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(1)

1

土屋

文人

医療安全における薬剤師の役割

平成27年2月8日 第1回鹿児島県病薬医薬品安全管理者等研修会&ワークショップ 日本病院薬剤師会 副会長 国際医療福祉大学 薬学部特任教授 日本人間工学会認定人間工学専門家

改正薬剤師法と医薬品安全管理責任者の

果たすべき役割について考えよう

(2)

2

我が国における

(3)

医療安全に関する行政の取り組み

ヒューマン

エラー部会

医薬品医療機器等

対策部会

医療安全対策

検討WG

類似性検討WG 医療機器検討WG 人的要素による事故防止策を検討

医療安全対策

検討会議

医療安全推進総合対策 の策定(H14.4.17) 今後の医療安全対策の追 加(H17.6) 報告書 (H17.5.19) 医薬品包装や表示等を変更する ことで事故防止を図る 「内服薬処方せんの記載に関する検討会」

(4)

4

医療安全推進総合対策(H14.4.17)

第1章 今後の医療安全対策

1-3 医療安全を確保するための関係者の責務等

(1)国の責務

(2)地方自治体の責務

(3)関係者の責務と役割

(1) 医療機関

(2) 医薬品・医療用具関連の企業

(3) 教育研修・研究機関

(4) 医療関係団体等

(5) 保険者

(6) その他

(4)医療従事者個人の責務

(5)患者に期待される役割

http://www.mhlw.go.jp/topics/2001/0110/tp1030-1y.html

(5)

5

医療安全対策検討WG最終報告(H17.5.19)

Ⅰ.医療の質と安全性の向上

Ⅱ.医療事故等事例の原因究明・分析に

基づく再発防止対策の徹底

Ⅲ.患者、国民との情報共有と患者、国民の

主体的参加促進

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/3/kongo/02.html 医療安全対策検討会議ではこの報告書に加え「国及び都道府県 は、安全、安心で良質な医療の確保に必要な基盤整備と人材の 確保、それに必要な財源確保について配慮すること」等を付帯 意見として追加した

(6)

6 【当面取り組むべき課題】 ①医薬品の安全使用体制に係る責任者の明確化など責任体制の 整備を図る。 ②上記の安全管理のための指針に加え、医薬品の安全使用のため の業務手順書の整備を行い、特に安全管理が必要な医薬品の業 務手順を見直す。また、これらの実施に当たっては、医療機関 における取組に加え、医薬品メーカー等との連携を図る。 ③特に抗がん剤については、レジメンに基づく調剤及び無菌調製 の推進を含め重点的に対策を講じる。 ④注射薬を含むすべての薬剤について、薬剤部門から、患者ごと に薬剤を払い出すことを推進する。 ⑤有害事象の早期発見、重篤化防止のため、有害事象の情報収集 医療従事者及び患者、国民への情報提供及び医薬品管理の推進 を図る。 ⑥入院時に患者が持参してきた薬剤及び退院時に患者に処方され た薬剤に係る情報を共有するため、院内の関係者及び医療機関 と薬局との間で連携強化を図る。

今後の医療安全対策

(平成17年6月)

(7)

7

【将来像のイメージ】

(2)医薬品の安全確保

①医薬品が明確な責任体制のもとに使用され、医師、歯科医師、 看護師、薬剤師の間、及び、医療機関と薬局との間に十分な 連携が図られている。 ②夜間、休日における安全管理体制が確立している。 ③特に安全管理が必要な医薬品についての業務手順が確立し、 全ての医療機関において実施されている。 ④新薬をはじめ医薬品に係る副作用・事故等の有害事象の早期 発見、重篤化防止のための体制が確保されている。 ⑤医薬品メーカー等の積極的な対応により、安全管理上問題を 有する医薬品について改善が図られ、新たに開発されるものに ついても安全管理上、十分に配慮されたものが供給されると共 に、医療機関においてもこのような安全面に配慮された医薬品 が積極的に採用されている。 今や【当面取り組むべき課題】

今後の医療安全対策

(8)

医療法施行規則(H19.4.1)

第一条の十一 2 病院等の管理者は、前項各号に掲げる体制の確保に当たって は、次に掲げる措置を講じなければならない。 二 医薬品に係る安全管理のための体制の確保に係る措置として 次に掲げるもの イ 医薬品の使用に係る安全な管理(以下この条において 「安全使用」という。)のための責任者の配置 ロ 従業者に対する医薬品の安全使用のための研修の実施 ハ 医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成及び 当該手順書に基づく業務の実施 ニ 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集その他の 医薬品の安全使用を目的とした改善のための方策の実施

(9)

9

病院等の管理者は、新省令第1条の11第2項第2

号イに規定する医薬品の安全使用のための責任者(

以下「医薬品安全管理責任者」という。)を配置す

ること。ただし、

病院においては管理者との兼務は

不可

とすること。

(1)医薬品の安全使用のための責任者

医薬品安全管理責任者は、

医薬品に関する十分な知

識を有する常勤職員

であり、医師、歯科医師、薬剤

師、助産師(助産所の場合に限る。)、看護師又は

歯科衛生士(主として歯科医業を行う診療所に限る

。)のいずれかの資格を有していること。

医薬品安全管理責任者の責務

(局長通知)

(10)

10

(1)医薬品の安全使用のための責任者

医薬品安全管理責任者は、病院等の管理者の指示の

下に、次に掲げる業務を行うものとすること。なお

、病院及び患者を入院させるための施設を有する診

療所においては、安全管理委員会との連携の下、実

施体制を確保すること。

① 医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成 ② 従業者に対する医薬品の安全使用のための研修の実施 ③ 医薬品の業務手順書に基づく業務の実施 ④ 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集その他の 医薬品の安全確保を目的とした改善のための方策の実施

医薬品安全管理責任者の責務

(局長通知)

(11)

11 新省令第1条の11第2項第2号ロに規定する、従業者に対 する医薬品の安全使用のための研修の内容については、具体 的には次に掲げる事項が考えられる。また、研修の実施につ いては必要に応じて行うこととし、他の医療安全に係る研修 と併せて実施しても差し支えないこととすること。

(2) 従業者に対する医薬品の安全使用の

ための研修の実施

①医薬品の有効性・安全性に関する情報、使用方法に関する 事項 ②医薬品の安全使用のための業務に関する手順書に関する事 項 ③医薬品による副作用等が発生した場合の対応(施設内での 報告、行政機関への報告等)に関する事項

医薬品安全管理責任者の責務

(局長通知)

(12)

12 新省令第1条の11第2項第2号ハに規定する医薬品の安全 使用のための業務に関する手順書(以下「医薬品業務手順書 」という。)については、医薬品の取扱いに係る業務の手順 を文書化したものであること。

(3)医薬品の安全使用のための業務に

関する手順書

病院及び患者を入院させるための施設を有する診療所におけ る医薬品業務手順書の作成又は変更は、安全管理委員会にお いて協議した上で行うこと。 医薬品業務手順書には、病院等の規模や特徴に応じて、次に 掲げる事項を含むものであること。

医薬品安全管理責任者の責務

(局長通知)

(13)

13

(3)医薬品の安全使用のための業務に関する手順書

医薬品業務手順書には、病院等の規模や特徴に応じて、次に掲 げる事項を含むものであること。 ①病院等で用いる医薬品の採用・購入に関する事項 ②医薬品の管理に関する事項(例=医薬品の保管場所、薬事法(昭和35年法律 第145号)などの法令で適切な管理が求められている医薬品(麻薬・向精 神薬、覚せい剤原料、毒薬・劇薬、特定生物由来製品等)の管理方法) ③患者に対する医薬品の投薬指示から調剤に関する事項(例=患者情報(薬剤 の服用歴、入院時に持参してきた薬剤等)の収集、処方せんの記載方法、調 剤方法、処方せんや調剤薬の鑑査方法) ④患者に対する与薬や服薬指導に関する事項 ⑤医薬品の安全使用に係る情報の取扱い(収集、提供等)に関する事項 ⑥他施設(病院等、薬局等)との連携に関する事項 医薬品業務手順書は、作成後も必要に応じて見直しを行う必要があること。

医薬品安全管理責任者の責務

(局長通知)

○放射性医薬品に関して ○院内製剤について ○運転に支障を及ぼす薬剤への対応 ○薬剤師の指導義務への対応(ロードマップ)

(14)

14

新省令第1条の11第2項第2号ハに規定す

る当該手順書に基づく業務の実施については

医薬品安全管理責任者に対して、従業者の業

務が医薬品業務手順書に基づき行われている

か定期的に確認させ、確認内容を記録させる

こと。

(4)医薬品業務手順書に基づく業務

医薬品安全管理責任者の責務

(局長通知)

(15)

医療安全対策に関する行政評価・監視結果報告書(平成25 年8月総務省)より

医薬品の安全使用の促進

【調査結果】 今回、医薬品安全管理体制の確保に係る措置の実施状況について、143医療機関(病院69機関、 有床診療所56機関、無床診療所18機関)を調査した結果、次のような状況がみられた。 ア 医薬品に係る安全管理のための体制の確保の現状 イ 医薬品業務手順書に基づく業務の的確な実施 医薬品安全管理体制の確保に係る措置のうち、医薬品安全管理責任者による医薬品 業務手順書に基づく業務の実施の定期的な確認については、上記ア(エ)の122医療機関 のうち、51機関(病院10 機関、有床診療所36 機関、無床診療所5機関)が行ってい ない。また、定期的に確認を行っている71医療機関(病院58 機関、有床診療所10 機 関、無床診療所3機関)における確認の範囲をみると、32機関(病院24 機関、有床 診療所7機関、無床診療所1機関)は、患者に対する医薬品使用(与薬)の段階まで の確認は行っていない。 その理由として、これら32 機関では、 ⅰ)業務多忙であるため、与薬の段階まで確認できないこと、 ⅱ)与薬について医薬品業務手順書に規定していないことを挙げている。 これらの医薬品安全管理責任者による確認を実施していない51 医療機関及び患者に 対する与薬の段階までの確認を実施していない32 医療機関においては、平成21年4 月から24年11月までの間に、従業者が医薬品業務手順書に規定している手順、確認 等を怠った結果、与薬の段階での医療事故が31機関(病院21機関、有床診療所10機 関)で計70件(病院39件、有床診療所31件)発生している。

(16)

医療安全対策に関する行政評価・監視結果報告書(平成25 年8月総務省)より

医薬品の安全使用の促進

【所見】 したがって、厚生労働省は、医療機関における医薬品の安全使用を促進する 観点から、次の措置を講ずる必要がある。 ① 都道府県等を通じ、医療機関に対して、医薬品業務手順書に 基づく業務の実施状況に対する医薬品安全管理責任者による定 期的な確認について、患者への与薬の段階まで確実に行うこと を含めて、その徹底を要請すること。 ② 都道府県等に対して、医療機関への立入検査において、医薬 品安全管理責任者による定期的な確認の実施状況に関する検査 が徹底されるよう要請すること。 また、都道府県等に対して、立入検査の実施結果について報告 を要請すること。 今年の医療監視の対象 医薬品安全管理責任者を設置した原点である「今後の医療安全 対策(平成17年)」を再認識することが必要

(17)

17 新省令第1条の11第2項第2号ニに規定する医薬品の安全使用のために 必要となる情報の収集その他の医薬品の安全使用を目的とした改善のための 方策の実施については、医薬品安全管理責任者に対して、医薬品の添付文書 の情報のほか、医薬品製造販売業者、行政機関、学術誌等からの情報を広く 収集し、管理させるとともに、得られた情報のうち必要なものは当該情報に 係る医薬品を取り扱う従業者に迅速かつ確実に周知徹底を図らせること。 (5)医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集その他の 医薬品の安全使用を目的とした改善のための方策 また、情報の収集等に当たっては、薬事法において、 ①製造販売業者等が行う医薬品の適正な使用のために必要な情報の収集に対 して病院等が協力するよう努める必要があること等(薬事法第77条の3第 2項及び第3項)、 ②病院若しくは診療所の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師その他の医薬関 係者は、医薬品について、当該品目の副作用等の発生を知った場合において 保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは 厚生労働大臣に対して副作用等を報告することが義務付けられていること(薬 事法第77条の4の2第2項)に留意する必要があること。

医薬品安全管理責任者の責務

(局長通知)

(18)

18

日病薬医療安全対策委員会

からの通知(平成27年)

(19)

医薬品安全管理責任者が留意すべき点について

平成26 年に報道・報告された医薬品関連医療事故及び副作用救 済制度で適正使用と認められなかった事例、医薬品のリスク管 理計画についての日病薬からの通知、行政からの通知等、医薬 品安全管理責任者が留意すべき情報 【医療事故等】 〇筋弛緩薬の調剤エラー(医薬品に付与されたバーコード利用 で防止可) 〇カリウム製剤のワンショット 〇バンコマイシンの過剰投与 〇造影剤の投与ルート間違い 〇造影剤、抗菌薬におけるアナフィラキシーショック (日病薬 平成27年1月9日発出)

(20)

医薬品安全管理責任者が留意すべき点について

【医薬品のリスク管理計画関連】 〇病院薬剤師業務への医薬品リスク管理計画の利活用について http://www.jshp.or.jp/cont/14/1215-3.pdf 【副作用救済制度で適正使用と認められなかった事例】 昨年1月から11月までに公表された副作用救済給付の決定に 関する情報において「医薬品の使用方法が適正とは認められな い」として不支給となった事例(別表参照) <不支給の繰り返しが見受けられる事例> 〇用法・用量が守られていない(ラミクタール:頻度が高い) 〇検査の未実施(メルカゾール、ユリノーム) 〇血中濃度測定(リーマス) 副作用救済給付の決定に関する情報: http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/information2.html PMDA からの医薬品適正使用のお願い: http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/tekisei_pmda.html

(21)

ラミクタール錠の安全性速報への対応について

本日、安全性速報(ブル-レター)「ラミクタール錠小児用2mg,5mg、 ラミクタール錠25mg,100mgによる重篤な皮膚障害について」が発出されま した。本安全性速報は、2014年9月~12月までの約4ヶ月の間に、本剤と 因果関係が否定できない重篤な皮膚障害が発現し、死亡に至った症例が4 例報告されたことから、本剤の「使用上の注意」の「警告」を改訂し、用 法・用量の遵守、皮膚障害の早期発見、早期治療を求めた内容となってお ります。 本剤については、医薬品副作用救済制度においても、用法・用量が守ら れていないために不支給となる事例が続出していることが報告されていま す。 本剤を採用している医療機関はもとより、本剤が持参薬として持ち込ま れる可能性もあることを考慮すれば、全ての医療機関において注意を払う 必要があると考えます。 各医療機関に置かれましては、本剤の用法・用量に関する疑義照会の徹 底を図ると共に、以下に対応例を示しますので、各医療機関において具体 的な対応方法をご検討下さい。 (日病薬 平成27年2月5日発出)

(22)

ラミクタール錠の安全性速報への対応について

<本剤を採用している医療機関における対応例> ○本剤調剤時には、薬歴を参照し、投与量、投与間隔、併用薬に注意する ○処方オーダリングや電子カルテ等、本剤の使用状況が容易に把握できる 医療機関においては、院内処方、院外処方を問わず、本剤が投与されて いる患者及び処方医を把握し、該当患者のカルテにブルーレターが発出 されたことを記載する ○処方医に対して本剤を使用している患者リスト等も示して個別に注意喚 起を行う ○院外処方の場合であっても、本剤使用患者に対して情報モニタリングを 行う ○患者等に対して発疹やブルーレターに示された症状が発現した場合には 直ちに受診を行うよう、薬学的指導を行う <本剤を採用していない医療機関における対応例> ○本剤が持参薬として持ち込まれることが考えられることから、持参薬の 使用に際しては十分留意すること ○本剤が持参薬として持ち込まれた場合には、安全性速報に示された内容 について、スタッフ間で十分に情報共有できるよう留意すること (日病薬 平成27年2月5日発出)

(23)

23

「物の安全」と「使用の安全」

(24)

24

医薬品の安全性を考える

有害事象など

医薬品そのものの安全性(

物の安全

最近臨床の場で使用されるようになってきた分子標的薬をはじ め、新しい作用を持った医薬品は、未知の重篤な副作用発現の 危険があるので、市販後の調査を含めて厳重なチェックが不可 欠である。また、今後は海外で承認された医薬品がそのまま使 用されることが考えられる(副作用の発現増大の危険性がある ことを認識すべき)

使用に際する安全性(ヒューマンエラー;

使用の安全

医療従事者の資質

医薬品を取り巻く環境的要因

医薬品の名前、容器・包装、法・制度等

薬害防止に何が必要か?

(使う側の立場に立って 作る側を規制) 医療法の観点

(25)

○○病院は20日、2014年10月3日に女性入院患者(88)を死亡させる 医療事故を起こしたと明らかにした。点滴投与すべきカリウム製剤を男 性看護師(28)が誤って静脈注射で投与し、直後に女性が死亡した。 女性は腸炎などのため、2014年8月25日から入院。利尿剤の副作用で 血中カリウム値が低くなったため、10月3日、主治医がカリウム製剤投 与を指示した。指示文書には点滴投与を意味する「ボトル内に混注」と あったが、看護師は静脈注射で投与した。点滴器具には側管があり、側 管から薬剤を注入すると点滴液で薄まらず原液のまま静脈注射になる構 造だった。看護師は「次の作業が頭の中にあり、つい静脈注射をしてし まった」と話している。 病院は同日、○○署に事故を連絡するとともに、副院長を委員長とす る事故調査委員会を設置。事故調の報告に基づき、11月6日から (1)病棟で管理していたカリウム製剤を薬剤部で一括管理 (2)静脈注射できない構造のカリウム製剤に変更 (3)指示文書に静脈注射禁止を意味する「禁ワンショット薬」と表示 (4)看護部での研修実施――の再発防止策を実施した。 看護師は自宅謹慎中。警察の捜査などを待ち処分する。

看護師、薬剤投与を誤る、女性死亡

毎日新聞 2014年11月21日

(26)

<高濃度カリウム製剤ワンショット防止対策>

高濃度カリウム製剤を希釈せずにそのままワンショット

してしまい患者が死亡する事故が複数発生した

K.C.L点滴液15% アスパラギン酸カリウム液 アスパラカリウム注

(27)

○○総合医療センターは31日、抗菌薬と間違えて、入院中の 60代の男性がん患者に筋弛緩薬を投与し、この男性が死亡した と発表した。死因は誤投与による呼吸停止だった。○○署は業 務上過失致死容疑も視野に捜査している。 発表によると、29日午前10時ごろ、医師から発熱を抑える抗 菌薬「マキシピーム」を投与するよう書面で指示された女性薬 剤師(25)が誤って、法律で毒物に指定される筋弛緩薬「マス キュレート」を病棟に配送した。書面には薬品名と数量が書か れていた。二つの薬品は、びんのふたの色が似ていた。 受け取った27歳と43歳の女性看護師も、医師の指示書と照ら し合わせるなど十分に薬品の確認作業をしないまま、午前11時 ごろ男性に点滴した。薬剤師が午後1時ごろに取り違いに気付 いたが、午後2時50分ごろ、男性の死亡が確認された。男性は センターに約2週間入院していた。 女性薬剤師は、センターの調査に「思い込みで取り違えた」 と説明している。 毎日新聞 2014年12月31日

筋弛緩剤:抗菌薬と間違え投与、60代男性死亡

(28)

マキシピームとマスキュレート

注射用マキシピーム 1g マスキュレート静注用10mg セフェム系抗生物質製剤 非脱分極性麻酔用筋弛緩剤 毒薬 毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議 会の意見を聴いて指定する医薬品(以下「毒薬」という) は、その直接の容器又は直接の被包に、黒地に白枠、白字 をもつて、その品名及び「毒」の文字が記載されていなけ ればならない。(薬事法第44条) 業務上毒薬又は劇薬を取り扱う者は、これを他の物と区別 して、貯蔵し、又は陳列しなければならない。 2 前項の場合において、毒薬を貯蔵し、又は陳列する場 所には、かぎを施さなければならない。

(29)

他院にて関節リウマチ、高血圧の加療をされていた。高血圧に対して降圧 剤であるノルバスクを内服されていた。入院時に当院で処方する際に、医 師は「ノルバ」を入力したところ、ノルバデックスが表示された。医師は 「ノルバデックス」の表示を「ノルバスク」と間違えてオーダした。 転院の際に紹介状にそのまま誤って記載されたため、転院先でも誤ってノ ルバデックスが内服された。保存的療法後(約1ヶ月)、さらに他施設へ 転院した。家族より「母は乳がんなのか施設の医師から聞かれた」と当該 医療機関に問い合わせがあり、処方を確認したところ間違えてノルバデッ クスを処方していたことに気付いた。 <患者持参薬が院内不採用であることに気づかず、薬剤の頭3文字検索で表 示された他の薬剤を処方した事例> <事例の背景・要因について> 1)患者 ・当該患者は女性で、夜間、緊急入院した。リウマチと高血圧の既往があり、ノルバ スクを含めた数種類の薬剤を内服していた。 ・患者は、ノルバデックスをいつものリウマチに関するホルモン剤と認識していた。 (医療事故情報収集等事業第30回報告書より)

持参薬に関する事故事例

(30)

①処方した医師 ・処方した医師は整形外科医であり、ノルバスクは高血圧の薬だと認識していたが、 ノルバデックスについての知識はなかった。 ・当該医療機関のシステムでは、処方の画面から「医薬品情報」を表示することが 出来るが、医師は確認しなかった。 ・医師は、表示された「ノルバデックス」文字は抗がん剤であることを示す青色に なっていたが、青色の意味を知らなかった。 ②看護師 ・患者にノルバデックスが処方されていることを疑問に思った看護師がいた。 しかし、『今日の治療薬2010』でノルバデックスが「抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬」 のページに掲載されているのを見て、リウマチに対する「免疫抑制剤」「ホルモン 剤」と判断した。 ・当該病棟の、看護師25名のうち、回覧されたニュースレターなどの情報により ノルバデックスの正しい知識を得ているものは4名であった。 ③薬剤師 ・入院患者の60%は持参薬の鑑別を行っているが、事例が発生した当時は、夜間や 休日の緊急入院患者の持参薬の鑑別は行っていなかった。 ・薬剤管理指導業務を行っている入院患者の割合は全体の80%であり、残り20%の 患者は会話が出来ないなど意思疎通の図れない患者などである。 ・薬剤師は、調剤時に処方歴による鑑査は行っているが、疾患名の確認は行って いなかった。 2)職種

(31)

・ノルバスクとノルバデックスの取り違いについて、当該医療機関は認識 していたが、ノルバスクを院内処方に採用していないため薬剤マスター の見直し等は行わなかった。 ・当該医療機関は、平成20年に他院で起こったサクシン、サクシゾンの処 方間違いの医療事故を鑑み、院内採用の筋弛緩薬の種類や3文字検索で 名称が類似する薬剤の周知などを行ってきた。 ・当該医療機関では、全職員に配布している「医療安全ポケットマニュア ル」にオーダ時に注意する薬剤として、「ノルバスク(Ca拮抗剤)⇔ ノルバデックス(抗悪性腫瘍薬)」と記載している。 ・当該医療機関では、職員に医療安全教育を毎年行っているが、薬剤の類 似名については、必須研修の項目にはなっていない。 平成21年に間違えやすい医薬品について研修を行ったが、3年前であり、 聞いたことがある職員とそうでない職員がいた。 3)組織

(32)

<事例の内容> 関節リウマチに対して、少量ステロイドとメトトレキサート(MTX)間欠投与にてコントロールし ていたが、7ヶ月前よりメトレート錠を週6mgから7mg(日曜:2mg×2錠分2、月曜: 2mg×1.5錠分1)に増量した。しかし、患者はMTXを飲まないと動けないと思い、自分の 判断で過去の飲み残し分を約5ヶ月間毎日服用していた(おそらく2mg、処方量の約2倍)。 5ヵ月後以降は食事もとれない状態となり、さらに、出血傾向を認めたため緊急入院。MTXの慢 性中毒による骨髄抑制による血小板減少+貧血(+出血)を来したものと考えられ、同時に感染 症の合併とそれに伴うDICの合併も疑われた。骨髄抑制に対して輸血、血小板輸血を行い、MTXの 拮抗薬のロイコボリンを投与するなど治療を実施するが、その後、死亡となる <背景・要因> 患者は長年にわたりMTXを服用していたし、投与量が変わる都度、医師はきちんと説明していたた め服用方法については理解していたと考えられる。しかし、診察時にその都度服薬方法の説明と 残の確認を行っているが、きちんと申告されていなかった可能性がある。十分にコミュニケー ションの時間はとれていたと考えていたが、情報収集が不十分であった。 カルテをさかのぼると9年前からメトレート錠が処方されており、空の包装を持参させて確認す ることはしていないため、少しずつ年余にわたって残が発生していた可能性がある。 院外処方であり、お薬手帳は持っていたので調剤薬局からは適切に指導されていたと考えられ、 調剤薬局から主治医に疑義照会はなかった。 経過中、1年前に一度、皮膚科に入院しており、その際に院内の薬剤師が持参薬の確認している が、すべての残薬の確認は出来ていなかった可能性がある。 入院後に患者に確認したところ、患者が自分の判断で医師の指示とは異なった方法で服用したこ とが判明した。また、他の人から服用についてのアドバイスがあったと聞いたが、詳細は不明で ある。 約2ヶ月前には、医師には伝えていないが歯肉出血を自覚していたことも判明している。検査に おいて、血小板数がやや低値を示していたため、その時点でもう少し注意をしていたら過剰服用 に気が付いた可能性もあったかもしれない。

(33)

改正薬事法、改正薬剤師法の施行と

医療安全における薬剤師の役割

(34)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性

の確保等に関する法律

第1条の2(国の責務) 国は、この法律の目的を達成するため、医薬品等の品質、有 効性及び安全性の確保、これらの使用による保健衛生上の危害 の発生及び拡大の防止その他の必要な施策を策定し、及び実施 しなければならない。 平成26年11月25日施行 第1条の3(都道府県等の責務) 都道府県、地域保健法 (昭和22年法律第101号)第5条第1項 の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)及 び特別区は、前条の施策に関し、国との適切な役割分担を踏ま えて、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施しなけ ればならない。

(35)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性

の確保等に関する法律

第1条の4(医薬品等関連事業者等の責務) 医薬品等の製造販売、製造(小分けを含む。以下同じ。)、 販売、貸与若しくは修理を業として行う者、第4条第1項の許可 を受けた者(以下「薬局開設者」という。)又は病院、診療所 若しくは飼育動物診療施設(獣医療法 (平成4年法律第46号) 第2条第2項 に規定する診療施設をいい、往診のみによって獣医 師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下同じ 。)の開設者は、その相互間の情報交換を行うことその他の必 要な措置を講ずることにより、医薬品等の品質、有効性及び安 全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生 及び拡大の防止に努めなければならない。 平成26年11月25日施行

(36)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性

の確保等に関する法律

第1条の5(医薬関係者の責務) 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、医 薬品等の有効性及び安全性その他これらの適正な使用に関する 知識と理解を深めるとともに、これらの使用の対象者(動物へ の使用にあっては、その所有者又は管理者。第68条の4、第68条 の7第3項及び第4項、第68条の21並びに第68条の22第3項及び第4 項において同じ。)及びこれらを購入し、又は譲り受けようと する者に対し、これらの適正な使用に関する事項に関する正確 かつ適切な情報の提供に努めなければならない。 平成26年11月25日施行 第1条の6(国民の役割) 国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効 性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければな らない。

(37)

改正薬剤師法(第25条の2)

(薬剤師による情報提供及び指導)

薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売

又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にそ

の看護に当たっているものに対し、

必要な情報を提

供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わな

ければならない。

(情報の提供)

薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、

患者又は現にその看護に当たっている者に対し、調

剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供

しなければならない。

平成26年6月12日施行

(38)

薬剤師法第25条の2(情報提供及び指導義務) 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授 与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっ ているものに対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的 知見に基づく指導を行わなければならない。 医師法第23条(保健指導の義務) 医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、 療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなけれ ばならない。

今回の法改正の趣旨は

「個々の患者に対して、実施され

る薬物療法に対して薬剤師が責任を持って薬学的指導を

行うこと」

であり

専門職として、医師同様の責任

を薬剤師も持つことが求められている

と解すべき

医療職における法的指導義務

(39)

情報提供義務 (改正薬剤師法第25条の2)

服薬指導における医師・薬剤師の役割分担

保健指導を行う義務 (医師法第23条) 薬剤投与の目的 具体的効果 副作用がもたらす危険性 基本情報 有効性情報 安全性情報 インフォームド・コンセント 努力規定(医療法 第1条の4) チーム医療としての 情報提供 (医療法 第1条の2) 医師 歯科医師 薬剤師 看護師 等

患 者

<提供する情報> 薬学的知見に 基づく指導

医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の 医薬関係者は、医薬品等の有効性及び安全 性その他これらの適正な使用に関する知識 と理解を深めるとともに、これらの使用の 対象者及びこれらを購入し、又は譲り受け ようとする者に対し、これらの適正な使用 に関する事項に関する正確かつ適切な情報 の提供に努めなければならない。 医薬品・医療機器等法 第1条の5(医薬関係者の責務)

薬剤師

情報提供・指導義務

(40)

「必要な薬学的知見に基づく指導

の進め方」について

(41)

改正条文は「調剤したときは患者又は現にその看護に当たっ ているものに対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知 見に基づく指導を行わなければならない。」となっている。平 成9年に薬剤師法第25条の2が定められて以来、臨床の場に おいては、情報提供を行う際には必要に応じて薬学的知見に基 づいて指導を行ってきたところである。本条文は「調剤がなさ れた場合には調剤した薬剤の適正使用のために従来の情報提供 義務に加え、薬学的知見に基づいて必要な指導を行うことを義 務化した」ものと解せられる。今回の法改正は、今一度患者目 線に立ち、患者のニーズをより一層把握し、複雑化している薬 物療法に対して、薬学的知見に基づいた指導を実施することを 求めていると考えられる。

I「必要な薬学的知見に基づく指導」の基本的な考え方

(42)

病棟における薬剤師の配置状況、薬剤の内容、患者の疾患等を 考慮して実施する。以下に例を示す。 ①過去の投薬・注射及び副作用発現状況等を患者又はその家族 等から聴取し、当該医療機関及び可能な限り他の医療機関に おける投薬及び注射に関する基礎的事項を把握して、入院中 に実施される薬物療法に対する必要な薬学的指導(仮称)。 ②特に安全管理が必要な医薬品等が使用されている場合におけ る確実な薬学的指導(仮称)。 ③入院中に使用した薬剤で副作用が発現した場合における、薬 剤名、投与量、当該副作用の概要、投与継続の有無を含む講 じた措置、転帰等についての情報提供及び薬学的指導(仮 称)。 ④当該病棟に入院している患者に対し薬剤の変更や用量の変更 等が行われた場合における薬学的指導(仮称)。 これらの指導記録については診療録に添付することが望ましい

入院中の患者への対応

(43)

退院時に患者に持参させる薬剤に関する病院薬剤師の薬学 的指導(仮称)は、今回の法改正の根幹をなすものである。 基本的な考え方に記したように、入院患者への薬学的指導( 仮称)は確実に実施すべきものであることから、それぞれの 施設にあった形で、退院患者に対する薬学的指導(仮称)の 実施を確実に展開する方策を検討すべきである。 患者の退院に際して、患者又はその家族等に、退院後の薬剤 の安全管理、服用等に関して情報提供及び薬学的指導(仮称 )を行い、その記録を診療録に添付することが重要と考える 。

退院する患者への対応

(44)

院内調剤を行った外来患者への薬学的指導(仮称)は、外来 のお薬渡し窓口等で薬剤師が交付する際に行うことになるが、 薬剤の内容(ハイリスク薬投与患者か否か等)、 処方の連続性(Do処方か否か等)、 患者の疾患等を 考慮して実施する。 また情報提供書には情報提供及び薬学的指導(仮称)を行った 薬剤師の氏名を記載し、指導内容記録を残すことが望ましい。 さらに、患者等が帰宅後の相談に応じるためにも、薬剤部のお 薬渡し窓口等に相談先(電話番号等)の掲示や薬袋等に連絡先 を印刷する等、受動的指導の対応策を検討することが強く望ま れる。

(45)

<院内で調剤される外来処方箋への対応の例>

①ハイリスク薬投与患者に対する薬学的指導の確実な実施 ②ハイリスク薬を再分類し、その分類に従った薬学的指導の 実施対応の決定 ③処方の継続性(Do処方か否か)を考慮した薬学的指導の 実施 ④乳児・幼児等に対しては、親等に対する薬学的指導の実施

(46)

<院内調剤の外来患者への簡易的指導記録の例(私案)> 1.チェックボックス方式(備考欄等)で記録を残す 2.処方箋の薬剤師印の記録に関連する様式を変更する 処方監査 調 剤 調剤鑑査 情報提供・指導 (調剤済み) 平成26.7.10 薬 剤 師 土屋文人 土 屋 処方提案 □指導実施 □指導せず □Do処方 □その他( ) □ハイリスク薬 □抗がん薬 □糖尿病用薬 □抗凝固薬 □ジギタリス製剤 □その他( ) □その他( ) □乳児・幼児 □服用上の留意点(□服用日 □服用時期 □用法 その他( )) □保管上の留意点(□保管場所 □小児誤飲防止対策 その他( )) 指導内容については別途定めておく(ある程度定型化)

(47)

処方提案 薬剤師 処方への フィードバック 最適な処方 調剤 正確な使用 効果と副作用の 評価 的確な診断 服薬支援

薬物療法における医師との協働

医師 医師 医師 医師 薬剤師 薬剤師 副作用モニタリング 薬剤師 医薬品適正使用サイクル 処方設計から服薬後まで積極的に関与 薬物療法における薬剤師の果たす役割 投与プロトコールを共働で作成 処方設計 薬剤師

(48)

【第13改訂調剤指針】

調剤の概念とは、薬剤師が専門性を活 かして、診断に基づいて指示された薬 物療法を患者に対して個別最適化を行 い実施することをいう。 また患者に薬剤を交付した後も、その 後の経過の観察や結果の確認を行い、 薬物療法の評価と問題を把握し、医師 や患者にその内容を伝達することまで を含む。

調剤の概念

調剤は対人業務である

対物業務:特に記録がなくても結果の正しさは「物」が証明 対人業務:内容の正しさを証明するためには「記録」が必要

薬剤師は

「行った内容をきちんと記録を残す」

スキルを身につけることが必須

となる

(49)

改正薬剤師法が薬剤師に求めるものは何か

第25条の2(薬剤師による情報提供及び指導) 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的 で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっているものに対し、 必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなけ ればならない。 薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを 交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点 を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。 疑義照会(処方せん内容の決定) 調剤後の情報提供及び薬学的指導 第23条(処方せんによる調剤) 薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販 売又は授与の目的で調剤してはならない。 2薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付 した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変 更して調剤してはならない。 処方せんに従った調剤 第24条(疑義照会)

(50)
(51)

医薬分業とは、

薬の処方と調剤を分離し、

それぞれを医師、薬剤師という専門家が分

担して行うこと

を意味しています。

ヨーロッパでは800年近い歴史があり、神聖ローマ帝国のフリー ドリヒⅡ世が毒殺を怖れて、主治医の処方した薬を別の者に チェックさせたのが始まりと伝えられています。 1240年には5ヵ条の法律(薬剤師大憲章)を定め、医師が薬局を もつことを禁じました。これが医薬分業と薬剤師制度のルーツ とされています。

医薬分業について

(日本薬剤師会HPより)

院内調剤であっても「医薬分業」が

機能しているかが重要

(52)

医薬分業の趣旨を考えれば

薬剤師法第24条(疑義照会)を

確実に実施できているか否か

薬剤師が調剤において、法が想定している機能(国民

の期待)を果たしているか否かは何で判定できるか?

①処方に対して疑義を感じる能力

②疑義照会をきちんとできる能力

そのためには

③病院薬剤師と薬局薬剤師が患者に関して

得られる医療情報格差の是正

が必要

(53)

情報リテラシー(情報活用能力)

①疑義を感じる能力を育てるためには

物の安全

使用の安全

薬害防止

物質情報(品質保証に関する情報を含む) 製剤情報 市販後の情報 副作用救済制度不支給事由 等 類似名称に関する情報 外観類似に関する情報 医療事故報告制度に関する情報 薬局ヒヤリ・ハット関連情報 PMDA医療安全情報 等 過去に起きた薬害に関する情報 薬害発生防止のための方策 等

(54)

②疑義照会をきちんとできる能力

コミュニケーション能力

疑義照会の意味を正しく理解する

【事例】処方違いではないかと薬剤師により疑義照会がされた が、処方内容変更されなかった事例 医師は、高血圧で緊急室に受診した患者に、降圧剤のノルバスク5mgを1日分処方するところ、 乳癌治療剤であるノルバデックス10mgを処方し、患者が2回内服した。薬剤師はなぜ男性患者 に乳癌治療薬を処方するのかと疑問に思い、「ノルバデックスは乳癌の薬ですがいいですか」 と処方医に電話で疑義照会をした。処方医は緊急対応で忙しく、「乳癌の薬」が「ディオバン の薬」と聞き違え「それでいいです」と答えた。薬剤師は「乳癌の薬を処方」との確認が取れ たため、1日分の払い出しを行った。翌日近医に受診し、薬を飲んだが血圧が下がらないこと を伝えたため、間違ってノルバデックスを内服していたことがわかった。患者は血圧が下がら ず、ふらつきなどが出現した 一般名処方の多くが医師は販売名で選択し、印字が一般名表記になっている状況に鑑みると、 一般名処方についての疑義照会では「処方箋に記載された薬品名」をただ言うのではなく、 「○○の一般名である××が記載されていますが」という表現をしないと話が通じない可能性 が高い

(55)

③病院薬剤師と薬局薬剤師が患者に関して

得られる医療情報格差の是正

病院薬剤師と薬局薬剤師との間で

情報を共有化することが極めて重要

当面は「薬剤適正使用のための施設

間情報連絡書」を使用して病院薬剤

師・薬局薬剤師が情報を共有(お薬

手帳は対患者)

将来は「地域医療ネットワーク」の

利活用で医療機関のカルテ情報等を

直接閲覧

(56)

56

薬物療法におけるチーム医療の姿

56

病院

患者

<医療機関の場合> その他 医療スタッフ 管理 栄養士 薬剤師

医師

歯科 医師 看護師

安全で安心かつ良質で適正な薬物療法の確保

<在宅医療(地域医療)の場合>

医師

医療機関 歯科 医師 歯科 医療機関 薬剤師 薬局

患者

患家 看護師 訪問看護 ステーショ ン ケア マネジャー その他 医療/介護 スタッフ

地域

(57)

これからのわが国の医療・介護

第23回社会保障審議会資料より

(58)

58

医薬品関連事故防止策はこの

十数年間に出されたもので

ほぼ出尽くしている

出された対策を一つ一つ原点に

戻って振り返り、各医療機関に

おいて確実に実施できるような

体制の確立が重要

(59)

安全で安心かつ良質・適正な

薬物療法を確保すること

チーム医療における

薬剤師の役割

(60)

薬学・薬剤学の発展により切れ味の鋭い医

薬品や薬剤学的工夫がなされた医薬品が

多く使用されることになったため、「薬の

専門職」たる薬剤師の必要性が相対的に高

まっている

薬剤師の役割は、「安全で安心かつ良質・

適正な薬物療法の確保」にある

患者目線に立って、

専門職として、できる

ことから一つずつ確実に実行していくこと

が重要である

参照

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