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PCT の実橋 へ の応用

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Academic year: 2021

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(1)

PCT

の 実 橋 へ の 応 用

(昭和47428日 原稿受理)

開発土木教室 出

  光      隆

日本PCT建設 本

  山  裕  三

3 7

OntheDesignofthePCT‑Bridge

by

TakashiIDEMITSU YuzoMOTOYAMA

Generally,the rigidityofthesuspensionbridgeshaving heavydeadloadcanbe expectedtosomeextentevenwhenthestiffening girderortrussis notused. And wecanapplythePCT (PretensionedCableTruss)tosuch suspensionbridgestode・

Crease the heavy dead load by meansoftheintroducing prestress intothecable.

Therefore,the authorsattemptedtodesignasimplePCT・bridge(suspension bridge withPCT)andgiveanoutlineofitinthispaper.

1.緒

元来,PCT (Pretensioned CableTruss) は橋梁架設用構造物 として開発 され,使用 されて きた。 しか しなが ら,PCTは耐風安定性が優れ てい ること,活荷重に よる変位が小 さい ことな ど 吊橋に必要 とされ る条件を備えてお り, これを実 橋に用いれば新 しい タイプの吊橋がで きるもの と 考 え られ る

そ こで,筆者 らは PCTを用 いた 簡単な 実橋 (PCT橋 と名づけ る)を設計 してみた。 ここに, その概要を設計例を示 しなが ら報告す る

2.PCT橋 の特徴

一般に,吊橋の剛性には補剛桁 自体 の剛性 のほ

かに主 ケーブルの水平張力が寄与す るか ら,死荷 重を必要以上に大 き くして水平張力のみで 吊橋の 剛性を もたせ る,いわゆ る無補剛吊橋を架け るこ

とも可能であ る

PCT橋は 図‑1に示す よ うに 自重を大 き くす る代 りに,下側に も主 ケールを設け,上 ・下主 ケ‑ブル間に張 った 吊ケ‑プルに プレス トレスを 導入す ることに よって,主 ケールの水平張力を 大 き くして吊橋 としての剛性を与え よ うとす るも のであ る。 したが って,補剛桁を設け る必要はな く,本設計例では橋床部は横桁上にPCプレキ ャ ス ト板を置 くだけの簡単 な構造 とした。活荷重は 床板で受け横桁か ら吊ケ‑ブルを通 して上 ・下主

ケ‑プルに伝 え られ る。(図‑2参照)

図一1 PCT楕 一 般 図 (単位 mm)

(2)

5.設 計 条 件

i) 型式 :単径間無補剛 PCT

ii) 形状,寸法 :図‑1に示す。 吊ケーブル 間隔 6.4m,本数24本。

iii) 有効幅員 :W‑6.5m iv) 主塔 :ロッキング タワー形式

V) 設計風速 :V‑60m/sec vi) 温度変化 :∫‑ ±30oC vii) 等級 :一等橋

なお,地震荷重は考慮 しなか った。

4.設 計 荷 重 1) 港荷重

活荷重 としては橋床部, 吊ケーブルの設計の場 合 と主 ケーブルの場合 とでは異な った ものを用い た。すなわち,前者の場合は鋼道路橋標準示方書 のT‑20荷重を採用 し,衝撃係数 も同示方書に示 す値を用いた。後者の場合には本州四国連絡橋技 術調査委員会 の提案1'に基 き,一車線 当 りの活荷 重 (p)として

p‑2000・(032+至)(kg/m) (4・1) ただ し, :スパ ン

の等分布荷重 を載荷す ることに した。 また,群集 荷重は 350kg/m2 とした。

2) 風荷重

静的風荷重を計算す るための抗力係数

( Cか )

の 値は,本州四国連絡橋耐風設計指針に準 じケーブ ルに対 してほ

‑1.2,橋床部に対 しては

C8 ‑

1.8を とった。

5.橋 床 部 の 設 計

T‑20荷重 に対 し,床板 ・横桁を設計す るとそ の断面は図

‑2

に示す よ うにな った。

横桁上 に市販 のPC床板 (長 さ 640cm,幅64 cm,重量2164kg)を横方向に14本,縦方向に 25本並べ るだけで補 剛桁は設 けない。 横方 向 は 間結め コンク 1)‑ ト打設後,鋼棒を用いて横締め を行 ない,縦方向 も個 々のPC床板 の間に ヒンジ を設けて連結 し,その上 にアスフ ァル ト舗装を行

PC朽断面 540

演 桁 断 面

下主 ケーブル

‑2 PCT楕断面図 (片側)

な う。片側PCTにかか る橋床部死荷重は約651t とな った。

6 .

プ レス トレス量の決定

前述 した よ うに,PCT橋 は ケーブルに プレス トレスを導入す ることに よ り, 吊橋 としての剛性 を もたせ よ うとす るものあ るが, プレス トレス量 を決定す る場合 と くに問題 とな るのは,強風によ り生ず る横座屈に関係す るね じれ剛性であ る吊 橋が風を うけ横座屈を起 して破壊す る時の風速, す なわち,横座屈に対す る限界風速 (Vk)は次式 で与え られてい る2)。

V k247T/了有 ./前

p

・ CD

P・bl3 (6.1)

に,

Cか:

補 剛桁 の抗力係数

(この場合の値は静的風荷重 の計算に用い る値で はな く,風洞実験に よってえ られた値その ものを 用い る。)

p:空気密度

b:

左右 ケーブル間隔

J :

吊橋 のスパ ン

〃:流体力学的係数 に関係 あ る係数で中央 一節点逆対称変形 に対 して次式 で与え

られてい る

〟 2‑ 1+V/ S+cD

47r2 CD (6.2)

∫:揚力勾配

EJ:吊橋 の換算 曲げ剛性で 次式 で与え られ る

(3)

EJ‑EI ・

&H (6.3)

H..ケ‑ ブルの水平張力

EI:

補剛桁 のたわみ

‑ G T K:

吊橋 の換算ね じれ剛性で,次式 で与え られ る

GK‑GK・苧 EJ

(6・4)

GK:

補 剛桁 のね じれ剛性

PCT橋は 無補剛であ るか ら式 (6.3),(6.4)

において,

E7

‑ 0,

GK‑0

とすれば,

EJ ・ 否k T‑

(bl/27T)2H2とな り, 結局, 式 (6.1)は次の よ うになる

Vk2 2F/L H

C D・P・l2 (6.5)

耐風設計指針では限界風速は設計風速 の1.7倍 以上 とされてい るか ら, S,CD,lお よび設計風速 (㌢)が与 え られれば, 式 (6.5)か ら 限界風速 を満足す る主 ケーブルの水平張 力 (H)を決定す ることができる

本橋 の場合,

V‑6 0m/ s e c

,

C

D

‑0 . 5 ,S ‑3 . 5

, p‑0.125kg・sec2/m4, l‑160m を式 (6.2), (6.5)に入れて計算すれば

H‑1 3 2 4

tとな った。

なお,CD, Sの値は実際には風洞実験に よって求 めなければな らないが,本計算では類似 した タイ プの吊橋 の実験例2'か ら推定 した値を用いた。

PCT橋はね じ りに対 しては 図‑3(断面図) に示す よ うに上 ・下主 ケールの水平張力が同時 に抵抗す るか らその和が 先 に求 めた値 よ り大 き くな るよ うに, 吊ケーブルに プレス トレスを導入 すれば, (限界風速)≧1.7× (設計風速)を満足 す ることにな る 吊ケール 1本 当 りに導入す る

プレス トレス (Ps)は次式で与 え られ る

1 各 ケ ー

プレストレス導入時 ね じりモーメン トが作用 した場合 ‑3 PCTのネジリに対する抵抗

ps≧ メ慧 (6・6) こ こかこ

m :吊ケーブルの本数 (片側 PCTについ て)

H:限界風速を満足 す る上 ・下主 ケ‑ブル の水平張力の和

fu,fI:上,下主 ケ‑ルのサグ J:吊橋 のスパ ン

(6.6)に

H‑1 3 2 4

t,

m‑2 4

,I‑160

m

,fw

‑16m

,f L ‑2 3

m を代入すれば

P

s

≧2 5 .

Otとな る しか しなが ら,実際には温度変化に よるプ レ ス トレスの減少を考慮 して計算値 ぎ りぎ りに とら ず, い く分余裕を もたせて 吊ケール 1本 当 り

P

s

‑3 0

tを導入す ることに定めた。

7.主 ケーブル, 吊ケーブルの断面決定 先に定めた プレス トレスに よる張 力 だ け で な く,活荷重に よる張 力増加を考慮 し, さ らに,温 度応力,風荷重に よる張 力増加 も見 こんで上 ・下 主 ケ‑プル, 吊ケ‑ブルの断面を定めた。その諸 元 を表‑1に示す。

プ ル の 諸 元 ケーブル

(4)

8.

低減率について3)

PCT

を 橋梁架設用構造物 として 用 い る 場合 は,上主 ケーブルの活荷重に よる張力増加を少な くす る目的か ら低減率 (下主 ケーブルの荷重負担 率)をな るべ く大 き くす るよ うに配慮 していた。

しか しなが ら,実橋に用い る場合は,低減 率があ ま り大 き くな ると荷重載荷に よる下主 ケー ブルの 水平張 力が極端 に減少す ることにな り,上 ・下主 ケールの プレス トレスのバ ランスが くずれて, い く分耐風性が劣 って くるか ら, 低減率は 50%

程度が よい と考 え られ る。

本橋 の場合, 低減率を計算 してみ ると55.5%

とな った。 なお, 低減率の計算法は文献‑3)を 参照 されたい。

9.温度変化 によるプ レス トレス量 の変化

PCT

が温度変化を受ければ各 ケーブル の長 さ が変化す るため, プレス トレス量にかな りの変化 が生ず るもの と考 え られ る よって, プレス トレ ス量 の変化を求め る近似式を導 き,本橋 の場合に つ いて計算 してみ る

1) 近似式の誘導

PCT

はのび率の関係か ら各部分 の等価長 さを 計算 し図‑4に示す よ うな一本 の柱に置換で きる ことはすでに報告 した4'。 まず,記号 の説明を し てお く

L.・J,

」 .I,」 . .,I,....)

。・・・‑1V

L3<LLL3L

T・L

‑‑ユ

Pt

I

fLm T Pl

‑4 PCT等価とそ温度によ

る 変 化

lA,lB,lc:プレス トレス導入直後 の上 サグの平 均長 さ, 吊ケーブルの平均長 さ,下サグの平均長

lA,lBO,lc。:l,lB,lcがそれぞれ 切 りはなされ ていて温度変化 を うけた場合の長 さ

li′,lB',lc':lA,lB,lcがそれぞれつ なが った ま ま温度変化を受けた場合 の長 さ

KA, HB,Kc:それぞれ上 サグ, 全 吊ケー ブル, 下 サグののび剛 さ。

α,α。:それぞれ温度変化に よる上,下 サグの 変化 率

αB:吊ケ‑ブルの線膨張係数 上:

PCT

が置換 された柱の長 さ

プレス トレス導入直後,お よび温度変化後 とも に置換 された柱 の長 さは一定であ るか ら次式を得 る

lA+lB+lc‑lA'+lB'+lc'‑L (9.1) また,各 々の成分が切 りはなされて温度変化 Jを うけた場合は,温度変化後 の各部分の長 さは次式 で表わ され る

lA‑lJl(1±αA・t) lB.‑lB(lj:aBt) lc.‑lc(1+̲crc・t)

ただ し, ( ) 内の+ほ温度上昇時, ‑ は 温度 降下時を示す。

温度変化後のカのつ り合 いは次式で示 され る

piJA KA‑# 0Kc‑ ・xc

(9・3)

P

t:全 吊ケーブルに 導入 された プレス トレスの 温度に よる変化量。

(9.1),(9.3)か らJ′は次のよ うにな る。

I‑読 (L・QIAO(lBO・lcoH (9・4) ただ し

4

‑ 号

(吾+宴)

(8.4)か らIJl'を計算 し,その値を式 (9.3)

(5)

の第1式に代入すれば温度変化後 の全 プレス トレ スの変化量が求 まる

2) 本橋 の計算結果

30oC温度が上昇 した 場合 について計算 してみ る。計算に必要 な諸値は次の よ うにな るo

lA‑10.667m,lB‑15.875m,lc‑15.333m, KA‑16.60×106kg,Kc‑30.76×106kg, なお,

ICA,HB,Kcの 求 め方は文献‑3)を参照 されたい。

以上 の値を式(9.1)〜(9.4)に入すればPt‑‑155t (‑は庄綿を意味す る)を得 る これは全 吊ケー ブルに対す る値 であ るか ら吊ケ‑ブル 1本 当 りに 直せば約 6.5tプレス トレス量が減少す ることに な る。

温度降下 の場合は逆に吊ケーブル 1本 当 りの プ レス トレス量が約 6.5t増加す ることにな る。 し たが って,各 ケーブルの断面を決め る場合は この 億をあ らか じめ見 こんでおかなければ な らない()

1 0 .

風荷重 による各ケーブル張力 の 変化 およ び横 たわみ

一般に,空気力は抗力,揚 力お よび空カモー メ ン トの3成分を もつか ら, これ らの各成分に よっ て吊橋には鉛直変位,水平変位お よびせん断 中心 まわ りにね じ り角が生ず る そ れ ら の 変位 の中 で,普通は水平変位すなわ ち横たわみが もっとも 著 しく現われ るとみて よい。 これは風が水平に近 く吹いて迎角が小 さい場合には,抗力が他 の成分 に くらべて圧倒的に大 き くな るか らであ る

PCT橋は プレス トレスを 導入 してい るか ら横 たわみが小 さ く, また,それが揚 力,ね じりに対 して も変位を小 さ くす るよ うに働 くか ら風に対す る安全性は きわめて高い もの と考 え られ る。

風荷重を受け るPCTについてはすでに報告 し た4)0 4.2)で示 した抗力係数 の値を用いて風荷 重を計算 し, さ らに,風荷重に よる吊ケーブル 1 本 当 りの張力増加を 求 め ると0.48tとな った。

また, スパ ン中央 の横たわみ量は 71.0cm とな った。

l l .

活荷重 による鉛直 たわみ

活荷重が作 用 した場合の鉛直たわみの計算法は 文献‑5)に報 告 した。 本橋 の場合につ いて計算

鉛 直 たわ み(crTt) 60 40 20 00

‑ 20

‑ 40

60

‑5

活荷重による鉛直たわみ

す ると図‑5に示す よ うに, スパ ンの1/2に偏分 布載荷 させた場合に最 も大 きい値を示 し47.6cm

とな っナ二。

一般 に,補剛桁 の活荷重に よるたわみは スパ ン の1/200以 内であれば良い とされてい るか ら, こ の条件は一応満足 されてい る。

12.上主 ケーブル, 吊ケーブルの安全率 プレス トレス,禿荷重,溝荷重,風荷重,温度 応力が最 も不利に作用 した場合に各 ケー ブルに生 ず る張力を計算 し, 吊ケ‑ブル,上主 ケーブルの 安全率を求め るとそれぞれ 3.1,3.4とな った。

ただ し,下主 ケー ブルは プレス トレス導入時に安 全であれば死荷重 の載荷に よって プレス トレス量 が減少 し,かえ って安全側 とな るか ら計算は必要 ない。

1 5 .

総 括

以上,PCT橋 の 設計計算法 の 概要 をのべた が,総 括す ると次の ことが いえ る

i) 限界風速が条件を満足 す るよ うに プ レス ト レスを定め ることがで きるか ら, きわめて高 い耐 風安定性を有す るPCT橋を設計で きる

ii) 普通 の 吊橋 に くらべ 下主 ケーブルが 余分 に要 り, また, ケーブル断面 もい く分大 き くな る が,無補剛であ り,床板に プレキ ャス トPC板 な どを使用すれば安全かつ迅速に施工で き, したが って経済的に も有利にな るもの と考 え られ る

iii) プレス トレスを ケーブル に与 えてい るか ら,補剛桁が な くとも活荷重に よるたわみは小 さ い 。

iv) 温度変化 に よるプレス トレスの 変化 がか な り大 き くな るか ら, これに対 し十分配慮 してお かなければな らない。

(6)

あ と が き

本 設 計 で は ケー ブル の レラ クゼ ‑ シ ョン, お よ び 地 震 荷 重 な どほ 考 慮 してお らず ,PCT橋 の設 計 の ア ウ トライ ンを示 した だ け で あ るが , 実 際 に は それ らも考 慮 して設 計 を行 なわ なけれ ば な らな い 。

PCT橋 の振 動 性 状 につ い ては 模 型 実験 を行 な い, 普 通 の 吊橋 の計 算 式 を 用 い て ほぼ そ の性 状 を 求 め る こ とが で き る こ とを確 め て い るが , それ に つ い ては後 日報 告 す る

1) 大橋昭光 :"長大橋の設計活荷重 と車線荷重",土 木施工1110号,昭和4510月.

2) 平井敦 :「鋼橋」技報堂

3)渡辺,出光,富 田,飯田,大神 :̀̀PCT(プ レテ ンシ ョン ドケーブル トラス)工法の実施例 と長大橋

‑の応用"橋梁 と基礎 Vol.2‑ll,昭和4311月.

4)渡辺,出光,大神,豊福 :̀̀PCT工法 とその耐風 安定性"橋梁Vol.5,No.7,昭和447

5)出光,本山 :̀偏 分布荷重を受けるPCTの応力解 析",九州工業大学研究報告,第21号,昭和45年

参照

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