回転立体効果における奥行き手がかり統合仮説 [ PDF
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(2) 頭部運動の訓練を行った.. 示された.これは SKE において輝度情報を主に処理してい る運動視差が優位に利用されているのは無く,輝度および. 【結果と考察】. 色コントラストによって定義された境界線の持つ絵画的な. 分散分析の結果,刺激運動方向の効果がみられなかった ( F( 2, 15 ) = 3.51, p >.05 ).. 奥行き手がかりなどの高次な情報が優位に利用されている ためと考えられる.. この結果から SKE において,頭部運動の情報からは奥行 き方向を確定することは出来ないことを示された.また一 旦,凸(凹)に知覚されると刺激の変化に寄らず,その印象が 続くという被験者の内観報告があった.これらの結果から SKE では頭部運動を使って奥行き方位を決定しているので はなく,刺激に含まれる絵画的な情報による物体印象など の高次な知覚の影響が優位に働いている可能性が考えられ る.. 実験2 【目的】 運動視差による奥行き情報処理過程では,色定義刺激(等 輝度刺激) を用いた場合,奥行き量が減衰するという報告. a.. 輝度コントラスト条件. がある (Cavanagh, et al 1995).本実験では SKE におけ る処理を運動視差処理過程と比較するため,等輝度で定 義された SKE 刺激による知覚奥行き量を測定した. 【方法】 被験者:正常な視力を持つ男女 18 名 刺激と装置:刺激は図1と同様の同心円からなる.刺激条件 は同心円のコントラストを輝度で定義した輝度コントラス ト条件と,主観的等輝度色で定義した色コントラスト条件 の 2 条件であった.用いた主観的等輝度色は全被験者に対 し,あらかじめ行ったフリッカー交照法による予備実験で 測定したものである.また観察距離を 3 条件( 57,114, 200 cm )と同心円の離心度を 4 条件( 0.18,0.88,1.75,. b.. 色コントラスト条件. 2.63 cm )で変化させた.実験は準暗室で行った. 手続き:被験者の課題は提示された刺激の知覚的な奥行き. 図 3 実験 2 の結果. と等しく見えるように,長さを再生することであった. 【結果と考察】. また離心度の主効果および,観察距離の主効果は. 結果を図 3 に示す.分散分析を行った結果,コントラス. Nakamizo et al(1995)の結果を確認するものであった.彼. ト条件に主効果は見られなかった(F( 1,143 ) = 0.427 p >. らは 2mまで観察距離に応じて知覚奥行き量が増大すると. 0.05 ).観察距離に主効果が見られ( F( 2,143 ) = 37.8 p. いう結果を得ている.本実験では1mで増大の頭打ちが起. < .001 ),下位検定の結果,57 cm と 114 cm ( p < .001),. こっているが,これは暗室で実験を行ったことによる不正. 57 cm と 200 cm ( p < .001)の間に有意差が見られた.また. 確な距離知覚が原因となっていると考えられる.. 偏心度に主効果が見られ(F( 2,143 ) = 63.8 p < .001 ),下 位検定の結果,全ての条件間に有意差( p < .001 )が見られた. この結果から SKE において奥行き情報を量的に再現す る機構では色情報を輝度情報と同等に利用していることが.
(3) 実験3 【目的】 先行知見の多くは SKE では要素間の運動視差が有効に 利用されているとしている(Nakamizo,1995).本実験では. さらに,この結果から SKE では人間は観察距離と同心円 の離心度を主な情報として奥行き情報を構成しているとい えるが,離心度の情報は SKE において速度勾配の情報とし て利用しているわけではないと考えられる.. 刺激の直径を変化させることによって速度勾配を変え,そ. 実験4. の影響を検討した. 【目的】 【方法】. これまでなされてきた研究の多くは,図 1 に示される輝. 被験者:正常な視力を持つ男女 18 名. 度コントラストで定義された縞状の刺激と,境界線のみに. 刺激と装置:刺激の形状は実験2の輝度コントラスト刺激. よって定義された刺激が別々に検討してきた. と等しい.独立変数として刺激の直径 3 条件(8.5,12.5,. (Nakamizo,1995 等).しかし,両刺激を量的に比較した研. 14.5 cm) ,同心円の偏心度 3 条件(0.18,0.88,2.63 cm). 究はまだ無い.本実験では白黒のコントラストで同心円を. を用いた.観察距離は1m であった.刺激は最大円の中心. 定義した刺激と (輝度コントラスト条件)とその境界線の. を基点に 22.5 rpm で回転させた.. みによる刺激を (境界線条件) 用いて知覚奥行きを量的に. 手続き:被験者の課題は提示された刺激の知覚的な奥行き. 比較した.. と等しく見えるように,長さを再生することであった. 【方法】 【結果と考察】. 被験者:正常な視力を持つ男女 24 名.. 実験の結果を図 4.に示す. また解析において直径 10.5cm の. 刺激と装置:独立変数として刺激形態 2 条件(輝度コント. データは実験2の結果を用いた.分散分析の結果,刺激の. ラスト条件,境界線条件 ) ,観察距離 4 条件( 0.5,1.0,. 直径の主効果は見られなかった((F( 3,98 )=1.48 .1).また. 2.0,4.0 m )と同心円の偏心度 3 条件(0.18,0.88,2.63 cm). 偏心度に主効果が見られ(F( 2,98 = 63.8 p < 0.001 ),下. を用いた.観察距離は被験者間変数とし,その他の条件は. 位検定の結果,全ての条件間に有意差( p < 0.001 )が見られ. 被験者内変数とした.刺激は実験 2 と同様に最大円の中心. た.. を基点に 22.5 rpm で回転させた.刺激の直径は 10.5 cm で. 実験の結果から,SKE で知覚される奥行きは刺激の直径 の影響を受けないことが示された.これは刺激の直径の変. あった.実験は明室で行った. 手続き:被験者の課題は実験3と同じであった.. 化に伴い,同心円間の速度勾配が変化するにも関わらず, その影響が知覚奥行き量に反映されないことを示す.つま り,速度勾配の情報は奥行きのスケーリングに対して効果 を持たないことが示唆された.. 【結果と考察】 分散分析の結果,刺激の形態間には有意差は見られなか った(F( 1,120 ) = 0.29 p > .1 ).また実験2,3 と同様に観 察距離( F( 3,120 ) = 11.5 p < .001 )と離心度(F( 2,120 ) = 63.8 p < .001 )に主効果が見られた.結果を図5に示す.. 図 4 実験3の結果 誤差棒は標準誤差を示す.. a. 輝度コントラスト条件.
(4) 影響力の違いは未だ不明である.今後は運動情報と絵画的 奥行き手がかり等の高次な情報を分離した検討を課題とし て挙げる.それにより,複数の情報を統合処理する奥行き 情報復元過程のより詳細な解明が期待できる.. 引用文献 Cavanagh, P., Saida, S,. & Rivest, J. 1995 The Contribution of Color to Depth Perceived from Motion Parallax, Vision Research, 35, 1871-1878 Nakamizo, S., & Kondo, M. 1995 Depth perception of stereokinetic cone and absolute distance information, b.境界線条件. Japanese Psychological Research, 37, 139-145. Musatti. C. L,. 1924 Sui fenoment stereocinetici. Archivio. 図 5 実験4の結果 誤差棒は標準誤差を示す.. Italiano di Psicologia, 3, 105-120. Zanfolin, M. 1988 The height of a stereokinetic cone: A. 本実験の結果は SKE においては境界線の情報から知覚. quantitative determination of a 3-D effect from 2-D. 奥行きの量的な復元に必要な情報が得られることを示した.. moving patterns without a “rigidity assumption”.. Psychological Research, 50, 162-172. 総合考察. 筆注:Musatti(1924)はイタリア語で書かれているため原文. 実験1の結果から SKE では頭部運動による幾何的情報よ. の読解が困難であり,主な主張は Zanfolin(1998)の記述を. りも,印象などの高次な情報が優位に働くことが示唆され た.実験2の結果から SKE 刺激の処理では運動情報を主に 取り扱う大細胞系ではなく,色や形の処理に関係が深い小 細胞系を通る情報が優位に働いていることが考えられる. 実験3では,知覚される奥行き量は直径の変化による速度 勾配の影響を受けないことが示された.これは離心度の情 報が速度勾配としてではなく,絵画的奥行き手がかりとい う比較的高次な情報として取り扱われていることを示唆し ている.ここまでの結果と実験4の結果から,SKE での奥 行き情報は,刺激の境界線の形状が作り出す絵画的奥行き 手がかりが主に効いていることが考えられる.さらに刺激 の運動や観察距離の変化に対する速度情報の変化が補助的 に働くことにより,量的な奥行き補正が行われていると考 えられる. 以上から,回転立体錯視では絵画的奥行き手がかりから 経験的に奥行き量を推定し,観察距離や速度差など幾何的 情報を補助的に用いていることでその精度を上げていると いう仮説を提唱する.. 今後の課題 本研究では主に SKE 処理過程における幾何情報の非優 位性から議論を進めてきた.しかし,本研究で用いられて きた刺激では絵画的奥行き手がかりと刺激内要素の相対速 度情報が混在している.それゆえ,奥行き情報の統合過程 における,相対速度情報と絵画的奥行き手がかりの量的な. 引用した..
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