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植物エストロゲンが泌乳期の乳腺上皮細胞へ及ぼす影響

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会, 20182月8

植物エストロゲンが泌乳期の乳腺上皮細胞へ及ぼす影響

応用生物化学専攻 食資源科学講座 酪農食品科学 津上優作

1.

はじめに

マメ科植物に含まれる植物エストロゲンの種類や量は多様であり, 大豆ではゲニステインとダイ ズイン, 赤クローバーではビオカニン

A

とホルモノネチンが豊富である。また, 植物エストロゲン を摂取した場合, 一部は腸内細菌によってパラエチルフェノールやエクオールへと代謝変換される。

これらの植物エストロゲンとその代謝産物はエストロゲン様の構造と生理活性を持つことから, 妊 娠期の乳腺上皮細胞を対象とした研究が行われてきた。一方, 泌乳期の乳腺上皮細胞に対する植物 エストロゲンの影響はほとんどわかっていない。そこで本研究では, マウス由来の乳腺上皮細胞を 用い, 各植物エストロゲンが乳成分産生および産生経路へ及ぼす影響を in vitro で検証した。

2.

材料と方法

未経産

ICR

マウスから休止期状態の乳腺を採取してリンパ節や結合組織を除去し, コラゲナー ゼやトリプシン処理により乳腺上皮細胞を単離した。増殖培地で培養後, プロラクチンやデキサメ タゾンを含む分化培地で培養し, 乳分泌能を誘導した。続いて, 実験に応じて植物エストロゲンを 含む分化培地で

2

日間もしくは

7

日間培養した。培養後, ウェスタンブロッティングにより細胞内 および培地中に分泌された

β-カゼイン量と乳産生を上方調節する転写因子STAT5

への影響を調べ, 免疫染色により

β-カゼインの細胞内局在を調べた。

3.

結果と考察

植物エストロゲンの種類, 濃度および処理期間によって

β-カゼインの発現パターンやSTAT5

へ の影響は異なっていた。植物エストロゲン存在下で

2

日間培養した場合, ビオカニン

A,

ゲニステ イン, ホルモノネチン

25 µM

処理により, 細胞内と培地中の

β-カゼイン量および活性型STAT5

量 が減少していた。また, ビオカニン

A

とゲニステインでは

β-カゼイン陽性の細胞数が減少し,

ゲニ ステインとホルモノネチンでは

β-

カゼインが異常に蓄積しているようであった。一方でパラエチル フェノール, ダイズイン, エクオールおよび各植物エストロゲン

6.25 µM, 0.1 µM

処理群では阻害 的な影響は確認されなかった。さらに, 植物エストロゲン存在下で

7

日間培養した場合, ビオカニ ン

A,

ゲニステイン, ホルモノネチンでは

, 5 µM

処理によっても

β-カゼイン量と活性型STAT5

量 が減少していた。しかし, パラエチルフェノール, ダイズインでは阻害的な影響は確認されず, ゲニ

ステイン

1 µM,

エクオール

5 µM

処理では

β-カゼイン量および活性型STAT5

量が増加していた。

植物エストロゲンの一部は腸内細菌により別のものへ代謝変換される。その代謝経路にはビオカ ニン

A,

ゲニステイン, パラエチルフェノール経路とホルモノネチン, ダイズイン, エクオール経 路の

2

種類がある。本研究の結果から, 代謝経路上流の植物エストロゲンで乳産生への阻害作用が 確認され, 下流の植物エストロゲンではその阻害作用が無効化されていると考えられる。

4.

まとめ

in vitro 培養モデルを用いることで, 乳腺上皮細胞における乳成分産生に対する植物エストロゲ

ンの影響は多種多様であり, その種類, 濃度および処理期間に応じて変化することがわかった。今

後, in vivo 実験によって植物エストロゲンが泌乳期乳腺へ及ぼす影響や植物エストロゲンの代謝変

換が乳成分産生へ及ぼす影響を調べる必要がある。

参照

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