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地震情報と防災対策

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Academic year: 2021

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- 4 - 阪神・淡路大震災をきっかけとして,わが 国の都市防災は根本的な改変を迫られるこ とになった。あれから 3 年,公共建築物や高 速道路など建築・土木施設の耐震補強とい ったハード対策から,国・地方自治体の防災 計画の再検討などソフト対策に至るまで, さまざまな面で改革が進行している。

地震情報も例外ではない。たとえば,昨年 1996 年 10 月には気象庁の震度階が大幅に 改正された。震災をきっかけに,気象庁では 計測震度計で震度 7 を計測できるようにあ らため,これを速報することにしたととも に,震度 5 と震度 6 をそれぞれ震度 5 弱,震 度 5 強,震度 6 弱,震度 6 強に細分化して震 度情報そのものも改訂した。また震災以来, 気象庁は震度の観測点を 600 に増やした し,97 年 11 月には,地方自治体が導入した 震度計のうち検査に適合したものを気象庁 の震度として認定する措置をとったため, 観測点は約 1200 に倍増した。震度は地震の 揺れを表わす尺度であるが,被害を推定す るおおまかな目安としても使われる。

これらの措置によって,震度は被害予測 の指標として前よりずっとシャープになる とともに,地域に密着したきめこまかい情 報が集まるようになった。

震度以外にも,地震関連情報はいま劇的

といっていいほど変化しつつある。

「津波予報」がその一つである。従来,津 波の予報区は北海道から沖縄までの沿岸を 18 の予報区に分け,それぞれの予報区ごと に,2 メートル程度の津波が予想される場合 に「津波」という警報を,また 3 メートル以 上の津波が予想される場合に「大津波」とい う警報を発表する仕組みであった。

この仕組みは,早ければ 1998 年中にも大 幅に変わることになる。簡単にいうと,まず 津波予報区が細分化される。つまり,数県に またがる広い地域を一つの予報区としてい た従来の 18 区分から,原則として予報区を 都道府県単位にする。しかも,北海道のよう に同一都道府県であっても海岸線が長い地 域,あるいは青森や東京のように地域によ って津波の高さが大きく異なる地域はさら に分割するため,予報区はいっきょに 50 以 上になる。また,量的予報の概念も導入され た。これは,従来の「津波」,「大津波」など の警報を発表した後,予想される津波の高 さを定量的に発表するもので,「○日○時○

分,伊豆諸島に 4 メートル以上の大津波が来 襲すると予想される⊥「○日○時○分,静岡 県に 6 メートル以上の大津波が来襲すると 予想される」などという情報が出るように なる。このように,津波予報は,「細分化」と

●巻頭随想

地震情報と防災対策

東京大学社会情報研究所

廣 井 脩

教授

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「定量化」に向かって大きく変わろうとし ている。

また,「余震情報」もいちじるしく変化す る。具体的にいうと,科学技術庁の地震調査 委員会と気象庁は,ごく近い将来,被害を伴 う大地震の後には「余震の確率評価」を出す 方針を固めた。大地震後の余震については, いままでも地震予知連絡会などが適宜発表 してきたが,その内容は「今後マグニチュー ド 6。0 以上の余震が起こる危険がある」と いった定性的なものであった。

これを,たとえば「今後○日の問にマグニ チュード 6.0 以上の余震が起こる確率は

○%,5.O 以上の余震が起こる確率は○%」と いうように定量的に発表するというのであ る。

さらに,もう一つ検討されていることが ある。地震調査委員会では,96 年 9 月に糸 魚川一静岡構造線活断層系の調査結果を, また 97 年 8 月には沖縄・国布津一松田断層 帯の調査結果を公表し,これらの断層の将 来の活動を予測した。その予測の内容は,ど ちらも「現在を含む今後数百年以内にマグ ニチュード 8 程度の地震が発生する可能性 がある(高い)」というものであった。

これは,定量的な評価にはちがいないが,

「現在を含む今後数百年以内」などという 評価ではあまりに漠然として対策のとりよ うがない,という意見を受けて,現在,地震 調査委員会は活断層の活動評価を「今後 30 年(50 年,10 年)以内に地震が起こる可能性 は○○%」という確率表現で行う方向を模索 している。

以上触れてきたように,地震関連情報は いま,急速に「細分化」と「定量化」の方向

に向かっているわけだが,ここで肝心なの は,こういう情報を防災機関はいったいど う活用すべきか,ということである。

もし,地震調査委員会や気象庁が,防災活 動に直接役立つ情報を出してくれるならば, もちろんそれが一番望ましい。津波予報に ついていえば,「4 メートル以上の津波がく ると,木造家屋はすべて破壊され,漁船の被 害率は 50%,ただし鉄筋コンクリートビルは 持ちこたえる」などという情報が出されれ ば,防災対策の重要な目安になるにちがい ない。余震情報についても,防災機関として は「最大余震がどの地域を襲うのか,またそ の発生時期はいつか,最大余震が起こった とき一番揺れる地域の震度はいくつか」な どという情報がもっとも欲しいところであ る。

しかし現状では,地震調査委員会や気象 庁が,防災に直結するこうした情報を出せ る段階になく,今後の研究課題とされてい るのも,一方の事実である。つまり,地震関 連情報は急速に精緻になってきてはいるも のの,その情報がストレートに防災に直結 するレベルにはまだ至っていない。言い換 えれば,こうした情報を防災対策に生かす ためには,いまひとつ捻った工夫が必要だ ということでもある。

地震関連情報の現状をふまえ,なおかつ, 現段階でそれを防災対策にどう生かすべき なのか,このことがいま,われわれ防災関係 者に突きつけられた大きな課題だと筆者は 考えている。

参照

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