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厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業)
平成29年度 分担研究報告書
埼玉県の取り組み
研究分担者: 持田 智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科 教授 研究協力者: 中山 伸朗 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科 准教授
同 : 内田 義人 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科 助教
研究要旨:埼玉県では所沢市以外の全ての市町村が肝炎ウイルス検診を導入している。しかし,
所沢市は埼玉県が無料の肝炎ウイルス検査を緊急検査として実施しているため,同市の健診 に,肝炎ウイルス検査のオプションとしても導入していないのが現状である。そこで平成 29 年度は,7月22日(土)にローソン所沢小手指店に埼玉医科大学病院の検診車を派遣して,緊 急検査として無料の肝炎ウイルス検診を実施し,100 名が受検した,また,埼玉県では職域で の検診が普及していないことから,8月29日(火)には協会けんぽの関係者を対象とした講演 会「知っておきたい肝炎の知識と従業員の健康管理」を実施し,これに厚生労働省の「知って 肝炎プロジェクト」を組み合わせて。徳光和夫氏による挨拶をいただき,上田清司知事を訪問 するイベントを実施した。これによって,埼玉県の協会けんぽでは,自己負担612円で肝炎ウ イルス検診をオプションとして導入できるようになった。
A. 研究目的
埼玉県ではさいたま市が政令指定都市,川 越市と越谷市が中核市で,夫々が市内の保健 所を管轄している。また,これら3市と,そ の他60市町村のうち59自治体は,委託医療 機関における肝炎ウイルス検診を実施して いる。また,埼玉県は上記 3 市以外にある 13 保健所および委託医療機関における緊急 検査として,肝炎ウイルス検診を実施してい る。
市町村で肝炎ウイルス検診を実施してい ないのは人口34万人の所沢市である。同市 は,「埼玉県が緊急検査として肝炎ウイルス 検診を実施しているのであるから,市の財源 を肝炎ウイルス対策に充当する必要はない」
と主張しているとのことである。しかし,市 の健診時にオプションとしての肝炎ウイル ス検診がないと,同検査に対する周知は不十 分になり,無料の緊急検査の受検者も増加し ない。
また,埼玉県では職域の肝炎ウイルス検診 も十分に行われていない。中小企業が多いた め,協会けんぽが主体となるが,その健診時 に肝炎ウルス検査をオプションとして導入 することが課題である。
平成29年度は,これら2つの問題点の解 決を図った。
B. 研究方法 および C. 研究結果
所沢市における肝炎ウイルス検診 7 月 22日(土)にローソン所沢小手指店 に埼玉医科大学病院の健診車を派遣して,11 時〜14 時の3 時間に肝炎ウイルス検診を無 料で行った。なお,その翌日の7月23日(日)
には所沢市文化センターで 13 時〜15 時 30 分に市民公開講座を実施した。また,同日 15時30分〜17時には市民公開講座の来場者 を対象に,一般社団法人日本肝臓学会が主催 する医療相談会を実施した。
ローソン店舗と市民公開講座に関しては。
製薬企業の協力で案内状を作成し,大手紙の 折り込みチラシとして,所沢市内に2回配布 した。また,ローソンは肝炎ウイルス検診の 受検者に,無料でブランパンとアイスコーヒ ーを配布するサービスをしていただいた。こ れら各所の協力によって,約 2 時間で 100 名の肝炎ウイルス検診を実施したが,採血器
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材切れで,それ以降の来訪者の検診はできな かった。
協会けんぽにおける肝炎ウイルス検診 大企業では入社時検診にHBs抗原とHCV 抗体を測定することが一般化している。しか し,規模の小さい企業では未実施の場合が多 く,協会けんぽで肝炎ウイルス検診をオプシ ョンとして導入することが課題となる。そこ で埼玉県は厚生労働省の「知って肝炎プロジ ェクト」を活用して,協会けんぽに肝炎ウイ ルス検診の導入を働きかけた。
8月29日に協会けんぽの関係者を集めて,
「知っておきたい肝炎の知識と従業員の健 康管理」のタイトルで講演会を開催した。協 会けんぽ埼玉支部長をはじめ企業経営者,総 務人事担当,健康管理担当,団体職員,行政 機関職員など計70人が参加した。講演終了 後には「肝炎対策広報大使からの呼びかけ」
として徳光和夫氏に挨拶をいただいた。その 後,県庁内に移動して,徳光和夫氏が上田清 司知事を表敬訪問し,肝疾患診療連携拠点病 院等連絡協議会委員長, 協会けんぽ埼玉支 部長, 埼玉肝臓友の会関係者,厚生労働省肝 炎対策推進室長, 埼玉県保健医療部部長が 同席して歓談した。この企画が決定した時点 で,研修会と表敬訪問に先立って,協会けん ぽ埼玉支部は健康診断の追加検査項目とし て,肝炎ウイルス検査を追加した。自己負担 は612円,協会けんぽから1,429円の補助を 受けて,肝炎ウイルス検査を実施できるよう になった。
D. 結語
所沢市ではローソン店舗における無料の 肝炎ウイルス検診を実施したが,同様の事業 は継続することは困難であり,同市に働きか けて健診のオプションとして導入すること を働きかける必要がある。埼玉県の働きかけ で,所沢市以外の市町村は全てが肝炎ウイル ス検診を実施している。人口34万人の市民 の健康のためにも,同市の頑なな考え方を変 えさせる継続的な努力が必要である。一方,
協会けんぽにおける肝炎健診は,今後,その 受検率を観察し,オプション検査としての普 及を図る方策を検討すべきである。
E. 引用論文 なし
F. 研究発表 1. 論文発表
月刊「消化器・肝臓内科」第 3 巻第 3 号(2018 年3月)特集/肝癌撲滅に向けた我が国の取り 組み: 厚労省,地方自治体,拠点病院の連携 我が国における肝炎ウイルス感染者の動向:
広島大学 田中純子
わが国の肝炎総合対策: 厚生労働省と肝炎 情報センターの取り組み 国立国際医療研究
セ ン タ ー 肝 炎 ・ 免 疫 研 究 セ ン タ ー 考藤達哉
抗ウイルス療法の実施率向上を目指して: 厚労省研究班の取り組み 国立国際医療研 究センター 肝炎・免疫研究センター 是永 匡紹
全国の市民,医療従事者への情報提供: 日本 肝臓学会の取り組み 三重大学 竹井謙之 山梨県の取り組み: 肝炎コーディネーター の育成 山梨大学 坂本 稔
佐 賀 県 の 取 り 組 み: た た け 肝 炎 ウ イ ル ス 佐賀大学 江口有一郎
埼玉県の取り組み: コンビニエンスストア の活用 埼玉医科大学 持田 智
大 阪 府 の 取 り 組 み: 医 療 従 事 者 へ の 啓 発 大阪市立大学 榎本 大
愛媛県の取り組み: 就労支援の現状と問題 点 愛媛大学 日浅 陽一
2. 学会発表 なし
G. 知的財産権の出願・登録状況 1.特許取得:なし
2.実用新案登録:なし 3.その他:なし