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第44回NPO法人日本口腔科学会九州地方部会プログラム

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(1)

第44回

NPO 法人日本口腔科学会

九州地方部会

プログラム

日時

平成

23 年 11 月 26 日(土) 10:00~

会場

九州大学医学部百年講堂(中ホール)

〒812-8582 福岡県福岡市東区馬出 3 丁目 1-1 TEL:092-642-6257

担当

九州大学大学院歯学研究院

口腔顎顔面病態学講座

顎顔面腫瘍制御学分野

会長 中村誠司

TEL:092-642-6447

FAX:092-642-6386

(2)

ご案内とお願い

NPO 法人日本口腔科学会九州地方部会評議員会>

日時:平成

23 年 11 月 26 日(土)12:25~13:30

会場:九州大学医学部百年講堂

2 階 会議室 1

<評議員の方へ>

12:25~13:30 の昼の休憩時間に役員会を行いますので、評議員の方は百年講堂

2 階の会議室 1 にお集まりください。

<会員の方へ>

1.当日の受付開始は

9:00 です。受付にて所属氏名を所定の用紙にご記入くだ

さい。

2.参加費として

1,000 円徴収いたします。

3.お車でお越しの方は九州大学病院の駐車場がご利用できますが、駐車料金

が必要になります。最初の

1 時間 100 円、以後 30 分毎に 100 円。

4.クロークを会場に設けております。

9:00~17:00 まで受け付けております。

<演者の方へ>

1.口演時間は

6 分、質疑応答は 2 分とします。時間厳守でお願いします。

2.次演者の方は、口演開始

10 分前に所定の席でお待ちください。

3.映写について

①発表は

Power Point を使用したコンピュータとプロジェクターによる発表

に限らせて頂きます。映写は一面映写で、特に枚数に制限はありません。

②データは

Windows 対応の CD-R、USB メモリーでお願いします。

③演題番号と発表者氏名を入れたファイルを作成してください

(例:

01-九大太郎.ppt)

④口演の

30 分前までに PC 受付にデータをご提出ください。

4.口演終了後の事後抄録提出は不要です。

<座長の方へ>

座長の呼び出しはいたしませんので、予定時刻になりましたら座長席に御着席

頂き開始して下さい。質疑・応答の方法につきましては座長にお任せ致します。

(3)

44 回 NPO 法人日本口腔科学会九州地方部会プログラム

10:00 開会の辞

10:05~11:15 一般口演(1)

座長 九州大学病院 口腔顎顔面外科 口腔顎顔面病態学 杉浦 剛 先生

1.Bisphosphonate 製剤の副作用 による顎骨骨髄炎の実際

小諸厚生総合病院歯科口腔外科 山﨑 正、他

2.S-1 投与が原因で急性肺障害を生じ ARDS に至った口腔癌の1例

熊本大学大学院生命科学研究部総合医薬科学部門感覚・運動医学講座顎口腔病態学分野 内藤 久美子、他

3.鼻唇溝皮弁を用いて再建した上唇エクリン腺癌の1例

久留米大学病院歯科口腔医療センター 中村 謙、他

4.当科における悪性リンパ腫症例についての臨床的検討

福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座 岩崎 一真、他

5.上顎結節部に生じた周辺性歯原性線維腫の1例

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 顎・口腔再生外科学分野 米嶋 隆廣、他

6.広範囲のビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対して下顎骨区域切除術と

高気圧酸素療法を行った1例

社会保険徳山中央病院歯科口腔外科 今林 佑美、他

7.顎堤形成術に対するネオベール

®

およびボルヒールスプレーの使用経験

福岡大学医学部医学科歯科口腔外科学講座 平瀬 正康、他

8.粘膜組織欠損部修復におけるポリグリコール酸フェルトおよびフィブリン

糊スプレー併用法の有用性について

九州歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 形態機能再建学分野 若林 奈南子、他

(4)

11:15~12:25 一般口演(2)

座長 福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座 利谷 幸治 先生

9.口蓋垂に発生した類表皮嚢胞の 1 例

九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野 神野哲平、他

10.上顎に生じた腺性歯原性嚢胞の 1 例

久留米大学医学部歯科口腔医療センター、聖マリア病院歯科口腔外科 原田 真知子、他

11.治療に苦慮した Hemifacial Microsomia の1例

九州歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 病態制御学分野 谷口 広祐、他

12.両側先天性後鼻孔閉鎖症に対して上顎骨前方牽引と後鼻孔開通術を行っ

た 1 例

宮崎大学医学部 感覚運動医学講座 顎顔面口腔外科学分野 上村 洋平、他

13.外科的矯正術を施行した睡眠時無呼吸症候群の1例

福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座 立岡 尚人、他

14.下顎智歯抜歯後にガス産生菌感染が疑われた気腫を伴った蜂窩織炎の1

国立病院機構熊本医療センター歯科口腔外科 松本 哲彦、他

15.下顎埋伏智歯抜歯術後に生じた広範な皮下気腫および縦隔気腫の 1 例

宮崎大学医学部感覚運動医学講座顎顔面口腔外科学分野 中島 慎太郎、他

16.根巣病巣に対して歯科用炭酸ガスレーザーを用いて生じた顔面・頸部・

縦隔気腫の 1 例

公立学校共済組合九州中央病院 歯科口腔外科 星野 亜紀、他

12:25~13:30 休憩

日本口腔科学会九州地方部会役員会

評議員の方は百年講堂 2 階の会議室 1 へお集まりください

13:30~13:50 理事報告

(5)

13:50~15:00 一般口演(3)

座長 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 口腔腫瘍治療学分野 柳本 惣市 先生

17.口蓋に発生した類腱腫(Desmoid-type fibromatosis)の 1 例

佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座 青山 貴博、他

18.顎舌骨筋裂隙への舌下腺篏頓の1例

九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座口腔顎顔面外科学分野 張江 昌宏、他

19.頬部疼痛発現を契機に発見された Churg-Strauss 症候群の 1 例

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 口腔腫瘍治療学分野 河野 俊広、他

20.舌に発生した家族性筋線維腫の 1 例

長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科展開医療科学講座 顎・口腔再生外科学分野 白石 剛士、他

21.潰瘍性大腸炎に継発した難治性口内炎の1例

鹿児島大学医学部歯学部附属病院 口腔顎顔面センター 口腔外科 吉元 苑巴、他

22.咀嚼筋腱・腱膜過形成症による開口障害を認めた 1 例

国立病院機構九州医療センター歯科口腔外科 林 慶和、他

23.上顎埋伏智歯と過剰埋伏歯が癒合し、両臼旁歯の併存を認めた1例

産業医科大学病院 歯科口腔外科 梶栗 枝里子、他

24.下顎骨骨髄炎を併発した濃化異骨症の治療経験

九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座口腔顎顔面外科学分野 大谷 崇仁、他

15:00~15:15 休憩

(6)

15:15~16:25 一般口演(4)

座長 宮崎大学医学部感覚運動医学講座顎顔面口腔外科学分野 吉岡 泉 先生

25.咬筋内血管腫の手術経験

福岡大学 医学部 医学科 歯科口腔外科学講座 大森 啓明、他

26.当科における下顎埋伏智歯抜歯 2 回法の臨床的検討

大分大学医学部附属病院歯科口腔外科 田代 舞、他

27.下顎智歯抜歯と下唇知覚鈍麻の起因に関する検討

国立病院機構 九州医療センター歯科口腔外科 木村 祥一郎、他

28.音声視覚化システムを用いた母音の構音パターン評価方法の検討

-顎変形症患者音声について-

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科顎顔面機能再建学講座口腔顎顔面外科学 新中須 真奈、他

29.当院における摂食・嚥下障害患者の臨床的検討〜内視鏡下嚥下機能検査

と嚥下造影検査を通じて〜

社会医療法人財団白十字会 白十字病院 歯科口腔外科 嶋村 知記、他

30.下顎骨形成術における術前補水の有用性に関する検討

社会医療法人敬和会 大分岡病院マキシロフェイシャルユニット 大田 奈央、他

31.口底部-顎下部の嚢胞様病変の画像診断

九州大学病院 口腔画像診断科 清水 真弓、他 16:30 閉会の辞 日本歯科医師会生涯研修カードをお持ちの方は御持参下さい。

(7)

1.Bisphosphonate 製剤の副作用 による顎骨骨髄炎の実際

小諸厚生総合病院歯科口腔外科 ○山﨑 正、西沢理史歩、平山義洋、堀 泰斗 Bisphosphonate 製剤(BP 剤)は骨粗鬆症や悪性腫瘍の骨転移の治療に対して近年頻用 されている薬剤であるが、顎骨骨髄炎が重篤な副作用として問題になっており、本邦でも 数多くの副作用報告がなされている。 今回、腎臓悪性腫瘍患者の骨転移に対しBP 剤を使用し、下顎骨骨髄炎を発症、薬剤中止 後 3 年3か月間保存的処置にて経過を見たが、顎骨骨髄炎が進行し病的骨折を生じ、やむ なく顎骨離断、プレート再建術を行ったので病理組織学的所見を中心に報告する。 合わせて当科にて病態観察を行っている顎骨骨髄炎患者7例のBP 製剤投与からの臨床経 過を提示し、今後の臨床治療の一助としたい。

2.S-1 投与が原因で急性肺障害を生じ ARDS に至った口腔癌の1例

熊本大学大学院生命科学研究部総合医薬科学部門感覚・運動医学講座顎口腔病態学分野 国保水俣市立総合医療センター1 ○ 内藤久美子、吉武義泰、中山秀樹、勝田久貴、高尾直宏、大地可菜子、福間大喜、尾木 秀直、牧 正啓1、太田和俊、平木昭光、篠原正徳 近年、薬剤による肺障害の報告は増加している。今回われわれは、S-1 が原因と診断され た急性呼吸窮迫症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome:ARDS)を発症し救命し得た 1 例を経験したのでその概要を報告する。 患者は 70 歳女性で右側上顎歯肉の腫脹を伴う疼痛を主訴にかかりつけ歯科医院を受診後、 近総合医療センターに紹介され、そこで当科を紹介され初診となった。口腔多発癌(上顎、 下顎、頬粘膜、口底)の診断のもと化学放射線併用療法(S-1:50mg/日×33days、RT:計 66Gy) を施行した。S-1 投与終了から 2 日後に突然熱発と胸部 X 線写真にて両側肺野にびまん性の 不透過像を認めたためユナシンを 5 日間投与するも WBC および CRP の上昇を認めたためフ ァーストシンへ変更し、2 日間投与するも呼吸困難と著明な低酸素血症を認めたためメロペ ン・ダラシンへ変更した。翌日呼吸器内科より ARDS と診断された。11 日目にはさらに肺野 の増悪傾向を認め呼吸苦が顕著(SpO2:65%まで低下)になってきたため気管挿管を行い人工 呼吸器管理とし、ARDS の治療を目的に呼吸器内科へ転科となった。ステロイドパルス療法 などが奏功し胸部 X 線写真において改善が認められ呼吸状態も安定したため転科 8 日目に 抜管でき、当科へ転科となった。その後 20 日間当科で治療をしたのち退院となった。現在 1 年 8 か月経過しているが、経過良好で、外来通院にて経過観察中である。

(8)

3.鼻唇溝皮弁を用いて再建した上唇エクリン腺癌の1例

久留米大学病院歯科口腔医療センター ○中村 謙、青木修子、岩屋勝美、轟 圭太、古賀 真、岩本 修、楠川仁悟 今回我々は左上唇に生じたエクリン腺癌の一例を経験したため報告する.症例:56 歳, 女性.主訴:左上唇部の腫瘤形成.既往歴:29 歳時急性肝炎(A 型)現病歴:H12 年頃左上 唇皮膚に米粒大の腫瘤形成を認めるも放置.H18 年頃腫瘤増大を認め近皮膚科受診しステロ イド軟膏塗布にて経過観察も症状改善せず,H22. 9/27 当センター紹介受診.現症:左上唇 に 皮 膚 と 癒 着 し た 25 × 22mm 弾 性 硬 の 腫 瘤 を 認 め た . 処 置 お よ び 経 過 : 生 検 に て Syringomatous cartinoma(eccrine adenocartinoma)(T1N0M0)の診断を得たため,H22.12/6 全麻下で左上唇全層切除術と左側鼻唇溝皮弁を用いた口唇再建術を施行した.退院後口唇 機能問題なく,また再発なく経過良好である.今後,上唇の形態修正を予定している.

4.当科における悪性リンパ腫症例についての臨床的検討

福岡歯科大学 口腔・顎顔面外科学講座1、福岡歯科大学 生体構造学講座2 ○岩崎一真1、利谷幸治、橋本憲一郎、勝俣由里、福沢秀昭、岡村和彦、古賀千尋、山下善 弘1、池邉哲郎、大関 悟1 目的:悪性リンパ腫は節内性および節外性病変が頭頸部領域に生じることがあり、歯科医師、口 腔外科医にとって早期に診断することが重要である。そこで我々は、過去 11年間に当科におい て悪性リンパ腫と診断した症例の臨床所見、検査結果、診断名について検討した。 対象:2000 年から 2010 年までの 11年間に当科を受診し、病理組織診断で悪性リンパ腫と診断 された 17 症例 21 部位について検討した。 結果:男性9例、女性8例で男女差はほとんどみられなかった。診断時年齢は 21 歳から 92 歳ま でで、平均年齢は 68.1 歳であった。病理診断に至る処置法としては、生検 13 例、手術による切 除生検 4 例であった。節内病変は 6 例、節外病変は 11 例であった。T 細胞性は 2 例、B 細胞性は 15 例であった。 臨床診断で悪性リンパ腫を疑った症例は3例であり、悪性リンパ腫を疑わず病理組織検査で診断 されたのは 14 例であった。

(9)

5.上顎結節部に生じた周辺性歯原性線維腫の1例

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 顎・口腔再生外科学分野1 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 口腔病理学分野2 ○米嶋隆廣1、大場誠悟1、池田久住1、白石剛士1、南里篤太郎1、井隆司1、藤田修一2、池田 通2、朝比奈泉1 歯原性線維腫は、歯小嚢ないし歯周靭帯様線維性結合組織の増殖からなる比較的まれな 良性間葉性腫瘍であり、多くは顎骨中心性に発症し、周辺性はまれである。患者は52歳男 性で、左側上顎臼歯部歯肉の腫脹を主訴に来院した。初診の約半年前に紹介医で、右上第 二大臼歯の周囲歯肉の腫脹を認め、重度歯周炎の診断で抜歯を行った。その後腫脹は減少 したため、欠損部位に部分床義歯を装着した。しかし、同部の発赤および疼痛が再度出現 してきたため、精査加療目的で当科紹介となった。MRI検査で肉芽組織や血管腫の可能性を 指摘された。生検術を施行したところ、歯原性線維腫の診断を得たため、全身麻酔下で腫 瘍切除術を施行した。現在、術後半年が経過するが再発所見は認めない。しかし、周辺性 歯原性線維腫は、術後約50%の再発をきたすとの報告があるため、今後も注意深い経過観察 が必要である。

6.広範囲のビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対して下顎骨区域切除術と

高気圧酸素療法を行った1例

社会保険徳山中央病院歯科口腔外科 ○今林佑美、西山祐生、助臺美帆、村木祐孝 今回我々はガス壊疽を伴い下顎の半側に及んだビスフォスフォネート関連顎骨壊死 (BRONJ)に対し、下顎骨区域切除術と高気圧酸素療法(HBOT)を行った症例を経験したので報 告する。 患者は 62 歳女性、2006 年乳癌に対し右乳房温存切除術を受け、2008 年骨転移のためゾ レドロネートの静注が開始された。2010 年 4 月に近医歯科にて右下 5 番抜歯後、疼痛が持 続するため 6 月に当科を紹介された。初診時、抜歯窩を中心に骨露出と排膿を認め、BRONJ と診断された。ゾレドロネートは外科担当医の判断で同年 8 月から中止されたが、9 月には 右側頬部に蜂窩織炎を発症したため、全麻下に口腔外消炎術を施行した。消炎処置後も皮 膚瘻孔は消退せず、顎骨壊死が下顎骨半側に及んだため、2011 年 6 月区域切除術を施行。 術後 HBOT を行った。術後 5 か月経過した現在、瘻孔や骨露出部の再発は認められていない。

(10)

7.顎堤形成術に対するネオベール

®

およびボルヒールスプレーの使用経験

福岡大学医学部医学科歯科口腔外科学講座 ○平瀬正康、高橋宏昌、大谷泰志、高岡昌男、梅本丈二、林田枝里子、坂本悠三子、喜久 田利弘 近年、粘膜欠損部の被覆に対して植皮や真皮欠損用グラフトの代わりに、ネオベール(PGA シート)とボルヒール(フィブリン糊)を併用する報告が散見される。今回、われわれは 口腔底悪性腫瘍に対して下顎骨辺縁切除、口腔底、舌下面の切除術を行った術後症例にネ オベールを使用し、不動粘膜の獲得で顎義歯の安定を得た症例を経験したので報告する。 患者は 47 歳男性。当科で口腔底悪性腫瘍に対して切除術を行った。術後、舌尖部を含む舌 下部の瘢痕拘縮と下唇部口腔前庭部粘膜の癒着により顎義歯作製は困難であった。術後 1 年 3 か月時に顎堤形成術を行った。口腔底粘膜欠損部へのネオベール貼付で、良好な瘢痕 拘縮予防効果、疼痛予防効果を認めた。現在,術後 6 か月であるが顎義歯は安定し、咀嚼 機能は著明に改善されている。また、舌尖の延長と舌可動域の大幅な改善を得られた。

8.粘膜組織欠損部修復におけるポリグリコール酸フェルトおよびフィブリン

糊スプレー併用法の有用性について

九州歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 形態機能再建学分野 ○若林 奈南子, 野上 晋之介, 吉賀 大午, 山本 哲彰, 山内 健介, 田中 謙光, 金 氏 毅, 宮本 郁也, 高橋 哲 【緒言】口腔内粘膜病変の切除後の開放創部に創傷治癒を早め瘢痕収縮を防止する目的で 遊離皮膚移植や真皮欠損用グラフトであるアテロコラーゲン(テルダーミス)が用いられ てきたが,近年吸収性生体材料であるポリグリコール酸フェルト(PGA シート,NEOVEIL)を フィブリン糊(ボルヒール)と併用し,口腔内の粘膜欠損修復材としての使用報告が散見さ れている.今回われわれは,口腔粘膜病変切除後に PGA シート+ボルヒールを応用し,その有 用性について検討を行ったので報告する. 【対象および方法】対象は 2010 年 7 月から 2011 年 8 月までに当科において本方法を施行 した症例のうち、術後 3 ヶ月以上経過観察を行った 8 症例(平均年齢 66.0 歳)とした.検 討項目は,切除部位,手術時間,術後出血,術後疼痛,シートの脱離時期,経口摂取開始時期, 退院までの日数,瘢痕拘縮の程度とした.なお,瘢痕拘縮の程度は術後 3 か月経過時点で,患 者の自覚症状の程度により,「なし」「軽度」「中等度」「高度」の 4 段階に評価した.【結果】 切除部位は舌が 5 例,頬粘膜が 3 例であった.手術時間は平均 49 分,術後出血を認めたもの は 1 例(12.5%)であり,術後 13 日目に認められた。また術後疼痛に対して鎮痛剤を使用 した症例は 2 例(25%)で使用期間はいずれも 1 日間であった.シートの脱離時期は術後平 均 4.9 日目であり,経口摂取開始時期は術後平均 5.9 日目であった.瘢痕拘縮は頬粘膜では 舌と比較するとやや出現しやすい傾向があった. 【結論】本法は他の方法と比較して,経口摂取開始時期,退院までの日数,手術時間を短縮し, 術後疼痛の軽減に関しても有用であると考えられた.

(11)

9.口蓋垂に発生した類表皮嚢胞の 1 例

九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野 ○神野哲平、豊嶋健史、光安岳志、辻口友美、田中秀明、川野真太郎、大部一成、中村誠 司 類表皮嚢胞は頭頸部領域においてオトガイ下部や口底部に好発するが、軟口蓋に発生す るのは稀である。今回我々は口蓋垂に発生した類表皮嚢胞の 1 例を経験した。 患者は 1 歳男児、近医で口蓋垂の腫瘤を指摘され、平成 22 年 7 月当科初診。口蓋垂基部 に表面平滑、直径 2~3 mm の類球形の黄白色の病変を認めた。脂肪腫の臨床診断のもと、 摂食嚥下障害などの臨床症状がなかったため経過観察を行なったが、病変の増大により平 成 23 年 2 月全身麻酔下に摘出術を施行した。術中迅速病理組織検査により病変は重層角化 扁平上皮と薄い線維性結合組織から成り、皮膚付属器官は認められず、内部には黄白色の 液体の貯留を認めたため類表皮嚢胞と診断した。 我々の渉猟し得た限りでは、口蓋垂に発生する類表皮嚢胞に関する報告は海外では 6 例、 本邦では 4 例のみである。発表では当科における臨床統計も併せて報告する。

10.上顎に生じた腺性歯原性嚢胞の 1 例

久留米大学医学部歯科口腔医療センター1、聖マリア病院歯科口腔外科2 ◯原田真知子1,2、古賀真1、岩屋勝美1、古賀のり子1、岩本修1、楠川仁悟1、豊福司生1,2

腺性歯原性嚢胞(glandular odontogenic cyst:以下、GOC)は 1988 年、Gardner らによ って初めて提唱され、1992 年の WHO 歯原性腫瘍分類において、発育性歯原性嚢胞に分類さ れたまれな顎骨嚢胞である。本嚢胞は局所侵襲性に発育し、再発傾向が高いため、術後も 慎重な経過観察が必要とされている。今回,われわれは中年男性の上顎小臼歯部に生じた 本嚢胞の 1 例を経験したので、その概要に文献的考察を加え報告する。患者は 57 歳の男性。 右上顎犬歯部の腫脹と疼痛を主訴に当センター来院となった。パノラマ X 線写真では右上 顎小臼歯部から犬歯部にかけて境界明瞭な X 線透過像を認めた。歯根嚢胞の臨床診断にて、 入院全麻下に嚢胞摘出術および抜歯術が施行された。術後の病理組織診断は GOC であった。 現在、退院後 9 か月が経過したが。再発の所見なく良好に経過中である。

(12)

11.治療に苦慮した Hemifacial Microsomia の1例

九州歯科大学 口腔顎顔面外科学講座 病態制御学分野1 宮崎大学 感覚運動医学講座 顎顔面口腔外科学分野2 ○谷口広祐1、鶴島弘基1、土生学1、福田仁一1、吉岡 泉2、冨永和宏1 Hemifacial microsomia(以下、HFM)は、第 1 第 2 鰓弓に由来する顎顔面の骨及び軟組 織が片側性に発育障害をきたす先天性疾患である。今回、われわれは治療に苦慮した HFM の1例を経験したので報告する。 患者は、7歳時に顔面の非対称および開咬を主訴に近矯正歯科より紹介受診した。初診 時、顔面非対称(左顔面の低成長)を認め、左耳は高度に変形していた。咬合は左上方傾 斜と前歯部開咬を認めた。レントゲン所見にて、左下顎枝の形成不全を認めた。術前矯正 治療後、9 歳時に左下顎骨延長術を施行した。以後、上顎成長誘導のために FKO を装着した が、咬合を改善できずにマルチブラケットによる治療を行った。しかし,咬合不全は改善 できず、21 歳時に両側下顎枝矢状分割術を施行した。さらに 22 歳時に顔面の非対称改善目 的に、カスタムメイドの人工骨を用いた下顎骨形成術を施行した。

12.両側先天性後鼻孔閉鎖症に対して上顎骨前方牽引と後鼻孔開通術を行っ

た 1 例

宮崎大学医学部 感覚運動医学講座 顎顔面口腔外科学分野 ○上村洋平、永田順子、温水佳世子、鹿嶋光司、井川加織、高森晃一、吉岡 泉、迫田隅男 患者は 4 歳の女児。全身の成長発達は良好。両側の先天性後鼻孔閉鎖症に伴う恒常的な 口呼吸のため、構音と咀嚼運動に異常を認めた。咬合は正被蓋であったが高口蓋を呈して いた。顔貌所見では中顔面の陥凹と前顔面高の過大および下顎下縁平面の開大を認め、SNA、 SNB、ANB はいずれも標準値より小さく、先天性後鼻孔閉鎖症に伴う上顎骨の劣成長と診断 した。6 か月間経過観察を行い、ラテラルセファロの重ね合わせから上顎は下方へ、下顎 は前下方へ成長して ANB がさらに悪化していたため、上顎前方牽引装置を装着し、毎日 14 時間以上使用させた。牽引開始から 6 か月後に耳鼻科にて全麻下で後鼻孔開通術を施行し、 術直後から鼻呼吸と構音および咀嚼の訓練を開始した。上顎は牽引により前方へ大きく成 長し、後鼻孔開通術後はさらに上顎の成長が増大し、顔貌が顕著に改善された。また、構 音と咀嚼にもかなりの改善を認めた。

(13)

13.外科的矯正術を施行した睡眠時無呼吸症候群の1例

福岡歯科大学、口腔・顎顔面外科学講座 ○立岡尚人、中山敬介、利谷幸治、古賀千尋、升井一朗、大関 悟、池邉哲郎 緒言:睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠時に、無呼吸または低呼吸になる病気である。 一般に上気道の閉塞による閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、肥満だけでなく、小顎 症であっても発症のリスクは高いとされている。症状は、熟睡ができない結果として昼間 に著しい眠気に襲われるだけでなく、不整脈、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な合併症を発 症することがある。今回われわれは骨格性下顎後退症を呈した OSAS 患者に対し、外科的矯 正術を行い、無呼吸・低呼吸指数(AHI)の改善を認めた症例を経験したので報告する。症例: 25 歳男性。治療経過:平成 21 年 12 月、近医にて重症 SAS(AHI:62.2)の診断、小顎症を 呈することから骨格性下顎後退症治療目的に当科を紹介された。平成 23 年 1 月術前矯正終 了し、3 月に全身麻酔下に上下顎同時移動術、オトガイ形成術を施行し、術後 21 日目に経 過良好につき退院となった。退院後の再評価にて AHI:27.6 と改善を認め、本人の自覚症状 も改善した。

14.下顎智歯抜歯後にガス産生菌感染が疑われた気腫を伴った蜂窩織炎の1

国立病院機構熊本医療センター歯科口腔外科 ○松本哲彦、河野通直、上田大介、高尾真暢、片岡奈々美、中島健 [諸言] 今回我々は、ガス産生菌感染を疑った翼突下顎隙、側咽頭隙の気腫を伴った蜂窩織 炎を経験したので報告する。[症例] 24 歳女性。[現病歴] 近歯科医院にて左側下顎智歯の 抜歯施行後、左側顎下部の腫脹、開口障害が発現した。3 日間抗菌薬を服用するも症状悪化 した為、某救急病院を受診し、CTRX 2 g 点滴静注の治療を受けた。翌朝当科へ紹介受診と なった。[現症] 左側頬部から顎下部に及ぶび漫性の腫脹、開口障害を認め、CRP 11.03 mg/dl であった。CT 所見では、左側側咽頭隙から顎下隙に及ぶ低吸収像を認め、ガス産生菌感染 による蜂窩織炎と診断した。[処置及び経過] 外部切開を予定していたが、CTRX 2 g、CLDM 1.2 g を点滴静注により、腫脹の減少、開口障害の改善を認めた。症状経過と再 CT 所見に より低吸収像は気腫であることが示唆された為、消炎手術を中止とした。抗菌薬の継続投 与により、症状が軽快し退院となった。

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15.下顎埋伏智歯抜歯術後に生じた広範な皮下気腫および縦隔気腫の 1 例

宮崎大学医学部感覚運動医学講座顎顔面口腔外科学分野 ○中島慎太郎、吉岡 泉、井川加織、高森晃一、永田順子、鹿嶋光司、迫田隅男 今回われわれは下顎埋伏智歯抜歯術後に生じた広範な皮下気腫および縦隔気腫の 1 例を 経験したので報告する。 患者:70 歳台、男性。初診時臨床診断:下顎左側含歯性嚢胞および下顎両側埋伏智歯。 処置および経過:全身麻酔下に下顎左側含歯性嚢胞摘出術、下顎両側埋伏智歯抜歯術を行 った。術後に両側の側頭部、頬部、頸部、前胸部、上腕部にかけて髪音と握雪感を伴うび まん性の腫脹が認められた。術後 X 線所見:単純胸部 X 線所見;胸部に索状および線状の X 線不透過像が認められた。CT 所見;咀嚼筋隙、傍咽頭隙、後咽頭隙、舌下隙、顎下隙、オ トガイ下隙、前・後頸隙、側前頸隙、頚動脈隙、縦隔、心嚢周囲におよぶ気腫が認められ た。術後臨床診断:皮下気腫・縦隔気腫。術後の処置および経過:感染予防として抗菌薬 の投与を行った。術後 2 日目の CT で気腫の著明な減少を認めたため、抜管した。術後 13 日目、顔面および頸部の腫脹は消退したため退院した。

16.根巣病巣に対して歯科用炭酸ガスレーザーを用いて生じた顔面・頸部・

縦隔気腫の 1 例

公立学校共済組合九州中央病院 歯科口腔外科 ○星野亜紀、小野田慈美、新田秀一、堀之内康文 近年、歯科用レーザーが普及し、広い用途で使用されているが、レーザー照射に関連し て発生した気腫の報告は少ない。今回、われわれは歯科用炭酸ガスレーザー照射後に顔面・ 頸部・縦隔気腫を生じた 1 例を経験したので報告する。 患者は 32 歳女性。 2008 年 9 月、当科初診前日、かかりつけ歯科にて右下顎第 1 小 臼歯の根巣病巣由来の膿瘍切開、レーザー照射を受けた。照射直後より急速に右頬部から 頸部に圧迫感と腫脹、疼痛が出現したが特に処置はなかった。翌日、自らの判断で当科を 受診。右側頭部から頸部の範囲にびまん性の腫脹と捻髪音を認め、 CT にて右側頭部から 縦隔に及ぶ気腫を認めた。呼吸困難、気道狭窄がなかったため、通院下に抗生剤内服と安 静を指示して経過観察した。気腫は徐々に消失し重大な合併症は生じなかった。歯科用レ ーザーの誤った使用により、気腫が生じうることをわれわれ歯科医師が認識しておく必要 があると思われた。

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17.口蓋に発生した類腱腫(Desmoid-type fibromatosis)の 1 例

佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座 ○青山貴博、山下佳雄、檀上 敦、下平大治、野口信宏、後藤昌昭 類腱腫は線維腫症に含まれ,良性と悪性の中間的存在として位置づけられている。若年 女性に多く、好発部位は上下肢、体幹部、頸部であり、口腔およびその周囲組織では報告 が少ない。今回、われわれは口蓋に発生した類腱腫を経験したので報告する。患者は 43 歳 女性で、近医歯科で右上顎犬歯唇側~口蓋正中にかけて骨様硬の無痛性腫瘤を指摘され当 科を紹介受診となった。CT 画像では 20×12×29mm の比較的境界明瞭な腫瘤を認めた。周囲 の骨破壊や圧排性変化を伴わず内部の増強効果は低かった。生検標本では上皮に腫瘍性変 化は認めず、上皮下で著明な膠原繊維の増生を伴った分化した線維芽細胞の増生を認めた。 細胞異型や核分裂像は乏しく、筋原性マーカーのα-SMA、神経マーカーの S-100 はともに 陰性であったため類腱腫が疑われた。全身麻酔下に口蓋骨の一部削除を含めた腫瘍切除術 を行った。現在術後 1 年経過しているが、明らかな再発所見は認めていない。

18.顎舌骨筋裂隙への舌下腺篏頓の1例

九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座口腔顎顔面外科学分野1 九州大学病院 口腔画像診断科2 ○張江 昌宏1、大山 順子1、窪田 泰孝1、碇 竜也1、秋本 直柔1、清水 真弓、竹 之下 康治1、森 悦秀1 顎舌骨筋の裂隙は顎下型がま腫の発生機序から周知の形態で、裂隙部への組織篏頓は解 剖検体の約 45% に認め、その約 48% が舌下腺であるという報告もある。しかしながら日常 臨床で顎下部に舌下腺を触知する経験は少ない。今回われわれは、顎下部に出現した腫瘤 を舌下腺篏頓と診断した症例を経験したので報告する。 患者は 37 歳女性。嚥下時舌に力を入れると左顎下部に無痛性の腫瘤が出現することに気 づき、腫瘤が消退しないため当科受診。嚥下時や舌に力を入れた時、左顎下腺前方に直径 約 20 mm 比較的境界明瞭で弾性軟の腫瘤の出現を認めた。同腫瘤は安静時には消失し、双 手診で腫瘤相当部の口腔側に舌下腺を触知した。左側舌下腺篏頓を疑い US、MRI 検査を施 行。舌に力を入れると顎舌骨筋の裂隙部に舌下腺の篏頓を確認し、患者に説明の上経過観 察となった。 顎下部の腫瘤では舌下腺篏頓も念頭に入れて鑑別する必要があり、その診断には US、MRI が有用であると考えた。

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19.頬部疼痛発現を契機に発見された Churg-Strauss 症候群の 1 例

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 口腔腫瘍治療学分野 ○河野俊広、柳本惣市、米澤久信、松谷康平、山田慎一、川﨑五郎、梅田正博 Churg-Strauss 症候群は,気管支喘息や副鼻腔炎などのアレルギー疾患が先行し,好酸球 増多を伴う壊死性血管炎や肉芽腫を特徴とするまれな全身性炎症性疾患である。今回,頬 部疼痛を契機として本症と診断されたきわめてまれな 1 例を経験したので報告する。 患者は 64 歳男性で,頬部の疼痛および不明熱を主訴に当科を紹介された。体温 37.8℃, WBC 11,800/μℓ,CRP 20.67mg/dℓであった。慢性副鼻腔炎で上顎洞根治術の既往があり, CT および MRI にて両側上顎に嚢胞を認め,術後性上顎嚢胞の 2 次感染と臨床診断した。抗 菌薬の投与を行ったが炎症所見の改善はみられず,末梢血の好酸球増多や IgE 上昇を認め た。その後,上下肢の多発性単神経炎,微小脳出血の症状が出現したことから,最終的に Churg-Strauss 症候群と診断した。プレドニゾロンおよび高用量免疫グロブリン療法により 症状は軽快している。

20.舌に発生した家族性筋線維腫の 1 例

長 崎 大 学 大 学 院 医 歯 薬 学 総 合 研 究 科 展 開 医 療 科 学 講 座 顎 ・ 口 腔 再 生 外 科 学 分 野 ○白石 剛士、田島 暢崇、大場 誠悟、南里 篤太郎、山下 裕美、朝比奈 泉 筋線維腫は主として乳幼児の皮膚、骨、肺、消化器などに単発性に発生し、紡錘形の筋 線維芽細胞の増殖を特徴とする腫瘍である。本邦で舌に発生した筋線維腫の報告は 2 例の みで、家族性の報告はない。今回我々は 33 歳男性の舌に発生した、家族性の筋線維腫を経 験したので報告する。【症例】患者:33 歳男性。主訴:舌にできものがある。現病歴:平成 23 年 1 月初旬に右側舌縁部の違和感を自覚する。近歯科を受診し、当科での精査を勧めら れ平成 23 年 1 月 17 日初診となる。既往歴:バセドウ病。家族歴:娘、従姉妹が筋線維腫 症。口腔内所見:右側舌縁部に直径 20×20 ミリで弾性硬の腫瘤を認めた。MRI では右側舌 に境界明瞭で、T1W1 で筋肉と同程度の信号を呈する腫瘤が認められた。【治療・経過】生検 にて筋線維腫の診断が得られたため、平成 23 年 2 月 21 日全身麻酔下に舌腫瘍切除術を施 行した。現在術後 8 カ月経過するが、腫瘍の再発は認めていない。

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21.潰瘍性大腸炎に継発した難治性口内炎の1例

鹿児島大学医学部歯学部附属病院 口腔顎顔面センター 口腔外科 ○吉元苑巴、上川善昭、川島清美、向井 洋、杉原一正 潰 瘍 性 大 腸 炎 は 特 発 性 の 大 腸 の び ま ん 性 非 特 異 性 炎 症 で 3 0 歳 以 下 の 成 人 に 多 い 、 ま れ な 難 治 性 疾 患 で あ る 。 今 回 、 わ れ わ れ は 、 潰 瘍 性 大 腸 炎 に 継 発 し た 難 治 性 口 内 炎 の 1 例 を 経 験 し た の で 、 そ の 概 要 を 報 告 す る 。 症 例 は 32 歳、女性。主訴は摂食困難。現病歴は 201x 年 4 月より口内炎が生じ 6 月にな り摂食困難となり内科主治医より当科を紹介されて受診した。既往歴は潰瘍性大腸炎にて 2 年前に大腸を全切除されていた。現症は全身所見では下痢と摂食障害が認められた。口腔 外所見では開口障害(1 横指)が認められ、口腔内所見では口腔粘膜の苔癬様変化が認められ た。臨床検査所見では血清亜鉛値が 53μg/dl 、血清アルブミン値が 3.0g/dl と低値を示 した。臨床診断:亜鉛欠乏、低蛋白血症に伴う難治性口内炎。処置と経過は、食事指導と ポプラレンジンクの投与にて血清亜鉛値が 78μg/dl と上昇するにつれ口腔症状と摂食機能 は改善し血清アルブミン値も上昇し口内炎は消退した。

22.咀嚼筋腱・腱膜過形成症による開口障害を認めた 1 例

国立病院機構九州医療センター歯科口腔外科1 国立病院機構福岡東医療センター歯科口腔外科2 渡辺歯科口腔外科3 ○林慶和1、吉田将律、福元俊輔、堀尾千佳、永井清志、長野祥子、福永大二郎 木村祥一朗1、堤王宏、渡辺哲章、吉川博政1 近年、開口障害を呈する比較的新しい概念の疾患として、咬筋や側頭筋などの腱・腱膜 に起因すると考えられる咀嚼筋腱・腱膜過形成症が報告されている。今回我々は咀嚼筋腱・ 腱膜過形成症により強い開口障害を呈した症例に対して、観血的処置により開口量の増加 を得た 1 例を経験したので報告する。 患者は 60 歳男性、25 年以上前より緩徐に開口障害が進行。2008 年 4 月、某歯科医院を 受診したところ、硬性開口障害(20 ㎜)及び、開口時に咬筋の張り出しが認められ、咀嚼筋 腱・腱膜過形成症の疑いにて、2008 年 12 月当科紹介初診。当科の検査においても同診断で あり、2011 年 8 月当科入院。全身麻酔科に咬筋腱膜切除術及び筋突起切除術を施行した。 手術施行前の開口域は 18 ㎜であったが、咬筋腱膜切除直後に 50mm まで得られた。術後 5 日目より開口訓練を開始し、退院までの 2 週間継続して開口訓練を施行したところ、退院 時の開口域は 44mm であり、術前に比べ 24mm の増大が得られた。

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23.上顎埋伏智歯と過剰埋伏歯が癒合し、両臼旁歯の併存を認めた1例

産業医科大学病院 歯科口腔外科 ○ 梶栗 枝里子、於保 耕太郎、中村 昭一、大矢 亮一 過剰歯は上顎前歯部、上顎大臼歯部に発現することが多いとされている。また、癒合歯 の発生部位は前歯部、特に下顎に多いとされており、永久歯における発生頻度は 0.3%と極 めて低く、智歯と癒合していることは稀である。今回、右上顎大臼歯部に発現した埋伏智 歯と過剰埋伏歯が癒合し、両臼旁歯の併存を認めた1例を経験したので報告する。 20 歳代、女性。右下顎智歯の周囲歯肉の腫脹、疼痛を主訴に当科受診となる。パノラマ X線写真より、両下顎埋伏智歯、上顎洞に近接した両上顎埋伏智歯と両上顎臼旁歯を認め、 さらに右上顎埋伏智歯に癒合するような歯牙様不透過物を認めた。局所麻酔下に疼痛の原 因歯となった右下顎埋伏智歯の抜歯、及び左下顎埋伏智歯の抜歯を行った。その後全身麻 酔下に右上顎埋伏智歯と過剰埋伏歯との癒合歯、左上顎埋伏智歯及び両上顎臼旁歯の計4 本の抜歯を行った。 抜歯後に上顎洞との交通は認めず、術後 8 か月の現在経過良好である。

24.下顎骨骨髄炎を併発した濃化異骨症の治療経験

九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座口腔顎顔面外科学分野 ○大谷崇仁、碇竜也、大山順子、有岡将基、竹之下康治、森悦秀 濃化異骨症は低身長, 劣成長, 指趾の短小, 頭蓋縫合の離開, 泉門の開存, 下顎角の平 坦化および全身の骨硬化などを特徴とする稀な常染色体劣性遺伝性疾患である. 我々は濃 化異骨症に下顎骨骨髄炎を併発した患者の全身麻酔下での腐骨除去術および高気圧酸素療 法の併用を経験した. 患者は 33 歳の女性で体格は小さく, 摂食状態は不良であり, 中・下顔面の劣成長, 眼球 突出を認めた. 口腔内所見では右側下顎臼歯部歯肉頬移行部に排膿を伴う Fistel の形成と すべての残存歯に動揺を認めた. X線所見では右側下顎臼歯部に下顎下縁にまで及ぶ腐骨 の存在を認め, 頭蓋縫合の離開, 泉門の開存, 下顎角の平坦化および上顎洞の狭窄を認め た. 既往歴では幼少時より下腿の骨折を繰り返し, 29 歳時に両側下顎骨骨髄炎を発症した. 今回の症例は再発症例であり, 濃化異骨症に顎骨骨髄炎を合併した場合の治療法について 検討する機会を得たので文献的考察を加え報告する.

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25.咬筋内血管腫の手術経験

福岡大学 医学部 医学科 歯科口腔外科学講座 ○大森啓明、喜久田利弘、高橋宏昌、喜多涼介、青柳直子、大谷泰志、濱崎理恵、瀬戸美 夏 筋層内の血管腫は海綿状血管腫が多く、摘出後の再発があり、切除が好ましいと言われ ている。今回、咬筋内血管腫の筋層を含めた切除に際し、簡便なナーブスティムレーター を用いて顔面神経を探索保護し、顔面神経運動障害の早期回復を得た症例を経験したので 報告する。 症例:16歳女性。左咬筋部の腫脹を主訴に来院。頬部にび漫性腫脹を認め、咬筋内腫 瘍を疑った。各種造影画像検査を行ったところ、左咬筋浅部に大きな血管性病変を認めた。 臨床診断は左咬筋内海綿状血管腫とした。塞栓術の適応なく、筋層を含めた切除術と判断 した。耳前部S字状切開後、顔面神経の下顎縁枝、頬枝、頬筋枝をナーブスティムレータ ーにて神経探索保護し、咬筋浅部の起始停止部で腫瘍と筋層を一塊として切除した。頬部 陥凹には頬脂肪体を引き入れ整容的な術後顔貌となるように配慮した。術後2か月で上下 唇の運動障害は回復した。現在、術後1年4か月経過しているが、再発はない。

26.当科における下顎埋伏智歯抜歯 2 回法の臨床的検討

大分大学医学部附属病院歯科口腔外科 ○田代 舞、田嶋理江、高橋喜浩、神崎夕貴、河野辰行、手島理絵、阿部史佳、池田麻美、 河野憲司 オトガイ神経麻痺は下顎埋伏智歯抜歯の術後合併症のひとつである.2005年4月~ 2007年12月に当科で1回法による抜歯を行った下顎智歯473例中8例(1.7%)に 術後オトガイ神経麻痺が生じていた.これらの症例はいずれも歯根が下顎管と接する症例 であった.そこでオトガイ神経麻痺のリスクがある症例について2回法による抜歯を行い, その成績を検討した.【対象・方法】2010年1月~2011年3月に2回法智歯抜歯を 行った13例(男性7例,女性6例,21~56歳,平均年齢33.9歳)を対象とした. 智歯根尖と下顎管の位置関係は松木の分類(日口外誌 51,2005)で、Ⅲ型3例,Ⅳ型5例, Ⅴ型5例であった。抜歯後1週間後にSWテストでオトガイ神経領域の知覚検査を行った. 【結果】1 例にオトガイ神経知覚鈍麻を認めたが,1 ヶ月後に消失した.この症例は松木の 分類Ⅴ型であった.【結語】下顎智歯抜歯2回法はオトガイ神経麻痺を防ぐ有用な方法と考 えられた.

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27.下顎智歯抜歯と下唇知覚鈍麻の起因に関する検討

国立病院機構 九州医療センター歯科口腔外科1 国立病院機構 福岡東医療センター歯科口腔外科2 ○木村祥一郎1、永井清志、福元俊輔、吉田将律、堀尾千佳、長野祥子、福永大二郎、林慶和、吉川博政1 下顎智歯抜歯の偶発症の一つに術後の下唇知覚鈍麻がある。下唇知覚鈍麻の発症率は 0.35 ~2.2%と報告されているが、その起因については諸説様々であり明らかではない。近年、 術前における下唇知覚鈍麻のリスク評価は、パノラマ X 線写真に加え、CT を用いることが 有効とされている。当科では、パノラマ X 線写真により下顎智歯と下顎管との近接が確認 された場合には、CT 検査を行っている。今回我々は、術前に CT 検査を行なった症例におい て、CT 画像、術中所見と下唇知覚鈍麻の発症について検討したので報告する。対象は、2004 〜2010 年に、当科でCT検査後に下顎智歯抜歯を行なった症例 271 例(男性 116 例、女性 155 例、平均 33.1 歳)である。CT所見については、伊熊らの分類に従い三つの項目につ いて分類を行った。術中に明らかな下歯槽神経の露出を認めた症例は 22 例、下唇知覚鈍麻 を認めたのは 5 例であった。詳細について報告する。

2 8 . 音 声 視 覚 化 シ ス テ ム を 用 い た 母 音 の 構 音 パ タ ー ン 評 価 方 法 の 検 討

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科顎顔面機能再建学講座口腔顎顔面外科学 1熊本大学大 学院自然科学研究科2 ○新中須真奈1、平原成浩1、緒方祐子1、野添悦郎1、坂田聡2、上田裕市2、中村典史1 【目的】下顎前突を伴う顎変形症患者の母音の音声パターンを評価し、術前・術後の変化 を客観的にとらえる方法を検討した。 【対象と方法】当科で下顎枝矢状分割後退術を行った顎変形症患者(男性 4 名、女性 10 名) を対象に、術前・後の録音音声から抽出したホルマント周波数をもとに、母音区間を horizontal-vertical(以下 hv)構音マップとして可視化し、hv 構音マップは第 63 回、64 回本学会総会にて報告した母音の色彩表示から派生したもので、水平位を表す h 座標は舌 の前後位置、垂直位を表す v 座標は舌・顎の高低位置に対応し、母音構音時の口腔内の状 態を視覚的にとらえることができた。 【結果】2 名の患者で術後音声の聴覚的印象が大きく改善され、術後の/a/での v 次元にお ける分布が術前と比べて正常者の分布に近づいていた。 【結論】hv 構音マップ上で術前・後の構音状態の変化を可視化できることが示された。

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29.当院における摂食・嚥下障害患者の臨床的検討〜内視鏡下嚥下機能検査

と嚥下造影検査を通じて〜

社会医療法人財団白十字会 白十字病院 歯科口腔外科1 福岡大学医学部医学科 歯科口腔外科学講座2 ○嶋村知記1、北嶋哲郎1、喜久田利弘2 【目的】摂食・嚥下障害は誤嚥性肺炎や低栄養、脱水の発生等を招く予後不良因子の一つ で、内視鏡下嚥下機能検査(以下 VE)や嚥下造影検査(以下 VF)はその障害を評価するために 有用である。当院においても、言語療養士を中心とした摂食・嚥下機能療法の中で、今年 度から VE、VF 検査を開始した。今回,私たちはこれまで実施した検査を通じて、摂食・嚥 下障害患者の臨床的検討を行ったので報告する。【対象および方法】2011 年 4 月から 9 月ま での6か月間に検査を実施した患者 27 名、例数 36 件を対象とした。検討事項は年齢、全 身状態、原疾患、口腔内所見、摂食状況、転帰等について行った。【結果および考察】 患者は男性 20 名、女性7名で、平均年齢は 79.5 歳であった。原疾患は脳血管障害が 19 例 で最も多かった。嚥下訓練により経口摂取ができても誤嚥の危険性が高い症例が多く,安 全な食形態の選択には慎重な対応が必要であった。また咀嚼、送り込みといった準備期、 口腔期の問題が大きいことも示唆された。

30.下顎骨形成術における術前補水の有用性に関する検討

社会医療法人敬和会 大分岡病院マキシロフェイシャルユニット ○大田奈央、古川雅英、松本有史、平野公彦、小椋幹記、柳澤繁孝 【目的】全身麻酔の手術において、麻酔にともなう誤嚥のリスクを減弱させるために術前 日夕食後からの絶飲食は必須であるとされている.しかし最近,予後改善に術前補水が有 用であるとの報告があり、当院でも炭水化物含有飲料水による術前補水を行っている.今 回,その有用性について検討した。 【対象および方法】対象は 2010 年 7 月・8 月に術前補水なしで下顎骨形成術を受けた患者 6 名(非補水群)、2011 年 7 月・8 月に術前補水を行い下顎骨形成術を受けた患者 9 名(補 水群)とし、両群の術後経過を比較した。 【結果】術中所見(平均麻酔時間,平均手術時間,平均出血量,平均輸液量)に差はなか った。術後経過では、術後尿量において、術当日 17 時・23 時・術翌日 9 時いずれも補水群 の方が多かった。 【考察】術前補水により、術後早期から尿量の増加がみられることで、周術期の循環状態 が安定していることが推察された。

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31.口底部-顎下部の嚢胞様病変の画像診断

九州大学病院 口腔画像診断科1 九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 口腔画像情報科学分野2 九州大学病院 口腔顎顔面外科3 九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 口腔顎顔面外科学分野4 ○清水真弓1、岡村和俊2、筑井徹2、大部一成3、大山順子4、吉浦一紀2 【目的】口底部-顎下部の嚢胞様病変の画像所見を retrospective に分析し、各疾患の鑑別 法について考察する。 【対象および方法】口底部-顎下部に嚢胞様病変が疑われ、画像検査を行った 21 症例(ガ マ腫 15、リンパ管腫 2、脂肪腫 2、類皮嚢胞 1、神経鞘腫 1)を対象とした。病変の形態、 CT 値、MRI の信号強度、隔壁の有無、口底部と顎下部の交通の位置について分析を行った。 【結果】脂肪腫は CT 値や MRI の信号強度で鑑別が容易で、類皮嚢胞は拡散強調画像等、神 経鞘腫は造影検査等を加える必要があると考えられた。ガマ腫には隔壁を有するものもあ り、形態や信号強度に関しても、リンパ管腫との鑑別は困難であった。舌下-顎下型を呈す る病変では、種類に因らず顎舌骨筋中央部の間隙で交通しているものがほとんどであった。 【結論】ガマ腫とリンパ管腫との鑑別には、内容液穿刺等の補助的な手段が必要であると 考えられた。

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