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密教文化 Vol. 1998 No. 199-200 003武田 和昭「大阪・金剛寺蔵北斗曼荼羅について P36-68」

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(1)

密 教 文 化

一、

北 斗 法 の 本 尊 と さ れ る 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て は、 方 形 式 の 大 阪 ・ 久 米 田 寺 本、 円 形 式 の 奈 良 ・ 法 隆 寺 本 な ど 平 安 時 代 (1) 末 期 に 遡 る 古 例 を 代 表 に、 平 安 ・ 鎌 倉 時 代 の 遺 品 が 十 数 例 ほ ど 確 認 さ れ て い る。 こ れ は 諸 尊 法 の 本 尊 と さ れ る、 別 尊 曼 茶 羅 の な か で は 数 多 い と い え よ う。 そ れ は と り も な お さ ず、 天 変 ・ 疫 病 な ど の 除 災 を 祈 願 す る 北 斗 法 が 盛 ん で あ っ た こ と を も の 語 っ て い る と も 換 言 で き よ う。 ( 2) (3) さ て、 こ こ に 紹 介 す る 大 阪 ・ 金 剛 寺 所 蔵 の 北 斗 曼 茶 羅 ( 以 下、 本 図 と い う ) は、 す で に 何 度 か 展 覧 会 に 出 陳 さ れ て お り、 未 指 定 で は あ る が、 比 較 的 よ く 知 ら れ た 北 斗 曼 茶 羅 の ひ と つ で あ る。 全 体 的 な 構 図 は 大 阪 ・ 久 米 田 寺 本 と 同 様 の 方 形 式 を 示 し て い る が、 た だ 興 味 深 い こ と に 中 尊 が 通 例 は 釈 迦 金 輪 で あ る が、 本 図 で は 大 日 金 輪 と し て お り、 極 め て 特 異 で あ る。 中 尊 を 大 日 金 輪 と す る 例 は 筆 者 が 知 る 限 り、 金 剛 寺 本 が 唯 三 で あ ろ う。 本 論 で は、 こ の 特 異 点 を 北 斗 法 の 道 場 観 を 根 拠 に し て 明 ら か に す る と と も に、 二 十 八 宿 の 図 像 や 本 図 の

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制 作 年 代 と 歴 史 的 背 景 を 探 る こ と に す る。 二、 図 像 の 概 要 と 制 作 年 代 (4) 本 図 (図 1 ) は 絹 本 著 色、 縦 一 〇 一 ・ 五 セ ン チ、 横 六 七 ・ 三 セ ン チ の 二 副 三 鋪 で あ る。 ま ず 本 図 の 全 体 的 な 図 様 に つ い て み て み よ う。 図 の 中 央 に 智 拳 印 を 結 ぶ 大 日 如 来 が 金 色 の 円 相 内 に 蓮 台 上 で 結 珈 跣 坐 し て い る。 そ の 下 部 に は 須 弥 山 が 描 か れ、 そ れ に 二 龍 王 が ま と わ り つ く。 さ ら に こ の 下 部 に 北 斗 七 星 が 置 か れ、 周 囲 に 九 曜 星 が 規 則 正 し く 配 列 し て い る。 第 二 院 に は 十 二 宮、 第 三 院 に は 二 十 八 宿 が 整 然 と 並 べ ら れ て い る。 こ れ を 図 示 す る と 図 2 の と お り で あ る。 (5) こ の よ う な 図 様 は、 寛 助 が 白 河 院 の 時 に 北 斗 法 を 修 し た 際 に 使 用 さ れ た 北 斗 曼 茶 羅 の 系 統 に 属 す る も の で、 現 存 す る 方 形 式 の 北 斗 曼 茶 羅 の 典 型 的 な 図 様 と い え よ う が、 た だ 中 尊 は 先 述 の と お り 大 日 金 輪 で あ る こ と が 異 な る。 つ ぎ に グ ル ー プ ご と に 検 討 し よ う。 ( 中 尊 ) 本 図 の も っ と も 特 異 な こ と は 大 日 金 輪 (図 3 ) と す る こ と だ が、 こ の 理 由 に つ い て は 後 述 す る。 さ て 蓮 台 の 下 部 に (6) 須 弥 山 が 表 さ れ 二 龍 王 が ま と わ り つ く が、 こ の よ う な 図 様 は 敦 煙 の 壁 画 に も み ら れ、 中 国 に お け る 須 弥 山 を 表 現 す る 一 例 を 示 す も の で あ ろ う。 な お、 こ の 種 の 須 弥 山 に つ い て は ﹃ 阿 娑 縛 抄 ﹄ 五 十 八 ( 熾 盛 光 本 ) (﹃ 大 正 図 ﹄ 九 ・ 二 五 ) の 熾 盛 光 懸 曼 茶 羅 に は ⋮⋮⋮今 奉 礼 之。 奉 懸。 其 像 中 台 釈 迦 如 来持金輪居 須 弥 頂。 熾 盛 光 焔 中 在 多 輪 四 角 有 四 天 前 大 海。 有 九 頭 龍 王。 両 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

(3)

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図2 本 図の諸 星配列図 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 図3 大 日金輪(本 図 ・赤外 線 写 真)

(6)

-40-方 在 之。 難 陀 践 難 陀。 左 右 有 日 月。 此 像 規 模 也。 可 懸 之。 (7) と あ り 須 弥 山 と 二 龍 王 (難 陀 ・ 祓 難 陀 ) の 存 在 を 記 す。 ま た、 熾 盛 光 法 の 道 場 観 の な か に も 須 弥 山 の こ と が 説 か れ て い る。 ( 北 斗 七 星 ) 北 斗 七 星 の 像 容 に つ い て は、 次 の も の が 知 ら れ る。 (1) 薬 叉 形 ( ﹃ 妙 見 菩 薩 神 呪 経 ﹄ ) (2) 執 笏 の 女 人 形 ( ﹃ 仏 説 北 斗 七 星 延 命 経 ﹄ ) (3) 執 笏 戴 冠 の 王 侯 形 本 図 は(3)で 通 形 の 北 斗 曼 茶 羅 の 殆 ど に 用 い ら れ て い る。 そ の 配 列 が 久 米 田 寺 本 や 京 都 ・ 東 寺 本 な ど は、 実 際 の 天 空 上 の 配 列 を 意 識 し た も の の よ う に 感 じ ら れ る が、 本 図 は か な り 変 則 的 で あ る。 な お 興 味 深 い の は 武 曲 星 の 傍 ら に 輔 星 (8) を 描 き 込 ん で い る こ と で あ ろ う。 こ れ は ﹃ 覚 禅 砂 ﹄ に み ら れ る よ う に、 こ の 輔 星 を 妙 見 菩 薩 と す る 説 も あ り、 重 要 な 星 で あ る が、 も ち ろ ん こ こ で は 妙 見 菩 薩 と し て の 積 極 的 な 意 味 は 持 た な い。 輔 星 が 描 か れ る 北 斗 曼 茶 羅 に は 久 米 田 寺 本、 東 寺 本、 大 阪 ・ 宝 積 院 本 な ど が あ り、 法 隆 寺 本、 三 重 ・ 西 蓮 寺 本、 御 物 本 な ど に は み ら れ な い。 (九 曜 星 ) 九 曜 星 は 日 ・ 月 ・ 火 ・ 水 ・ 木 ・ 金 ・ 土 の 七 曜 星 と 羅 喉 星 ・ 計 都 星 を 合 わ せ た も の で あ る。 こ れ は 太 陽 ・ 月 ・ 五 惑 星 と 日 ( 月 ) 食、 彗 星 が 神 格 化 さ れ て い る。 こ れ ら 九 曜 星 の 配 列 に つ い て は 陰 陽 五 行 説 が 関 係 す る。 す な わ ち、 東 方 -木 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 南 方-火 中 央 -土 西 方-金 北 方-水 北 斗 曼 茶 羅 は 図 の 上 部 を 北 方 と す る こ と か ら、 五 星 も こ れ に し た が っ て 配 列 さ れ、 残 り の 四 星 の う ち 上 辺 左 右 に 日 ・ 月 曜 星。 下 辺 左 右 に 羅 喉 ・ 計 都 星 が 配 さ れ る が、 方 形 式 の 北 斗 曼 茶 羅 の 多 く は、 こ の 配 列 順 位 を 踏 襲 す る。 像 容 に つ い て は、 つ ぎ の も の が 知 ら れ る。 (1) 現 図 胎 蔵 曼 茶 羅 系。 (2) ﹃ 梵 天 火 羅 図 ﹄ ・ ﹃ 七 曜 穰 災 決 ﹄ ・ ﹃ 七 曜 新 術 ﹄ 系。 (3) そ の 他 ( ﹃ 九 曜 秘 暦 ﹄ ・ ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ な ど ) な ど が み ら れ る が、 本 図 は 久 米 田 寺 本 と 同 じ く(2) に 従 っ て い る。 一 々 に つ い て は す で に 詳 し く 記 し た こ と が あ る の で、 (9) そ れ を 参 照 し て い た だ き た い。 ( 十 二 宮 ) 十 二 宮 は 天 の 黄 道、 つ ま り 太 陽 の 通 る 軌 道 を 十 二 に 区 分 し た も の で 西 洋 の 占 星 術 に 起 因 し、 こ れ が 密 教 に 取 り 入 れ ら れ た も の で あ る。 配 列 は 方 形 式 で は、 水 瓶 宮 を 北 に 配 し、 画 面 向 か っ て 左 回 り と す る の が 一 般 的 で あ る が、 円 形 式 の 法 隆 寺 本 で は 獅 子 宮 を 北 に 置 き、 右 回 り と し て お り 相 違 す る な ど、 そ の 形 態 は 多 様 で あ る。 十 二 宮 の 配 列 に つ い て は 熾 盛 光 曼 茶 羅 の 典 拠 経 典 の ﹃ 大 聖 妙 吉 祥 菩 薩 説 除 災 教 令 法 輪 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 三 九 ・ 三 四 三 )

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に ﹁ 當 仏 背 後 安 虚 宿 ﹂ と あ り、 図 の 上 部 に 虚 宿 が 置 か れ る こ と と も 関 係 す る の で あ ろ う。 そ し て 十 二 宮 と 二 十 八 宿 の 相 関 関 係 か ら、 十 二 宮 の う ち 虚 宿 に 当 る の が 水 瓶 宮 と な る。 し た が っ て、 水 瓶 宮 が 北 ( 図 の 上 部 ) と な る。 な お 北 宋 ・ 開 宝 五 年 (九 七 二 ) の 奈 良 ・ 上 之 坊 蔵 版 本 の 熾 盛 (10) 光 仏 降 臨 図 ( 図 4 ) で は 獅 子 宮 お よ び 星 宿 を 熾 盛 光 仏 の 背 後 に 置 い て お り、 円 形 式 の 法 隆 寺 本 と 同 様 と し て お り 興 味 深 い。 つ ぎ に そ の 像 容 を み る と、 西 洋 占 星 術 の 直 接 的 な 影 響 が 見 ら れ る こ と は 明 白 で あ る。 つ ま り 羊 ・ 牛 ・ カ ニ ・ 獅 子 ・ サ ソ リ ・ 魚 宮 の 動 物 類、 秤 ・ 水 瓶 宮 の 器 物 類 に つ い て は、 そ の 形 態 の と お り に 表 現 し て お り、 い ず れ の 北 斗 曼 茶 羅 に お い て も 表 現 に 大 差 が な い。 た だ 男 女 ・ 弓 宮 ・ 女 宮 ・ 摩 端 宮 で は わ ず か な 相 違 が 見 ら れ る が、 本 図 は 久 米 田 寺 本 を 踏 襲 す る 典 型 的 な 像 容 で 構 成 さ れ て い る。 ( 二 十 八 宿 ) 二 十 八 宿 は 天 空 に お け る 月 の 軌 道、 い わ ゆ る 白 道 を 二 十 八 図4 熾 盛 光 仏 降 臨 図(奈 良 ・上 の 坊 蔵) 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 に 区 分 し た も の で あ る。 こ れ は 月 が 一 日 に 移 動 す る 範 囲 を 概 ね 示 す も の と い え よ う。 そ の 四 方 配 列 に は つ ぎ の よ う に 二 つ の タ イ プ が み ら れ る。 A タ イ プ ( イ ン ド ) 東 -昴 ・ 畢 ・ 紫 ・ 参 ・ 井 ・ 鬼 ・ 柳 南-星 ・ 張 ・ 翼 ・ 珍 ・ 角 ・ 元 ・ 域 西 -房 ・ 心 ・ 尾 ・ 箕 ・ 斗 ・ 牛 ・ 女 北-虚 ・ 危 ・ 室 ・ 壁 ・ 奎 ・ 婁 ・ 胃 B タ イ プ ( 中 国 ) 東 -角 ・ 充 ・ 琢 ・ 房 ・ 心 ・ 尾 ・ 箕 北-斗 ・ 牛 ・ 女 ・ 虚 ・ 危 ・ 室 ・ 壁 西 -奎 -婁 ・ 胃 ・ 昴 ・ 畢 ・ 砦 ・ 参、 南-井 ・ 鬼 ・ 柳 ・ 星 ・ 張 ・ 翼 ・ 珍 で あ る が、 寛 助 様 を 踏 襲 す る 久 米 田 寺 本 な ど 通 形 の 方 形 北 斗 曼 茶 羅 は B タ イ プ で あ る。 方 形 式 の 曼 茶 羅 の 場 合、 画 面 向 か っ て 右 辺 が 東 方 と な る こ と か ら、 そ の 下 隅 が 角 宿 と な る。 つ ぎ に 二 十 八 宿 の 像 容 を み る と、(1)胎 蔵 界 曼 茶 羅 系、(2) ﹃ 護 摩 櫨 壇 様 ﹄、(3)二 十 八 宿 神 形 像 の 三 種 に 大 き く 分 け ら れ る が、 本 図 は 北 斗 曼 茶 羅 の 多 く に 用 い ら れ て い る ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ 系 で あ る。 像 容 に つ い て は 後 に 詳 述 す る の で、 こ こ で は 略 し た い。

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以 上 の よ う に 本 図 は 中 尊 の 特 異 性 を 除 け ば、 方 形 北 斗 曼 茶 羅 を 代 表 す る 久 米 田 寺 本 と 共 通 す る 構 図 ・ 図 様 と い え よ う。 つ ぎ に 画 法 な ど か ら 本 図 の 制 作 年 代 を 考 察 し た い が、 全 体 的 に 顔 料 の 剥 落 が か な り み ら れ、 明 確 に し が た い 部 分 が あ る こ と を 断 っ て お き た い。 ま ず 中 尊 は 張 り の あ る や や 丸 顔 に 表 し、 宝 冠 を 戴 き、 胸 前 で 智 拳 印 を 結 び、 右 足 を 上 に 結 跣 跣 坐 し て い る。 中 尊 の 肉 身 部 に は 朱 具 を 塗 り、 均 一 な 張 り の あ る 朱 線 で 肉 身 線 を 描 き 起 こ す。 頭 髪 部 ・ 眉 に は 群 青、 口 唇 に は 朱 が 塗 ら れ、 合 わ せ 線 に は 墨 線 が 引 か れ て い る。 条 吊 は 顔 料 が ほ と ん ど 剥 落 し て 確 認 で き な い。 裳 は 朱 ・ 群 青 で 塗 り 分 け、 膝 の 上 面 部 ( ふ く ら は ぎ ) に 朱 の 照 り 隈 の 手 法 が 窺 え る。 ま た 衣 摺 線 に 沿 っ て 細 密 な 切 金 が 施 さ れ て い る。 宝 冠 ・ 胸 飾 ・ 腎 釧 ・ 図5 北 斗七 星 及 び九 曜星 の 一部(本 図 ・赤外 線 写真) 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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腕 釧 に は 金 箔 が 置 か れ 墨 線 で 描 き 起 こ す。 蓮 台 の 上 面 は 緑 青 が 塗 ら れ、 蓮 弁 は 中 心 か ら 群 青、 緑 青、 朱 を 塗 り、 墨 線 で 描 き 起 こ す。 円 相 は 金 箔 が 置 か れ、 そ の 輪 郭 線 は 朱 線 が 引 か れ る。 暖 か み の あ る 肉 身 部 や 明 確 に 引 か れ る 朱 の 肉 身 線、 裳 に み ら れ る 照 り 隈 の 描 写 な ど 平 安 仏 画 の 特 徴 を 僅 か で は あ る が 窺 う こ と が で き る。 彩 色 も な か な か 丁 寧 で あ る。 そ れ に 反 し て、 他 の 諸 尊 (図 5 ) は か な り 簡 略 化 が み ら れ る。 例 え ば 北 斗 七 星 を み る と、 円 相 は 切 金 で 輪 郭 線 を 縁 取 り、 内 部 は 白 土 を 塗 る。 尊 像 の 肉 身 部 に は、 ほ と ん ど 彩 色 せ ず に 頬 や 額 の 部 分 に 照 り 隈 風 に 淡 く 朱 が 施 さ れ て い る。 肉 身 線 を 墨 線 で 描 き 起 こ し、 頭 髪 部 ・ 眉 な ど は 群 青 で 塗 り、 口 唇 は 朱 を う す く 塗 る。 宝 冠 や 胸 飾 な ど の 金 具 類 に は 金 箔 を 置 き、 輪 郭 線 は 墨 線 を 用 い、 条 吊 や 裳 は 淡 く 朱 が 塗 ら れ て い る。 衣 文 線 は 墨 線 で 速 筆 で 描 か れ、 線 描 に 強 弱 を つ け 淀 み な く 引 か れ る。 九 曜 星 ・ 十 二 宮 ・ 二 十 八 宿 (図 6 ) に つ い て も、 ほ ぼ 同 様 の 画 法 が 窺 え る が、 い ず れ も 頭 部 を 比 較 的 大 き く 表 現 し、 お お ら か な 雰 囲 気 を 感 じ る こ と が で き る。 こ の よ う に 中 尊 以 外 図7 七 宝 繁 又(本 図 ・赤 外 線 耳 具) 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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-47-密 教 文 化 は 本 格 的 な 彩 色 が 施 さ れ て い な い が、 諸 尊 の 面 相 部 の 表 現 は な か な か 的 確 で あ る。 さ て 本 図 の 制 作 年 代 で あ る が 中 尊 は 肉 身 線 を 張 り の あ る 勤 直 な 朱 線 で 描 き 起 こ し、 裳 の 部 分 に 見 ら れ る 照 り 隈 風 の 描 写、 衣 文 線 に 沿 っ て 引 か れ た 細 緻 な 切 金、 そ し て 諸 尊 の 柔 ら か で 自 由 な 筆 つ か い な ど 平 安 時 代 末 期 様 を 感 じ さ せ る も の が あ る。 ま た 内 院 や 二 院 の 空 間 部 を 埋 め る 切 金 文 様 は な か な か に 細 緻 で あ る。 特 に 二 院 に み ら れ る 四 ツ 目 菱 入 七 宝 繋 文 (図 7 ) は 丁 寧 か つ 緻 密 で 破 綻 が み ら れ な い。 た だ 全 体 的 に 法 隆 寺 本 や 久 米 田 寺 本 の よ う な 典 雅 さ に 欠 け、 さ ら に 中 尊 の 面 貌 に や や 理 知 的 な 雰 囲 気 が み ら れ る。 以 上 の こ と か ら 本 図 の 制 作 は 十 二 世 紀 も ご く 末 期 か ら 十 三 世 紀 初 期 こ ろ、 つ ま り 鎌 倉 時 代 の 初 期 と み て 大 過 な か ろ う。 三、 道 場 観 と 本 図 の 大 日 金 輪 北 斗 曼 茶 羅 の 中 尊 は 通 形 は 釈 迦 金 輪 で あ る が、 本 図 は 智 拳 印 を 結 ぶ 大 日 金 輪 を 安 じ て お り、 極 め て 特 異 で あ る。 さ て 密 教 修 法 を 修 す 場 合、 修 法 の 本 尊 な ど を 観 想 す る、 道 場 観 と い う も の が 重 要 で あ る。 そ こ で、 ま ず 各 種 の 北 斗 法 の 道 場 観 を 検 討 し て み よ う。 筆 者 の 手 元 に あ る 資 料 か ら 次 の も の が 確 認 さ れ た。 (1) 淳 祐 ( 八 九 〇-九 五 三 ) ﹃ 要 尊 道 場 観 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 ・ 五 五 ) (2) 寛 助 ( 三 〇 五 二-三 一 二 五 ) ﹃ 別 行 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹂ 七 八 ・ 一 七 九 ) (3) 恵 什 ・ 永 厳 ﹃ 図 像 抄 ﹂ ( ﹃ 大 正 図 ﹄ 三 ・ 五 二 )

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(4) 永 厳 ( 三 〇 七 五-一 一 五 一 ) ﹃ 要 尊 法 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹂ 七 八 ・ 二 〇 六 ) (5) 守 覚 ( 三 三 五 〇-一 二 〇 二 ) ﹃ 秘 砂 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 ・ 五 七 八 ) (6) 元 海 ( 三 〇 九 四-一 一 五 七 ) ﹃ 厚 造 紙 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 ・ 二 七 五 ) (7) 実 運 ( 三 三 〇 五-一 一 六 〇 ) ﹃ 諸 尊 要 抄 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹂ 七 八 ・ 三 三 四 ) (8) 実 運 ( 一 一 〇 五-一 一 六 〇 ) ﹃ 玄 秘 抄 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 ・ 四 一 〇 ) (9) 心 覚 ( 三 三 三 七-一 一 八 〇 ) ﹃ 別 尊 雑 記 ﹄ ( ﹃ 大 正 図 ﹄ 三 ・ 五 三 三 ) (10) 覚 成 記 ( 三 三 二 六-一 一 九 八 ) ﹃ 澤 砂 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 ・ 四 六 五 ) (11) 覚 禅 ( 三 一 四 三-一 二 一 三 ) ﹃ 覚 禅 紗 ﹄ ( ﹃ 大 正 図 ﹄ 五 ・ 四 〇 九 ) (12) 成 賢 ( 一 一 六 二-一 二 三 三 ) ﹃ 薄 双 紙 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 ・ 六 四 三 ) が 知 ら れ る。 順 次 検 討 し よ う。 (11) ま ず、 も っ と も 古 い の が 林 温 氏 が 明 示 し た 淳 祐 の ﹃要 尊 道 場 観 ﹄ で あ る。 北 斗 道 場 観 壇 上 有 殆 字 成 宝 宮 殿。 其 中 有 妙 壇 場。 其 上 有 七 荷 葉 座。 其 座 上 有 七 で 字 成 星。 星 変 成 北 斗 七 星 相 好 威 儀 円 満。 九 曜 二 十 八 宿 等 前 後 囲 続 云 々。 但 北 斗 呪 上 本 命 星 加 諦 増 云 々 と あ り、 北 斗 七 星 の 周 囲 を 九 曜 星 と 二 十 八 宿 が 囲 続 し て い る と 解 釈 さ れ よ う。 続 い て 根 本 印 虚 心 合 掌。 以 二 大 指 捻 二 無 名 指 甲。 次 諦 一 字 頂 輪 王 真 言 井 北 斗 七 星 真 言。 と あ っ て、 根 本 印 と 一 字 頂 輪 王 と 北 斗 七 星 の 真 言 が 記 さ れ て い る。 さ て、 こ の 根 本 印 以 下 の 部 分 は 大 興 善 寺 翻 経 院 潅 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 頂 阿 閣 梨 述 ﹃ 北 斗 七 星 護 摩 秘 要 儀 軌 ﹄ ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 二 一 ・ 四 二 四 ) に ま っ た く 同 文 が み ら れ る の は 注 意 を 要 す る 。 こ の 儀 軌 は 唐 代 の 北 斗 七 星 に 関 す る も の で 、 禄 命 書 が 引 か れ 庚 申 の こ と が 記 さ れ る な ど 、 極 め て 道 教 色 が 濃 い 雑 密 的 な も の で あ る 。 内 容 的 に は 北 斗 七 星 を 壇 上 に 招 き 供 養 す る も の で 、 三 字 頂 輪 王 は 真 言 を 諦 す だ け で 、 壇 上 に は 招 か な い 。 ま た 一 行 撰 ﹃ 北 斗 七 星 護 摩 法 ﹄ (﹃ 大 正 蔵 ﹂ 二 一 ・ 四 五 七 ) も 同 様 に 北 斗 七 星 が 壇 上 に 招 か れ 、 九 曜 星 と 二 十 八 宿 の 真 言 が 哺 さ れ る 。 (12) 淳 祐 は こ の ﹃ 北 斗 七 星 護 摩 秘 要 儀 軌 ﹂ や ﹃ 北 斗 七 星 護 摩 法 ﹂ な ど を 基 に し て 、 北 斗 道 場 観 を 作 っ た こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 た し か に そ の 壇 図 を み て も 、 修 法 を 行 う 阿 閣 梨 の 前 の 壇 上 に 洗 米 ・ 菓 子 ・ 銭 燈 な ど が 置 か れ 、 そ の 奥 に 北 斗 七 星 を 中 心 に 、 左 右 に 当 年 星 ( 本 人 の 当 り 年 で 九 曜 星 の ひ と つ ) と 二 十 八 宿 が 並 べ ら れ 、 北 斗 七 星 が 中 心 を な し 、 三 字 頂 輪 王 は 登 場 し な い 。 つ ま り 淳 祐 の 北 斗 道 場 観 に あ っ て は 中 心 と な る の は 北 斗 七 星 で 、 九 曜 星 と 二 十 八 宿 は 春 属 と な る 。 こ れ は 北 斗 七 星 信 仰 を 主 体 と し た も の で 、 北 斗 七 星 の 真 言 が 三 星 ご と に 哺 さ れ て 、 九 曜 ・ 二 十 八 宿 が 続 き 、 一 字 頂 輪 王 の 存 在 は 極 め て 希 薄 で あ る 。 こ の 時 期 ( 十 世 紀 前 半 ) に は 、 釈 迦 金 輪 ( 金 輪 仏 頂 ) を 中 尊 と す る 北 斗 曼 茶 羅 は 成 立 し て い な い 。 と こ ろ で 方 形 北 斗 曼 茶 羅 は 実 運 ﹃ 玄 秘 抄 ﹄ に よ れ ば 、 香 隆 寺 寛 空 が 天 暦 年 中 に 創 図 し た と 記 し 、 そ の 図 が 掲 載 さ れ て い る 。 こ の 図 は 林 氏 の 指 摘 の 如 く 、 一 見 す る と 淳 祐 の 北 斗 道 場 観 に 、 ボ ロ ン ( 金 輪 仏 頂 ) と 十 二 宮 を 加 え た も の と 考 え る こ と が で き よ う 。 し か し こ の 両 者 は 中 尊 が 相 違 す る 。 ま ず 淳 祐 北 斗 道 場 観 は 先 述 の よ う に 信 仰 の 主 体 が 北 斗 七 星 で あ る が 、 寛 空 の 北 斗 曼 茶 羅 は 金 輪 仏 頂 ( ボ ロ ン ) 信 仰 が 中 心 と な る 。

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図8 寛 空様北 斗曼茶羅 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 北 斗 曼 茶 羅 の 成 立 に つ い て 筆 者 は 純 密 ( 熾 盛 光 曼 茶 羅、 熾 盛 光 ・ 金 輪 仏 頂 信 仰 ) に 雑 密 ( 道 教 的、 北 斗 七 星 信 仰 ) が 混 清 し て 成 立 し た の が 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 と 考 え て い た。 そ の 図 像 の 成 立 に つ い て 熾 盛 光 曼 茶 羅 や 七 十 天 図 な ど か ら 展 開 し、 北 斗 七 星 信 仰 の 影 響 を 受 け て 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 が 成 立 し た と 推 論 し た。 つ ま り 仏 頂 尊 ・ 九 曜 ・ 十 二 宮 ・ 二 十 八 宿 が 網 羅 さ れ て い る 熾 盛 光 曼 茶 羅 と 北 斗 七 星 信 仰 が 融 合 し て 成 立 し た と 考 え て い た が、 意 外 に も こ の 北 斗 七 星 信 仰 の 具 体 例 が 林 氏 が 指 摘 し た 淳 祐 の 北 斗 道 場 観 で あ っ た の だ。 つ ま り こ の 道 場 観 で は 筆 者 が 成 立 の 要 素 と 考 え て い た 熾 盛 光 曼 茶 羅 に 関 係 な く 九 曜 星 や 二 十 八 宿 が み ら れ、 さ ら に 朧 げ な が ら も 一 字 頂 輪 王 ( 金 輪 仏 頂 ) の 存 在 が 確 認 さ れ る の は、 ま っ た く 予 想 外 で あ っ た。 林 氏 は 淳 祐 の 北 斗 道 場 観 に、 金 輪 仏 頂 と 十 二 宮 が 加 わ り 寛 空 様 北 斗 曼 茶 羅 (図 8 ) が 成 立 し た こ と を 明 ら か に さ れ た。 な お 仁 海 の ﹃ 小 野 六 帖 ﹄ 六 に は 元 辰 供 作 法、 属 星 供 な ど が 見 ら れ る が 個 々 の 道 場 観 に つ い て は 記 さ れ て お ら ず、 ま た 図 も 明 示 さ れ な い。 つ い で 寛 助 ﹃ 別 行 ﹄ 七 に 北 斗 道 場 観 壇 中 有 数 字。 変 成 七 宝 荘 厳 宮 殿。 其 中 有 轟 字。 変 成 宝 蓮 華 台。 台 上 有 爺 字。 転 作 金 輪 仏 頂。 其 後 辺 左 右 有 七 荷 葉 座。 座 上 各 有 で 字 即 成 北 斗 七 星。 前 有 荷 葉。 上 土 星。 次 日 月 火 水 木 金 羅 計 十 二 宮 神 二 十 八 宿。 井 諸 春 属 等。 重 重 囲 続 云 々。 と あ り、 ボ ロ ン 字 が 変 じ て 金 輪 仏 頂 と な り、 そ の 周 囲 に 北 斗 七 星、 九 曜 星、 十 二 宮、 二 十 八 宿 が 囲 続 す る こ と が 説 か

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れ る。 こ こ に 至 り、 久 米 田 寺 本 の よ う な 通 形 の 北 斗 曼 茶 羅 を 想 定 す る こ と が で き よ う。 さ て、 先 述 し た(5)守 覚 ﹃ 秘 鋤 ﹄、(6)元 海 ﹃ 厚 造 紙 ﹄、(7)実 運 ﹃ 諸 尊 要 抄 ﹄、(8)実 運 ﹃ 玄 秘 抄 ﹄ は 寛 助 ﹃ 別 行 ﹄ と ほ と ん ど 同 じ で あ る が、(7)﹃諸 尊 要 抄 ﹄ は 三 十 六 禽 が 加 わ る。 こ れ ら か ら み て、 平 安 時 代 後 期 か ら 鎌 倉 時 代 前 期 の 東 密 の 北 斗 法 の 主 流 が、 寛 助 ﹃ 別 行 ﹄ に 記 す 北 斗 法 に あ る こ と を 知 る。 つ ぎ に ﹃ 図 像 抄 ﹄ を み て み よ う。 北 斗 法 壇 上 有 大 白 蓮 華。 蓮 華 上 ・爺 字 変 成 金 輪。 金 輪 変 成 一 字 仏 頂 輪。 手 持 八 輻。 身 光 有 数 多 輪。 北 斗 七 星 九 曜 十 二 宮 二 十 八 宿 皆 悉 出 現 恭 園 続。 と あ る。 ま ず 白 蓮 華 を 観 じ、 つ い で 轟 字、 そ し て 八 輻 輪 を 持 つ 金 輪 が 説 か れ る。 北 斗 七 星、 九 曜、 十 二 宮、 二 十 八 宿 が 囲 続 す る こ と は ﹃ 別 行 ﹄ と 同 様 で あ る。 こ こ で 興 味 深 い の は ﹃ 別 行 ﹄ で は 宝 蓮 華 で あ っ た の が、 白 蓮 華 と な っ て い る こ と で あ ろ う。 つ ぎ に 永 厳 ﹃ 要 尊 法 ﹄ で は 道 場 観 如 金 剛 界 次 第 観 了。 大 日 如 来 心 月 輪 中 有 轟 字。 成 八 輻 金 輪。 大 日 如 来 挙 体 金 輪 也。 金 輪 変 成 金 輪 仏 頂。 其 後 辺 左 右 有 七 荷 葉 座。 座 上 各 有 で 字。 成 星 形。 星 形 変 成 北 斗 七 星。 前 有 荷 葉 座。 座 上 有 土 星。 次 日 月 火 水 木 金 羅 計 十 二 宮 二 十 八 宿 井 諸 春 属 等。 重 重 周 匝 園 緯。 金 剛 界 次 第 に 基 づ く と し、 ま ず 大 日 如 来 の 心 月 輪 の 中 に ボ ロ ン 字 を 観 じ、 大 日 如 来 が 金 輪 と 同 じ で あ る と し、 つ い で 金 輪 仏 頂 と な る と い う。 こ こ に い う 大 日 如 来 と は 金 剛 界 大 日 か 胎 蔵 界 大 日 の い ず れ で あ ろ う か。 像 容 的 に み て 金 剛 界 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 大 日 は 大 日 金 輪 に な り う る が、 胎 蔵 界 大 日 は 釈 迦 金 輪 に は な ら な い。 ま た 次 第 標 記 に ﹁ 息 災 三 時 修 之。 付 金 剛 界 可 行 ﹂ と あ る。 た し か に そ の 次 第 に は 大 日、 頂 輪 王、 北 斗、 掲 磨 会 三 十 六 尊、 四 印 会、 一 印 会 と あ り、 金 剛 界 曼 茶 羅 の 各 会 が 記 さ れ て い る こ と か ら、 こ こ に い う 大 日 如 来 と は 金 剛 界 大 日 如 来 と み ら れ る。 し た が っ て ﹃ 要 尊 法 ﹄ の 金 輪 と は、 通 例 の 釈 迦 金 輪 で は な く 大 日 金 輪 と い う こ と に な る。 最 後 に 成 賢 ﹃ 薄 双 紙 ﹄ を み よ う。 観 想。 壇 上 有 舜 字。 成 七 宝 荘 厳 宮 殿。 其 中 有 殊 妙 壇。 壇 上 有 " 字 成 宝 蓮 華 台。 台 上 叉 字 有 成 浄 月 輪。 上 有 ・爺 字 成 八 輻 金 輪。 金 輪 変 成 金 輪 仏 頂。 身 黄 金 色 住 法 界 定 印。 印 上 有 八 輻 金 輪。 三 十 二 相 八 十 随 好 具 足 荘 厳。 其 後 辺 左 右 有 七 荷 葉 座。 座 上 各 有 で 字 成 星 形。 星 形 変 成 北 斗 七 星。 金 輪 前 及 四 方 四 隅 有 九 荷 葉 座。 座 上 各 有 ・爽 字 成 星 形 変 成 九 曜。 第 二 院 十 二 荷 葉 座。 座 上 各 有 ・爽 字 成 星 形。 星 形 変 成 十 二 宮。 第 三 院 有 二 十 八 荷 葉。 座 上 各 有 爽 字 成 星 形。 変 成 二 十 八 宿。 如 是 無 量 星 宿 各 妙 衣 纒 身 形 貌 魏 魏。 無 量 春 属 前 後 囲 緯。 こ れ は 寛 助 ﹃ 別 行 ﹄ を 基 本 に す る が、 三 部 に 永 厳 ﹃ 要 尊 法 ﹄ の 表 現 を 借 り た と こ ろ が み ら れ る が、 も っ と も 詳 し く 丁 寧 に 観 想 さ れ る 道 場 観 と い え よ う。 さ て 本 図 の 中 尊 の 問 題 に 立 ち 返 ろ う。 先 述 し た よ う に 本 図 の 中 尊 が 釈 迦 金 輪 で は な く、 大 日 金 輪 で あ る と い う 北 斗 曼 茶 羅 と し て 特 異 な 尊 格 で あ る こ と は、 や は り 道 場 観 に も 現 れ る は ず で あ る。 こ こ で 注 目 さ れ る の が 先 述 し た 永 厳 の (13) 金 剛 界 大 日 如 来 を 観 じ、 そ れ が 大 日 金 輪 に 変 ず る と い う ﹃ 要 尊 法 ﹄ で あ る。 し た が っ て 本 図 の 図 像 的 な 典 拠 は、 こ こ に 見 出 せ た と い え よ う。 し か し、 な ぜ 永 厳 が 釈 迦 金 輪 か ら 大 日 金 輪 に 代 え た の か と い う 思 想 的 背 景 に つ い て は、 明 確 に さ れ な い。 こ こ で 釈 迦 金 輪 と 大 日 金 輪 に つ い て 検 討 し よ う。

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覚 禅 ﹃ 覚 禅 鋤 ﹄ 十 一 大 仏 頂 ) ( ﹃ 大 正 図 ﹄ 四 ・ 五 一 八 ) に 大 日 金 輪。 釈 迦 金 輪。 同 異 如 何。 大 日 金 輪。 七 獅 子 為 座。 有 宝 冠。 住 智 拳 印。 釈 迦 金 輪 螺 形。 須 弥 山 為 座。 定 印 上 持 輪 云 々 と あ る よ う に 元 来、 大 日 金 輪 は 七 獅 子 座 に、 釈 迦 金 輪 は 須 弥 山 に 坐 す と い う。 し か し 本 図 で は 須 弥 山 の 上 に 大 日 金 輪 が 坐 し て い る。 つ ぎ に 覚 成 記 ﹃ 澤 砂 ﹄ 八 ( ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 ・ 四 六 六 ) で は 問。 北 斗 曼 茶 羅 中 尊 所 図 者。 為 釈 迦 金 輪。 而 所 用 之 印 為 大 日 金 輪 如 何。 答。 天 等 主 所 彰 者。 釈 迦 金 輪 也。 傍 曼 茶 羅 錐 図 之。 内 謹 是 通 用 大 日 金 輪 印 明。 無 其 苦。 と あ り、 中 尊 が 釈 迦 金 輪 で あ る の に、 北 斗 法 の 中 に、 な ぜ 大 日 金 輪 の 印 を 用 い る の か と い う 問 い に、 釈 迦 金 輪 の 内 証 が 実 は 大 日 金 輪 で あ る と 答 え て い る。 つ ま り 釈 迦 金 輪 と 大 日 金 輪 が 同 体 で あ る と さ れ る。 こ の ﹃ 澤 砂 ﹂ は、 覚 成 が 師 の 保 寿 院 流 祖 の 永 厳 か ら 受 法 し た も の を 記 し、 さ ら に 守 覚 が 整 理 し た も の で、 言 わ ば 永 厳 の 口 説 と い え よ う。 (14) ま た 永 厳 ﹃ 要 尊 法 ﹄ に は、 先 記 の 北 斗 法 と は 別 の 次 簾 が 記 さ れ て い る。 そ れ に よ れ ば、 ボ ロ ン 字 か ら 金 輪 に 成 り、 さ ら に こ れ が 釈 迦 金 輪 に 成 る と し て お り、 他 の 次 第 が 単 に 金 輪 仏 頂 と す る だ け だ が 明 確 に 釈 迦 金 輪 と 明 示 し て い る。 そ こ に は 先 記 の 次 第 を 金 剛 界 と し、 こ れ を 胎 蔵 界 と し て 意 識 し た も の と 推 察 さ れ、 永 厳 自 身 は こ の 両 方 を 用 い て い た の で あ ろ う。 以 上 の こ と か ら、 元 来、 須 弥 山 上 に 坐 す べ き 釈 迦 金 輪 に 代 わ り、 大 日 金 輪 が 坐 す こ と は、 釈 迦 金 輪 と 大 日 金 輪 が 同 体 で あ る と す る 思 想 と み ら れ、 そ れ は 永 厳 の 思 想 の 反 映 と み ら れ る の で あ る。 換 言 す れ ば 金 ・ 胎 不 二 を 表 わ し て い る 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 の で あ ろ う。 四、 二 十 八 宿 の 像 容 北 斗 曼 茶 羅 に み ら れ る 諸 尊 の う ち、 北 斗 七 星 ・ 九 曜 ・ 十 二 宮 に つ い て は、 そ の 像 容 の 根 拠 に つ い て、 概 ね 理 解 さ れ (15) て い る と こ ろ で あ る が、 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ に 基 づ く 二 十 八 宿 に つ い て は よ く 判 明 し な い。 こ の ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ の 二 十 八 宿 は、 北 斗 曼 茶 羅 以 外 の 孔 雀 経 曼 茶 羅、 熾 盛 光 曼 茶 羅、 文 殊 曼 茶 羅 な ど 別 尊 曼 茶 羅 の 多 く に 用 い ら れ て い る。 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ は 円 珍 ・ 常 暁 な ど の 請 来 に よ る が、 こ れ は 十 五 種 の 護 摩 櫨 と 七 曜 星、 お よ び 二 十 八 宿 像 が み ら れ る。 内 容 に つ い て は な か な か 難 解 で、 容 易 に 理 解 し が た い も の が あ る。 そ し て 二 十 八 宿 の 像 容 に つ い て も 菩 薩 形、 天 部 形、 薬 叉 形 な ど バ ラ エ テ ィ ー に 富 ん で い る が、 そ の 典 拠 に つ い て は (16) ま っ た く 記 さ れ て い な い。 こ の 問 題 に 関 し て は、 す で に 竹 尾 靖 子 氏 が 十 二 天 像 の 像 容 と の 類 似 性 を 指 摘 し、 二 十 八 宿 像 の う ち 十 宿 に つ い て 比 較 検 討 さ れ て い る。 確 か に、 そ の う ち の い く つ か は 両 者 に 関 連 性 が 見 い 出 せ て お り、 興 味 深 い 見 解 と い え よ う。 以 下、 竹 尾 氏 の 説 を 基 に 考 察 し た い。 さ て、 こ の 二 十 八 宿 像 に つ い て ﹃ 宿 曜 経 ﹄ 上 巻 を み る と、 つ ぎ の よ う に 記 さ れ て い る。 1 ( ) 内 は イ ン ド の 諸 神 (17) を 表 す イ ン ド 名 で 矢 野 道 雄 ﹃ 密 教 占 星 術 ﹄ を 元 に 筆 者 の 記 ー 昴 六 星 形 剃 刀。 火 神 也。 ( ア グ ニ ) 畢 五 星 宿 形 如 半 車。 鉢 閣 鉢 底 神 也。 ( プ ラ ジ ャ ー パ テ ィ )

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紫 三 星 形 如 鹿 頭。 月 神 也。 ( ソ ー マ ) 参 三 星 形 如 額 上 嵩。 魯 達 羅 神。 ( ル ド ラ ) 井 二 星 形 如 屋 俄。 日 神 也。 ( ア デ ィ テ ィ ) 鬼 三 星 形 如 瓶。 藁 利 詞 騒 棲 底 神 也。 ( ブ リ ハ ス パ テ ィ ) 柳 六 星 形 如 蛇。 神。 ( シ ェ ー シ ャ ) 星 六 星 形 如 猛。 薄 伽 神 也。 ( バ ガ ) 張 二 星 形 如 杵。 婆 薮 神 也。 ( バ ガ ) 翼 二 星 形 如 跡 跣。 利 耶 摩。 ( ア ル ヤ マ ー ) 珍 五 星 形 如 手。 毘 婆 鍾 恒 利 神。 ( サ ヴ ィ ト リ ) 角 二 星 形 如 長 憧。 慧 室 利 神 也。 ( ト ヴ ァ シ ュ ト リ ) 九 一 星 形 如 火 珠。 風 神 也。 ( ヴ ァ ー ユ ) 域 四 星 形 如 牛 角。 因 伽 陀 羅 祇 尼 神 也。 ( イ ン ド ラ ー グ ニ ) 房 四 星 形 如 帳。 布 密 多 羅 神。 ( ミ ト ラ ) 心 三 星 形 如 階。 因 陀 羅 神 也。 ( イ ン ド ラ ) 尾 二 星 形 如 獅 子 頂 毛。 禰 律 神 也。 ( ニ ル ル テ ィ ) 箕 四 星 形 如 牛 歩。 水 神。 ( ア ー パ ス ) 斗 四 星 形 如 象 歩。 毘 説 神。 ( ヴ ィ シ ュ ヴ ァ ) 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 牛 宿 吉 甚 吉 祥。 其 宿 三 星 形 如 牛 頭。 風 梵 摩 神 也。 ( ブ ラ フ マ ー ) 女 三 星 形 如 梨 格。 毘 薮 幻 神 也。 ( ヴ ィ シ ュ ヌ ) 虚 四 星 形 如 詞 利 勒。 娑 婆 神 也。 ( ヴ ァ ス ) 危 一 星 形 如 花 穂。 婆 魯 肇 神 也。 ( ヴ ァ ル ナ ) 室 二 星 形 如 車 韓。 阿 醗 多 陀 難 神。 ( ア ジ ャ パ ー ダ ) 壁 二 星 形 如 立 竿。 尼 陀 羅 神 也。 ( ア ヒ ル ブ ド ニ ヤ ) 奎 三 十 二 星 形 如 小 艇。 甫 渉 神 也。 ( プ ー シ ャ ー ) 図9 参 宿(森 田龍 偲 『密 教 占星 法 』下 巻 挿 図) 図10 大 自在 天(現 図 曼 茶 羅)

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婁 三 星 形 如 馬 頭 乾 闊 婆 神 也。 ( ガ ン ダ ル ヴ ア ) 胃 三 星 形 如 三 角。 閣 摩 神 也。 ( ヤ マ ) と あ り、 宿 を 構 成 す る 星 の 数 と そ の 形 状 に つ い て 記 し、 続 い て そ の 本 地 と も い う べ き 諸 神 が 記 さ れ て い る。 例 え ば 昴 (18) 宿 は 星 の 数 は 六 星 で 剃 刀 の よ う だ と す る が、 こ れ は イ ン ド の 神 話、 に 基 づ く も の で あ る と い う。 こ こ で 興 味 深 い の は 本 地 神 と も み ら れ る 諸 神 の 存 在 で あ る。 例 え ば 参 宿 の ﹁ 魯 達 羅 神 ﹂ の 発 音 か ら 想 像 さ れ る の は ﹁ ル ド ラ ﹂ と 読 む こ と が で き よ う。 ル ド ラ は ヴ ェ ー ダ 神 話 の な か で は 暴 風 や 雷 の こ と で 破 壊 の 神 と さ れ、 ヒ ン ド ゥ ー 教 で は シ ヴ ァ 神 と さ れ、 こ れ が 仏 教 に 取 り 入 ら れ て 大 自 在 天 (摩 醗 首 羅 ) と な る。 現 図 胎 蔵 界 曼 茶 羅 を み る と 最 外 院 の 南 西 に あ り、 左 手 に 三 鈷 戟 を 持 ち 牛 に 乗 っ て い る。 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ (挿 図 は 森 田 龍 倦 ﹃ 密 教 占 星 法 ﹄ 下 巻 の 図 版 ) を み る と 一 面 四 腎 ( 日 輪 ・ 月 輪 ・ 刀 ・ 索 ) の 菩 薩 が 青 牛 に 半 珈 に 坐 し て お り、 牛 に 乗 る と い う 共 通 点 が 見 出 さ れ る。 (図 9 ・ 10 )。 鬼 宿 の ﹁ 藥 利 詞 騒 棲 底 ﹂ は ﹁ ブ リ ハ ス パ テ ィ ﹂ つ ま り 木 星 の こ と で、 ヴ ェ ー ダ 神 話 で は 聖 者 ( リ シ ) の 三 人 と さ れ る。 聖 者 つ ま り 仙 人 と 解 さ れ、 老 人 に 表 さ れ て い る。 ﹃ 七 曜 撰 災 決 ﹂ の な か に ﹁ 木 其 神 如 老 人。 ⋮⋮ 図11柳 宿 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 図12 心 宿 図13 帝 釈 天(現 図 曼 茶 羅) 図14 牛 宿 図15 梵 天(現 図 曼 茶 羅)

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⋮﹂と 記 さ れ る の も、 こ れ に 基 づ く も の で あ ろ う。 柳 宿 の 毘 舎 (Sesa)は、 サ ン ス ク リ ッ ト 語 で 蛇 を 意 味 す る が、 た し か に 薬 叉 形 で 両 手 に 蛇 が ま と わ り つ き、 頭 部 に も 蛇 が み ら れ る。 (図 11 ) 充 宿 は 風 神 で、 サ ン ス ク リ ッ ト 語 で、 ヴ ァ ー ユ で あ る。 つ ま り 風 の 神 と い う こ と で 仏 教 で は 十 二 天 中 の 風 天 と 考 え ら れ る。 現 図 曼 茶 羅 の 風 天 は 甲 冑 形 で、 右 手 に 風 に た な び く 幡 を 持 つ。 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ で は 菩 薩 形 が 左 手 を 頭 上 に 揚 げ て 白 布 を 持 つ が、 そ れ が 風 に な び い て お り、 そ の 表 現 に 共 通 性 が 感 じ ら れ る。 心 宿 に は ﹁ 因 陀 羅 神 ﹂ と あ る の は ﹁ イ ン ド ラ ﹂ と 理 解 さ れ る。 イ ン ド ラ は ヴ ェ ー ダ 神 話 に お い て 諸 神 中 の 最 強 神 で 馬 車 に 乗 り 金 剛 杵 を も っ て 毒 龍 と 戦 い、 雨 を 降 ら し 大 地 を 潤 す 善 神 で 仏 教 に 取 り 入 れ ら れ て 帝 釈 天 と な る。 現 図 胎 蔵 界 曼 茶 羅 の 最 外 院 に み ら れ る 帝 釈 天 は 宝 冠 を 戴 き、 右 手 に 独 鈷 杵 を 持 ち、 左 手 は 腰 に 当 て る。 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ で は 右 手 に 金 剛 杵 を 持 つ 菩 薩 像 に 表 さ れ、 金 剛 杵 を 持 物 と す る 共 ハ 通 点 が 見 出 さ れ る。 (図 12 ・ 13 ) 牛 宿 は 風 梵 摩 神 と あ る。 梵 の つ く と こ ろ か ら 当 然 な が ら 梵 天 が 想 起 さ れ、 ﹁ ブ ラ フ マ ー ﹂ と さ れ よ う。 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ の 像 を み る と 四 面 二 腎 像 で 左 手 に 水 瓶、 右 手 に 蓮 華 を 持 っ て い る。 現 図 曼 茶 羅 を み る と 四 面 四 腎 で、 蓮 華 ・ 水 瓶 ・ 与 願 印 ・ 独 鈷 戟 を 持 つ。 腎 数 に 相 違 は あ る が こ の 像 を 梵 天 と す る こ と に 異 論 は な か ろ う。 (図 14 ・ 15 ) 女 宿 は ﹁ 毘 薮 幻 神 ﹂ は ﹁ ヴ ィ シ ュ ヌ ﹂ と 理 解 さ れ る。 ヴ ィ シ ュ ヌ は イ ン ド の 神 話 で は 宇 宙 の 創 造 ・ 保 持 ・ 破 壊 を 司 る 神 と さ れ、 こ れ が 仏 教 で は 那 羅 延 天 と さ れ、 現 図 曼 茶 羅 で は 最 外 院 の 西 方 に あ り、 三 面 二 腎 で 金 翅 鳥 に 乗 る。 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ は 三 面 四 腎 (宝 珠 ・ 法 輪 ・ 法 螺 ) で 金 翅 鳥 に 乗 る 菩 薩 形 で あ る。 金 翅 鳥 に 乗 る と い う 共 通 点 が み ら れ る。 ( 図 16 ・ 17 ) 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 図16 女 宿 図17 那 羅 延 天(現 図 曼 茶 羅) 図18 婁 宿

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婁 宿 は 乾 闊 婆 神 と あ り、 八 部 衆 の 一 尊 と み ら れ る。 通 形 の 乾 闊 婆 は 獅 子 冠 を 被 る が、 こ こ で は 菩 薩 形 が 馬 に 乗 り、 関 連 性 は 認 め ら れ な い。 た だ ﹃ 摩 登 伽 経 ﹄ に ﹁ 馬 の 首 ﹂ と あ り、 ま た ヴ ェ ー ダ 神 話 で は、 ア シ ュ ヴ ィ ン 双 神 と さ れ、 太 陽 に 関 係 す る と こ ろ か ら 馬 が 用 い ら れ た も の と 思 わ れ る。 (図 18 ) 以 上 の よ う に、 像 容 の 根 拠 が ま っ た く 不 明 で あ っ た ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ の 二 十 八 宿 の う ち、 八 宿 で は あ る が ﹃ 宿 曜 経 ﹄ に 説 く 本 地 神 と の 間 に 関 係 を 見 出 せ た と い え よ う。 し た が っ て 他 の 宿 に つ い て も、 畢 宿 の プ ラ ジ ャ ー パ テ ィ、 珍 宿 の サ ヴ ィ ト リ、 房 宿 の ミ ト ラ、 危 宿 の ヴ ァ ル ナ な ど か ら 同 様 に イ ン ド の 神 話、 例 え ば ヴ ェ ー ダ 神 話 な ど が 関 係 す る も の と 推 察 さ れ る が、 明 確 に 共 ハ通 点 が 判 明 す る こ と が で き ず、 今 後 の 検 討 課 題 と し て お き た い。 (19) ﹃ 宿 曜 経 ﹄ は 不 空 の 訳 出 と さ れ る が、 矢 野 道 雄 氏 は、 不 空 本 人 が 説 い た も の で あ る と い う 興 味 深 い 見 解 を 示 さ れ た。 お そ ら く、 こ の 二 十 八 宿 像 に つ い て も、 不 空 が イ ン ド の 神 々 な ど を 記 し た テ キ ス ト を 参 考 に し た 可 能 性 が あ る。 五、 本 図 の 伝 来-む す び に か え て 先 述 の と お り 本 図 は 鎌 倉 時 代 初 期、 つ ま り 十 二 世 紀 末 期 か ら 十 三 世 紀 初 期 こ ろ の 制 作 と 考 え ら れ、 図 像 の 持 つ 思 想 的 背 景 と し て、 永 厳 ﹃ 要 尊 法 ﹄ の 影 響 が み ら れ る こ と を 推 察 し た。 さ て、 こ こ で 本 図 の 所 蔵 さ れ る 金 剛 寺 の 歴 史 を 三 (20) 瞥 し、 本 図 の 伝 来 を 考 え て み よ う。 当 寺 は 寺 伝 で 行 基 菩 薩 の 開 創 と す る が、 文 献 的 に み て 明 確 に な る の は 平 安 時 代 後 期 こ ろ か ら で あ る。 ﹃ 金 剛 寺 文 書 ﹄ の ﹁ 僧 阿 観 置 文 ﹂ に よ れ ば、 当 寺 の 中 興 の 祖 と さ れ る 阿 観 上 人 は 保 延 二 年 ( 一 三 三 六 ) 和 泉 大 鳥 郡 に 誕 生 し、 高 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 野 山 に 上 り 修 行 し た。 承 安 二 年 ( 三 一 七 二 ) に 高 野 山 御 影 堂 の 弘 法 大 師 の 第 三 転 写 本 を 元 に 金 剛 寺 に お い て 御 影 供 を (21) 修 し た と い う。 そ し て 治 承 二 年 ( 一 一 七 八 ) に 金 堂 を 建 立 し、 さ ら に 養 和 元 年 ( 一 一 八 三 ) に は 伝 法 会 が 行 わ れ て い る。 こ う し た 阿 観 の 金 剛 寺 造 営 に つ い て は、 後 白 河 法 皇 や 八 条 女 院 瞳 子 内 親 王 な ど 皇 室 の 庇 護 が あ っ た と 考 え ら れ て い る。 建 久 二 年 ( 一 三 九 三 ) に は ﹁ 八 条 院 令 旨 案 ﹂ に み ら れ る よ う に 金 剛 寺 の 組 織 的 ・ 経 済 的 基 盤 が 確 立 し た。 そ の 後、 建 久 八 年 ( 三 一 九 七 ) に 阿 観 は 寺 の 務 め を 譲 り、 弟 子 の 大 弐 局 ( 法 名 浄 覚 ) が 当 寺 の 第 二 代 の 院 主 と な り、 続 い て 六 条 局 ( 法 名 覚 阿 ) が 三 代 目 の 院 主 と な る。 こ の 二 人 は 姉 妹 で、 い ず れ も 八 条 院 や 宜 秋 門 院 の 侍 女 で あ っ た。 そ し て 建 (22) 久 九 年 ( 三 一 九 八 ) に は、 後 白 河 法 皇 の 第 二 皇 子 で あ る 守 覚 法 親 王 が 法 務 で あ っ た 仁 和 寺 北 院 の 末 寺 に な っ た の は 注 目 さ れ る。 つ い で 建 保 二 年 ( 一 二 一 四 ) こ ろ に は、 五 間 四 面 の 金 堂 の な か に 丈 六 大 日 如 来 坐 像、 両 界 曼 茶 羅 二 鋪、 真 言 八 祖 等 影 十 二 鋪 を 安 置 し、 宝 塔 一 基 の 中 に 金 剛 界 大 日 如 来 な ど が 安 置 さ れ て い た と い う。 ( こ れ 以 降 の 歴 史 に つ い て は 本 図 と は 直 接 結 び つ か な い の で 略 す。 ) 以 上、 平 安 時 代 末 期 か ら 鎌 倉 時 代 初 期 の 歴 史 を み た が、 こ の 中 で 重 要 な こ と は 御 室 仁 和 寺 北 院 の 末 寺 と な っ た こ と で あ ろ う。 さ て、 本 図 に は 永 厳 ﹃ 要 尊 法 ﹄ と の 関 連 が み ら れ る こ と は 先 述 し た。 永 厳 を み て み よ う。 永 厳 は 北 斗 法 を 大 成 し た 寛 助 の 室 に 入 り、 嘉 承 三 年 ( 一 一 〇 八 ) に 仁 和 寺 成 就 院 の 灌 頂 壇 に 上 り、 伝 法 阿 閣 梨 と な る。 そ の 後、 東 寺 の 灌 頂 に も 勤 仕 し た。 さ ら に 保 延 四 年 ( 一 三 三 八 ) に 高 野 山 に 上 り、 西 院 谷 に 平 等 院 を 創 建 し て 三 口 の 阿 闊 梨 を 置 き、 鳥 羽 院 の 御 願 寺 と な る な ど、 高 野 山 と の 関 係 も 深 い。. そ し て 最 後 に は 仁 和 寺 保 寿 院 を 開 き 保 寿 院 流 の 祖 と な っ た。

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(保 寿 院 流 ) 永 厳 覚 成-守 覚-道 法-道 助 ⋮⋮⋮ 覚 印-心 覚-顕 覚 ⋮⋮⋮ 琳 助 -寛 厳-能 真 ⋮⋮⋮ そ の 付 法 に は ・ 覚 成 ・ 覚 印 ・ 琳 助 な ど で あ る が、 覚 成 ( 二 二 六-三 三 九 八 ) に 続 い て 守 覚 法 親 王 ( 一 一 五 〇-三 二 〇 二 )、 さ ら に 道 法 ( 三 一 六 六-三 二 一 四 )、 道 助 ( 三 一 九 六-一 二 四 九 ) と 続 く。 仁 和 寺 で は 寛 助 以 後、 覚 法、 守 覚 な ど 平 安 時 代 に 盛 ん に 北 斗 法 を 修 し た こ と が 知 ら れ る。 続 い て 鎌 倉 時 代 に 至 っ て も 道 法 が 正 治 元 年 ( 三 三 九 九 ) 一 月 一 日 に 日 食 祈 撰 の た め に 北 斗 法 を 修 し た ( ﹃ 東 寺 長 者 補 任 ﹄ 二 )。 さ ら に 同 年 十 一 月 六 日 に は 後 鳥 羽 院 の た め に 大 北 斗 法 を 修 し、 ( ﹃ 真 言 諸 寺 院 記 ﹄ 二 )。 さ ら に 建 暦 元 年 ( 一 二 一 三 ) 二 月 二 十 九 日 に 安 楽 心 院 で 大 北 斗 法 を 修 す ( ﹃ 東 寺 長 者 補 任 ﹄ 二 ) な ど、 仁 和 寺 で は 北 斗 法 が 重 用 さ れ た の で あ る。 さ て、 先 述 の よ う に 金 剛 寺 は 建 久 九 年 ( 三 三 九 八 ) に 仁 和 寺 の 末 寺 と な っ た が、 こ れ は 本 図 の 制 作 年 代 と も ほ ぼ 合 致 し て お り、 本 図 の 制 作 背 景 に 仁 和 寺 と の 関 係、 と り わ け 守 覚 や 道 法 の 影 響 が 考 え ら れ よ う。 こ こ で も う 一 度 金 剛 寺 と 仁 和 寺 と の 関 係 を み て み よ う。 金 剛 寺 文 書、 建 久 九 年 ( 一 三 九 八 ) 二 月 に ﹁ 二 品 法 親 王 庁 裁 事 請 殊 蒙 庁 裁 可 早 任 解 状 旨、 以 当 寺 為 北 院 末 寺、 毎 年 弁 備 修 正 壇 供 餅 百 枚 事。 ⋮⋮⋮﹂と あ り、 二 品 親 王 あ て に、 住 僧 が 壇 供 餅 百 枚 を 負 担 す る こ と を 条 件 に 金 剛 寺 が 仁 和 寺 北 院 の 末 寺 に な っ た こ と の 文 書 で あ る。 二 品 親 王 と は、 も ち ろ ん 守 覚 の こ と で、 建 久 六 年 ( 一 三 九 五 ) に 仁 和 寺 六 世 総 法 務 と な っ た。 守 覚 は 永 厳、 覚 成 に 続 く 保 寿 院 流 の 流 れ を 汲 み、 数 多 く の 著 作 が 知 ら れ る が、 そ の 中 で 先 述 し た ﹃ 澤 鋤 ﹄ が あ る。 こ れ は 永 厳 の 説 を 覚 成 が 記 し、 守 覚 が 十 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 奈 羅 に つ い て

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密 教 文 化 巻 に ま と め、 さ ら に 道 法 に 伝 え ら れ た。 道 法 は 守 覚 の 弟 で 承 安 四 年 ( 一 一 七 四 ) に 仁 和 寺 に 入 り、 建 久 九 年 ( 三 一 九 八 ) 八 月 に 法 務 と な っ て、 守 覚 の 後 を つ い で 仁 和 寺 七 世 と な っ た。 さ て、 こ の ﹃ 澤 砂 ﹄ の な か に は、 永 厳 ﹃ 要 尊 法 ﹄ に 発 し た、 北 斗 法 の 中 尊 ・ 金 輪 仏 頂 に 智 拳 印 を 用 い る こ と が 記 さ れ て お り、 大 日 金 輪 で あ る こ と を 示 し て い る。 つ ま り 守 覚、 道 法 と も 北 斗 曼 茶 羅 の 中 尊 に 大 日 金 輪 が あ る こ と を 認 識 し て い た こ と は 間 違 い な い。 金 剛 寺 本 が 制 作 さ れ た の は 鎌 倉 時 代 初 期 で、 あ た か も 守 覚 が 北 院 の 住 持 で あ っ た 時 期 で あ り、 さ ら に 北 斗 法 の 大 家 で、 し ば し ば 北 斗 法 を 修 し た 道 法 が 活 躍 し た 頃 で あ る。 以 上 の こ と か ら、 大 日 金 輪 を 中 尊 と す る 本 図 の 特 異 な 北 斗 曼 茶 羅 は、 守 覚 や 道 法 な ど 仁 和 寺 保 寿 院 流 の 影 響 の 元 に 制 作 さ れ た と 考 え る こ と が で き よ う。 た だ、 こ れ が 仁 和 寺 で 制 作 さ れ、 後 に 金 剛 寺 に 持 ち 寄 ら れ た も の か、 ま た 制 作 当 初 か ら 金 剛 寺 に 施 入 さ れ た も の か は 現 段 階 で は 詳 し く 判 明 し な い。 残 念 な が ら 現 在、 仁 和 寺 に は 北 斗 曼 茶 羅 の 古 作 は 残 さ れ て お ら ず、 仁 和 寺 の 北 斗 法 に ど の よ う な 北 斗 曼 茶 羅 が 用 い ら れ た か は 明 確 で は な い。 た だ 興 味 深 い の は、 仁 和 寺 の 聖 教 類 の 中 か ら 見 い だ さ れ た、 本 図 と ほ ぼ 同 時 期 の 円 形 式 の 北 斗 曼 茶 羅 が あ る。 東 密 に お い て は 方 形 式 の 北 斗 曼 茶 羅 が 主 流 で あ る が、 仁 和 寺 に お い て は 円 形 式 も 伝 来 し て お り、 (23) 北 斗 曼 茶 羅 が 様 々 の バ リ エ ー シ ョ ン と な っ て 展 開 し た と 推 察 さ れ る。 本 図 の 特 異 な 中 尊 の 存 在 も、 仁 和 寺 を 背 景 と す る 永 厳 の 保 寿 院 流 を 元 に、 自 由 に 展 開 し た 北 斗 曼 茶 羅 の 一 本 と 考 え ら れ よ う。 注 ( 1 ) 現 存 す る 北 斗 曼 茶 羅 は、 つ ぎ の も の が 知 ら れ る。 円 形 式 奈 良 ・ 法 隆 寺 本 (重 文 ・ 平 安 時 代 )

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奈 良 ・ 法 隆 寺 本 (平 安 時 代 ) 三 重 ・ 西 蓮 寺 本 (平 安 時 代 ) 和 歌 山 ・ 親 王 院 本 ( 鎌 倉 時 代 ) 群 馬 ・ 長 楽 寺 本 ( 鎌 倉 時 代 ) 京 都 ・ 三 千 院 本 ( 鎌 倉 時 代 ) 方 形 式 大 阪 ・ 久 米 田 寺 本 (重 文 ・ 平 安 時 代 ) 大 阪 ・ 金 剛 寺 本 (鎌 倉 時 代 ) 御 物 本 (鎌 倉 時 代 ) 京 都 ・ 東 寺 本 (鎌 倉 時 代 ) 個 人 蔵 本 (鎌 倉 時 代 ) 三 重 ・ 法 住 院 本 (鎌 倉 時 代 ) な ど ( 2 ) 金 剛 寺 は 大 阪 府 河 内 長 野 市 天 野 町 九 九 六 に 所 在。 真 言 宗 御 室 派 に 所 属。 ( 3 ) 平 成 五 年 三 月 に 大 阪 市 立 博 物 館 で 開 催 さ れ た ﹁ 南 河 内 の 文 化 財 ﹂ 展、 及 び 平 成 七 年 四 月 に 堺 市 博 物 館 で 開 催 さ れ た ﹁大 阪 の 仏 教 絵 画 ﹂ 展 に 出 陳 さ れ た。 ( 4 ) 絹 本 著 色、 縦 三 〇 二 ・ 三 セ ン チ、 横 六 七 ・ 五 セ ン チ。 向 か っ て 右 幅 四 四 ・ ニ セ ン チ、 左 幅 二 三 ・ 三 セ ン チ の 二 副 三 鋪。 ( 5 ) ﹃ 星 供 挙 要 ﹄ に ﹁ 白 河 院 御 宇 成 就 院 大 僧 正 所 進 物 當 世 流 布 曼 茶 羅 也。 ⋮⋮⋮﹂とある。 ( 6 ) 敦 煙 莫 高 窟 第 三 六 三 窟 東 壁 南 側 の 千 腎 千 鉢 文 殊 中 唐 ( ﹃中 国 石 窟 敦 煙 莫 高 窟 ﹄ 四 平 凡 社 昭 和 五 七 年 六 月 )。 敦 煙 莫 高 窟 第 一 四 窟 北 壁 東 側 晩 唐 ( ﹃ 中 国 石 窟 敦 煙 莫 高 窟 ﹄ 四 平 凡 社 昭 和 五 七 年 六 月 ) な ど に 確 認 さ れ る。 ( 7 ) 熾 盛 光 法 の 道 場 観 は ﹃ 阿 娑 縛 抄 ﹄ 巻 五 十 八 熾 盛 光 本 に 観 想。 地 結 上 金 剛 培 内 有 大 海。 海 中 有 宝 山。 宝 山 上 有 宝 獅 子 座。 獅 子 座 上 宝 蓮 華。 ⋮⋮ と あ り、 宝 山 と さ れ る が、 こ れ が 須 弥 山 で あ る こ と は、 同 抄 の 懸 曼 茶 羅 の 項 に 須 弥 山 上 に 熾 盛 光 仏 が 坐 す と 記 す こ と に よ り 判 明 す る。 ( 8 ) ﹃ 覚 禅 妙 ﹄ 一 〇 〇 尊 星 王 (大 正 図 五 ・ 三 九 八 ) に ﹁或 云。 妙 見 者。 則 七 星 中 第 六 星 輔 星。 即 妙 見 也。 ﹂ と あ る。 ( 9 ) 武 田 和 昭 ﹃星 曼 茶 羅 の 研 究 ﹄ (法 蔵 館 平 成 七 年 一 〇 月 )。 ( 10 ) 奈 良 ・ 上 の 坊 本 の ﹁ 熾 盛 光 仏 頂 大 威 徳 消 災 吉 祥 陀 羅 尼 経 ﹂ は 紙 本 墨 版 で 縦 二 八 ・ ニ セ ン チ、 全 長 三 四 二 ・ 八 セ ン チ。 見 返 し 部 分 は 横 三 二 ・〇 セ ン チ。 北 宋 時 代 開 宝 五 年 ( 九 七 二 ) の 開 版 で あ る こ と が 分 か る。 ( 11 ) 林 温 ﹃ 妙 見 菩 薩 と 星 曼 茶 羅 ﹄ ( 至 文 堂 平 成 九 年 九 月 ) ( 12 ) 前 掲 注 ( 11 ) 林 温 ﹃ 妙 見 菩 薩 と 星 曼 茶 羅 ﹂ ( 13 ) ﹃ 要 尊 法 ﹄ で は 金 輪 の 後 ろ の 左 右 に 北 斗 七 星 が 位 置 す る よ う に 観 想 さ れ る が、 久 米 田 寺 本 や 本 図 な ど 方 形 式 の 北 斗 曼 茶 羅 で は 金 輪 の 前 に 描 か れ る も の が 殆 ど で、 僅 か に 醍 醐 寺 本 が 金 輪 の 前 に 描 か れ て い る。 な お 円 形 式 で は 金 輪 の 後 ろ に 北 斗 七 星 が 配 さ れ る。 大 阪 ・ 金 剛 寺 蔵 北 斗 曼 茶 羅 に つ い て

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密 教 文 化 ( 14 ) 永 厳 ﹃ 要 尊 法 ﹄ (﹃ 大 正 蔵 ﹄ 七 八 巻 ・ 二 〇 七 頁 ) ( 15 ) 東 寺 観 智 院 蔵 ﹃ 護 摩 炉 壇 様 ﹄ の 末 尾 に 智 謹 本 批 云。 大 中 九 年 九 月 八 日 右 街 竜 興 寺 浄 土 院 居 禅 和 上 房 請 左 街 長 安 青 竜 寺 伝 教 法 全 和 上 本 抄 取 並 勘 定 日 本 沙 門 珍 記 者 保 延 五 年 七 月 廿 一 日 申 請 法 輪 院 之 御 本 於 鳥 羽 僧 房 書 写 了 件 本 云 恵 雲 請 来 云 々 賢 宝 私 考 云 常 暁 請 来 録 云 七 曜 二 十 八 宿 形 像 康 安 二 年 四 月 廿 五 日 於 東 寺 観 智 院 繕 写 了 と あ り、 円 珍、 常 暁、 恵 雲 の 請 来 と 考 え ら れ て い た。 (16 ) 竹 尾 靖 子 ﹁ 星 曼 茶 羅 に つ い て ﹂ 1 二 十 八 宿 の 図 像 を 中 心 に-( ﹃ 東 海 学 園 国 語 国 文 ﹄ 東 海 学 園 女 子 短 期 大 学 平 成 八 年 一 一 月 ) を 参 照。 (17 ) 矢 野 道 雄 ﹃ 密 教 占 星 術 ﹄ ( 東 京 美 術 昭 和 六 一 年 一 一 月 ) 参 照。 (18 ) 野 尻 抱 影 ﹃ 星 と 東 方 美 術 ﹄ ( 恒 星 社 厚 生 閣 昭 和 四 六 年 四 月 ) 参 照。 (19 ) 前 掲 注 (17 ) 矢 野 道 雄 ﹃ 密 教 占 星 術 ﹄ を 参 照。 (20 ) 金 剛 寺 の 歴 史 に つ い て は ﹃ 天 野 行 宮 金 剛 寺 古 記 ﹄ (﹃ 大 阪 府 史 蹟 名 勝 天 然 記 念 物 調 査 報 告 書 ﹄ 第 六 輯 大 阪 府 昭 和 一 〇 年 三 月 ) 及 び ﹃ 大 阪 府 の 地 名 ﹂ ( 平 凡 社 昭 和 六 三 年 ) を 参 考 と し た。 ( 21 ) 建 保 三 年 七 月 の 嘉 陽 門 院 庁 下 文 に 記 さ れ る。 (﹃ 河 内 長 野 市 史 ﹄ 第 五 巻 ﹁史 料 篇 中 世 ﹂ 三 六 頁 ) 参 照。 ( 22 ) 前 掲 注 ( 20 ) ﹃ 河 内 長 野 市 史 ﹄ 第 五 巻 ﹁ 史 料 篇 中 世 ﹂ 一 一 頁 参 照。 ( 23 ) 吉 原 忠 雄 氏 は ﹃大 阪 の 仏 教 絵 画 ﹄ 展 図 録 で、 ﹁ 中 院 流 北 斗 供 口 伝 ﹂ の ﹁当 知 二 種 金 輪 同 体 ﹂ と い う こ と か ら、 高 野 山 の 中 院 流 と の 関 係 を 指 摘 を さ れ て お ら れ る。 ( 付 記 ) 本 論 作 成 に つ き、 金 剛 寺 座 主 ・ 堀 智 範 師 に 多 大 の ご 高 配 を 賜 り ま し た。 ま た 金 剛 寺 の 歴 史 資 料 に つ い て は、 金 剛 寺 ・ 石 堂 法 瑞 氏、 堺 市 博 物 館 ・ 張 洋 一 氏 に ご 教 示 を 賜 り ま し た。 併 せ て 厚 く 感 謝 申 し 上 げ ま す。 < キ ー ワ ー ド > 金 剛 寺 ・ 星 曼 茶 羅 ・ 北 斗 曼 茶 羅

参照

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