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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

食用カラスウリ における育種技術の確立と栽培法の 改善に関する研究

ジャヒドル, ハッサン

https://doi.org/10.15017/2534492

出版情報:Kyushu University, 2019, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

氏 名 Jahidul HASSAN

論 文 名 Studies on the Establishment of Breeding Techniques and Improvement of Cultivation Methods in Pointed Gourd (Trichosanthes dioica Roxb.)

(食用カラスウリにおける育種技術の確立と栽培法の改善に関する 研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 准教授 宮島 郁夫 副 査 九州大学 教 授 尾崎 行生 副 査 九州大学 教 授 安井 秀

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は,南アジア原産で雌雄異株の食用カラスウリ(英名pointed gourd,

Trichosanthes dioica

Roxb.)を材料とし,生態的および形態的変異を調査するとともに,硝酸銀処理によって誘導され

た両性花を用いた雌株同士での交雑や,種なし果品種の育成を目的とした四倍体の獲得といった育 種技術の確立と,本種における種子の発芽促進法の開発,植物成長調節剤処理による単為結果の誘 導,人工授粉に用いる花粉の貯蔵方法などの栽培法の改善を検討したものである.

まず,バングラデシュ各地から収集した食用カラスウリの雌株 24 系統を無加温ガラス温室内,

もしくは露地圃場で栽培し,植え付けから開花までの期間が前者では 76~96 日,後者では 109~ 132日であること,また,人工授粉での着果率は前者で 37.7~88.4%,後者で 44.5~92.0%と系統 によってさまざまであることを明らかにした.果実の形状は長さ 7.5~13.0cm,果実重は 36.4~ 60.4g,一株あたりの収量は 90.9~1695.0g と系統によって変異がみられたことから,雌株間での 交雑が可能になれば,有用な形質を備えた品種の育成が可能であることを示した.

食用カラスウリ種子の難発芽性の克服を目的とした各種処理法のうち,濃硫酸に 30 秒間浸漬し た場合,種子発芽率は播種約 2 週間後までに 98.8%であった.しかしながら,種子を水道水に 12 時間浸漬することにより播種後8日目までに74.4%が発芽したことから,本種の発芽促進法として は後者の方法がより簡便で実用的であることを示した.

次に,両性花を用いた雌株同士での交雑を目的として,本葉が 4~5 枚展開した食用カラスウリ の雌株(3 系統)の挿し木苗に,50,100,および 200ppm の硝酸銀溶液を噴霧したところ,すべ ての処理区で両性花の誘導に成功したが,特に,50ppm処理区でその効果が最も長く持続すること を明らかにした.硝酸銀処理で誘導された両性花から得た花粉を用いて,自殖および他の雌株との 交配を行うとともに,誘導された両性花に他の雄株から得られた花粉を用いて交配すると,すべて の交配で着果し種子が得られることを示した.これらの種子からは健全な実生が得られたことから,

硝酸銀処理による両性花誘導技術によって,有用な形質をもつ食用カラスウリの雌株間での交雑育 種が可能であることが示唆された.

さらに,食用カラスウリ 3 系統を用いて,2,4-D,NAA,Fulmet,CPPU,GA3,および TIBA の6種類の植物成長調節剤処理が単為結果の誘導に及ぼす影響を調べたところ,すべての処理で単 為結果が誘導され,特に,開花時にGA3100ppmもしくはNAA100ppmを子房に散布処理すると最 も効果的であることを明らかにした.

(3)

一方,食用カラスウリの種子を,0.05, 0.1, および0.5%のコルヒチン溶液にそれぞれ24, 48, お よび 72 時間浸漬したのちに播種して栽培し,幼葉を用いてフローサイトメトリーにより倍数性を 調査したところ,コルヒチン0.5%48 時間処理で1 個体,同72 時間処理で2個体の四倍体を確認 した.得られた四倍体は二倍体よりも節間が短く成長が遅延することを明らかにした.

これらに加え,ガラス温室内および露地栽培での食用カラスウリの着花および着果習性を調査し,

雄花の開花盛期はガラス温室と露地のいずれにおいても7月下旬であることを示した.一方,雌花 では8月上旬に露地での開花盛期が認められたのに対し,ガラス温室内では6月下旬から7月上旬,

および9月上旬の2回の開花盛期が認められ,7月中旬から8月下旬の最も高温となる時期には着 花数が減少することを明らかにした.また,同時期にはガラス温室内と露地のいずれにおいても着 果数が減少したが,これは雌花の着花数の減少によるものだけでなく,高温による花粉発芽力の低 下に起因する可能性が示唆された.さらに,夏季の高温条件下での花粉の発芽力低下による着果数 の減少だけでなく,雌雄異株性である食用カラスウリの花が一日花であることによる雄花と雌花の 開花の非同期性も果実生産上の大きな問題となる.そこで,花粉の適切な貯蔵方法を検討したとこ ろ,4oCで3日間,および-20 oCで2週間貯蔵した花粉を用いた授粉では80%以上の着果率が得ら れたことから,食用カラスウリの雌雄花における開花の非同期性の克服が可能であることを示した.

以上要するに,本論文は南アジア原産で雌雄異株性の食用カラスウリにおいて,雌株同士での交 雑育種の可能性を示すとともに,四倍体の作出,種子の発芽促進処理法,植物成長調節剤処理によ る単為結果の誘導,さらに,人工授粉に用いる花粉の貯蔵方法などについて新知見を与えており,

園芸学の発展に寄与する価値ある業績と認めた.

よって本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有するものと認める.

参照

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