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廣中, 謙一

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

キイロショウジョウバエ翅原基においてDpp依存的形 態形成を支配する遺伝子制御ネットワークの理論的 研究

廣中, 謙一

https://doi.org/10.15017/1441055

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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名 一 一 文 名

EK

a膏

r r

﹂F

慶中謙一

T h e o r . e t i c a l   s t u d y   f o r   t h e   g e n e   r e g u l a t o r y   n e t w o r k   c o n t r o l l i n g   t h e   D p p ‑ d e p e n d e n t  m o r p h o g e n e s i s  i n   t h e  wing i m a g i n a l  d i s c   o f  D r o s o p h i l a   m e l a n o g a s t e r  

(キイロショウジョウパエ麹原基において Dpp 依存的形態形成を支配 する遺伝子制御ネットワークの理論的研究)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

キイロショウジョウパエはその小ささや飼育の容易さ、世代の短さから、多くの生物学研究におい てモデノレ生物になってきた。特に、ショウジョウパエ初期腔は発生生物学に大きく貢献したシステ ムのひとつである。ある種のモルフォゲン( Hedgehog,W i n g l e s s ,  BMP など)の勾配形成に関わる遺 伝子制御ネットワークは、個体聞のゆらぎに対するロバストネスを与えることが知られている。

一方で、、ショウジョウパエの麹原基(成虫における麹と胸背板に対応する幼虫期の上皮細胞集団)

もまた、ショウジョウパエ初期匹と同じくらい遺伝子の機能に関して知識が集積されたシステムで ある。麹原基では、 2 つの主要モノレフォゲン Dpp と Wg が AP 方向および DV 方向のパターン形 成をそれぞれ行う。特に、 Dpp はモノレフォゲンとしての機能だけでなく、胸背板における Wg の制 御因子や組織全体の成長因子としての重要な役割も持っている。

こうしたショウジョウパエ麹原基の形態形成に関する分子的知見が得られた一方、初期脹と比べ て、麹原基における遺伝子制御ネットワークの生物学的機能についての研究の例は少ない。

慶中謙一氏は、ショウジョワパエ麹原基における Dpp 依存的形態形成に注目して、まず、胸背板 発生のための複雑な遺伝子制御ネットワークの生物学的機能について議論した

0

.次に、麹原基の Dpp 依存的成長についての可能なメカニズムについて解析した。

1

章では、複数のフィードバッグループがショウジョワパエ胸背板発生における wingless 発現 のロバストな局在化を実現していることを示した。

器官の形態形成は器官原基における異なる遺伝子発現の空間パターン形成から始まるが、これは モノレフォゲンによって生み出される位置情報に基づいている。正確な位置情報を作り出すためには、

ロバストなモルフォゲンソースの局在化が必要だ。これは幾つかの異なるメカニズムによって実現

できる: ( i )モノレフォゲンソースの空間配置におけるぱらつきを減らすこと( i i )モルフォゲンのソー

スレベノレのばらつきを減らすこと ( i i i )シヤ}プな発現境界によってソースの局在を強め、モノレフオ

ゲン勾配を険しくすること、など。ここに、ショウジョウパエ胸背板発生における重要なモノレフオ

ゲンのひとつである wingless 発現の局在メカニズムに注目した。 wg 局在のメカニズムは単純なフ

ィードフォワードノレープのネットワークモチーフのみによって理論的には実現できる。しかし、実

際に生物に採用されている分子ネットワークはもっと複雑で、複数のフィードパックループとフィ

ードフォワードノレープを含みながら協調的に働いている。システムの設計原理を知るため、これを

三つの小さなモジュール(それぞれがひとつのフィードパックノレーフ。を含む)に分解し、それらの

役割を数理モデ、ノレを使って調べた。我々はどのように wingless 発現のための制御ネットワークが条

件 ( i ) ・ ( i i i )をロバストな局在化のために実現しているかを示した。

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第 2 章では、細胞外の信号における特定の倍変化を検出するための細胞センサーのメカニズムを 解析した。

細胞のセンサー系はしばしば、入力の絶対レベノレではなく入力の倍変化に対して応答を返す。こ のような性質は倍変化検出( FCD )と呼ばれ、絶対レベルのばらつきが存在する環境シグ、ナルにお ける動的変化を正確に検知するために重要となる。先行研究は FCD を入力スケーノレ不変性として 定義し、そのような条件を達成する幾つかの生化学モデルを提案した。まず先行研究の FCD モデ

/レは対数微分器によって近似できることを証明した。対数微分器は入力スケーノレ不変性の要件を満 たすが、その応答の振幅と持続期間は入力のタイムスケーノレに強く依存する。これは倍変化検出の 特異性と反復性における制限を設けてしまう。にもかかわらず、細胞による特異性と反復性を持っ た FCD (srFCD )はショウジョウバエの麹発生のコンテクストで報告されている。この事実から、

先行研究の FCD モデ、ノレを拡張することによって慶中氏らは srFCD を実現するための二つの可能な メカニズムを提案した。ひとつは積分発火型である。システムは入力の時間変化率を積分し、積分 値が定数闇値に到達したとき応答を返すが、これは積分値のリセットを伴う。もうひとつは動的闇 値型である。システムは入力レベルがある闘値に到達したとき応答を返すが、闇値の値は応答毎に 定数倍される。これらのこつのメカニズムはフィードパックとフィードフォワードノレープを適当に 繋げることによって生化学的に実装できる。二つのモデルの主な違いはそれらの入力履歴に関する メモリーである

o

;慶中謙一氏は二つのモデノレを実験的に区別する可能な方法について解析した。

以上の研究は、数理生物学および発生生物学として、重要な貢献である。よって、本研究者は博

士(理学)の学位を受ける資格があるものと認める。

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