別紙1
論 文 審 査 の 要 旨
報告番号 甲 ・乙 第
2899号 氏 名 髙田 昂輔 論文審査担当者
主査 加藤 裕久 副査 中村 明弘 副査 向後 麻里
(論文審査の要旨)
本研究は、日本における抗がん薬治療選択のための医療経済評価 について検討した研究 である。取り組んだ課題の1つは、大腸がん術後補助化学療法のレジメン別費用最小化分 析についての検討であり、もう1つは抗がん薬投与に伴う認知機能低下の評価法について の検討である。
大腸がん術後補助化学療法に関する実際の医療現場の費用データを収集し、費用最小化 分析を実施した。その結果、 CapeOX 療法 (カペシタビン、オキサリプラチン) と mFOLFOX6 療法 (5-FU、レボホリナート、オキサリプラチン) の総費用は、オキサリプラチンを含ま ない化学療法よりも高額であり、これは副作用に対する薬剤費よりも、オキサリプラチン の薬剤費に起因することが判明した。そして、費用最小化分析の結果、費用対効果は CapeOX 療法と mFOLFOX6 療法においては同等であり、S-1 療法およびカペシタビン療法では UFT/
レボホリナート療法より優れていることが認められた。
次に、日本人における抗がん薬と認知機能との関連性を調査するための認知機能の評価 法の確立に向けて、第一段階として健常な日本人を対象に海外で推奨されている神経心理 検査のウェクスラー成人知能検査第 3 版、Mini Mental State Examination、Trail Making Test A and B、Controlled Oral Word Association Test 、およ び 針溝ペグボ ード検査を 臨床心理士などの専門家ではない検査者が実施し、認知機能の評価法を検証した。その結 果、各検査の所要時間および複数検査時には 27 分以内ならば集中して検査を受けられる ことが認められた。検査点数の結果より、非専門家による検査の実施においても専門家と 同様の結果を得られる可能性が判明した。
学位論文に関する質疑では論理的に回答し、示された修正点についても十分に修正され た。
以上より、本論文は博士(薬学)としてふさわしい内容であると判定した。
(主査が記載、500字以内)