電磁.0
プリント中の
¨§
¥
長岡§1-1¦
等は参考文献,“長岡洋介, 「電磁気学
I」”の§1-1等を示します。
電磁.12
.
τ [tau]タウ
オーム
(Ohm)の法則
¨§
¥
長岡§5-3¦
導体中の自由電子の運動
導線の両端に 電位差
Vをかけた時,導線に流れる電流の強さを
Iとする。電位差があまり大きくなければ,
電流は電位差に比例し
I= 1
R V ¨
§
¥
長岡(5.5)¦¨
§
¥
浦上(8.1-1)¦ (12.1)
という関係が成り立つ。これを オーム
(Ohm)の法則 という。 電位差
(電圧)の単位は ボルト
[V]。
Rは 電気抵抗
(resistance)と呼ばれる。単位は オーム
[Ω]左の回路の回路図は右 のようになる。
【注】抵抗を表わす回路記号は R あるいは R
導体中の自由電子の運動
V L S
E r
左図のような断面積
S,長さ Lの導線に電位差
Vをか けたときの,導線中の 自由電子
(導線を作る物質の分子に束縛されておらず,導線中を
“自由に”動き回れる電 子) の運動を考える。
自由電子の運動方程式は
md~v(t)dt =−e ~E−m
τ~v(t) ¨
§
¥
長岡(5.14)¦
¨
§
¥
浦上(8.1-5)¦ (12.2)
となる。ここで,
mは自由電子の質量,~
vは速度を表す。右辺第1項
−e ~Eは電位差により導線中に生じる電場
E~から電子の受ける力を表わす。また,右辺第2項
−mτ~v
は導線を作る物質の不規則さなどに起因する電子の運
動を妨げる力を表わしている。
電磁.13
.
σ[sigma]シグマ ρ[rho]ロー
左図のように,x 軸を導線に平行にとり,導線の左端を
x= 0,右端を
x=Lとする。導線中の静電ポテンシャル
(電位)φ(x)と,電場
E~は
φ(x) = V (
1− x L )
(13.1) E~ =
(
Ex,0, 0 )
, Ex=−∂φ
∂x =V
L (13.2)
となる。
導線中の自由電子の運動方程式の
x成分は
dvx(t)dt =−e
m Ex−1
τvx(t) (13.3)
となる。初期条件
vx(0) =v0に対する解は
vx(t) =−τ em Ex+ (
v0+τ e mEx
)
e−t/τ (13.4)
となる。十分に長い時間
(tÀτ)が経過すると,初速度
v0に無関係に自由電子の速度
(のx成分) は
vx=−τ em Ex
¨
§
¥
浦上(8.1-6)’¦ (13.5)
となる。
導線中の自由電子の数密度を
nとすると,電流密度
(のx成分) は
ix=−e n vx ¨§
¥
浦上(8.1-4)’¦ (13.6)
の関係より,
ix=σ Ex, σ= ne2τ m
¨
§
¥
長岡(5.8)’¦¨
§
¥
浦上(8.1-3)’¦ (13.7)
となる。導線中で電場が場所によって変化する場合は
~i(~r) =σ ~E(~r) ¨
§
¥
長岡(5.9)¦ (13.8)
となる。(局所的な関係として表されたオームの法則)
σ=ne2τm
¨
§
¥
長岡(5.15)¦¨
§
¥
浦上(8.1-7)¦ (13.9)
を 電気伝導度
(電気伝導率)と呼ぶ。単位は
[Ω−1·m−1]。「物理II」(啓林舘H17)
また,
ρ= 1
σ (13.10)
を 抵抗率 と呼ぶ。単位は
[Ω·m]。電磁.14
.
導線の長さを
L,断面積をSとすると,x 軸の正の向きに導線を流れる電流
Iは
I=S ix=σSEx=σ SL V (14.1)
となるので,次の関係式
(オームの法則)が得られる:
I = 1
R V ,
あるいは
V =I R , ¨§
¥
長岡(5.5)’¦¨
§
¥
浦上(8.1-1)¦ (14.2)
R = ρ L S = L
σS
¨
§
¥
長岡(5.6)¦
¨
§
¥
浦上(8.1-2)¦ (14.3)
R
を導線の 電気抵抗 と呼ぶ。単位は
[Ω]=[V·A−1]。(参考)τ
には自由電子が導線中の不純物に衝突する平均の時間間隔の程度という意味がある。
(参考) (12.2)
中の
~vは,正確には自由電子全体の平均速度を意味する。
(参考)
自由電子の平均速度の大きさ
十分時間が経過した後の自由電子の平均速度の大きさを
vd=|vx|とすると,(13.6),(14.1) より
|I|=S|ix|=Senvd (14.4)
となる。(次の例では記号が
e=q,S =Aとなっている。)
R.A. Serway,「物理学III」(学術図書1995)
R.A. Serway,「物理学III」(学術図書1995)
上の例の場合に,銅で作られた導線中の電場
Exの大きさは
(14.1)と
(電磁.13)の表より
Ex = I σS = Iρ
S = 10·1.55×10−8 3×10−6 [V/m]
≈ 5.2×10−2 [V/m] (14.5)
となる。
電磁.15
.
µ[mu]ミュー
半導体の移動度
µ, |~vd|=µ|E~|という関係がある。
黒岩,「物性論」(裳華房1970)
一方,半導体中の電子の平均速度については,上の移動度の表より見積もることができる。例えば,Ge 中の自由 電子の平均速度の大きさは
vd= 3800×10−4[m2·V−1·s−1]·5.2×10−2 [V/m]≈2×10−2 [m/s] (15.1)
となり,導体である銅の自由電子の平均速度の大きさより大きいことがわかる。銅の抵抗率が
Geの抵抗率より 小さいのは,自由電子の数密度
nが大きいことが原因。
抵抗の消費する電力 ジュール
(Joule)熱
(12.2)
より,自由電子は電場から
−e ~Eの力を受ける。この力が
∆tの時間に自由電子にする仕事
∆Wは
∆W =−e ~E·~v ∆t (15.2)
となる。この仕事は,自由電子の運動を妨げる力
−mτ~v
を介して,導体を熱するのに使われる,
単位時間に,導体の単位体積中で発生する熱量
(ジュール
(Joule)熱
)Jは
J =n∆W∆t =−ne ~E·~v=E~ ·~i ¨
§
¥
長岡(5.16)¦ (15.3)
と表わせる。あるいは,σ や
ρを用いて,
J =σ|E~|2= 1
σ|~i|2=ρ|~i|2 ¨
§
¥
長岡(5.17)¦¤
£
¡
浦上8.1-8¢ (15.4)
と表わせる。
導線の体積は
SLなので,単位時間に,抵抗全体で発生する熱量
Pは
P =J SLより以下となる:
P =V I=RI2=V2
R . ¤
£
¡
浦上8.1-9¢ (15.5)
P
は電流が単位時間にする仕事
(仕事率
)で 電力 と呼ばれる,単位は
[J/s]または
[W] (ワット と呼
ぶ。) [J = kg
·m2/s2 ]はエネルギーや仕事の単位で ジュール と呼ばれる。
電磁.16
コンデンサー
¨§
¥
長岡§4-6¦
,
¨§
¥
浦上§7.8¦
図
16-1のように
2つの導体1と2に電荷
Qと
−Qを与えると 導体1から2へ向かう電場が生じ,導体1の静電ポテンシャル
φ1と導体2の静電ポテンシャル
φ2に電位差
V =φ1−φ2が 現れる。
複 数 の 導 体 を 組 み 合 わ せ て 電 荷 を 効 率 的 に 蓄 え る 素 子 を コンデンサー と よ ぶ 。( キャパシター あ る い は 蓄電器 ともよばれる。) 回路上の記号は図
16-2。 電 位 差
Vは 導 体 に 与 え る 電 荷
Qに 比 例 す る
¨§
¥
長岡(4.30)¦,¨
§
¥
浦上(7.8-2)¦
:
V = 1CQ ,
あるいは
Q=CV . (16.1)比例係数
Cは 電気容量 あるいは キャパシタンス など とよばれる。
静電容量の値は,導体の配置や導体間にはさまれる物質の性質 により決まる。単位は
[C/V] = [F] (Faradファラッド)。実際 の回路に現れるコンデンサの電気容量の単位にはマイクロファ ラッド
µF = 10−6Fやピコファラッド
pF = 10−12Fが用い られる。
図
16-1コンデンサーの概念図
図
16-2コンデンサーの記号
基礎物理教育研究会,
「基礎物理」(森北出版, 2000)
図
16-3実際のコンデンサー
(例)
図
16-4のように電荷
Q0を蓄えたコンデンサの両端を時刻
t= 0に抵抗
Rの導線でつないだ。時刻
t(>0)にコンデンサに蓄えられる電荷
Q(t)を
求めなさい。 図
16-4 RC回路
電磁.17
(答)時刻
tに回路に流れる電流を
I(t)とする。(図の矢印の向きを電流の正の向きとする。) 電流が流れた分だけコン デンサーに蓄えられる電荷が減少するので
I(t) =−dQ(t)
dt (17.1)
という関係がある。
【注】右図に示すような,領域
V中の時刻
tの電荷
Q(t)と面
A,Bを流れる電流
IA(t), IB(t)の関係を考えよう。微小な時間
∆tに対して時刻
tから
t+ ∆tの間 に面
Aを通って領域
Vから
IA(t)∆tの電荷が流れ出る。一方,面
Bを通って
から
IB(t)∆tの電荷が領域
Vに流入する。したがって次の関係式が得られる:
Q(t+ ∆t) =Q(t) + ∆t(IB(t)−IA(t)) → dQ(t)
dt =IB(t)−IA(t) (17.2)
図
17-1電荷と電流の関係図の点
Aの電位
(静電ポテンシャル)を
0、点Bの電位を
Vとすると
Vは抵抗の両端の電位差なので
V =RI(t)の関係がある。同時に
Vはコンデンサーの電位差でもあるので
V =Q(t)/Cの関係がある。これより次の関係が 得られる:
Q(t)
C =RI(t) (17.3)
以上より
Q(t)に対する微分方程式
dQ(t) dt =− 1
RCQ(t) (17.4)
が得られる。初期条件
Q(0) =Q0に対する解は以下となる:
Q(t) =Q0exp(− t
RC) (17.5)
時刻
t >0で回路に流れる電流
I(t)は
(17.1)より
I(t) = Q0RCexp(− t
RC) (17.6)
となる。コンデンサーに蓄えられる電荷
Q(t)や回路に流れる電流
I(t)は時間とともに減少していくが,この変 化の速さは時間の単位を持つ量
RCによって決まる。RC の値をこの回路の 時定数 と呼ぶ。
¨§
¥
浦上p.179¦
次に,この電流により抵抗に発生するジュール熱の総量
Uを計算してみよう。時刻
tに単位時間に発生するジュー ル熱
R I(t)2= Q20
RC2exp(−2 t
RC) (17.7)
を
t= 0から
t=∞まで積分して
U = Q20RC2
∫ ∞
0
exp(−2 t
RC)dt=−Q20 2C
[ exp
(−2 t RC
)]t=∞
t=0
= Q20
2C (17.8)
が得られる。このエネルギーはもともとコンデンサーに蓄えられた電荷の配置が持っていたと考えられる。
一般に,物体が特定の配置にあるときに持つエネルギーを 位置エネルギー とよぶが,特に電荷の配置の持つ 位置エネルギーは 静電エネルギー とよばれる。(
¨§
¥
長岡§2-8¦)
電気容量
Cのコンデンサーに電荷
Qが蓄えられているとする。(このときコンデンサー極板間の電位差は
V =Q/Cである。
)この場合にコンデンサーに蓄えられる静電エネルギーは
U = Q2
2C =CV2
2 (17.9)
となる。
¨§
¥
長岡(4.32)¦¨
§
¥
浦上(7.8-4)¦
電磁.18
.
µ[mu]ミュー
磁場中を運動する荷電粒子にはたらく力
¨§
¥
長岡§6-3¦
,
¨§
¥
浦上§9.1¦
磁場中の位置
~rにあり,速度
~vを持つ点電荷
qにはたらく力
F~は
F~ =q ~v×B(~~ r) ¨§
¥
長岡(6.8)¦
¨
§
¥
浦上(9.1-1)¦ (18.1)
となる。これを ローレンツ
(Lorentz)の力 と呼ぶ。また,
B~を 磁束密度
と呼ぶ。
¤£
¡
浦上 図9.1-1¢
【注】
真空中では 磁場の強さ H~ と磁束密度B~の間にはB~ =µ0H~ という関係がある。µ0は 真空の透磁率 と呼ばれ,µ0= 4π×10−7 [N·A−2]と定義されている。
【注】
A~= (Ax, Ay, Az)とB~ = (Bx, By, Bz)の外積(ベクトル積)は,成分で計算すると A~×B~=“AyBz−AzBy, AzBx−AxBz, AxBy−AyBx
”
(18.2)
となる。A~×B~ は,向きはA~ともB~ とも直交し,大きさは以下の式となる:
|A~×B|~ =|A| |~ B|~ sinθ , 0≤θ≤π (18.3) ベクトルの外積
電場
E~と磁束密度
B~が両方ある場合,位置
~rにある,速度
~vを持つ点電荷
qにはたらく力
F~は以下となる:
F~ =q
(E(~~ r) +~v×B(~~ r) )
. ¨
§
¥
長岡(6.9)¦ (18.4)
(例)
質量
m,電荷 qを持つ質点が,電場
E(~~ r),磁束密度B(~~ r)中を運動している。この質点の運動方程式を書きな さい。
(答)
時刻
tの質点の位置ベクトルを
~r(t)とすると,運動方程式は
md2~r(t)dt2 =q
(E(~~ r(t)) +~v(t)×B(~~ r(t)) )
(18.5)
となる。ただし,~
v(t) = d~r(t)dt
は質点の速度ベクトルである。
~
r(t) = (x(t), y(t), z(t))
として,運動方程式を成分で表わすと
md2x(t)dt2 = q (
Ex(~r(t)) +dy(t)
dt Bz(~r(t))−dz(t)
dt By(~r(t)) )
(18.6) md2y(t)
dt2 = q (
Ey(~r(t)) +dz(t)
dt Bx(~r(t))−dx(t)
dt Bz(~r(t)) )
(18.7) md2z(t)
dt2 = q (
Ez(~r(t)) +dx(t)
dt By(~r(t))−dy(t)
dt Bx(~r(t)) )
(18.8)
となる。
電磁.19
.
単位ベクトル:大きさ1のベクトル ∆ [delta]デルタ(大文字)
磁場中の電流にはたらく力 アンペール
(Amp´ere)の力
¨§
¥
長岡§6-2¦¨
§
¥
浦上§9.2¦
(例)
一様な磁束密度
B~中に置かれた,無限に長い直線の導線に強さ
Iの電流が単位ベクトル
~tの向きに流れている。
(~t
は直線の向きの単位ベクトルを表わす。) この時,単位長さ当たりの導線が受ける力を求めなさい。
(答)
導線中を電荷
qを持つ粒子が,速度
~vで運動しているとする。
~vは
~t(導線の向き)
と同じ方向と考えて,~
v=v ~tとする。(v >
0の場合,
粒子は
~tの向きに動いている。v <
0の場合は,粒子は
~tと逆向きに 動いている。)
この粒子にはローレンツ力
f~=q~v×B~ =qv~t×B~がはたらく。導線 の断面積を
Aとすると,長さ
∆`の導線の占める体積は
∆`Aとな る。粒子の数密度を
nとすると,体積
∆`A中には
n∆`Aコの粒子 があるので,長さ
∆`の導線にはたらく力は
n∆`A qv~t×B~となる。
電流の強さは
I=nqvAなので,一様な磁束密度
B~中の,単位ベクトル
~tの向きに電流
Iが流れる,長さ
∆`の 導線にはたらく力
∆F~は以下となる:
∆F~ =I (~t×B~) ∆` . ¨
§
¥
長岡(6.3)¦
¨
§
¥
浦上(9.2-26)’¦ (19.1)
従って,単位長さ当たりの導線が受ける力は
I (~t×B)~となる。
【注】
導線中をN 種類の荷電粒子が運動している場合も同じ結果となる。k 番目の種類の粒子の電荷をqk,速度を~vk=vk~t,数密度をnkとす ると,長さ∆`の導線にはたらく力∆F~ は,∆F~= XN k=1
∆`Ankqkvk~t×B~ (19.2)
となるが,
I=A XN k=1
nkqkvk (19.3)
なので,∆F~=I(~t×B) ∆`~ と(19.1)と同じ結果が得られる。
細い導線で作られた回路に定常電流
Iが流れている場合 を考える。回路を表す曲線
(の一部分)がパラメーター
uを用いて
~r=~r(u), uA≤u≤uB (19.4)
と表わされている場合,導線
(のこの部分)が磁束密度
B(~~ r)から受ける力
(合力)は
F~ =I
∫ uB uA
(d~r(u) du ×B~
(
~ r(u)
))
du (19.5)
となる。ただし,
d~r(u)du
の向きに電流
I(>0)が流れているとする。
電磁.20
.
1[N] = 1[kg·m/s2]
定常電流の作る磁場 ビオ
(J.Biot)サバール
(F.Savart)の法則
¨§
¥
長岡§6-4¦¨
§
¥
浦上§9.3¦
空間に分布した電流密度
~iが位置
~rに作る磁束密度
B(~~ r)は
B(~~ r) = µ04π
∫ ~i(r~0)×(~r−r~0)
|~r−r~0|3 dV0 ¨
§
¥
長岡(6.17)¦ (20.1)
となる。ここで
∫
dV0 = dx0 dy0 dz0
は
r~0 = (x0, y0, z0)についての体積積分
(3重積分) を表わす。また,
µ0は 真空の透磁率 と呼ばれ,その値は
µ0= 4π×10−7 [N·A−2] (20.2)
と定義されている。
【注】
真空中では 磁場の強さ H~ と磁束密度B~の間にはB~=µ0 H~ (20.3)
という関係がある。
特に,細い導線で作られた回路に定常電流
Iが流れている場合 を考える。回路を表す曲線がパラメーター
uを用 いて
~r=~r(u), uA≤u≤uB (20.4)
と表わされている場合,導線を流れる電流が位置
~rに作る磁束密度は
B(~~ r) =µ0 I4π
∫ uB uA
d~r(u)
du ×(~r−~r(u))
|~r−~r(u)|3 du ¨
§
¥
長岡(6.16)’¦
¨
§
¥
浦上(9.3-1)¦ (20.5)
となる。ただし,
d~r(u)du
の向きに電流
I(>0)が流れているとする。
(参考)無限に細い導線の場合の電流密度は
~i(~r) =I ZuB
uA
δ3(~r−~r(u))d~r(u)
du du (20.6)
となる。ここで~r= (x, y, z)でありδ3(~r) =δ(x)δ(y)δ(z)は3次 元のデルタ関数を表す。
(例)
無限に長い直線状の導線を流れる定常電流の作る磁場を
求めなさい。
電磁.21
.
θ[theta]シータ tanθ= sinθ
cosθ sin2θ+ cos2θ= 1 dtanθ
dθ = 1
cos2θ (答)
前のページの図のように,導線が
z軸と一致する座標系をとる。z 軸の正の向きに強さ
Iの定常電流が流れてい るとする。導線はパラメーター
uを用いて
~r(u) = (0,0, u) ; −∞< u <∞ (21.1)
と表わすことができる。式
(20.5)を用いる。
d~r(u)du = (0, 0,1)
なので
d~r(u)du ×(
~ r−~r(u)
)
= (0, 0,1)×(x , y , z−u) = (−y , x ,0) (21.2)
となる。従って,位置
~r= (x , y , z)の磁束密度は
B(~~ r) =µ0I 4π
∫ ∞
−∞
(−y , x ,0) (
x2+y2+ (z−u)2
)3/2 du (21.3)
と表わされる。
u=z+rtanθ , r= (x2+y2)1/2 (21.4)
とおいて,積分変数を
uから
θに変換する。
x2+y2+ (z−u)2=r2(1 + tan2θ) = r2
cos2θ, du= du
dθdθ= r
cos2θdθ (21.5)
なので,
∫ ∞
−∞
( du
x2+y2+ (z−u)2 )3/2 =
∫ π/2
−π/2
cos3θ r3
rdθ cos2θ = 1
r2
∫ π/2
−π/2
cosθdθ= 1 r2sinθ¯¯
¯¯θ=π/2
θ=−π/2
= 2
r2 (21.6)
となる。以上より,位置
~r= (x , y , z)の磁束密度は
B(~~ r) = µ0I 2π
(−y r2, x
r2,0 )
(21.7)
となる。ただし
r=√x2+y2
は導線までの距離を表す。磁束密度の大きさは以下となる:
¯¯¯B(~~ r)¯¯¯= µ0|I| 2π
1
r. ¨
§
¥
長岡(6.11)¦
¨
§
¥
浦上(9.3-4)¦ (21.8)
直線電流のまわりにできる磁束密度
電流に垂直な断面での図
「物理II」(啓林館1998)
電磁.22
(例)
平行電流間にはたらく力
¨§
¥
長岡p.154¦
左図のように,距離
Rを隔てて平行に置かれた,無限に長い
2本の 針金に,それぞれ強さ
I,I0の定常電流を流した。それぞれの針金 が単位長さあたりに受ける力の向きと大きさを求めなさい。
(答)
左側の針金
1が
z軸と一致し,右側の針金
2が
y-z平面にあるよう に座標軸をとる。左側の針金を流れる電流が位置
~rに作る磁束密度
B~1(~r)は式
(21.7)より,
B~1(~r) =µ0I0 2π
(− y r2, x
r2,0 )
, r=√
x2+y2 (22.1)
となる。
B~1(~r)
は針金
2の位置では,x
= 0, y=Rを代入して
B~1(~r)¯¯¯~ r=(x,R,0)
=
(−µ0I0 2π
1 R,0, 0
)
(22.2)
となる。従って,式
(19.1)を用いると,針金
1を流れる電流
I0が電流
Iが流れる針金
2の単位長さ当たりに及ぼ す力
f~12は
f~12=I(~t×B~1) =−µ0II0
2πR (0,0,1)×(1,0,0) =−µ0II0
2πR (0,1,0) (22.3)
となる。ここで,(19.1) 中の
~tとして,~t
= (0,0,1)を用いた。
同様に,針金
2を流れる電流が針金
1の位置に作る磁束密度は
B~2= (µ0I2π 1 R,0,0
)
なので,針金
2を流れる電 流
Iが電流
I0が流れる針金
1の単位長さ当たりに及ぼす力
f~21は
f~21=−f~21= µ0II0
2πR (0,1,0) (22.4)
となる。
I I0 >0
の場合の図
まとめると,平行電流
(が流れる針金には)単位長さ当たりに,大きさ
µ02π
|II0| R
¨
§
¥
長岡(6.12)¦ (22.5)
の力がはたらき,力の向きは
{
電流が同じ向き
(I I0>0)の場合
;引力
電流が逆向き
(I I0 <0)の場合
;斥力
(22.6)となる。
電磁.23
電流の作る磁場の例
・2 つの平行電流の作る磁場
同じ向きに流れる平行直線電流の作る磁場と電流に働く力,
電流に垂直な平面での図
反対向きに流れる平行直線電流の作る磁場と電流に働く力,
電流に垂直な平面での図
(参考)
電流間にはたらく力は,磁力線
(各点で磁場に接するように描かれた曲線)の間に反発力や張力
(Maxwellの 応力と呼ばれる) がはたらくと考えて計算することができる。
・一様な磁束密度
B~ = (0,0, B)中に置かれた直線電流の作る磁場と電流に働く力
【注】式
(19.1)中の
B~は,本当は導線を流れる電流自身が作る磁束密度
B~自己を加えた
B~ +B~自己とすべきであ
る。しかし,
B~自己によって電流が受ける力は実は
~0となるので,結局,式
(19.1)をそのまま使ってよい。
電磁.24
・円電流
(回転電流)の作る磁場
物理
II (啓林館,1998)¨
§
¥
長岡 図6-13(b)¦
小さな円電流の作る磁場
(左図) は遠方では,正負の電電 荷の対が作る電場
(右図)と 同じ形になるが,近くでの振 る舞いは異なる。
¨
§
¥
長岡 図6-13(a)¦
・ソレノイドの作る磁場
磁石は小さな回転電流
(電荷を持った粒子の回転運動) の 集まりが原因で生じる。電荷 に対応する単独の磁荷
(N極 あるいは
S極だけの物体) は 存在しない。
物理
II (啓林館,1998)電磁.25
ファラデー
(Faraday)の電磁誘導の法則
¨§
¥
長岡§7¦
,
¨§
¥
浦上§9.8¦
∫
C
E(~~ r, t)·d~r=−dΦ(t)
dt (25.1)
¨
§
¥
長岡(7.11)¦
,
¨§
¥
浦上(9.8-1)¦ Φ(t) =
∫
S
B(~~ r, t)·~n(~r)dS (25.2)
¨
§
¥
長岡(7.12)¦
,
¨§
¥
浦上(9.6-1)¦
図
25-1ここで,C は閉曲線,S は
Cを境界とする曲面を表す。~
n(~r)は
Sの 単位法線ベクトル
(曲面と垂直な大きさ 1のベクトル) で,その向きは閉曲線
Cの向きと右ねじの関係にある。(図
25-1)Φ(t)
を時刻
tに曲面
Sを貫く 磁束
(magnetic flux)と呼ぶ。
【注】閉曲線
Cを境界とするどんな曲面
Sに対しても磁束
∫
S
B(~~ r, t)·~n(~r)dS
の値は同じになる。
いま,閉曲線
Cが導線により作られた閉回路を表すとすると,(25.1) の左辺は回路を貫く磁場の時間変化によっ て回路に生じた 誘導起電力 を表す。すなわち
(磁場の時間変化により閉回路に生じる誘導起電力) =−(閉回路を貫く磁束の時間変化) (25.3)
が成り立つ。
「物理
II」
(数研出版
,1998)誘導起電力の向き
閉回路を貫く磁束
Φ(t)が時間と共に増加する場合,dΦ(t)/dt >
0なので
(25.1)より閉回路には
Cと逆向きの電 場が生じる。この電場によって
Cと逆向きの電流が回路に流れるが,この電流により作られる磁場は
−~nの向き を向いており,回路を貫く磁束の増加を妨げる。逆に
dΦ(t)/dt <0の場合は,誘導された電流により作られる磁 場は
+~nの向きを向いており,回路を貫く磁束の減少を妨げる。すなわち
磁束の時間変化により閉回路に生じる誘導起電力は,その起電力によって回路に流れる電流
(誘導電流 と呼
ばれる) の作る磁場が磁束の時間変化を打ち消す向きになる。(レンツ
(Lenz)の法則)
電磁.26
インダクタンス
¨§
¥
長岡§7-5,6¦
図のように
2つの閉回路
C1,C
2に電流
I1,I
2が流れている場合を 考える。電流
I1により作られる磁束密度を
B~1とすると,プリント
(電磁.20)の
(20.5)より
B~1は
I1に比例する。閉回路
C2を貫く
B~1による磁束を
Φ21とすると
Φ21=∫
S2
B~1·~n2 dS
なので,Φ
21も
I1に比例する。比例係数は
2つの閉回路の配置によって決まる。これ を
L21と書くと
Φ21=L21I1
¨
§
¥
長岡(7.21)¦
¨
§
¥
浦上(9.8-6)¦ (26.1)
となる。また,閉回路
C1を貫く
B~1による磁束を
Φ11=
∫
S1
B~1·~n1 dS
と書くと
Φ11は
I1に比例するので
Φ11=L11I1
¨
§
¥
長岡(7.16)¦
¨
§
¥
浦上(9.8-3)¦ (26.2)
と書ける。
図
26-1同様に,電流
I2により作られる磁束密度
B~2が閉回路
C1,C
2を貫く磁束を
Φ12=∫
S1
B~2·~n1 dS,
Φ22=
∫
S2
B~2·~n2 dS
とすると,
B~2は
I2に比例するので
Φ12=L12I2, Φ22=L22 I2 (26.3)
と書くことができる。以上より,閉回路
C1,C
2を貫く磁束
Φ1= Φ11+ Φ12,Φ
2= Φ21+ Φ22,は
Φ1=L11I1+L12I2, Φ2=L21I1+L22 I2 (26.4)
となる。L
ij,(i, j= 1,2)は回路の形や相互の位置関係で決まる。
L11, L22
を 自己インダクタンス あるいは 自己誘導係数 と呼ぶ。
L12, L21
を 相互インダクタンス あるいは 相互誘導係数 と呼ぶ。
インダクタンスの単位は
[V·s·A−1]=[H](ヘンリー)(V(
ボルト
):電位の単位,
A(アンペア
):電流の単位,
s(秒
):時間の単位
))【注】N コの閉回路
C1, C2,· · ·, CNがある場合は
Φk =∑N
`=1
Lk`I` (26.5)
となる。
(参考)
Lk` = µ0
4π Z u2
u1
du Zv2
v1
dv d~rk(u)
du ·d~r`(v) dv
1
|~rk(u)−~r`(v)|
¨
§
¥
長岡(7.28)¦ (26.6)
となる。ただし,閉回路
Ck, C`がそれぞれパラメーター
u , vで
Ck = {~r=~rk(u) ;u1≤u≤u2},
C` = {~r=~r`(v) ;v1≤v≤v2} (26.7)
と表わされているとする。
電磁.27
.
(参考)例えば,プリント(電磁.問.11)の[問7]の回路の場合は
~
r1(u) = (0,0, u) ;−∞< u <∞, ~r2(v) = 8>
><
>>
:
(a+`v ,0,0) ; 0≤v <1 (a+` ,0, `(v−1) ; 1≤v <2 (a+ 3`−`v),0, `) ; 2≤v <3 (a ,0, `(4−v)) ; 3≤v <4
(27.1)
とパラメータ表示できるので,
L12 = µ0
4π Z ∞
−∞du Z`
0
dz
„ 1
|~r1(u)−(a+`,0, z)|− 1
|~r1(u)−(a,0, z)|
«
= µ0
4π Z ∞
−∞du Z`
0
dz
„ 1
|(a+`,0, z−u)|− 1
|(a,0, z−u)|
«
=µ0` 4π
Z ∞
−∞du 1
p(a+`)2+u2− 1
√a2+u2
!
= −µ0` 8π
Z ∞
−∞du Z (a+`)2
a2
ds 1
“
s+u2”3/2
u=√stanθ
= −µ0` 8π
Z (a+`)2 a2
ds1 s
Z π/2
−π/2
dθcosθ
= −µ0` 4π
Z (a+`)2 a2
ds 1 s=−µ0`
2π log“a+` a
”
(27.2) となる。
(26.6)
より
Lk`=L`k ¨
§
¥
長岡(7.25)¦ (27.3)
であることがわかる。
自己インダクタンスのある回路を流れる非定常電流
自己インダクタンス
Lを持つ閉回路に電流
I(t)が流れている場合,この電流が作る磁束密度による磁束は
LI(t)となる。従って,電流が時間変化をする場合
(dI(t)/dt6= 0),この閉回路には誘導起電力−LdI(t)dt
が生じる。
一般に 自己インダクタンスの値は正 なので,閉回路を流れる電流
I(t)が変化する場合,
電流の変化を妨げる向きに誘導起電力が生じる ことがわかる。
図
27-1 (例)図
27-2のように自己インダクタンス
L,抵抗Rを持つ回路に,時刻
t= 0に電流
I0が流れていた。任意の時刻
tでの電流
I(t)を求めなさい。
図
27-2電磁.28
(答)時刻
tに回路に流れる電流を
I(t)とする。(図
27-2の矢印の向きを電流の正の向きとする。) 閉回路が電気伝導 度
σを持つ,長さ
`,断面積Sの導線で作られているとする。導線方向の電場の成分を
Ekとすると,
∫
C
E~ ·d~r=Ek` (28.1)
となる。ただし,E
kが場所によらず一定とした。この導線に流れる電流密度の導線方向の成分を
ikとすると,プ リント
(電磁.13)より
ik=σEkという関係がある。従って,この回路に流れる電流
Iは
I=Sik=σSEk=σS
`
∫
C
E~ ·d~r= 1 R
∫
C
E~ ·d~r (28.2)
となる。ここで
R= `σS
の関係を用いた。一方,電磁誘導の法則より
∫
C
E~ ·d~r=−LdI(t)
dt
という関係があるの で,この回路を流れる電流
I(t)は次の微分方程式
dI(t) dt =−R
L I(t) (28.3)
を満たすことがわかる。これより,初期条件
I(0) =I0に対する解は以下となる:
I(t) =I0 exp (−R
L t )
. (28.4)
磁場に蓄えられるエネルギー
次に,時刻
t= 0以降に,抵抗に発生するジュール熱の総量
Uを計算してみよう。時刻
tに単位時間に発生する ジュール熱
RI(t)2=RI02 exp (−2R
L t )
(28.5)
を
t= 0から
t=∞まで積分して
U =RI02
∫ ∞
0
exp (−2R
L t )
dt=−LI02 2
[ exp
(−2R L t
)]t=∞
t=0
=1
2LI02 (28.6)
が得られる。このエネルギーはもともと時刻
t= 0に回路に流れる電流
I0が作る磁場が持っていたエネルギーと 考えられる。
一 般 に ,自 己 イ ン ダ ク タ ン ス
Lを 持 つ 回 路 に 電 流
Iが 流 れ て い る 時 ,こ の 電 流 に よ り 作 ら れ る 磁場の持つエネルギー
Uは
U = 1
2LI2 ¨
§
¥
長岡(7.29)¦ (28.7)
となる。
磁場を効率的に発生する素子を コイル と呼ぶ。電気回路上は図
28-2の記号であらわされる。
ソレノイド
(コイルの一種)の作る磁場 図
28-1コイルの記号
図
28-2電磁.29
.
【注】コイルの両端の電位差
自己インダクタンス
Lを持つコイルの両端の電位差
∆V =VA−VBを考える。図
29-1の矢印の向きを電流や電場の正の向きとする。コ イルが電気伝導度
σを持つ,長さ
`,断面積Sの導線で作られてい るとする。電位差
∆Vによる電場の導線方向の成分を
E1,電磁誘導 から生じる誘導起電力による電場の導線方向の成分を
E2とすると
E1= ∆V
` , E2=−L
` dI(t)
dt (29.1)
となる。従ってコイルの抵抗を
R=`/(Sσ)とすると,コイルに流 れる電流
I(t) =Sσ(E1+E2)には
RI(t) = ∆V −LdI(t)
dt (29.2)
という関係が成り立つ。
I t ( )
A B
コイルの両端の電位差 図
29-1この関係より,コイルの抵抗
Rが無視できる場合,自己インダクタンス
Lを持つコイルの両端には電位差
VA−VB=LdI(t)dt (29.3)
が生じることがわかる。
LCR
回路の複素インピーダンス
¨§
¥
長岡§7-9,10¦
,
¨§
¥
浦上§8.3¦ (例)
図
29-2に示すように,抵抗
R,電気容量
Cのコンデンサー,自己 インダクタンス
Lのコイルが直列につながれた回路を振幅
V0,角 周波数
ωの交流電源
V(t) =V0cos(ωt) (29.4)
につないだ。回路に流れる電流を求めなさい。
図
29-2(答)
回路中の点
A,B,C,Oの電位をそれぞれ
VA, VB, , VC, VOとする。時刻
tに図の矢印の向きに流れる電流 を
I(t)とし,コンデンサーの
C側の極板に蓄えられる電荷を
Q(t)とする。コンデンサーの点
B側の極板には電 荷
−Q(t)が蓄えられる。各点の電位差を考えると
VC−VO = V(t) (29.5)
VC−VB = Q(t)
C (29.6)
VB−VA = RI(t) (29.7)
VA−VO = LdI(t)
dt (29.8)
が成り立つ。また,電荷と電流の関係は
I(t) = dQ(t)
dt (29.9)
となる。(29.6) + (29.7) + (29.8) = (29.5) より次式が得られる:
LdI(t)
dt +RI(t) +Q(t)
C =V0cos(ωt) ¨
§
¥
長岡(7.32)¦ (29.10)
電磁.30 微分方程式
(29.10)の特解を求めるために,プリント
(電磁.問.6) と同様に,式
(29.10),(29.9)を複素数に拡張し て,複素関数
Q(t),˜ I(t),˜ V˜(t) =V0eiωtについての方程式:
LdI(t)˜
dt +RI(t) +˜ Q(t)˜
C =V0 eiωt, I(t) =˜ dQ(t)˜
dt (30.1)
を考え,最後に
Q(t),˜ I(t)˜などの実数部をとる。解の形を
Q(t) =˜ Q0eiωt, I(t) =˜ I0eiωt (30.2)
と仮定して,(30.1) に代入して以下を得る:
iωLI0+RI0+Q0
C =V0, I0=iωQ0. (30.3)
この連立方程式から
I0= 1Z V0
¨
§
¥
長岡(7.45)¦, Z=R+i (
ωL− 1 ωC
) ¨
§
¥
長岡(7.46)¦ (30.4)
が得られる。Z をこの回路の
(複素)インピーダンス と呼ぶ。(この
Zは抵抗とコイルとコンデンサーを直列 につないだ回路の合成インピーダンスとなる。[問.14 を参照])
Zを極表示で表わすと
Z=
√ R2+
(
ωL− 1 ωC
)2
eiθ ¨
§
¥
長岡(7.52)¦ (30.5)
となる。ただし
θは
cosθ= R
√ R2+(
ωL−ωC1 )2, sinθ= ωL−ωC1
√ R2+(
ωL−ωC1 )2
¨
§
¥
長岡(7.51)’¦ (30.6)
を満たす角度
(位相)である。
I(t) =˜ 1
Z V0eiωt=√ V0
R2+(
ωL−ωC1 )2 ei(ωt−θ) (30.7)
の実数部をとって,回路を流れる電流は
I(t) = V0
√ R2+(
ωL−ωC1 )2 cos(ωt−θ) ¨
§
¥
長岡(7.55)¦ (30.8)
となる。
【注】微分方程式
(29.10)の一般解は,特解
(30.8)に
Ig(t) = exp(− R 2Lt
)(
Acos(Ωt) +Bsin(Ωt) )
, Ω =
√ 1
CL−(R 2L
)2
(30.9)
を付け加えたものになる。I
g(t)は時間と共に減衰する:(
Ig(t)→0 , t→ ∞)交流電源の角周波数
ωを変化させていくと
ω=ω0,
ここで
ω0= 1√LC
¨
§
¥
長岡(7.56)¦ (30.10)
の時に電流の振幅は最大となる。一般に,外部からの入力の振動数
ωが系の 固有振動数
ω0(この回路の場合は
ω0= 1√LC)