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1) ドクヤマドリ(Boletus venenatus)はイグチ科、ヤマドリタケ属の毒キノコである

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Academic year: 2021

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(1)

主 論 文 要 旨

報告番号 甲 乙 第      号 氏 名 松浦 正憲

主 論 文 題 目:

毒キノコ由来毒成分の化学的研究

(内容の要旨)

毒キノコであるドクヤマドリとニセクロハツの毒成分探索について、以下の研究を行った。

1) ドクヤマドリ(Boletus venenatus)はイグチ科、ヤマドリタケ属の毒キノコである。日本国内ではイ グチ科のキノコに毒を持つものはないとされ、多くは食菌として親しまれてきた。しかし、1980 年代 頃から、イグチ科のキノコによる食中毒が発生し、毒性を持つ本菌が発見された。中毒症状としては、

誤食後、嘔吐下痢等の胃腸障害が現れる。毒成分については研究されておらず不明であった。そこで、

このドクヤマドリから、マウスへの腹腔内投与による致死活性を指標に毒成分の探索を行い、毒蛋白質 の単離に成功し、ボレベニン(bolevenine)と命名した。ボレベニンのLD100値は約10 mg/kg(マウス腹 腔内投与)であった。N末端アミノ酸配列を調べたところ、ヨーロッパ産のイグチ科のキノコであるウ ラベニイグチ(Boletus satanas)より単離された毒蛋白質ボレサチンと高い相同性があることがわかっ た。ボレサチンは66 kDaの単量体蛋白質であるのに対し、ボレベニンは分子量11 kDaの同一のサブ ユニット3つが非共有結合にて三量体を形成している点で異なる。

2) ニセクロハツ(Russula subnigricans)はベニタケ科、ベニタケ属の致死性猛毒キノコであり、これま で日本国内において7名の中毒死亡者が報告されている。1950年代に初めての中毒死亡者が報告され たものの、それ以降、約50年間は中毒死亡事故の報告がなく、ニセクロハツという種の存在が疑問視 されていた。ところが2005~2007年にかけて、西日本を中心に相次いで中毒死亡事故が発生し、早急 な毒成分の解明が求められた。これまでに毒成分が解明されなかった理由として、ニセクロハツには複 数の近縁種が存在し、分類が困難であることが挙げられる。そこで、宮城、埼玉、京都にてニセクロハ ツ候補菌を採取し、毒性を調べた結果、マウスへ腹腔内投与した場合は3種とも致死活性を示したもの の、経口投与した場合は京都のニセクロハツ候補菌のみ致死活性を示した。この結果から、京都の子実 体が真のニセクロハツであるとわかった。そこで、経口投与によるマウス致死活性を指標に毒成分の探 索を行い、2-シクロプロペンカルボン酸を単離、構造決定した。この毒成分は、非常に歪の大きい化合 物であることから重合しやすく、精製の過程において、濃縮乾燥することなく溶液として扱った。LD100

値は2.5 mg/kg(マウス経口投与)であり、これまでに報告されている毒物の中で、最も小さいカルボン

酸毒であることがわかった。また、マウスに投与すると顕著なクレアチンホスホキナーゼ(CPK)値の上 昇を示し、ニセクロハツ中毒における特徴的な症状である横紋筋融解症を引き起こすことがわかった。

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