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慢性疾患をもつ子どもの学校生活への適応に関する家族の捉え方

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(1)

慢性疾患をもつ子どもの学校生活への適応に関する家族の捉え方

山手美和D

キーワード:学校生活への適応、家族、慢性疾患、子ども 要 旨

 本研究の目的は、慢性疾患をもつ子どもの学校生活への適応に関する家族の捉えの実態を明らかにする ことである。研究者が作成した「学校生活への適応に関する家族の捉え」質問紙を慢性疾患をもつ子どもの 家族に配布しll8名から回答があった(回収率92.2%)。

 データ分析の結果、「学校生活への適応に関する家族の捉え」として、3因子が抽出され《学校生活へ参 加できる》《体調の自己管理ができる》《体調不良時の対応ができる》の順で得点率が高かった。また、適応 総得点の得点率は79.6%であり、大部分の慢性疾患をもつ子どもの家族は、子どもが学校生活に適応してい ると捉えていたといえる。

 本研究結果より、子どもの発達段階に応じたセルフケア能力の向上に関する援助や家庭・学校・医療機 関の三者の連携や支援体制が確立されることの重要性が示唆された。

Family Perception of Adaptation to Scllool Life of      the Cllild with a Cllronic disease

Miwa Yamate D

Key Wbrds:Adaptation to School Life, Family, Chronic disease, Child

Abstract

 The purpose of this study is to cladfy whether the families who have a school−age child with a chronic disease understood the child s adaptation to school life. We developed a new selFreport questionnaire which consisted of 14−items with a 4−point scale. This questionnaire showed how famil輌es who have a school−aged child with a chronic disease perceived the child s adaptation to school life. Data were coUected from 118 fam輌lies.

 The data were analyzed for 3 factors;1)Participation in school life,2)The child s self−control, and 3)Care during times of poor health. The construct with the highest score among the three factors was Participation 輌nschooUife . The total score for Adaptation was 76.5%. These data suggest that famiiies who had a child with chronic disease perceived that their child had adapted to school life.

 These results suggest that nursing cares to enhance self−care capability at a level appropriate with the developmental stage of the child and cooperation with families, school, and hospitals were important interventions for families who had a child with a chronic disease.

1)宮城大学看護学部 Miyagi University Schooi of Nursing

(2)

1.はじめに

 学童期、思春期の子どもにとって学校生活を送 ることは、単に学習するということだけでなく、仲 間との集団生活を通して社会生活上の規範を身につ けるなどの意義もあり重要である。また、この時期 は、家族周期論Dにおいて教育期にあたり、家族は

「子どもの能力と適性に見合った就学」という発達 課題に取り組んでいる。しかし、学校生活を送るた めの連携や支援体制が充実していない中で、病気を もつ子どもが学校生活に適応していくことは、学校 関係者の子どもの理解や認識などの受け入れ体制の 問題もあり困難を伴うことが多い2)−5)。このような 状況の中で慢性疾患をもつ子どもの家族は、病気を

もつ子どもの体調管理や療養行動、学校生活、将来 のことなどについて不安や困難感を抱きながらも学 校や医療機関との連絡調整を行っている2)−8)。この ような状況が長期化した場合、慢性疾患をもつ子ど もの学校生活への適応を困難にしたり、また、進路 などへも大きく影響を及ぼすことが推測される。慢 性疾患をもつ子どもの家族は、上述したように、子

どもが学校生活に適応していくことができるように さまざまな対応を行っている。兼松9)は、慢性疾 患をもつ子どもと家族の看護目標の一つに学校生活 への適応をあげている。また、家族の安定は、子ど もの学校生活への適応の状態に大きく影響されると 述べている。核家族化、家族機能の脆弱化が指摘さ

れている中で家族の安定を維持できるように援助し ていく際には、慢性疾患をもつ子どもの学校生活へ の適応に対して家族がどのように捉えているのかに っいて把握することは重要であると考える。本研究 は、慢性疾患をもつ子どもの学校生活への適応に関 する家族の捉えの実態を明らかにすることを目的に

行った。

Il.研究方法 1.研究対象

  小児慢性特定疾患治療研究事業の対象となって  いる慢性疾患(悪性新生物、慢性腎疾患、ぜんそ  く、慢性心疾患、内分泌疾患、膠原病、糖尿病、

 先天性代謝異常、血友病等血液疾患、神経・筋疾 患)に罹患しており、小学校から高等学校に通学  している子どもの家族を対象とした。

2.データ収集方法

  データ収集は、A県内にある総合病院2施設の  小児科外来で行った。家族に対して研究の主旨、

研究参加は家族の自由意志であること、プライバ  シーの保護などについて口頭と文書で説明し、研

究協力の同意が得られた家族に質問紙を配布し、

小児科外来に設置した回収ボックス、郵送法にて 回収した。

3.質問紙の構成

 「学校生活への適応に関する家族の捉え」質問紙

表1 「学校生活への適応に関する家族の捉え」14項目の因子分析結果(主因子法バリマックス回転)

《学校生活へ参加できる》 《体調の自己管理ができる》 《体調不良時の対応ができる》 共通性

03 友達との交流を持っている 725

6.217E−02 .177 .561

05 課外活動や学校行事などに参加できている .722 .422 6.023E−02 .703

02 自分で取り組めることを見出している .698 .287 241 .628

06 嫌なこと辛いことがあっても乗り越えようとしている .677 1,364ε一〇2 .207 .502

011 クラスの中で決められた役割を果たしている .599 .459 .110 .582

08 日課にそって過ごすことができている .559 ,548 6.863E−02 .617

01 休むことなく通えている .537 .493

4.480E−02 .533

07 自分の体調のことを考え無理をしない .150 .774 .255 .687

010 症状が悪化しないように行動できる .101 .739 .433 .743

09 療養行動がとれている .189 .676 ,363 .625

013 体調が悪くなったときに友達に援助を求めている ,212 .101 .788 .676

m4 体調が悪くなった時に先生に援助を求めている 4.718E−02 120 .739 .563 012 症状が悪化したときには自分で対応することができる 3.495E−03 .388 .689 .625

04 体調の変化に気づくことができている ,256 .203 .687 .579

因子負荷量2乗和 3134 2,837 2,653

寄与率(%) 22384 20,263 18,948

累積寄与率〔%) 22,39{ 42,646 61,595

(3)

は、Royl°)の適応看護モデルに基づき、生理的機 能様式、自己概念様式、役割機能様式、相互依存 様式から演繹的に質問項目を73項目作成した。73 質問項目を家族看護学、小児看護学の専門家に表 面妥当性を確認しながら珊法にて演繹的、帰納 的に洗練化を行い14項目とした。質問紙の構成は、

続柄、家族形態、子どもの年齢、性別、疾患名、

発症年齢のフェイスシート6項目、「学校生活へ の適応に関する家族の捉え」質問紙14項目であ  り、非常にそう思う4点、かなりそう思う3点、

あまりそう思わない2点、そう思わない1点の自 記式4段階リッカート尺度とした。「学校生活へ  の適応に関する家族の捉え」質問紙の妥当性の検 討を行うために因子分析(主因子法バリマックス 回転)を行った結果、《学校生活へ参加できる(7 項目)》《体調の自己管理ができる(3項目)》《体 調不良時の対応ができる(4項目)》が抽出され、

因子寄与率61.595%であった(表1)。また、構 成概念毎のCronbach sα=0.77〜0.84、14項  目全体のCronbach sα=0.87であった。

4データの分析

  データ分析は、統計パッケージSPSSを使用し、

 記述統計、妥当性の検討のため因子分析、平均得 点の差の検定を行うためt検定、一元配置分散分  析を行った。さらに、一元配置分散分析を行い有

意差が認められた場合、多重比較を行った。いず れも有意水準0.05以下を有意とした。

表2 家族の背景と子どもの背景

(n=ll8)

人 数    (%)

質問紙への回答 母親 115 97

祖母 2 2

の 背景 父親 1 1

家族形態 核家族 54 46

拡大家族 64 54

性別 男子 64 54

女子 51 43

NA 3 3

学年 小学生 72 61

中学生 34 29

高校生 7 6

NA 5 4

疾患 神経・筋疾患 32 27

(重複疾患5名) ぜんそく 25 21

慢性心疾患 20 17

内分泌疾患 19 16

膠原病 9 8

慢性腎疾患 7 6

子 ど

血友病等血液疾患 4 3

もの

糖尿病 3 3

背景

悪性新生物 2 1

先天性代謝異常 1 1

その他 2 1

NA 2 1

発症年齢 1歳未満 36 31

幼児期 45 38

学童期 27 23

思春期 8 7

NA 2 1

罹病期間 0〜3年未満 21 18

3〜5年未満 16 14

5〜10年未満 47 40

10年以上 32 27

NA 2 1

III.結果 1.対象者の背景 1)家族の特徴(表2)

  小児科外来に通院中の慢性疾患をもつ子どもの  家族128名に対して質問紙を配布し118名(回収  率92.2%)の回答があった。質問紙への回答は、

 母親ll5名、祖母2名、父親1名であった。家族 形態は、夫婦とその子からなる核家族54名、核 家族にその他の家族員が複合された拡大家族64名  であった。

2)子どもの特徴(表2)

  子どもの性別は、男子64名、女子51名、無回答  3名であった。子どもの平均年齢は10.8歳(6歳  〜18歳,SD=3)であり、小学生72名、中学生34名、

高校生7名、無回答5名であった。疾患は、神経  ・筋疾患32名、ぜんそく25名、慢性心疾患20名、

内分泌疾患19名、膠原病9名、慢性腎疾患7名、

血友病等血液疾患4名、糖尿病3名、悪性新生物  2名、先天性代謝異常1名、その他2名、無回答  2名であった(5名重複疾患)。病気の発症年齢 は、1歳未満36名、幼児期45名、学童期27名、思 春期8名、無回答2名であった。罹病期間は0−3 年未満21名、3〜5年未満16名、5〜10年未満47 名、10年以上32名、無回答2名であった。

2.学校生活への適応に関する家族の捉え 1)「学校生活への適応に関する家族の捉え」総得点   学校生活への適応に関する家族の捉えの総得点

は、44.6(SD=7.2、得点率79.6%)であった(表3)。

(4)

2) 「学校生活への適応に関する家族の捉え」構成   概念の平均得点

  学校生活への適応に関する家族の捉えの構成概  念の平均得点の得点率は、 《学校生活へ参加でき  る》88.6%が最も高く、ついで《体調の自己管理

ができる》75.0%、《体調不良時の対応ができる》

68.1%の順であった(表3)。

3.対象者の背景と学校生活への適応に関する家族   の捉えの検討

1)家族形態と適応に関する平均値の差の比較   核家族と拡大家族との間で学校生活への適応の

得点に差があるかを検討するためt検定を行った  ところ、いずれも有意差は認められなかった(表  4)。

2)子どもの性別と適応の平均値の差の比較   男子と女子との間で学校生活への適応の得点に

差があるかを検討するためt検定を行ったところ、

いずれも有意差は認められなった(表5)。

3)子どもの学年と適応の平均値の差の比較  「小学校」と「中学・高校」との間で学校生活へ  の適応の得点に差があるかを検討するためt検定  を行った(表6)。《体調不良時の対応ができる》

 の平均得点は「小学校」10.4(SD=3.0)、「中学・高校」

 12.2(SD=2.8)であり、[t(103);−3.0, p=αoo4]

 と有意差が認められ、「小学校」より「中学・高  校」の方が平均得点が高かった。また、《適応総 得点》の平均得点は「小学校」44.0(SD=7.2)、「中 学・高校」46.6(SD・6.8)であり[t(96)=−1.7,

 p=0.09]と、「中学・高校」の方が平均得点が 高かった。

4)子どもの病気の発症年齢と適応の平均値の差の   比較

  子どもの病気の発症年齢を「1歳未満」「幼児 期」「学童期以上」の3群に分け、3群間で平均 得点に差があるかを検討するため一元配置分散分 析を行った(表7)。《体調不良時の対応ができる》

表3 「学校生活への適応に関する家族の捉え」総得点・構成概念の平均得点

(n=118)

構成概念 項目数 得点範囲 平均得点 標準偏差 得点率(%) 項目別

平均得点

項目別 標準偏差

《学校生活へ参加できる》 7項目

7.0−28.0

24.8 34 8&6

3.5

α5

《体調の自己管理ができる》 3項目

3.O−12.0 9.0 2.3

75.0

3.0 0.8

《体調不良時の対応ができる》 4項目

4.(}16.0 10.9 3.4 68.1

27

0.9

適応総得点      14項目  16σ560   446    7.2    796    3.2    (15

表4 家族形態と適応との関連

(n=118)

     適応

家族形態

《学校生活へ 参加できる》

《体調の自己管理  ができる》

《体調不良時の

対応ができる》 適応総得点

平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差

核家族 25.2

3.6 9.3

2」

11.0 3.3

45.4 τ2

拡大家族 24.5

3.3 8.7 2.4 10.9 2.8

438

7.1

t値(有意水準) t・1.1(P・α28) t・1.3(P・α21) t・02(P・084) t・1.1(P・027)

表5 子どもの性別と適応との関連 (n=ll8)

    適応

性別

《学校生活へ 参加できる》

《体調の自己管理  ができる》

《体調不良時の

対応ができる》 適応総得点

平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差

男子 24.8

3.2 9.0 2.4 10.6 3.4

44.3

7.2

女子 25.0

3.7 9.1 2.2 11.4 2.6

45.3

7.2

t値(有意水準) t・ひ3(P・074) t≡σ3(P・078) t≡1.3(P・017) t≡α7(P・048)

(5)

の平均得点は「1歳未満」9.9(SD=3.2)、「幼児期」

10.9(SD=3.0)、「学童期以上」12.1(SD=2.7)で  あり、[F(2.104)=4.6,MSe=8.9, p=0.008]と3

群間に主効果が認められた。多重比較を行った結 果、「1歳未満」と「学童期以上」間において有 意差が認められ、「学童期以上」に病気を発症し た方が平均得点が高かった。

5)子どもの病気の罹病期間と適応の平均値の差の   比較

  子どもの病気の罹病期間を「0−3年未満」「3−5 年未満」「5−10年未満」「10年以上」の4群に分け、

 4群間で平均得点に差があるかを検討するため一 元配置分散分析を行った(表9)。《体調不良時の 対応ができる》の平均得点は「0−3年未満」12.4

 (SD=2.5)、「3−5年未満」11.0(SD=3.2)、「5−10 年未満」10.0(SD=3.2)、「10年以上」11.4(SD=2.8)

 であり、[F(3.103)=3.1,MSe=9.0, p=0.026]と

 4群間に主効果が認められた。多重比較を行った 結果、「0−3年未満」と「5−10年未満」間にお

表6 子どもの学年と適応との関連

いて有意差が認められ、

平均得点が高かった。

「0−3年未満」の方が

lV.考察

1.学校生活への適応に関する家族の捉え

  本研究結果から、学校生活への適応の捉えの視  点として、因子分析の結果、《学校生活へ参加で  きる》《体調の自己管理ができる》《体調不良時の

対応ができる》が抽出された。先行研究をみても、

 家族を対象として家族が子どもの学校生活への適  応についてどのような視点で捉えているのかにつ  いて調査しているものはなく、新たな知見が得ら  れた。慢性疾患をもつ子どもは、定期外来受診や  入退院の繰り返し、欠席が多くなるなど学習の中  断が起こりやすい状況にあるため、家族は、進路・

 職業選択など将来のこと、体調管理や療養行動を  行うことなどさまざまなことに対して困難感を抱  きながら、子どもに関わっている。さらに、家庭・

 学校・医療機関の連携や支援体制などが十分に整

(n=118)

     適応

学年

《学校生活へ 参加できる》

《体調の自己管理  ができる》

《体調不良時の

対応ができる》 適応総得点

平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 小学校

中学・高校

24.8

25.2

3.6

2.9

&9

9.4

2.3

2.3

1α4*

12.2*

30

2.8

44.0

46.6

7.2

6.8

t値(有意水準) t=−06(P=α54)

t=−1.1(P;(元28)

卜30(P・α004) t≡1.7(P・009)

表7 子どもの病気の発症年齢と適応との関連

(n=118)

     適応

発症年齢

《学校生活へ 参加できる》

《体調の自己管理  ができる》

《体調不良時の

対応ができる》 適応総得点

平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 1歳未満

幼児期 学童期以上

24.2

25.2

25.2

4.5

2.5

3.1

8.9

9.1

9.0

2.4

2.3

2.3

9.9*

1α9

12.1*

32

3.0

2.7

43.16

448

46.3

7.8

6.5

7.2

F値(有意水準) F=1.1(炉α34) Fニ008(P・四3) F・46(P・OOO8) F・1β(P・021)

表8 子どもの罹病期間と適応との関連

(n=ll8)

     適応

罹病期間

《学校生活へ  . 参加できる》

《体調の自己管理  ができる》

《体調不良時の

対応ができる》 適応総得点

平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差 平均得点 標準偏差

(}3年未満

35年未満 510年未満 10年以上

25.7

248

24.3

253

2.8

3.5

42

2.2

9.1

88

&7

9.6

2.4

1.9

2.5

2.2

12.4*

11.0

100*

11.4

2.5

3.2

3.2

28

47.2

44.4

43.0

45.9

6.7

7.3

&1

5.4

F値(有意水準) F=α9(ロ043)

F・α8(P=O.47)

Fニ31(P・OO26) F=18(P・015)

(6)

 備されていないため、家族は、子どもが学校生活  を送ることができるように、連携や調整を行って  いるのが現状である2蹴ll)12)。そのため、学校生  活に参加できていることや学校生活の中で体調の  自己管理や体調不良時の対応を子ども自身ができ  ていることなどが、家族が子どもは学校生活に適  応していると捉える視点となっているものと考え  られる。

  また、本研究結果から、慢性疾患をもつ子ども  の家族の約8割が、子どもが学校生活に適応して  いると捉えていることが明らかになった。しかし、

 前述したような状況の中では、家族がもっている

力を発揮できずに危機的な状況になりうることが  推測できる。中野13)は、慢性疾患をもつ子ども  と家族を看護していく際には、家族は状況的危機  と発達的危機に直面しているという考えに基づき、

 この2つの危機を乗り越えていくことができるよ  うな看護援助が重要であると述べている。本研究  結果から、子どもの学年や発症年齢、罹病期間な  どが学校生活への適応の捉えに関連があることが  示唆された。慢性疾患をもつ子どもの家族が、危  機的状況に陥らないよう子どもの学年や発症年齢、

 罹病期間などを考慮に入れ、子どもが学校生活に  適応しているのかを把握していくことが重要であ  ると考える。また、家庭・学校・医療機関の連携  や支援体制などの充実を図り、慢性疾患をもつ子  どもが学校生活により適応できるよう援助すると  共に、子どもの健康問題に対し、家族が持ってい  る力を最大限に活用し、家族の生活の質を維持・

 向上できるような援助を行っていくことが重要で

 ある。

2.子どものセルフケアに対する家族の捉え   本研究結果より、小学校の子どもの家族より中  学・高校生の子どもの家族は子どもが学校生活に  適応していると捉えている傾向があり、また、中  学生と高校生をもつ子どもの家族の方が小学生の  子どもの家族より体調不良時の対応ができている  と捉えていることが明らかになった。中島ら14)

 は、母親は、子どもの成長発達段階に応じた関わ  りを行っていると述べ、【病気を受け止め自分で  健康を守る力をつけさせたい】というカテゴリー  を抽出したと報告している。子ども自身も年齢が

高くなると療養行動に関する主体性が高くなるこ と、また、中学生以上の子どもの母親は小学生の 子どもの母親に比べて療養行動を子ども自身の管 理としていることが多いという報告15)16)もあり、

本研究結果と同様の結果であったといえる。幼児 期までは、子どもは家庭が生活の場であり、日常 生活面など家族が全面的に関わっていることが多 い。しかし、学童期になり生活の場が学校や地域 社会へと拡大していく中で、子ども自身が発達段 階に応じて学校生活の中で友達や先生に協力を求 めながらも、症状の変化に気づき対応し学校生活 を送れるような援助や病気を持ちながらの生活を 主体的に再構成していけるような援助が重要であ

る。

 また、本研究結果より子どもの病気の発症年齢 が「1歳未満」より「学童期以上」の家族の方が 学校生活において体調不良時の対応ができている と捉えていることが明らかになった。また、罹病 期間が「5−10年未満」より 「0−3年未満」の家族 の方が学校生活において体調不良時の対応ができ ていると捉えていることが明らかになった。低年 齢で発症した子どもの家族は、長い経過の中で子 どもを全面的に保護する対象として関わっており、

子どもの成長発達に伴い、子どもが主体性をもっ て病気に関わってほしいという思いを抱きつつも、

それまでの子どもへの関わりから子どもを保護し たいという両価的な感情をもっていると考えられ る川5)。一方、発症年齢の高い子どもの家族は、

病気の発症以前は、子どもの成長発達に合わせた 関わりをしていたものと推測できる。そのため、

家族は、発症以前の子どものセルフケアレベルを

把握しており、子どもに対して、保護するだけで

なく、子どもの主体性やセルフケアレベルを尊重

した関わりをしていると考えられる。よって、発

症年齢が高い子どもの家族は、子ども自身で体調

不良時に対応ができていると捉えていたと考えら

れる。子どもが学童期に入ると、疾患を正しく理

解させて治療に参加するようなセルフケアは導入

可能であるといわれている17)。しかし、子どもは

療養行動を行うことに慣れてしまい適当にしてし

まうことがあること、子どもの病気・療養行動に

関する認識などから適切な行動ができなくなるこ

(7)

とがあるために、家族が子どもの成長発達段階に 応じた子どものセルフケアを尊重しつつ、子ども の療養行動に対して関わり、子どもが学校生活に 適応していくことができるように援助していくこ とが必要である14)。また、子どもの病気の発症年 齢が「1歳未満」の家族、罹病期間が「5−10年未満」

の家族については、子どもが学校生活でどのよう に体調不良時の対応を行っているのか、また、ど のようなことについて困難感を抱いているのかに ついて外来受診時などの機会を捉え情報収集を行 い、必要であれば学校との調整や情報交換等の連 携などを図っていくことが重要であると考える。

V.研究の限界と今後の課題

 データ収集機関、対象人数、子どもの疾患に偏り があり、一般化するには限界がある。今後研究対象 者、疾患、地域性などの偏りを少なくし調査してい くことが重要である。また、本研究で使用した「学 校生活への適応に関する家族の捉え」質問紙では、

学習面に関する内容について調査を行っておらず慢 性疾患をもつ子どもの学校生活への適応を捉えるに は限界があった。今後、「学校生活への適応に関す る家族の捉え」質問紙に学習面に関する内容を加え、

検討していくことが重要である。

Vl.結論

1.本研究結果より、慢性疾患をもつ子どもの家族  の大部分は子どもが学校生活に適応していると捉  えていた。

2.慢性疾患をもつ子どもの家族が、資源を活用し  ながら、子どもの成長発達段階に応じて、子ども  のセルフケア能力を高めていくことができるよう  に援助していくことが重要である。

3.慢性疾患をもつ子どもの家族が、発達課題に取  り組み、家族の生活の質を維持・向上していくこ  とができるように、家族の持っている力を最大限  に発揮できるような援助や家庭・学校・医療機関  の三者の連携や支援体制の充実を図ることが重要  である。

謝 辞

 本研究にご協力くださいましたご家族の皆様、小 児科外来医師・看護師の皆様に感謝いたします。

 また、ご指導いただきました野嶋佐由美教授、中 野綾美教授、日本看護協会看護教育研究センター長 山崎美恵子先生に感謝いたします。

 なお、この論文は平成13年度高知女子大学大学 院看護学研究科(修士課程)に提出した学位論文の 一 部を加筆・修正したものである。

引用文献・参考文献

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 1980

2)濱中喜代:病気をもって生活している子どもと  家族の支援システムモデル,日本小児看護研究会  誌,7(2),5−13,1998

3)伊佐地真知子:小児慢性特定疾患対策の取り組  みから一ニーズ調査からシステム化へ一,地域保  健,27(6),42−51,1996

4)石戸谷尚子,廣津卓也,赤塚川頁一:思春期慢性  疾患患児の教育上の問題点一特に保護者,担任教  師,主治医との連携について一,日本医事新報,

 3612, 49−52, 1993

5)石戸谷尚子,赤塚順一:小児慢性疾患患児の学  校生活におけるQOL向上のための医療・教育連  携 日本小児科学会誌,99(12),2121−2128,1995 6)伊佐地真知子,鈴木励子,杉本敏子他:小児慢  性特定疾患児及び家族への支援をめざして ニー  ズ調査結果,日本公衆衛生雑誌,44(8),

 586−591, 1997

7)兼松百合子:慢性的な健康問題をもつ子どもの  生活と援助,小児保健研究,57(5),629−634,

 1998

8)加藤泉,高梨葉子,佐藤洋子:アレルギー疾患  児の学校生活と家庭・学校・医療機関の連携の実  態,日本小児看護研究学会誌,7(2),27−33,

 1998

9)兼松百合子:小児慢性病患者への家族看護への  実際,Quality Nursing,3(4),342−347,1997

10)Julie B. George:NURSn可G THEORIES The Base

 Profess輌onal Nursing Practice(4 t h),1995,南裕子、

(8)

 野嶋佐由美、近藤房江訳者、看護理論集増補改訂  版一より高度な看護実践のために一、日本看護協  会出版会、1998

11)藤澤隆夫:小児喘息と学校生活,アレルギーの  領域,5(6),702−707,1998

12)広瀬幸美:外来受診時の患児・家族の不安に対  する援助,小児看護18(1),62−65,1995 13)中野綾美,野嶋佐由美,宮田留理:家族へのケ  アを考える第4回家族周期論の看護への導入〜

 慢性状態にある子どもの家族の事例を通して〜,

 月刊ナースデータ,16(12),47−52,1995 14)中島登美子,村松愛子,大久保ひろ美:慢性腎  障害をもち療養行動を必要とする子どもの母親へ  の関わり,日本小児看護学会誌,7(2),83−87,

 1997

15)丸光恵,早川香,赤司純子他:慢性疾患患児の  療養生活に関する知識と受けとめ方について一退  院直前の患児と母親の調査より一,千葉大学看護  学部紀要,17,111−117,1995

16)谷洋江:小児糖尿病患者の療養行動の主体性に  関する研究、日本糖尿病教育・看護学会誌、2(2)、

 88−96、 1998

17)赤坂徹:慢性疾患患児の心理的特性とセルフケ  アに対する考え方,小児看護,15(1),30−34,

 1992

参照

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