BulletinofFacultyofEducation,NagasakiUniversity :CurriculumandTeachingNoA6(2006)1116
国語科を中心 とする読書指導の現状
山本 建雄
Exi s t l ngSt a t eofRe a di ngGui da nc ewi t hLa ng ua geAr t sa sCe nt e r Ta t e oYAMAMOTO
は じめに
生 きる力 としての読書力 の育成 は,生涯学習 とも繋が りその必要性 が愈 々増す ばか りで ある。 ところが,近年の読書に関係 した諸調査 によれば,児童 ・生徒 の読書意欲,読書量, 読書力等 において,学年が上 になるにつれて顕著 な低下の傾 向が認 め られ るとの ことであ る。 こ うした事態 を憂 える声が,教育界 はもとよ りの こと様 々な方面か ら上が り,読書科 の特設 な ども話題 に上 ってい る。読書指導 に関係 した改革 に取 り組 むには,現状 の正確 な 把握が不可欠 となる。そこで,まず国語科の読書指導の現状 について,指導の指針 ともなっ てい る現行 の学習指導要領 の諸事項 を整理 し,可能性 と課題 について明 らかにす る。次い で, こ うした指導要領 の記述が具体化 された国語科教科書の読書教材 の内容 の確認 と検討 を行 う。終わ りに,国語科 の枠 を越 え学校 の教育的営みの全 て と繋 が る読書指導の事例 に ついて, その成果 を確認 し,今後 の読書指導 に対す る取 り組 みの方 向性 を得 たい。
1
現行の学習指導要領 国語編 の読書指導に関係 した諸事項現行 の学習指導要領 国語編 は,平成十年七月の教育課程審議会 の答 申を踏まえ,小 中学 校 は同年
1 2
月 に,高校 は翌年の3
月 に改定 され た。小 中高のいずれ の学習指導要領 にお いても,総則 の 「教育課程 の実施等 に当たって配慮すべ き事項」 として異校種 間の連携や 交流 を図るがあるが,作成期 間が短 い上 に,作成時期 の重複 もあ り, 目標,内容 (指導事 項)等 についての系統化 ・体系化 について,当事者 間に例 え共通理解 があった としても, 徹底 し難 い ことは容易 に予想がつ く。読書指導関係 の諸事項 について,小 中高の間に系統 性 ・体系性が どこまで認め られ るか,指導要領 の記述 をもとに整理,確認 してみた。但 し, 高校 については, 「国語総合」
についてのみ取 り上 げた。現行の指導要領 か らは,系統性 ・体系性のもとになる4つの系が特定できるように思 う。
「読書の機能 ・目的 に関す る系
」
「読書資料 に関す る系」
「読書 に対す る態度 に関す る系」「読解技能 に関す る系」の,各系である。次 に,個 々の系 について項 目を別 けて系統化 ・ 体系化 の実態 について述べてい く。
(1) 読書の機能 ・目的 に関す る系 の場合
下記の資料1は,小 中高の各指導要領 の中の読書の機能 ・目的 に関係 した記述 を一覧表 の形 に整理 したものである。読書の機能 ・目的の違 いに応 じ,次の3つ タイ プの読書が確
認で きる。 「楽 しむための読書
」
「疑 問や課題 の解決 に必要な情報 を得 るための読書」
「自 分 の ものの見方,感 じ方 ,考 え方 を深 めた り広 げた りす るための読書」である。「楽 しむための読書」 については,小学校
1
,2
年の 目標 の中で取 り上 げ られ,読書の 機能 ・目的 に関係 した最初 の記述 となってい る。 これ以降の学年では,全 く触れ られてい ないのは,国語科 での 「楽 しむための読書」は,単独 では取 り上 げ られ ない代わ りに知的 な性格 を帯 び他 の2
つのタイ プの読書 に重ね られ た結果 ではないか。資料 1
小 学 校 中 学 校 高 校
Ⅰ
(目標) Ⅰ (内容) (目標)楽 しんで読書 をしようとす る ・文章に表れているものの見方や考え方 を理解し,自分のものの見方 方,考 え方 を広 げた り深めた りす るものの見方,感 じ
Ⅱ
疑問に思った事などについて関係の(内容 の取扱い) や考 え方 を広 くす るo (内容の取扱い)ある図書資料 を探 して読む ・必要な情報 を集 める○ 課題 に応 じて必要な情報 を読み取 り
Ⅲ
(目標) Ⅱ (目標)読書を通 して考えを広げた り深めた 読書を生活に役立てて 自 りしよ うとす る 己を向上 させ ようとす る
(内容 の取扱い) (内容)
自分の課題を解決するために図鑑や ・人間,社会,自然な ど
事典など活用して必要な情報を読む ・目的をもって様々な文役立てる意見をもっ こと章 を読み,必要な情報について考 え,自分のを集めて 自分の表現に
注 小学校 の Ⅰ, Ⅱ,Ⅲは,それぞれ第 1学年及 び 2年,第 3学年及 び第 4学年,第 5学 年及 び第
6
学年であることを示す。 中学校 の Ⅰ, Ⅱは,それぞれ第1
学年,第2
学年及び 第3学年 を示す。資料 2以下 においても同様 であ る。「疑 問や課題 の解決 に必要な情報 を得 るための読書」 については,最初 に取 り上 げられ るのは,小学校
3
,4
年の 「内容 の取扱い」においてである。但 し, この時点では疑問に 関係 した資料 を読む に留 まってい る。5
,6
年 になって, 「内容 の取扱 い」の ところもあ るよ うに課題解決 に取 り組 む ことになる。 中学1年 では, 「内容」 の ところに 「必 要な情 報 を集 める」
とあるよ うに,対象 となる資料 の範 囲が広が る。 2, 3年 において も, 「内 容」 の ところに 「目的 をもって さま ざまな文章 を読み」 とあるよ うに, この傾 向は持続す る。2
,3
年では, 「目標」 に 「読書 を生活 に役立て」 とあ り, また 「内容」 の ところに も 「自分の表現 に役立て る」 とあるよ うに,疑 問や課題 の解決の段階か らその結果 を生活 や表現 に役立て る段 階‑ と一層 の向上が 目指 され る。高校 においては, 「内容 の取扱い」の記述 を見 る限 りでは, 中学段階 と比べての違 い は認 めに くい。
「自分の ものの見方,感 じ方,考 え方 を深 めた り広 げた りす るための読書」 にっては,
山本建雄 :国語科 を中心 とす る読書指導の現状 3
3つのタイ プの中では最 も遅 く小学校
5
,6
年 の 目標 に 「考 えを広 げた り深 めた りす る」とあるのが,最初 である。 中学1年 の 「内容」 の ところに, 「自分 の ものの見方や考 え方 を広 くす る
」
とあ り, この段階で先の思考 に関係 した機能 に認識 に関係 した機能が加わる。2
,3
年 になると, 目標 に 「自己を向上 させ よ う」とあるが,それ と分か るよ うには書か れ ていないが考 え方,見方 ばか りでな く感 じ方 をも含 めて考 えるべ きであろ う。また, 「内 容」 の ところには, 「人間,社会, 自然 な どについて」 とあ り,思考,認識 の対象 の広が りとバ ランスにも配慮 してい る。高校 の 「目標」 において, 「感 じ方」 について始 めて取 り上 げ られ る結果 となっている。恐 らくは,個人差が大 きい上 に指導 も難 しい ことが関係 してい るのであろ う。「読書の 目的 ・機能 に関す る系
」
に関 しては,小学校1
,2
年 で 「楽 しむための読書」
が取 り上 げ られていたが, この学年のみであった。3, 4年 において 「疑 問や課題 の解決 に必要な情報 を得 るための読書」が,5
,6
年 において 「自分のものの見方,感 じ方,考 え方 を深 めた り広 げた りす るための読書」 が加わ り, これ ら2つのタイ プの読書 は,以後 高校 に至 るまでの間 に共 に対象や 図書資料,機能 の拡大 と深化 が 目指 され る。( 2 )
図書資料 に関す る系の場合下記 の資料 は,図書資料 に関係 した記述 を一覧表の形 に整理 したものである。小学校 の
1
,2
年 では 「楽 しむための読書」 とい う主 となる 目的 ・機能 に合 わせ, 「内容」の とこ資料2
小 学 校 中 学 校 高 校
Ⅰ
(内容).易 しい読み物 Ⅰ (内容) (目標)・昔話や童話 な ど 様々な種類の文章 様々な文章
(内容の取扱い) (内容 の取扱 い)
自分の読みたい本 を探 して読む 様々な古典や現代の文章
Ⅱ
読んだ内容などに関連 した他の文章ついて関係のある図書資料を探 して読むを読むこと,((内容)いろいろな読み物内容の取扱い)疑問に思った事などにⅢ
(内容) Ⅱ (内容)自分の考えを広げた り深めた りする ・文章 を読んで人間,礼 ために,必要な図書資料 を選んで読 会,自然 などについて
む 考 え
(内容 の取扱い) ・目的をもって様々な文
自分の課題を解決するために図鑑や
事典 な どを活用 章 を読み
(内容 の取扱い) (内容 の取扱い)
児童の読む図書については,人間形成の 広 く言語文化 について関心 を
ろには 「易 しい読み物,昔話や童話
」
が, 「内容 の扱い」の ところには 「自分 の読みたい 本」が挙 げ られ てい る。3
,4
年 では, 「内容」 の ところに 「い ろい ろな読み物」 とある ように,図書資料の種類 ないし数 を増やす ことが意図されてお り,その方 向性 としては 「内 容 の取扱 い」の ところに,「読 んだ内容 に関連 したもの,疑 問に思 った こ とな どに関係 し た図書資料」 とある。5
,6
年では, 「疑問や課題 の解決に必要な情報 を得 るための読書」と 「自分の ものの見方,感 じ方,考 え方 を深 めた り広 げた りす る読書」の 2本立の体制が 整 う時期 である。図書資料 もそれ に合わせ, 「内容」の ところに 「自分の考 えを広 げた り 深 めた りす るために必要 な図書資料」, 「内容 の取扱い」の ところに 「課題 を解決す るため の図鑑や事典」が挙 げ られ,特定の 目的 ・機能 に対応 したもの となってい る。 こ うした図 書資料 の多様化 と目的 ・機能 に合わせ ての特化 に加 え,小学校の全体 と関わ る 「内容の取 扱い」 の ところには, 「人間形成 のため偏 りがない よ うに選定す る」 とある。
中学1年 の 「内容
」
の ところに 「様 々な種類 の文章」 とあるのは,小学校での読書の幅 を広 げるための取 り組 み を受 け分野や ジャンル等 に関 して一層 の拡大 を意図 したものであ る。 2, 3学年 では, 「内容」 の ところに 「人間,社会, 自然 な ど」 といった具合 に対象 とすべ き分野が特記 され広が りとバ ランス‑の配慮がな されてい るほかに, 「目的 をもっ て様 々な文章 を読む」 とあるよ うに所期 の 目的 ・機能 によ り一層叶った選書が求め られて い る。高校 においても, 中学 と同様 に読書資料 の多様化 が 目指 されてい る。新 たな分野 として古典 関係が加 え られ てい る。
読みたい本 を読む とい う悪意的な読書は小学校 の
1
,2
年 までで,特定 の 目的 ・機能 に 合わせ た選書が 3, 4年か ら必要 となる。 3, 4年の段階か ら後 は,読書 の 目的 ・機能そ のものの拡大 ・充実の歩み に合わせ,図書資料 の種類 (分野,ジャンル等) と数の増加 ・ 拡大 に加 え,偏 りのな さについての要求が続 く。( 3 )
態度 に関す る系の場合資料 3は,態度 に関係 した記述 を一覧表 の形 に整理 したものであるO大半の事項 は,読
資料 3
小 学 校 中 学 校 高 校
Ⅰ (目標) Ⅰ (目標) (内容の取扱い)
楽しんで読書をしようとする態度を 読書に親 しみものの見方 読書の習慣 を養 う 育てる や考え方 を広げようとする態度 を育てる
Ⅱ
幅広 く読書をしようとする態度を育てる(目標)Ⅲ 読書を通 して,(目標) 考えを広げた り深め
Ⅱ
読書を生活に役立て自己(目標) た りす る態度 を育てる 度 を育てるを向上 させ ようとする態(内容 の取扱い) (内容の取扱い)
読書意欲 を高め,日常生活 において読書 日常生活 における読書活動が
山本建雄 :国語科 を中心 とす る読書指導の現状 5
書の 目的 ・機能 と直接 関わ る読書活動 についての意志 ・意欲 の育成 ない し習慣化 の ことを 内容 としている。 これ らの事項 は,それぞれの学年段階における最重点指導項 目でもある。
小学校
1
,2
年 では, 「目標」
に 「楽 しむための読書」 をす る意志 ・意欲 を育て ること が取 り上 げ られ てい る。3, 4年 では, 目的 ・機能 に関わ る指摘 はな く, 「目標」 の とこ ろに図書資料 の幅 を広 げる意志 ・意欲 の ことが上 げ られてい る。5
,6
年 の 「目標」
の と ころには, 「考 えを広 げ深 めた りす る」こと‑ と向か う態度 の ことがある。小学校全体 に 関わる 「内容の取扱い」 においても,「読書意欲 を高める」
ことを再確認 をす るとともに, 読書活動 を 日常生活 に広 げ活発 にすべ こ とが述べ られ てい る。 中学 の1年 でも, 「目標」において 「自分のものの見方,感 じ方,考 え方 を広 く深 くす るための読書」 に関わ る態度 を上 げ,更 にこれ に加 えて
2
,3
年 では, 「目標」 に 「疑 問や課題 の解決 に必要 な情報 を 得 るための読書」に関わる意志 ・意欲 をも合わせ取 り上 げてい る。高校 になると,「目標」に見 られ るよ うな,意志 ・意欲 の先 にある 「読書 の習慣」化 が課題 となってい る。
(4)読書技能 に関す る系の場合
資料4は,読書技能 に関す る記述 を一覧表の形 に整理 した ものである。項 目の数 として は,限 られてい る。読解技能 と重複す る部分 は極力排除 した結果 であろ う。小学
1
,2
年 に関わ る 「内容 の取扱い」 の ところに, 「絵や写真 な どを見て想像 を膨 らませ る」読みが 取 り上 げ られてい る。近年の図書資料 の グラフィ ック化 の傾 向 とも通 じ,今後注 目すべ き 読みの技能 であ る。 中学1年 の 「内容」 の ところには, 「様 々な種類 の文章か ら必要 な情 報 を集 め るための読み方 を身 に付 ける」とあ り,また中学全体 に関わ る 「内容 の取扱い」の ところにも, 「目的や意図に応 じて的確 に読み取 る能力 を育てる」とある。 目的や意図, 文章の種類 に合わせ方法 を選び機能的かつ的確 な読み取 りがで きる技能 の修得 とは,即 ち 自立 した読書人 となることを意味す る。文種別 の読解指導が徹底 しない と,如何 ともし難
資料4
小 学 校 中 学 校 高 校
Ⅰ (内容の取扱い) Ⅰ (内容) (内容 の取扱い)
絵や写真などを見て想像を膨 らませ 様々な種類の文章から必 様々な古典や現代 なが ら読む 要な情報 を集めるための読み方 を身に付 ける の文章を読み比べる
い内容 で はある。高校 の 「内容 の取扱い」 の ところに, 「様 々な古典や現代 の文章 を読み 比べ る」 とあるのは,古典 の現代化 とも関わ る大事 な技能 の指摘 である。古典 の本格 的な 学習 によ り開かれ た,時代的に隔た り諸般 の事情 も異 なる資料 の比べ読み には,現代 の文 章 における場合 には考 え られ なかった よ うな新 たな技能 が要求 され る0
図書資料の系 読書の 目的 .機能の系 態度の系 技能の系
小学
校 I 易.しい読み物 Ⅰ 楽しむための読書 Ⅰ 楽しんで読書し Ⅰ 絵や写真を見
Ⅱ いろいろな読み物 Ⅲ 考えを広げ深めるため Ⅱ 幅広 く読書しよ ます
Ⅲ 考えを広げ深める の読書 う
のに必要な図書課題解決するための図鑑や事典
幅広 く偏 りがないような選定 課題解決のための読書 読書意欲Ⅲでの読書深めたりする態考えを広げたり度を育てる日常生活
中 ⅡⅠ 様々な種類の読書様々な文章 Ⅰ 見方や考え方を広 くするための読書 Ⅰ 見方や考え方を広げよう Ⅰ 様々な文章から情報を集め 広 く言語文化について .情報収集のための読書 Ⅱ 生活に役立て自 る読み方
学 Ⅱ 生活に役立て自己を向 己を向上 させよ 目的意図に応じた 上 させ るための読書 日常生活での読書う 読み
高校 様々な古典や現代の文 見方,感 じ方,考え方を広 読書の習慣を養 う 古典や現代の文章
資料
5
には, 「読書 の 目的 ・機能 に関す る系」以下の4
つ の系 のそれ ぞれ において系統 性 に関わ る重要な事項 を一覧表 の形 に整理 した ものである。いずれ の系 において もこれ ま での分析 ・考察 を通 して,小 中高の指導要領 の記述の間に,い くつかの問題 が残 るものの, 系統性 に近 い もの を認 めえた。 同様 に 「読書の 目的 ・機能 に関わ る系」 を軸 とした各系相 互 の間 にも,一定 の関連性 が認 め られ た。 これ は,小 中高の読書指導 に関わ る記述全体 を 見 た時,体系性 らしきものが確 認で きた とい うことである。無論最初 か ら意図 した故の も のではな く, あ くまで校種 ごとの指 導要領 の作成 に取 り組 んだ ことの結果 であ る。いずれ の学年 の指導 を担 当す るにして も,小 中高全体 を見通 した上 で, その学年 の学習 に最適 な 指導 内容 が考 え られ るべ きであ る。 こ うした 目的のためには,現行 の指導要領 か ら見出 さ れ た系統性 ・体系性 では,やや機能性 に欠 ける。次の指導要領 の改定 の折 りには,現行 の もの を叩 き台 として系統性及 び体 系性 に関 して徹底 を期す とともに,理解 し易す い もの と な るよ う一層 の配慮 が望 まれ る。2
国語科教科書 の読書教材 の実態‑K
出版社の小 中高の教科書 にお ける場合学習指導要領 の内容 が どの よ うに教科書 に具現化 され てい るか を, 同一 出版社 の小中高 の国語科教科書 の読書教材 を通 して確 認す ることにした。読書教材 は, 内容 の上 か らそれ ぞれ, 「本 の紹介
」
「情報処理」
「読書技能」 に関係 した内のいずれ か に分 け られ る。山本建雄 :国語科を中心とする読書指導の現状
( 1 )
本 の紹介 に関係 した教材① 小 学校 にお け る場 合 資料 6
7
小 学
校 1 (どくしよのひろば) 「おはなしどうぶつえん」 をつ くろ う
動物の出てくる本を読み,書名,著者,読み手の名前を書いたカードを作るo同じ動物のカードを集め 下 み手の名前を書いて 「てはり
,
「おはなしどうぶつえん」を作るoその中にある読みたい本を読みおはなしどうぶつえん」にはるo,
「おきやくさまカード」に読2 (読書の広場) 「お話びじゆつかん」を作 ろ う
読んだ本の中で一番心に残ったことを絵に書いて紹介しあう○絵には,絵の題名,書名,絵を書いた人 下 の名を書いたカードをつけるo書いた絵とカードを教室や廊下にはり
,
「お話びじゆつかん」を作る○3 (読書の広場) 「読書おすすめカー ド」を活用 しよう
「読書おすすめカード」には,推薦する本の内容や感想の他に,別の人の意見やおすすめの言葉も書き 下 込める○カードは作ったO ,1冊にファイルされて教室に置かれるo 図書係の子どもは,使いやすいように目次を
4 (読書の広場) 「お笑いけいじ板」を作ろ う
「アジアの笑い話」を読んだ後
,
「笑い」を,集めるグループ,作るグループ,演じるグループに分か 下 れ活動し,活動の様子を 「介をしたり主人公について調べたりしたoお笑いけいじ板」で知らせ合う○集めるグループは,笑いの本を探し,本の紹5 (読書の広場) 「読書発表会」 をしよう
今まで読んだ本の中から,心にのこつた何冊かを選び紹介し合う0本は,共通する事柄や話題をもとに 下 テーマを決めて選ぶ○このような本の紹介の仕方をブックトークともいう○例を参考に自分のテーマを決
資料
6
は,小学校 教科 書( K
出版 社 の平成1 5
度版 の もの) に所 収 の 「本 の紹 介」
を主 な内容 とした教材 を, それ ぞれ の内容 の概 略 を付 け一覧表 の形 に整理 した もので あ る。氏 出版 社 の場合 は,1
年 か ら5
年 までの各学年 に1
教材 ずつ,いずれ も下 の教科 書 に所 収 さ れ てい た。1年 の教材 で は,動物 が出て くる本 に対象 を絞 りカー ドを用 い,学級 の中で これ まで に 読 まれ て きた本 を一覧 で きる形 に整理 し, そ うした本 の 中か ら指 導要領 にあ るよ うに 「読 みたい本 を探 して読 む」 こ とが どの程 度 で きたか を 「お きや くさまカー ド」を用 い確 認す る内容 とな ってい る。 「お きや くさまカー ド」 の貼付 は,共 通 図書 を巡 っての初歩 的 な交 流 ともな る。2年 の教材 は,指 導要領 に比べれ ばやや 高次 の,本 の中の 「一番 心 に残 った こ と」 を絵 に して,教 室 内ばか りでな く外 ‑ も向 けて廊 下 にまで掲示 し紹介 し合 う内容 で あ る。両教材 とも,書名 ,著者名 等 を除 けば本 の内容 ,感想 につ いての言語化 は控 え られ てい る。
3
年 の教材 で は, 「読 書 おすす めカー ド」 が作 られ ,1
,2
年 での読 ん だ本 を紹介 す る こ とか ら他 に勧 め る こ と‑ と段 階が進 め られ る。 カー ドには,1,2年 の教材 にはなかっ た推薦 図書 の内容や感想 が書 かれ , また他 の人 の意見等 も書 き込 め るよ うになってい る。カー ドはフ ァイル され, 目次 も付 け られ る。学級 内での読書活動 の成果 をその内容 に即 し, 指導要領 にあ る通 りに読書 の幅 を広 げる こ とに確 か につ なげ よ うとす る取 り組 みであ る。
また,
1
年 か ら始 まった共通 図書 に関わ る交流 も,本格化 してい る。4
年 の教材 は,指導 要領 にあるよ うに 「読 んだ内容 に関連 した他 の文章 を読」み, その結果分 かった ことを掲 示板 で他 に知 らせ る とい う内容 で あ る。5
年 の教材 は, これ までに読 んだ本 の中か ら,心 に残 った本,言い換 えれ ば指導要領 に あ る 「考 えをひろげた り深 めた り」す ることにつ なが らせ えた と確 認 で きる本 を,一定の テーマ に沿 って選 ばせ, それ らの本 の紹介 を 目的 とす る 「読書発表会」 を させ よ うとい う 内容 で あ る。6
年 の教材 は,資料7
に記 した よ うな,5
年次までの活動 の発展 の先 にある新 たな段 階 を 目指す よ うな内容 となってい る。1年 の教材 でスター トした共通 の図書 の読 み を巡 る学 級 内での交流 が,3
年 の教材 での推薦 図書 についての感想 ・意見 の書 き込 み,5
年 の教材 での同一テーマ について心 に残 った本 を紹介 し合 うとい う段階 を経 て, この学年で終 に 「読 書座談会」,成人 の読書活動 ともつ なが るいわ ゆる読書会的 なもの に至 った とい うこ とで あ る。 「読書座談会」‑ の積極 的 な取 り組 み は,指導要領 の 目標 であ る 「読書 を通 して考 えを広 げた り深 めた りす る態度 を育て る」 ことに結果 的 にはつ なが る0 「読書座談会」は,資料
7
小 学
校 6 (読書の広場) 「読書座談会」をしよう
グループに分かれて自由に話し合う「読書座談会」を開くことにしたOあるグループは,ファンタジー 下 作品で気に入ったものを紹介しあったo別のグループは,椋鳩十 『月の輪グマ』の中の動物物語について
取 り上 げたいジャンル,作 品, シ リーズ等 を同 じ くす るもので グル ー プを作 り, 自由に面 白さ等 につ いて話合 うとい う内容 の ものであ る。
② 中学校 にお ける場合
資料 8は, 中学校 の教科書 (K出版 社 の 14年度版 の もの) にあ る本 の紹介 を主 とした 内容 の教材 を,それ ぞれ の内容 の概 略 を付 け一覧表 の形 に整理 した ものであ る。
1
,2
年 の教科書 には, それ ぞれ2
教材 が, また3
年 の教科書 には1
教材 が所収 され ていた。いず れ の教材 も,恐 らく教科書 の編者 によ り記述 され たであろ う本 の紹介,即 ち文字言語 によるのブ ック トー クである。小学校教科 書の教材 は全 て,学習者 が互 い に本 の紹介 をし合 う とい うものであった。 これ とは打 って変わった内容 の もの となってお り,小学校 か ら中学 校‑ の連続性 ない し発展性 につ いて,編集者 間で何 らかの確 認がな され なかったのであろ うか。指導要領 にあるよ うに 「読書 を生活 に役立 て 自己を向上 させ よ う」 とすれ ば,テー マや ジャンル を異 にす る 「様 々な本」 が これ まで以上 に必要 にな る。学習者 による本 の紹 介 だけでは, こ うした必要 を満 た しえない ことにな る。 だか らといって,学習者 の側 の取 り組 みがな くていい とい うことにはな らない。また,本 の紹介 については小学校 の段階で 既 に読書会的 なものに至 るまでの ことを一通 りは学習済みであ り,後 は学習者 の工夫 と努 力 にまかせ る とい うので は,やや無 責任 な感 じがす る。
1年 の教材 は ともに,人 として生 きることについて指導要領 にあるよ うに 「自分 のもの の見方,考 え方 を広 くす る」 ことをね らい としたものである。教材 の一つ 目は, ヒッ トラー 政権下でのユダヤ人少年 の悲劇 が描 かれ た作 品の読み を導入 とし,先 の大戦下でのユダヤ
山本建雄 :国語科 を中心 とす る読書指導の現状 9
中
校学 午1 「読 書室
」
「ベ ンチ」 (iJヒタ‑)(「読むことは生きること」)『ベンチ』は
,
『あのころプリ」 ドリヒがいた』という本の一編であり,ヒツ トラ‑政権下の ドイツでのユダヤ人少年の悲劇が描かれているo普通の人の普通の生活がどのようにおび やかされていたのか,全編を通して読もうoドイツ以外でめユダヤ人の悲劇を描いた本‑『アンネの日東』
,
『テレジンの小さな画家たち』
『コルチャツ ク先生』
『子どものしあわせのためめ約束』「読 書室
」
「ち、よっ と変 じやない」 (青木 や よい)(「自分らしさを発見しよう」)『ちょっと変じやない』は,同じ題名の本の冒頭部分をもとに書かれたも すぼらしさや自分らしく生きることの大切さが語られているので,是非読もう○
『パパは専業主夫』には,役割交代をする家族のことが描かれているo『エプロンをはずして夢の山』
では,自分らしくいきることについて
,
『女性の権利』では,法律や制度の面から男女の対等な関係につ いて考えようo2
午 「読 書室
」
「秘密」 (原 田宗典)(「想像の世界‑」)『秘密』は,虚構の世界を描いた作品であるo不思議な虚構の世界を描いた作品には 他に,芥川の 『魔術』や浅田次郎の 『鉄道員』がある○空想の世界を描いた外国の作品には
,
『指輪物語』やエンデの 『モモ
』
『果てしない物語』があり,不思議で魅力的な世界が楽しめる○「読 書室
」「
『わ た し』 の こ と知 ってい ます か」 (香 山 リカ)(「自分と自分」)『「わたし」のこと知っていますか』の筆者は,現代社会における心のありようについて 分かりやすい本をたくさん書いており
,
『テレビゲームと癒し』という本もある0人間としての 「わたし は,本当はだれなんだろう○」という疑問にヒントを与えてくれる作品として,
『ぼくを探しに』
『ブツタ とシツタカブツタ』
『自分を好きになる本』
『出会いと物語』があるa3
午 「読 書室
」
「森 は海 の恋 人 」 (畠 山重 篤 )(認識を深めるために) 畠山さんは 『森は海の恋人』'以後
,
『リアスの海辺から』という本を書いてい るo自然をいつくしみ守らていこうとする活動の様子を描いた三冊を紹介すると,
『自袖山地』
『尾瀬をま もる人々』
『一本の樹からはじまった』があり,自分なりの問題意識をもづて,本を選び,読みを広げよ人 の 悲 劇 が 描 か れ た他 の作 品 の 読 み に発 展 させ る過 程 で , 主 人 公 の 生 活 の 追 体 験 を通 して 上 記 の ね らい に迫 る 内容 の もの で あ る。 二 つ 目の 教 材 は , 女 ら し さ ・男 ら し さ を巡 る色 々 な 見 方 や 考 え方 , 人 間 ら し さの魅 力 , 自分 ら し さの 大 切 さ につ い て 書 か れ た 文 章 の 読 み を 手 始 め に, 男 女 の役 割 や 関係 , 自分 ら し く生 き る こ と をテ ー マ と した他 の本 ‑ と読 み 広 げ,
こ うし た こ と を も と に 自分 ら し さの 発 見 に つ な げ よ う と し た 教 材 で あ る 。
2
年 の教 材 の 一 つ 目は , 空 想 の 世 界 に遊 ばせ る こ と をね らい と した も の , 二 つ 日は ,1
年 の 三 つ 目の 教 材 の ね らい と も共 通 す る 自分 探 し に 関 わ る 内 容 の も の で あ る。 前 者 は , 描 導 要 領 で は 小 学 校 の
1
,2
年 の 時 期 を 除 け ば取 り上 げ られ て い な い 「楽 しむ た め の 読 書 」 に 関 わ る 内 容 の も の で あ り, 資 料8
に あ るK
社 の他 の 読 書 教 材 とは 目的 の 点 で 異 な る。 不 思 議 な虚 構 の世 界 を描 い た 日本 の 現 代 作 家 の作 品 の 読 み に始 ま り, 同 傾 向 の 時 代 や 地 域 が 異 な る他 の 作 品 ‑ と読 み 広 げ, 不 思 議 で 魅 力 的 な世 界 を様 々 に楽 し ませ よ う と し て い る。ま た 後 者 で は , 現 代 人 の 心 の あ りよ うに つ い て 書 か れ た 心 理 学 者 の 文 章 , 本 の 読 み を手 始 め に, 自己探 求 す る上 で 手 掛 か りを与 え て くれ そ うな 内 容 の 本 を読 み 重 ね , 私 とは何 者 か に つ い て 見 方 を広 げ た り深 め た り させ る こ と を ね らい と し て い る 。
3
年 の教材 は,長年 自然環境 の保護 に関係 してきた人物が書いた文章,本 の読み を切 り 口としてい る。環境保護 に関わ る学習者 な りの問題意識 を持 ちそれ に沿 って,参考 として 上 げ られ てい る同一テーマの本 を始 め とす る本 の中か ら適 当なもの選び,読み広 げさせ ることで, 自然 に対す る認識 の深化 を図ろ うとした ものである。
中学校 の指導要領 では,人間,社会, 自然 な どについて見方,考 え方 を広 げるよ うとす る態度 を育て ることが 目標 の一つ となっていた。 これ まで見て きたK社 のブ ック トー クに 関係 した
5
つの教材 においては,人間に関係 した内容 のものが3
教材 を占め, 自然 に関係 したものは1教材 で,直接社会 と関係 した内容 のものは全 く取 り上 げ られていなかった。人間 としての 自立の始 ま りとなるこの時期 に人間について集 中して取 り上 げるのが よい と 判 断 した こ との結果 であろ う。
③
高校 の場合資料
9
は,高校 の総合 国語 の教科書( K
出版社 の平成1 6
年度版 の もの) に所収 され た 本 の紹介 に関係 した教材 の内容 のあ らましを記 したものである。小学校 の教科書 と中学校資料
9
表現の扉 本を紹介する
高 自分の気 に入 った小説の内容や感動 を伝 えるために,紹介文 を作 る○紹介文 にも りこむべ き項 目には,あら 校 す じ,時代背景,作者 についての情報,紹介 したい と思った理 由な どがあるo気 に入 った小説 を選び,その紹
の教科書のそれぞれの教材の内容 を ミックス しさらに発展 させたような内容 となっている。
お気 に入 りの小説 を対象 とし,紹介者 は学習者 に戻 され,小学校 の段階に比べ,時代背景 や作者 についての情報 な ど盛 り込むべ き項 目も増や されてい る。紹介文 を書 くことに留ま
らず,発表や発展 としての
PR
紙面作 りまで もが取 り上 げ られてい る。( 2 )
調べ学習 に関係 した教材資料 10は,一連 の読書活動 の中心 に 「疑 問や課題 の解決 に必要 な情報 を得 るための読 書」が位置づ け られ た教材
(
「調べ学習 に関係 した教材」 と呼ぶ) を, それぞれ の内容の 概 略 を付 けて一覧表の形 に整理 したものである。該 当す る教材 は,全て小学校教科書のものである。2年 の教材 は,図書室 で指導者 に導かれつつ特定の話題
(
「生 き物,草花」)に関係 した図書資料 の置 き場所 を知 り目的の本 を探 し出す ことをね らい としてい る。
1
,2
年の指導 要領 にある 「自分のよみたい本 を探 して読む」ことを中心 とし,その前置 き として 3, 4 年 の指導要領 にある 「読 んだ内容 な どに関連 した他 の文章 を読む」 を前倒 しの形で加 えた 内容 の もの となってい る。3年の教材 は,指導要領 にある 「読んだ内容 に関連 した他の文章 を読む」 と 「疑問に思っ た事 な どについて関係 のある図書資料 を探 して読む」 に,指導要領 では 5, 6年 の所 にあ る 「課題 を解決す るために図鑑や事典 な どを活用 して必要な情報 を読む」 とを合わせたよ うな内容 のもの となっている。 2年の教材 では,求める図書の所在 を知 ることが課題 となっ ていた。 3年 の教材 ではこれ を受 け,探索 された図書資料 の中か ら特定の事項 について書 かれ た箇所 を知 るために,本の 目次,図鑑 の索引を手がか りにす る とい う段階 にまで進 ん
山本建雄 :国語科 を中心 とす る読書指導の現状
資 料 10
ll
小学
校 2 (読書 の広場) 図書室‑行 こ う
「すみれとあり」を読んで,ありについてもつと知 りたくなった子どもを,先生は図書室に連れていき, 上 生き物についての本の場所を教える○ある子どもは本の題名からありの本を探したo別の子どもは,草花の本を探し,面白そうな本を読むことにしたo
3 (読書 の広場) 目次 をひ らこ う
説明文教材を読みその内容に関連した疑問を持った子どもたちは,図書室に行くoある子どもは本の目 上 次を手がかりに虫の身の守り方を調べ,ノー トにメモしたo別の子どもは,植物について調べるため図鑑
を探した○図鑑には 「さくいん」があり,知りたいことを知る手がかりとなるO
上4 (読書 の広場 ) 「じ よ うほ う黒板 」 を作 ろ う
説明文教材を読んだ子どもたちには,いろいろと調べたいことが出てきたo調べたい内容ごとにグルー プを作り,図書館で調べるo調べたことは,教室の後ろの 「じようほう黒板」にはり,知らせ合う○ある グループの子どもたちは,先生から百科事典や図鑑のこと,「動植物コーナー」のこと,本には分類番号 が付けられていることを聞き,分類表などを参考に目的に合った本を探したo
5 (読 書 の広場) お もしろ さのひみつ を さぐろ う
「まんがの方法」を読んだ子どもたちは,グループに分かれ身近なものの面白さの秘密を探ることにし 上 たoあるグループの取り組みは,チ‑ア決定,図書館 .博物館 .資料館などで資料集め,資料整理,発表からなっている○
6
上 (読書 の広場)新 しい世界 と出会お う
「ぼくの世界,きみの世界」を読み,自分の考えをより深めたり広げたりするために,筆者の考えが明 確に述べられている本をじっくり読むことにした○各自でテーマを決め,そのテーマについてのレ「ろいろ な考えを収集するために,さまざまな種類の本を探したoある子どもは,図書館司書の人に相談し,また
で い る。4年 の教 材 で は, 探 索 活 動 が 個 人 個 人 の もの か ら グル ー プ単 位 で の共 同 の もの ‑ と発 展 す る と と も に, そ の成 果 も黒 板 に掲 示 し共 有 し合 うよ うな 内容 とな っ て い る。 資 料 探 索 の方 法 に関 して も, これ ま で に2年 な い し3年 の教 材 で知 りえ た事 項 の確 認 に加 え,
図 書 の 分 類 番 号 及 び 分 類 表 の こ とが 新 た に話 題 と して 取 り上 げ られ て い る。
5年 の教 材 は ,4年 の教 材 で の取 り組 み の発 展 と して , テ ー マ の設 定 か ら資 料 収 集 , 資 料 の整 理 , 成 果 の発 表 に至 る, 言 わ ば調 査 ・研 究 に 関 わ る基 本 的 な過 程 を グル ー プ単 位 で 辿 る よ うな 内容 とな っ て い る。 こ うした調 査 体 制 の整 備 に呼 応 し, 資 料 の 収 集 場 所 も博 物 館 , 資 料 館 ‑ と拡 大 して い る。6年 の教 材 は , 指 導 要 領 に あ る 「読 書 を通 して 考 え を広 げ た り深 め た りす る た め に, 必 要 な 資 料 を選 ん で 読 む 」 こ とをね らい と し,4年 と5年 の教 材 にお い て共 同 の取 り組 み を通 して学 ん で き た こ とを,個 々人 で生 かす よ うな 内容 ともな っ て い る。 各 自で テ ー マ を決 め, テ ー マ 並 び に 目的 に沿 っ た資 料 収 集 が な され る。 資 料 探 索 の方 法 と して は, 図 書 館 司書 ‑ の相 談 , コ ン ピ ュー ター に よ る検 索 , 出版 目録 の利 用 が , 新 た に加 わ る。
( 3 )
読 書 技 能 に 関 係 し た教 材該 当 す る読 書 教 材 は , 資 料
1
1に概 要 を記 した 高 校 の1
教 材 の み で あ っ た 。 指 導 要 領 の「様 々 な 古 典 や 現 代 の文 章 を読 み 比 べ る」とい う記 述 を直 接 に受 け た も の で あ る。 近 代 の 小 説 と作 品創 造 の も とに な っ た と され る古 典 作 品 とを読 み 比 べ , 違 い と違 い が 生 じた理 由
について 自由に話 し合い, こ うした活動 を通 して読みを深 めることをね らい としている。
本教材 には上記の課題 に重ねて,関連す る別 の
2
作 品を巡 り読み比べつつ読み広 げをす る とい う,かな り高度 な課題 まで も合 わせ用意 され ていた。資料 11
読みを深めるために
高 課題① 『今昔物語集』 (巻第29‑第18)の全文を読み,′卜説 『羅生門」と̲どこか,なぜ違 うかな どについて,
校 自由に話 し合 うo
3
読書指導に関す る先進的な取 り組み ‑鶴 岡市立朝場第一小学校 における場合読書指導 に関 して国語科でできることは,基礎的 ・基本的な内容 に留 ま り,読書力 をつ け,読書 に親 しみ,読書の習慣 をつ けることは,国語科以外 での学習 と指導抜 きでは考え られ ない。 こ うした ことに学校 ぐるみで取 り組 み, 目覚ましい成果 を上 げ,全 国の注 目を 集 めてい るのが,山形県の鶴岡市立朝暢第一小学校である。 この学校 では,国語科 を含む 教科指導,学級経営,図書館活動,学校 ・過程 ・地域間の連携等 において,読書活動が主 要な役割 を担いそれ らが相互に関連 し合 うことで,上記のね らいが達成 されただけでなく, 子 ども と学校 そのものまで もが変わ っていった。朝場第一小学校 の活動 の報告書でもある
『子 どもが育つ学校 が変わ る』 (国土社 平成
1 5
年刊) の記述 を中心 に, 「図書館活用教 育」 と呼ばれ る一連 の活動の実態 について述べてみたい。なお,引用資料 は全 て上記の図 書か らの ものである。( 1 )
指導 の理念 と具体化朝場第一小学校では,読書教育 を生涯教育の基礎 に培 うもの とみな し積極的 に取 り組 ま な くてはな らない と考 えた。子 どもたちが本 を読 まな くなった原 因には, 「読 ませ ない環 境」があ り, 「読みた くなる状況,読まないでは居 られない環境 をつ くることができれば」, 再び 「子 どもたちの生活 の中に読書が根 ざしてい くのではないか」 と考 えた。 これ までは 給食調理室 を改造 した倉庫 のよ うな図書館 であったのが,平成8年 には,教室一つ分ずつ の閲覧室 と学習資料セ ンター とを合わせた図書館 に改められた。 これ と相 まち蔵書の充実, 図書館 司書,司書教諭,図書主任,図書委員 (児童),保護者 のボ ランテ ィア等 の人的な 整備,教員 の 自覚 も進 んだ。 こうしたことの結果 として,「優れた文化 を子 どもたちにたっ ぷ り浴びせ たい,味あわせたい」 とい う教員 の願 いの実現 に近づ き,平成10年頃か ら 「年 度別一人平均読書冊数」等 の数値 に よって も確 かめ られ るよ うになってい った.
子 どもたちが本 をよまな くなった と言われて久 しくな ります。いまの子 どもたちを取 り巻 く文化 的,社会的状況か ら見れ ば,本 をよまないのが当た り前 なのではないか と思 うこともあ ります。子 どもの生活 には, ファミコンやテ レビゲーム,テ レビ,漫画雑誌 な ど心 を奪われ る軽娯楽が溢れています。本 を 「読まない」のではな く, 「読 ませ ない」
環境 が不読児 を生 んでい るので し ょう。
もし, 日常的に本 を読みた くなる状況,読 まないでは居 られない環境 をつ くることが できれ ば,子 どもたちの生活 の中に読書が根 ざしてい くのではないか,生涯学習の基礎
山本建雄 :国語科 を中心 とす る読書指導の現状 13
を培 う読書教育 に積極的 に取 り組 まな くてはな らない。そ して,子 どもたちを取 り巻 く 商業主義の文化 的,社会的状況 を圧倒す るほ どの優れ た文化 を子 どもたちにたっぷ り浴 びせ たい,味 あわせ たい と私達 は強 く願 ったのです
。( 31
頁 )( 2 )
学級 での読書指導教科関連 の読書活動 は,国語科 と社 会科,理科,総合的な学習 の時間での調べ学習の中 でな され る。 これ らの活動 には,各学級 に週一時間割 り当て られてい る 「図書の時間」以 外 にも図書館が使われ
4
,5
学級がひ しめき合 うこともある。国語科では,読書力 とコミュ ニケーシ ョンカ の向上が,調べ学習 においては,学び方の基本 と学ぶ喜びがね らい となる。国語科 を中心 に,読書が偏 らない よ うに, また読書力 が育 たず発達 の壁
(
「自分で本 を読む よ うになる時期
」
「絵本 か ら読み物 に移行す る時期」等 に ともな う壁) に阻 まれ読書 を 止 めることがない よ うに と,教 師 によって意識的 な読書指導がな され る。児童側 にも, 「自身の読書生活 を振 り返 り, よ りよい読書が出来 るよ う読書 の意識化」
が求め られ る。低 めの読書 目標 の全員徹底 ライ ンを基 に学期 ごとと通年 での "読書のめあ て" を設定 させ,記述式 の ワー クシー トを使 い,反省す ることもその一つ であるO
本 が読みた くなるのを待つのも一つの方法ですが,読 んでみなけれ ば面 白いか どうか 分か りませ ん。子 どもたちが意欲的 に読書す るよ うに,そ して,児童 自身が読書生活 を 振 り返 り, よ り良い読書が出来 るよ う読書の意識化 に向けた取 り組 み も大切 にします。
各学年で読書指導,利用指導 をして,特 に年度 当初 の導入指導 については,全 ての学 年で徹底 します0‑年間の読書 目標 の全員達成 ライ ンは,低学年60冊, 中学年 50冊, 高学年40冊 と低 くして,各学期 の "読書 めあて" と,学期 を見通 した年間の 自分 のめ あても設定 します。記述式 のワー クシー トも年 々改良 を加 え,各学期 の終わ りと始 めの 読書めあてづ くりと反省 が,その後 に十分生 か され るよ うにしてい ます。 (70頁)
( 3 )
読 み聞 かせ朝場第一小学校では,個人的な活動 である大人の読書 と, 自己確立 の過程 にある児童期 の 「コ ミュニケーシ ョンとしての読書」 (他者 と影響 し合 う読書) とが区別 されてい る。
こ うしたコ ミュニケーシ ョンとしての読書 は,授業や学級活動 な どに 「読み聞かせ を豊富 に取 り入れ,一冊の本 を通 して,感動 を共有す る学級集 団づ くりや,本 を通 して コ ミュニ ケー シ ョンの場 の広 が りをつ く」 ることによ り具体化 され る。
担任 が学級 の土台づ くりとして 「図書の時間
」
「終わ りの会」 で,各単元の発展 として の図書紹介 を兼ね 「授業」でお こな う他 に,学校 司書,司書教諭,学校長 も読み聞かせ を 担 当してい る。保護者 による読み聞かせ の活動 も盛 んである。図書館 が整備 された翌年 (平成9年) に で きた 「子 どもの本 を読み合 う会」 (平成
1
1年 に 「本 のたか らぽ こ」 と名称変更)が,活 動 の一つ として取 り上 げたのが始 ま りで,平成1 2
年 か らは 「読み聞かせ ボランテ ィア」が中心 となって活動 している。
1
年は週1
回,2‑ 4
年は月1
回 ,5
,6
年は学期 に1
回, 朝 に読み聞かせす る他,金曜 日の昼 の 「生 き生 きタイム」 を利用す ることもある。朝場第一小学校 では, 「本 を通 した子 ども同士 の関わ りを更 に広 げることをねがって」, 学期 に
1
回, 「生 き生 きタイム」 の時間 に,1・6
年,2 ・5
年,3 ・4
年の間で,上学 年 の児童 が下学年 の児童 にす る 「なか よし読み聞かせ」も行 われ てい る。授業や学級活動 な ど,子 どもたちの学校生活 の中に読み聞かせ を豊富 に取 り入れ,‑
冊 の本 を通 して,感動 を共有す る学級集 団づ くりや,本 を通 して コ ミュニケー シ ョンの 場 の広 が りをつ くってい きました。読み聞かせ は,∴子 ども と教 師,子 ども と地域■・保護 者 ,子 ども同士 の心 の交流 を生 み,関わ り合 う喜 び を広 げてい ます。
担任 による読み聞かせ は,低学年 中心で したが, 中 ・高学年 の中で も積極 的 に取 り組 む先生 が増 え,読書 を学級づ く りの土台にす る学級 も多 くな りま した。 「終 わ りの会」
での読 み聞かせ な ど,毎 日,読 み聞かせ を実践 してい る先生 もい る。
(中略)
子 ども同士 の グルー プによる 「なか よし読 み聞かせ」 は,本 を通 した子 ども同士の関 わ りを更 に広 げ るこ とを願 って始 まった ものです 。
1
年 と6
年,2
年 と5
年,3
年4
年の異学年 のなか よしグルー プで,年3
回読 み聞か せ をします。 (65‑ 66頁)(4) 「図書館 だ よ り」 と 「職員 図書館便 り」
朝 場第一小学校 の学校 図書館 活用教育 の柱 の一 つ として,図書 の紹介 が ある。 「コ ミュ ニケー シ ョン としての読書」 においては, 「友 だ ちか らすす め られ た本 には強 い関心 をも つ
」
「本 の好み が似 てい るもの どお しでネ ッ トワー クがで き,図書館 の内外 で情報 交換 が お こなわれ てい る」
「読 み聞かせ をして も らった り,本紹介 をして も らった りす るこ とで それ まで読 まなかった分野の本 に出会 い,読書 の幅 をひ ろげてい る」 な どとい った事実か ら,読書 はコ ミュニケー シ ョン機能 を持 ち,子 どもの コ ミュニケー シ ョン能力 を高 め,人 間形成 につ なが る とみ る。 こ うした本 の持 つ力 の活用 で ある図書 の紹介 に, 「この本 お も しろかった よ」 とい う紹介文の掲示 に全児童 で取 り組 み,学年別 に作成 され る 「図書館便 り」 の図書紹介欄 にも同学年 の紹介文 がその まま使 われ る。 「図書館便 り」 には こ うした 児童 同士 の図書紹介 の他 に,卒業生 か ら 「み んな にすす め る本」,先生 のすす め る 「とっ ておきの本」,学校 司書 による作者紹介や 「必読図書 のおすす め」 な どの図書紹介 もあ り, 図書館 か らのお知 らせ のスペースは低 く押 さえ られ てい る。先 に理念 についてふれ た折 り に引用 した中にあった 「優れ た文化 を子 どもたちにたっぷ り浴 びせ たい,味 あわせ たい」とい う教職員 の願 い をみ ごとに具現化 した もので あ る。
児童用 の 「図書館便 り」 は学年別 に作成 し,毎 回紙面 の半分 は学年児童 の図書紹介欄 にしてみま した。知 ってい る同学年 の子 が書 いたカ ッ ト入 りのおすす めの本 な ら読 んで も らえるだろ うと期待 したか らです 。紹介文 は,掲示板 に全児童 で取 り組 む 「この本 お もしろかった よ」 の中か ら使 い ます。文章 は,子 どもの言葉 をそのまま使 いなが ら,紙 面 に合 わせ て編集 します 。
その他 , 「卒業生 か らみんなにすす め る本
」
「先生 のすす める とってお きの本」
「土 田 義晴 さんか ら送 られて きた本」
「森 山京 さんの本」な どの作者紹介, 「必 読図書 のおすす め」 な どな ど,読書 をすす めるための本 紹介 の紙面 に して,図書館 か らのお知 らせ のス ペ ース は多少小 さめに します。 (38頁)図書館 が整備 され る前 は,教職員 の中にもめったに図書館 に足 を踏 み入れ ることがない とい う人 が多かった とい う。図書館活用教育 の展 開 につれ,担任 が積極 的 に図書や 図書館 を活用 し,読み聞かせや多様 な方法 での本紹介 な どに取 り組 めば, ち ょっ との時間があれ ば本 を開ける子 どもに育つ こと‑理解 が得 られ るよ うになっていった。 こ うした過程 では, 学校 司書 による 「職員用 の図書館便 り」 を通 した教職員‑の図書館活用教育 に関す る啓蒙
山本建雄 :国語科 を中心 とす る読書指導の現状 15
的な働 き掛 けも粘 り強 く行 われ た。
発端 は,学校 司書 が図書館でな され た調べ学習や読書指導 の授業の中の効果 的な方法 を 他 の教員 にも伝 えたい と思 った ことにあった。始 めは, 「こころを育てる
」
「学習の発展 に 使 える」
「問題行動 の指導 に生かせ る」 な どの 目的 に合 わせ た本 の紹介 をしたが, さほ ど の反応 はなかった。本 の紹介だけでな く, 「学級 での図書資料 の活用例 を担任 の先生 に直 接取材 して,学級 での体験,子 どもの反応や失敗 な ど,生の実践 を載せ」た ところ,下記 の引用 にもあるよ うな所期 の 目的 にみ ごと叶 った もの となった。図書館 で繰 り広 げ られ る調べ学習や読書指導の授業展 開 を見てい ると, こんな効果的 な方法があったのか, これ は他 の先生方 にも伝 えたい ものだ と思 うことが度々で した。
(中略)
始 めは, 「心 を育てる本」や 「学習の発展 に使 える本」また,問題行動 あった時 に 「指 導 に生かせ る本」 の紹介 な どを書いて出 してみま したが,今一つイ ンパ ク トがた りませ ん。つ ぎに学級 での図書資料 の活用例 を担任 の先生 に直接取材 して,学級 での体験,チ どもたちの反応や失敗 な ど,生 の実践 を載せ てみました。す るといつのまにか,他 の先 生 が 自分の学級 でのその指導例 をちゃん と生 か してや ってい るのです
。( 4 0
頁)( 5 )
不読傾 向の子 ども‑の働 きか け朝暢第一小学校 においては,前年度 の学年 目標 の達成率が
4 0
%未満 の児童 を不読傾 向 のある児童 と毎年6
月に判定 し, この時点か ら個別 の働 きかけが開始 され る。学年 目標 は, 先の学級 の読書指導 に関わ る引用 にある通 り,全員 が到達可能 なライ ンとして低 く (朝暢 第‑小学校 の児童の平成 15年 にお ける一年間の平均読書冊数 は,127冊 となってい る。) 設定 されていた。不読傾 向の児童の判定基準 は,低学年では24冊未満, 中学年 では20冊 未満,高学年 では16冊未満 とな り,月平均 に直す といずれの学年で も2冊以下 とな る。こうした児童の数 は,図書館 の整備 ができた時点 (不読傾 向の児童数370人前後)か ら減 少 し続 け,15年 の時点 では,20人前後 (全児童681人) となってい る。
不読傾 向の子 どもに学校 司書 はまず,学級担任 を通 して 「新 しい本 が入 った よ
」
「図書 館 に来 るのを待 ってい るよ」な どといった ミニ手紙 を届 けた り,休み時間や放課後,教室 まに連れ に行 った りす るな ど,図書館 に来 るよ う積極 的に働 き掛 けた。来れ ば, 自分の気 に入 った本 はないか一生懸命 に探 し出す とい う。 この後 も学校司書 は,選書の援助や一人 ひ とりに小 さいめあてをつ くり,達成 した時は褒 め, はげます な どの,児童 の一人ひ とり に合わせ た様 々な働 き掛 けを粘 り強 く続 ける。 こ うした周到 かつ徹底 した取 り組 みが,先 のよ うな驚 くべ き結果 を生 んだのである。本 を借 りない,読 まない といった子 には,まず図書館 に親 しめるよ う,図書館 に くる よ うに積極 的 に働 きかけます。
図書館 か らミニ手紙 で 「新 しい本 も入 った よ
」
「図書館 に来 るのを待 ってい るよ」な ど担任 の先生 を通 してラブコール をします。休み時間や放課後,教室 に呼び に行 って図 書館 に連れて くることもします。本 なんてあま り興味のない子 どもで も,図書館 に来 ると自分 の気 に入 った本 がないか一生懸命探 します。
(中略)
不読の子 どもたちにしていることは,選本 の援助や,ス トリーテ リングや読み聞かせ, 一人ひ とりの小 さいめあてをつ くり,達成 した時 は大い に褒 め,はげます,興味ある本
や人気 のある本 は,その子 のために とって置 くことをしてい るだけで,そんなに取 り立 てて大 した ことはしていませ ん