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11 耐震設計
構造物が地震により受ける力(=地震荷重)は,時間的に 変化する.したがって,構造物に発生する応力やひずみ(変 位)は時間的に変化する.耐震設計とは,この応力や変位 が構造物が許容できる応力や変位より小さくするように 構造物を設計するということである.
実は,上述のように地震荷重を動的に考えて設計すること は,1995年の阪神・淡路大震災以前は十分に行われていな かった.これは,動的な耐震設計は難しく,また,動的解 析のために,たくさんのデータ(入力地震動,構造物のモ デルなど)を作る必要があり,コストがかかるという理由 のためである.
しかし,阪神・淡路大震災以降は,より合理的に設計を行 う必要があることが改めて認識され,各種事業体(日本道 路協会,鉄道会社,など)が定めている耐震設計法では,
動的解析を積極的に採用されるようになった.なお,この 背景には,コンピュータの発達,解析技術の進歩,市販の 解析プログラムが増えたこと,なども挙げられる.
耐震設計法は,各種事業体で異なる.これは,構造物の形 状が異なることや,地震荷重以外の荷重レベルが異なるな どの理由からである.また,耐震設計法は,まだまだ,改 善の余地があり,これらの改善は,数年から10年位で行 われている改訂に盛り込まれる.
補足:
構造物や地盤が持つ応力-ひずみの関係は,ひずみが小さい 範囲内でほぼ線形関係にあるが,ひずみが大きくなると,
両者の関係は,非線形となる.一般に,強い地震動の時に は,構造物は非線形領域にはいる.この場合の構造物の挙 動を予測するには,動的解析を行う必要がある.
11-1 震度法
上述のように,耐震設計は,動的解析が主流になっていく.
しかし,既存の構造物の多くは,以下で学ぶ震度法で設計 されている.21世紀は,これらの構造物の維持管理が大き な課題となっている現在,震度法を学ぶことは,これらの 構造物の性能・特徴を知る上で重要と考えられる.
震度法の概念は以下の通りである(川島一彦,土と基礎,
pp. 51-52, 1993年9月号より抜粋).(現在使われている方 法と若干異なるが,考え方自体はほとんど同じである.)
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『震度法とは,「構造物の重量」×「設計震度」の力を静的 に構造物に作用させ,これに対して所要の安全率が得られ るように各部の断面寸法を定める方法の総称である.震度 という概念を用いることにより,動的な地震力を静的な地 震力に変換することができ,また,これにより計算が簡単 になるため,震度法は現在の耐震設計法の主流になってい る.
震度法では,構造物に作用させる地震力(慣性力)Fは次 のように与えられる.
F=kH・W (1)
ここで,Wは構造物の重量,kHは震度*である.kHは,構 造物の種類によって多少異なるが,一般に次式のような形 で与えられる.
kH=Cz・CG・CI・kH0 (2)
ここで,Cz:地域別補正係数,CG:地盤別補正係数,CI: 重要度別補正係数,kH0:設計震度の標準値である.』
ポイント:許容耐力 > 地震荷重によって発生する応力
*:気象庁の震度とは違う.区別するために,kHを設計震度と呼ぶ 場合が多い.
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11-2 設計震度kHに対するせん断力,曲げモーメントの計 算方法
例題
コンクリートの単位堆積質量を 2400kg/m3とする.設計 震度kHを0.2とする.重力加速度gは10.0m/s2とする.位 置xでのせん断力S(x),曲げモーメントM(x)を求め,図示 せよ.
解答
1) 0≦x≦5 m
S(x)=9600x [N]
M(x)=4800x2 [Nm]
2) 5≦x≦10 m
S(x)=48000+19200(x-5) [N]
M(x)=48000(2.5+x-5)+19200*(x-5)2/2 [Nm]
図は省略
o
x
1m 1m 2m
5m
5m
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演習問題
図に示した片持ち梁状の構造物に震度法を適用することを考える.設計震度kHを0.2と した場合,位置xにおけるせん断力S(x),曲げモーメントM(x)を求めよ.次に,x=10 mに おけるせん断力S(10), M(10)を求めよ.ただし,コンクリートの単位体積質量を2400 kg/m3, 重力加速度を10.0 m/s2とする.(注意:単位も書くこと)
1 m o
10 m x 1 m
3 m
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解答
S(x) = 480x2+4800x [N]
M(x) = 160x3+2400x2 [Nm]
S(10) = 96,000 [N] = 96 [kN]
M(10) = 400,000 [Nm] = 400 [kNm]