靱
金融機関による商品販売の勧誘 と説明義務
五 四 三 二 一 日
次
金融機関による商品販売の勧誘と説明義務
宮 下 修 一
は じ め に 金 融 コ グン ロ マリ ッ ト 化 の進 展 と 金 融 機 関 に よ る 商 品 の窓 販口 売 の 拡 大 金 融 機 関 よに る商 品 販売 と説 明 義 務 の関 係
︱
︱ 最 判 平 成 一五 年 一 月一 七 日を 手 が りか
︱に
︱ 金 融 機 関 によ る商 品 販売 と説 明 義務 を め ぐ る 下 級審 裁 判 例 の検 討 ま と め 今と 後 の展 望
︱
︱ 投 資 サー ビ ス法 制 定 への 提 言 も かね て︱
︱
‑1‑
法政研究10巻304号 (2006年)
一 は じ め に 本
稿 は
︑ 近 時
︑ 金融 コン グ ロ マリ トッ 化 の動 き の中 で急 速 に発 展 し きて た銀 行 等 金 融 機 関 の窓 口 にお け る商 品 販売 わ︵い ゆ る
﹁銀行 窓 販 し に つい て︑ 契 約 締 結時 にお け る金 融 機 関 側 不の 正確 あ る いは 不十 分 な説 明 に起 因 し て生 じ た 紛 争 解を 決 す る た め の法 理を 探 求 し よう すと るも ので あ る︒ 二 で述 べる よう に︑ 平 成 一九 年末 に全 面解 禁 が 予定 さ れ て いる 保 険 商 品 の銀 行 窓 版 に関 し ては
︑ とり わ け個 人 年 金 保 険 を めぐ てっ
︑ 銀 行 等 金 融 機 関 顧と 客 と の間 のト ラブ ル 増が 加 し て き て るい こ︒ よの う な 中 で︑ 紛 争 を未 然 に防 止 す る た め に保 険 販売 に関 す る規 制 も 強化 さ れ てき て いる が︑ 実 際 に紛 争 が発 生 し た場 合 にお け る解 決 手 段 に つい て の考 察 は︑ フ﹂れ ま 必で ず し も十 分 にな され て いる と は いえ な い︒ そ こ で︑ 本 稿 で は︑ 現在 の問 題 状 況 を ふ まえ た う え で︑ 金 融 機 関 によ る商 品 販売 と説 明義 務 と の関 係 が問 題 とな たっ 裁 判 例 な ど 参を 照 し つ つ︑ 具体 的 な紛 争 が生 じ た 場合 の紛 争 解 決 法 理を 探 てっ くい こと にす る︒ 具体 的 には
︑ 二で 現在 の銀 行 窓 販 を め ぐ る問 題 状 況 を概 観 し た のち
︑ 三 で金 融 機 関 によ る商 品 販売 に関 し て平 成 一 五年 に出 さ れ た最 高 裁 判決
︑ 四 同で 様 に金 融 機関 によ る商 品 販売 が 問題 とな たっ 下 級 審 裁判 例 を そ れ ぞれ 分 析 し て︑ 銀行 窓 販 に おけ る金 融機 関 の責 任 法 理 を 明 ら か にす る た め の手 が かり を探 る こと にす る︒ 最 後 に︑ 五 銀で 行 窓 販 に お け る勧 誘 を め ぐ る金 融機 関 の責 任 法 理 に つい て検 討 し た う え で︑ 現在 制 定 へ向 け て議 論 が進 ん で いる
﹁投資 サ ービ ス 法
︵仮 称 と に対 す 提る 言 を行 う こと にし た い︒
二 金 融 コン グ ロ マリ ット 化 の進 展 金と 融 機 関 によ る商 品 の窓 口販 売 の拡 大
︵1︶ 金 融 コ グン ロ マリ トッ 化 と
﹁金 融 改 革 プ ログ ラ ム﹂ 平成
一〇 年 に銀 行 持 株 会 社 解が 禁 さ れ て以 来
︑
﹁金 融持 株 会 社
﹂を 中 心 と す るグ ルー プ が 次 々と 成形 さ れ︑ いわ ゆ る 金 融 コン グ ロ マリ トッ 化 が 急 速 に進 展 し て き た︒ こ のよ う な流 れを 受 け て︑ 金 融 庁 は平 成 一七 年 月六 に
﹁金 融 コン グ ロ マリ トッ 監 督 指 針
﹂を 公 表 し︑ 金 融 コン グ ロ マリ トッ 監 督 の基 本 的 な 考 え方 を 示 し て
﹂縫
︒ そ れ よに れば
︑
﹁い わ ゆ る 四大 銀 行 グ ール プ
︵平 成 一八 年 月一 一日 から は︑ 銀行 再 編 に もと な い三 大 銀行 グ ール プ ー ー 筆者 注
︶に つい て るみ と︑ す べて のグ ール プ に お いて 持 株会 社 制 のも と︑ 銀 行 中を 核 と し て証 券 会 社
︑ 信 託銀 行 等 を 保有 し て おり
︑ ま た︑ 四大 グ ール プ 以 外 に お いて も︑ 銀 行 保と 険 会 社 を含 むグ ール プ や︑ 証 券 会 社 又 保は 険 会 社 が申 核 とな てっ 業他 態 の金 融 機 関 とグ ール プ を形 成 し て いる も のな ど︑ 業 態 を また が るグ ール プ 形 態 が 多 く みら れ
﹂る と され
︑ こ のこ と は外 資 系 金 機融 関 もで 同 様 と さ れ て
﹂縫
︒ ま た︑ 金 融 コ ング ロ マリ トッ 化 の進 展 軌と を 一に す る形 で︑ 金 融 関に す る規 制 緩 和 の動 き も急 速 に進 ん で るい 金︒ 融 庁 は︑ 平 成 一六 年 一二 月 に
﹁金 融 改 革 プ ログ ラ ムー ー 金融 サ ー ビ ス立 国 への 挑 戦
︱
︱
﹂を 公表 たし
︒ こ こ では
︑
﹁多 様 良で 質 な 金 融 商 品
・サ ービ スの 提 供 に向 け た制 度 設計
﹂ と題 し て︑
﹁利 用 者 ニー ズ に応 じ て多 様 で良 質 な 金融 商 品
・ サ ービ スが 適 時適 切 に提 供 さ れ よる う すに る た
﹂め に金 融業 への 新 規 参 入を 促 進 し︑ 公 正 な ルー ルの も と で の健 全 な 競 争 を 促 す と と も に︑
﹁金 融 機 関 の製 販分 離 や販 売 チ ネャ ル の拡 大 を 容 易 化
﹂す るな しど て︑ 利 用者 利便 を 向 上 す るた
金融機関による商品販売の勧誘 と説明義務
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法政研究10巻
3・
4号 (2006年)めの 度制 設計 図を るこ とが うた われ ては
︒従
︵2︶ 金 融 商 品 の銀 行 等金 融 機 関 の窓 口で の販 売
︵銀行 窓 販
︶ 拡の 大
︵ 5
︶
︶︵1 述で たべ
﹁金 融 改 革 プ ログ ラ ム﹂ は︑ そ の
﹁工程 表
﹂ に従 てっ 着 々 と進 展 し てき て いる が
︑ こ こで 注 目 す べき は︑ 保険 商 品 の銀 行 等 金 融 機 関 の窓 口 にお け る販 売
︵銀行 窓 販︶ の拡 大 へ向 け た施 策 であ る︒ 行銀 等 の業 務 範 囲 は︑ 従 来 は 定限 的 なも ので あ たっ が
︑ 平成
一〇 年 に は証 券 投資 信託 の窓 口販 売 が解 禁 さ れ︑ また 平成
一六 年 には 証 券仲 介 業 への 参 入 が認 めら れ るな ど
︑ 近年
︑ 拡 大 の 一途 を た ど てっ いる
︒ そ の流 れ の中 で︑ 平 成 一二 年 には 保険 業 法 が改 正 さ れ︑ 銀行 等 よに る保 険 募 集 が 認 め ら れだ︵
︒ 平 成 一三 年 月四 の段 階 で は︑ 住 宅 ロー 関ン 連 の信 用生 命 保険
・長 期火 災 保 険
・債 務 返 済 支 援保 険
︵信 用生 命 保 険 に つ いて は引 受保 険 会 社 が 子会 社 ま た は 弟兄 会 社 であ る場 合 に限 定
︶︑海 外 旅 行傷 害 保 険 販の 売 の みが 認 め ら れ た︒ そ の後
︑ 平成
一四 年 一〇 月 に は︑ 個 人年 金保 険
︑ 財 形保 険
︑ 年 金 払積 立傷 害 保 険
︑ 財 形 傷 害 保 険 の販 売 も 認 め ら れ る と とも に︑ 住 宅 ーロ ン関 連 の信 用生 命 保 険 にか か る引 保受 険 会 社 の限 定 が解 除
︵ 9
︶
さ れ た︒ さ ら に︑ 保 険 商 品 の銀 行 窓 販 に つい て は︑ そ の全 面解 禁 へ向 たけ 動 き 続が てい るい
︒ 平成
一六 年 二月 には
︑ 金融 審 議 会 金 融 分 科 第会 部二 会 が
︑ 保﹁ 険 の基 本 問 題 関に す る ワー キ ング グ ルー プ
﹂ で の検 討 を 経 て︑
﹁銀 行 等 によ る保 険 販 売 規 制 見の 直 し に つい て﹂ と題 す る報 告書 を 公表 し た︒ そ こ で は︑ 融資 先 対に す る 圧力 販売 な ど︑ 想予 さ れ る弊 害 を 防 止 す る措 置 を適 切 に講 じ たう え で︑
﹁契 約 者 や国 民 全 体 にと てっ の利 益 の増 進 と いう 視 点 から 銀︑ 行 等 にお いて 原 則 と し て全 て の保 険 商 品 を 取 り扱 え るよ う にす る こと が適 当
﹂と す る 基本 的 方 向 性 が 示 さ れる と と も に︑ 報告 書 公表 後
︑
遅 く とも 三 年 後 に は
﹁銀行 等 にお いて 原 則 と し て全 て の保 険 商 品 取を り扱 え るよ う にす る こと 適が 当
﹂と され て
﹂型
︒ こ の報 告 を 受 け て︑ 平 成 一七 年 七 月 保に 業険 法 施 行 規 則 が改 正 され 同︑ 年 一二 月 に施 行 さ れ た︒ これ によ り︑ 銀行 窓 販 の範 囲 が ︑ 一時 払 終 身 保 険
・保 険 期 間 一〇 年 以 下 の平 準 払 養 老 保 険
︵法 人契 約 を除 く︶ 二 時 払養 老保 険
︑ 自 動車 保 険 以 外 の個 人向 け損 害 保 険
︵事 業 連関 の保 険 除を く
︶ のう ち団 体契 約 等 でな もい の o積 立保 険 積︑ 立傷 害 保 険 拡に 大 さ れ ると と も に︑ 住 宅 ロー 関ン 連 の信 用 生命 保 険
︑ 長 期 火 災 保 険 及び 債 務 返 済 支 援 保険 の付 保 対象 であ る店 舗併 用 住 宅 に関 す る制 限 の緩 和 な ど 実が 施 さ れ た
︒ ま た︑ こ の平 成 一七 年 の保 険 業 法施 行規 則 改 正 はで
︑ 銀行 等 によ る保 険 募 集 実の 施 状 況 や弊 害 防 止措 置 の実 効 性 を検 証 し たう え 見で 直 し を す る こ とを 留 保 し つ つも
︑ 正改 規 則 施が 行 さ れ て か ら 二年 後
︑ す な わ ち平 成 一九 年 一二 月 に︑ 銀 行 等 はす べて の保 険 契 約 の募 集 行を う こと が で きる こと と す る旨 が明
︲ ︵ 2
︶
記 さ れ た︒ 以 上 で み てき た うよ な 保 商険 品 の銀 行 窓 販 の売 上げ は︑ 当 初 は︑ 保 険 会 社 の側 から 銀 行 の圧 力を 懸念 す る声 も 示 さ れ ては たい も の の︑ 平成
一三 年 の解 禁 以降
︑ 急 増 し て いる
︒ あ る経 済 情 報誌 によ る と︑ 業 界 ト プッ の損 害 保険 会 社 で は︑ 銀 行窓 販 が 開始 さ れ た翌 年 あで る平 成 一三 年 の 一年 間 で︑ 災﹁火 保 険 の収 入保 険 料 のう ち五
〇% 程 度 が 銀行 窓 販 に よ る寄 与 分 見と ら れ て いる
﹂ と報 じ ら れ て は犯
︒ ま たヽ 別 の経 済 情 報 誌 の独 自 調 査 に よ れば
︑ 平成 一四 年 一〇 月 に解 禁 さ れ た個 人 年 金 保険 の銀 行 窓 版 は︑ 同 月 カ一 月間 で︑
﹁契 約 件 数 万一 件
︑ 契 約 高 二 一六 億 円﹂ に達 たし と の こと あで る︒ 同 記じ 事 で は︑
﹁五年 後 には 変 額 年 金 保険 販の 売 チ ネャ ル の六
〇
% を銀 行 が 占 め て るい だ ろう
﹂と いう 関 係 者 の予 測 も 伝 え ら れ て いる
︒ さ ら 別に の金 融 情 報 誌 はで
︑ 平 成 一四 年 の段 階 では
︑ 二 一八 の金 融機 関 うの ち ︑ 一九 一機 関 が 変 額 年 金 保 険 を ︑ 一八 三機 関 が 定 額 個 人 年 保金 険 販を 売 し て いる と いう 調 査 結 果 も 公 表 さ れ て
﹂級
︒
金融機関 による商品販売の勧誘 と説明義務
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法政研究10巻304号 (2006年)
こ のよ う な 保険 商 品︑ と り わけ 個 人年 金 保 険 を中 心 とし た 銀行 窓 販拡 大 の動 き は︑ 当 初 か ら期 待感 の高 か たっ 金 融 機関 の意 向 と 実︑ 際 に販 売 を 開 始 し た後 に
﹁有 力 な販 売窓 口﹂ であ る こと を 識認 し たう え で︑ 平 成 一九 年 末 の
﹁全 保 険 商 品 の販 売解 禁前 に︑ さ ら に銀 行 と の関 係 を強 化 たし い﹂ 保 険 会 社 の意 向 が あ いま てっ
︑ ます ま す強 ま る こ とが 予 想 さ れ る︒
︵3︶ 銀 行 窓 販 の契 約 締 結 に関 す る ト ラブ ル の増 加
︵2︶ で み てき た よ う に︑ 金 融商 品 の銀 行 窓 販を めぐ てっ は拡 大 の 一途 を た ど てっ いる が そ︑ れ にと もな う ト ラブ ル︑ と り わ 契け 約締 結時 の銀 行 よに る説 明 が 不十 分 であ る こ と に起 因 す るも のが 増 え てき て いる
︒ 中 でも
︑ 近時 急 成 長 を遂 げ て いる 保 険 商 品 に つい て は︑ 解禁 当 初 から
︑ コ保 険 に入 ら な いか
︑ と いう と門 前 払 さい れ る が︑ 新 し い資 産 運 用商 品 が あ る︑ と説 明 す ると 乗 てっ く る客 多が
﹄い と大 都手 銀担 当 者 は打 ち明 け る﹂ と いう 声 も伝 え ら れ るな ど 紛︑ 争 の発 生 が 懸念 さ れ て いた が︑ 実 際 に︑ 主 力 商 品 であ る個 人年 保金 険 を中 心 とし て︑ ト ラブ ル
2 ︵ 0
︶
多が く 発生 し てき て るい
︒ 国 民 生 活 セ タン 相ー 談 調 査 部 の報 告 によ れば 個︑ 人 年 金 保険 の銀 行窓 販 が解 禁 され た 平成
一四 年 一〇 月 から 成平
一 七 年 三月 ま で の間 に︑ 民国 生 活 セ タン ー と 全 国 消の 費 生 活 セ タン ーを 結 ぶ
﹁全 国消 費 生 活情 報 ネ トッ ワー ク
・シ ステ ム﹂
︵P I O︲ N E T
︶に 寄 せら れ た
﹁個 人 年 金 保 険 の銀 行 窓 口販 売
﹂に 関 す る相 談 は︑ 二六 件四 に のぼ てっ るい 年︒ 度 ご と 相の 談 件 数 の内 訳 を み る と︑ 平成
一四 年 度 には 二五 件 であ たっ も のが
︑ 平 成 一五 年 度 には 九 二件
︑ 平成
一六 年 度 に は 一四 六件 と︑ 年 を追 てっ 増加 し て い る︒ 相 談 のあ たっ 契 約 の当 事 者 は︑ 性 別 で 女は 性 が 七 五% を 占 め ると とも に︑