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学位授与機関 関西大学

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Academic year: 2021

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管内サスペンション流れにおける浮遊粒子の集中現 象 [論文要旨及び審査の要旨]

著者 山下 博士

発行年 2020‑03‑31

学位授与機関 関西大学

学位授与番号 34416甲第768号

URL http://hdl.handle.net/10112/00020197

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1

[12]

氏 名

山下

やました

博士

ひ ろ し

博士の専攻分野の名称 学 位 記 番 号 学 位 授 与 の 日 付 学 位 授 与 の 要 件 学 位 論 文 題 目

博士(理学)

理工博第69号 2020年3月31日

学位規則第4条第1項該当

管内サスペンション流れにおける浮遊粒子の 集中現象

論 文 審 査 委 員

主 査 教 授 関 眞佐子 副 査 教 授 板野 智昭 副 査 教 授 杉本 信正

論 文 内 容 の 要 旨

粒子サスペンションを一様な断面をもつ直管に流すと,浮遊粒子は周囲の流体から慣性 に起因する揚力を受けて,下流の管断面で特定の位置に集中する現象が起こる.この粒子 集中現象は,流れを利用して細胞や血球を外力なしに分離・選別する原理の一つとして,

マイクロフルイディクスの分野で近年活発に研究されている.分離・選別のための流体デ バイスの開発に向けてこれまでに多くの研究が行われているが,その設計に必須である粒 子の集中位置予測の理論は未だ不十分であり,現状の流路設計は試行錯誤によるものが多 い.これは粒子集中位置が管断面形状,管断面に対する粒子サイズ(サイズ比),レイノル ズ数といった様々なパラメータの値に依存して大きく変化することが原因である.

本論文では,管内流れ中の粒子集中位置の複雑な変化を予測するために,パラメータ毎 の集中位置の変化を系統的に明らかにすることを目的として,円管と正方形管内のサスペ ンション流れにおける浮遊粒子の集中現象について数値解析と実験の両面から調べた.

まず第 1章では慣性による粒子集中現象の概要と先行研究を紹介した後,第 2 章では数 値解析手法と実験方法を説明している.数値解析では管内流れに浮遊する球形粒子に作用 する揚力が求められ,粒子まわりの流れ場の解析方法,揚力の計算方法,揚力が零となる 平衡点の探索方法が詳細に記述されている.実験では,管断面の大きさが数 100 ミクロン の微小管を用い,その微小管内流れに浮遊する球形粒子が下流断面で通過する位置を計測 する実験手法が報告されている.第 3 章は「結果と考察」で,正方形管および円管内流れ に対して様々なサイズ比とレイノルズ数の場合に数値解析と実験により得られた粒子集中 位置が報告され,両者がほぼ一致すること,粒子集中のパターンがいくつかのタイプに分 かれること,粒子集中パターン間の遷移は断面内に出現する平衡点の分岐現象として捉え られることが示された.特に,正方形管内流れに対して,特定のレイノルズ数より大きい

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場合に新たなタイプの粒子集中点が観察される現象は,サドル・ノード分岐や亜臨界ピッ チフォーク分岐として説明された.サイズ比が異なるとそれぞれの臨界レイノルズ数が変 化することによって分岐構造自体が変化することが示され,最終結果としてサイズ比とレ イノルズ数が与えられた場合に予想される粒子集中パターンを表す図が描かれた.円管内 流れに対しても,先行研究で報告された,粒子が集中する動径位置の数の変化がサドル・

ノード分岐として捉えられること,サイズ比によって分岐構造の変化が起きることが示さ れた.第 4 章は「総括」であり,サイズ比とレイノルズ数の変化に伴う円管と正方形管内 流れにおける浮遊粒子の集中パターンの変化がまとめられた.

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本論文は,粒子サスペンションの管内流れで見られる粒子集中現象について,数値解析 と実験による研究をまとめたものである.断面が正方形の矩形管と円管の 2 種類の管内流 れに球形粒子が浮遊している場合を取り扱い,下流の管断面内における粒子の集中位置を 検索して粒子径と管径の比(サイズ比)およびレイノルズ数への依存性を調べた.数値解 析では,埋め込み境界法を用いた差分法による直接数値シミュレーションのプログラムを 開発し,管断面内の様々な位置にある浮遊粒子に対して,粒子まわりの流れ場と粒子には たらく揚力を計算した.計算結果を用いて管断面内の揚力分布図を作成し,揚力が零とな る平衡点の位置およびその安定性を調べた.

正方形管内流れでは,3種類の粒子平衡点があり,サイズ比とレイノルズ数によって平 衡点の安定性が変化することにより,安定な平衡点,即ち実験で観察される粒子集中点の パターンがいくつかのタイプに分かれることが示された.特にサイズ比が0.1 程度の場合,

4つのレイノルズ数領域でそれぞれ異なる粒子集中パターンとなることが確認された.サ イズ比が0.3程度まで大きくなると,低レイノルズ数領域でこれまでにない粒子集中パター ンが現れることも新たに確かめられた.本研究の独創的な点のひとつは,粒子集中パター ン間の遷移を平衡点の分岐現象として数学的に記述した点にある.粒子に作用する揚力を 動径成分と方位角成分に分解し,管断面におけるそれぞれの成分のヌルクラインの交点と して平衡点を捉えることで,平衡点の出現や安定性の変化を説明した.最終結果として,

数値解析と実験の結果を基に,粒子集中パターンをサイズ比とレイノルズ数の関数として 一つの図にまとめた.この図は本論文により初めて示されたものであり,浮遊粒子を粒子 の大きさによって分離する目的で流路設計を行う際に極めて有益な指針を与えるものと考 えられる.

円管内の粒子サスペンション流れでは,対称性から粒子は一定の動径位置に環状に集中 する.本論文では,これまでに報告されている,粒子が集中する円環の数の変化を数値解

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析により再現するとともに,その遷移を分岐現象として説明した.これは,円管内流れに 対しても,粒子集中現象がサイズ比とレイノルズ数の関数として統一的に記述できること を示す重要な結果であり,流体デバイス開発の基礎研究として本論文の価値を示すもので ある.

よって,本論文は博士論文として価値あるものと認める.

参照

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