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論文審査委員

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Academic year: 2021

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(1)

博士学位論文内容の要旨

氏 名 髙

タ カ

大輔

ダ イ ス ケ

学 位 の 種 類 博士(作業療法学)

学 位 記 番 号 健博 第

117

号 学位授与の日付 平成

28

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第2項該当

学 位 論 文 題 名 作業療法プログラムの違いが高齢者の健康統制感と効果指標との関

係に与える影響 ~ランダム化比較試験~

論 文 審 査 委 員 主査 教 授 石井 良和 委員 教 授 小林 隆司 委員 准教授 井上 薫

【論文の内容の要旨】

【目的】介護予防プログラムの実施に当たって,作業療法士は参加者がどのような動機付 けや健康感など,いわゆる健康に対する信念を持っているのかを知り,その上でプログラ ム内容を検討することが重要である.これまで筆者らは,健康に関する信念である健康統 制感に着目し,作業療法士が提供するプログラム内容や効果との関係について検討してき た.その結果,介護予防運動プログラムを行った場合は,健康統制感が外的統制(健康は 自分以外の要因でコントロールされると信じる傾向)の対象者で健康関連

QOL

が向上した ことを報告した.また,内的統制(健康は自分でコントロールされると信じる傾向)の対 象者では,介護予防運動プログラムよりも,人間作業モデルに基づく健康増進プログラム

(

以 下,

MOHO

プログラム

)

を行った群で健康関連

QOL

が高かったことも報告した.一方で,多 次元の概念である健康統制感を内的と外的の

2

次元でしか検討していないことや,対象者の 割り付けが無作為でなかったなどの課題も明らかとなった.そこで,本研究では,対象者 をランダムに割り付けた上で,健康な高齢者に対する作業療法プログラムの違いが健康統 制感と効果指標との関係にどのような影響を与えるのかを検討することを目的とした.

【方法】対象は,東京都と沖縄県で実施した

65

歳大学に参加した

65

歳以上の高齢者である.

65

歳大学は高齢者の健康増進や介護予防に向けた新たな作業療法プログラムを開発するた

めの研究事業であり,

MOHO

プログラムと手工芸の作製プログラム

(

以下,手芸プログラム

)

の効果を検討するものである.対象者は各地区を層として,

MOHO

プログラムを行う群と

手芸プログラムを行う群にランダムに割り付けた.

MOHO

プログラムの内容は,

MOHO

基本的構成要素である

10

の概念に関する講義と,対象者が現在までの健康な生活を支える

要素や,将来への備えを理解できるような演習を行った.また,対象者が自ら健康に関す

(2)

博士学位論文内容の要旨

る作業の計画や実施も行った.プログラムはMOHOに精通した大学の教員の作業療法士が 行った.手芸プログラムはアンデルセン手芸,折り紙手芸などの7種目を実施した.プログ ラムを通して作業そのものの楽しみや学習,作業を通しての交流などの支援も行った.プ ログラムは

MOHO

プログラムと同じ担当者が行った.両プログラムは

1

120

分,全

15

回実 施した.測定は,基本属性のほか,日本版主観的健康統制感尺度(以下

JHLC

)を実施し,

下位尺度

(

自分,家族,専門職,偶然,超自然

)

ごとに点数を算出した.また,効果指標とし て老人用うつスケール短縮版(以下,

GDS

),生活満足度指標

Z

(以下,

LSIZ

),

SF-36

を実施した.そしてプログラム初回時と最終時における測定値の差や,健康統制感と効果 指標との相関分析を基に検討した.統計学的検定にはノンパラメトリック検定を用い,有 意水準は

5

%未満とした.

【結果】募集に応じた対象者は

61

名で,

MOHO

プログラムに

31

名,手芸プログラムに

30

名 が割り付けられた.最終的な解析対象者は

34

名であり,

MOHO

プログラムが

18

名,手芸プ ログラムが

16

名であった.

JHLC

下位尺度と効果指標との関係を見ると,

MOHO

プログラ ムを行った結果,

JHLC

の自分と

GDS

LSIZ

SF-36

の全体的健康感,心の健康で中程度 の相関が見られたほか,

JHLC

の家族や専門職と相関する効果指標項目がいくつか見られた.

一方,手芸プログラムを行った結果では,

JHLC

の下位尺度と効果的な相関関係にある効果 指標項目が見られなかった.

【考察】

MOHO

プログラムは作業における自身の身体的側面や精神的側面,環境的な影響 についての考え方を学ぶだけではなく,自分たちのより良い生活に向けた活動を企画し実 行するという特徴がある.このように

MOHO

プログラムは,主体的な活動を通して対象者 の多様なニーズに応えるプログラムであったことが,

JHLC

の自分のみならず家族や専門職 と効果指標を結びつける効果があったものと考えられる.一方,手芸プログラムは,作品 作りが健康的な生活にどのように活かされるのかという意識の変容につながりにくいプロ グラムであることが予想される.このことから,

JHLC

と効果指標との関係に強い影響を与 えないプログラムであることが考えられる.以上より,介護予防プログラムを作成・実施 する際に健康統制感を用いる場合は,プログラム内容によって健康統制感と効果指標との 関係に違いが生じる可能性を考慮しながら,さまざまな信念を持つ対象者に適用できるよ うなバランスの取れたプログラム開発の検討材料として利用できるものと考えられる.

【結論】本研究では,

2

つの作業療法プログラムが高齢者の健康統制感と効果指標との関係 にどのような影響を与えるのかを検討した.その結果,

MOHO

プログラムは自分,家族,

専門職の健康統制感と効果指標との間にポジティブな影響が認められ,手芸プログラムで

はそのような影響は認められなかった.健康統制感を用いた対象者の信念を評価すること

は,より効果的な介護予防プログラムの開発に寄与できる可能性がある.

参照

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