[資 料]
大学生の居住形態別からみた
食事状況および生活習慣状況調査
西尾恵里子・太田成俊・田中雄二
(九州共立大学共通教育センター)
(平成25年 9 月 3 日受付,平成26年 2 月 3 日受理)The study on dietary habits and lifestyle
of university students based on the residence form
Eriko Nishio, Shigetoshi Ohta, Yuji Tanaka
Career and General Education Center, Kyushu Kyoritsu University,
1 8, Jiyugaoka, Yahatanishi-ku, Kitakyushu-shi, Fukuoka, 807 8585
〒807 8585 福岡県北九州市八幡西区自由ヶ丘 1 8
To understand the relationship between dietary habits and lifestyle, we asked uni-versity students in Fukuoka to complete a questionnaire. The survey was done in September, 2012.
22.2% of the students living alone who cooked for themselves ate breakfast every day, while more than half of the students in a dormitory or living with family did so (three categories p<0.05). Compared with other categories, the students living alone indicated the tendency to have an irregular meal time, have unbalanced meals, and eat alone. Three quarters of the boarding students belonged to after-school activi-ties, while only 40.0% and 51.1% of the students living at home and alone were in-volved in such activities, respectively. Concerning the circumstances of part-time work, two-thirds of the students at home have worked after-school. On the other hand, 43.6% of the dormitory students and 44.5% of single students worked. The rate of answering that they feel healthy was 40.0% of home life students, 30.4% of dormitory students, and 26.7% of single students.
The results of the questionnaire showed that single students tended to spend time alone. Therefore, they were often skipping their breakfast probably due it being both-ersome. To resolve this situation, we recommend utilizing the campus cafeteria s breakfast campaign. Using the café helps students have a balanced meal, spend time with their friend (s) and keep regular meal time schedules.
1 .緒 言
職業人としての最低限の決まりは,「時間を守って規 則正しい生活を行うこと」であろう。実際,職業人は自 分で時間を管理できているという意味で自分が「タイム キーパー」である。高校生までは何らかの形で,規則正 しい生活をするための「タイムキーパー」が学生の身近 にいる。それは,あるときは親であり,教師であり,塾 やクラブ活動であるかもしれない。それが,大学生にな るとこのタイムキーパー役を学生本人任せにする傾向に ある。大学生という期間は,その意味でまさにモラトリ アム期であるといえる。 大学生になりアパートの一人暮らしを始めた学生は, 不規則な生活を送り朝食を欠食しがちになりやすいよう である。朝食を抜いたときは講義中に眠ったり集中力を 欠いたりすると言う学生も多い。一方で,朝食を摂取す る者は,生活態度が良いことや学習態度・意欲が高いと いわれている1 4 )。一度,規則正しい生活が壊れると尾を引き,とりかえしのつかない失敗につながることもあ る。しかし,その失敗も軽度であれば,一般的な生活を するための技術を身につけていく過程と考えられるのか もしれない。一方,自宅生あるいは寮生であることは, 食事のときは一定の場所にいるという意味で,タイム キーパーがいると考えることができる。クラブ活動もそ れ自体が規則正しい生活をする一助になっている。 このような大学生特有の居住形態と食生活を含む生活 習慣の間には,どのような関連性があるのかをこの論文 で明らかにしたい。本研究では,「自宅生」,寮または下 宿(食事付き)を以下「寮生」,アパート・その他(自炊) を以下「自炊生」に分け居住形態別に食事の摂取状況, さらに,食事の摂取内容・調達方法・食事相手,食品群 別摂取頻度,生活習慣状況,健康意識について統計解析 を行った。
2 .方 法
( 1 )調査対象と時期 福岡県の私立 A 大学の 2 年生の理工系学部79人(男 子学生54人,女子学生25人)と私立 B 大学の 1 ∼ 3 年 生の経済・スポーツ学部62人(男子学生54人,女子学生 8 人)の合計141人を対象として質問票によるアンケー ト調査を行った。性別では全体で男子学生が76.6%(108 人),女子学生が23.4%(33人)であった。居住形態を 性別にみると,男子学生の自宅生は36人,寮生は35人, 自炊生は37人,女子学生の自宅生は14人,寮生は11人, 自炊生は 8 人であった。平成24年 9 月下旬に平日のライ フスタイルについて質問紙調査法による無記名式で調査 を行った。 ( 2 )調査内容 1 )食事の摂取状況 朝食,昼食,夕食,夜食について,「毎日食べる」「週 2 ∼ 3 日食べる」「ほとんど食べない」の 3 選択肢を設 けた。食事の時間の規則性と食事の量についても各々 3 選択肢を設けた。各食事について「毎日食べる」「週 2 ∼ 3 日食べる」の選択肢を選んだ場合は,さらに摂取内 容について 3 選択肢,調達方法について 6 選択肢,食事 相手について 4 選択肢を設けた。 2 )食品群別摂取頻度 門田が作成した5 )項目を使い,色の濃い野菜,色の淡 い野菜,海藻類,果物,牛乳(ヨーグルト),魚・肉,卵, 豆腐・豆類,の摂取状況について 3 選択肢を設けた。 3 )生活習慣状況 起床時刻と就寝時刻については,起床は「午前 8 時ま で」と「午前 8 時過ぎ」,就寝は「午後12時まで」と「午 後12時過ぎ」に,睡眠時間は「 8 時間以上」「 7 ∼ 8 時間」 「 6 ∼ 7 時間」「 5 ∼ 6 時間」「 5 時間未満」に分類した。 また,決まった時間に就寝しているかどうかについては, 「はい」「いいえ」で質問した。 お酒,たばことお菓子などの嗜好品,ファスト・フー ド,課外活動としての運動の実施状況,クラブやサーク ル活動の実施状況とアルバイトの実施状況について 2 ∼ 4 選択肢を設けた。 4 )健康意識 朝の目覚め,風邪のひきやすさ,疲労感,集中力の有 無,健康状態について 3 選択肢を設けた。 ( 3 )解 析 各項目への回答についてコード化し,市販の統計ソフ トパッケージ秀吉 Dplus を用いて統計処理を行った。な お,無回答だった学生は,「無回答」に分類した。 まず,性別で調査項目についてクロス集計したところ, 有意差が認められたのは,海藻類の摂取頻度,喫煙,健 康状態,クラブやサークル活動の実施状況の 4 項目で あった。“( 1 )調査対象と時期”で述べたように男子学 生が108人,女子学生が33人で女子学生が少ないことから, 次に,居住形態別に調査項目の結果についてクロス集計 した。クロス集計はχ2 検定を用い, 5 %水準未満を有 意とした。3 .結果と考察
( 1 )性別と全調査項目 性別で全調査項目,すなわち食事の摂取状況,食品群 別摂取頻度,生活習慣状況,健康意識についてクロス集 計をした。全調査項目の中で有意差がみられたのは,食 品群別摂取頻度の 1 項目と生活習慣状況の 3 項目であっ た(表 1 )。 海藻類を 1 週間に 3 回以上食べる者の割合は はい と“時々”を合わせると,男子学生73.1%,女子学生60.6% で男子学生のほうが女子学生よりも摂取頻度が有意に高 かった(p<0.01)。たばこを“毎日吸う”は男子学生22.2%, 女子学生3.0%と喫煙率は男子学生のほうが高かった(p <0.05)。健康状態については“健康である”と“まあ 健康である”を合わせると男子学生85.8%,女子学生 69.7%であり,男子学生のほうが女子学生よりも有意に 健康であると自覚していた(p<0.01)。“クラブ活動や サークル活動に所属している”者の割合は男子学生 47.2%,女子学生78.8%で,明らかに女子学生のほうが 所属していた。 ( 2 )食事の摂取状況 居住形態別の食事の摂取状況を表 2 に示した。本調査 では朝食を毎日食べる者は全体で41.1%であった。男女 別にみると,“毎日食べる”は男性39.8%,女性45.5%,“週 2 ∼ 3 日食べる”は男性25.9%,女性24.2%,“ほとん ど食べない”は男性33.3%,女性30.3%であり,有意差 は認められなかった。門田6 )は,1999年に某国立大学の 学部生783人を対象に食生活を調査したところ,男子学 生のほうが女子学生よりも朝食を欠食していたこと(p表 1 性別と全調査結果から有意差のみられた項目 (%) 項 目 カテゴリ n男性 =108 女性 n=33 χ2 p値 ① 海藻類を 1 週間に 3 回以上 食べていますか 1 .はい 15.7 33.3 ** 0.007 2 .時々 57.4 27.3 3 .いいえ 26.9 39.4 ②たばこ (ここ 1 か月間) 1 .毎日吸う 22.2 3.0 * 0.026 2 .時々(週 1 程度)吸う 1.9 0.0 3 .今は吸っていない 1.9 0.0 4 .全く吸っていない 74.1 93.9 5 .無回答 0.0 3.0 ③ 健康状態についてどう思い ますか 1 .健康である 32.6 21.2 ** 0.008 2 .まあ健康である 53.2 48.5 3 .あまり健康でない 14.2 30.3 ④ クラブやサークル活動の実 施状況 1 .所属している 47.2 78.8 ** 0.003 2 .所属していない 51.9 18.2 3 .無回答 0.9 3.0 **p<0.01, *p<0.05 表 2 食事の摂取状況と居住形態別比較 (%) 項 目 カテゴリ 自宅生n =50 寮生 n=46 自炊生 n=45 全体 n=141 3 居住間 χ2 3 居住間 p値 ①朝食 1 .毎日食べる 52.0 57.8 22.2 41.1 * 0.019 2 .週 2 ∼ 3 日食べる 24.0 28.3 24.4 25.5 3 .ほとんど食べない 24.0 23.9 51.1 32.6 4 .無回答 0.0 0.0 2.2 0.7 ②昼食 1 .毎日食べる 80.0 78.3 82.2 80.1 ns 0.705 2 .週 2 ∼ 3 日食べる 12.0 13.0 15.6 13.5 3 .ほとんど食べない 6.0 8.7 2.2 5.7 4 .無回答 2.0 0.0 0.0 0.7 ③夕食 1 .毎日食べる 90.0 93.5 95.6 92.9 ns 0.335 2 .週 2 ∼ 3 日食べる 6.0 6.5 0.0 4.3 3 .ほとんど食べない 2.0 0.0 4.4 2.1 4 .無回答 2.0 0.0 0.0 0.7 ④夜食 1 .毎日食べる 4.0 6.5 8.9 6.4 ns 0.452 2 .週 2 ∼ 3 日食べる 28.0 37.0 31.1 31.9 3 .ほとんど食べない 60.0 56.5 51.1 56.0 4 .無回答 8.0 0.0 8.9 5.7 ⑤食事時間 1 .ほぼ毎日規則的 36.0 34.8 15.6 29.1 ns 0.050 2 .たまに不規則 28.0 37.0 55.6 39.7 3 .不規則なことが多い 32.0 28.3 28.9 29.8 4 .無回答 4.0 0.0 0.0 1.4 ⑥食事の量 1 .いつもお腹一杯食べる 28.0 28.3 26.7 27.7 ns 0.718 2 .時々食べ過ぎる 46.0 43.5 55.6 48.2 3 .腹八分を心がけている 24.0 28.3 17.8 23.4 4 .無回答 2.0 0.0 0.0 0.7 *p<0.05, ns 有意差なし
表 3 食事の摂取内容・調達方法・食事相手の居住形態別比較 (%) 項 目 カテゴリ 自宅生 寮生 自炊生 全体 χ2 p値 ①朝食 n=38 n=35 n=21 n=94 3 居住間 3 居住間 摂取 内容 1 .定食などのバランスの良いもの 28.9 82.9 4.8 43.6 ** 0.000 2 .カレー,うどんなどの単品料理 10.5 2.9 14.3 8.5 3 .おにぎり,カロリーメイトなどと飲み物 55.3 11.4 81.0 44.7 4 .無回答 5.3 2.9 0.0 3.2 調達 方法 1 .手作り 73.7 2.9 61.9 44.7 ** 0.000 2 .寮の食事 0.0 91.4 4.8 35.1 3 .学食 0.0 0.0 0.0 0.0 4 .コンビニエンス・ストア 15.8 5.7 23.8 13.8 5 .弁当やスーパーの弁当(総菜など) 10.5 0.0 9.5 6.4 6 .外食 0.0 0.0 0.0 0.0 食事 相手 1 .家族 34.2 0.0 4.8 14.9 ** 0.000 2 .友人 0.0 31.4 0.0 11.7 3 .アルバイト先の人 0.0 0.0 0.0 0.0 4 .一人 63.2 65.7 95.2 71.3 5 .無回答 2.6 2.9 0.0 2.1 ②昼食 n=46 n=42 n=44 n=132 摂取 内容 1 .定食などのバランスの良いもの 50.0 21.4 45.5 39.4 ns 0.145 2 .カレー,うどんなどの単品料理 32.6 52.4 34.1 39.4 3 .おにぎり,カロリーメイトなどと飲み物 15.2 19.0 13.6 15.9 4 .無回答 2.2 7.1 6.8 5.3 調達 方法 1 .手作り 39.1 4.8 18.2 21.2 ** 0.001 2 .寮の食事 0.0 7.1 2.3 3.0 3 .学食 45.7 57.1 54.5 52.3 4 .コンビニエンス・ストア 13.0 19.0 4.5 12.1 5 .弁当やスーパーの弁当(総菜など) 2.2 7.1 4.5 4.5 6 .外食 0.0 4.8 9.1 4.5 7 .無回答 0.0 0.0 6.8 2.3 食事 相手 1 .家族 6.5 0.0 2.3 3.0 ns 0.122 2 .友人 80.4 76.2 63.6 73.5 3 .アルバイト先の人 2.2 0.0 0.0 0.8 4 .一人 9.7 19.0 31.8 19.7 5 .無回答 2.2 4.8 2.3 3.0 ③夕食 n=48 n=46 n=43 n=137 ** 0.001 摂取 内容 1 .定食などのバランスの良いもの 85.2 89.1 58.1 78.1 2 .カレー,うどんなどの単品料理 8.3 6.5 37.2 16.8 3 .おにぎり,カロリーメイトなどと飲み物 0.0 2.2 0.0 0.7 4 .無回答 6.3 2.2 4.7 4.4 調達 方法 1 .手作り 81.3 10.9 62.8 51.8 ** 0.000 2 .寮の食事 0.0 69.6 4.7 24.6 3 .学食 0.0 2.2 2.3 1.5 4 .コンビニエンス・ストア 2.1 0.0 2.3 1.5 5 .弁当やスーパーの弁当(総菜など) 6.3 0.0 11.6 5.8 6 .外食 8.3 13.0 9.3 10.2 7 .無回答 2.1 4.3 7.0 4.4 食事 相手 1 .家族 70.8 2.2 2.3 26.3 ** 0.000 2 .友人 4.2 47.8 18.6 23.4 3 .アルバイト先の人 8.3 13.0 4.7 8.8 4 .一人 14.6 32.6 72.1 38.7 5 .無回答 2.1 4.3 2.3 2.9 **p<0.01, ns 有意差なし
<0.01)を報告している。山田ら7 )は2008年に岡山県居 住の教育系と保健系の 2 ∼ 4 年生の女子大生498人を対 象に食生活を調査し,72.9%の者が朝食を毎日食べると 報告している。2009年に 4 年制大学の大学生を対象とし た内閣府食育推進室の資料によると,朝食をほとんど毎 日食べる者は61.1%であった8 )。2011年国民健康・栄養 調査結果の概要によると,朝食の欠食率は,20∼29歳男 性34.1%,女性28.8%であり,男女どの年齢層よりも多 かった9 )。岡山県居住の女子大生,内閣府食育推進室の 調査した大学生および国民健康・栄養調査の20∼29歳の 男女と比較して,本調査ではかなり高い朝食欠食率が認 められた。居住形態別にみると,“朝食を毎日食べる” は自宅生52.0%,寮生57.8%,自炊生22.2%で朝食摂取 率は自炊生が最も低かった( 3 居住形態間 p<0.05,自 宅生 vs. 自炊生 p<0.05,寮生 vs. 自炊生 p<0.05)。山 田らの結果では朝食を食べる者と昼食を食べる者との関 連がみられた(p<0.01)が7 ),本調査では昼食,夕食 共に朝食との関連は少なかった。有意差はみられないも のの夜食を食べる者は朝食を食べない傾向がみられた。 渡辺ら10)は1997年に東京都内の大学生204人の食生活 の実態調査を 2 日間行ったところ,食事時間が24時間に わたり分散していることを報告している。本調査でも食 事時間が“ほぼ毎日規則的”と答えたのは,全体で29.1%, 自宅生36.0%,寮生34.8%,自炊生15.6%で,自炊生は 不規則な傾向がみられた(自宅生 vs. 自炊生 p<0.05)。 食事の量については,“いつもお腹一杯食べる”は全体 で27.7%,“時々食べ過ぎる”は全体で48.2%であり, 居住形態での有意差は認められなかった。 ( 3 )食事の摂取内容・調達方法・食事相手 居住形態別の朝食,昼食,夕食の摂取内容,調達方法, 食事相手を表 3 に示した。 1 )朝食の摂取内容・調達方法・食事相手 朝食の摂取内容については,“定食などのバランスの 良いもの”は,自宅生28.9%,寮生82.9%,自炊生4.8%, “おにぎり,カロリーメイトなどと飲み物”は,自宅生 55.3%,寮生11.4%,自炊生81.0%であった。寮生は寮 の食事でバランスの良いものを摂取しており,自炊生は 簡単な市販品などを摂取していた。自宅生も予想に反し て簡単な物を摂取している傾向があった( 3 居住形態間 p<0.01,自宅生 vs. 寮生 p<0.01,自宅生 vs. 自炊生 p <0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.01)。 次に,調達方法については,自宅生は,73.7%が“手 作り”で,そのほかは“コンビニエンス・ストア”,“弁 当やスーパーの弁当”で調達していた。寮生は91.4%が “寮の食事”を食べていた。自炊生は“手作り”は61.9% であり,“コンビニエンス・ストア”や“弁当やスーパー の弁当”で調達する者が33.3%と他の居住形態に比べて 高く,簡単に食べられる物を調達する傾向がみられた( 3 居住形態間 p<0.01,自宅生 vs. 寮生 p<0.01,寮生 vs.自炊生 p<0.01)。 食事相手については,“一人”で食べる孤食者が自宅 生63.2%,寮生65.7%,自炊生95.2%で圧倒的に多く,“家 族”と一緒に食べる自宅生は34.2%と少ない。寮生は“友 人”と食べる者は31.4%であった( 3 居住形態間 p< 0.01,自宅生 vs. 寮生 p<0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.05)。 2 )昼食の摂取内容・調達方法・食事相手 昼食の摂取内容については,“定食などのバランスの 良いもの”は,自宅生50.0%,寮生21.4%,自炊生45.5%, “カレー,うどんなどの単品料理”は,自宅生32.6%, 寮生52.4%,自炊生34.1%であった。自宅生と自炊生の およそ半数が“定食などのバランスの良いもの”,寮生 のおよそ半数が“カレー,うどんなどの単品料理”を摂 取していた。寮生は朝と晩に定食などのバランスの良い ものを食べているので,昼食は簡単な単品料理を摂取し ていることがうかがえる(自宅生 vs. 寮生 p<0.05)。 次に,調達方法については,“手作り”は自宅生39.1%, 寮生4.8%,自炊生18.2%,“学食”は自宅生45.7%,寮 生57.1%,自炊生54.5%,“コンビニエンス・ストア” と“弁当やスーパーの弁当”を合わせると自宅生15.2%, 寮生26.1%,自炊生 9 %,“外食”は自宅生0.0%,寮生 4.8%,自炊生9.1%,であった。半数の学生は学食を利 用しているが,その中で他の居住に比べて自宅生の調達 方法は,手作りの傾向が高かった( 3 居住形態間 p< 0.01,自宅生 vs. 自炊生 p<0.05,寮生 vs. 自宅生 p< 0.01)。 食事相手については,すべての群において“友人”が 多く,自宅生80.4%,寮生76.2%,自炊生63.6%の順で あり,楽しく会話しながら食べている様子がうかがえた が,自炊生に“一人”31.8%がみられた。 3 )夕食の摂取内容・調達方法・食事相手 夕食の摂取内容については,自宅生と寮生の約90%が “定食などのバランスの良いもの”を摂取していた。自 炊生はバランスの良いものは58.1%,“カレー,うどん などの単品料理”は37.2%であった( 3 居住形態間 p< 0.01,自宅生 vs. 自炊生 p<0.01,寮生 vs. 自炊生 p< 0.01)。 次に,夕食の調達方法については,自宅生の81.3%が 手作り,寮生の約70%が寮の食事,自炊者の62.8%が手 作りであった( 3 居住形態間 p<0.01,自宅生 vs. 寮生 p<0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.01)。 食事相手については,自宅生は“家族”70.8%,寮生 は“友人”47.8%,自炊生は“一人”72.1%で多かった が,集団生活の寮生においても“一人”で食べるが32.6% みられた( 3 居住形態間 p<0.01,自宅生 vs. 寮生 p< 0.01,自宅生 vs. 自炊生 p<0.01,寮生 vs. 自炊生 p< 0.01)。 以上の結果から,食事を一人で摂る孤食者は,どの居 住形態においても朝食で多くみられた。孤食者の割合は, 朝食,昼食,夕食を平均すると全体で43.3%であった。
大河原11)の1989年に644人の大学生を対象に行った食事 調査によると,朝食,昼食,夕食を平均した孤食者の割 合は,男子37.0%,女子33.0%であり,本調査では幾分 高い孤食率がみられた。「健康日本21」では「 1 日最低 1 食,きちんとした食事を, 2 人以上で楽しく,30分以 上かけてとる」者の割合を70%以上にすることを目標と している12)。自炊生は孤食になりがちであるので,最も 共に食事が可能と考えられる昼食は友人となるべく食べ るようにするなどの工夫が必要と思われる。 ( 4 )食品群別摂取頻度 居住形態別と食品群別摂取頻度は表 4 に示した。「健 康日本21」では,野菜を350 g 以上摂取することを推奨 している12)。また,平成23年国民健康・栄養調査結果の 概要9 )によると,20∼29歳の野菜摂取は234.4 g であり, 10年前に比べると21 g 程減少しており,各年齢階級別 のうちで最も少ない。農林水産省が提唱する食事バラン スガイド13)でも副菜(野菜,きのこ,いも,海藻類)は 5 ∼ 6 つ(野菜料理 5 皿程度)と定めている。毎日 1 皿 ( 1 皿70 g 程度)の濃い野菜の摂取についての回答で“は い”と“時々”を合わせたものは,自宅生88.0%,寮生 84.7%,自炊生66.7%であった(自宅生 vs. 自炊生 p< 0.05)。毎日 1 皿の淡い野菜の摂取についての回答で“は い”は,自宅生38%,寮生56.5%,自炊生24.4%であっ た( 3 居住形態間 p<0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.01)。 海藻類を 1 週間に 3 回以上摂取していますかについて “はい”と“時々”を合わせたものは,自宅生88.0%, 寮生63.0%,自炊生57.8%であった。( 3 居住形態間 p <0.01,自宅生 vs. 寮生 p<0.01,自宅生 vs. 自炊生 p< 0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.05)。海藻類を 1 週間に 3 回 以上食べる人は全体で20.3%と低く,ビタミン類,ミネ ラル類や食物摂取の不足が危惧された。自炊生は,濃い 野菜,淡い野菜と海藻類の摂取率が最も低かった。 食事バランスガイドでは,果物の摂取量の目安を 1 日 に 2 つ(みかんなら 2 個程度)と定めている。植田ら14) が,2010年に帯広大谷短期大学生活科学科栄養士過程 1 ∼ 2 年生73人を対象に食生活を調査したところ,果物と 海藻類の摂取頻度は低く,果物を摂取しないものは海藻 類も摂取していないことを報告している。本調査でも, 毎日果物を 1 個食べているが全体で14.9%と低くビタミ ン類の不足が危惧される。居住形態別にみると,“はい” と“時々”を合わせたものは,自宅生76.0%,寮生60.9%, 表 4 食品群別摂取頻度と居住形態別比較 (%) 項 目 カテゴリ 自宅生n =50 寮生 n=46 自炊生 n=45 全体 n=141 3 居住間 χ2 3 居住間 p値 ①毎日 1 皿の濃い野菜(オクラ,人参, かぼちゃなど)を食べていますか 1 .はい 24.0 21.7 15.6 20.6 ns 0.098 2 .時々 64.0 63.0 51.1 59.6 3 .いいえ 12.0 15.2 33.3 19.9 ②毎日 1 皿の淡い野菜(キャベツ,ナス, もやしなど)を食べていますか 1 .はい 38.0 56.5 24.4 30.7 ** 0.008 2 .時々 58.0 34.8 57.8 50.4 3 .いいえ 4.0 8.7 17.8 9.9 ③海藻類を 1 週間に 3 回以上食べていま すか 1 .はい 20.0 30.4 8.9 20.3 ** 0.001 2 .時々 68.0 32.6 48.9 49.7 3 .いいえ 12.0 37.0 42.2 29.4 ④毎日 1 個の果物を食べていますか 1 .はい 14.0 19.6 11.1 14.9 ns 0.163 2 .時々 62.0 41.3 44.4 49.6 3 .いいえ 22.0 39.1 44.4 34.8 4 .無回答 2.0 0.0 0.0 0.7 ⑤毎日 1 本の牛乳(またはヨーグルト) を摂っていますか 1 .はい 32.0 17.4 17.8 22.7 ns 0.190 2 .時々 40.0 34.8 35.6 36.9 3 .いいえ 28.0 47.8 46.7 40.4 ⑥毎日 1 切れの魚か肉を食べていますか 1 .はい 66.0 73.9 44.4 61.7 * 0.049 2 .時々 30.0 21.7 44.4 31.9 3 .いいえ 4.0 4.3 11.1 6.4 ⑦毎日 1 個の卵を食べていますか 1 .はい 44.0 41.3 17.8 34.3 * 0.002 2 .時々 54.0 50.0 57.8 54.3 3 .いいえ 2.0 8.7 24.4 11.4 ⑧豆腐や豆類を 1 週間に 3 回以上食べて いますか 1 .はい 28.0 32.6 13.3 24.8 ** 0.001 2 .時々 64.0 43.5 44.4 51.1 3 .いいえ 8.0 23.9 42.2 24.1 **p<0.01, *p<0.05, ns 有意差なし
自炊生55.5%で自宅生が比較的果物を摂取している傾向 がみられた。 食事バランスガイドでは牛乳・乳製品は 2 つ(牛乳な ら 1 本程度)と定めている。日本人の食事摂取基準2010 年版では,18∼29歳男性のカルシウム推奨量は800 mg/ 日,女性では650 mg/ 日に定めている15)。牛乳はカルシ ウム濃度が高く(およそ100 mg/100 mL),カルシウム とリンの存在比( 1 : 1 )も理想に近いことから16),成 人の推奨量の約 3 分の 1 は牛乳から摂取することができ る。本調査では牛乳を毎日 1 本飲んでいるかについては, 「飲んでいない」が全体で40.4%と最も高くなっており, 次いで「時々」36.9%,「飲んでいる」22.7%で,カル シウムの不足が危惧された。居住形態別にみると,“はい” と“時々”を合わせたものは,自宅生72.0%,寮生52.2%, 自炊生53.4%で,自宅生が比較的牛乳を摂取している傾 向がみられた。 魚か肉の摂取頻度は,調査項目の中で一番高い結果が 得られ,毎日一切れの魚か肉を摂取している者の割合は 表 5 生活習慣状況と居住形態別比較 (%) 項 目 カテゴリ 自宅生n =50 寮生 n= 46 自炊生 n=45 全体 n=141 3 居住間 χ2 3 居住間 p 値 ①起床時刻 1 .午前 8 時まで 98.0 67.4 84.4 83.7 ** 0.000 2 .午前 8 時過ぎ 2.0 32.6 15.6 16.3 ②就寝時刻 1 .午後12時まで 42.0 26.1 24.4 31.2 ns 0.120 2 .午後12時過ぎ 58.0 73.9 75.6 68.8 ③睡眠時間 1 .8 時間以上 6.0 13.0 20.0 12.8 ns 0.535 2 .7 ∼ 8 時間 26.0 19.6 24.4 23.4 3 .6 ∼ 7 時間 30.0 39.1 26.7 31.9 4 .5 ∼ 6 時間 24.0 17.4 22.2 21.3 5 .5 時間未満 14.0 10.9 6.7 10.6 ④ 決まった時間に就 寝していますか 1 .はい 24.0 13.0 28.9 22.0 ns 0.173 2 .いいえ 76.0 87.0 71.1 78.0 ⑤お酒 1 .毎日ビール大瓶 2 本(日本酒 2 合以上) 2.0 2.2 6.7 3.5 ns 0.102 2 .時々飲みすぎることがある 26.0 30.4 42.2 32.6 3 .ほとんど飲まない 70.0 67.4 44.4 61.0 4 .無回答 2.0 0.0 6.7 2.8 ⑥たばこ (ここ 1 か月間) 1 .毎日吸う 20.0 8.7 24.4 17.7 ns 0.433 2 .時々(週 1 程度)吸う 2.0 0.0 2.2 1.4 3 .今は吸っていない 2.0 2.2 0.0 1.4 4 .全く吸っていない 76.0 87.0 73.7 78.7 5 .無回答 0.0 2.2 0.0 0.7 ⑦ お菓子(甘いお菓 子,スナック菓子, せんべいなど) 1 .毎日何かしら食べる 18.0 17.4 11.1 15.6 ns 0.378 2 .時々食べる 62.0 65.2 53.3 60.3 3 .ほとんど食べない 20.0 17.4 33.3 23.4 4 .無回答 0.0 0.0 2.2 0.7 ⑧ファスト・フード 1 .週のうち 4 ∼ 6 回食べる 6.0 2.2 0.0 2.8 * 0.034 2 .週のうち 1 ∼ 3 回食べる 72.0 52.2 51.1 58.9 3 .食べない 21.0 45.7 48.9 37.6 4 .無回答 2.0 0.0 0.0 0.7 ⑨運動の実施状況 1 .週 3 日以上 24.0 26.1 35.6 28.4 ns 0.738 2 .週 1 ∼ 2 日 36.0 39.1 31.1 35.5 3 .ほとんどしない 40.0 32.8 33.3 36.2 ⑩ クラブやサークル 活動の実施状況 1 .所属している 40.0 73.9 51.1 54.6 * 0.012 2 .所属していない 58.0 23.9 48.9 44.0 3 .無回答 2.0 2.2 0.0 1.4 ⑪ アルバイトの実施 状況 1 .週に 5 日以上 16.0 4.3 11.1 10.6 ns 0.084 2 .週に 3 ∼ 4 日 30.0 32.6 15.6 26.2 3 .週に 1 ∼ 2 日 20.0 8.7 17.8 15.6 4 .していない 34.0 54.3 55.6 47.5 **p<0.01, *p<0.05, ns 有意差なし
全体で61.7%,次いで時々食べるが31.9%となっていた。 居住形態別にみると はい は自宅生66.0%,寮生73.9%, 自炊生44.4%で,自炊生の摂取率が低かった( 3 居住形 態間 p<0.05,寮生 vs. 自炊生 p<0.01)。 卵 1 個に含まれるたんぱく質は牛乳 1 本とほぼ同じで, アミノ酸スコアは100点でビタミン A ・ B1・B2,鉄など も含んでいるため,健康な人なら 1 個程度が適量とされ ている17)。本調査では卵を毎日 1 個摂取している者の割 合は,“はい”が全体で34.3%,次いで“時々”54.3%,“い いえ”11.4%となっており,少ない摂取傾向になってい た。居住形態別にみると“はい”は自宅生44%,寮生41.3%, 自炊生17.8%で自炊生の摂取率が低かった( 3 居住形態 間 p<0.01,自宅生 vs. 自炊生 p<0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.05)。 豆腐や豆類を 1 週間に 3 回以上摂取している者の割合 は,“はい”が全体で24.8%,自宅生28.0%,寮生32.6%, 自炊生13.3%で,自炊生の摂取率が低かった( 3 居住形 態間 p<0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.01)。 表には示していないが朝食を摂取している者は,色の 濃い野菜,色の淡い野菜,果物,乳製品,魚・肉,卵, 豆腐・豆類,海藻類の各々項目を摂取していた(p< 0.01)。また,例えば色の濃い野菜を良く摂取している 者は今回調査したすべての食品群を良く摂取していると いうように,すべての項目間で有意差がみられた(濃い 野菜と牛乳 p<0.05,他の項目間においては p<0.01)。 今回調査した食品摂取群の中で,自炊生は孤食の割合も 高いことからバランス良く食品を摂取していなかった。 ( 5 )生活習慣状況 居住形態別と生活習慣状況を表 5 に示した。起床時刻 は午前 4 時半∼午前10時に分布しており,午前 8 時まで は全体では83.7%,自宅生98.0%,寮生67.4%,自炊生 84.4%であった(起床時刻と 3 居住形態間 p<0.01,自 宅生 vs. 寮生 p<0.01,自宅生 vs. 自炊生 p<0.01)。就 寝時刻は午後 9 時∼午前 5 時までに分布し,午後12時過 ぎは全体で68.8%,自宅生58.0%,寮生73.9%,自炊生 75.6%で,遅い時刻に就寝していることが認められた。 自宅生は他の居住形態に比べて12時前に就寝して 8 時ま でに起床する傾向がみられた。睡眠時間は全体でみると 6 ∼ 7 時間の者が一番多かった(31.9%)。睡眠時間を 平均すると 6 時間16分であり,NHK 生活時間調査18)に よる2010年の学生の平日の睡眠時間 7 時間40分よりも 1 時間半ほど短かった。居住形態別にみると自宅生 5 時間 58分,寮生 6 時間22分,自炊生 6 時間29分で自宅生が一 番短かった。奥田ら19)の報告している1999年の女子大生 の睡眠時間, 6 時間29分よりもさらに短かった。決まっ た時間に就寝している者は全体で22.0%,自宅生24.0%, 寮生13.0%,自炊生28.9%であり不規則な生活をしてい ることがわかった。寮生の就寝時間は最も不規則な傾向 にあった。 飲酒は“毎日ビール大瓶 2 本(日本酒 2 合以上)”と “時々飲みすぎることがある”を合わせたものは,自宅 生28.0%,寮生32.6%,自炊生48.9%で,自炊生が高い 傾向にあった。国民健康・栄養調査結果の概要によると, 平成23年の20∼29歳の喫煙率は20.1%であった9 )。本調 査では,全体で毎日喫煙が17.7%,週 1 程度喫煙が1.4% と喫煙率はおよそ20.0%であった。たばこを“毎日喫煙” と“時々(週 1 程度)喫煙”を合わせたものは,自宅生 22.0%,寮生8.7%,自炊生26.6%で,喫煙率は高い順 に自炊生,自宅生,寮生であった。 間食についてはお菓子を“ほとんど食べない”は,自 宅生20.0%,寮生17.4%,自炊生33.3%で,間食の摂取 率は低い順に自炊生,自宅生,寮生であった。ファスト・ フードについては,“食べない”が,自宅生21.0%,寮 生45.7%,自炊生48.9%で,自炊生の摂取率が低かった (ファスト・フードの 3 居住形態間 p<0.05,自宅生 vs.寮生 p<0.05,自宅生 vs. 自炊生 p<0.05)。 運動の実施状況は,居住形態による差異は認められな かった。クラブやサークルの活動状況については“所属 していない”が自宅生58.0%,寮生23.9%,自炊生48.9% で,所属をしていない順に自宅生,自炊生,寮生の順で あった( 3 居住形態間 p<0.05,自宅生 vs. 寮生 p< 0.01,寮生 vs. 自炊生 p<0.05)。アルバイトの実施状況 については“していない”が,自宅生34.0%,寮生54.3%, 自炊生55.6%で,アルバイトをしていない順に自炊生, 寮生,自宅生であった。 自炊生は予想に反して,積極的にアルバイト,クラブ やサークル活動を行っているわけではなかった。また 3 居住形態の中で朝,昼と夕食ともに孤食率が最も高く, 自炊生は一人で過ごす傾向にあると考えられた。朝食摂 取率が低いことも合わせて,例えば本大学で実施してい るような“朝食キャンペーン”などを利用して 1 日の始 まりである朝食を友人とともに100円の定食を摂ること も有効であると考えられる。また,アルバイト,クラブ やサークル活動を積極的に行い,人と接する機会をもち ながら生活を送ることも重要であると考えられる。 ( 6 )健康意識 居住形態別と健康意識を表 6 に示した。朝の目覚めに ついて“あまり良くない”が,自宅生44.0%,寮生41.3%, 自炊生35.6%で,自宅生の朝の目覚めがあまり良くない 傾向であった。自宅生は他の居住形態に比べて早寝,早 起きするものの,多くが通学に時間がかかるために睡眠 時間が 5 時間58分で他の居住形態に比べると30分ほど短 くなるからだと思われた。風邪のひきやすさについて“は い”が自宅生14.0%,寮生2.2%,自炊生11.1%で,寮 生が最も風邪をひきにくい傾向がみられた。疲労感につ いては,居住形態にかかわらず約半数の学生が疲れを感 じていた。この原因として,睡眠時間,通学,寮での気 疲れ,朝食の欠食,アルバイトやクラブ活動などが考え
られる。集中力について“ある”が自宅生12.0%,寮生 15.2%,自炊生24.4%で,自炊生が最も集中力がある傾 向が示された。自炊生は他の居住形態に比べて一人で家 事などの雑事をこなしていることも一因と思われる。健 康状態について, 健康である と回答した者の割合は 自宅生40.0%,寮生30.4%,自炊生26.7%で,自宅生が 健康であると自覚している傾向があった。家族とともに 比較的規則正しい生活を送り,かつ家族で食事をするな ど安心感が影響しているのではないかと考えられる。
4 .要 約
2012年に福岡に住む大学生141人(男子学生108人,女 子学生33人)を対象として居住形態別に食事の摂取状況, さらに,食事の摂取内容・調達方法・食事相手,食品群 別摂取頻度,生活習慣状況,健康意識について統計解析 を行った。統計解析を行った結果は以下のとおりである。 1 )自炊生はわずか22.2%しか朝食を毎日食べておらず, 朝食の摂取頻度が一番低かった( 3 居住形態間 p< 0.05)。朝食を摂取している者の約 3 分の 1 はコンビ ニエンス・ストアや弁当で調達していた。また,食事 時間が不規則であり,バランス良く食品を摂取してお らず,孤食率も高い傾向を示した。 2 )自宅生は他の居住形態に比べて12時前に就寝して 8 時までに起床する傾向がみられ(起床時刻と 3 居住形 態間 p<0.01),睡眠時間が 5 時間58分と一番短かった。 寮生の就寝時間は最も不規則な傾向にあった。 3 )飲酒率と喫煙率は自炊生が高い傾向にあった。間食 の摂取率は,低い順に自炊生,自宅生,寮生であった。 ファスト・フードの摂取率は,低い順に自炊生,自宅 生,寮生であった( 3 居住形態間 p<0.05)。クラブ やサークル活動の所属状況は,寮生73.9%,自炊生 51.5%,自宅生40.0%の順であった( 3 居住形態間 p <0.05)。アルバイトの実施状況は,自宅生66.0%, 寮生45.6%,自炊生44.5%の順であった。 4 )“健康である”と回答した者の割合は自宅生40.0%, 寮生30.4%,自炊生26.7%であった。 5 )自炊生は,積極的にアルバイト,クラブやサークル 活動を行っているわけではなく,また三食ともに孤食 率も高いことから一人で過ごす傾向にあると考えられ た。謝 辞
本研究を進めるにあたって,有益な御助言を頂きまし た九州共立大学スポーツ学部 富田純史教授に厚く御礼 申し上げます。 文 献 1 ) 香川靖雄:科学が証明する 新・朝食のすすめ,女子栄 養大学出版部,東京(2007)2 ) Overby, N. and Hoigaard, R.:Diet and behabioral problems at school in Norwegian adolescents,Food Nutr .Res., 56, 17231(2012) 表 6 健康意識と居住形態別比較 (%) 項 目 カテゴリ 自宅生n =50 寮生 n=46 自炊生 n=45 全体 n=141 3 居住間 χ2 3 居住間 p値 ①朝の目覚め 1 .良い 16.0 17.4 31.1 21.3 ns 0.440 2 .まあ良い 40.0 39.1 33.3 37.6 3 .あまり良くない 44.0 41.3 35.6 40.4 4 .無回答 0.0 2.2 0.0 0.7 ② 風邪をひきやすいで すか 1 .はい 14.0 2.2 11.1 9.2 ns 0.279 2 .時々 26.0 28.3 35.6 29.8 3 .いいえ 60.0 67.4 53.3 60.3 4 .無回答 0.0 2.2 0.0 0.7 ③ 疲れを感じることが ありますか 1 .はい 50.0 43.5 46.7 46.8 ns 0.679 2 .時々 38.0 37.0 44.4 39.7 3 .いいえ 12.0 17.4 8.9 12.8 4 .無回答 0.0 2.2 0.0 0.7 ④集中力はありますか 1 .はい 12.0 15.2 24.4 17.0 ns 0.352 2 .まあまあ 64.0 63.0 46.7 58.2 3 .いいえ 24.0 19.6 28.9 24.1 4 .無回答 0.0 2.2 0.0 0.7 ⑤ 健康状態についてど う思いますか 1 .健康である 40.0 30.4 26.7 32.6 ns 0.566 2 .まあ健康である 46.0 58.7 55.6 53.2 3 .あまり健康でない 14.0 10.9 17.8 14.2 ns 有意差なし
3 ) So, WY.:Association between frequency of breakfast consumption and academic performance in healthy Korean adolescents, Iran. J. Public Health, 42, 25 32(2013)
4 ) 大関知子,藤吉恭子:朝食欠食習慣をもつ大学生のため の教育に関する研究,J. Life Sci. Res., 9, 31 37(2011) 5 ) 門田新一郎:高校生の健康習慣に関する意識,知識,態 度について―食物摂取頻度調査との関連―,栄養学雑誌, 62, 9 18(2004) 6 ) 門田新一郎:大学生の生活習慣病に関する意識,知識, 行動について,日本公衆衛生雑誌,49,554 563(2004) 7 ) 山田英明,山本裕子,門田新一郎:大学生の食育に関す る基礎的研究―女子学生の食生活調査結果から―,学校保 健研究,52,236 245(2010) 8 ) 内閣府食育推進室:「大学生の食に関する実態や意識につ いてのインターネット調査」結果の概要(2009),http:// www8.cao.go.jp/syokuiku/more/research/pdf/syoku-report. pdf 9 ) 厚生労働省:平成23年国民健康・栄養調査結果の概要 (2011),http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002q 1st.html 10) 渡辺敦子,飯田文子,川野亜紀,大越ひろ,三輪里子: 大学生の食事時間と食生活の実態,日本食生活学会誌,10, 45 52(2000) 11) 大河原悦子,小泉直子,藤本晴美,菅陽子,田中久美子, 浦畑育生,香月文子:男女学生のライフスタイルと健康と の関連,栄養学雑誌,52,173 189(1994) 12) 厚生労働省:健康日本21(第 2 次) 13) 農 林 水 産 省: 食 事 バ ラ ン ス ガ イ ド,http://www.maff. go.jp/j/balance_guide 14) 植田志摩子,北村和子:食生活と健康に関する研究 第 3 報―短期大学生の食生活状況および健康状態について―, 帯広大谷短期大学紀要,48,99 107(2011) 15) 城田知子,田村明,平戸八千代:イラスト栄養学総論, 東京教学舎,東京,p.172(2010) 16) 城田知子,田村明,平戸八千代:イラスト栄養学総論, 東京教学舎,東京,p.43(2010) 17) 本多京子:いきいきビジネスライフ! これだけ栄養学 基礎編∼健康をつくる栄養素∼,産業能率大学,東京,p.39 40(2010) 18) NHK 放送文化研究所:2010年国民生活時間調査報告書 (2011),http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/ lifetime/pdf/110223.pdf 19) 奥田和子,倉賀野妙子,北尾敦子,飯原知恵:夜型食行 動と生活習慣がもたらす朝食の欠食への影響,日本食生活 学会誌,11,375 380(2001)