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地域・地区特性と構造改革特区構想との関わりについての調査・分析

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Academic year: 2021

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(1)

図1  特区制度フロー 

地域・地区特性と構造改革特区構想との関わりについての調査・分析 

日大生産工(院)  ○小野  恵    日大生産工        坪井  善道  1.はじめに 

地方都市の衰退が問題となっている今,地域の産 業,技術,人材,観光資源,自然環境,文化,歴史 など地域が有する様々な資源や知恵と工夫により有 効活用しながら,文化的,社会的なつながりによる 地域のコミュニティの活性化を図り,それに応じて 個性ある豊かな地域づくりを達成することが重要に なってきている。そんな中,地方公共団体や民間企 業からの自発的な提案によって地域の特性に応じて 規制の特例措置を定めた構造改革特別区域(以下「特 区」)法が

2002

12

月に成立し,ともに特区構想が 注目を集めている。この制度は,全国一斉には進み にくい規制改革を,特定の地域に限定して実施し,

効果を実証することで全国に広げるための規制改革 の先行的実験と地域経済の活性化を目的としており,

2004

5

24

日現在,全国で324件が認定されている

(表1,図2)。認定が下りることで,各自治体は 自らの裁量で,より地域の特性を活かした独自の街 づくりがしやすくなるといえる。しかし様々な分野 で活動が始まる中,まだ特区に関しての総合的な考 察を行った研究は管見したところ,都市型特区にお ける公益性概念に関する研究

*1

以外なく,今後も幅 広い観点から考察を行う必要があると考えられる。

本稿では,特区構想の内容の分析,及び地域特性と の関わりについて考察を行う。 

 

2.構造改革特区のしくみ 

制度は次のように進められている(図1)。 

まず全国の地方自治体,民間事業者,個人等から特 

 

区構想提案募集を行う。約半年ごとに4次にわたっ  て実施され,延べ1,072主体から計1,695件の提案が 寄せられている。そして内閣官房に設置された構造 改革推進室と関係省庁との協議により,特区におい て実施できる規制の特例措置と全国で実施すべき規 制改革事項を決定する。そこで特例措置となったも のは,各地方自治体によって認定を申請する。認定 された特区においては,実施されている規制の特例 措置について,評価委員会で特段の問題が生じてい ないと判断されたものについては,全国規模の規制 改革につなげるというようなしくみになっている。 

                                 

 

Survey and Analysis on the Relationship between the Characteristics of the  Region or Area and Ideas of Special Zones for Structural Reform 

 

Megumi ONO , Yoshimichi TSUBOI 

(2)

表1  特区全国分布   

表2  分野別における適用される規制の特例措置の例 

国際物流関連 産学連携関連 産業活性化関連 IT関連 農業関連 農業農村交流関連

教育関連

幼保連携・一体化推進関連 生活福祉関連

まちづくり関連 地方改革関連 環境・新エネルギー関連 国際交流・観光関連

3.調査概要 

  2004年4月21日の第1回から2004年3月24日の第4回 まで認定された324の特区で,申請主体より提出され た計画書

*2

に記載された「構造改革特別区域の特性」

および「構造改革特別区域の意義」の内容から地域 特性を説明する語句(キーワード)を抜粋し,以下 の項目別に考察を行う。

 

1)分野別

*3

による,キーワードとの関係性の明確      化 

2)申請主体別による,キーワードとの関係性の明  確化 

3)区域の範囲別による,キーワードとの関係性の  明確化 

                                                 

                                                                           

分野 計 適用される規制の特例措置の例

国際物流関連 18 臨時開庁手数料の軽減、関税の執務時間外における通関体制の整備など 産学連携関連 37 国有施設等の廉価使用の拡大、外国人研究者受け入れ促進など

産業活性化関連 21 土地開発公社造成地の賃貸の容認、電力の特定供給事業のの許可対象の拡大など IT関連 4 地方公共団体による電気通信事業者への通信回線の開放

農業関連 46 農地貸付け方式による株式会社等の農業経営への参入の容認など

都市農村交流関連 38 農家民宿における簡易な消防用設備等の容認、市民農園の開設者の範囲の拡大など 教育関連 72 特区研究開発学校の設置(教育課程の弾力化)、市町村負担教職員任用の容認など 幼保連携・一体化推進関連 30 三歳未満児の幼稚園入園の容認、幼稚園児と保育園児の合同活動など

生活福祉関連 37 指定介護事業所等における障害児等のデイサービスの容認など

まちづくり関連 15 中心市街地における商業活性化、条例違反の屋外広告物除去の迅速化・対象拡大など 地方行革関連 2 地方公務員に係る臨時的任用機関の延長など

環境・新エネルギー関連 4 ジメチルエーテル試験研究施設の変更工事の手続きの簡素化など 国際交流・観光関連 4 短期滞在査証の発給手続きの簡素化など

合計 324

北海道   20 茨城県 10 新潟県 7 山梨県 6 青森県 3 栃木県 3 富山県 3 長野県 23 岩手県 8 群馬県 4 石川県 6 岐阜県 14 宮城県 7 埼玉県 12 福井県 5 静岡県 5

秋田県 3 千葉県 8 愛知県 9

山形県 4 東京都 11 三重県 7

福島県 6 神奈川県 15

滋賀県 2 鳥取県 2 徳島県 4 福岡県 6

京都府 9 島根県 5 香川県 5 佐賀県 2

大阪府 9 岡山県 10 愛媛県 4 長崎県 6 兵庫県 18 広島県 5 高知県 3 熊本県 8

奈良県 8 山口県 5 大分県 2

和歌山県 6 宮崎県 3

鹿児島県 5

合計 324 沖縄県 2

北海道・東北地方 関東地方 北陸地方 中部地方

近畿地方 中国地方 四国地方 九州・沖縄地方

ひとつの特区で複数の県にまたがるものがあ るため,合計は一致しない

図2  特区全国分布 

(3)

キー ワー

( )内は特区数 一部地区(76)

複合村全域(1)

複合町+村全域(2)

複合町全域(3)

複合市+町+村全域(14)

複合市+村全域(1)

複合市+町全域(19) 複合市+群全域(2) 複合市全域(4) 村全域(18) 町全域(59) 市全域(97) 13政令指定都市全域(10) 23特別区全域(8)

都道府県全域(10)

区域範囲 その他(2)

町+村(1)

市+町+村(1)

市+町(2)

都道府県+町+村(1)

都道府県+市+町+村(1)

都道府県+市+町(8)

都道府県+村(4)

都道府県+町(8) 都道府県+市(21) 組合(1) 村(12) 町(58) 市(116) 13政令指定都市(15) 23特別区(8)

都道府県(65)

申請主体 国際交流・観光関連(4)

環境・新エネルギー関連(4)

地方行革関連(2)

まちづくり関連(15)

生活福祉関連(37)

幼保連携・一体化推進関連

(30)

教育関連(72)

都市農村交流関連(38)

農業関連(46)

IT関連(4)

産業活性化関連(21)

産学連携関連(37)

国際物流関連(18)

分 野

ニー

( )

宿

景観 教育 施設

経済・産業 インフラ 人口 社会環境

アイテム 地理・自然 政治 国際

11〜20 21〜30 31〜40 41〜

図3 分野・申請主体・区域範囲とキーワードの分布(クロス集計)

(4)

4.分析結果  

1)分野別による,キーワードとの関係性    (図3)より,『教育関連』を分野とする特区は 72と最も多く,適応される規制の特例措置としては,

特区研究開発学校の設置(教育課程の弾力化),市 町村負担教職員任用の容認などがある(表2)。地 域特性を意味するキーワードの内訳は,「行政・地 方自治による事業計画・取り組み」56,「少子高齢 化」23,「家庭の教育力問題」17の順に抽出された。

これは全国において,少子高齢化や家庭の教育力に 不安を持つ地域・地区が多いことと,行政・地方自 治においても問題意識を持っていることが窺える。

続いて『農業関連』を分野とする特区は46あり,適 応される規制の特例措置の例としては,農地貸付方 式による株式会社等の農業経営への参入の容認など がある。キーワードの内訳は,「少子高齢化」34,

「遊休(荒廃)地増加」31,「担い手(後継者)不 足」30の順に抽出された。これは農業を産業の基幹 としている地域・地区での農業従事者の高齢化,そ れに伴い遊休(荒廃)地の増加と少子化による担い 手(後継)者不足の現状が窺える。以下分野別のキ ーワードは,「行政・地方自治による事業計画・取 り組み」と「少子高齢化」が特に多くの分野にわた り抽出された。 

2)申請主体別による,キーワードとの関係性    (図3)より,特区の申請を行った主体では『市』

116と最も多く,キーワードの内訳は「行政・地方自 治による事業計画・取り組み」58,「少子高齢化」

49,「地域問題・住民意識・ニーズ」27の順に抽出 され,また広域にわたりキーワードが分布している。

続いて『都道府県』からの申請が65であり,キーワ ードの内訳は「行政・地方自治による事業計画・取 り組み」34,「少子高齢化」18,「産業(企業)集 積」18の順に抽出された。以下申請主体別のキーワ ードは,「行政・地方自治による事業計画・取り組 み」と「少子高齢化」,「産業(企業)集積」が多 くの申請主体にわたり抽出された。これは,各地域・

地区で共通の問題である少子高齢化と経済の活性化 

 

を目標とした地方自治の事業の取り組みが窺える。 

3)区域の範囲別による,キーワードとの関係性    (図3)より,『市全域』を区域の範囲とする特 区は97と最も多く,キーワードの内訳は「行政・地 方自治による事業計画・取り組み」55,「少子高齢 化」34,「地域問題・住民意識・ニーズ」26の順に 抽出された。次に『一部地区』と限定された区域を 範囲とする特区が76あり,キーワードの内訳は「行 政・地方自治による事業計画・取り組み」30,「イ ンフラ整備済み」30,「少子高齢化」21の順に抽出 された。以下区域の範囲別のキーワードは,「行政・

地方自治による事業計画・取り組み」と「少子高齢 化」が多くの区域の範囲で抽出されたと共に,多く の区域の範囲において広域にわたりキーワードが分 布している。 

 

5.まとめ  

  石川県美川町で,2004年10月にインターネット高 校の授業が開始され,全国初の株式会社による高校 に注目が集まっている。 

本稿では,特区制度のしくみや各地域の特性を整理 し,特区構想との関わりについて示した。分析結果 として主に少子高齢化社会に対する施策として特区 構想を運用していく傾向が窺える。そして今後,各々 の地域特性によっての施策が異なるが,その効果が 検証されれば特区に限定するのみならず,全国に普 遍的施策として定着していくことが期待できる。 

今後,更に各都市マスタープラン(総合計画)と特 区との関係性について考察を行っていくこととする。  

  注釈 

*1菅  正史(東京大学)・大西  隆・城所  哲夫・瀬田  史彦;都市型特区における公益性概念に関する考察- 都市再生特別措置法における特区制度を通じて-日本 都市計画学会-学術研究発表会論文(査読付き)- 

*2webサイト「構造改革特区支援サイト―みんなの特区」

(http://www.21ppi.org/mintoku/index.html) 

運営者:21世紀政策研究所のデータベース 

*3分野の区分けは内閣官房構造改革特別区域推進本部の 分類による 

参考文献 

国土交通省  都市・地域整備局/住宅局;都市再生特

別措置法の解説Q&A 

参照

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