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ポリマーの光機能開拓

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Academic year: 2021

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情報の表示・記録のための光学ポリマー材料 

巻頭言

ポリマーの光機能開拓

藤 掛 英 夫

(東北大学)

 私は,長年,フレキシブルディスプレイを実現するため,有機材料の機能開拓に携 わってきました.それらの研究は,柔らかい有機物であるポリマー,液晶,有機半導 体,有機導電体などの新たな光・電子機能を見いだし,種々の要素デバイス(光変調 器,発光素子,トランジスター,電極,配線,光学部材)に応用する取り組みです.

分子鎖の熱運動が少なく安定なポリマーは,分子構造はもとより凝集状態にも大きな 設計自由度を有し,その機能開拓は有機化学,熱力学,量子力学,光学にわたる融合 研究分野といえます.有機材料は一般に,無機物に対して原子・分子の相互作用が弱 く,充填度が低いのが特徴です.これまでポリマーをはじめとするソフトマターは,

無機結晶の固体物理のような堅固な理論体系がなされておらず,厳密な取り扱いが困 難とされてきました.しかし昨今,分子軌道計算や分子構造解析が発展したことによ り,新たな機能開拓の試みが活発化しています.

 これまでポリマー技術は,軽量・量産性・安価などの利点により,生活環境の構造 物における金属・金属酸化物(石材,ガラスなど)をプラスチック・ゴムなどに置き 替えてきました.そして昨今,ポリマーは光機能性材料という観点でも確立されつつ あります.通信分野の代表としてはプラスチック光ファイバーですし,記録分野の ディスクメディアにはポリマー基板が使用され,表示分野の偏光板や光学補償板は,

ポリマーのフィルムで構成されています.特に,表示分野の液晶ディスプレイであれ ば,ポリマーの異方性化を活用して液晶分子の配向が制御されています.次世代表示 デバイスとして期待される有機

EL

には,低分子の有機半導体も使用されますが,将 来,量産性の高い印刷作製を可能とするポリマー半導体への期待も高まっています.

その一方で,記録メディアではミクロ化・高密度化を指向して,ポリマー物性を光で 制御する試みも進められており,波長オーダーから分子オーダーへ,さらに二次元か ら三次元へと記録容量を拡大するための挑戦が続いています.

 これまで私は,本誌

光学

の編集委員や講演会世話人として,新しい研究の芽が 育っていくのを間近に見てきました.今回の一般社団法人日本光学会の設立に際し て,総合デパートにはない専門店の機動力が発揮されることにより,ソフトマターの 機能開拓など新分野の創出が活性化することを期待しています.

参照

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