浦安市は、旧江戸川の河口に位置 し三方を海と河川に囲まれており、 市域の
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が埋立てにより造成さ れた土地であるため、東日本大震災 では、中町地域や新町地域を中心に 液状化現象が発生し、甚大な被害を 受けました。また、元町地域や中町 地域では、地盤沈下などにより雨水 の自然排水が困難な地区がありま す。さらに、近年問題となっている 異常気象による都市型集中豪雨などによって、水害を引き起こす危険性があります。 一方、元町地域では、老朽化した木造家屋が密集 しており、また、道路が狭いなど都市基盤が脆弱で あることから、防災上の課題を抱えています。 このため、今後、発生が懸念される首都直下地震 や高潮などの自然災害に対し、建物や避難経路・避 難場所、護岸などの整備、新たな建築ルールづくり、 地域コミュニティ形成など、ハード・ソフトを組み
合わせたさまざまな対策が求められています。 また、多様化する犯罪への対応など、日々の暮ら しの中での安全・安心への意識が高まっています。 安全と安心は違うものであり、現代は安全なだけ でなく、市民が安心感を抱けるようなまちづくりが 求められています。そのためには、災害に対する備 えだけでなく、日常生活における安全性も高めてい く必要があります。
首都直下地震などの震災や風水害、火災、さらに、 これらの複合災害による被害を最小限に抑え、被災 しても早期復旧が図られるよう、東日本大震災での 教訓を踏まえ、「減災」を基調とし、人命を守るこ とを重視した多重の対策に取り組むとともに、地域 コミュニティとの連携を図りながら災害に強いまち
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基本方針
づくりを推進します。
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第
5
章
7 安全・安心のまちづくり方針
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整備方針
① 建物などの安全対策の促進
建物などの耐震対策、宅地の液状化対策などによ り、安全性の向上を図るともに、災害時に拠点とな る施設の機能強化に取り組みます。
●建物などの耐震対策
◦建物の耐震性の確認や耐震機能の向上を図り、地 震による建物の倒壊などの被害を防止するため大 地震の際の被害が懸念される新耐震基準導入以前 の建物(概ね昭和
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年以前に建築のもの)につ いて、耐震診断や耐震改修を支援します。◦老朽化したブロック塀は災害時に倒壊しやすく、 通行人に危害を及ぼし、道路を塞ぐことがありま す。市民への継続した普及活動や、調査により危 険と判断されたブロック塀などの撤去や改善の指 導を行います。
●宅地の液状化対策
◦建物や設備の更新時期や被災した住宅などの修復 や建替えの際に、液状化や地盤沈下の対策が進め られるよう、沈下・傾斜の修正工法や液状化対策 工法の分類・評価などの参考となる情報の収集や 提供に努めます。また、相談など支援体制・仕組 みづくりを進めます。
◦宅地の液状化対策に活かすため、液状化による被 害の調査結果を公表するとともに、震度分布や液 状化危険度マップを作成し公表します。
◦被災した地域では、国が創設した「市街地液状化 対策事業」などの制度を活用することを念頭に、 道路や下水道などの公共施設と隣接宅地との一体 的な液状化対策の実現可能性調査結果を、広く市 民に周知するとともに、地区住民との話し合いを
進め、市民との共同事業として取り組みます。 ◦大規模な住宅開発などについては、液状化対策を
行うよう誘導します。
●災害対策拠点・避難場所などの機能強化
◦シビックセンター地区では、市庁舎の建替えに取 り組むことで、災害時における防災の核となる災 害対策拠点としての機能強化を図るとともに、災 害時に避難場所として活用できるよう、防災面に 配慮した浦安公園を整備します。
◦公園は、その整備にあわせ、延焼遮断や避難場所 として活用できるようにします。
◦避難場所に指定されている小・中学校や福祉避難 所に指定されている公民館・福祉施設ではライフ ライン・出入口の機能が確保できるよう、耐震・ 液状化対策に取り組みます。また小・中学校の校 庭では、液状化対策に取り組みます。
◦その他の施設では、災害時での機能・役割に応じ た対策に取り組みます。
◦市が管理する建物の耐震診断や耐震改修の実施状 況などの情報を公表します。
② 密集市街地の整備の促進
密集市街地では、道路の拡幅や延焼遮断、不燃化 の促進に取り組むとともに、地域の実情に合わせた ルールづくりや再整備などにより、防災機能の向上 や住環境の改善を図ります。
●密集市街地の防災性の改善・強化
水利の配置、沿道建物と一体となった火災の延焼 抑止効果、日常的な交通機能などを考慮しながら、 避難経路となる道路や通路などの体系的な整備の 検討を進めます。
◦避難経路や細街路の沿道などでは、建替えにあわ せた建物のセットバックや不燃化、耐震化を促進 するとともに、地域の実情にあわせた新たな防火 規制や支援制度などを検討します。
◦取得した市有地を活用しながら、災害時の一時的 な避難場所にもなる公園・広場や避難経路をはじ め、地域を越えた住民同士の交流や憩いの場とな るオープンスペース、街区の再整備などの整備を 進めます。
◦まちの魅力拠点ゾーンに位置付けられている新橋 周辺地区は、密集市街地の改善も視野に入れなが ら、広場などの整備を推進します。
③ 道路・交通施設の安全化
道路は、災害発生時に緊急車両の通行、食料・物 資の輸送などの重要な役割を担うとともに、延焼を 遮断する防災空間としての役割もあります。このた め、国道や県道、主な市道を緊急輸送道路とし、防 災面に配慮した道路ネットワークを形成します。
震対策に取り組みます。
◦国や千葉県、千葉県企業庁が管理する道路や橋りょ うについては、早期復旧を促進するとともに、市 民生活に混乱が生じないよう、必要な性能を満た す耐震・液状化対策を講ずるよう協議を進めます。 ◦鉄道施設については、構造物の耐震化などの対策
を関係機関と調整しながら促進します。
◦液状化対策の検討結果や被害状況、復旧状況など をデータベース化し情報提供や今後の対策に活か します。また、本市の地盤や市街地の特性を踏ま えた液状化対策技術の開発支援に取り組みます。
●安全な道路ネットワークの確保
◦緊急輸送道路沿道の建物の耐震化・不燃化を促進 します。
◦災害時に道路を閉塞させるおそれのある沿道の建 物は、「重点的に耐震化すべき建物」として耐震 化を促進します。
◦災害時に避難経路が妨げられないよう、沿道や避 難所及び一時避難場所の周辺地域では、地域と連 携し耐震化・不燃化を促進します。
◦災害時の他都市との道路ネットワークの強化を 図るため、第二東京湾岸道路や都市計画道路
3・1・2
号(堀江東野線)の将来の整備に向けて、分
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章
7 安全・安心のまちづくり方針
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ライフラインの機能確保の促進
ライフラインは、日常生活において重要な役割を 担っています。このことから、災害時でもその機能 を確保できるよう、耐震・液状化対策を進めます。
●ライフラインの耐震・液状化対策
◦電気・ガス・上下水道などのライフラインについ ては、円滑な復旧が図られるよう、関係機関と協 力して応急・復旧体制づくりを促進します。 ◦地震発生直後の飲料水や食料、物資などを確保す
るため、集合住宅などに設置される受水槽の活用、 住宅開発での備蓄スペースの確保誘導、事業所な どとの連携を図ります。
◦災害時に被害を受けても、日常生活に支障がない よう、下水道施設の使用制限下における汚水処理 のあり方について調査・研究を行います。 ◦市が管理する下水道施設(汚水)の流下機能を確保
するため、重要な管路など、それぞれに求められる 性能を満たすよう耐震対策などに取り組みます。 ◦千葉県や事業者が管理する上水道や電気などの施 設については、早期復旧を促進するとともに、液 状化対策を含めた災害対策を講ずるよう、協議・ 調整を進めます。
◦液状化対策の検討結果や被害状況、復旧状況など をデータベース化し、情報提供や今後の対策に活 かします。また、浦安市の地盤や市街地の特性を 踏まえた液状化対策技術の開発支援に取り組みま す。
⑤ 護岸・水門などの機能向上の促進
排水能力の向上を図るため、雨水排水施設を整備 するともに、地震や高潮などによる水害対策として、 河川や海岸の護岸の改修を促進します。
●水際線の防災機能と親水性の向上
◦ヒートアイランド現象などの影響により、地球温 暖化に伴う高潮や海水面の上昇、都市型集中豪雨 が発生しており、水害の危険性が以前にも増して 高まっていることから、河川や海岸の護岸改修や 整備による治水機能の向上を図ります。また、国 や千葉県の津波に関する検討状況を踏まえ、必要 に応じた対策や整備に取り組みます。
◦旧江戸川や境川などの河川や舞浜地区などの海岸 では、引き続き、高潮対策として千葉県が行う護 岸の改修を促進します。また、これにあわせ、修 景整備や市民の憩いの場となる親水空間の整備に 取り組みます。
◦護岸の治水機能の向上を図るため、強度の確保や 液状化対策などの機能の強化について管理者であ る千葉県と協議を進めます。
◦液状化の際に発生した噴出土砂などを利用して、 二酸化炭素(
CO
2)削減に寄与し、津波・高潮被害の軽減効果もある浦安絆の森を市民参加、協 働により整備し、都市の生活環境を守るとともに 緑化の推進を図ります。
◦千葉県や事業者と連携し、企業岸壁の対応につい て検討します。
◦住民の屋外活動や交流を促進することは、犯罪の 抑制につながります。そのため、道路・公園など の外部空間では、照明や植栽などの適切な維持管 理を行い、見通しが良く利用しやすい環境の整備 を図ります。
◦犯罪の発生が懸念される公共空間では、できるだ け見通しを確保するとともに、防犯カメラや警察 への通報装置を装備したスーパー防犯灯の運用に より、犯罪抑制や安全・安心の確保に努めます。 ◦地域での安全・安心を高めるために、自治会・学 校関係者・関係機関などが連携して、学校区単位 などで行う自主防犯・防災活動と公共空間の整備・ 維持管理とを組み合わせた取り組みを進めます。
●地域の安全に配慮した環境づくりの推進
◦住宅開発などにおいては、見通しを良くするなど周 辺の防犯に配慮した計画となるよう誘導します。 ◦防犯性能の高い部品や設備などを活用し、防犯に
配慮した住宅の普及を促進します。
◦駐車場や自転車駐車場などでは、できるだけ見通 しを確保するとともに、必要に応じて防犯カメラ の整備を誘導します。
●ユニバーサルデザインの推進
◦誰もが安全・安心・快適な移動ができるよう公共 空間における歩行空間や公共公益施設などのユニ バーサルデザイン化を推進します。
進します。また、長寿命化計画の策定など雨水排 水施設の計画的・効率的な維持管理を行うととも に、安全で円滑な運用ができるよう、マニュアル の整備や体制の強化などに取り組みます。 ◦市が管理する雨水排水施設の流下機能を確保する
ため、重要な管路など、それぞれに求められる性 能を満たすよう耐震対策などに取り組みます。 ◦境川河口の水門と排水機場の整備について、千葉
県と協議を進めます。
◦高潮から市街地を守るため、既存の排水機場の耐 震・液状化対策など機能の強化について管理者で ある千葉県と協議を進めます。
◦都市型集中豪雨や大型台風の水害に対応するた め、緊急冠水対策として道路や公園、学校施設の 敷地内などへの雨水貯留施設の整備を推進し、排 水能力の向上を図ります。
⑥ 暮らしの安心
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7 安全・安心のまちづくり方針