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関西大学独逸文学会研究発表概要(第100回研究発 表会)

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関西大学独逸文学会研究発表概要(第100回研究発 表会)

著者 上月 富佐子, 梶川 裕子, 金子 哲太, 宇佐美 幸彦

雑誌名 独逸文学

巻 52

ページ 83‑85

発行年 2008‑03‑19

URL http://hdl.handle.net/10112/12927

(2)

関西大学『独逸文学』第52 20083

関西大学独逸文学会研究発表概要

( 第

100

回研究発表会)

1. 

ドイツ伝承話と落語との接点

ー 「 笑 い 」 の モ テ ィ ー フ か ら 一 上月 富佐子 あらゆる文化圏に「笑い」のモティーフが見られるのは周知のところ である。これまでも帰属文化による「笑い」の相違の考察は、比較文化 論の一つとしてなされてきたが、本発表では更にこれをほり下げ、異な る文化間における「笑い」の類似モティーフの有無やその影響関係を、

ドイツの伝承話と日本の落語を題材として、検証した。取り上げたドイ ツの伝承話は、『冗談とまじめ』、『ティル・オイレンシュピーゲル』、『ミュ ンヒハウゼンの愉l央な冒険』、『グリム童話』の 4作品である。

今回、 ドイツの伝承話と日本の伝承話芸の「落語」とを、「笑い」の モティーフの視点から比較・検証を進めた結果、そこには多くの「笑い」

の類似モティーフの存在が見られた。

またグリム童話 (KHM44) 『名付け親の死神』 (DerGevatter Tod) と 落語『死神』とのモティーフ分析を行うことにより、落語『死神』がヨー

ロッパの「死神」モティーフと関連性のあることが検証できた。

国、時代を越えて語り継がれた「笑い」の類似モティーフの存在は、

帰属文化による「笑い」の相違点だけではなく、共通性、更には人間の

「生」に対する普遍性をも感じさせてくれる。また、日本の伝承話芸・

芸能文化である「落語」のネタのルーツが、ドイツ伝承話に行き着くの は、文化事象としても興味深いものであった。

2. 

『マルテの手記』前後におけるリルケの死生観の変容

梶 川 裕 子 主に、『時祷集』 (1905)、『マルテの手記』 (1910)、『ドゥイノの悲歌』

(1923) に見られるリルケの死生観の変容を考察した。

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『時祷集」からは、第三部「貧困と死の書」を取り上げた。ここで見 られるリルケの死生観はそのまま『マルテの手記』にも見られる。リル ケはこの両作品で、「固有の死」というものの大切さを強調している。

大都市パリで人々の「固有の生き方」が見られなくなったように、「固 有の死に方」もなくなりつつある。そういった「固有の死」と大量生産

される死の対比を、例を取り上げながら考えた。

『ドゥイノの悲歌』からは、死に関する部分をそれぞれの悲歌から抜 粋して考察した。この作品の最後には、「生と死」「上昇と下降」「喜び と苦悩」など、一見対立すると思われるものが、実は対立的協働の関係 にあり、相互に支えあっているということが示されている。

3. 

中高ドイツ語の

haben

+過去分詞の「意味」について

金 子 哲 太 ドイツ語のhaben+過去分詞は、古高ドイツ語から中高ドイツ語期に かけて形態的、構造的には拡充化への道をたどったが、意味・用法的に は一定方向の発展を遂げていたとはいえず、その体系的変遷を記述する ことは難しい。発表では、おもにコンテクストに現れる時間性、人称 性、さらに話法性を手がかりに、中高ドイツ語期のhaben+過去分詞に ついて意味分析をおこなった。すでに,,Derarme Heinrich"を用いてな された試論的考察を今回扱ったより規模の大きい作品,,Kudrun"へとそ の調査対象を広めておこなうことで、その内容や方法論上の妥当性を問

うというのが狙いであった。

当該文は現在性を含意するコンテクストで現れることがほとんどであ ることが示されたが、この点は当該文で使用される現在形habenが担う 時間性(現在、未来、無時間)との適合性を表していると言えるのでは ないかと述べた。他方でコンテクストにおいて 1/2人称表現が頻出す ること、話法の助動詞や接続法等を用いた話法的表現が少なくないこと から、当該文には広義の話法性が表れているのではないかと指摘した。

個々の例の意味分類や関連性等を浮き彫りにするまでには至らなかった が、ひとつの試みとしてHelbigらが分類しているModalworterの意味領 域との関連付けをおこない、付け加えてPaulの文法書における記述の部

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(4)

関西大学独逸文学会研究発表概要(第100回研究発表会)

分的修正の必要性についても言及した。

4. 

ベルリンにおける文学者たちの墓標と記念碑

宇 佐 美 幸 彦 ベルリンの主要な墓地にはドロテーエンシュタット教区墓地(ブレヒ ト)、ハレ門前の墓地(シャミッソー、ホフマン)、ベルクマン通の総合 墓地(ティーク)、旧マタイ教会墓地(グリム兄弟)、フリードリヒスフェ ルデ中央墓地(コルヴィッツ)、ヘーアシュトラーセ墓地(ホルツ、リ ンゲルナッツ)、ダーレム森林墓地(ベン、ミューザム)などがある。「永 遠の眠り」の世界は不変かと思われるが、さまざまな理由から著名人た ちの墓も大きな変化にさらされている。第一に個人の墓は特別な人物と して指定されなければ、年数の経過で消滅してしまう。ゲオルク・ハイ ムは若くして亡くなり、ナチス時代に表現主義が評価されなかったの で、その墓は消滅して存在しない。第=に都市計画などで墓地そのもの が消滅した場合もある。ニコライの墓はルイーゼンシュタット墓地に あったが、現在は公園となっている。第三に戦争の空襲で破壊され、立 て直されたアルノー・ホルツの墓のようなケースもある。第四に意図的 に死者の尊厳を破壊した悪質なナチスの例もある。ナチスは旧ユダヤ人 墓地やリープクネヒト、ルクセンブルクの革命記念碑(ミース・ファン・

デア・ローデ作)を破壊した。記念碑の設置も大きく時代の変化を反映 する。シラーの記念碑はナチス時代に国民劇場前から撤去され、ハイネ の記念碑は当初の設置場所を変更されたが、東西ベルリン統一後、やっ

と本来の場所に置かれるようになった。

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