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(1) ゲルハルト-ヴァ-グナ-「仮の手続と略式手続の目的と意義

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(1)

「 仮の手続 と略式手続の目的 と意義 ( 1 )

」訳 注1)

河 野 憲一郎 訳

以下の報告 は大 陸法諸 国に関す るジェネラル ・レポー ター,AdaPe l l e gr i ni Gr i nov e r 教授 ( サ ンパ ウロ大学, ブ ラジル) に よって用意 された質問表 に し たがって整理 されている。質問は,それが質問表 に現れ る順 に回答 される

Ⅰ. 実体 権 を満 足 す る略 式 ( 又 は仮 の ) 手 続 は どれ か ?

ドイツ民事訴訟法 ‑ Zi vi l pr oze1 3 0r dnung ( ZPO)‑ は,迅連 な権利保 護 を付与す るい くつかの異 なった手続 を定めている。一般的な レヴェルでは, 仮の権利保護のための手続 と略式手続 を区別 しなければな らない。根本的には 仮の権利保護 は裁判所が本案判決 を下す までの間, 申立人の法的地位 を保護す る とい うことを意味 している

1)

。逆 に,略式手続 はこの意味 において暫定的で

訳注 1 )本稿 は ,Ge r har dWa gne r ,ThePur pos eandI mpor t anceo fPr el i m i nar y a ndSumma r yPr o c e dur e s の翻訳である。原論文は 2 0 0 3 年にメキシコ ・シティ で開催 された世界民事訴訟法会議 ( TheWo r l dCo nf e r e nc eonPr o c edua lLa w) における ドイツのナショナル ・レポー トを収めた Pe t erGi l l e S /Thoma sPf ei f ‑ f e r( Hr s g. )Pr oz e L S r e chtundRe c ht s kul t ur e n,No mos , Bade n‑ Bade n2 0 0 4 のう

ちの‑篇である。著者の Ger har dWagner 教授は ,de r s . ,Pr oz eBver t r a ge で 教授資格を取得 し ( 1 9 9 7 年夏学期,ゲッティンゲン大学。なお,同書は Mohr Si ebeck 社の J USPRI VATUM シリーズの第3 3 巻 として公刊 されている), 1 9 9 9 年 よりボン大学法律 ・国家学部の民法,民事訴訟法,国際私法及び比較法 講座を担当 し,比較民事訴訟法,仲裁法をはじめとした諸分野につ き,数多 く の論稿を著 している。詳細については以下のウェブサイ トを参照。

ht t p: / / www. j ur a . uni ‑ b o nn. de / i nde x. php? i d= 21 2 5

1) Ro s e nb e r g/ Ga u l / Sc hi l ke n ‑ Sc hi l k e n,Zwa ngvo l l s t r e c kungs r e c ht l l t hed. ,1 9 9 7 .p.

〔 21 3 〕

(2)

214 商 学 討 究 第5 8巻 第 2 ・3号

はないが,一般 的 に被告が事件 を通常訴訟 に移行すべ き旨の異議 を申 し立 て な い限 りにおいて事件 の終局 的 な解決 に導 く。

1.仮 の権利保護 a)仮処分 と仮差押 え aa)二種類 の措置

ドイ ツの裁判所 か ら通常獲得 す るこ とので きる暫 定措置 の種類 は ZPO91 6 条 以下 に規 定 されている。 ここで重要 な区別 は仮差押 え と呼 ばれ る措置 といわゆ る仮処分の 区別 であ る。 これ ら 2 つの裁判所 の措置 の間の主 た る相違点 は,被 保全権利 の性 質 に関係 してい る。被保全権利 が金銭債権又 は金銭債権 に転換 さ れ うる ものであれ ば仮差押 えが適切 な救 済で あ るが 2) ,それ以外 のすべ ての請 求権 につ いて は仮処分が利用 され うる。 この区別 を理解 す るため には ドイツ法 が あ らゆる種類 の請求権 の具体 的 な執行 を許 してお り,金銭債権 につ いての判 決 の執行 に限定 して はいない とい うこ とを理解 す る こ とが重要 であ る 3) 。 む し ろ具体 的 な〔 特 定の〕履行 は不動産 の移転登記 請求権 ,動 産引渡請求権及 び ‑ い くつ かの制 限 を伴 って ‑ 役 務 の提 供 に関す る請求権 につ いて さえ認 め ら れてい る。実 際い くつ かの債務 は裁判所 において強制 され,官憲の援助 に よっ て債務 者 に対 して執行 され, しか も仮 の権利保 護 とい う措置 に よって保全 され うる。

両方 の種類 の仮 の権利保護,す なわち仮差押 え と仮処分 の独特 な性 質 は背後 にあ る本案訴訟か ら分離 してい る ことであ る。仮 の権利保護 は実体権 を実現す る 〔 手続 であ る〕訴訟 の不可欠の構 成部分 として取 り扱 われてい るわけで はな

9 9 6 ;Z6 1 l e r ‑ Vo I L ho mme r ,Zi vi l pr oz e s s o r dnung, 2 3 r de d.2 0 02 , I nt r oduc t i ont oSe c t . 91 6, No.1 ; He i nz ei nMt i nc henerKomment a rzurZi v il pr oz es s or dnung.2nded.

2 0 01 , I nt r oduc t i ont oSe c t . 91 6 ,No .1 2 . 2)ZPO91 6 条参照。

3)Ros enbe r g/Gaul /Schi l ken‑ Sc hi l he J l ,S upr a( not e1 ) ,p. 94;Z61 1 er ‑ St b ' b e r ,s upr a

( no t e1 ) , I nt r oduc t i o nt oSe c t7 0 4 , No .1 .

(3)

く,む しろそれのために通常の コースの手続が同時にあるいは将来の よ りあ と の時点で求め られるか もしれない ‑ し,そ うでないか もしれない ‑ 法的 な権利の保護 を目的 とした別個の請求権 として理解 されている 4) 。それゆえ保 全命令 を発令す る裁判所が必ず しも当該紛争 を解決する権限のある裁判所 と同 じ裁判所である必要性 はない。 む しろ仮の権利保護の申立ては,被告の財産又 はその他の係争物所在地の裁判所 に も提起す ることがで きる

5)。

bb)金銭債権

仮差押 えとい う救済は金銭債権の保全のために利用 されるものであるが,そ れは財産権及 び財産それ 自体の妨害 をす ることな く債務者の財産に対する執行 を許す決定又は判決の形態 をとる。仮差押命令 は裁判所 によって言い渡 される その他の金銭 に対する判決 と多かれ少 なかれ同様の効果 を持つ。それは,債務 者の対人的な ( i npe r s o nam)義務 を作 り出すので もなければ,対物的に ( i n r e ∽)作用 して財産の特定部分 を差 し押 さえるので もない。む しろそれは もっ ぱ ら申立人に執行官の援助の下財産 を捜索 し,適正 な手続でそれ らを差 し押 さ えることを許すのである。債務者の財産 を捜索 し,差 し押 さえる試みが成功裡 に終わった限度においてで さえも,仮差押 えは決 して債権者の完全 な満足 に導 くことはない。差 し押 さえられた財産は,単 に凍結 されるにす ぎず,通常 は債 務者か ら引 き離 され,執行官 の管理下 に置かれるにす ぎない ( ZPO930 条)

この財産は換価 されてはな らず,その者のために差押 えがなされた債権者 に対 して弁済がなされてはならない。 こうした仮差押 えの性質は, ドイツ以外の裁 判権で認め られている仮の権利保護措置 と比較 して著 しい弱点 となっている。

4)Cour to fAppe a l s( Obe r l a nde s ge r i c ht‑OLG)Fr a nkf ur t ( 1 . 9 .1 9 83 ) , Mo na t s c hr i f t f t i rdeut s chesRecht‑MDR1 984,p. 58;OLG K6 1 n ( 1 2.1 .1 987) ,Zei t s chr i f t f t i r gewer bl i c henRe cht s s chut zundUr heber r ec ht‑GRUR1 9 88,p. 646; Baumba ch / Laut e r ba c h/ Al be r s / Ha r t ma nn ‑ Ha r t ma nn,Zi vi l pr o z e s s r e c ht , 61 s ted. 2 0 0 3 , I nt r o ‑ duc t i o nt oSe c t . 91 6No . 1 .

5)ZPO91 9 条,同 9 4 2 条を見よ。

(4)

216 商 学 討 究 第 5 8 巻 第 2・3 号 cc )その他の請求権

仮差押 えとは異 なって仮処分 は非金銭債権 に関係 してお り,被 申立人に作為 又 は不作為 を要求する対人的な裁判所の命令の形 をとっている 6) 。 さらなる区 別 は,いわゆる保全仮処分 ( ZPO935 条 〔 係争物 に関す る仮処分〕) と規整仮処 分 ( ZPO9 40 条 〔 仮 の地位 を定める仮処分〕) の区別である。保全仮処分 は,例 えば,買主が,誰か他の者 に売主が当該土地の権原 を譲渡 しようとしているこ とを知 ったようなケースにおいて,不動産に対する権原の移転 を求める請求権 の実現 を保全す るために用い られ うる。規整仮処分は,紛争当事者がその場で 別れて しまうような関係 にあるのではな くて,相互 に将来にわたってかかわ り 合 ってゆ くことを強い られるケースにおいて適切 な救済である。適例 は不動産 賃貸人 と賃借人 との間の紛争であ り,賃借人が他の賃借人 と仲が窓い とか,不 動産賃貸人が賃借人を追い出そ うとしているケースである。 この ようなケース においては裁判所が介入 をし,当事者の一方の申立てに基づいて,当面,すな わち紛争の終局的解決 までの当事者間の関係 を平和 な状態 に戻す ことを目的 と

した命令 を付与す ることがで きる

保全仮処分 と規整仮処分の区別は理論的には明確ではあるが,裁判所 による 何 らかの介入が一方の側の権利又 は他方の側の権利 を保護するような権利 と義 務 とか らなる法律 関係 として実際に線引 きす るのは難 しい。 ドイツの判例及び 学説は 2 つの仮処分 を区別することの困難によ く気づいてお り,その結果,区 別 をます ますあいまいにすることを許 している。多 くの決定の中で 7) 問題 とさ

6)ZPO9 3 5

条, 同

9 3 8

2 項 ; Ba ye r i s che sOber s t esLandes ge r i c ht( Hi ghCour to f Appeali nBavar i a31 . 1 .1 997)i nNeueJur i s t i s cheWochens chr i f t‑Recht s s ‑ pr e chungs r e po r tZi vi l r e c ht‑NJ W RR1 9 97 , p. 91 3s e q. ;Mo t i vez ude m Ent wur f e ei nesbt i r ger l i chenGes et zbuchesf t l rdasDeut s cheRei ch,1 888,Vol . 3, p. 241 ; He i nz e ,s upr a( no t e1 ) , Se c t . 9 3 5No . 8 ;Z6 1 l e r ‑ Vo l l k o mme r ,s upr a( no t e1 ) , Se c t . 9 3 5 No . 9 : Sc hl o s s e r ,ZZP97( 1 9 8 4 ) ,p.1 21 ,1 37s e q. ; Fo e r s t e ,ZZP1 0 6( 1 9 9 3 ) ,p.1 4 3 ,1 51

:

Wi e l i n g , J ur i s t e nz e i t ung‑J Z1 9 8 2 , p. 8 3 9 , 8 41s e q. 参照。

7)OLGFr a nkf ur t( 7 . 6.1 9 7 4 )NJ W 1 9 7 5 ,p. 39 2 ; St e i n/ J o na s I Gr uns k y , Ko mme nt a r

zurZi vi l pr oz es s or dnung, Vol . 9, 22nded.2 002, I nt r oduc t i ont oSee . 91 6,No.3 0;

(5)

れている仮処分の根拠 として ZPO935 条 と 9 40 条の両方が引用され,何人かの教科書 の著者たちも同様にそれらをひとくくりにしている。以下では両者を区別 しないで 論 じることもある。

b)金銭債権 に関する仮処分の措置

仮差押 えと仮処分 は,それぞれの適用範囲に関す る排他的な救済である。す なわち, もし仮差押 えを認めるための要件が満たされれば仮処分 は認め られな い し,逆 もまた然 りである 8) 。唯一の例外 は第三の類型の仮処分,いわゆる 《 給 付仮処分≫であ り,それは金銭債権 について も利用 される 9) 。その姉妹品 とは 異 な り給付仮処分 は後続す る債権の執行 を保全することを目的 とするのではな くて,即時 に金銭 を回収す ることを許す暫定措置である

10)

。それはフラ ンス の 《 仮 払 い レフェ レ ( re ‑ fe ‑ re ‑ provi si on) ≫11 ) また は イ タ . )アの 《緊急処 分 ( pr ov v e di me nt id, ur ge nz a) ≫1 2 ) に類似 した,即時に債務 を支払 うべ き旨の対 人的な命令 とい うことがで きる。仮差押 え,保全仮処分及び規整仮処分 とは異 なって,給付仮処分 は法典 中に明示的な基礎 を持たないが裁判官が創造 した も のであ り 1 3) ,zpo9 40 条の基礎の下に発展 し 1 4) ,今 日では独 自の法的地歩 を占

Baumba ch/ Laut e r ba c h/Al be r s /Ha r t ma nn‑ Ha r i ma m,s upr a( not e44 ) ,Se c t . 9 4 0 , No ,1 . 参照。

8) Re i c ho l d i nTho ma s / Put z o ,Zi vi l pr oz e s s o r dnung,2 4 t he d. , 2 0 02 , I nt r oduc t i o nt o Se c t . 91 6No . 8 .

9)Re i c ho l d i nTho ma s / Put z o , s upr a( no t e8 ) , Se c t9 4 0No . 7s e q.

1 0 )OLGHamm ( 25.5.1 991 ) , NJW‑ RR1 991 ,p.1 526;OLGFr ankf ur t( 7. 6.1 974) , NJ W 1 9 7 5 , p,3 9 2s eq, ;OLGDt i s s e l do r f( 1 3 . 6 . 1 9 9 5 ) , NJ W‑ RR1 9 9 6 ,1 2 3 ,1 2 4 , l l )フランス民事訴訟法典8 0 9 条2 項。

1 2 )イタリア民事訴訟法典7 0 0 条。

1 3 )RG( 30. 3.1 883)RGZ9, 334s eq. :OLGK61 n( 1 4 , 1 .1 983) , Zei t s chr i f t f t l rdas ges amt eFami l i enr echt( FamRZ)1 983,p. 41 0s eq. ;OLGFr ankf ur t( 7. 6.1 974)

,

NJ W 1 9 7 5 ,p. 3 9 2 .

1 4 )RG( 30.3.1 883)RGZ9, 334; ( 1 3. l l .1 885)1 5, 3 7 7, 37 8, ( 8. 6.1 891 )27, 429, 430;

OLGHamm ( 25. 5.1 991 ) ,NJWI RR1991, p. 1526 : Schi l ke n ,Di eBef r i edi gun‑

gs ver f t i gung,1 976,p.32s eq. ; Wal k e r ,Dere i ns t wei l i geRecht s s chut zi m Zi vi 1 ‑

pr o z e L Sundi m a r be i t s ge r i c ht l i c he nVe r f ahr e n,1 9 9 3 ,p. 81s eq.

(6)

218 商 学 討 究 第 5 8 巻 第 2・3 号

めるまでに至 っている 15) 。 もちろん給付仮処分 を付与す ることに寛大 な実務 は,金銭債権 と非金銭債権の区別に基づ く法律の構造 を破壊 し,その結果,金

ヽヽ

銭債権の仮の執行のみを許容する方向で作用する。 このため裁判所 は常 に給付 仮処分の適用範囲を制限す ることを強 く望んでお り,仮の権利保護 を否定 され るな らば著 しい損害 を被 るような 日常の生活における支出をカヴァ‑するため に債権者が緊急 に資金 を必要 としているケースに限定 しているのである 1 6)。

明 らかにこの ような要件 は典型的には扶養料請求権のケースに適合 しているの であ り,事実 これが長い間給付仮処分の主領域であった1 7 ) 0

しか し ,ZPOが扶養紛争 を含 む家事事件 に関 して特別 な仮の救済 を規定 し たため,今 日では給付仮処分 はその重要性 を失 っている 1 8) 。離婚 の申立て又 は扶養料の請求が係属 中の場合,離婚の申立て又はその他の家族法に関す る紛 争 を審理 している裁判所 によって発せ られる特別な種類の仮処分である仮の処 分 ( ZPO620 条以下,同6 41 d 条以下,同6 40 条) 1 9) とい う措置が優先するので, 仮処分及び仮差押 えに関す る諸規定 は適用 されない。その 日的は,紛争の終局 的な解決 まで当事者の権利 を保全す ることである。 したがって,裁判所 は財産 の差押 え (もし背後 にある請求権が金銭 に関するものであれば)と対物命令 ( そ の他全 ての請求権 に関する) との間の区別に関わ りな く,適切 と思われるいか なる決定 をも発す ることがで きる 20) 。扶養料 の受給資格 を認め られた配偶者

1 5 )OLGFr ankf ur t ,NJW 1 975( 7. 6.1 974) , p.392; Lei pol d,Gr undl agendesei n‑

s t we i l i ge nRe c ht s s c hut z e s ,1 971 , p.1 02 ;Z6 1 l e r ‑ Vol l ko mme r ,s upr a( not e4 3 ) , Se c t . 9 3 5No .2 .

1 6 )OLGK6l n( 1 4.1 .1 983)FamRZ1 983, p. 41 0, 41 2s eq. ; OLGHamm ( 25. 5.1 991 ) , NJ W‑ RR1 9 91 ,p.1 5 2 6 ;OLGDt i s s e l do r f( 1 3 . 6 .1 9 9 5 ) ,NJ W‑ RR1 9 9 6 ,1 2 3 ,1 2 4 . 1 7 )RG( 1 3 . l l .1 8 8 5 )RGZ1 5 , 3 7 7 , 3 7 9s eq. :Ro s e nbe r g/ Ga ul / Sc hi l ke n‑ Shi l k e n,s upr a

( no t e1 ) ,p.1 01 6 ; He i nz e ,s upr a( no t e1 ) , I nt r oduc t i ont oSe c t . 91 6 , No . 5 9 . 1 8 )I bi d.

1 9 )BGH( 1 4 . 3.1 9 7 9 ) ,Fa mRZ1 9 7 9 ,p. 4 7 2 , 47 3 ;OLGDt l s s e l do l f( 1 8 .9 .1 9 84 ) ,Fa mRZ 1 9 8 5, p. 2 9 8, 2 9 9 ;Z6 1 1 e r ‑ Vol l ko mme r , s upr a( no t e1 ) , I nt r oduc t i o nt oSe c t .91 6 , No . 1 6 .

2 0 )Gi e Bl e r ,Vor l auf i gerRec ht s s c hut zi nFam i 1 i en‑undEhes ac hen, 3r ded. 20 00 ,

No .1s e q.

(7)

は, 相手方に毎月一定額の金銭の支払いを命ず る仮処分 を求めることがで きるo Lか し,扶養料の コンテクス トで言 えば,仮の処分 にもとづいて支払われた金 銭 は通常永遠 に失われて しまうので,つ ま り,それは訴訟の後の段階で命令が 取 り消 されて も十分には回復 されないので,将来に関す る保全 は現在 に関する 即時の満足の金額である。 さらに,両当事者 は しば しばこの保全処分で折 り合 いをつけるのであって,離婚判決が下 されたのちで もこれに したがい,扶養料 請求 とい う本案についての終局的な判断を回避する。

仮の処分の もう一つの顕著 な特徴 は,それが離婚又 はその他の家族法上の本 案 に関する主たる手続の一部であるとい うことである。仮差押 え及び仮処分 と は違って,仮の処分は当事者間の主たる手続 に組み込 まれている 21 ) 。その結果, それは独立 してではな く,主たる申立てがなされては じめて ‑ 例 えば,離婚 判決の申立てが裁判所に提起 されては じめて‑ 利用で きるものである 22) 。裁 判所及び弁護士 によって事前 に要求 される費用 を支払 う資力 を欠いた貧 しい当 事者 は,訴訟救助の申立てをする代 わ りに,本案について審理する管轄裁判所 に訴 えることがで きる

23)

。その場合,同 じ裁判所が 申立てが許容 され,訴訟 救助が認め られ,その結果,本訴訟が開始す る前で さえ,暫定措置 を発す るこ とがで きる。当座の ところ,家事事件 における仮の処分は, ドイツ法が特定の 請求又 は紛争 を審理す る裁判所 に対 して,当事者による別の手続の申立てな し に保全措置及び暫定措置 を発することを許 した唯一の事例である。裁判所が終 局的判断‑至 る過程で保全の問題 を自由にで きるのは家事事件 においてのみで あるが,そこでは当事者がその ような救済 を求める必要がある。これに対 して, 仮差押 え又 は仮処分の申立ては,別個 にかつ問題 となっている請求か ら独立 し て申し立て られなければならない。

21 )Gi e Bl e r ,s upr a( no t e2 0 ) , No .1 2 , 9 4 . 2 2 )ZPO6 2 0 a

2 項 1文参照。

2 3 )I bi d.

(8)

22( ) 商 学 討 究 第5 8 巻 第 2・3 号 2. 略式手続訳注

2)

a)督促手続

ドイツ法 はい くつかの異 なった種類の略式手続 を定めてお り,その中で もっ とも一般 的 な ものがいわゆる督促手続,又 は,ZPO688 条以下 の支払命令 であ り,それ は フラ ンスの ≫i nj onct i ondepayer ≪訳注

3)

に相 当す る。それ は金銭 債権 の回収 のため にのみ利用 で きる 24) 。 この ような命令 の 申立 ては第一審裁 判所 〔 区裁判所〕になされるべ きであるが

25)

,それは裁判官 によってではな く, 司法補助官 26) に よって発せ られ る。 司法補助官 は申立 ての形式的 な要件 が満 た されてい るか どうか を確 認す るに とどま り

27)

,内容 に立 ち入 る ことは しな い し,主張 された請求権が実際 に有効で,被 申立人 に対 して執行可能であると い うことを一切確認す るわけではない 28) 。

支払命令 は,債務者 を事前 に審尋す ることな しに発せ られ る。しか しなが ら, 債務者 は支払命令が送達 されてか ら 2 週 間以内に事後的な異議 を申 し立てるこ

とがで きる

29)

。被 申立 人が異議 を提 出 した場合,事件 は管轄権 を有す る裁判 所 に移送 されるが,その裁判所 はさらに申立人 によって提 出 された申立書 の中 で示 された ものでなければな らない。それによって事件 は通常の訴訟手続 に移 行す る。被 申立人が異議 を申 し立てなか った場合,司法補助官 は申立人の さら

訳注 2 )以下の小見出しa) , b) , C)は内容理解の便宜のため翻訳者が付 したもの であ り,原著にはない。

訳注 3 )これについては,山本和彦 『 フランスの司法』( 有斐閣,1 9 9 5 年) 4 21 頁注 3) も参照。

2 4)ZPO6 8 8 条 1 項参照。

2 5 )ZPO6 8 9 条参照。

2 6 )1 9 6 9 年の司法補助官法 ( RPf l G)2 0 条 1 項参照。いわゆる 《司法補助官》は ,《 少 額事件判事 ( mi norJ udge ) ≫に接近 してきている。すなわち,司法補助官は大学 の学位の代わ りに専門教育を受けるが,それは司法補助官が処理 しなければならな くなるであろう対象に重点を置き,法体系全体をカヴァ‑ しないものである。さら に,そ してもちろん,司法補助官の給与は通常の裁判官よりも低い。

2 7 )ZPO6 9 0 条 1 項参照。

2 8 )ZPO6 9 2 条 1 項 2 号参照。

2 9 )ZPO6 9 2 条 1 項 3 号参照。

(9)

なる申立てに もとづ いて最終的な執行命令 を発す ることとなる 30) 。 さらに, 被 申立人は 2 週間以内に異議 〔 故障 ( Ei ns pr uc h) 〕を申 し立てることがで き 31 ) ,

これによって事件は通常手続へ移行する 32) 。この期間内に異議を提出しなかった場 合執行命令が確定 し,裁判所の終局判決と同じ基礎のもとに両当事者を拘束する 33) 。

b)未成年者の扶養料に関する簡易手続

い ま述べた手続 に きわめて類似 しているが, しか し適用範囲において限定 さ れているのは,共通の家計 にある子 と同居 しない片方の親に対 して未成年者 に よって提 起 され る請求 に関係 す る ( 未成年者 の扶養料 に関す る簡易手続, zpo6 45 条以下)。ここで も手続は区裁判所の司法補助官によって実施 される 34) 0 支払命令手続 とは異 な り, ここでは相手方が沈黙 しているとい う条件の下にお いてのみな らず,被 申立人である親が実際に異議 を提 出 した場合で も, 申立人 はその ような命令 を手 に入 れ ることがで きる。ZPO6 48 条 一同651 条 は,親 に よって提出された特別の防御 を否定 し,その他の ものを許容す ることを裁判所 に許す とい うよ り複雑 なスキームを作 り出 している。 このルールを支配 してい る基本的な原理は,被 申立人が子の父親ではな く,あるいは母親ではない とい う理由で,扶養料 を負担す ることを完全 に否定することは自由だ とい うことで ある。被 申立人がそ う簡単 には争わないか もしれないのは負担 している扶養料 の額であ り, この論点は被 申立人が彼 ( 又 は彼女) 35 ) 自身が履行期が到来 して いるとして受 け入れる準備がで きている額の支払いを行わない限 り争われるこ とはない 36) 。ある意味 において,被 申立人は請求金額の一部 を負 っているこ

3 0 )ZPO6 9 9 条参照。

31 )ZPO7 0 0 条 1 項,同3 3 8 条以下参照。

3 2 )ZPO7 0 0 条 3 項参照。

3 3 )ZPO7 0 5 条,同7 0 0 条 1 項,同3 3 9 条 1 項参照 ; BGH( 2 4. 9.1 9 87 )BGHZ1 01 , 38 0 , 3 8 2 及び ( 3 .7 .1 9 9 0 )1 1 2 , 5 45 8 を見よ。

3 4 )ZPO6 2 1 条 1 項 4 号, RPf l G2 0 条1 0 号参照。

3 5 )便宜上,以下では 《 彼≫は,女性及び男性の双方を指すのに用いられる。

3 6 )ZPO6 4 8 条 2 項 1 文参照。

(10)

222 商 学 討 究 第 5 8 巻 第 2・3 号

とを認めることを代償 として,裁判所 での期 日 ( adayi ncour t ) を 《 買 い≫

取 らなければならない。 しか し, もしこの要件が満たされれば,請求の争い と なっている部分 については事件 は通常訴訟での解決のために管轄裁判所へ移 さ れる 37) 0

C)迅速訴訟 〔 証書訴訟,手形訴訟及び小切手訴訟〕

ZPO は さ らに書証 のみ を利用 す る ことに よって債権 の存在 が立証 され る ケースにおいて迅速な金銭債務の回収 を認めている。いわゆる証書訴訟 は,証 書 38) 又 は小切手及 び手形 39) の ような有価証券以外の証拠 は許容 されない迅速 手続であ る ( ZPO5 92 条以下)。 その機能 は書証又 は有価証券 に表象 された債 権 に関する紛争の迅速 な解決を許す こと, しか し被告の防御 を永久 に拒絶する ものではない とい うことである 40) 。 したが って,証書訴訟の終結時 に言い渡 される判決 は暫定的な性質 しか持 たない 4 1 ) 。既判力の効力 は有価証券 に基礎 をお く請求 に制 限 され 42) ,その結果,被告 は事後の手続 においてあ らゆる種 類の防御方法 を提 出 し,あ らゆる証拠 を提 出す ることが許 される ( 事後手続, zpo600 条) 43) 。 もし被告が これに成功すれば暫定的な判決 は取 り消 され,請 求 は棄却 される 44) 。 この段 階で原告 は,被告である ところの暫定的な判決の 執行 を甘受せ ざるをえず,又 はその執行 を避けるために任意の支払いさえ しな ければな らなかった相手方によって立証 されるあ らゆる損害 を賠償す る義務 を 負 う 45 ) 。

3 7 )ZPO6 5 0 条以下参照。

3 8)ZPO5 9 2 条以下参照。

3 9 ) 《 手形 ・小切手訴訟≫ , ZPO6 0 2 条,同 6 05 a 条参照。

4 0 )Zb ' l l e r ‑ Gr e ge r , s upr a( no t e1 ) , I nt r oduc t i o nt oSe c t . 5 9 2 ,No . 1 . 41 )ZPO5 9 9 条。

42 )BGHZ( 1 2 .1 0 .1 9 9 0 )MDR1 9 91 ,p. 4 2 3 .

43 )BGHZ( 26.1 0.1 981 )BGHZ82,11 5,11 9; BGHZ( 24.1 0.1 991 ) , NJ WI RR1 992,p.

2 5 4 , 2 5 6 ; ( 2 4 . l l .1 9 9 2 )NJ W 1 9 9 3 ,p. 6 6 8.

4 4 )ZPO6 0 0 条 2 項,同3 02 条4 項 2 文参照。

45 )ZPO6 0 0 条 2 項,同3 0 2 条4 項 3 文参照。

(11)

Ⅰ. これ らすべ ての手 続 におい て,深 さに関 す る限 り 裁判 官 の事実認定 は表 面 的 なもの か ?

1.仮の権利保護一般

ドイツの行政訴訟手続 においては仮の権利保護 を付与するために適切 な基準 が利益衡量 テス トである とい うことは十分 に認め られている 46) 。事実が争 わ れていない ところ ‑ それは行政訴訟においては通常のケースである ‑ で は,裁判所 は後 に続 く本案訴訟 において請求が認容 されそ うな場合 にのみ仮の 権利保護 を付与す る 4 7 ) 。その ような決定 をす るのが不可能な場合,裁判所 は 両当事者の利益 を比較衡量 しなければな らず, この ようなコンテクス トにおい て,一方で,申立てが棄却 されるが将来本案で勝訴する場合 に原告が どれだけ の回復で きない損害 を被 るかを,他方で,命令が認め られるが通常訴訟におい て請求が棄却 される場合の予測 される損害 を考慮す ることによって,本案につ いての大雑把 な査定 を しなければな らない

48)

。連邦憲法裁判所 における仮 の 権利保護 49) は,理論上 は単 なる利益衡量原則 に基づ く本案の考慮 は しないで 付与 される

50)

。しか しなが ら,このテス トの下で獲得 される結論 は,一般的に, 裁判所が明白に本案で成功する原告の機会 を考慮 に入れるとい う意味での行政 訴訟において到達 されるもの と類似 している。 したがって,仮の権利保護につ いての憲法裁判所の判断が最終的な結論に関する限 り本案についての判決 と通

46 )行政裁判所法 ( VwGO)8 0 条,同 8 0 a 条,同1 2 3 条参照。

47 )VwGO1 2 3

3 項 ; ZPO9 2 0

2 項参照 ; BVer wG( 21 . 1 .1 976)BVer wGE53, p.

1 21 ,1 22;( 6. 7.1 994)1 995,p. 587; ( 7. 7.1 995)NVwZ1 996,393; Kopp/Schenke‑

Sc h e nk e ,Ve r wa l t ungs ge r i c ht s o r dnung,1 3 t he d. , 2 0 0 2 , Se c t . 8 0No .1 5 8 ;1 2 3No . 2 3 s e q. も見よ; Fi nk e l nb ur g/ Ja )

l

k ,Vor l auf i gerRe cht s s chut zi m Ver wal t ungs s t r e i t ‑ ve r f a hr e n, 4 t hed.1 9 9 8 , No .1 4 2s e q. ,1 51 参照。

4 8 )BVe r wG( 5 . 2 .1 9 7 6 )E5 0 ,1 2 4 ,1 3 4 ; Ba ye r i s c he rVe r wa l t ungs ge r i c ht s ho f( Hi ghe r admi ni s t r a t i veCour to fBa va r i a2 . l l .1 9 8 3 ) , Ba ye r i s c heVe r wa l t ungs bl a t t e r1 9 8 4

,

p.1 51 ;( 2. 4.1 981 )1 9 82, p.1 8, 20:OVG( Hi gheradm i ni s t l ・ at i veCour ・ t )Hambur g ( 2 3 . 1 0 . 1 9 7 4 ) ,DVBl1 9 7 5 ,2 0 7 ; ( 7 . 9 .1 9 7 9 )1 9 8 0 , 4 8 6 .

49 )連邦憲法裁判所法 ( BVe r f GG)3 2 条参照。

5 0 )BVe r f G( 8 .1 0 .1 9 5 6 )BVe r f GE6 , 1 , 4 ;( 2 9 . 4 .1 9 6 9 )2 5 , 3 6 7 ,3 7 0 .

(12)

2 24 商 学 討 究 第 5 8 巻 第 2・3 号 常一致 していることは驚 くに値 しない。

民事訴訟 によって採 られているアプローチはいま述べた もの とは異 なってい る。 とい うのは,裁判所 は係争利益の一般的な比較衡量 に従事 してはならない か らである 51 ) 。それに代 わってなされるべ きは, 申立人が本案 において勝訴 する蓋然性があることと事件が緊急性 を要す るものであることの双方 を立証す ることである。実体的な請求権の存在 ( 《仮差押請求権≫ と 《 仮処分請求権≫

のそれぞれ) と事件 の緊急性 ( 《仮差押原因≫ と 《 仮処分原因≫のそれぞれ) とい う両方の要件 に関 して証明度は引 き下げ られている。通常訴訟においては 原告はその請求を合理的な疑いを越えて立証 しなければならないのに対 して

52)

, 仮の権利保護 は,請求 を基礎づ ける事実が実際現実 に存在する蓋然性がそ うで ない蓋然性 よ りも高 ければ付与 され る 53) 。通常の もの とは証明度が異 なるこ とを明 らかにするために,それは ≪ 疎明≫ と呼ばれている ( ZPO9 2 0 条 2 項) 。そ れは,緊急性 の論点に もあてはま り,同 じく原告 はそ こに緊急性 ( pe r i cul um i nmor a)があるとい う合理的な蓋然性の程度 を立証すれば十分である。

証明度の引 き下げ ( ZPO920 条 2 項) に加 えて,ZPO29 4 条 2 項 は採用 され うる証拠のカタログを修正 して もいる.一方で,両当事者 は裁判所が直ちに取 り調べ ることので きる証拠方法 に限定 される 5 4) 。他方で,当事者 55) ,証人及 び鑑定人の宣誓に代わる保証は通常訴訟 においては排除 されるが,許容 されて いる 56) 。例外 的な緊急性 のあるケースにおいて,原告が,被告が被 るであろ う損害 を填補す るための十分 な担保 を提供す る場合,裁判所 は裁量 にもとづい て この控 え 目な証明度 さえ引 き下 げることがで きる 57) 。要す るに通常訴訟 に

5 1 )Le i po l d,s upr a( no t e1 5 ) , p. 8 9 . 5 2 )ZPO2 8 6 条参照。

5 3 )BGH( 5 . 5.1 9 7 6 )Ve r s R1 9 7 6, p. 9 2 8 ;( 8.1 0 .1 9 85 )1 9 8 6 ,5 9 ; Dunkl / Moe l l e r / Baur / Fe l dme i e r ‑ Dunk l , Ha ndbuc hde svo r l a u f i ge nRe c ht s s c hu t z e s , 3 r de d.1 9 9 9 ,ANo .1 5 . 5 4 )ZPO9 2 0 条 2 項,同2 9 4 条2 項参照。

5 5 )OLGCe l l e( 1 2 . 6 .1 9 8 6 ) , NJ W‑ RR1 9 8 7 ,p. 4 4 7 , 4 4 8 . 5 6 )ZPO9 3 6 条,同 9 2 0 条 2 項,同 2 9 4 条参照。

5 7 )ZPO9 21 条 1 文参照。 Dunkl / Mo e l l e r / Ba ur /Fe l dme i e r ‑ Dunkl , s upr a( not e5 3 ) , A

(13)

おけるよ りも仮の権利保護のため手続の中での方が請求 を立証す ることが よ り 容易なのである。 ここで言及 しておかな くてはならない最後の点は,法的ルー ルの解釈 とそれの係属 中の事件の事実への適用 に関係 している。 この点で判例 と学説 は分かれる。通説 は 「 裁判所 は法 を知 る ( i ur anoL J i tc ur i a) 」の原則が 支配するとい うものであ り,それは通常訴訟において判断されるの と同 じくら いに徹底的に法的争点 を判断す ることを裁判所 に要求す る 5 8) 。おそ らく実際 にはこれ と異 なるより寛大な基準が適用 された判断があ り,それは正義が要求 する場合,すなわち事件が非常 に緊急 を要 し,法律問題の解決が困難 な場合 に 裁判所 に法律 問題 を略式で取 り扱 うことを許 している 59) 。

2. 家事事件

一般的に家事事件 を含む紛争 について も同様の原則が当てはまる。そこで も 裁判所 に対 して 自己のために仮処分 を付与す るよう申し立てる当事者 は,基礎

をなす実体権,すなわち扶養料請求権の証明責任 を負い,それは重要 な事実の 存在す る蓋然性が存在 しない蓋然性 よ りも高いことを証明することによってな される。職権主義,す なわち裁判所 自らが事件 を調査す る職責 を負 うシステム で審理 される家事事件 には特別の原理が妥当する。著名 な例 は,配偶者の別居 す る権利 60) ,子 に対す る親の監護,面接交渉権 61 ) ,他方の配偶者 に対す る子

No .1 7 6; St e i n/ J o na s I Gr uns h y,s upr a( no t e4 9 ) , Se c t .9 21No. 5 ;Z6 1 1 e r ‑ Vo L l k o mme r , s upr a( no t e

1

) ,Se c t . 9 21No . 2 .

5 8 )Co ur to fAppe a l s( OLG)Hambur g( 2 7 .2 .1 9 9 2 ) ,We t t be we r bi nRe c htundPr a x‑

i s( WRP)1 992, p. 493, 494; Kamme r ge r i c ht( Ber l i nCour to fAppe al s2 5.3 .1 99 4) Be t r i ebs be r a t e r‑BB1 9 9 4,p.1 59 6; 判断がないままであるのはOLGKobl e nz( 25 , 1 . 2 0 01 )NJ W 2 0 01 ,1 3 6 4 : He i nz e , s upr a( no t e1 ) , Se c t9 2 0no .1 0 ;Ro s e nbe r g/ Gau l / Sc hi l ken‑ Sc hi l k e 1 2 , S upr a( no t e1 ) , § 7 4I l l 1 ,p. 9 9 8 .

5 9 )OLGKobl enz( 1 0 , 1 . 2 00 1 ) ,Fami l i eundRe c ht2 001 , p. 469, 4 7 1 , 47 3s eq. ;Ka m‑

me r ger i cht( 25 .3 .1 99 4)Bet r i ebs ber at e r1 99 4,1 5 96 参照 ;さらに , Le i po l d,s upr a ( no t e1 5 ) ,p. 8 9s eg"9 5s e q. ;Z6 1 1 e r ‑ Vo l l h o mme r ,s upr a( no t e1 ) , Se c t9 2 2no . 6 . 6 0 )ZPO6 2 0 条 5 号,同61 6 条 1項参照 ; Z6 1 1 e r ‑ Phi

l

如 i ,Zi v il pr oz e L S or dnung( no t e1 )

Se c t . 6 2 0aNo . 2 8. を見よ。

61 )ZPO6 2 0 条 1 号, 2 号 ;非訟事件手続法 ( FGG)1 2 条参照。

(14)

2 26 商 学 討 究 第 5 8 巻 第 2・3 号

の引渡 し 62) ,配偶者 間の家 族 の財 産 の分 配 63) ,推 定 され る父 に よって負担 さ れ る非嫡 出子 とそ の母 の ための扶 養料 64) に関す る紛争 で あ る。 そ の結果 と し て, 申立人が証拠 を提 出す るこ とに対 して十分 な助言 を得 ていて も,宣誓 に代 わる保 証のみ に よるのであれば,あ る事 実が被 申立 人 に よって 自白 されたか ど うか, さ らには両 当事者が紛争 の基礎 となっている事実 問題 に関 して合 意 に逮 したか どうか は考慮 され る ことな く,裁判所 は 自らの 申立 て に基づ いて調査 を しなけれ ばな らない。 しか しまた優 越性 の基準が ここで も適用 され るので,裁 判所 は重要 な事実が確実性 を もって証 明 された もの と考 えて はな らない。

未成 年者 の扶養 料 に関す る簡 易手続 は, ZPO648 条 に列挙 され た特 定 の 防 御 に限定 され る 65 ) 。司法補助官 は,全 く請求 とい う本案 を調査 す る ことはな く, その活動 は申立 て とい う手続 的要件 に限定 されてい る。被 申立人 に よって提 出 された防御が認め られない ところでは,司法補助官 はそれ らを排 除 し, 申立てを 認 め る 66) 。 そ れ以外 の場 合 には司法補助 官 は本案 の通常 訴 訟 につ いて管 轄権

を有 す る裁判所 に事件 を移送す る ことになる

67)。

3. 迅速訴訟訳注 4)

証書 訴訟 ( ZPO592 条以下)又 は手形訴訟 ( ZPO602 条 一同605 条) も しくは 小切 手 訴訟 ( ZPO605 a 条) にお いて,原告 が依 拠 す る事 実 はすべ て書 証 のみ に よって立証 され なけれ ば な らず 68) ,被 告 に有利 なすべ ての事 実 は書 証又 は 当事 者尋 問のいず れか に よって証 明 され なけれ ば な らない 69) 。文書 に よって

6 2 )ZPO6 2 0 条 3 号, FGG1 2 条参照。

6 3 )ZPO6 2 0 条 7 号, 8 号, FGG1 2 条参照。

6 4 )ZPO6 41 d 条参照。

6 5 )Supr a12 を見 よ。

6 6 )Ba umba c h / ta ut e r b a c h/ j ube r s / Ha r t ma nn ‑ Ha r t ma n n , s upr a( n o t e4 ) , Se c t . 6 4 8No . 9 . 6 7 )ZPO6 5 0 条以下参照。

訳注 4) 本見出 しは原著にはないが,本論文の文脈か ら判断 しておそ らく付 した方が ベ ターと思われたので付 した。

6 8 )ZPO5 9 2 条 1 文 ;同5 9 5 条 2 項,同 3 項参照。

6 9 )ZPO5 9 5 条 2 項,同3 項 ;同5 9 8 条参照。

(15)

証明されえない事実は掛酌 されないが,事後手続では主張することができる 70) 。 しか しなが ら,証明度は通常訴訟 と同 じ,すなわち,裁判所がそれによって請 求の正当性 を確信 させ られる証拠 に基づ く。

【 付記】本稿 は, 平成1 8 年度㈱) 民事紛争処理研究基金 ( 個人研究 ・一般研究)「 民 事保全の手続構造 ‑ 差止めのための保全 を中心 として」 ( 民紛基06‑1 30) に

よる研究成果の一部である。

7 0 ) ZPO5 9 8 条

,

同5 9 9 条 1項,同6 0 0 条 1 項参照。

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