• 検索結果がありません。

「学校教育の構造」に関する一考察 −学校の構成要素と教育的空間−

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「学校教育の構造」に関する一考察 −学校の構成要素と教育的空間−"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「学校教育の構造」に関する一考察

−学校の構成要素と教育的空間−

伊藤  潮

1.はじめに

 学校はこれまで,「学習者(児童生徒)」,「指導者(教師)」,「教材(教育内容)」によって構成さ れ,教育活動は,教科活動と教科外活動という二つの領域に分けて構想されてきた.学校という教育 施設・機関を,このような構成要素としての捉え方と二分した教育活動の捉え方に疑問をもったのは, 1978(昭和 53)年,ある学校で教育研究所との共同研究に参加し「形成的評価」の研究に携わった際, 評価基準である教育目標の存在意義(目標分類,目標分析)が話題となった時である.それは,学校 の構成要素として,「学習者(児童生徒)」,「指導者(教師)」,「教材(教育内容)」だけでは不充分で はないのか.学校を構成する要素には,学校の「経営・教育目標」や「理念・校訓」などが含まれる のではないかという素朴な疑問であった.その後,2004(平成 16)年 3 月退職後,2006(平成 18) 年,院生時の学位(修士)論文(『学校改善を図る学校評価に関する研究〜「経営プログラム」によ る自己評価〜』)を執筆した際に,学校を「一定の人的・物的要件を備え,特定の教育課程によって 児童生徒に対し組織的・継続的に教育目標等の実現に向けて教育活動を行う施設」(幸田 1990:487-488)と捉えることの重要性と「学校の経営・教育目標」の存在意義を実感した. 当時,1998(平成 10)年第 16 期中央教育審議会「今後の地方教育行政の在り方について」のなかで,「教 育目標の達成状況を自己評価し,保護者や地域住民への説明に努めること」が答申された.この答申 を受け,2002(平成 14)4 月「小学校設置基準」(「中学校設置基準」も同年)が施行され,各学校は「… 学校の目標を実現するため,教育活動その他の学校運営の状況について自ら点検及び評価を行い,そ の結果を公表するように努める」ことが定められた.「自己評価」の実施とその結果の公表が義務化 されたのである.「自己評価」を実施する際,評価基準としての学校の教育目標は,教育活動改善の ためには必要不可欠なものであると捉えられたのである.  そこで「学校教育の構造」に関わる先行研究の論文・資料等を収集し分析・考察し,学校教育目標 と学校における様々な活動との関係を以下のように整理し「学校教育の構造」の再構築を試みた.

2.先行研究

 河野重男・新井邦男編『現代学校の構造』(1976)の「学校教育の構造と教科指導」において,木 原孝博は「学校教育には,教科指導−認知的社会化−科学・芸術・技術−認識−価値信念体系の系と, 生活指導−道徳的社会化行動・生活価値信念体系の二つの系があり,二つの系が学校教育を成立させ ている」また,学校教育には「教科指導」と「生活指導」の二大機能,二大領域が存在することを指 摘している.岩垣攝は,吉本均編『学習主体形成と評価活動』(1984)の「学校教育の構造と陶冶と 訓育の統一」のなかで,「学校教育は,教科と教科外諸活動という二つの領域に分けられ,構想される」 と述べている.さらに,竹内常一は著書『学校改革論』(1995)の「学校教育の目的と構造」のなかで,「学 校教育は教育目的を達成するために,教科指導と生活指導という二つの教育形態をたて,陶冶と訓育

(2)

という二つの教育機能をその固有の構造のもとに組織する.そして,この二つの教育形態を中心に教 科教育と教科外教育という教育領域をつくり出す」と述べ,下記のような図でその関係を説明している. 陶冶 教科指導 教科教育 訓育 生活指導 教科外教育 学校教育の基本構造 そして,山口満・唐澤勇監修『実践に活かす 教育課程論・教育方法論』(2008.9 第 14 版)の「第 一部 教育課程論 3 教育課程と学習内容(2)教材論」のなかで,飯田範子は「授業は,『教材』を媒 介として授業者と学習者の相互作用によって成立する.これらは一般に,『教授の三角形』として図 のような関係構造で示されてきた.」と述べ,下記のような図を示し「教授−学習過程」の三つの関 係(教師と教材,教師と子供,子供と教材)を説明している. 教  師 子ども 学 習 教 材 教 授 の 三 角 形 教材 研究 支援 指導  それぞれの表現は相違しているが,学校教育に存在する領域(活動)について述べている.しかし, 「教科教育と教科外教育という二つの教育形態」は「何」を目指すのか,「教授(授業)のねらい(目 標)」は何であるのか,学校教育における目標との関連について論じられていない.  つまり,学校における様々な教育活動は何を目指して行われているのか,また,その意義等につい て言及していないのである.「学校の存立条件」や「学校教育の構造」を論じる際に学校設立の「理念」, 目指す「目標・指針」や育てるべき「目標,校訓」などの存在意義を明確にすること,そして,教育 活動・領域の相互の関係等を究明することは最も基本となることではないだろうか.  本論文では,学校の構成要素である「目標(理念・校訓)」を頂点とし,「学習者(児童生徒)」,「指 導者(教師)」,そして「教材(教育内容)」から形成される教育的空間を明確にし,それぞれの活動 の役割等を明確にすることを中心課題とした.

3.学校教育の構造

1)学校の存立構造〜構成要素から形成される四つの活動  学校には,「学習者(児童生徒)」,「指導者(教師)」,「教材(教育内容)」の他に,目指す「目標(理 念・校訓)」が存在する.それらを通常,学校を構成する四つの要素とよぶ.なかでも「目標(理念・ 校訓)」は,学校の諸活動の指標である.目指す「目標(理念・校訓)」を明確に示している学校は, 教職員の学校運営への参加意欲だけでなく,学習者の学ぶ意欲も高まり,学校全体の諸活動が活性化

(3)

し教育の成果が向上する.学校を支援・援助する保護者,地域住民,そして,地域社会から評価され, より一層期待度が高まる.「目標(理念・校訓)」は学校を構成する一つの要素であるが,学校を構成 する要素は,他と無関係に存在しているのではなく,四つの要素は何らかの関係をもち,相互に作用 し合い,影響し合って存在する.したがって,学校を構成する四つの要素から形成されるトライアン グル(側面)は,四つ存在する.  上記のこと,つまり学校を構成する要素とそこに形成される四つの空間の位置関係を書き表すと下 記の図 1 ができる.(私はこれを『学校(教育)の構成モデル図』と名付け,実物の「立体模型」を作り, 講義の中で学生に提示し「学校教育の構造」をイメージ化させている.写真 P23) 家庭・地域社会 *日本国憲法 *教育基本法 集団・学校 (理念・校訓) *学校教育法 目標 ・学習指導要領 Ⅳ評価活動 Ⅱ教材研究活動 教材 指導者 (教師) Ⅰ教育活動 (教育内容) Ⅲ自主的活動 (授業) 学習者(児童生徒) 図1 学校教育の構造  以上のことから,学校は,「学習者(児童生徒)」,「指導者(教師)」,「教材(教育内容)」,そして 「目標(理念・校訓)」という四つの要素から成り立ち,学校にはその要素から形成される四つの教育 的空間(活動)が存在するのである.さらに学校では,「目標(理念・校訓)」の実現を図る取組み等 が,教師の支援・指導の下で学習者が主体となり,あるいは学ぶ共同体として展開される.形成され た教育的空間(活動)の機能・役割はそれぞれ相違するが,教育的空間(活動)は,相互に関連し合っ て学校教育を支えている.      そこで,学校教育を支える 4 つの教育的空間(活動)を        Ⅰ.教育活動 Ⅱ.教材研究活動  Ⅲ.自主的活動  Ⅳ.評価活動 と命名し,以下にそれぞれの役割・機能を説明する. 2)学校教育を支える 4 つの活動 〈Ⅰ.教育活動(授業)〉  教育活動は,学校を構成する「学習者(児童生徒)」,「指導者(教師)」,「教材(教育内容)」の三 つの要素から形成される.それは上記の「構成モデル図」の底面Ⅰを指すが,教育活動は,学校教育

(4)

の基盤となるもので一般的には「授業」とも言われ,その目指すものは学校の教育目標(教科等の目標) である.そして,教育活動(授業)は常に「教材(教育内容)」を媒介とし,「指導者(教師)」と「学 習者(児童生徒)」の相互作用によって行われる.また,そこでは指導者の主活動である「教授」と 学習者の主活動である「学習」が行われることから,「教授・学習過程」ともいわれる.これらのこ とから「教育活動(授業)」は,三つの要素から形成される関係構造(トライアングルな教育的空間) で示すことができる.それを「教育活動(授業)の三角形」といい,下記の図 2 の網掛部分である. 「教材(教育内容)」を媒介として学習者(児童生徒)に学習 活動を支援・指導することを通常「学習指導」(矢印)とよ んでいる.  一方,直接「学習者(児童生徒)」に働きかけ,行動の仕 方や考え方を自己形成させる支援・指導を「生徒指導」(矢印) といい,両者を合わせて一般的に「教育(的)指導」とよぶ.  この図からも分かるように,教育活動(授業)では,「学 習指導」と「生徒指導」は同時に行われる.したがって,「指 導者(教師)」には,「教育活動(授業)」を通して「学習者(児童生徒)」に知識や技能などを習得さ せ,同時に自律的学習活態度・習慣を育てる指導が求められるのである. 〈Ⅱ.教材研究活動〉  「指導者(教師)」の教育活動(授業)づくりの出発点となるのが「教材(教育内容)」の吟味・研 究作業である.「教材研究活動」は「目標(理念・校訓)」,「教師(指導者)」,「教材(教育内容)」の 三つの要素から形成される教育的空間(活動)である.それは上記「構成モデル図」の側面Ⅱである が,三つの要素から成る「教材研究活動の三角形」は下記の図 3(網目部分)である.それを一般的 に「教材研究」とよび,教師の重要な活動の一つである.「指導者(教師)」は,教育課程に即し教育 目標に合致する教材(教育内容)を事前に吟味・研究し,「学習者(児童生徒)」の実態や発達段階等 に応じて構成・準備し提示する.  「学習者(児童生徒)」は,その教材に働きかけ,主体的な 学びによって,一般的かつ本質的な「教育内容」を習得する. それゆえに,教材(教育内容)の質・内容が「学習者(児童 生徒)」の学習意欲や学習の理解度に大きく影響する. した がって, 教育的価値の高い教材(教育内容)の選択・開発が 求められるのである.  教育的価値の高い教材(教育内容)は,①教育目標に合致し, 伝達されるべき内容は科学・文化の一般的・本質的な内容に 適合し,②学習者(児童生徒)の知的好奇心を喚起し,主体的・創造的な学習活動を促すことができ る具体性を有するといった二つの性格を合わせもっている.それを選択・開発する際に留意すること は,①学習者(児童生徒)の発達段階(知的発達段階)に応じた教材(教育内容)であること,②学 習者(児童生徒)の生活経験に根ざし地域の実態に応じた教材(教育内容)であること,③教科の系 統性・発展性,他教科及び領域との関連性を考慮した教材(教育内容)を選択することである. 図2 教育活動(授業) 指導者 教材 目標(理念・校訓) (教師) (教育内容) 学習者(児童生徒) 指導者 教材 目標(理念・校訓) (教師) (教育内容) 図3 教材研究活動 学習者(児童生徒)

(5)

 「教材研究活動」の主たる目的は,教育的価値のある「教材(教育内容)」を選択・開発する研究作 業である.その作業は一般的に以下のような二つの段階に分けて構想される. (1)第一の選択・吟味作業〜学習者(児童生徒)の実態と教育課程に即し教育目標に合致する 価値ある「教材(教育内容)」を選択・吟味しその配列構成及び展開計画を立案する段階. (2)第二の研究作業〜選択,配列構成された「教材(教育内容)」に迫る分かりやすい,かつ楽 しく学んでいけるような具体的な「教材教具」を選択・開発し実践で活用・構想する段階. 教育活動(授業)が学習者(児童生徒)にとって有意義なものとなるためには,実践主体者である「指 導者(教師)」の自主性・自律性が保証される「教材研究活動」でなければならない. 〈Ⅲ.自主的活動〉 他からの干渉を受けずに,自分から進んで課題を見つけ,主体的に判断して行う「自主的活動」は, 学校教育では随所,適宜,かつ計画の有無に関わらず行われ,「学習者(児童生徒)」の全面発達に多 大に寄与している.「自主的活動」は,「目標(理念・校訓)」,教材(教育内容)」,「学習者(児童生徒)」 の三つの要素から形成される教育的空間(活動)である.それは上記の「構成モデル図」の側面Ⅲで あるが,三つの要素から成る「自主的活動の三角形」は,下記の図(斜線部分)である.「自主的活 動」とは,①「学習主体者(児童生徒)」が自主的に教材(教育内容)から学ぶ活動,②「学習者(児 童生徒)」自身が自主的,かつ主体的に学校生活を維持・運 営する自治的な活動,③課題を設定しその解決に向けての活 動などである.また,「自主的活動」では,グループ・集団 での生活・活動そのものが直接教材となることが多いことか ら,その教育的意義は,①人間の個性や多様性を認識し自他 の良さ・違いを自覚するとともに他人を尊重する大切さを学 ぶ,②より良い人間関係構築のためのあるべき行動・態度を 学ぶ,③楽しく学校生活を営むために仲間との連帯意識を築 く, ④目標を達成するために,個人と全体の役割を認識し全員で協力し合うことの大切さを実感する, ⑤夢・希望の実現や問題解決のための平和的民主的な手だてを学び,自治的な能力 が育つなど,自 律した人間を育成する上で重要な活動である.  「自主的活動」を通して,「自ら課題を見つけ,その課題解決 に主体的・創造的に取り組む姿勢・態度」 を育成し,「人間理解を深めるとともにコミュニケーション能力など人間関係を築く力量」の発達が 期待される.したがって,「自主的活動」は,学習者(児童生徒)の問題解決能力,自治的能力,コミュ ニケーション能力,人間性・社会性などを育む貴重な体験の機会・場であることから可能な限り制限 等を加えず,認知し推奨する風土が学校の教職員組織に求められる. 〈Ⅳ.評価活動〉  教育は意図的,計画的な営みである.そこには必ず目指す「目標(理念・校訓)」が存在し,その 目標を達成するために必要な教材(教育内容)が選択され,同時に具体的な指導法が工夫され,指導 者(教師)主導の下で様々な教育活動が展開される.  しかし,教育活動(授業)を行っただけでは目標を達成できたかどうかは不明である.使用した教 図4 自主的活動 指導者 教材 目標(理念・校訓) (教師) (教育内容) 学習者(児童生徒)

(6)

材(教育内容)や方法・内容が学習者(児童生徒)にとって適切であったかどうかも確認できない. そのことを明確にするためには,何らかの取組み(活動)が必要となる.その取組み(活動)を「評 価活動」とよぶ.「評価活動」は「目標(理念・校訓)」,「指導者(教師)」,「学習者(児童生徒)」の 三つの要素から形成される教育的空間(活動)である.それは上記の「構成モデル図」の側面Ⅳであ るが,三つの要素から成る「評価活動の三角形」は下記の図 5(黒枠部分)である.「評価活動」を 一般的に「教育評価」とよぶ.教育評価それ自体も学校教育における重要な活動の一つである. つ まり,教育評価とは,教育目標に照らし,教育(指導)の効果がどの程度児童生徒に実現・達成され たかを判断・判定し,「指導者(教師)」の指導と学習者(児童生徒)」の学習活動の改善を目指す行為・ 作業活動)であるということができる.「教育活動(授業)」における評価は多様であるが,それを区 分すると次のように整理することができる.  一つは「教育活動(授業)の評価」である.それには ① 指導過程の評価と,②学習者の自己評価がある.前者は「指 導者(教師)」の指導や活動が教育目標や内容にそって効果 的に行うことができたかどうかを判断・反省しその改善充実 のために実施するもので,後者は学習者(児童生徒)自身が 自己の学習状況を知り,自己の学習活動の改善充実を図るた めに実施されるものである.  もう一つは,「学校の教育活動・運営等の総括的な評価」 である.これを一般には「学校評価」とよんでいる。 これまでも各学校では,「年度反省」,「年度総括」 などの名称で実施し,自校の教育活動やその他学校運営の改善充実に努めてきた.学校評価はそれ自 体が目的ではなく,「学校の諸活動がどの程度果たしているかを,学校の教育目標の達成度という観 点から明らかにし,その結果に基づき,学校の諸活動全般の改善を図ることを目的」(拙者 2006 年) として実施されるものである.  現在,学校評価の目的は,文部科学省が平成 20 年 3 月「義務教育諸学校における学校評価ガイド ライン」(改訂)で次のように提示している.第一に,学校評価は,教育活動(授業)その他の学校 運営について組織的・継続的な改善を図るために実施される.第二に,学校評価は,各学校が保護者, 地域住民等から理解と参画を得て,学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりを進めるために実 施される.第三に,学校評価は,学校教育の質を保証・向上を図るために実施される.  また,学校評価の方法については,次の三つを提示している.  一つは,各学校の教職員が行う評価(自己評価)  二つは,保護者など学校関係者などにより構成された評価委員会が行う評価(学校関係者評価)   三つは,学校と直接関係を有しない専門家等による客観的な評価(第三者評価)  である.  今後も「学校のアカウンタビリティー」を明確にするために,学校が自らの教育成果の達成如何を 分析・把握し,それらを公開し教育活動の改善に取り組むことが益々要請されることであろう. 指導者 教材 学習者(児童生徒) 目標  (理念・校訓) (教師) (教育内容) 図5 評価活動

(7)

4.おわり

 「小学校学習指導要領解説 総則編」(平成 20 年)で,教育課程の意義について「学校において編 成する教育課程とは,学校教育の目的や目標を達成するために,教育の内容を児童の心身の発達に応 じ,授業時数との配当において総合的に組織した学校の教育計画である」と説明している.このよう な教育課程の捉え方は,1977(昭和 52)年版の学習指導要領から見られるようになったが,それま での教育課程観と大きく相違している.従来までの学習指導要領での教育課程に関する説明は,「教 育課程には教科,道徳,特別教育活動,学校行事等が含まれる」といった教育課程の内容領域を示し, そこにねらい・重点を置いた記述となっている.しかし,現行の学習指導要領では,教育課程の捉え 方は内容領域論的な捉え方のみにとどまらず,上記のように目標達成論的な捉え方をしている.  各学校は教育基本法や学校教育法等に示されている教育の目的や目標を踏まえ,学校や児童生徒の 実態に即し,育成すべき児童生徒像を具体的に学校の教育目標として設定する.そして,その目標の 達成を目指し,計画的,組織的に教育活動を展開する.その教育活動の枠組みやその目標達成の過程 を示すのが教育課程である.教育課程に基づく教育活動は PDCA(Plan,Do,Chek,Action,)のサイクル で実施され継続的に改善を図られなければならない.教育課程の評価は,学校評価のなかで検証され, それを公開・発信しながら改善につなげ,教育水準向上を図っていくこと,そして「評価なくして改 善なし」「情報の公開・発信なくして改善なし」という考えで学校教育を推進していくことが重要である. 〈「学校(教育)の構成モデル図」の立体模型〉

文献

飯田範子,2005,「第一部 教育課程論 3 教育課程と学習内容(2)教材論」山口満・唐澤勇監修『実 践に活かす教育課程論・教育方法論 7』学事出版. 伊藤 潮,2006,「学校改善を図る学校評価に関する研究〜「経営プログラム」による自己評価」『北 海道教育大学学位(修士)論文』,33-34. 岩本攝,1984,「学校教育の構造と陶冶と訓育の統一」吉本均編『学習主体形成と評価活動』明治図書 木原孝博,1976,「Ⅱ現代学校の構造 第四章現代学校の組織構造」 河野重男・新井邦男編,『現代教 育社会学講座 4 現代学校の構造』東京大学出版会,165-170. 幸田三郎,1990,細谷俊夫編,『新教育学事典』第一法規. 文部科学省編,2008,「小学校学習指導要領解説 総則編」. 竹内常一,1995,『竹内常一教育のしごと 3 学校改革論』青木書店,110-114.

(8)

Study on the Structure of School Education :

Component of School and Educational Space

ITOH Ushio

Abstract : In this paper an educational space that is formed from the elements that make up the school is

closely related to the educational objectives. Then, there is a space for each educational roles, missions, school education exists is supported by the school space. I recommend the contents of the above. Education reform in Japan since 1990, is required “accountability” for schools, “school assessment” has become a hot topic in order to improve the school .And the existence of educational objectives in school very focused. It is because the educational objectives of the school are involved in all educational activities. And that is because the criteria for determining the outcome of schooling. Nowdays, it is required that their own school to analyze the status of achievement of educational outcomes, and actively disclose to parents and community improvement measures of educational activities. It will be important that the school evaluation to improve the school in the future. To do so, in each school, it is important to analyze the educational objectives is the evaluation criteria. Then, it is possible to reconstruct educational objectives of school, taking advantage of the various activities of the school is expected.

参照

関連したドキュメント

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

独立行政法人福祉医療機構助成事業の「学生による家庭育児支援・地域ネットワークモデ ル事業」として、

・学校教育法においては、上記の規定を踏まえ、義務教育の目標(第 21 条) 、小学 校の目的(第 29 条)及び目標(第 30 条)

オーディエンスの生徒も勝敗を考えながらディベートを観戦し、ディベートが終わると 挙手で Government が勝ったか

また、学内の専門スタッフである SC や養護教諭が外部の専門機関に援助を求める際、依頼後もその支援にか かわる対象校が

副校長の配置については、全体を統括する校長1名、小学校の教育課程(前期課

取組の方向 安全・安心な教育環境を整備する 重点施策 学校改築・リフレッシュ改修の実施 推進計画 学校の改築.

1951 1953 1954 1954 1955年頃 1957 1957 1959 1960 1961 1964 1965 1966 1967 1967 1969 1970 1973年頃 1973 1978 1979 1981 1983 1985年頃 1986 1986 1993年頃 1993年頃 1994 1996 1997