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古典の授:業

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第3節 本実践の考察と課題 第1項 質問紙調査の概要

本実践では、古典作品や授業等に対する生徒の興味や関心を調べるため、質 問紙調査を実施した。本調査は担当する3クラスで計3回実施し、時期につい ては以下の通りである。

【調査1(5月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査

【調査2(6月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事後調査

【調査3(9月下旬)】教育実践研究改善実習の事後調査

1.【調査1(5月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査(図3−11)

 教育実践研究開発プロジェクト実習は、5月の下旬から一か月間行い、本調 査は担当するクラスの各実習の初日に実施した。

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図3−11教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査(5月下旬)

 ここでは、高校入学噛すぐの生徒たちの古典に対する意識を調査した。古典 の「作品」が好きかどうかや、古典の「授業」が好きかどうかなどは、3回の 調査すべてで行った。その結果や考察は第2項で述べる。

(2)

(1)古典の授業について

 llの5で、古典の授業が難しいかどうかの質問には、114人中90人が「難し い」「やや難しい」「どちらかというと難しい」と回答した。(図3一一12)つまり、

高校入学すぐの地点ですでに古典に対して苦手意識を持っている生徒が多い現 状が、この質問紙の調査で浮かび上がった。

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古典の授:業

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図3−12古典の授業が難しいかどうか。

 また、IIの5で、古典の授業が難しいと回答した生徒に、6で古典の授業の 何が難しいのかを聞いたところ、以下のような回答であった。(表3−5)

表3−5 古典の授業での困難点(複数回答可)

現代語に訳すること 94%

古典文法についての学習 73%

登場人物や作者の思い、考え方についての学習 50%

古典常識についての学習 39%

音読・朗読・群読・暗唱 27%

作品の内容についての学習 24%

文学史についての学習 20%

 「現代語に訳すること94%」「古典文法についての学習73%」の調査結果か ら、生徒たちは、文字としての古典に対して苦手意識を持っていることがわか った。現代語と古語の壁の大きさに改めて気付かされる。

(3)

 中学校段階では、あまり古典文法などを行っていないはずであるが、それで も生徒たちは古語や古典文法が難しいと回答していた。

(2)古典に親しむために

 IIの7で、どうしたら古典を好きになれるかを自由に書かせた。生徒の記述 をまとめると、以下の4点になる。

①現代語訳や古典文法に関すること

②古典に触れる機会

③作品の内容に触れる

④授業方法

①現代語訳や古典文法に関すること

・自分で現代語訳をできるようになったら

・簡単な訳し方を知る

・おもしろい作品を読む。現代語六つきの。

・古語をたくさん覚えたら

・文法をちゃんと理解できたら

最も多かったのは、現代語訳や古典文法に関することであった。これは、古 典の授業で難しいと感じていることであり、この困難点を克服することができ れば、古典を好きになれると多くの生徒が感じていることがわかった。

②古典に触れる機会

・もっと古典の作品について学ぶ

・何回も読む

・毎日古典の文を読んでいたら

 本読みを何回も行うことや、古典の文を毎日読むことなど、古典の作品を数 多く学ぶことで、古典を好きになることができると回答した生徒が多かった。

これは、中学校までの古典の学習が音読や暗唱などのリズムを重視していたこ とも影響しているであろう。つまり、生徒たちは繰り返し学習することを通し て、古典を好きになれると回答していた。

(4)

③作品の内容に触れる

・その世界が想像出来たら

・物語に入りこむ

・登場人物の気持ちに入りこむ

物語を想像することや、登場人物の気持ちに入りこむことで、古典を好きに なることができると回答していた。つまり、想像しやすい、入りこみやすくす る授業方法はもちろんのこと、そうなることのできる教材であることも重要な

ことである。

④授業方法

・まずはお話の内容を知ってから、文法について学ぶ

・もっとわかりやすく、図や絵とかでやったら頭にはいる

 文法学習よりも先に内容理解をすることや、図や絵を用いた授業展開にする ことなど、授業方法の工夫に対しての回答もあった。これは、現代語訳から読 み始める方法をとった授業者と同じ考えであり、授業方法についての的確なコ

メントであった。

(5)

2.【調査2(6月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事後調査(図3−13)

 本調査は、教育実践研究開発プロジェクト実習最終日の6月下旬に行った。

  ここでは、教育実践研究開発プロジェクト実習を終えて、生徒たちの古典に 対する意識が変化したかどうかを調査した。また、第1節の第4項で述べた通

り、印象に残った和歌についても調査した。

古典学習についてのアンケート

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ll古典の「作品jについてたずねまt,、}

L全典のf件剛ほ好きですか。

  1.旧き 2 ま潅まあ好き

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3.ど筋かというとSS84.〈Y e)らでも伽    i

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 蓋.ぎ附蘇の契、盗人にあひてのがるること」   2.「これも仁和嫌の法師」

III古典のr授業」についてたずねますe}

1.占典の『授業」は婦きですか。

ヂ1.鍵Zま礁あ鍵3.ど片口、というと鍵4.ど筋でもない

       5. どちらかというと嫌い 6.やや畷酸い 7.嫌い  2.「附蘇の史、盗人にあひてのがるる:と」と「これも{ll和瀞の法師」のどちらの幾業が雄きですか。

  1.ぎ阿蘇の望、盗人にあびで⑳がるること」   鉱「これも仁和寺⑳法師j         i        ¶t .r  .りs  3.それはなぜですか。

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       5.ど.ららかというと画しくない

       7.難しくないi

、妃籔鯉騒人に鰭てのがるるこ蜘瓢三〜魚t二擁曜鰍のど筋の麟灘い です醜

1.ぎ阿蘇の吏、窺人にあひてのがるること」 2・「こ麹も穏和瀞の法蘭

舷門象に媛っているr唱歌」を教えてください。

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7.なぜこの和歌が印象t_残ってい聴すか.

1

図3−13 教育実践研究開発プロジェクト実習の事後調査(6月下旬)

(6)

3.【調査3(9月下旬)】教育実践研究改善実習の事後調査(図3−14)

 教育実践研究改善実習は9月下旬までの一か月間行い、本調査は実習最終日

に実施した。

  ここでは、教育実践研究改善実習を終えて、生徒たちの古典に対する意識が 変化したかどうかを調査した。また、それに加えて、教育実践研究改善実習で 行った5つの指導の工夫についても調査を行った。

古典学習についてのアンケート

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P,占典の罫作品1は嬉きですか、それとも嫌いですか.

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○それはなぜですか。

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2・古典の「穫麹は丁零ですか・それとも1嫌いです凱

i L鍵 2諌融あ鱒一.3.どちらかというと鍵 4謬嚇で榔・

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       内・ 、}胸「n「     阿耐.1 . ..

宸サ蓬.しはなセぐナ甑

廼       毛己.  .ヒ⁝ ︑

3.韮学期に仔つた粕歌について、どうでしたか。

iはか硫篇あ紬勘軌舘嚇でもな・職舷りよくなか梁凱燃よくなかった

○鐘塑で矯!鰍童して1糺詮豫真で窯継.

毘, とてもして書鑑し..力為った  2. し.てほし・カ・つた  冠. どちらでもよ⇒馬つた

@       4.どちらかといえばしなく ぐよかqた 5,しなくてよか.《》た

4.「現代版かたはらいだきもの を作ったことについて、どうでした.か。.

       嶋

T.雛代版かたはらいたきものをダループで鱈し金つたり発表したりしたこと黛ついて、どうでしたカ L.1:よかった 2・まあ家あよかった 3・どちξ)でもない 4 あまりよくなかった δ・金慧よくなか♂》た

6.教科餐にはない「かたはらいたきもの∫を蝶番することについて、どう患い濠すか。

い・・ウ櫨幽趣献う・舘一一もな・鳳献りよくなか嫉5憔くな・・櫨

7,僻のいと欄う降りたるを.3で激累代語獄を擦こ配痛しました。このこ.とについてどうでし唐ノ・ら        、 .二婆鱒三笠・謙鷲も鞭.磁継伽・価鰍く鰺・・

8,なぜ古典を勉強すると思いますカ、

r!L____._、、

図3−14 教育実践研究改善実習の事後調査(9月下旬)

(7)

第2項 古典に対する意識の変容

1.【調査1(5月下旬)】と【調査2(6月下旬)】の比較考察

 【調査1(5月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査と、【調 査2(6.月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事後調査の結果を比較 考察する。

(1)古典の「作品」と「授業」の意識調査

 古典の「作品」と「授業」について、好きか嫌いかを7件法で質問し、【調 査1(5,月下旬)】と【調査2(6月下旬)】の結果を比較した。(表3−6、3−7)

表3−6 古典の「作品」が好きか嫌いか。(人数)

①5月下旬 ②6月下旬

「嫌い」「やや嫌い」「どちら ゥというと嫌い」

45 11

「どちらでもない」 42 44

「好き」「まあまあ好き」「ど ソらかというと好き」

28 55

表3−7 古典の「授業」が好きか嫌いか。(人数)

①5月下旬 ②6月下旬

「嫌い」「やや嫌い」「どちら ゥというと嫌い」

23 15

「どちらでもない」 40 33

「好き」「まあまあ好き」「ど ソらかというと好き」

51 62

 また、無回答の項目がある生徒のデータを省き、対応のあるt検定を行い、

【調査1(5,月下旬)】と【調査2(6.月下旬)】の意識の変容を比較し、(表3−8)

にまとめた。

(8)

表3−8 古典の「作品」「授業」が好きかどうか。(7件法)

5月下旬 6月下旬 対応のあるt検定

平均 3.79 4.67

作品

S.D. 1.30 1.29

N=107

煤i106)ニ7.32**

平均 4.37 4.74

授業

S.D. 1.28 1.25

N=106

煤i105)=2.71**

**ヘ、p<.01である。

 古典の「作品」「授業」ともに【調査1(5月下旬)】よりも【調査2(6月下 旬)】で、「嫌い」「やや嫌い」「どちらかというと嫌い」の人数が減少し、「好き」

「まあまあ好き」「どちらかというと好き」の人数が増加した。そして、対応の あるt検定の結果、有意差が認められた。このことから、教育実践研究開発プ ロジェクト実習によって、古典の作品と授業について、多くの生徒たちが親し みを持つようになったと考えられる。

(2)授業方法に対する意識調査

 「阿蘇の史、盗人にあひてのがるること」と「これも仁和寺の法師」の作品 と授業について、どちらが好きかの質問では(表3−9)のようになった。

表3−9「阿蘇の史、盗人にあひてのがるること」と「これも仁和寺の法師」のどちらが好きか 阿蘇の史、盗人にあひてのがるること これも仁和寺の法師

作品 28人(25%) 82人(75%)

授業 13人(12%) 95人(8896)

 この調査結果を見ると、「これも仁和寺の法師」の作品、授業ともに好感を持 ったことがわかる。その理由として以下のコメントが挙がった。

「阿蘇の史、盗人にあひてのがるること」が好き

 む た つ︒かたうつしかもろおしがも容お内がの史話

「これも仁和寺の法師」が好き

・話の内容がおもしろかった。

・話が分かりやすかったし、絵を書いてみんなに伝えるのが良かった。

(9)

・情景が頭で描けるストーリーで展開を考えるのが楽しかったから。

・最後のおちを絵でかくのがおもしろかったです。

教材の内容のおもしろさについてはどちらの作品もコメントがあったが、そ れでも「これも仁和寺の法師」についての評価が高かった理由は、作品の続き を想像することや、絵を描くこと(創作活動)と、みんなで考えること(グル ープ学習)の2つの活動を挙げている生徒が多かった。ここから、創作活動と

グループ学習の成果がうかがえる。

2.【調査1(5月下旬)】と【調査3(9月下旬)】の考察

 【調査1(5月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査と、【調 査3(9月下旬)】教育実践研究改善実習の事後調査に行った質問紙調査の結果

を考察する。

(1)古典の「作品」と「授業」の意識調査

 古典の「作品」と「授業」について、好きか嫌いかを7件法で質問し、【調 査1(5.月下旬)】と【調査3(9A下旬)】の結果を比較した。(表3−10、3−11)

表3−10 古典の「作品」が好きか嫌いか。(人数)

①5月下旬 ③9月下旬

「嫌い」「やや嫌い」「どちら ゥというと嫌い」

45 36

「どちらでもない」 42 30

「好き」「まあまあ好き」「ど ソらかというと好き」

28 49

表3−11古典の「授業」が好きか嫌いか。(人数)

①5月下旬 ③9月下旬

「嫌い」「やや嫌い」「どちら ゥというと嫌い」

23 18

「どちらでもない」 40 32

「好き」「まあまあ好き」「ど ソらかというと好き」

51

65

(10)

 また、無回答の項目がある生徒のデータを省き、対応のあるt検定を行い、

【調査1(5,月下旬)】と【調査3(9月下旬)】の意識の変容を比較し、(表3・12)

にまとめた。

表3−12 古典の「作品」「授業」が好きかどうか。(7件法)

5月下旬 9月下旬 対応のあるt検定 作品

m=112

平均 3.76 4.22 t(111)=3.95**

S.D. (1.33) (1.44)

授業

m=111

平均 4.33 4.69 t(110)=3.17**

S.D. (1.25) (1.23)

**は、p<. Olである。

 古典の「作品」「授業」ともに【調査1(5.月下旬)】よりも【調査3(9,月下 旬)】で、「嫌い」「やや嫌い」「どちらかというと嫌い」の人数が減少し、「好き」

「まあまあ好き」「どちらかというと好き」の人数が増加した。そして、対応の あるt検定の結果、有意差が認められた。このことにより、2回の実習を実施

した結果、生徒たちの古典に対する興味や関心を深めさせたことがわかった。

(2)生徒の意識の変容

 古典の授業について、「好き」と「嫌い」に回答した理由を記述させた、【調 査1(5,月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査と、【調査3

(9月下旬)】教育実践研究改善実習の事後調査にどのような変化が見られるか

探る。

①【調査1(5月下旬)】教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査 ア、好き

 古典の授業を「好き」「まあまあ好き」「どちらかというと好き」と回答した 生徒で、その理由の記述をまとめると、言葉のおもしろさと、理解することの 楽しさの2つに分けられる。

言葉のおもしろさ

・読んだりすると、おもしろいことばがでてきたりするから

・やっていると、初めて知ることが多くて、 なるほど ってなるから

生徒たちは、新しい言葉を知ることを通して古典に対して親しみを持ってい

(11)

た。また、納得することがあって、それで古典が好きだと思う生徒もいること

がわかった。

理解することの楽しさ

・最後には話の内容がわかるから

・現代語訳をして分かった時がおもしろいから

・あまり意味がわからないのがわかっていくのが楽しいから

 生徒たちは、授業を通して古典の作品の内容が理解できることに、古典に対 して親しみを持っていた。これは、実践で行った「現代語訳の活用」とは正反 対の授業方法であり、実際に授業後のコメントでも同様の記述があった。

イ、どちらでもない

古典の授業について、「どちらでもない」と回答した生徒で、その理由につい ては、内容はおもしろいが難しいという記述が多かった。特徴的なものを挙げ

る。

・面白いけど理解するのが難しいから

・作品によって好きなときと嫌いなときがある

・分かった時は楽しいけど、難しいから

 ここでも、言葉の壁が立ち塞がっている現状が浮かび上がった。生徒たちは、

内容がおもしろかったとき、内容のおもしろさに気付いたときに、古典の良さ に気付いていた。しかし、それと同時に言葉の難しさによって、古典の良さが 半減されていることがわかる。

ウ、嫌い

 「どちらでもない」の記述の内容は、古典の授業が「嫌い」「やや嫌い」「ど ちらかというと嫌い」と回答した生徒たちの理由の記述からも見てとれる。以 下は特徴的なものである。

・昔の読み方とか意味が難しいから

・文法が苦手

 古文の読み方や文法など、言葉が難しいため、古典に親しみが持てないでい る。現代と古典の言葉の壁にどう立ち向かい、作品の内容のおもしろさをどう 伝えるかが、古典に親しみを持たせるための鍵になる。

(12)

②【調査3(9,月下旬)】教育実践研究改善実習の事後調査 ア、好き

 古典の授業を「好き」「まあまあ好き」「どちらかというと好き」と回答した 生徒で、その理由の記述を【調査1(5月下旬)】の記述と比較する。

言葉のおもしろさ・理解することの楽しさ

・今までにない発音などが聞けて楽しいから

・文法とかがわかるとおもしろいから

・文法はあまり好きではないけど音読とかが楽しいから

・昔の言葉や話がわかるから

・訳せたときにストーリーがわかるから

・訳が自分でできると嬉しいから

 これらの記述は、【調査1(5月下旬)】と同様、言葉のおもしろさと、理解す ることの楽しさについてである。この2点は生徒たちにとって実習前も実習後 も変わらず、古典に親しみを持つこととして挙げていた。

 また、【調査3(9,月下旬)】で新たに挙がった記述をまとめると、授業方法 の改善・工夫と、作品の魅力の2点である。

授業方法の改善・工夫

・普通の授業ではない楽しさがある

・ときどき発表とかがあっておもしろい

・なんでこうなるのか疑問に思った事が解決されたとき、達成感を覚えるから

 グループ学習や発表などを取り入れたことによって、生徒たちは古典の授業 を肯定的に評価し、古典に親しみを持ったことがわかった。

作品の魅力

・作品がおもしろいから

・昔の人の考えや文化がわかるから

・内容を知れば知るほど面白いから

・難しい文章だけど、内容を理解できたらすごくおもしろかったから

作品の魅力に触れたことによって、古典に親しみを持った生徒が増えた。作 品の魅力に触れることは、現代語訳の活用や創作活動などを通して行うことが できた。詳しくは次の第3項で述べる。

 また、「春はあけぼの」の章段では、一般的な解釈に頼らない授業を展開した。

(13)

詳しくは第1節に述べたが、「春はあけぼの」の次に省略されている語を考え させることによって、作者が描いている情景を理解し、作品の魅力に触れさせ ることができた。そのことで、生徒たちは古典に親しみを持つこととなった。

 教育実践研究開発プロジェクト実習の事前調査の記述と同様に、言葉のおも しろさと、理解することの楽しさを理由として挙げている生徒が多かった。し かし、それ以外にも、授業方法や作品の内容のおもしろさを理由に挙げている 生徒も多かった。これは、授業方法に工夫を凝らしたり、作品の内容のおもし ろさを伝えたりした授業の成果であろう。

イ、「どちらでもない」「嫌い」

 古典の授業について、「どちらでもない」や「嫌い」「やや嫌い」「どちらかと いうと嫌い」と回答した生徒の理由では、以下の記述があった。

・何が書いてあるのかよく分からないから

・文法や言葉遣いが難しいから

・よく分からないし、自分で現代語訳ができないから

・文の意味がわかりづらいことがあるため

 ここでも、文法と現代語訳についての問題が挙がり、言葉の障壁の大きさが 窺い知れる。授業方法の改善や工夫によって、作品の内容の良さに触れ、古典 に親しみを持たせることはできたが、古語の難しさにどう立ち向かわせるかは、

今後の課題である。

(14)

第3項 手立ての検証

本実践では、古典に親しみを持たせるための工夫を凝らした。その中で、特 に以下の4点について工夫した。なお、和歌の紹介に関しては、教育実践研究 改善実習では実践していないため、ここでは記載しないこととする。

1234

現代語訳の活用

創作活動の実施 グループ学習の実施

教科書教材以外の教材の使用

それぞれの詳細は、第1節と第2節の実践の欄で記述しているが、まとめと

して再び述べる。

1.現代語訳の活用

 現代語訳を配布し、現代語訳から読み始めることによって、本文の内容理解 を助け、次の展開にスムーズに移行できるようになった。生徒たちは現代語に 訳することに古典の難しさを感じており、現代語訳から読み始めることでその 障壁を取り払うことができた。現代語訳を活用することは、生徒たちの内容理 解を深めることに有効である。

2.創作活動の実施

絵を描いたり、発表したりする創作活動を実施したことによって、本文を隅々 まで読むということを主体的にさせた。

 また、現代版を創作することによって、清少納言の文章と、生徒自身の経験 を重ね合わせることができた。古典と現代との橋渡しとなり、古典に対する親 しみを持たせることができた。創作活動を通して、内容の良さに触れさせるこ とができると考える。

3.グループ学習の実施

 グループ学習を行ったことにより、普段授業に積極的ではない生徒が、他班 の発表に身を乗り出して聞き入っている姿があった。生徒たちは、クラスメー トと創作活動をすることに楽しさを感じていた。班で話し合い、自分の意見を 発表し、クラスメートの発表を聞くことに、生徒たちは肯定的な評価をしてい

た。

 つまり、グループ学習の成果は、授業が活性化したこともその一つであるが、

(15)

それ以上に、自分の意見を発表できる、他人の意見を聞くことができる場に対 して、生徒たちは好感を持っていたことがわかった。

4.教科書教材以外の教材の使用

授業後のアンケートで好意的に捉えていた生徒の理由として、「教科書に載っ ていないことをしたから」「枕草子の教科書にない物語を知れてよかったです」

などの感想があり、教科書教材以外の教材の使用による生徒の期待感がうかが

えた。

 教科書教材以外で、生徒の興味・関心を育み、知的な刺激を与えることので きる新たな教材を開発することも、授業方法の工夫の一つである。

(16)

      第IV章 本研究のまとめと今後の課題

第1節 本研究の成果と課題 第1項 本研究のねらい

 本研究では、生徒たちが古典に対して親しみを持ち、興味・関心を深めるた めには指導方法の工夫が必要と考えた。そのため次の5点を授業方法の工夫と

して実践した。

(1)グループ学習の実施

(2)現代語訳の活用

(3)創作活動の実施

(4)教科書教材以外の教材の使用

(5)和歌の紹介

(1)グループ学習の実施

 「阿蘇の史、盗人にあひてのがるること」「これも仁和寺の法師」「かたはら いたきもの」「雪のいと高う降りたるを」の授業で実施した。グループ内で作品 の交流をすることや、絵を描いて全体に発表するなどを行った。

教材名 指導方法の工夫点

阿蘇の史、盗人にあひてのがるること ・2人1組のペアワーク E隣の人と意見の交流

これも仁和寺の法師 ・6人1組のグループ学習

E作品の交流

E模造紙に絵を描いて発表

かたはらいたきもの ・5人1組のグループ学習

E作品の交流

Eスケッチブックに書いて発表 雪のいと高う降りたるを ・2人1組のペアワーク

Eペアで謎解き E板書発表

(2)現代語訳の活用

 「阿蘇の史、盗人にあひてのがるること」の授業では、現代語訳を授業のま とめとして配布した。

(17)

  「これも仁和寺の法師」「かたはらいたきもの」「雪のいと高う降りたるを」

の授業では、最初の授業で現代語訳を配布し、現代語訳から読み始める授業を

行った。

教材名 指導方法の工夫点

これも仁和寺の法師 ・最初に配布

E現代語訳から読解

E結末の段落を予め削除したもの

かたはらいたきもの ・最初に配布

E現代語訳と本文を読解

雪のいと高う降りたるを ・最初に配布

E現代語訳から読解

(3)創作活動の実施

  「これも仁和寺の法師」「かたはらいたきもの」の授業で実践した。「これも 仁和寺の法師」では、話の続きを創作させ、「かたはらいたきもの」では、現代 版を創作させた。

教材名 指導方法の工夫点

これも仁和寺の法師 ・話の続きの創作

E絵に描いて発表

かたはらいたきもの ・現代版かたはらいたきものの創作 Eスケッチブックに書いて発表

(4)教科書教材以外の教材の使用

 『枕草子』の「かたはらいたきもの」を使用した。

(5)和歌の紹介

 コブクロの歌詞と、古今和歌集から6首を選択し実践した。

歌詞 ・コブクロ「雪の降らない街」

古今和歌集 春歌1 ・世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 夏時1 ・郭公鳴く声聞けば別れにしふるさとさへそ恋しがりける 冬歌1 ・冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ 恋歌2 ・月やあらぬ春や昔の春ならぬ我が身ひとつはもとに身にして

E人知れず思へば苦し紅の末摘花の色にいでなむ

哀傷歌1 ・つひにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを

(18)

第2項本研究の成果

 質問紙調査の結果から、生徒たちの古典に対する意識が変容したことがわか

る。(表4−1)

表4−1 古典の「作品」「授業」が好きかどうか。(7件法)

5月下旬 9月下旬 対応のあるt検定 作品

m=112

平均 3.76 4.22 t(111)=3.95**

S.D. (1.33) (1.44)

授業

m=111

平均 4.33 4.69 t(110)=3.17**

S.D. (1.25) (1.23)

**は、p<. Olである。

 古典の「作品」と「授業」が好きかどうかを質問したところ、実践前の5月 下旬と2回の実践後の9月下旬とでは高度に有意な差が見られた。このことか

ら、2回の実践を行った結果、生徒たちは古典に親しみを持つようになったこ

とがわかる。

 授業方法の工夫について、成果を検証する。

(1)グループ学習の実施

 グループ学習を実施したことにより、授業が活性化した。作品を交流するこ とで、他の人の作品を知り、自分の作品を発表することができる。作品の相互 交流が古典に対する生徒の関心を深めたことは生徒のコメントからも見てとれ

た。

(2)現代語訳の活用

 現代語訳を配布し、現代語訳から読み始めたことで、本文の内容理解を円滑 にすることができた。その後、謎解きなどの発展学習に入ることができた。

 また、教材によっては授業のまとめとして現代語訳を活用したことで、作品 の内容理解が深まった。

(3)創作活動の実施

 古典作品の結末を創作させたり、現代版を創作させたりすることで、古典を ただ読むだけではなく、作品に積極的にかかわっていくことができた。

(19)

(4)教科書教材以外の教材の使用

 教科書教材以外の教材は、生徒の実態に合った、適切な教材を選定すること によって、生徒の興味・関心を惹くことができた。その後、発展学習に入るこ

とができた。

(5)和歌の紹介

 写真や音声を交えて和歌を読んだことによって、和歌に対して興味・関心を 深めた。そして、恋歌などを読んだことにより、古典に親しみを持たせること

ができた。

上記(1)から(5)の授業方法の工夫について、生徒の評価は以下の通りである。

(表4−2)

表4−2 授業方法の工夫による生徒の評価(5件法)

生徒の評価の平均(5件法)

①グループ学習の実施 4.08

②現代語訳の活用 4.27

③創作活動の実施 4.11

④教科書教材以外の教材の使用 4.12

⑤和歌の紹介 3.88

 5点の授業方法の工夫に関して、生徒たちは総じて肯定的な評価をしていた。

その中でも、特に「②現代語訳の活用」について評価が高かったのは、事前調 査で、古典の授業が難しいと答えた生徒の9割以上が「現代語に訳すること」

が困難点として挙げていたことと関係しているであろう。現代語訳を配布し、

現代語訳から読み始めることで、困難点が解消され、古典に親しみを持つよう になったと考えられる。授業方法を工夫することで、古典に対する興味・関心 を深めることができた。

 なお、和歌の紹介の評価が他より低くなったのは、6月に実践したのを9月 に質問紙調査を行ったため、期間が開いたことが原因であると考えられる。

(20)

第3項本研究の課題

 本研究で浮かび上がった課題について、以下の(1)から(5)にまとめる。

(1)グルN一一一・・プ学習の実施

ア、時間の制約

 グループ学習を行うには、50分の授業時間中に一定の活動時間を要する。そ のため、すべての授業でグループ学習を行うことはできない。

イ、参加に消極的な生徒への支援

 グループ学習の参加に消極的な生徒もいる。全員を参加させ、活動させるた めの支援や工夫が必要である。

ウ、全体の把握

 グループによっては、上記イのような参加に消極的な生徒が集まり活性化し ないグループや、逆に、活性化しすぎるあまり、収拾がっかなくなるグループ がある。それぞれのグループに臨機応変に対応しなければならない。

 また、グループの編成を前もってしておく工夫も有効である。

(2)現代語訳の活用 ア、時期

 現代語訳を配布することは、古文の読解、知識理解に習熟していない入門期 だからこその工夫である。そのため、どの時期まで有効かどうか見定めなけれ

ばならない。

イ、本文がなおざりになってしまう危険性

 現代語訳ばかりに目がいき、本文の読解がなおざりになってしまう危険性が ある。本文を活用する工夫が必要である。

(3)創作活動の実施 ア、教材の適否

 すべての教材で創作活動を実施することはできない。創作活動に適している 教材と、そうではない教材を見極める必要がある。

イ、時間の制約

 創作活動を行うには一定の時間が必要である。単元や各授業時間の中でこの 活動をどう設定するかを検討する必要がある。

(4)教科書教材以外の教材の使用 ア、時間の制約

(21)

 年間指導計画があるため、教科書教材以外の教材を使用することは、実際に はなかなか難しい。授業時間の確保が必要となる。また、1教材につき1〜2時 間しか確保できないなどの制約もかかる。

イ、教材の選定

 授業者による教材を開発する能力が必要である。ただおもしろいからという 理由だけで選定すべきではない。

(5)和歌の紹介

ア、年間計画

 年間を通して計画を立てることが困難である。

イ、時間の制約

 毎回の授業で実施することは困難である。特定の期間のみや、週に1回など、

時間配分の工夫が必要である。

ウ、学習活動

 授業者が和歌を紹介する形になることが多く、生徒の活動が少ない。視聴覚 教材を使用するなど、生徒の学習活動の工夫が必要である。

 以上が本研究の課題として浮かび上がった。今後は、上記の課題の改善策に ついて、特に、入門期以降の現代語訳の多様な活用方法を吟味・研究する必要 がある。それらに加えて、さらなる授業方法の開発を進めていくこととする。

(22)

第2節授業モデルの提案

 本研究で、入門期の授業モデルとして、新たに2案を開発し提案する。

 「児のそら寝」については、「国語総合」の教科書の多くに掲載されており、

ほとんどが高等学校の入門期に学習する作品である。そのため、この教材の授 業方法を工夫し、生徒たちが古典に親しむことができるようにする。

  「清水寺二千度参り、双六に打ち入るる事」については、筆者が調べた限り では、掲載されている教科書は見当たらない。しかし、読みやすいため、現代 語訳を配布しなくとも、後述のように傍注の形で学習することができる。また、

本文にはいくつもの伏線があり、作品のおもしろさを実感することで、古典に 親しみを持つと考え提案する。

第1項  「児のそら寝」(『宇治拾遺物語』)

1.指導目標

①児と僧の心情を察し、想像し、古文の楽しさに触れる。【関心・意欲・態度】

②古文を原典で読むことの良さに触れる。【読むこと】

③児と僧の視点で語ることにより、表現力を養う。【表現力】

2.指導の工夫 ア、現代語訳の活用 イ、創作活動

ウ、グループ学習(ペアワーク)

エ、視聴覚教材の活用

3.授業計画(全3時間)

学習活動 授業者の支援 工夫点

1時 ・現代語訳を音読する。 ・結末部分を削除した現代語訳の ア、現代語訳 プリントを配布する。 の活用

・2箇所の空欄を考え記入する。 ・プリントに記入させる。 イ、創作活動

・5人1組のグループになり、答 ウ、グループ

えを交流する。 学習

・各班1人が全体に発表する。 ・班の中で一番良かった答えを発 表させる。

(23)

・教科書を開き、本文の範読を聞 き、その後音読する。

・空欄の正解を発表する。 ・正解の部分を現代語に訳をさせ てから、正解を発表させる。

・感想を記入する。

2時 ・歴史的仮名遣いの学習をする。 ・本文から、歴史的仮名遣いを探 し、現代仮名遣いに直させる。

・本文を音読する。

・本文と現代語訳を比較しながら、 ・本文を読み、意味がわからない ア、現代語訳 文法、古典特有語、古今異義語 語などについて、現代語訳を見 の活用

の学習をする。 て意味を確認する。

・古今異義語(おどろかす等)は 授業者が指摘してもよい。

・文法は意味と訳し方のみに抑え、

活用表などは説明しない。

・児の心中語を探す。 ・わからない生徒がいれば、引用 の格助詞の「と」に着目させる。

3時 ・隣の人と、「児の視点」と「僧の ・児の会話と心中語、僧の会話を ウ、グループ 視点」になって現代語で語り合 語り合わせる。 学習(ペアワ

う。【ペアワーク】 一ク)

・聴覚のみの世界を味わう。 ・目と閉じて、煎餅をかじる音や エ、視聴覚教 うどんをすする音などを聞かせ 材の活用 る。その際、テープ等を利用す

る。

・ペアをかえて【ペアワーク】を ・席の列を「児の視点」と決めて

行う。 おくことで、ペアを変更した際

に児と僧両方の視点になること ができる。

・児の心情を考え、ワークシート ・「わうかりなむ」「もぞ」「いま一

に記入させる。 声」「無期ののち」について、な

ぜよくないのか、なぜ返事をし たのかを考えさせる。

・僧の心情を考える。 ・僧たちはなぜ笑ったのか、僧た ちは児のそら寝に気付いていた

(24)

のか、を考えさせる。

・【ペアワーク】を行う。

・【ペアワーク】を本文で行う。 ・古文で語り合わせる。

・出典の学習をする。 ・『宇治拾遺物語』に興味・関心を 持たせる。

4.指導のポイント

①現代語訳の工夫

 配布した現代語訳は、入門期の生徒たちが興味を惹きやすいように工夫をし た。たとえば、「宵のつれづれに、」について、教科書では、「宵の所在なさに、」

と現代語訳されている。しかし、現在の高校生にこの現代語訳を読ませても理 解しにくい。難解な言い回しなどは避けるべきである。そこで、授業者は「夜

中に退屈して、」とした。

 また、「な起こしたてまつりそ。」では、「お起こし申し上げるな。」と現代語 訳されている。敬語は古典文法の中で特に難解であるため、説明が必要である が、入門期に細かく説明をしてしまうと親しみを持たなくなる。そこで今回は、

「起こすな。」や「起こしなさんな。」などといった、敬語を省いた現代語訳を 提示した。

②結末部分の削除

 結末部分を削除した現代語訳のプリントを配布する。結末部分は2箇所削除 しており、児の発言次第で、それに反応する僧たちの行動も変化に富むように

工夫した。

③聴覚のみの世界

 本文で児はそら寝をしている。そこで、生徒たちも目を閉じて、少しでも児 の気持ちに近付けるように工夫をした。

④ペアワ・一・一ク

 計4回ペアワークを実施する。児と僧の視点になることで、古典に親しみを 持つと考えた。

 また、聴覚のみの世界を味わった後、児と僧の心情を考えた語にペアワーク を再度行うことによって、作品に深くかかわることができる。

 最後に、本文でペアワークを行い、本文の良さを味わわせる。

(25)

 昔︑比叡山にある延麿寺に争供がいた︒僧たちが︑夜中に退屈し

て︑﹁さあ︑おはぎを作ろう︸と潔つたので︑と誓ったのを︑この子

供は︑期待して闘いた︒そうかといって︑作り上げるのを待って寝

ないのも︑よくないにちがいないと思って︑片隅に寄って︑寝てい

るふりで︑でき上がるのを待ったところ︑はやくも作り上げた様子

で︑騒ぎ含っている峰

 この子供が︑きっと趨こそうとするだろうと︑祷ち続けていると︑

僧が︑﹁もしもし︒お周覚めなさいませ︒﹂と醤うのを︑うれしいと

は思うけれども︑ただ︸度で返事するとしたらそれも︑待っていた

のかと思うといけないと思って︑もう噂轡呼ばれて返審しょうと︑

我慢して寝ているうちに︑﹁これ︑お遡こし串し上げるな︒幼い人は︑

寝込んでしまわれたよ.﹂と醤う芦がしたので︑ああ︑つらいと思っ

て︑もう.度趨こしてくれよと︑思いな瀞ら寝て聞くと︑むしゃむ

しゃと︑ただひたずら食べに食べる欝がしたので︑しかたなくて︑

ずっとあとになって︑向⁝﹂と返事をしてしまったので︑

僧たちは﹁一 イ    澗

図4−1現代語訳のプリント

 華

か縞拾戯 導礁︑摺創︐

t

ガ蓬礁惣瓢の山賠脅け緩鯖たち・篶翼づ歌紅:いぎ・

露.    畿勇憲驚  襲.       鷺防 餅  竃禦奪鶉︑      も

隷贈紗鴛む︑レ袖讃饗脅髭嘆齢蕊嚇言吃病し.点

し噺ださむを侍ちて寝ざ・55むも︑わηかり壕む︸緑ひで︑組むにな歴て︑

肇︐轟&︑郭魯.熱.協華  酔..       ぶ≠疏亀蔭毒亀  鐙 ぜ︐   蘂隊.穐

番たる激しにて.出で魁るを謬㍉けみ純︑.で卿配し鵬だしぬるさヱにて︑覇・い煮 ︾寄     ぎ  昏φ 袖 嚢 恭︑   琴都難戸蚕ぎζ

ひしあ爵合ひたり︐       ﹄

鱗ま でい為︑

 榊43悦︑さ≠あ︑おどろかさむぜ 姪毒待ち轟九る紅︑登の︑もの冒う饗ず.潔鷺此撃華争︸.Ψ重         .湾盛慧轟.台湘  麟   彰

串しさぶ鳶鱈む骨轟どうハせ^・糞 しξ︷3愈︑うれし 畢謡︑どξ.や︑       .鐸籍壁訴転.貸      壁ハ蕊専  葵きヒ       ︐︐

潔㎎

〜薦︑度もい︑︐へ︐隔も︐痔へ♪かとも︐︽雛弘︑ぐ い裂.声拶郵れ丸 該蓬滞寒毒鷺£︑窒激躯   3  瀞覇邑籔妙都慈  ・5−  璽其・︑書 ・

いらへむと︑息じて寝幽ノほギ総︐ヤ︑な艦︹か・︑乞噂ーーそをさな

き       襲牽禦γ・い・       晦︑ 鐸毎も多垂尋賢.      無.いき晦

き入ほ︐縦吊りれまひ瓢甘kとけふ声鱒しけれほ︑あな︐レ しと総  箋難も蕩驚撃       麹鼻姪熱贈      ㍉  旛∵へり・︑藍︸ぞ.      へρて︐い・︑︵.度趨;か之三︐饗難秘に曝酵ぱ.ひしかーレ︑.メ食ひ

  もう餐ζもで.︑       鰐   騨甲舜く〜    昏解  い.     ㌧ぞ

篇血ふ♪費け撫ほ︑ヂξぐ.醸麟卯抑L・£い畳 いくん臥 蓑へ嚢か軋妥ゼ罫︑   ・        あ    ・         享

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礁魅†燕か箏銚護 も救灘謎︑識騨 譲入げ嚥い鼠︐三暴嚢蘇謬︑盗評鐸叙曇 蓬

 ㎞し馨穫 憂転質夢鱒簾之.

駿ぴτい蕊 誰登醸 鯉継準融憩㌢峯  L

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が︑轟葦鞭  ︑︐.5り冒頭鵠

叡く維⁝垂ぜ︑麺﹂︻ 史萄.屡の由 蟻鯵向転馨懲㌧.甲の

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唾藝の串慧らは蔀  ノか鱒嘆︐

      編

脳罐麟懸獅

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鳳繕碗ハ綴本噛軽 瀞∴箏

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図4−2 教科書の本文

(26)

第2項  「清水寺二千度参り、双六に打ち入るる事」(『宇治拾遺物語』)

1.指導目標

①傍注を参考に、本文の内容を読み取ることができる。【読む能力】

②空欄の中を積極的に考えようとしている。【関心・意欲・態度】

2.指導の工夫 ア、傍注プリント イ、教材文提示の工夫

ウ、創作活動

工、登場人物宛てに手紙を書く

3.授業計画(全2時間)

学習活動 授業者の支援 工夫点

1時 ・本文①の範読を聞き、その後音 ヌする。

E傍注を参考に現代語に訳する。

E空欄を考え、発表する。

E本文②の範読を聞き、その後音 ヌする。

E傍注を参考に現代語に訳する。

E空欄を考え、発表する。

・傍注プリント①を配布する。

E一カ(長い場合は読点で区切る)

クつ現代語に訳をさせる。

E数人に発表させる。

E傍注プリント②を配布する。

E一カ(長い場合は読点で区切る)

クつ現代語に訳をさせる。

E数人に発表させる。

ア、傍注プリ 塔g

C、教材文提 ヲの工夫 E、創作活動

2時 ・本文③の範読を聞き、その後音 ヌする。

E傍注を参考に現代語に訳する。

E空欄を考え、発表する。

E空欄の答えを聞き、なぜそうな チたかを考え、発表する。

E勝侍、負侍のどちらかに手紙を 曹ュ。

・傍注プリント③を配布する。

E一カ(長い場合は読点で区切る)

@ずつ現代語に訳をさせる。

E数人に発表させる。

E勝侍が幸せに、三富が不幸にな チた結末の、伏線に気付かせる。

E勝侍、負侍に宛てた手紙を書か

@せる。手紙の形式を説明する。

ア、傍注プリ 塔g

C、教材文提 ヲの工夫 E、創作活動

E、創作活動 H、登場人物 カてに手紙を 曹ュ

(27)

4.指導のポイント

①傍注プリント

 本文の隣に注釈や現代語訳をつけた傍注プリントを使用する。難解な語に傍 注をつけており、それを見れば生徒は現代語に訳すことができる。現代語訳を 配布することよりも難易度が高くなる。

②教材文提示の工夫

 本授業では、本文の傍注プリントを3回に分けて提示する。こうすることに よって、生徒たちはストーリーの続きがあることを知り、興味を持つ。話の展 開が変わることに、本文のおもしろさを味わわせることができる。

③教材文の鑑賞

 勝侍が幸せな結末を迎えたことにはいくつもの伏線があった。それを最後に 振り返ることで、この話のおもしろさが理解できる。空欄を用意し、3回に分

けて提示したことで、その伏線に気付かせることにもなる。

④登場人物宛てに手紙を書く

 勝侍または負侍に宛てて手紙を書かせることによって、この作品に親しみを 持たせる。勝侍には賞賛の声、負侍には非難や悲哀の声などが予想されるが、

手紙を書くことを通して、生徒たち自身の生活を振り返り、これからの生活に 生かしてもらいたい。

(28)

謝額へ人壷わして︑濁鰹奄二震し尭り齢り.等の搬ひくくもなくして・

消水轡       *注︵←      それ罐製慈たないうちに

主のる¢にあ︒縛る岡しやうなる侮古劔瀬砲打ちけるが.笹く負鯨て.鍍熔

         駕麹と騰に孟うな   *濾︷2V 藩*毒二千凄参り︑三六に打ちλる愚母      きづまか今慰曹.人⑦るとに糊写してある調ありけ9︒でろ事のな登嚢壷に.       糞人⑳蒙に    野禽も堅く購い簿      批丸ること         殻4瞠蒙ウで

ぺ壺駒なか9鱒る鰭.いたく嚢あ鯵れ耀︑覇﹃纏撞もたる物なし︒

       とても       姻うて

ゆばいのなそぼ只今融へたる萄¢て越.瀧*に二選凄春りたる寡の轟嬢んあろ.等れ磁譲

      ゆたは      めさん﹄亡いひけれぼ︑       癌a駕愚かて纂む︐傑門鑑て撮く人鍵︑欄刷な︒と.

働ば      だます

ける砲.この勝ちなる雑.Cといかけり. 試か鎌

銭︷1︾瀞敏に干欝︑すなわち筆園露詣して.願いの輿境を揖ること︐

注︷葛盤L嬢麟︑盤を捻さん響鍛麗し︑盤ヒ.それぞれ麟または盤⑳士護醜を轍ぺ︑

鷲驚に入れ.榊﹂み饗を擬婆︑幽た観礁数によって翻を勤かし︑敵灘に攻め込んで勝魚

を競った←ノ.

図4−3傍注プリント①

蕩水轡二千度参9︑叙六に打ちλるる嘉

今越賛^のると鑓嚢仕鳶してある生僧あ鯵齢り.ぜ葛帯Oな◎管壷に・縛*へ人食題して.

千6崩癒二虞し海9け9.等の綾い︽ばく亀なくして.象0梅と些αoけ苓隔じゃう廓る◎4蹴

六璽鐸ちけ苓が.参く負縛マ.餓すべ◎特織〃難穏る⑫︐いなく嚢黄搾れ嬉.懲ひわびて﹁糠撞

ちな篠物愈る.R礎鞍へ亀る葡ホて健.諺*に国争壌90たろ審の蒜塗んある.等れ癒潔βん﹂

といひ鰭れ耀.麓ら鑓て随くんは.繊るなりご.毒こに譲かて纂ひけるむ.

己の膝ち鳶る侍.﹃いとよ砂事なり.蟹虚いひて︑εの負侮

       渡すなも曼け敢ろう

       う﹁亡は︐譲建﹂¢隊隠饗みていかけ難ば︑﹁いな.かくては繍け叡ら鞍.

       このままでは臨監敏るまい

  けヒ ままモ ド       らび三貝︸一﹂釜ギ繍謝﹂占ひむ鯵れ緒︐﹁よ勝事な讐秘と舞鯵け陸        受け取ろう

憲欄に入るものを2つ選ばう︒

①もう︑慶脚〜千酸滲りする

⑭仏に事舗を申す

融出家す.る

④もう悪さをしない

⑤文に鷺いて渡す

図4−4傍注プリント②

参照

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