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開 ~に 対 するレーダ 方 程 式 は 一 般 に, 次 式 で 与 えられる. o. -' rn, 山 1

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(1)

Vol. 36特11

pp. 113‑123 

7 .   レーダデータの解析手法

藤田正晴*I 中村健治*2

Robert Meneghini DavidAtlas

(平成元年5月25日受理)

7 .   TECHNIQUES FOR RADAR DATA PROCESSING 

A M M  

R L   U T   M A   A d   kn

A J Q U MD・1d

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B

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m M  

a u  

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前 北 Mn w 

This paper concerns algorithms for rain rate profiling with an airborne or space‑borne radar.  Some problems involved in the radar measurements from an airborne or space‑borne platform  are  first  discussed  briefly.  An outline  of  a dual‑frequency  algorithm  is  described  and  its  prformanceis  confirmed by a computer simulation experiment and an airborne experiment. A  single‑frequency algorithm is  also developed by introducing a path‑integrated rain rate estimated  from an attenuation of surface echoes or from microwave brightness temperature. The result of a  computer simulation  experiment shows its  promising performance for  an airborne or space‑ borne radar. 

1

. ま え が き

降雨は,地球の水収支や熱収支を支配する大きな要因 の一つである.特に地球上の降雨量の過半をしめる熱帯 地方の降雨の状況を把握することは,地球環境を理解し 評価する上で非常に重要な意味を持つ. しかし,地球表 面の約7割は海洋で覆われているほか,熱帯地方には深 い森林が多く,従来の手法を用いて全地球的規模で降雨 観測を行うことは困難である.この様な困難を解決し,

広い範囲にわたる観測を効果的に実現するための有力な 手段の一つが衛星を用いたリモートセンシングであり,

現在,日本と米国の協力のもとにTRMM(Tropical  Rainfall  Measuring  Mission)衛星計画I)が進めら れつつある

当所では,このTRMM衛星計画に先立つて航空機搭 載用雨峻散乱計/放射計システムωを開発し.上空か らの降雨観測の有効性を実証してきたほか,散乱計を用 いた降雨強度プロファイルの推定アルゴリズムの検討3)

や放射計を用いた降雨観測の検討引などを実施してき

•I 通信技術部通信装置研究室 叫 電 波 応 用 部 電 波 計 測 研 究 室

NASAゴダード宇宙飛行センター

た.航空機を用いた実験は衛星観測のシミュレーション としての意味を持ち,従ってここで得られた知見は TRMM衛星のデータ処理にとって有効であるばかり でなく,衛星による定量的降雨観測の可能性を示すこと によって,その実現に寄与することが出来るものと考え られる. TRMM衛星のデータ処理を念頭に置いた降 雨強度推定アルゴリズムの検討は米国に於いても進めら れており円又,雨域散乱計/放射計を用いた当所と GSFC/NASA (ゴタード宇宙飛行センター/米国航 空宇宙局)との共同研究に基づく解析ωも実施されて いるが,本文に於いては主として当所で開発,検討を行っ た降雨強度推定手法(3)(7)について述べる.

2.  レーダを用いた降雨観測

水滴の集合である降雨にマイクロ波を照射すると,そ の一部は水滴によって散乱され照射方向に戻る(後方散 乱される).後方散乱の能率を示す後方散乱断面積は,

雨滴を球形の誘電体で近似し, ミーの散乱理論を適用す ることによって厳密に求めることが出来る.更に,雨滴 がマイクロ波の波長に比べて十分に小さい場合には,後 方散乱断面積は雨滴の直径の6乗に比例する形に近似で きる.これをレーレー近似という.降雨は様々の大きさ 113 

(2)

の雨滴の集合であり,単位体積内に含まれる雨滴の大き さ対個数の関係を表す雨滴粒径分布によって特徴付けら れる.この雨滴粒径分布を測定できれば降雨の状況を的 確に把握することが出来るが, レーダを用いる手法は未 だ研究段階にあり,十分に信頼できる手法は確立されて いない.そこで通常,受信電力から導かれるレーダ反射 因子から経験則を用いて降雨強度を求めることが広く行 われている.レーダ反射因子をZ(mm6I m3),降雨 強度をR(mm I h)とすると, レーレー近似が成り立 つSバンドやCバンドの周波数帯のレーダでは両者の 関係は,

Z=BR11 ……(1)  で一般に表現されている.パラメータB,f1の値は理 論と実験の両面から様々に検討がなされており,降雨の 状況や気象条件によって大きく変化することが報告され ているωωが,実際的にはB=200,β=1.6の値が用 いられることが多い. レーダで測定される降雨からの後 方散乱電力からレーダ反射因子を求め,降雨強度を推定 するためには, レーダの較正を正確に行う必要がある.

通常の降雨レーダで用いられるSバンドやCバンドの 電波の降雨による減衰は,その観測距離が極端に長い場 合をのぞいては無視できるので, Z‑R関係((1)式)の パラメータ B・,βを仮定し,雨量計を用いて測定した 降雨強度から算出したレーダ反射因子,または地上で測 定した雨滴粒径分布から理論的に求めたレーダ反射因子 とレーダ受信電力を比較することによってレーダの較正 係数を決定することが広く行われている.このレーダ較 正係数は降雨の状態と共に変化するので,正確な降雨強 度の測定のためには,少なくとも各降雨毎に較正係数を 決定する必要がある(10).国内外に於いて広く用いられ ている地上設置の降雨レーダの場合には,較正用の降雨 観測装置の設置は比較的容易であり,レーダの較正が適 宜行える(11)ために信頼性の高いデータを供給できるで あろう.しかし,航空機や衛星などにレーダを搭載し,

降雨観測を行う場合には較正をいかにして行うかが問題 となろう. SバンドやCバンド以外に,より高い周波 数の電波も降雨レーダに使用することが出来る. しかし,

これらの周波数の電波は測定の対象である降雨によって 減衰を蒙るという性質があるために,伝搬路におけるレー ダ波の減衰補正を適切に行う必要がある.更に,波長が 短くなるためにレーレー近似が成り立たなくなり, ミー の散乱理論に基づく厳密な取扱が必要となる.高い周波 数のレーダを用いて降雨強度を求める際の問題点の指摘 やアルゴリズムの提案がHitschfeldとBordanU2lに よってなされ,後年MeneghiniU3Jによってその改良 が行われているが,そのいずれもがレーダ反射因子の値

そのものを必要としており,従ってレーダの較正が不可 欠である. しかし,高い周波数(降雨減衰周波数)に於 いては伝搬通路上の降雨によるレーダ波の減衰があるた めに,レーダの較正は一般に困難な場合が多い.更に,

これらのレーダが航空機や衛星に搭載される場合にはそ の較正はより一層困難となるので,他の観測手法を併用 するか,または較正が不要な降雨強度推定アルゴリズム を開発する必要がある.

3 .   2

周波アルゴリズム

当所に於いては,昭和53〜54年度に航空機搭載用雨域 散乱計/放射計システムωの開発を行った.本システ ムはlOGHz帯及び35GHz帯の2周波で動作するレー ダとマイクロ波放射計(ラジオメータ)で構成されてお り,ほぼ同時に降雨域の同じ部分を能動的及び受動的に 観測できるという特徴をもっている.ここで使用されて いる周波数帯に於いては降雨による減衰が無視し得ず,

従って本システムを用いて降雨強度分布の観測を行うた めには前節で述べた減衰補正及び較正の問題を解決する 必要がある.これらの点を考慮して開発した.降雨強度 プロファイル推定のための2周波アルゴリズムについて 以下に述べる.

開~に対するレーダ方程式は一般に,次式で与えられる.

I K F

f

P=....F10‑0.2

kdr  r‑

ここに, P:平均受信電力 C:レーダ定数,

K:雨滴の誘電係数,

z .

:降雨の実効レーダ反射因子,

r:散乱体積までの距離,

F:外部較正係数,

h:レーダ波の減衰係数,

・・・・(2)

である.(2)式の減衰積分項をレンジビンの長さdを単 位とする和で表現し,隣合うレンジビンからの受信電力 の比をとると次式を得る.

P(i+l)  Z.(i+l)r(i)2  o.•-'••rn••,山、1

一一一一= .  ・10‑u.1

副 臥 … …

2 3)

P(i)  z.Wr(i+ 1)2 

ここに iはレンジビンの番号である.受信電力の比を とることによって,レーダ定数,雨滴の誘電係数,及び

(航空機や衛星搭載レーダにとって,又降雨減衰周波数 帯のレーダにとって,その決定が困難な)較正係数を消 去することが出来る.(3)式の常用対数をとり,項を整理 すると次式を得る.

logP(i+llogP(i)+2{ log r( i+ 1)logr(i)} 

=log Z.C i+ 1)logZ.(i)

O.ld{k(i)+k(i+ 1)} 

・・・・・・(4)

(3)

Vol. 36特11

(4)式の左辺は距離補正を施した受信電力の比に対応して おり,観測データから得られる量である.一方,右辺は 降雨によるレーダ波の後方散乱および減表項のみで記述 されている.ここで,レーダ反射因子

z .

(mm6/m3) 

及び減衰係数k(dB/km)と降雨強度R(mm/h)を,

通常広く用いられている次の近似式で関係付ける.

Z,=BRβ 

k= ARa 

(5)式を(4)式に代入して次式を得る.

……(5 a) 

…(5 bl  logP(i+l)

logP(i)+2{logr(i+ 1)

logr(i)}

=β{logR(i+l)

logR( i)} 

‑0.lAd{R( i)a+ R( i+ 1)勺 … … (6) (6)式の左辺は先にも述べたように,観測l値から求めるこ

とが出来る量であり, M(i)で表すこととする.

M(i) =log P(i+l)

logP(i) 

+2{ log r( i+ 1)ーlogr(i)}……(7) 

(6)式の右辺には求めるべき降雨強度Rのほかに,

z.‑Rおよびk‑R関係のパラメータβ,A,α,及び レンジピンの長さ dが含まれている.dはレーダの設 計によって定まるので,パラメータ

/ 3 ,

A,αを適切に 仮定することにより,観測値Mと降雨強度Rを関係 付けることが可能となる.これらのパラメータはレーダ 波の波長や雨滴粒径分布他によって定まり,様々な値を とる. しかし,減衰係数のパラメータの雨滴粒径分布依 存性はレーダ反射因子の場合に比べて小さく,特にここ で用いられている 35GHzにおいては,その減衰は雨 滴粒径分布にほとんど依存せず降雨強度によって定まる という報告14)がある.また, lOGHz帯においても, 35 GHz帯ほどではないが同様の傾向にあり,またその減 衰量自体も 35GHz帯における値に比べてdB値で1 桁以上小さいことから,パラメータ A,αは一定値と する.一方, レーダ反射因子のパラメータは雨滴粒径分 布他によって大きく変化する伺削のでβを未知数とし て残し,降雨強度と共に推定の対象とする.

以上より,降雨強度プロファイルの推定のための基礎 方程式は次式で与えられる.

M(i) = ,B{log R( i+l)一logR(i)} 

‑0.lAd{R(i)a+ R(i+ l)a}, 

i = 1,  2,……, n‑1 ……(8)  ここにnはレンジビンの数であり,推定すべき降雨強 度(未知数)の数に等しい.これに対して,観測値と未 知数を関係づける方程式の数は(ηー1)であるが,シス テムは2周波レーダであるから方程式の総数は2(ηー1) となる.一方,未知数はn個のレンジピンにおける降 雨強度と2つの周波数における z.‑R関係のパラメー タβで あ り , 総 数 は (η+のである.従って,

2(n‑1) >η+2,すなわち n>4であれば,観測値から 何十2)個の未知数を最小2乗の意味で推定することが 出来る.ここでアルゴリズムの安定化のために, βお よびRのとり得る値の範囲に拘束を設ける.パラメー タβの合理的な値は,様々な雨滴粒径分布を仮定する ことによって理論的に求めることが出来る.そこで,こ れらの値の範囲内にβがおさまるように,

β=EsinB+η ……(9)  の形を仮定し,未知数を6に変換する.E,ηは定数で ある.また,降雨強度Rは非負であるから,

R = W ……(10) 

とおき,未知数をxに変換する.以上をまとめて,基 礎方程式は次のように書かれる.

d;(i)= <EisinB;+η;){x( i+ 1)‑x( i)} 

‑0.lA;d{lQ'(ila;+ lQx<i+lla;} 

f;(i), j= 1,  2,  i= 1,  2,…・・・n‑1 

OD ここにjは2つのレーダ周波数を表す.しかし, OD式 から明らかなように方程式は非線形であるから,通常の 最小2乗法を適用することはできない.そこで仙式をテ イラー展開の手法を用いて線形化し,反復計算によって 推定値に収束させる.OD式を線形化して次式を得る.

δf;W 

M;(i)‑J;(i) = 

1

L

= !

:

  一 一

ax(l) ιx(l)xo(l)) δ{;(i) 

十 ー ム ーδB;  8,‑B; ;u  '  j = 1,  2,  i = 1,  2, … ,n‑1  ここに添え字Oは初期値を示す.

(12)

これにより問題は,次式を最小化するRおよびβ の値を見いだすこととなる.

;~ i~ !M;(i)-

;<iW  00(13) 

実際の計算に当たっては, Marquar世によって提案 された非線形最小2乗法のアルゴリズム【15)を使用する.

このアルゴリズムは反復計算の際の値の振動を抑えると 共に,比較的速い収束を実現するという特徴を持ってい る.表記の簡便さのために,行列表示を以下のように導 入する.

M‑f=ZX  14) ここl

MT=(Mx<D,…,M x<n‑1),M K(l),,M K(n‑1)) 

(15a)  fT = (/ X(l),…,f x<n‑1),f K(l),…,fK(n‑1)} 

(15b) 

(4)

Z= 

δf x(l)δf x(l)θfx(l) 

δx(l) δx(n δBx 

fxox(ηl) 

1 )

OfxCn‑1) ox(n

a 1 x <

η

1 )  

δBx 

fK(l)  f

一 一 −

}f K(l)  n δx(l) 

ox(l)  oxη)  v δ

fxCn‑1)δxCn‑1) 《 δfx<n‑1) 

一 日 一

δx(l) δx(n)  fJ(}K 

(15cl XT {x<O‑xo<O,…,xη)−xo(η ,)

x‑Bxo.Bx‑Bxol H15dl 上式において,添え字Tは転置を,添え字X, Kはそ れぞれ lOGHzと35GHzを示す

.x

は初期値に対す

る修正ベクトルを示し, Marquardtのアルゴリズムで はこの修正ベクトルは次式を用いて計算される.

(ZTZλl)X ZT(M‑f) ・・・06)  ここにIは単位行列, λは収束の状態を制御するため にアルゴリズム内で計算されるパラメータである.1(日式 で計算された修正ベクトルは初期値ベクトルに加えられ,

この新たなベクトルを基にして再度修正ベクトルが計算 される.この計算を繰り返し,修正値が収束判定値(通 常は10‑6)よりも小さくなればアルゴリズムは収束し たと判断し,結果を推定値とする.

実際のデータの処理を行うのに先立ち,本アルゴリズ ムの検証のために,計算機を用いたシミュレーション実 験を行った.シミュレーション実験に当たっては,まず 降雨強度プロファイルを仮定し,理論的にレーダ反射因 子と減衰係数を計算する.これらを基にして計算したレー ダ受信電力をデータとして,本アルゴリズムによって降 雨強度プロファイルを推定する.その得られた結果を仮 定した降雨強度プロファイルと比較することによってア ルゴリズムの評価を行う.降雨のレーダ反射因子や減衰 係数を降雨強度の関数として記述するためのモデルとし て,以下に示す3つ(PL, LP, MMPモデル)を採用

した.

•PL (Power Law)モデル

PLモデルでは,実効レーダ反射因子

z .

(mm6/m3)  と降雨強度R(mm/h)の関係,及び減衰係数k(dB/km) と降雨強度R(mm/h)の関係は,それぞれ次式で与え られる.

z.‑R関係

z .  

301Ru2 

z .  

= 432R1・06  k‑R関係

k = 0.012R1・18 

(10 GHz)  H17a) (35 GHz) … …(17b)  (10 GHz)……(18a) 

k = 0.219R1.o4  (35 GHz)……(18bl  lOGHzの ふR関係は Olsenほか(16)に, 35GHzの k‑R関係はAtlasとUlbrichc14】によった.

LP(Laws and Parsons)モデル

実効レーダ反射因子

z .

および減衰係数hは,雨滴粒 径分布N(D)が与えられれば,球形雨滴の仮定の基に Mieの 散 乱 理 論 を 用 い て 求 め ら れ た レ ー ダ 断 面 積 a CA., D)および全断面積Q,0., D)によって,それ ぞれ次のように書かれる(13)(17).

,4 00

z .  

Lτl a(J..D)N(D)dD  19a) 7r5IKl2 Jo  

ド 0.4刈~

Q,(J.,D)N(D)dD  ・・(19  R=1

J 了

D3N(D D)dD (19cl 

ここに Aは波長,Dは雨滴の直径,v(D)は雨滴落下速 度分布である.本LPモデルではDi=0.125mmから 6.875mmまでの28段階の球形雨滴について求めたレー ダ断面積。および全断面積仏とLawsand Parsons  の雨滴粒径分布叩を用い, (19)式の積分を和の形で表わ

して実効レーダ反射因子および減衰係数を計算した.計 算は降雨強度が1.27,  2. 54,  12. 7,  25. 4,  50. 8,  101. 6 

と152.4mm/hの場合について行い,任意の降雨強度 における値は計算値の対数値から内挿または外挿によっ て求めた.

• MMP (modified Marshall and Palmer)モデル MMPモデルはMarshalland Palmer 叩が提唱し た雨滴粒径分布に Olsen

f t ! f  

16>が改訂を加えた,次に示 すModifiedMarshall and Palmer分布に基づいて いる.

N(D) N0e‑.11v ……仰a) No= 6620Ro.o21  (1 I m3・m m) … …(20b) A =  4.lR‑0・21  (1 I m m) … …(20 c)  この分布は, (19cl式に示す降雨強度に関する積分を l〜50mm/hの範囲で満足する.この時, v(D)  (m/sec)はGunnand Kinzerの雨漏落下速度分布〈仰 を仮定している.z.‑R関係及びk‑R関係はLPモデ ルと同じ手法によって計算した.

本シミュレーションでは2周波アルゴリズムに予め与 える減衰係数のパラメータ A,αは制式の値を,レー ダ反射因子のパラメータ βの値の範囲はBattanc射を 参照して次のように選んだ.

1.6b1.2 (10 GHz) … …Clla)  1.2b0.8 (35 GHz)  ……印刷 第1表に示す降雨強度プロファイルを仮定し,各降雨 モデルを用いて疑似データを作製した.降雨からの受信

(5)

l表計算機シミュレーションで仮定した 降雨強度プロファイル

プロファ プロ7 7 プロファ プロ7ァ イJl イル2J3 イル4

20  20  19  18  18  16  17  14  16  10  12  15  12  10  14  14  13  16  12  18 

10  11  20  11  10  20  12  18  13  16  14  14  15  12  10  16  10  12  17  14  18  16  19  18 

20  20 

表中の数値は降雨強度m mh1)を示す。

電力は一般に大きく揺らいでおり,そのままでは正しく レーダ反射因子を求めることはできない.そこで通常の 降雨レーダでは,受信電力の平均化がいくつかのパルス にわたって行われる. しかし,この揺らぎを完全に無く すことは出来ない.雨域散乱計/放射計で採用している 平均化ヒットパルス数から, レーダ受信電力の矯らぎの 標準偏差は平均受信電力の約10%程度と見込まれる.

この状態を模擬するために,各モデルに従って計算され る受信電力に対し計算機で発生させた標準偏差がその 10%である乱数を加えてデータを作製し,降雨強度を 推定した.結果を第2表に示す.表中, correctは乱数 を加えないデータからの推定値を, inferredは20組の 異なる統計的性質を持つ乱数を加えたデータからの推定 値の平均値及び標準偏差を示す.乱数を加えない場合,

PLモデルにおいては降雨強度の仮定値と推定値は一致 するが,これはデータの作製及び降雨強度の推定に当たっ て同じ powerlaw型の関係を使用し,またそのパラ メータも同じ値を使用しているためである.しかし,

LPモデルおよびMMPモデルにおいては,両者の値 は一致しない.これは,シミュレーションデータ作製の 際の減衰係数と2周波アルゴリズムで用いている減衰係 数が異なること,及びz.‑R関係と k‑R関係が単純

なパワー形ではないことによる.

受信電力に揺らぎがある場合の降雨強度の推定値 (inferred)の平均値と揺らぎがない場合の推定値 (correct)の差は,プロファイル1.3,  4に関しプロ ファイル4の強雨部分をのぞいて最大でlmm/h程度 である.一方,プロファイル2については, LPとMMP モデルの両者の場合に比較的弱雨の部分において1.5 mm/h程度の相違が認められる.プロファイル2は遠 方の弱雨域を手前の強雨域を通して観測する場合に対応 しており,手前の強雨域におけるレーダ波の減衰量の見 積の相違が遠方の弱雨域の降雨強度の推定に影響してい るものと考えられる.しかし,全体の89%のレンジビ ンにおいて両者の差はlmm/h以内に納まっている.

推定された降雨強度(inferred)の標準偏差は降雨強度 のプロファイルや降雨モデルによって変化するが,全体 の70%のレンジピンにおいて 1rrim/h以下である.

しかし,プロファイル1や4のように強雨域がレーダか ら遠い部分に存在する場合,約20mm/hの降雨強度 に対してその推定値の標準偏差は4mm/hにも及ぶ.

LP及びMMPモデルにおいては,z.‑R関係のパラ メータ Fの推定値は降雨強度のプロファイルに応じて かなり異なる値をとる.しかしながら,これらの誤差は実 用的には許容できる範囲内と考えられ,ここで示したよ うにシミュレーション実験によって,本デルゴリズムは 降雨強度の推定に十分使用できることが示された.

この結果を踏まえ,昭和56年6月15日に実施された航 空機実験のデータ処浬を行った.アルゴリズムに必要な 減衰係数のパラメータの値,及びレーダ反射因子のパラ メータの値の範囲の拘束は計算機シミュレーションの場 合と同じとした.また,データ処理に必要な降雨強度プ ロファイルの初期値は lOGHzレーダのデータから降 雨減衰を無視して求めた値を使用し,パラメータ Oは 零とした.降雨強度の初期値の決定に当たっては,経験 的に求めた校正係数0.4,及びZ.=200R1.6で表される z.‑R関係を用いた.第1図に,新しく開発されたア ルゴリズムを用いて航空機データから推定した降雨強度 分布弘通信総合研究所鹿島支所設置の降雨レーダで測 定した降雨強度分布と比較して示す.比較的降雨強度の 大きい部分が中央に位置している様子や,水平距離10 kmの付近で無降雨になるという様子に示されるように 大略の構造は対応している. しかし,細かくみてみると 両者は一致しているとは言えない.これは両者のビーム が必ずしも交差してはいないこと,及び両者の散乱体積

(アンテナのビーム幅とパルス長に対応する長さで決ま る体積)が異なることにより,観測している降雨の部分 が互いに異なることが最も大きな理由として考えられる.

(6)

2a 2周波アルゴリズムで推定した降雨強度プロ7rイル〈プロファイル1)  PL Model  LP Model  MMP Model  Corrt Infe rr Corrct Inferd Co町 田t Inferred 

1.0  1,4  ± 0.3  1.4  1.3 ± 0.3  1.3  1.2 ± 0.3  2.0  2.8 ± 0.5  2.7  2.20.4 2.4  2.00.4 3.0  3.5 ± 0.5  3.8  3.20.6 3.5  3.00.5 4.0  4.50.5 4.9  4.30.6 4.6  4.0 ± 0.5  5.0  5.6 ± 0.6  6.0  5.3 ± 0.7  5.6  5.10.6 6.0  6.60.5 7.0  6.40.6 6.7  6.10.5 7.0  7.5 ± 0.5  8.0  7.5 ± 0.6  7.7  7.2 ± 0.6  8.0  8.6 ± 0.7  9.0  8.5 ± 0.7  8.7  8.30.6 9.0  9.60.7 10.1  9.70.8 9.8  9.4 ± 0.7  10.0  10.4 ± 0.8  11.1  10.6 ± 0.7  10.8  10.30.6 11.0  11.3 ± 0.8  12.1  11.6 ± 0.9  11.8  11.40.9 12.0  12.30.7 13.1  12.5 ± 1.0  12.9  12.31.1 13.0  13.2 ± 1.1  14.1  13.8 ± 0.9  13.9  13.60.9 14.0  14.41.1 15.0  14.81.0 14.9  14.6 ± 0.9  15。目 15.6±1.2  16.0  15.9 ± 1.2  15.9  15.81.2 16.0  16.4 ± 1.3  17.0  16.8 ± 1.6  16.9  16.7 ± 1.6  17.0  17.1 ± 1.8  18.0  18.1±2.1  18.0  18.0 ± 2.1  18.0  18.2 ± 1.8  19.0  20.1 ± 2.4  19.0  20.1 ± 2.5  19.0  19.02.1 20.0  20.8 ± 2.9  20.1  20.9 ± 3.0  20.0  20.0 ± 3.3  21.1  22.1 ± 3.8  21.3  22.33.9 Parameter b 

34.5Gllz  1.06  1.150.11 1.20  1.17 ± 0.09  1.20  1.170.08 10  GHz  1.52  1.67 ± 0.11  1.74  1.540.11 1.71  1.530.10 降雨強度(infe

o o

)は20組のデータからの鍵定値の平匂値及び線車偏差を示す。

2b 2周波7ルゴリズムで推定した降雨強度プロファイル(プロ7ァイル2) PL Model  LP Model  MMP Model  Corrt Inferd Corrt Inferd Correct  Inferred 

20.0  20.01.0 19.6  21.1 ± 1.2  19.1  20.5 ± 1.1  19.0  21.41.2 18.5  17.4 ± 1.0  18.1  16.8.0.9 18.0  18.31.8 17.5  16.7 ± 1.5  17.0  16.1 ± 1.4  17.0  17.11.7 16.5  16.01.0 15.9  15.4 ± 1.0  16.0  16.21.3 15.4  15.41.0 14.8  14.7 ± 1.0  15.0  15.2 ± 1.6  14.4  14.61.2 13.7  13.91.1 14.0  14.l1.4 13.4  13.9 ± 0.9  12.7  13.1 ±0.9  13.0  13.11.3 12.4  13.0 ± 0.8  11.6  12.3 ± 0.8  12.0  12.3 ± 1.5  11.3  12.3 ± 1.0  10.5  11.5 ± 0.9  11.0  11.0 ± 1.2  10.3  11.3 ± 1.0  9.5  10.5 ± 0.9  10.0  10.0 ± 1.4  9.2  10.4 ± 0.8  6.4  9.6 ± 0.7  9.0  9.0 ± 1.4  8.2  9.5 ± 0.9  7.4  8.60.8 8.0  8.01.2 7.2  8.7 ± 0.8  6.4  7.90.8 7.0  7.11.2 6.3  7.80.9 5.5  7.0 ± 0.8  6.0  6.21.3 5.3  6.90.8 4.6  6.2 ± 0.7  5.0  5.21.1 4.4  5.9 ± 0.7  3.7  5.2 ± 0.7  4.0  4.0 ± 1.0  3.4  5.00.7 2.9  4.30.7 3.0  3.1±0.9  2.5  4.1±0.5  2.1  3.5 ± 0.5  2.0  2.00.7 1.6  2.8 ± 0.5  1.3  2.4 ± 0.4  1.0  1.0 ± 0.4  0.8  1.5 ± 0.3  0.6  1.3 ± 0.3  Parameter b 

34.5GHz  1.06  1.060.10 1.19  1.19 ± 0.03  1.18  1.190.02 10  GHz  1.52  1.49 ± 0.16  1.45  1.780.03 1.40  1.76 ± 0.06  降雨強度(Inferd)は20組のデータからの鍵定値の平均値及び原準偏差を示す。

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