熊本大学エ学部附属ものづくり創造融合エ学教育センター平成18年度年次報告書
ものつくりにリンクした有機化学実験の構築一有機分子からものを作り上げる-
物質生命化学科桑原穣
1.緒言
受講生(本学3年生)は小中高校と様々な科学実 験を体験してきているはずであるが、その期間で有 機分子を直接取り扱う機会はほとんどない。
3年生にとっては有機分子を直接扱い、もの(別 の分子)を作り出すという作業を初めて体験するこ とになるため、受講初期における有機化学および有 機化学実験への親しみは薄い。
その中でも有機化学A実験が担うのは主に分子 の構造変換であるため、粉末が別の粉末になったり 液体が別の液体になったりと物質の外見上の変化 に面白みがない。
そこで、「自ら実験で合成した有機分子を利用して機 能素子を作製する」体験から、受講生に有機化学およ び有機化学実験に対する親しみ.面白さを感じて、そ の重要性を理解してもらうことを本プロジェクトの授 業改善拡充目的とする。具体的には新規実験課題とし て、「有機発光色素を作り、その機能(発光)を評価 する」実験を行う。
この溶液に撹枠しながらCを滴下し、pH=5に調整す る。pH=5にしたのち撹拝を止め、30分間以上放置す る。吸引ろ過し純水でよく洗浄し、乾燥する。
乾燥したのち、少量を減圧昇華法により精製する。
昇華は再結晶に劣らない固体物質の精製法で、昇華の ための装置は簡単なものが多い。特に数mg単位の微 量物質の精製には再結晶より優れており、損失の少な い点が良い。減圧下の昇華は物質の熱による分解を少 なくし、さらに効果が高い。
Iiliillliil篝 減圧昇華装置
2.実施概要
まず、事前検討により高分子の有機発光色素を、
が作製し、その機能を評価した.しかし、発光を示 さなかったため、他の有機発光色素の検討が必要で あった。低分子の有機発光色素であるAlq3を作製し、
その機能を評価したところ容易に合成できた。さら に、Alq3の作製において精製法として減圧昇華法を 用いる事により、新たな精製法を学習できる。よっ て、学生実験ではAlq3を用いて行った。
有機発光色素Alq3の合成 まずA、B、Cの溶液を調製する。
A:3.59の8-キノリノールをエタノール50mLに加え、
加熱しながら撹拝し溶解する。
B:759の硝酸アルミニウム(9水和物)を純水lOOmL
に加え、溶解する。
C:279の水酸化ナトリウムを純水3OmLに加え、溶
解する。
減圧昇華法を懸命に学ぶ学生
辮嚇
凸王糾彌鏑…=ムーム
、函、U、.学生が減圧昇華法を行う 強く撹拝しながらA液にB液を加え、15分間撹拝
する。この時、pH=4(実際はpH=3)となる。
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熊本大学エ学部附属ものづくり創造融合エ学教育センター平成18年度年次報告書
最後に学生が合成した合成物を光照射により発光を 確認した。
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365nm光照射下 a考察
以上のことをまとめると
、有機発光色素A1q3は容易であったため学生全員が 合成できた。
、精製法に減圧昇華法を用いたことにより、物質の 精製法の1つを学習できた。
、減圧昇華法という新しい精製法に学生の反応は良 く、興味を示していた。
、光照射により自分が合成した物質が発行するため、
学生の反応がよく、有機合成によるものづくりの 楽しさを実感させることが出来た。
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