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空間点分布を考慮したコンビニエンスストアの立地モデルの研究

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Academic year: 2021

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1/4  小池

光太郎

空間点分布を考慮したコンビニエンスストアの立地モデルの研究

A Study of Locational Model for Convenience Stores Considering Spatial Point Patterns

情報工学専攻    小池  光太郎

Kohtaro Koike

1  はじめに

  コンビニエンスストア(以下,コンビニ)を経営す るにあたり,立地は利益の最大化を実現するための重 要な問題の

1

つである.立地に適している場所にコン ビニを建てれば,利用客が多く訪れ,購買する機会も 多くなる.すなわち,立地の良し悪しによって店舗の 利益が左右される.

本研究では,実際に立地しているコンビニの分布に 対し,立地に適する要因を考察する.そして,考察に 基づいてコンビニの立地を定める立地モデルを提案 し,実際に立地しているコンビニの分布を再現するこ とを目的とする.また,各地域のコンビニの立地特性 を考察する.

2  コンビニエンスストアの立地傾向

  本研究では,立地傾向をチェーン別で考えずに,全 ての店舗を同列で扱い,コンビニの立地傾向を分析す る.そして,立地に適する要因を考察する.

2.1  コンビニエンスストアに適する立地

 

[2]によると,コンビニの立地は,徒歩客が目的地に

移動する動線上にあり,店舗を中心として半径

300m

から

500m

以内に2,000 人から

3,000

人の中所得者層 が住居または勤務していることが望ましい.

2.2  地図データから見た立地傾向

  地図データを用いて実際のコンビニの立地傾向を 分析する.地図データとして,MAPPLE10000 から コンビニや各施設,道路リンク等の位置データを用い る.他には人口データとして,平成

12

年度国勢調査 を基に,

300m

正方メッシュ単位で集計した夜間人口 を用いる.対象地域は立川・八王子,横浜,大宮の

3

地域とする.以降では,紙面の都合上,立川・八王子 のデータを扱い,分析する.

  コンビニと各施設,人口との近接性に注目して分析 すると,コンビニの立地は駅やマンションなど多くの

人が訪れる,または住居している場所が適していると 推測される.

3  立地モデル

  コンビニの立地を定める立地モデルの提案を行う.

本研究では,人口,道路が多く集まる場所が立地に適 していると仮定する.また,立地に適している場所に 店舗が集まることにより,顧客の奪い合いが生じる.

そのため,1 店舗あたりの利益が減少し,立地の魅力 も減少すると仮定する.

  コンビニ各店舗が立地を定めるために, “立地の良 さ”を数値で表す.この数値をポテンシャル値と定義 して,ポテンシャル値を表現するためにカーネルを用 いる.ポテンシャル値が小さいほど立地に適している とするとき,コンビニ各店舗はポテンシャル値が局所 的に最小である場所に立地すると仮定する.

3.1  カーネル密度推定

 

2

次元ガウス分布で表現されたカーネルを用いてポ テンシャル値を求める.カーネルの対象である点が

n

個のとき,任意の場所

x

のポテンシャル値 は以 下の式で表される.カーネル密度推定については[3]

を参考にされたい.

) ˆh(x e

( )

=

=

=

=

n

i

i i

h

h h

K e

1

2 2

2 n

1 i

2 exp 1 2

1 ) ˆ (

X x x

x

π

また,パラメータ

h

はバンド幅と呼ばれ,カーネルの 形状に影響を及ぼす.

3.2  線分を対象とするカーネル密度推定

  カーネルは本来,点を対象としている.よって,道 路リンクなどの線分に対応するために,線分を対象と するカーネルを提案する.

  点p

i

を対象とするカーネルを考える.このカーネル

を,点p

i

を通るように

2

等分する.それにより,点

pi

(2)

2/4  小池

光太郎

二つの点a

i

と点b

i

に分割される.そして,点a

i

と点b

i

の 間に線分を引き,線分の距離を とする.このとき,

線分を対象とするカーネルの形状は図

1

のように表 される.線分を対象とするカーネルは以上の手順によ り得られ,任意の地点xのポテンシャル値 は以 下の式で表される.case1 は,

xから線分への最短距

離がa

li

) ˆl(x f

i

との距離,

case2

は,

xから線分への最短距離が bi

との距離,case3 は,xから線分への最短距離が

xか

ら線分へ垂線を下ろした位置ベクトルL

i

との距離で

る.また,

caseの判別は[1]を参考にされたい.

( ) ( )

⎟⎟

⎜⎜

=

⎟⎟

⎜⎜

=

⎟⎟

⎜⎜

=

=

=

) 3 case 2 (

exp 1 ) (

) 2 case ( 2

exp 1 ) (

) 1 case ( 2

exp 1 ) (

2 ˆ 1

2 2

2 2

2 2

1 2

i i

i i

i i

n

i i l

Q h

h Q

h Q

h Q f

L x x

b x x

a x x

x

x π

p a b

l

i i

i

p ai b

l

p

p a b

l

a b

l

i i

i

i

1  線分を対象とするカーネル

3.3  ポテンシャル場の形成

  人口,道路,店舗のポテンシャル値を定式化する.

そして,最終的に

1

つのポテンシャルに結合する.

人口ポテンシャル

  はメッシュ総数, はメッシュi に含まれる人 口,

np pi

MESHi

x

は点

x

とメッシュ の代表点とのユ ークリッド距離を表わす.

i

⎟⎟

⎜⎜

= np

i

i i

p p

h

f h2 2 2

2 exp 1 2

) 1

ˆ (x x MESH

π

道路ポテンシャル

 

3.2

節で述べた,線分を対象とするカーネルから道 路ポテンシャル値 を計算する. 本は道路リン ク数を表す.

) ˆr(x

f nr

⎟⎟

⎜⎜

=

⎟⎟

⎜⎜

=

⎟⎟

⎜⎜

=

=

) 3 case 2 (

exp 1 ) (

) 2 case 2 (

exp 1 ) (

) 1 case 2 (

exp 1 ) (

) 2 (

) 1 ˆ (

2 2

2 2

2 2

2

i i

i i

i i

n

i i r

Q h Q h Q h

h Q f

r

L x x

b x x

a x x

x

x π

店舗ポテンシャル

 

nc

は対象地域内の総店舗数,

CVSj CVSi

(た だし,

i j

)は店舗

j

と店舗 とのユークリッド距離 を表わす.

i

⎟⎟

⎜⎜

= nc

j i i

i j

j

c h h

f

) (

2 2

2 2

exp 1 2

) 1

ˆ (CVS CVS CVS

π

  店舗ポテンシャルは,各点が移動するたびに,コン ビニの分布状況が変化するので,ポテンシャル値を逐 次計算する必要がある.

ポテンシャルの結合

  人口,道路,店舗の各ポテンシャルを線形結合によ り

1

つのポテンシャルに結合する.任意の地点

x

での ポテンシャル値

fˆ(x)

は以下の式で表される.

) ˆ ( ) ˆ ( ) ˆ ( )

ˆ(x fp x fr x fc x

f =α +β +γ

α >0

β >0

γ >0

α

は人口,

β

は道路,

γ

は店舗の影響の度合いを示 す.これらのパラメータを基に,各地域の立地の特徴 を考察する.

3.4  ポテンシャル場における点の移動方法

  コンビニ各店舗が立地に適している場所,すなわち ポテンシャル値が局所的に最小である場所に立地を 定めるための方法について述べる.任意の地点xにお ける勾配ベクトル を求め, の逆方向であ る移動ベクトルdの方向に進むことによって局所的な 最小値となる地点を探索し,立地を定める.適当な初 期地点x

) ˆ(x

f fˆ(x)

(0)

から以下のようにxを更新する.

) ( ()

) (

) ( ) 1 (

i i

i i

f a a

x x

d x

x

=

+

=

+

aは更新によりx(i)

から移動する大きさを表すパラメー

(3)

3/4  小池

光太郎

タで,非負の実数である.

立地モデルの終了条件は,対象地域における全ての コンビニ各店舗の移動ベクトルの大きさ

d

0

とな るときである.このとき,全ての店舗が立地を定めて いる,とみなす.

4  地域への適用

  ここでは,

3

章で提案した立地モデルを立川・八王 子に適用する.まず,計算機実験の設定を行い,立地 モデルによる分布(以下,モデル分布)を求める.次 に,実分布との類似性を客観的に評価するための手法 をモデル分布に適用する.そして,手法に従ったとき の評価が最も良い分布を実分布に類似しているとみ なし,地域の立地特性を考察する.

4.1  計算機実験

 

3

章で説明した立地モデルを計算機に実装し,数値 実験を行うための設定について述べる.

初期分布

  一様乱数を用いて,領域内に対象地域の店舗数と同 数の点を発生させる.

終了条件

1

  全ての店舗の

di

を求め,その平均が微小な値

ε

よ り小さいとき終了とする.

ε =106

とする.

終了条件

2

位置ベクトルの更新回数 が

2,000

回を越えたら 更新を打ち切り,終了する.

k

は パラメータの決定

  本研究では,人口ポテンシャルのバンド幅 ,道 路ポテンシャルのバンド幅

h

, 店舗ポテンシャルのバ ンド幅

hc

それぞれ

300.0(m)とする.

hp r

  パラメータ

α

β

γ

の組み合わせとして,人口 の影響が強い,道路の影響が強い,店舗の影響が強い 等のケースを想定し,200 通り設定する.

フローチャート

  以下に,モデル分布を得るためのフローチャートを 図

2

に示す.

4.2  評価方法

  モデル分布を客観的に評価するための手法につい て述べる.

Yes 初期分布作成

各ポテンシャル場の結合

移動ベクトルの大きさの平均がε以下,

もしくは反復回数が2000回以上

終了

各点が移動 ポテンシャル場の再結合

No

k:=k+1 k=0

各点の移動ベクトル算出

Yes 初期分布作成

各ポテンシャル場の結合

移動ベクトルの大きさの平均がε以下,

もしくは反復回数が2000回以上

終了

各点が移動 ポテンシャル場の再結合

No

k:=k+1 k=0

各点の移動ベクトル算出

2  フローチャート

セルカウント法

  実分布とモデル分布に対して,領域をセルと呼ばれ る比較的小さい面積の正方区画に分割し,セルに含ま れる点の度数を調べる.このとき,セルの度数が

0

個,

1

個,2 個,・・・,10 個,11 個以上の

12

階級に分け る.そして,階級

i

における実分布のセルの度数を

,モデル分布のセルの度数を

model

とする とき,以下の式によって得られる評価値 によりモデ ル分布を評価する.

) (i

real (i)

S

( ) ( )

( )

=

= 12

1

2

12 1

i

i model i

real S

これにより,各階級で実分布とモデル分布のセルの 度数は平均してどの程度の“ずれ”が生じているのか が分かる.すなわち,

S

が小さい程,実分布とモデル 分布のずれも小さいことが分かる.

4.3  実験結果

 

4.1

節の設定に基づき,モデル分布を構築し,その 結果を示す.そして,結果を考察する.

ポテンシャルの影響力

立地を決定する各要因がモデル分布に対してどの 程度影響を及ぼしているか考察するために,各ポテン シャルの影響力を数値化する.まず,カーネルの体積 の総和を求める.そして,総和をカーネルの総数で割 り,人口は

α

,道路は

β

,店舗は

γ

をかける.これ により,1 人あたりの影響力 ,道路

1m

あたりの 影響力 ,

1

店舗あたりの影響力 が得られる.

Ip

Ir Ic

(4)

4/4  小池

光太郎

立川・八王子における立地特性

  立川・八王子における実験結果を示す.評価値

S

が 最も小さいときのパラメータ

α

β

γ

を表

1

に,

ポテンシャルの影響力 , , を表

2

に示す.図

3(a)に立川・八王子の実分布,図 3(b)にモデル

分布を示す.

Ip Ir Ic

1  立川・八王子における各要因のパラメータ

α

(人口)  

β

(道路) 

γ

(店舗)

4.0 635.0 7749.0

2  立川・八王子におけるポテンシャルの影響力

Ip

(人口)  

Ir

(道路)  

Ic

(店舗)

4.0 12.7 7,749.0

  モデル分布の評価値 は

8.2

である.図

3(a)と

(b)から分布全体を見ると,ほぼ類似していること が分かる.八王子での凝集は,実分布とモデル分布と もに見られる.ただし,実分布に比べてモデル分布の 凝集は広域に分布している.また,モデル分布には立 川での凝集が見られない.実分布における八王子と立 川の凝集の中心には,八王子駅と立川駅が存在するこ とから駅の影響が考えられ

S

る.

2

を見ると,まず,道路の影響力は人口の影響力 の約

3.2

倍に相当する.このことから,コンビニは道 路沿いに立地しやすいことが分かる.次に,

1

店舗あ たりの影響力は,約

1,937

人分の影響力に相当する.

これは,店舗が1店建つと,他の店舗はその商圏に

1,937

人以上が住居していなければ立地しにくいこと

を示す.以上のことから,立川・八王子におけるコン ビニの立地特性は,道路沿いに立地しやすく,店舗が 立地すると,

1,937

人以上存在していなければ立地し にくいことが分かる.

5  まとめ

  本研究では,カーネルを用いたポテンシャル値によ って,コンビニの立地を定める立地モデルを提案した.

立地モデルによってモデル分布を構築し,実分布との 類似性を検証し,地域における立地特性の考察した.

立川

八王子

a

)実分布

立川

八王子

b

)モデル分布

3  立川・八王子の分布

立川・八王子の立地特性は,道路沿いに立地しやす く,店舗が立地すると,その立地に

1,937

人以上存在 していなければ,他の店舗は立地しないことが分かっ た.今後は,分布を成す要因を新たに考慮することや,

パラメータ

α

β

γ

の推定手法を提案すること等 が挙げられる.

参考文献

[1] 伊理

正夫(監修) ,腰塚 武志(編集)他,計算 幾何学と地理情報システム【第

2

版】 ,共立出版,

東京,1983.

[2] 木下

安司,コンビニエンスストアの知識,日本

経済新聞社,東京,2002.

[3] 下原

史義,力学モデルを用いた引出し線ラベル

配置,中央大学大学院理工学研究科情報工学専攻

修士論文,2004.

参照

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