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Desafios na prática do ensino de língua japonesa como LE: crenças, experiências e identidade dos professores universitários principiantes

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(1)

外国語としての日本語教育実践における挑戦

-ポルトガルにおける新人大学教員のビリーフ, 経験,及びアイデンティティ-

Desafios na prática do ensino de língua japonesa como LE: crenças, experiências e identidade dos professores universitários principiantes em Portugal

Prof. Yûki Mukai (UnB)

向井裕樹 (ブラジリア国立大学) (yuki@unb.br)

Universidade Nova de Lisboa Torre B, Piso 3, Auditório 2

(2)

第21回 ヨーロッパ日本語教育シンポジウム (第15回EAJS国際コンファレンス共催,セクション10) 日時:8月31日(木)~9月02日(土) 会場:リスボン新大学 テーマ:「ヨーロッパで教えることと学ぶことの意味を考え るーそれぞれの現場でー」 「外国語としての日本語教育実 践における挑戦 -ポルトガルにおける新人大学 教員のビリーフ,経験,及び アイデンティティ-」 向井裕樹(ブラジリア大学) Panel 10_15:

Meeting the needs of Japanese learners in Europe

(3)

Resumo

• 本研究では,ポルトガルにおける新人大学教員が職場や授業で抱いている困難な点 に焦点を当てて,彼らのビリーフ,経験,アイデンティティについて質的に分析, 考察する。研究参加者は,日本語が母語話者である教師2名,ポルトガル語が母語話 者である教師1名で,3名とも高等教育における勤務年数が2年以下の新人教師(非常 勤講師)である。データ収集には,ブラジルの高等教育の新人日本語教師の困難点 に関するビリーフとアイデンティティを調査したMukai(2016)と全く同じものを 使用した。つまり,オンライン・アンケート(第1段階は記述式ナラティブ,第2段 階は回答選択式項目,自由回答記述式項目)とフォローアップ・メールが用いられ た。授業における困難点として3人が共通して挙げたのは,学生のおしゃべりや集中 力の欠如によってもたらされる,授業運営に関する困難さであった。日本語が母語 話者である2人の新人教師からは,自身のポルトガル語能力についても困難点として 挙げられた。職場で気にすることとして「教授法」「自身の日本語の知識」「学生 の学び」が揃って挙げられた。非常勤講師としてコースデザインや目的は変える力 がないと意識している一方,学習者の動機付けには影響を与えることができ,それ 故に彼らの動機付けを促し,彼らと良好な人間関係が築けるような教師像を目指し ていることが分かった。また,生徒との相互扶助の精神が大切であり,それを通し て自身の教え方が内省,改善できるような教師像を目指していることも分かった。 つまり,自身の教える能力・知識や授業運営など,新人教師としての限界(Micole, 2007, 牛窪,2013,2014,2015)を気にしつつ,学生と良好な関係を保つことが彼 らの動機付けや学習プロセスに有益に働くと意識していることが分かった。

(4)

Challenge in the practice of Japanese language

teaching as a foreign language: Beliefs, experiences and identity of new university lecturers in Portugal”

• This qualitative research study investigates beliefs, experiences and identity of new university lecturers in Portugal, focusing on their difficulties in their workplace and classroom. The research participants are 2 lecturers whose native language is Japanese and 1 lecturer who is a native speaker of Portuguese. All of them is a newcomer teacher (part-time lecturer) who has a working life of 2 years or less in higher education. For data collection, we used exactly the same as Mukai (2016) who investigated beliefs and identity of new Japanese lecturers of higher education in Brazil. That is, the online questionnaire (the first step is a written narrative and the second one is a closed and open-ended questions) and the follow-up e-mail were used. Three participants commonly pointed out some difficulties associated with classroom management, which were brought about by student’s chatter and lack of concentration. Two participants who are Japanese native speakers also cited their own Portuguese language ability as a difficulty. “Teaching method”, “My own Japanese knowledge”, “Student learning” were listed as what they care about at work. As a part-time lecturer, they are aware that it will be difficult to change the course design and its purposes, but may be possible to influence the learners’ motivation and build good relationships with them. It was also found that they believe that the spirit of mutual assistance between them and their students is important in classroom, and through that enables them to reflect and improve their own way of teaching. In other words, while carefully considering their limits as a new teacher (Micole, 2007, Ushikubo, 2013, 2014, 2015) like their own teaching skills, knowledge and classroom management, the participants in this study believe that building and keeping good relationships with students may beneficially influence their motivation and learning process.

(5)

キーワード

新人大学教員

高等教育

職場・授業における困難な点

(6)

研究目的

a) 新人大学教員

が職場(高等教育機関),特に

日本語の授業で抱いている

困難な点

について

ケーススタディとして調査し,成果の一部を

報告する。

(このテーマの研究は,ポルトガルでもブラジ

ルでも 日本語教育の分野では,ほぼゼロ)

b)

特に,困難な点に関する彼らのビリーフ,経験,

新人教師としてのアイデンティティに焦点を当

てて分析する。

研究方法1/7

(7)

なぜケーススタディー?

•「『授業』の形は,おかれた

環境によって異なるはずであ

り,教師の専門性や成長に対

する考え方は,その環境にお

いて培われるものだ」

(牛窪,

2015,p. 150)

研究方法2/7

(8)

なぜケーススタディー?

• 教育実践における困難な点は,教師,時期,コ

ンテクストにより,また同じコンテクストの中

でさえも異なる

。つまり,各コンテクストは独

自の意味を有している。

(Miccoli, 2007)

「日本語の教室と一言で言っても,それぞれの

教室の置かれている文脈(

context)や特徴は異

なっている」 (崔,

2015,p. 273)

研究方法3/7

(9)

研究方法

質的研究

ケーススタディー(ポルトガルの国立大学)

研究参加者(日本語副専攻科非常勤講師

3名)

• (スライドno. 12参照)

データ収集

▫ オンライン・アンケート

▫ オンライン・ナラティブ

▫ フォローアップメール

データ分析

▫ コード化,カテゴリー化

研究方法4/7 トライアンギュレーション

(10)

データ収集手順

1)オンライン・アンケート(前半)

研究参加者のプロフィール

2)オンライン・ナラティブ

「大学の授業におけるあなたの最大の困難点

について,経験や具体例を交えて書いてく

ださい」

3)オンライン・アンケート(後半)

(回答選択式項目,自由回答記述式項目)

日々の実践における困難な点について

4)フォローアップ・メール

研究方法5/7

(11)

研究参加者

ポルトガルにある国立大学文学部日本語副専攻

科の

非常勤講師

3名

2名は日本語母語話者,1名はポルトガル語母語

話者

仮名:

Yoko, Ume, Jhonae

3人とも高等教育における

勤務年数が

2年以下

新人教師

(12)

研究参加者プロフィール

(2017年1月時点)

Yoko Ume Jhonae

性別 女性 女性 男性 母語 日本語 日本語 ポルトガル語 年齢 40代 40代 20代 ポルトガル在住歴 約11年 約5年半 ポルトガル人 学歴 博士課程在学中 (カルチャル・スタ ディーズ) 修士課程在学中 (言語学) 博士課程在学中 (カルチャル・スタ ディーズ) 日本滞在歴 日本生まれ,日本 育ち 日本生まれ,日本 育ち 旅行で2週間のみ 現職の勤務年数(大 学) 1年3カ月 (非常勤講師) 6ヵ月 (非常勤講師) 2年 (非常勤講師) 以前の勤務先 なし 大学付属語学学校 なし 以前の勤務年数 なし 3年 なし 現在の担当科目 初級,初中級 A1, A2 初級 A1, A1+ 初級 A1 日本語を教えるのは 好き 好き 大好き 研究方法7/7

(13)

ビリーフとは

• ビリーフは,私たちの過去や現在の経験から相互作用的 に,かつ社会的に構築されるものである。具体的には, 特定のコンテクストに即した各人の行動,相手との相互 作用,適応性に基づいて継続的に構成される (Barcelos, 2006, 2007, Mukai, 2014, p. 401)。 • 外国語教育・学習に関するビリーフに特化して考えると, 教師や学習者のビリーフは,過去や現在の教授・学習経 験に基づき,教師(同僚や上司やコーディネータ)や学 生(仲間や教師)との相互作用を通して,彼らのおかれ た各々の教育・学習環境に適応させながら形成されてい く。 理論1/6

(14)

アイデンティティーとは

• アイデンティティとは • 1) どのように世界と自分の関わりを理解するか • 2) どのようにその関係が時間と空間を経て構築されるか • 3) どのように将来への可能性を理解するか • といった問いへの答え • A identidade é definida:

• 1) como a forma como uma pessoa entende seu relacionamento com o mundo;

• 2) como esse relacionamento é construído ao longo do tempo e do espaço; e

• 3) como a pessoa entende as possibilidades para o futuro

• (Norton, 2000, p. 5)

(15)

Professional identity

• 職業的アイデンティティは,

• 「今,私は誰ですか?(‘who am I at this moment?’ )」, 「私は誰になりたいのですか? ‘who do I want to become?’ 」という質問に対する答えとして, • (自分の職業的)経験を解釈・再解釈する,連続的で動 的なプロセスである。 • (Beijaard et al., 2004) 理論3/6

(16)

Teacher identity

• 教師のアイデンティティは, ① 彼らの感情とビリーフ ② 彼らの個人的なバイオグラフィー,最初に受けた教師 養成,教育実践 ③ 彼らが教える学校やクラスの雰囲気など,様々な状況 (context) によって形成される。

(Flores & Day, 2006)

(17)

Teacher identity

「教師は初めから教師であるのではない。新人

は自身のあり方を教師としてのものに適応させ,

その中で教師として自分の良さを発見していか

なければならない。」(牛窪,

2013,p. 369)

理論5/6

(18)

新人日本語教師とは

CiNiiで「新人日本語教師」で検索すると9本の

論文が表示される(

2017年8月19日時点)

「新人教師といってもその捉え方は様々である。

教職における教師のライフコース研究では,教

師は

6年目程度までに安定期に入るとされる(秋

田,

2007)」(牛窪,2014,p. 2)

これに従い,本研究では

5年目まで

の教師を広く

「新人」と規定する。

理論6/6

(19)

Yokoのナラティブ

• 現在一番困難だと感じる点は,2年生のクラスが大きすぎること (約35名)。 • 授業中,学生のおしゃべりが多くなる時があり,コントロールが難 しい。 • 学生間でのレベルのばらつき。 • 会話は一人ひとりに時間を割くことができない。 • 初年度は,自分の勉強,スライド作り,教案作成で精一杯。 • ポルトガル語で文法事項などを説明するのが難しい。 • 最初は,チームティーチングに制限を感じたが,後にお互いに補い 合える利点が大きいと気付く。 • コースの目標が曖昧。 分析 1/18 ナラティブのテーマ「大学の授業におけるあなたの最大の困難 な点について,経験や具体例を交えて書いてください」

(20)

Yoko

• 「

授業中おしゃべり

が多くなったり,

集中して

いない

あるいは理解できなくてお手上げ状態の

学生の姿を見るのは残念です。

教師の側の技量

が足りなかった

と感じるからです。」(アン

ケート)

• → 生徒のおしゃべりや理解不足は,生徒ではなく自分 (教師)に責任があると感じている。 分析 2/18

(21)

Umeのナラティブ

• 生徒が勉強しないこと。 • 授業中,おしゃべりが多くてうるさい。 • 学生が語学を学習する訓練ができていない(その場しの ぎ)。 • 学生の(日本語の)レベルのばらつきが目立つ。 • 約40人という大きなクラス。 • 自分の足りない点はポルトガル語能力。 分析 3/18

(22)

Jhonaeのナラティブ

• ポルトガル語が母語である学生の個々のニーズに沿った 教材(ポルトガル語-日本語で書かれた)が不足してい る。 • 授業中,学生がうるさすぎる時や集中していない時は閉 口する。 分析 4/18

(23)

授業中の困難点の共通点

3人の共通点 YokoとUmeの共通点 ✓学生のおしゃべり ✓ 自分自身のポルトガル語 能力 ✓ クラスの大きさ ✓ 学生の日本語のレベルの バラつき • → ポルトガル語が母語では ない日本人教師の悩み • → 自分の力ではどうにもで きない点(不可抗力)に困 難さを感じている。 分析 5/18

(24)

新人日本語教師に関するビリーフ(先

行研究から)

「新人教師にとって,教育機関に参加すること

とは,指定される教材やカリキュラム,引継ぎ

方法など,目に見える制度だけではなく,古参

教師の間で共有されている望ましい授業のあり

方や,教師としての立ち振る舞い,他の教師と

のかかわり方など,

見えない制度に拘束される

ことが半ば宿命づけられている

のであり,共同

体に参加することとは,それら制度の拘束に身

をおくことに他ならないのである。」(牛窪,

2013年,p. 371)

(25)

アンケート

P5: 職場で気にすることは?

(10 = 最も気にする,1 = 最も気にしない) 項目 Yoko Ume Jhonae

コースのカリキュラム 5 2 5 コースの目的 9 1 4 教授法 10 5 7 教材 4 4 6 科目の内容 7 3 8 自分の日本語の知識 8 8 9 学生の学び 6 10 10 専攻科長との関係 3 6 1 同僚との関係 2 7 2 学生との関係 1 9 3 分析 6/18

(26)

P6: P5の理由(職場で気にすること)(Yoko)

• 「このコースで日本語や日本文化関連の授業を受けて何 を達成できるかの目的があいまいなような気がします。 コース・デザインから考え直す必要があるのでしょうが, 自分だけの力ではどうにもならないので悩みどころで す。」 • 「教材については,使い方次第だと思っているので,特 に大きな心配ではありません。それより,自分の知識や スキルをあげる方が課題です。コース長や同僚,学生と はおおむね良好な関係を保っていると思います。」 • (赤字 = 気にする,青字 = あまり気にしない) 分析 7/18

(27)

P6: P5の理由(職場で気にすること)

(Ume)

最も気にすることは「

学生の学び

」。

理由:「

学科がどこを目指したいのか,よく把

握できていない

ので,学生個人が発展するチャ

ンスをつかめるようになるのが一番かと。その

ために充実した(学習)環境と,人間関係が必

要。」

分析 8/18

(28)

P6: P5の理由(職場で気にすること) (Jhonae)

• 「教師として一番大切な のは,学生に正確に知識 を伝授することである。 • 教科を教える方法や使用 する教材の質が, • 学生の学習プロセスやモ チベーションに影響を与 える。 • (大切なことは)ポルト ガル語で書かれた教材を 選ぶこと,教科がより良 く説明できるように授業 でビデオや音楽を使うこ と,常に練習問題をやら せること,学生に口頭表 現や作文の機会を与え, 間違えたら学生を励ます ことである。 分析 9/18

(29)

P5: 職場で気にすることは?

気にすること 気にしないこと • 3人とも自分の「日本語 の知識」「教授法」「学 生の学び」を強く気にし ている。 • 教師として教える知識や 日本語の知識といった技 術面 • 学生の学び • 一方,(特に)Yokoと Jhonaeは,専攻科長,同 僚や学生との人間関係は あまり重視していない。 • (Yokoはすでに良好な関 係が築けていると思って いるから) 分析 10/18

(30)

P7: 日本語の授業で感じられる困難な点

(1 = 最も難しくない; 8 = 最も難しい)

項目 Yoko Ume Jhonae

文法 4 5 7 文字,漢字 5 4 2 口頭表現,スピーチ, 会話 7 7 5 文章表現,作文 6 8 4 聴解 2 3 6 読解 8 2 3 音声,音韻 1 1 1 ディスコース(敬語, 談話標識など) 3 6 8 分析 11/18

(31)

P7: 日本語の授業で感じられる困難な点

• 3人の結果にはばらつきがみられたが,大きく3つのタ イプに分けることができる。 ① 3人とも「口頭表現,スピーチ,会話」,特にYokoと Umeは「文章表現,作文」を教えるのが難しいと感じ ている。 ② (困難ではない点)3人とも「音声,音韻」を教える のは,全く難しくないと感じている。3人揃って「1 (最も難しくない)」を付けた。 ③ UmeとJhonaeは,「ディスコース(敬語,談話標識な ど)」を教えるのが,難しいと感じている。 分析 12/18

(32)

P8: P7の理由(授業での困難点)(Yoko)

✓ 会話には時間がなかなか割けない点で難しいと感じます。 ✓ 漢字は教え方が単調になってしまいがちで,いまだにどう教える のがいいのかよく分かりません。 ✓ 二年生から読解を増やしていますが,意味を取るときに必ずしも 十分な説明ができていないような気がして心配です。 ✓ 文法事項は初級後半から説明が難しいと感じることが増えてきま すが,すでに解説書もたくさんあるので自分さえ勉強すれば教え る点ではそれほど複雑ではないかもしれません。 ✓ 聴解もできている問題に頼ることが多いです。 ✓ 発音指導はほとんどしていません。授業中の受け答えで伝わる程 度に保たれていればいいと感じているからです。(アンケート) (赤字 = 困難である,青字 = あまり困難ではない) 分析 13/18

(33)

P8: P7の理由(授業での困難点)(Ume)

• 「 Expressão escrita(ライティング)は,口語形式のも の(チャットなど)は対象外にしました。日本語の音は, 許容範囲がひろいので,ポルトガル人には難しくないと 思われます。文法も,あるポイントにしぼれば,理解可 能。 その組み合わせで話す,書くということが一番難 しいと思います。(反復数が絶対的に不足しているた め)」(アンケート) 分析 14/18

(34)

P8: P7の理由(授業での困難点) (Jhonae)

「学生にとって,一番難しいのは言語の使用だ

と思われる。(教師にとっては)

敬語を教える

のが難しい

。多くの場合,学生は(敬語が使用

されている)文化的コンテクストの外にいるの

で,どこまでその言語表現を学ぶ必要性がある

のか分からないからである。

ポルトガル人の学生にとって

日本語の音声

は簡

単である一方,日本語とポルトガル語は統語的

に異なるから

文を完結させるのは難しい

。(ア

ンケート)

分析 15/18

(35)

P9: 授業で一番大切なことは?(Yoko)

• 「その日の授業の文法事項をきちんと理解してもらうこ とが大前提なので,そのためにいかに分かりやすく説明 し,いい練習問題を選んで与えるかがまず教師の仕事と して大切だと思います。結果として,学習者が充実した 授業だったと感じてくれたら尚いいと思います。 語学 学習は授業だけでは不十分なので,その先の自己学習に 役立つようなものが授業になければならないと思うから です。」(Yoko) • (アンケート) 分析 16/18

(36)

P9: 授業で一番大切なことは?(Ume)

• (学生の)やる気 (Ume) • (アンケート) • 生徒の日本語に対するモチベーション。現状ほぼゼロ。 テストに受かればいいと思っているが,だからといって 勉強はしない。「やる気」がなければ,こちらが何を提 供しても無駄。一瞬の興味をひくことはできなくはない ですが,それはやる気とは違う気がします。 • (フォローアップメール) 分析 17/18

(37)

P9: 授業で一番大切なことは?(Jhonae)

• 良い環境と相互扶助の精神(Jhonae) • それにより,教師は自分の教え方が改善でき,学生の年 齢層に沿ったより面白く有益なコンテンツを探すことが できるから。(アンケート) • 良い環境とは,教師と学生のインターアクションの中で, 学生がリラックスし,楽しめる環境(文法や語彙習得を 促す練習問題,ゲーム,ビデオ,歌など) • 相互扶助の精神とは,教室で練習問題を行う時や担当の 先生が不在の時,学生同士が助け合って共同作業を行う こと。(フォローアップメール) 分析 18/18

(38)

まとめ

Yoko

Ume

Jhonae

コースの目的 やデザインに 関するビリー フ コースの目的や コース・デザイン を考え直す必要が あると感じている が,非常勤講師と して,自分には変 える力がないと 思っている。 コースの目的や コース・デザイン を考え直す必要が あると感じている が,非常勤講師と して,自分には変 える力がないと 思っている。 そのため,学生に 日本語が伸びる機 会をなるべく多く 与えたい。 良い学習環境と教 師との人間関係が 必要 まとめ 1/6

(39)

まとめ

Yoko

Ume

Jhonae

教師としての ビリーフ 教師として,分か りやすい説明を心 掛け,良い練習問 題を与えるのが大 切 学生のやる気が最 も大切なので,学 生に日本語が伸び る機会を多く与え ることが必要。 そのため,良い学 習環境と教師との 人間関係が必要 教師として,学生 に正確に知識を伝 授することが大切。 良い学習環境と教 師・生徒の相互扶 助の精神が大切。 教師はそれにより 自分の教え方が内 省でき改善できる から。 学生の年齢層に 沿ったコンテンツ を探すべき。 学習・学習者 に対するビ リーフ 学習者が充実した 授業だと感じてく れたらいい 授業では,学生の やる気が一番大切 学生が間違っても 励ますことが大切 まとめ 2/6 学習者に対する思いやり, 気遣い

(40)

新人大学教師としてのアイデンティティ

Yoko

Ume

Jhonae

新人教師 としての アイデン ティティ 非常勤講師として, コースの目的やデ ザインは変える力 がないが, 生徒の理解不足は 教師の責任である ため, 自分の日本語や教 授法の知識が伸ば せ,かつ生徒の自 律学習が促せるよ うな教師像 非常勤講師として, コースの目的やデザ インは変える力がな いので, せめて生徒に動機付 けを促し(生徒のや る気次第なので), 生徒の情意的要因に 気を配り,生徒と良 好な人間関係が築け るような教師像 教師の教え方や教 材(学生の年齢層 に沿ったもの)が 学生の学習方法や モチベーションに 影響を与えている ので,教師と生徒 の相互扶助の精神 が大切であり,そ れを通して自分の 教え方が内省,改 善できるような教 師像 まとめ 3/6

(41)

本研究の参加者(ポルトガルのとある国立

大学の事例)は・・・

非常勤講師としてコースデザインや目的は変え

る力がないと意識している一方,学習者の動機

付けには影響を与えることができると信じ,そ

れ故に彼らの動機付けを促し,彼らと良好な人

間関係が築けるような教師像を目指しているこ

とが分かった。

また,生徒との相互扶助の精神が大切であると

考え,それを通して自身の教え方が内省,改善

できるような教師像を目指していることも分

かった。

まとめ 4/6

(42)

• つまり,本研究の参加者は,教育環境に関する問題 (コースの目的が曖昧,クラスが大きい,学生のおしゃ べりなど)がある中で, • 非常勤講師としての限界や,新人教師として自分の能力 や授業運営に困難さを感じつつ, • 教師としての技量と学習者の動機付けを最も気にかけて いる様子が伺えた。 • 自身の悩みや葛藤の中で,より良い日本語教師になろう と模索し,学生と良好な関係を保つことが彼らの動機付 けや学習プロセスに有益に働くと意識して・信じて授業 を行っていると言える。 まとめ 5/6

(43)

「教師は初めから教師であるのではない。新人

は自身のあり方を教師としてのものに適応させ,

その中で

教師として自分の良さ

を発見していか

なければならない。」(牛窪,

2013,p. 369)

• 教育実践における困難な点は,教師,時期,コ

ンテクストにより,また同じコンテクストの中

でさえも異なる

。つまり,各コンテクストは独

自の意味を有している。

(Miccoli, 2007)

まとめ 6/6

(44)

今後の課題

✓本研究の分析・考察を更に詳細に続けていく。 例えば,分析の中で,「新人教師」vs「非常勤講師」, 「日本語母語話者」vs「日本語非母語話者」としてのビ リーフが見られたが,どちらの立場(職業的アイデンティ ティ)としてのビリーフなのか,現時点でのデータからは はっきりと分からないものもあった。 ✓今後,ポルトガル語圏において(←まだあまり調査がな されていないので)各々の教育現場の問題や授業におけ る困難な点について(ケーススタディとして)調査を続 けていく。 ✓その中で,特に政治的に立場の弱い新人大学教員の 「声」(ビリーフやアイデンティティ)に焦点を当てて 分析し,結果を発信していく。

(45)

参考文献

• BARCELOS, A. M. F. (2006). Narrativas, crenças e experiências de aprender inglês. Linguagem & Ensino, v. 9, n. 2, p. 145-175.

• BARCELOS, A. M. F. (2007). Crenças sobre ensino e aprendizagem de línguas: reflexões de uma década de pesquisa no Brasil. In: ALVAREZ, M. L. O.; SILVA, K, A. da (Orgs.). Linguística Aplicada: múltiplos olhares. 1. ed. Campinas-São Paulo: Pontes Editores, p. 27-79.

• Beijaard, D., Meijer, P. M., & Verloop, N. (2004). Reconsidering research on teachers’ professional identity. Teaching and Teacher Education, v. 20, n. 2, pp. 107-128.

• Flores, M. A. & Day, C. (2006). Contexts which shape and reshape new teachers’ identities: a multi-perspective study. Teaching and Teacher Education, v. 22, n. 2, pp. 219-232.

• Johnson K. (1992) The relationship between teachers’ beliefs and practice during literacy instruction for non-native speakers of English. Journal of Reading Behaviour, 24, p. 83-108.

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• Miccoli, L. (2007) Autonomia na aprendizagem de língua estrangeira. In: Paiva, V. L. M. O. (Org.). Práticas

de ensino e aprendizagem de inglês como foco na autonomia. Campinas: Pontes, p. 31-49.

• Mukai, Y. (2014) Crenças e necessidades em relação à escrita em japonês: nos casos dos estudantes universitários brasileiros e portugueses. Linguagem &

Ensino, Pelotas, v.17, n.2, p. 391-440, maio/ago.

Norton, B. (2000) Identity and Language Learning: gender, ethnicity and educational change. Harlow, England: Pearson Education, 2000.

(47)

• 牛窪隆太(2013)「新人日本語教師の教育機関への参加に関する考察―ナ ラティブ・アプローチによる事例研究―」 『言語文化教育研究』11,p. 369-390. • 牛窪隆太(2014)「新人日本語教師の葛藤を生み出すもの―制約の下での 発達に焦点をあてて―」『多摩留学生教育研究論文集』p, pp. 1-10. 電気通 信大学国際交流推進センター・東京農工大学国際センター • 牛窪隆太(2015)「教師の役割と専門性を考える」神吉宇一(編)『日本 語教育学のデザイン―その地と図を描く』凡人社,pp. 145-169. • 崔鉉弼(ちぇ・ひょんぴる)(2015)「教室という現場を読み解く質的研 究方法-観察法 授業中の「事件」への教師の対応と教育観の具現を探る 授業観察の事例」舘岡洋子(編)『日本語教育のための質的研究 入門- 学習・教師・教室をいかに描くか』ココ出版,pp. 273-300. • 松田真希子(2005)「現職日本語教師のビリーフに関する質的研究」『長 岡技術科学大学言語・人文科学論集』 19, pp. 215-240. • 向井裕樹(2016)「外国語としての日本語教育実践における挑戦 -新人大 学教員のビリーフ,経験,及びアイデンティティ- (Desafios na prática do

ensino de língua japonesa como LE: crenças, experiências e identidade dos professores universitários principiantes)」(「第3回ポルトガル日本語教育 セミナー」ポルト大学,2016年)

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