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第四紀研究 (The Quaternary Research)52(3)p 年 6 月 雑 録 国際第四紀学連合第 18 回大会 (International Union for Quaternary Research, XVIII Congress, July 21 to

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雑  録

国際第四紀学連合第 18 回大会(International Union for Quaternary

Research, XVIII Congress, July 21 to 27, 2011, Exhibition and

Congress Centre BERNEXPO, Bern, Switzerland)報告

斎 藤  文 紀* 

1, a

・鈴 木  毅 彦* 

2  スイスのベルンで開催された国際第四紀学連合第 18 回大会は,これまでで最も多くの日本人が参加し,また 2015 年の次回大会が名古屋で開催することが決定する など,日本の第四紀研究者にとって,記念すべき大会と なった.国際第四紀学連合大会の日本開催のために, 1999 年に 「INQUA 招致検討のためのワーキンクグルー プ」 が設立され,2004 年の米国リノ大会で初めて日本 開催の正式提案が行われた.残念ながら採択には至らな かったが,この招致活動が基となり,今回の提案とな り,名古屋開催の採択までたどり着くことができた.数 十年にわたる第四紀学や INQUA における活動と,招 致における 100 名を超える方々のご支援,ご協力の結 果である.2015 年名古屋大会の成功に向けて,引き続 きご支援頂けますようお願い申し上げます.  本報告の作成には,委員会報告,巡検報告において以 下の方々のご協力を得た.記して御礼申し上げます. 青木かおり,吾妻 崇,内山 高,小野 昭,工藤雄一 郎,小岩直人,近藤 恵,佐野勝宏,島田和高,須貝俊 彦,菅沼悠介,鈴木正章,竹村恵二,横山祐典,渡邊裕 美子 (敬称略). I. 会 議 の 概 要 開催地:スイス,ベルン,ベルン・エキスポ展示会議場 (図 1) およびその周辺 主催機関:国際第四紀学連合 メインテーマ:山岳地域から見た第四紀学(Quaternary  sciences-the view from the mountains) LOC (組織委員会):委員長 Christian Schlüchter (ベ ルン大学),副委員長 Heinz Wanner (ベルン 大学),事務局長 Barbara Gerber (PAGES) 日 程:2011 年 7 月 21 日~27 日 (7 月 24 日は巡検) 巡 検:会期前 3 件,会期中 24 件,会期後 5 件 (合計 32 件:ユングフラウ行きの同じ巡検 1 件が前 後と会期中の 3 回開催されている).1 件を除 いてすべて定員一杯.当初は,会期前は 7 件, 会期中 26 件,会期後は 5 件あったが,一部 キャンセルになったようである. 登録料:事前登録 (2011 年 3 月 31 日まで) 一般 750 ス イスフラン (以下 CHF),博士課程学生 550  CHF,  修士課程・学部生 350 CHF,  通常登録 (2011 年 6 月 5 日まで) 一般 950 CHF, 博士課 程学生 700 CHF, 修士課程・学部生 500 CHF,  2013 年 4 月 1 日受付.2013 年 4 月 6 日受理. * 1 産業技術総合研究所地質情報研究部門 〒305-8567 つくば市東 1-1-1 中央第 7. * 2 首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理学教室 〒192-3232 八王子市南大沢 1-1. * a Corresponding author : [email protected] 図 1 大会会場のベルンエキスポ (BERNEXPO)

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後期登録 (2011 年 6 月 6 日以降 ) 一般 1250  CHF, 博士課程学生 850 CHF, 修士課程・学部 生 650 CHF. 登録料には,会議への参加許可, ウエルカムレセプション,午前と午後のコー ヒーブレークと昼食 (6 日間) が含まれ,会議の 資料,ベルン市の 1 週間有効の公共交通チケッ トが配布された.この他に,1 日券 250 CHF と コングレスディナー 80 CHF があり,これらの 金額は事前から当日まで変わらない (2011 年 前半から大会頃のレートは約 85~100 円/CHF に急上昇). 各種締め切り: 2010 年 1 月 ウエブサイト公開 2010 年 5 月 登録開始 2010 年 11 月 30 日 口頭発表締め切り 2011 年 2 月 2 日頃 受理連絡 2011 年 5 月 プログラム公開 2011 年 6 月 1 日 ポスター発表締め切り(当初は 5 月 10 日であったが延長された) 本会議:6 会場に分散:BERNEXPO 4:プレナリーホー ル,BERNEXPO 1 & 3:セッション 4 会場, Stade de Suisse:セッション 3 会場,Novotel: セッション 2 会場,Kaserne:セッション2 会場, BERNEXPO 2:登録,展示,食事,ポスター, セッション会場は合計で 11 会場  7 月 21 日 午前:登録,開会式 (組織委員会委員長, ベルン大学学長,ベルン市長,INQUA 会 長の挨拶),プレナリー講演 2 件,INQUA 事務報告,Liu Tsungsheng メダルと Sir  Nicholas Shackleton メダル授与および 受賞者の講演,午後:プレナリー講演 2 件,ポスターセッション,各セッション, 夕方:ウエルカム・レセプション (会場 近くの National Horse Center で立食)  7 月 22 日 午前:各セッション,午後:プレナリー 講演 1 件,ポスターセッション,各セッ ション,夕方:各委員会等  7 月 23 日 午前:各セッション,午後:プレナリー 講演 1 件,ポスターセッション,各セッ ション,夕方:各委員会等  7 月 24 日 巡検  7 月 25 日 午前:各セッション,午後:プレナリー 講演 2 件,ポスターセッション,各セッ ション,夕方:コングレスディナー  7 月 26 日 午前:各セッション,午後:プレナリー 講演 1 件,ポスターセッション,各セッ ション,夕方:各委員会等および公開講 演 (ドイツ語)  7 月 27 日 午前:各セッション,午後:プレナリー 講演 2 件,総会 (会長講演,国際評議員 会報告ほか),フェアウエルドリンク  ポスターは,毎日入れ替えで計 5 日間,午後 2 時 30 分~3時50分にポスターセッション (25日はプレナリー 講演が 2 件のため,午後 2 時 45 分から開始).  国際評議員会は,会場から 20~30 分歩いた距離の Bellevue Palace Hotel で,23 日,25 日,26 日の午後 3 時~5 時に行われた.各委員会などのビジネスミー ティングは,主に 22 日,23 日,26 日の午後 6 時~8 時 に開催された. 投 稿:要旨の投稿数は 3,162 件,受理数 2,468 件 宿 泊:宿泊は,大会のホームページにリストが掲載さ れ,各自が直接申し込む. 参加者:  大会事務局の発表では,参加者総数は,68 ヶ国から 2,020 名.参加した国と人数は,多い順に,英国 (274), ドイツ (234),米国 (193),スイス (176),中国 (137), フランス (113),日本 (83),オーストラリア (79),スペ イン (75),イタリア (65),カナダ (57),スウェーデン (43),デンマーク (28),ロシア (27),オーストリア (26), ニュージーランド (26),ベルギー (23),ノルウェー (22),ポーランド (18),ポルトガル (18),韓国(18), インド (18),イスラエル (18),ブラジル (16),南アフ リカ (16),フィンランド (15),エストニア (12),ハン ガリー (11),チェコ (11),トルコ (10),アルゼンチン (10),チリ (9),アイルランド (8),リトアニア (8),ナ イジェリア (6),メキシコ (6),オランダ (5),ルーマ ニア (5),ウガンダ (5),ウクライナ(5),ブルガリア (4),台湾 (3),セルビア (3),ラトビア (2),エチオピ ア (2),グルジア (2),シンガポール(2),イラン (2), ベニン (2),スロバキア (2),スロベニア (2),サウジ アラビア (2),クロアチア (2),コロンビア (1),エジ プト (1),ギリシャ (1),アイスランド (1),ジャマイ カ (1),レバノン (1),モロッコ (1),モザンビーク (1),アルメニア (1),スリランカ (1),トーゴ (1),ボ ツワナ (1),アラブ首長国連邦 (1),ウズベキスタン (1),ベネズエラ (1). 会場と運営:  大会の登録や運営は,外部の専門会社に委託しない,

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ホテルの手配はインターネットで参加者が直接行う,巡 検は独立採算で行う,以上の 3 点を基本方針に準備が 行われたようである.全費用の 72% が登録料でまかな われ,他の援助が 25% で,前回のケアンズ (94%) と比 べて登録料の割合が低く,40 を超える団体・会社等か ら援助を得ている.会議の案内のサーキュラーは作成さ れておらず,ウェブのみの案内で,登録と投稿もウェブ のみで行われた.プログラム等の大会の詳細な記録はま とまった冊子としては出版されておらず,毎日配布され た新聞にその日のプログラムが掲載され (図 2),参加者 に配布された USB メモリーの中に大会のホームページ から作成されたプログラムと要旨があるだけである (図 3).なお,2013. 3. 29 現在でも大会のホームページは見 ることができる.http : //www.inqua2011.ch  本大会では参加数が 2,000 名を超え,投稿された要 旨も 3,000 件を超えている.大会の口頭発表の締め切 りが 11 月 30 日であるのに対し,ポスターの締め切り は 5 月 10 日と遅く,さらに 6 月 1 日まで延長された. 参加者数が大幅に多かったのも,この遅いポスターの締 め切り,夏の休暇の時期に観光地での開催であったこと などが,大きく影響していると考えられる.また,これ までの大会と比べて,中日の巡検が充実していた.結果 的に 23 件の中日の巡検があり,すべて満杯であった. 人気のユングフラウは,会期の直前と会期の直後に中日 と同じ巡検が企画され,多くの人が参加できるように準 備されていた.中日の巡検に参加した数は 600 名を超 えており,参加者の約 3 分の 1 近くが参加している. すべて満杯であったことを考えると,需要はもっとあっ たことになる.一方で,会期前と会期後の巡検数は少な く,参加者は総計でも 100 名に達しない.長期の参加 が難しくなる中で,参加者には中日の巡検の充実が望ま れているのがわかる.  大会の会場はたこ足状態で,6 会場に分かれており, 移動には最大で 10~15 分必要であった.参加者が 2,000 名を超え過去最大となったために,BERNEXPO だけで は収容できず,このような会場配置になったのであろ う.移動は容易でなく,非常に不便であった.また一部 の会場は収容人数が少なく,やっと会場にたどり着いて も中に入れない場合もあった.  口頭発表では,質疑込みで招待講演は 20 分,一般講 演は 15 分の発表時間となっていた.発表者は遅くとも セッション開始の 30 分前までに各セッションのコン ピュータに直接アップロードする方式であった.各会場 でのサポートも良く,スムーズに行われていたように感 じた.基本は Windows であったが,各自のコンピュー タを使用しての発表も認められていた.インターネット は無線 LAN が使え,自由に使用可能なコンピュータも あり,ネット環境は良かった. 配布物:  セッションタイトルの一覧表と,要旨とプログラムの 入った USB メモリー,毎日のプログラムが前日の午後 に配布された.この他に,50 万分の 1 の地図 「最終氷 期最盛期のスイス」 (Swisstopo 提供),ドイツ第四紀協 会の特集号,要旨集は,会議後に Quaternary Interna-         tional から最終報告と合わせて 2012 年に出版された (vol. 279~280, 16 November 2012, 566 p.). プレナリー講演・セッション:  本大会は,スイスアルプスの麓で行われる初めての 図 2 日刊で配布されたプログラム等が記載された新聞 図 3 配布された USB メモリーと大会のロゴ

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INQUA であることを反映して,大会のテーマは 「Qua-         ternary science─the view from the mountains」 となっ ている.プレナリー講演は,ヨーロッパ,米国,中国, ニュージーランド,オーストラリアから以下の 8 件で あった.プレナリー講演には質疑込みで 45 分が割り振 られ,比較的に十分な時間配分であった. Johannes Oerlemans, University of Utrecht (NL) :  Climate change and global glacier dynamics

Maureen E. Raymo, Boston University (USA) : Plio-Pleistocene ice volume, Antarctic climate, and the global δ18O record

Berhane Asfaw, Rift Valley Research Service, Addis  Abeba (ET) : Mio-Pliocene hominid evolution and its environmental context

Thomas Stocker, University of Bern (CH) : Towards  IPCC AR5-The Physical Science Basis : Emerging  questions, structure of report, and schedule Peter Clark, Oregon State University Corvallis (USA) : 

Sea level-past and future

Celâl Sengör, Instanbul Technical University (TR) :  Stratigraphy and global change

以上のプレナリー以外に,開会式のプレナリーで, David J.A. Barrel (GNS Science NZ) : The New Zealand

earthquakes

奥村晃史 (広島大学):Quaternary Research for Ex- treme Natural Hazards : Lessons from March 11, 2011 Earthquake and Tsunami

閉会のプレナリーで,会長の Allan Chivas の講演が あった.  口頭とポスターの一般セッションは 88 あり,最大で 12 のセッションが平行して行われた (全リストは末尾の Appendix II).口頭発表のセッションは,初日が 15 : 50 ~17 : 30,2,3 日目と 5,6 日目が 8 : 30~10 : 10,10 : 50 ~12 : 30,15 : 50~17 : 30,最終日が 8 : 30~10 : 10, 10 : 50~12 : 30,各 1 時間 40 分,合計で 25 時間が割り 当てられていた.ポスターは,最終日を除いて,午後の プレナリーの後の 14 : 30~15 : 50 (1 時間 20 分) がコア タイムに設定され,ポスター掲示は毎日交代した (図 4). 各 賞:  前回のケアンズ大会から若手の第四紀研究者に対して Sir Nicholas Shackleton メダルが設けられた.同メダ ルは 2 年ごとに選考され,2009 年の受賞者は単粒子の 光ルミネッセンス法への顕著な貢献によりオーストラリ アの Zenobia Jacobs 博士に,2011 年の受賞者は珪藻 分析による古海面や古環境の研究により日本の澤井祐紀 会員で,この 2 名への授与式と受賞者の講演があった. 澤井会員の講演タイトルは 「Subduction zone paleoseis-         mology using coastal deposits」.また今回から,第四 紀学のへの長年の貢献に対して Liu Tsungsheng メダ ルが授与されることになり,米国ワシントン大学の Stephen C. Porter 教授に授与されたが,残念ながら Porter 教授は参加できなかった.  上記の INQUA 本部での選考による賞とは別に,優 秀な学生のポスターに毎日ポスター賞 (INQUA 2011  poster awards or Student Poster Award) が 3 名,合 計で 15 名に授与され (cash prize),日本から久保田好 美会員がポスター賞を受賞した.同賞は,各大会の組織 委員会の判断で,賞の選考や景品・現金等が決められて いる. その他:  INQUA のベルン大会の組織委員会の報告は,Qua-         ternary International (IQ),vol. 279~280, pages 2~ 8 (2012) に掲載され,事前の関連報告が,Quaternary  Perspectives, vol. 19 (1),June, 2011 から出されてい る.QI には,上記の情報の他に,LOC の構成,プレナ リー担当 (INQUA 会長,LOC 委員長と副委員長),科 学プログラム委員会構成 (INQUA 理事会代表,各研究 委員会委員長,LOC 代表),会期前,会期後,会期中の 全巡検リスト,援助団体等のリスト,などが掲載されて いる. II. 国際評議員会・総会  1. 国際評議員会 図 4 BERNEXPO 2 のポスター会場 手前は食事が出来るスペースになっている.

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 国際評議員会 (International Council) は,会場から 20~30 分歩いた距離の Bellevue Palace Hotel で,23 日,25 日,26 日のおおよそ午後 3 : 00~5 : 00 に行われ た.議事次第を末尾に示した (Appendix I).国際評議 員会は,斎藤文紀が日本代表として参加し,各国 1 名 許されているオブザーバーに鈴木毅彦が適宜参加した. 加盟国・地域:  新メンバーに,ウクライナとアルゼンチンが加盟,新 アソシエートメンバーに,ベラルーシ,グルジア,西ア フリカが加盟.  現在の加盟国・地域は以下のとおりである.アルゼン チン,オーストラリア,オーストリア,ベルギー,ベラ ルーシ (アソシエート),ブラジル,カナダ,中国,台 湾,コロンビア (アソシエート),クロアチア (アソシ エート),チェコ,デンマーク,東アフリカ,エジプト (アソシエート),エストニア,フィンランド,フラン ス,グルジア (アソシエート),ドイツ,ギリシャ,ハ ンガリー,インド,インドネシア,イラン,アイルラン ド,イスラエル,イタリア,日本,韓国,ラトビア,リ トアニア,メキシコ (アソシエート),モルダビア,モ ザンビーク,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー, ポーランド,ポルトガル,ルーマニア,ロシア,セルビ ア,南アフリカ,南アメリカ,スペイン,スウェーデン, スイス,ウクライナ,イギリス,アメリカ,西アフリ カ,以上 52 ヶ国・地域である. 研究委員会:  国際評議員会では,2007~2011 年の 5 つの研究委員 会の活動報告が行われた.特に,国際第四紀学連合で は,INQUA プロジェクトとして,申請に基づいて 1 件 1,200~6,700ドルが援助されている.この間に,CMP (6 件),PALCOMM (10 件),HaBCom (11 件),SACCOM (6 件),TERPRO (6 件) の合計で,39 件のプロジェクト が活動し,この内 38 件に援助されている.各プロジェ クトの提案と活動,それに対応する INQUA プロジェ クトという図式で,研究委員会の活性を図っている.承 認されている個々のプロジェクトは,INQUA のウェブ ページで見ることができる.2007~2011 年のプロジェ クトで日本からの提案は,阿部彩子会員の PALCOMM :  INQUA 0905 : PCMIP (Palaeo carbon modeling inter-         comparison project) と小野  昭会員の HaBCom : INQUA  0807  :  Palaeoenvironmental  changes  and  human  dispersals in North and East Asia during OIS3 and  OIS2 の 2 件である.  各研究委員会の 2011~2015 年新体制は,以下のとお りである.各研究委員会の活動や連絡先は,INQUA の ウェブページの Commission の中にあるので参照して ください (役員は,2013. 3. 29 現在). 1. CMP : Coastal and Marine Processes 「沿岸・海 洋プロセス研究委員会」 President : Roland Gehrels (イギリス)  Vice-President : 横山祐典 (日本) Secretary : Craig Sloss (オーストラリア) 2. PALCOMM : Palaeoclimate 「古気候研究委員会」 President : Sandy P. Harrison (イギリス) Vice-President : J. Shulmeister (オーストラリア) Co-Secretaries : I. Hessler (ドイツ),J. Marlon (米国) 13 名のフルメンバーの中に阿部彩子 (日本) 3. HaBCom : Humans and the Bioshphere 「人類・生 物圏研究委員会」 President : Nicki Whitehouse (アイルランド) Vice-Presidents : Yan Zhao (中国),Luis Alberto  Borrero (アルゼンチン) Secretary : Izuchukwu Mike Akaegbobi (ナイジェ リア) 4. SACCOM : Stratigraphy and Chronology 「層序・ 年代学研究委員会」 President : Philip Gibbard (英国) Vice-Presidents : Leszek Marks (ポーランド), Liping Zhou (中国) Secretary : Thijs Van Kolfschoten (オランダ) 19 名のメンバーの中に熊井久雄 (日本) 5. TERPRO : Terrestrial Processes, Deposits and  History 「陸域のプロセス・堆積物・地史研究委員 会」 President : Alessandro Michetti (イタリア) Vice-Presidents :  吾妻 崇 (日本),Rivka Amit (イスラエル) Secretary : Daniela Kröhling (アルゼンチン) 会計報告・分担金:  国際第四紀学連合の予算の収入は,各国からの分担金 と INQUA に支払われる Quaternary International (QI) の利益の 25% からなる.分担金は,ユーロ,ドル,スイ スフラン建てで管理されており,2008 年と 2011 年の分 担金はそれぞれ,53,869 ユーロ+38,284 ドルと 15,547 ユーロ+26,059 ドル+34,500 スイスフラン (CHF) と なっている.この 4 年間に分担金は前回の国際評議員 会の承認により 5%値上げとなっている.一方,QI の

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収入は,2008 年が 91,973 ユーロ,2011 年が 63,650 ユーロで大幅に減少したように見えるが,これはユーロ とポンドとの換金レートによるところが大きい.  支出は,プロジェクトには,2008 年 (34,200 ユーロ +4,760 ドル),2009 年 (33,450 ユーロ+41,948 ドル), 2010 年 (27,409 ユーロ+44,702 ドル),2011 年 (30,245 ユーロ) が支払われている.国際科学会議への分担金 (2008~2011 年に,それぞれ 4,916,5,162,5,317,5,476 ユーロ).IYPE への支援 (2008~2009 年の 2 年間に 10,000 ドル).毎年開催される国際第四紀学連合執行委 員会の費用はメンバー 8 人に加えて 5 つの研究委員会 の代表者の参加も含めて,2008:日本,2009:米国, 2010:イタリア,2011:ザンジバルの 4 回分で,67,950 ドル+37,080 ユーロ.ケアンズ大会において若手の研 究者や学生の参加支援に 100,000 ドル.ベルン大会に は 144 名に参加補助 (申し込みは 415 名).96 名分の参 加登録費用 (72,350 CHF),122 名に旅費と滞在費用 (91,660 ユーロ).(注:ベルン大会の LOC も 50 名分の 登録料免除を博士課程の大学院生に提供している)  分担金に関しては,2007~2011 年に対して 5%の増 が理事会から提案され,採決の結果承認された.ただ し,分担金のカテゴリーに関しては,経済状態などを反 映していないことから個別に再検討することになった. 現在のカテゴリー別のメンバー国と改正前と改正後の分 担金 (CHF) は以下のとおりである (CHF:2011 年夏頃 で 95~100 円). 準加盟国 (associate) (無料):投票権なし,上記の加盟 国・地域から下記の国を除いた国地域 カテゴリー 1A (low GDP 国) (375:395):なし カテゴリー 1 (750:790):ブラジル,デンマーク,東 アフリカ,エストニア,台湾,ハンガリー,アイルラ ンド,イスラエル,ラトビア,リトアニア,モザン ビーク,ニュージーランド,ポーランド,ポルトガ ル,韓国,南アメリカ,ウクライナ カテゴリー 2 (2,250:2,370):オーストリア,ベルギー, フィンランド,インド,ノルウェー,中国,南アフリ カ,スペイン,スウェーデン,スイス カテゴリー 3 (3,750:3,950):オーストラリア,カナダ, フランス,ロシア,オランダ カテゴリー 4 (5,250:5,530):なし カテゴリー 5 (7,500:7,900):ドイツ カテゴリー 6 (15,000:15,800):イタリア,日本,イギ リス,アメリカ 名誉会員:  以下の 8 名の推薦された方々が名誉会員として承認 された.  Ying Wang (中国),Peter Kershaw (オーストラリ ア),John Chappel (ニュージーランド),André Berger (ベルギー),太田陽子 (日本),Stephen Porter (米国), S.N. Rajaguru (インド),Jim Rose (英国) 次期執行部:  2011~2015 年の理事会メンバー (Executive Com-         mittee members) は,7 月 25 日に各候補者による立候 補演説が行われ,26 日に投票が行われた.候補者は以 下のとおりで,ゴシックになっている人が当選者であ る.

President : Margaret Avery (南アフリカ),Christian  Schlüchter (スイス),Allan Ashworth (米国) Secretarygeneral : Julius Lejju (ウガンダ) Treasure : Marie-France Loutre (ベルギー)

Vice-Presidents : Koji Okumura (日本),John Lowe (英

国),Fabrizio Antonioli (イタリア),Frank Audemard (ベネズエラ)  これらの当選者に前会長の Allan Chivas (オースト ラリア) を追加したメンバー 8 人で,理事会が構成され る.候補者の情報を事前に Quaternary Perspectives,  vol. 19 (1),June 2011 に掲載し,また国際評議員会で の候補者の演説と投票日を違えたのも,新しい試みで あった. 国際第四紀学連合 INQUA 第 19 回大会 2015 年:  第 19 回大会については,日本の名古屋とスペインの Zaragoza の 2 つの立候補があった.国際評議員会のメ ンバーには,事前に提案書が公開され,ネットからダウ ンロードできるようになっていた.国際評議員会の 7 月 23 日に,日本とスペインからそれぞれ 10~15 分間 のパワーポイントを使用しての説明と,約 10 分間の質 疑があった.日本の説明と質疑の際はスペインが退席 し,スペインの説明の際は日本側 (斎藤文紀,鈴木毅 彦) および奥村晃史副会長が退席した.日本の説明は, 斎藤文紀が行った.両方の発表の後は,両国の関係者が 同席して,両国に対して,なぜ他の候補地ではなく提案 国なのか,これまでの参加者と第四紀研究者の数と開催 する意義などの,同じ質問が出された.今回のベルン大 会では,初日のプレナリーでアラン・チーバス会長が現 在日本とスペインが次回の開催地として提案がされてい ること,各国の提案書は INQUA のホームページで見 られること,どのような手続きで次回の開催地が決まる かなどが,紹介された.このようにすべてが公開され

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て,選挙が行われたのは初めてだろう.また国際評議員 会での候補地の発表の後,これまではすぐに投票が行わ れたが,今回は 3 日後の 26 日午後に投票が行われた. これにより,各国代表は候補地の発表を参考にして各国 の意見を取りまとめて,投票に臨むことができた.各国 の参加者が集まってどこに投票するかを,この間に決め た国も多かったようである.選考の手続きは,より公開 され,良くなった印象を受けた.26 日の午後に行われ た国際評議員会では,分担金を支払っている投票権をも つ 38 ヶ国が参加し,日本とスペインを除く 36 ヶ国の 投票の結果,日本の名古屋が国際評議員会から総会に提 案されることになった.投票結果の票数は公開されてい ない.  INQUA 大会の日本への招致に関する経緯の概要は以 下のとおりである.2008 年 8 月 22 日開催の日本第四紀 学会評議員会において,第 19 回 INQUA 大会日本招致 準備委員会の設置が承認され,2009 年 7 月 29 日開催の 日本学術会議 INQUA 分科会・INQUA 国内委員会に おいて同準備委員会の世話役が出席し,合同で招致活動 のスケジュール・委員候補者の検討を行った.第 1 回 の招致委員会を 2009 年 8 月 30 日に開催し,斎藤文紀 委員長他の役員を決めた (副委員長:遠藤邦彦,奥村晃 史,幹事会:吾妻 崇,小野 昭,鈴木毅彦,渡邉真紀 子,横山祐典).以降は招致に向けて,日程,会場,テー マ,巡検,予算等の検討を行ってきた.2010 年 7 月 23 日に招致意思表明の文書を INQUA 執行部に提出し, 2011 年 4 月 26 日に正式提案書を INQUA 執行部に郵 送した.ベルン大会に向けては大会会場にブースを設置 し (図 5),招致のパンフレット (32 ページ) を 850 部持 ち込み,名古屋や日本の観光パンフレットともに参加者 に配布した (図 6).この他にも,日本第四紀地図や巡検 候補地のポスターなどをブースに展示した.資料の持ち 込みやブースでの説明などでは,30 名を超える方々に ご協力頂いた.また,河村たかし名古屋市長,名古屋観 光コンベンションビューロー,日本政府観光局からもご 支援を頂いた.日本の招致が成功に至ったのも,これら の方々や,前々回のリノの大会で日本への招致活動に携 わった方々など,長年の多くの方々の努力の結果である ことは間違いない.ここに記して謝意を表したい.  2. 総  会  最終日に開催された総会では,国際評議員会で審議さ れた事項が報告され,新しい理事会メンバーが紹介され た.また次回第 19 回大会の開催地として,名古屋がア ラン・チーバス会長から提案され,拍手をもって 2015  年第 19 回大会の日本開催が承認された.これを受けて, 斎藤が名古屋での開催についてパワーポイントで説明を 行い,次回大会への参加を要請した. III. 研究委員会報告

 1. Coastal and Marine Processes (CMP) (横山 祐典)

 コミッションでは,前回大会のケアンズ大会以降の報 図 5 大会会場の日本招致のためのブース

図 6 大会会場で配布した第 19 回 INQUA 大会の日本 招致のためのパンフレット

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告を委員長である Cecile Baeteman が行った.3 つあ るグループについて,沿岸の地形を中心とした研究活動 については,IGBP を中心にした活動報告が行われ,ま た,横山が Vice President として担当した大陸棚の研 究グループからは,IODP を中心とした活動が報告され た.一方,もう 1 つのグループである外海深海グループ からは,もう一人の Vice President であったスペイン の I. Cacho の欠席もあり,報告はなかった.新体制は, イギリス University of Plymouth の Roland Gehrels が President, オーストラリアの Queensland Institute of  Technology の Craig Sloss が Secretary に選出された. これまでの Vice presidency 制は廃止し,また各国か らのフルメンバーという形式はとらず,基本的にはこの 2 名を中心に 4 年間の活動を取りまとめていくという方 針となった.

 2. Humans and the Biosphere (HaB) Commission (小野 昭)

 2011 年 7 月 22 日 18 : 00~19 : 00,大会会場隣接の ホテル Novotel 会議室にて開催された.Commission  President の G. Haynes (USA) の司会で進行した.今 までの経緯と問題点の報告があり,それをふまえて質疑 が交わされた.  HaB としてのこの 4 年間の成果の報告と課題にかん する文書の取りまとめは事前になく,コミッション内の ワーキンググループの総括も求められていなかったため その提出はなかった.筆者の参画する Working Group :  Human colonization and paleoenvironmental contexts  in China, Mongolia, and adjoining East Asia も特に この 1 年間の活動をまとめていない.  コミッション執行部で,1 ヶ月近く前に人選に関する 推薦案が検討された.新執行部 (2011~2015) の推薦原 案が提示された.特に反対はなく承認されそれぞれ挨拶 があった.* 印は当日欠席. President : Nicki Whitehouse, Queen’s University  Belfast (UK), Vice President : * Ted Goebel, Texas A  & M University (USA), Vice President : Luis Borrero,  Conicet (Argentina), Vice President : * Yan Zhao, Lanzou  Univeristy (China), Secretary : Julius Lejju Bunny,  Mbarare University (Uganda), * Mike Akaegbobi (Nigeria) (上記の Ted Goebel と Julius Lejju Bunny は 2013. 3. 29 時点でコミッションのホームページには掲載されていな い)  国際第四紀学連合に考古学者の参加が少ないことが問 題となる.その原因の一つは,4 年に一回このような会 合を開くだけである点にあり,毎年コミッションの会合 を独自に開催する必要があるとの強い意見がフランスか ら提起された.INQUA 本部に研究テーマ別のシンポジ ウムのためのファンドを要求し複数のプロジェクトが動 いているとはいえ,コミッション自体に会合の招聘予算 があるわけではないので構造上無理であることが旧執行 部から説明があった.これをめぐりかなり乱暴な議論も 出た.新 President は本部にも連絡し議論するとして いたが,組織問題であるので一コミッションでは解決し ないであろう.考古学・人類学関連の国際学会の際にコ ミッションミーティングを行うことくらいが現実的なと ころである.参加者の連絡先 (E-mail など) を一覧表に まとめ,その後散会.

 3. Commission on Stratigraphy and Chronology (SACCOM) (鈴木毅彦)

 Commission  on  Stratigraphy  and  Chronology (SACCOM) のミーティングは 7 月 22 日 18 : 00 より, 大会会場近くのホテル (Novotel) 内の Room Neufeld で開かれ,President である Brad Pillans 氏の挨拶で 始まった.報告・審議事項は以下のとおりである.  1) 各 sub-commission (Tephrochronology & Vol-         canism (SCOTAV);European Quaternary Stratigraphy (SEQS);Asian Quaternary Stratigraphy (SAQS); Loess & Pedostratigraphy (SLAP);Dryland Dating (SDD)) およびworking group (South American Working  Group) から,各研究集会の開催状況や出版物の発行状 況をはじめとする各々の活動報告がなされた.その一部 として,SCOTAV では,2005 年のカナダのドーソン における研究集会の開催とそれに 2 名の fund による参 加者がいたこと,Quaternary International でテフラ 特集号が組まれまもなく発行されること,以上が Siwan  M Davies 氏 (UK) と David Lowe 氏 (New Zealand) により報告された.また,SAQS については,Andrey  Dodonov 氏 (Russia) と熊井久雄会員 (日本) より,SAQS のウランウデ (ロシア東シベリア) での研究集会と印刷 物に関する報告がなされた.  2) 新執行部が以下のように決定した. President : Brad Pillans (Australia), Vice Presidents :  Valerie Hall (Ireland), Leszek Marks (Poland)(2013.  3. 29 現在の委員長は Philip Gibbard)  3) 2007~2011 年にかけての各国の代表メンバーが 以下のとおり選ばれた.

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Mauro Coltorti (Italy), Andrey Dodonov (Russia),  Phil Gibbard (UK), Valerie Hall (Ireland), Martin Head  (Canada)*, Martin Iriondo (Argentina), Changzhu Jin  (China)*,  Hisao  Kumai  (Japan),  Jiaqi  Liu  (China),  David Lowe (New Zealand)*, Leszek Marks (Poland),  Lewis Owen (USA), Brad Pillans (Australia), Thijs  van Kolfschoten (Netherlands), Liping Zhou (China),  Ludwig Zoeller (Germany), Ju Yong Kim (Korea)* の 以上.* は新メンバー.  4) New project や International Focus Group に 対して INQUA 側から補助を受けることに関して申請 が可能であること,同時に PAGES からも joint funding を受けることが可能であることが紹介された.  5) 第四紀 (第四系) の定義問題について,James  Ogg 氏よりその現状についての報告があった.

 4. INQUA Commission on Terrestrial Processes, Deposits, and History (TERPRO) (吾妻 崇)

 大会 3 日目にあたる 7 月 23 日 (土) の夕方 18 時から 19 時にかけて,INQUA Commission の一つである TERPRO (Commission  on  Terrestrial  Processes,  Deposits, and History) のビジネスミーティングが, Novotel Hotel の会議室 (Ganpee) で開催され,関係者 約 30 人が出席した.日本からの出席者は 2 名であった. Jim Teller 代表から前大会以降の委員会活動および委 員会に所属する Focus Area とそれらのプロジェクト について説明がなされた.前回大会から今大会までの 2008~2011 年の期間に,この Commission に関連して 設置されていた Focus Area は,「Hydrological change  and climate」,「Aeolian history of deserts and arid  regions」,「Glaciation and its control on hydrology」, 「Rapid changes during the last glacial-interglacial  transition」,「Hazards and humans」,「Paleoseismicity  and active tectonics」 の 6 つである.それぞれの活動 の概要について説明があったが,出席者からは 「それぞ れの活動においてどのような成果があがったのか確認す べきである」 などの意見が出された.このことは Com-         mission に配分される予算の使途が明確に報告されて       いないことに対する意見とも受け取れる.次いで今大会 から次大会までの 2011~2015 年の期間の新体制に関す る審議となったが,新代表にイタリアの Alessandro  Michetti 氏が選出されたほかはこの会議では決まらず, 今後,新代表を中心に調整したうえで選出・決定される ことになった.次期の Focus Group については,提案 〆切り時期が翌年 1 月であることが確認されたほか, 本来この Commission から提案されるべき分野であり ながらこれまでに設置されていない研究テーマが挙げら れ,これらのテーマに関連する分野の研究者に呼びかけ ていくことで合意した.

 5. INQUA Focus Group : Paleoseismicity (吾妻 崇)

 大会最終日にあたる 7 月 27 日 (水) の 13 時から 14 時にかけて,Focus Group “Paleoseismisity” のビジネ スミーティングが Novotel Hotel の Ganpee 会議室で 開催され,関係者約 20 人が出席した.今大会から次大 会までの 2011~2015 年の期間の新体制について,新代 表にスペインの Pablo Silva 氏が選出された.そのほか の役員についてはこの会議では決まらず,今後,新代表 を中心に調整したうえで選出されることになった.次期 の Focus Group として今後提案を進める新組織の名称 は “Paleoseismology and archeloseismology” に決まっ た.最後に今後予定されている会合の開催地について紹 介があり,2011 年にギリシアのコリントで,2012 年に メキシコのモレリアで,それぞれ国際ワークショップが 開催されることが確認された.また,今後の活動におい ては,地震学や工学との連携を目指していくことが提案 された. IV. セッション参加報告

[Sessions with oral contributions and corresponding poster sessions]

 1. Session 14 : Lacustrine deep drilling records of Pleistocene climates : How far have we come? (竹村恵二)  本セッションは 7 月 21 日に開催された.口頭 6 件, ポスター 17 件の発表が行われた.  口頭発表のうちの招待講演 2 件は,ともに ICDP (国 際陸上科学掘削) で,最近掘削された湖沼堆積物 (Lake  Van と Dead Sea) 関連の発表であった.まさに,2010 年・2011 年に掘削されたコアのホットな概要の紹介で はあったが,研究の意義も含めて,紹介がなされた. Lake Van は東アナトリアに位置する湖であり,220 m と 140 m のコアが採取された.この場所では黒海やア ラビア海,紅海の間の複数回の氷期・間氷期の気候変遷 記録が期待される.Dead Sea は地中海気候と砂漠気候 にはさまれた地域であり,2010 年と 2011 年に掘削が実 施され,その堆積物に関して紹介がされた.今後,数 十万年にわたる気候変動・古地震に関する研究が進展す

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るものと考えられる.  残りの口頭 4 件は,レバノン,アルゼンチン,中国, 日本からの古気候変遷を考察した報告であった.日本か らは,林田 明会員が,琵琶湖堆積物の詳細な環境磁気 測定結果から,認められる D-O サイクルと,琵琶湖で の結果の古気候学的解釈を紹介した.  ポスター発表は,スペイン,オーストラリア,トル コ,シベリア,ニュージーランド,日本,東欧,南米, 中国,メキシコ,南米パタゴニア,カナダ,イタリアな ど多くの地域からの湖沼堆積物を用いた高精度記録の報 告がなされた.日本からは,竹村が,現在の琵琶湖に保 存されている堆積物の年代評価と,均質の粘土からな る,現在までの約 45 万年間の気候変化等について紹介 を行った.  本セッションを通じて,第四紀全体や後期更新世以 降,完新世の湖沼堆積物を用いて,種々のプロキシーを 総合的に考察して気候変動・古地震学の研究が国際的 ネットワークを通じて進展していることを実感できた.

 2. Session 26 : The Magdalenian : Human Adap- tations to the Late Last Glacial in Western and Central Europe (佐野勝宏)

 本セッションのテーマであるマグダレニアンは,サブ タイトルのとおり最終氷期後半,特に約 20,000 cal BP~ 15,000 cal BP の頃に,西ヨーロッパから中央ヨーロッ パにかけて出現する考古文化である.洞窟壁画,動産芸 術,磨製骨角器製作が,質・量ともに群を抜く時期であ る.そのため,これまでも繰り返しシンポジウムのテー マとなってきた.  今回のセッションは,Lawrence G. Straus (アメリ カ),Denise Leesch (スイス),Thomas Terberger (ドイツ) がコンビーナーを務めた.7 月 22 日の午前に 12 本の口頭発表,同日午後に 19 本のポスターセッショ ンがプログラム上では組まれていたが,より多くの発表 者に口頭発表をしてもらいたいというコンビーナーの意 向で,実際には 8 人のポスターセッション予定者は, 翌日の午前中にベルン大学考古学研究所で口頭発表をお こなった.これは発表者にしか知らされていないことで あり,発表者以外は 8 本ものポスターセッションがキャ ンセルされたと思ったことであろう.この点,問題があ るように感じた.  発表内容としては,これまでのマグダレニアンのシン ポジウムに比べ,ソリュートレアン-バデゴリアン-マ グダレニアンに至る文化変容に関する研究発表が目立っ

ていた.Aura Emilio et al. は,イベリア半島の Cova  del Parpalló 遺跡と Cueva Llonín 遺跡から出土した骨 角器や石器を製作技術の面から分析し,ソリュートレア ンからバデゴリアンへの連続性は認められるものの,バ デゴリアンからマグダレニアンの連続性は認められない と指摘した.また,Denise Leesch は,ソリュートレ アンが地中海沿岸やフランス南西部に見られる最終氷期 最寒冷期 (LGM) の頃,スイスのほとんどの地は氷河で 覆われて遺跡は皆無であり,2 万年前以降のバデゴリア ンの時期になってようやくスイス北部の限られた地域に 数遺跡が認められはじめ,晩氷期直前の約 16,000 cal  BP 以降にマグダレニアンの遺跡が急激に増え始めるこ とを示した.Marcel Otte は,他の後期旧石器文化で あるオーリナシアンやグラベティアンがヨーロッパの東 に起源があるのに対し,マグダレニアンは明らかに南西 ヨーロッパ起源であり,その急速な拡散はマグダレニア ンの狩猟採集民がウマを使っていたからではないかと指 摘した.ただし,この解釈には考古学の直接的な証拠に よるものではなく,多くの批判を受けていた.筆者は, 北西ヨーロッパのゲナスドルフ (ドイツ),ボワ・ラテ リ洞窟 (ベルギー),アイサーハイデ (オランダ) の 3 遺 跡から出土した石器の使用痕分析の結果が,それぞれ ベース・キャンプ,狩猟時に立ち寄る洞窟,石器製作場 という異なる遺跡機能を示していることを発表した.  Denise Leesch が示した氷河で覆われた LGM のス イスの地形図は,当時のスイスが人類にとって生息不可 能な地であったことを良く示しており,印象深かった. LGM の後,北西・中央ヨーロッパは再び生息可能な植 生を取り戻し,マグダレニアンの遺跡が同地域に急速に 拡がっていく.マグダレニアンが,先行するバデゴリア ンやソリュートレアンと技術的に断絶するという Aura  Emilio et al. の指摘は,北西・中央ヨーロッパに再入植 を果たした人類が技術的にも革新していることを示唆し ており興味深い.ちなみに,LGM のスイスの地形図は, INQUA の会場に設置された suisstopo のブースで参加 者に無料で配られた.

 3. Session 33 : Current Multidisciplinary Approaches to Deciphering the East and Southeast Asian Palaeoanthropological Record (島田和高)

 7 月 23 日に開催されたセッション Current Multidis-      ciplinary Approaches to Deciphering the East and  Southeast Asian Palaeoanthropological Record につ いて以下に報告する.セッション・コンビーナーは,韓国

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漢陽大学校の Kidong Bae 氏とハワイ大学の Cristopher  Bae 氏である.  セッション・タイトルが示すとおり,口頭発表の分 野,時空間の広がりは多様であった.9 本の口頭発表の 内,考古系は 4 本,動物考古系が 2 本,地質年代論が 1 本,古環境系が 2 本あった.地域は,日本,韓国,中 国,東南アジアにおよび,年代も Matuyama Brunhes  境界に関連するホモ・エレクトスの年代から最近 2,000 年間のモンスーン気候変動にまたがる.  考古系では,まず Kidong Bae 氏による,多種の測 定法を用いた韓国イムジン-ハンタン川流域の中期更新 世 (350 ka) ハンドアックス石器群の年代について発表 があった.Dongju Zhang 氏は,400 km2 に及ぶ中国西 部レス台地における MIS 5~MIS 2 にわたる遺跡群研 究を紹介した.年代測定とレス-古土壌編年にもとづく 遺跡数の増減,石器テクノロジーの変遷が紹介され, LGM 後半に細石器を携えた現代人の登場が想定されて いる.Cristopher Bae 氏は,朝鮮半島における早期/後 期旧石器時代の移行について在来集団と拡散してきた現 代人の関係に関するいくつかの仮説を紹介した.筆者 は,日本列島の 40 ka 以前の考古学的状況を紹介し,40  ka 以降の遺跡の増加と黒曜石原産地の開発を,現代人 的行動の登場に関連する考古学的証拠として紹介した. 動物考古では,Yolanda Fernandez-Jalvo 氏により,中 国周口店洞穴群に近い田園洞穴で出土した,43~39 ka の現代人頭骨に伴う破砕された動物骨に対する人的関与 について,破砕痕跡の詳細な検討が報告された.人的関 与,洞穴内落石,肉食獣関与の相互分離の重要性が主張 された.Jennie Jin 氏は,中国雲南省に位置する初期完 新世の Tangzigou 遺跡から多量に出土した小形齧歯類 を中心とする動物遺存体の分析から,森林環境における 小形ほ乳類の罠猟による獲得を主体とする生業活動を復 元した.年代・古環境系では,兵頭政幸会員によるジャ ワ島サンギラン一帯での Matuyama Brunhes 境界に 関する古地磁気測定成果の報告,山田和芳会員による目 潟マール湖底堆積物の最新成果から過去 2,000 年間の アジアモンスーン気候の変動についての報告,那須浩郎 会員によるアンコール・トム周壕堆積物の花粉,植物・ 昆虫遺存体,プラントオパール分析からアンコール朝の 衰退に対する森林開発と気候寒冷化の影響についての報 告があった.  筆者の専門分野からの感想は,アフリカ起源の現代人 拡散をテーゼとする後期旧石器時代の移行問題ついて日 本・韓国・中国で同様の問題設定がなされている印象を 受けるが,相互の人類・考古学的比較研究は,方法論, 資料の精度・内容,編年・年代の解像度の差から非常に 困難な現状だというものである.しかしながら,ロシア・ 中国・韓国・日本が参加するアジア旧石器協会 (APA) をはじめ当該分野の国際交流が活発になっていることは 確かであるので,今後の議論の深化を多いに期待するこ とができる.

 4. Session 36 : Enhancing Tephrochronology and its Application in Archaeology and Palaeo- environmental-change Studies (青木かおり)  本セッションは Commission on Stratigraphy and  Chronology に属する INTAV (International focus group  on tephrochronology and volcanism) によるメインセッ ションで,口頭発表は11件,ポスター発表は31件であっ た.午前中の 5 件の口頭発表では MIS 4 から MIS 6 に かけてのグリーンランドのアイスコア中のテフラを海洋 コアと対比の試み,北海周辺で観察される Faroe Is-         lands 起源のテフラ,北米東部で検出される広域性のテ フラ,南米パタゴニアで観察されるアルゼンチンの火山 起源のテフラに関する研究は,いずれも広域に分散して 細粒のテフラ粒子を検出するクリプトテフロクロノロ ジーに関する研究であった.NZ-INTIMATE のリー ダーである David Lowe は,NZ のテフラ編年と高精度 な年代測定によって構築した年代軸を基準とし,植物珪 酸体,微細石英の含有量,磁化率,全有機炭素量,炭素 同位体比といった複数のプロキシを用いて 33~13 cal  ka のテフラ性の土壌 (tephric loess) の形成過程につい て論じた.  昼食をはさみポスターセッションでは 31 件のポス ターが立ち並び (一つのセッションとしては多い部類で ある),活発な議論が行われていた.13 件はヨーロッパ 圏 (グリーンランド氷床コア,北大西洋の海洋コアを含 む) の研究であり,NZ,日本の研究はそれぞれ 5 件, 北米が 3 件,カムチャッカの研究が 2 件であった.開 催地がスイスということもあり,ヨーロッパ圏の研究者 の参加が多く,必然的に発表内容もヨーロッパを研究対 象地域とした発表が多くなったようである.  午後の 6 件の口頭発表では古環境変遷と,人類史, あるいは考古学と結ぶ共通の time horizon としてテフ ラを使うことを目的にすえて,そのために広域テフラの 分布,噴出年代を明らかにするという研究の発表が 5 件続いた.特に,Laacher Sea tephra と Campanian  Ignimbrite tephra は多くのヨーロッパのテフラ研究者

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によって遠隔地で発見されていることが報告された. Campanian Ignimbrite tephra については,北アフリ カやロシア西部でも見つかっており,北大西洋では Heinrich Event 4 に相当する層準に介在すること,vol-         canic winter を引き起こした可能性についても言及さ れていた.全体的に,クリプトテフラと呼ばれる微細な 火山ガラスを検出してより遠くへと分布範囲を追跡し, 編年の網目をより拡大させていこうとする研究手法が非 常に流行している.RESET project (リーダー:Prof.  John Lowe, UK) 関係者がテフラ編年の枠組みを, “Lattice (格子)” と表現していたことが印象的であっ た.一方で,従来から日本でもローム層の中から露頭で の肉眼観察では識別できない広域テフラ (たとえば AT や K-Ah) を検出するために,連続試料を洗い出して顕 微鏡観察するといった研究手法は古くから用いられてお り,それをあえて“目新しい”方法ととらえていなかった だけに,「今さら?」 といった感想も持った.ただ,こ れらの方法論を体系化して (あるいは体系化するため に) プロジェクトを立案し,研究活動資金の獲得や,若 手研究者の育成につなげるといった手順が非常に明快で あ る.Prof. John Lowe ら の INTIMATE や RESET  project ではそこで PhD コースの学生や,ポスドクク ラスの若手研究者が活躍し,その後は Dr. Abbott のよ うに自分のプロジェクト (SMART) を立ち上げる若手 が現れている.次世代のテフラ研究者を育成するための 手段として,日本でも大いに参考にすべきと感じた.  最後に Dr. Nick Pearce の LA-ICP-MS によるテフ ラ研究の最近の進展についての発表があった.これまで は区別がつかなかった Yellowstone 起源のテフラ群に ついて,206Pb/208Pb, 207Pb/208Pb を用いることで識別が できること (昨年の Active tephra 2010 で Westgate が Nick らとの共同研究として発表),現在のところエキシ マレーザー (波長 193 nm) を用いた分析では,レーザー 径 10 µm で分析した場合,流紋岩質なガラスを分析す ると分析値のばらつきがやや大きいことからレーザー径 20 µm での分析が推奨されること,玄武岩質なガラスに 関しては検出限界が十分に低いことからレーザー径 10 µm での 30 元素のルーチン分析が可能であることな どが報告された.  セッション終了後に,INTAV の今後の活動方針に関 するミーティングが開催された.まず 2007 年から 2011 年までの活動報告として,inter-INQUA field confer-         ence として 2010 年に日本の霧島市で開催した “Active  Tephra 2010” や,その他の研究集会が開催され,INQUA

から INTAV の INTREPID project (リーダー:David  Lowe) へ供与された活動資金がそれぞれ使用されたこ と,Quaternary International のテフラ特集号出版の 進捗状況について報告がなされた.次に,2011 年~2015 年の幹部の改選が行われ,President は Prof. David  Lowe (NZ),Vice-President は鈴木毅彦会員 (日本), Secretary は Dr. Victoria Smith (UK) に決まった.さ らに,inter-INQUA field conference の開催地として, 2013 年~2014 年にアルゼンチン,2015 年 INQUA 名 古屋大会後にロシア (カムチャッカ) が開催地として候 補になっていることが報告された.新たな Honorary  Life Members として,Prof. Valerie Hall と Dr. John  Hunt が選出された.

 5. Session 85 : Recent advances in the radio- metric dating of speleothems (渡邊裕美子)

 本セッションでは,7 月 23 日 (土) の夕方 (15 : 50~ 17 : 30) にオーラル発表が,昼食後のコアタイム (14 : 30 ~15 : 50) にポスター発表が行われた.発表件数は,オー ラル発表が 6 件,ポスター発表が 9 件であった.  このセッションでは,“鍾乳石の放射年代測定におけ る最近の進展” について発表がなされた.この他のセッ ションでも鍾乳石を古気候プロキシとして用いた研究発 表が数多く見受けられたが,このセッションでは,鍾乳 石の年代測定手法やその技術の進展状況にテーマを絞っ て議論がなされていた.  過去 10 年間で鍾乳石を用いた古気候学的研究は盛ん に行われてきた.鍾乳石は U-Th 年代測定により数年~ 50 万年程度の範囲で絶対年代を測定できるので,他の 古気候プロキシと比較して正確な時間軸を入れられると いうメリットがある.これまでの研究では,おもに U-Th 年代により鍾乳石の年代モデルを決めた上で,炭素・酸 素同位体比や微量元素濃度の時系列変化から古気候復元 がなされてきた.本セッションでは,これらの研究で世 界をリードしてきた,H. Cheng & R.L. Edwards (ミ ネソタ大) の招待講演があった.彼らは,ウランとトリ ウムの同位体比を測定する質量分析計として,多重検出 器型 ICP 質量分析計 (MC-ICPMS) を導入することに より,従来の表面電離型質量分析計 (TIMS) よりイオ ン化効率を高め,サンプル使用量を低減化させた.今 後,世界各地の鍾乳石の酸素同位体比の相関を利用し て,海洋堆積物コアの酸素同位体比変動曲線のような, 鍾乳石の酸素同位体比曲線 “Speleo-chronologies” を作 成することを彼らは目指している.

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 U-Th 年代は精度・確度ともに良い年代決定ができる が,適用可能な年代範囲は 50 万年までである.50 万年 より古い鍾乳石を年代測定する試みが新たに報告され た.たとえば,J. Hellstrom et al. (ニューキャッスル 大) は,234U-238U 年代測定法を紹介した.この年代測定 法は,238U に対して永続平衡の値から過剰に存在する 234U が時間とともに減少して平衡に近づく過程を利用す る.初期ウラン同位体比は U-Th 年代プロットから見 積もり,この値と現在のウラン同位体測定値から年代を 算出することができる.彼らはこの年代測定法をイタリ アの鍾乳石試料に応用し,40~96 万年までの年代を得 ることに成功した.また,J. Woodhead et al. (メルボ ルン大) は,50 万年より古い年代測定を行うために,鍾 乳石に U-Pb 年代を適用することを試みた.試料生成時 の鉛同位体比の変動や初期放射非平衡の補正が難しいな どの課題もあるものの,彼らはオーストラリアとイタリ アの石筍試料を測定し,100 万年を超える年代値を得て いた.このように,50 万年より古い年代を測定する手 法が確立しつつあり,鍾乳石からより過去の古気候情報 を得る試みがなされつつある.

 [Daily Plenary Sessions]

 6. “Plio-Pleistocene ice volume, Antarctic climate, and the global δ18O record” by Maureen E.

Raymo, Raymo, Boston University, USA (菅沼 悠介)  Maureen E. Raymo 博士は,古海洋学のパイオニアで あり,最近では海洋酸素同位体比の標準曲線 (LR04 ス タック:Lisiecki and Raymo, 2005) や第四紀前半の 4 万年周期の氷期サイクルに関する大胆な新仮説 (Raymo  et al., 2006 ; Raymo and Huybers, 2008) など,ミラ ンコビッチサイクルと地球気候の応答に関する一連の研 究で知られる世界屈指の研究者である.今回の INQUA における講演は,上記のような最近の研究成果の紹介に とどまらず,それらに部分的に立脚した今後の研究の方 向性を大きく取り上げるものであった.具体的には,人 為起源二酸化炭素濃度の放出によって近い将来到達する 大気中 CO2 濃度 (約 450 ppm) において,地球温暖化に 伴って大きな問題となる海面上昇量を,陸に残された証 拠からいかに正確に見積もるかという内容であった.そ して,様々なプロキシから大気中 CO2 濃度が 450 ppm 程度であったと推定される約 3 Ma 前後に注目し,この 時代をターゲットとした海水準復元の重要性を示した. 先行研究によって推定されている当時の海水準は+10~ 60 m とかなり幅がある.一方,しばしば気候シミュレー ションにも引用されるのは中間的な値である+25 m 程 度だが,それが本当なら,グリーンランドや西南極にと どまらず東南極氷床も相当縮小していたことになる.し かし,氷床変動による地殻の変形がこれまでの推定には 考慮されておらず,グレイシャル・アイソスタティッ ク・アジャストメントモデル (GIA モデル) を用いた数 値シミュレーションによれば,現在の旧汀線高度データ とモデルより再現された過去の海水準に大きな隔たりが 生じうることが示されている (Raymo et al., 2011).彼 女はこの講演で,この時代の海水準復元の高精度化は, 将来の海面上昇への南極氷床の寄与を予測するために極 めて重要であり,今後は旧汀線高度データと気候モデル などを組み合わせることで,より高精度で当時の海水準 を復元していく必要があることを強調していた.  個人的にはこの時代に対応する旧汀線の認定にはかな りの困難が伴うと思われ,またターゲットとなる時代自 体が第四紀以前ではあるものの,この講演には第四紀学 が目指すべき一つの方向性が強く打ち出されていたと感 じた.また,Raymo 博士のように既に一分野を築いた 一流の研究者が,これまでの研究史をなぞるような講演 でなく,今後のビジョンを具体的に示すような意欲的な 姿が印象に残った.もっとも,4 万年周期の時代に東南 極氷床が南極の夏の日射に影響されてダイナミックに変 動していたという仮説を Raymo 博士自身が提唱してお り,今回の海水準復元プロジェクトも学問的にはその延 長線上にあると言っても良いだろう.学術的興味と社会 的使命を結合し,海と陸のフィールドを股にかけ,デー タとモデルを融合して臨むという,創造的でエネルギッ シュな研究活動の一端を知ることができた.

 7. “Mio-Pliocene hominid evolution and its envi- ronmental context” by Berhane Asfaw, Director, The Rift Valley Research Service, Addis Abeba, Ethiopia (近藤 恵)  エチオピア地溝帯研究センターのブルハニ・アスファ オ博士による 「中新─鮮新世における人類進化と周辺状 況」 の講演であった.古生物・古人類学者であるアス ファオ博士は,エチオピアの人類化石産出地の発掘調査 隊を数多く率い,考古学的・人類学的に重要な遺跡を 次々発見し,調査・研究の成果を世に出してきた.彼の 手掛ける地域は,エチオピアのアワシュ川中流域,オモ 川下流域など,人類の起源に迫る類人猿や初期人類,す なわちサルとヒトとの“ミッシングリンク”を埋める化

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石が多数発見される地域であり,世界中の人類学者が最 も注目している実に魅力的なサイトである.彼は,有名 な,チョローラピテクス・アビシニクス,アルディピテ クス・ラミダス,アウストラロピテクス・ガルヒ,ホ モ・サピエンス・イダルトゥなどの発見および学名の命 名に関わった中心人物の一人である.  近年,環境に関する詳細な研究が,多岐に渡って盛ん に行われるようになる中,古環境復元に関連して,人類 の存在にも目が向けられてきている.人類の出現と,移 動,拡散,それに伴う形態の進化は,環境の変動とまさ に直結していると考えられるため,人類学側から第四紀 学への関心は元より高かったが,第四紀学の中で,古人 類学・人類進化学の具体的な話題が取り上げられること はあまり多くなかったように思われる.今回このような 講演が INQUA 大会において設けられたことは,大変 有意義であると感じられた.ただ,日本第四紀学会同 様,今回の INQUA 大会に参加した人類学者はほとん ど見られず,人類遺跡の地層の調査・研究を行っている 地質学者が若干名参加している程度であった.そのよう な状況を踏まえてか,アスファオ博士の講演は,専門的 な内容に踏み込んだものではなく,初期人類の概観と, 実際の発掘調査の様子を大まかに紹介するものであっ た.発掘調査については,上述の有名な人類化石のう ち,アルディピテクス・ラミダスおよびホモ・サピエン ス・イダルトゥの遺跡について紹介された.サイト周辺 の遠景から窺える地形,サイトの地層,発掘作業の様 子,重要性の高い遺物が発見されたときの様子,それが 段階的に取り上げられていく様子,収集物の写真,ラボ でクリーニングされ,資料としてラベリングされていく 様子,等々が紹介され,時には重要な発見物が,如何に 小さい歯や骨であるか,如何に土壌や砕屑物の上で見分 けにくいものであるかがよくわかるものであった.さら に,発見物の化石骨・歯を対象とした研究例として,メ トリックな形態分析,歯の咬耗分析,歯のエナメル質中 の安定同位体分析などの成果が紹介された.全体にわか りやすくまとめられていたので,多くの参加者に古人類 学・人類進化学の研究の現場を知っていただけたのでは ないかと思う.人類学関係者にとっても,なかなか見る 機会のない貴重なスライドが多数あり,実に興味深い講 演であった.

 8. “Sea level─past and future” by Peter Clark, Oregon State University, Corvallis, USA (横山 祐典)  標記のタイトルで,オレゴン州立大学の Peter Clark 教授の講演があった.Clark 教授の専門は氷河地質学で あり,近年は古気候古海洋学に関して幅広い論文を発表 されてきた.次回の国連気候変動に関する政府間パネ ル (IPCC) の報告書 (第 5 次報告書) について,リード オーサーのひとりとして担当されている.実際,INQUA の際も,直前まで開かれた IPCC の会議の関係で,途中 参加されていた.  講演では,主に地質学的な時間スケールの海水準変動 と氷床─気候変動の関係について,レビューをされた. 間氷期,特に最終間氷期の海水準変動については,現在 進行中の地球温暖化の気候下での今後の氷床安定性のア ナログとしての位置づけから,モデルおよびデータによ る検討の紹介が行われた.アイソスタシーのモデリング については,彼の共同研究者である,ハーバード大学の Jerry Mitrovica の結果を中心に話をまとめていたが, 冒頭には,この分野で先駆的な研究をされてきた,九州 大学の中田正夫教授とオーストラリア国立大学の Kurt  Lambeck 教授の 1991 年の Nature 論文の紹介があっ た.紅海の海洋堆積物から求められたデータ,グリーン ランド沖のデータなどからすると,当時の西南極氷床お よびグリーンランド氷床のサイズが縮小していたとされ ることから,現在の間氷期にもその可能性があるのでは ないかとの報告で,統計モデルによる成果とも整合的で あるとのことだった.  最終氷期の海水準変動については,アイスコアおよび 海洋堆積物との比較から,ダンスガードサイクルやハイ ンリッヒイベントと海水準変動との関係があきらかに なってきたという紹介があった.北半球氷床の変化が, 海洋循環を介してシグナルが伝搬し,南大洋の変化を引 き起こし,南極氷床変動を誘発されたというメカニズム の紹介があった.  変化の幅が最も大きく,データ数も多い,最終氷期最 盛期 (LGM) 以降の海水準変動についても詳しく述べら れた.近年,国際深海掘削計画 (IODP) において得ら れたタヒチのサンゴのデータに基づき,アイソスタシー のモデルをつかった氷床融解起源の検出から,現在議論 が続いている Melt water pulse 1a への南極氷床の貢 献が存在したのであろうという研究結果の紹介があっ た.  今後の氷床の安定性の予測ということが,IPCC を含 めた一般の興味の中心であるが,過去の事象を考える と,氷床の安定性という視点では,楽観視できるもので はないし,今後も第四紀学的なアプローチでの気候変化

図 6 大会会場で配布した第 19 回 INQUA 大会の日本 招致のためのパンフレット

参照

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