単子葉類」「裸子植物・シダ植物」と 分類群順になっている。最後に,本文で紹介できなかった種類の都道府県別分布状況が「その他のレッドデー タプランツ」として示されているが(準絶滅危惧,情報不足分類群は名前のみ),本文編集以降に撮影された 31種類の写真・撮影記が追加されているので,実際には合計872種類の写真が掲載されている。他の図鑑で は見ることができない種類も多い。絶滅危惧植物ということは,個体数が少ない,あるいは人が簡単に行ける 場所には残されてない植物ということであり,これだけの植物を一人で撮影された写真家永田氏の苦労が想像

植物地理・分類研究 51巻第2 200312

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される。その詳細は氏の「撮影記」に活写されており,エッセイ風の読物としても大変に面白い。もちろん写 真は,50 mmマクロレンズにこだわる氏の意図どおり生態が写し込まれたシャープなもので学術的にも貴重 な記録であり,特徴を示すクローズアップも挿入されている。解説は,植物を実際によく知っている43人の 研究者が分担して執筆しており,最新の情報が盛り込まれている。監修者による簡潔な解説もあるので,レッ

ドデータブックについて知る入門書としても適する。 (鳴橋直弘)

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