実 的 な解 決方 法 で あ るかの よ うに思 わ れ る。
皿 結 び に か え て
以 上 の記 述 は 、我 々共 同研 究 者 が 脱冷 戦 期 の 「東 ア ジア にお け る 国際 秩 序 の再 編」 とい う問 題 意識 を持 っ て進 め て い る研 究 の暫 定 的 な成 果 の一 部 を 「研 究 ノー ト」 と して ま とめ て掲 載 した もので あ るが 、 そ の内 容 を一 瞥 す るだ けで これ らの研 究 に は多 くの 問題 が 残 され て い る こ とが分 か る。
まず 第1は 、1990年 以 後 の 東 ア ジア地 域 にお い て は、 従 来 の よ うな イデ オ ロギ ー に基 づ く冷 戦 状 況 は薄 れ て は い る もの の 、 そ の反 面 に 自国 中心 主 義 の傾 向 が次 第 に強 くな って い る傾 向 が あ る とい う点 で あ る。 そ の 中 で 、 過 去 の 歴 史 的 な遺 産 を持 つ東 ア ジ ア諸 国 間 に は、 国民 意 識 の ギ ャ ップが 見
られ、 対 立 が露 呈 され て い る。 こ う した ギ ャ ップ を埋 め てい く上 で 、東 ア ジ ア諸 国 の教 育 と交 流 は、 ます ます重 要 に な って い くで あ ろ う。
一 方 、安 全 保 障 の 問題 で は、東 ア ジ アの 「安 定 と平 和」 問題 をめ ぐっ て、
「日 ・米 ・韓 」3ヶ 国 の協 議 体 が 形 成 され 政 策 調 整協 議 を行 っ て い るが 、 そ れ に対 抗 して 「中 ・ロ ・北朝 鮮 」 とい う北 方 「3ヶ 国 」政 策調 整協 議 体 が 形成 されつ つ あ る。 東 ア ジ ア地域 の安 定 と平和 を確 保 す るた め に、 これ ら二 つ の政 策 調 整協 議 体 を網 羅 した地 域 機 構 を形 成 す る条件 は何 であ ろ う か 。 そ れ に関 す る研 究 も今後必 要 にな って い くで あ ろ う。
さ らに、経 済面 で は、東 ア ジ ア地域 にお け る 自由貿 易 機構 の 設置 構 想 で あ る。 これ との 関連 で は、既 に経 済 関係 が 緊密 な 日本 と韓 国の経 済 人が 合 同 会議 を開催 し、 そ の 共 同 宣言 で 「日韓 自 由貿 易‑協定」(FTA)の 締 結 を 促 して い る状 況 で あ る。 日米 、 日中、 日ロ問 の経 済 的相 互 関係 が 深化 す る なか で 、 こ う した 問題 は どの よ う に解 決 す れ ば よいの で あ ろ うか 。 これ ら の 問 題 は東 ア ジ ア国 際 体 制 の 再 編 に関 す る研 究 の 緊 急 さを物 語 っ て い る (以 上 、郷 田)。
〔111〕94
東 ア ジ ア にお け る 国 際体 制 の再 編 成 につ いて
(3)パ ソナ リテ ィ(personality)の 相 違 と国 際 政 治 状 況 の 変 動
日本 の朝 鮮 半 島 に関 す る政策 は 、指 導 者 た ちのパ ソナ リテ ィの相 違 とそ れが 国際 政 治環 境 に連動 す る こ とに よっ て 、 変 化 す る傾 向 が 非 常 に強 い 。 特 に、 そ の例 は 日本 人拉 致 問題 との関連 で 見 られ、 小 泉 政権 が そ の 良 い例 で あ る。
つ ま り、歴代 の 政権 は拉 致 疑 惑 に関 る問題 を北 朝鮮 との 国交 正 常 化 まで に決着 をつ け る とい う、 「出 口論 」 の立 場 を強 く とる傾 向 で あ った が 、 「対 米基 軸 外 交 」 を一層 重 視 す る小 泉 政権 で は 、拉 致 問題 の解 決 を交 渉 再 開 の 前 提 とす る、 「入 り口論」 に傾 い てい る。
同様 に、 パ ソナ リテ ィの相 違 に よ る政 治 状 況 の 変動 は ア メ リカ にお い て も見 られ る。特 に朝 鮮 半 島 に関 す る政 策 につ い て は ク リ ン トン政 権 とブ ッ シュ政 権 との 間 に見 られ 、そ れ は現 在 の米 韓 両 国 の対 北 朝 鮮 政 策 につ い て 微 妙 な差異 を表 して い る。
(4)小 結
朝 鮮 半 島 の 問題 解 決 につ い て、 これ まで に 、 「三 者 会 議 」、 「四 者 会 議 」、
あ る い は 「六者 会議 」 な ど様 々 な構 想 が 提 案 され て い る。 周 知 の よ うに 、 日本 は朝 鮮 問題 の解 決 の形 態 を議 論 す る交 渉 の場 に直接 参 加 で きる こ とを 望 んで い る もの と思 わ れ る。 こ う した点 で は、 ロ シ ア も同様 で あ ろ う。 朝 鮮 半 島 に関す る問 題 は 主 と して南 北朝 鮮 自 らが 解 決 す る問題 で あ る こ とは 言 うまで もな いが 、 地 政学 的 に 、特 に安保 面 で の重 要 な利 害 関係 を持 つ 周 辺 諸 国 の主 張 を完 全 に排 除す る こ とは 、朝 鮮 問 題 を平和 的 に解 決 す る上 で 現 実 的 であ る とは言 え ない。
前 述 した よ うに、朝 鮮 問 題 の解 決 の た め に行 われ て い る交 渉 に対 応 す る た め 、六 ヶ国 に よる 二 つの 友好 国集 団 が形 成 され 、南 北 朝 鮮 の立 場 を支援 す るた め に、 そ れ ぞ れ が集 団 が独 自的 に協 議 してい るの が現 実 で あ る。 し た が って 、 現在 の 国際 政 治 環 境 の なか で は、 「六 者 会 議 」 あ る い は そ れ を さ らに拡 大 した交 渉 の協 議 体 を設置 した方 が 、 朝鮮 問題 を解 決 す る よ り現
様 であ り、 日本 が 米 国 を支 持 す る よう にな る こ とは言 う まで もない 。 こ の よ うな文脈 の なか で、北 朝 鮮 の金 正 日の 中 国訪 問 や シベ リア鉄道 に よる ロ シア訪 問 を考 察 す る必 要 が あ る し、 また、 そ れ との関連 で朝 鮮 半 島 の解 決 に関す る問題 で 、 日 ・米 ・韓 の 「三 国 政 策調 整 会 議 」 と中 ・朝 ・ロの北 部 にお け る も う一 つ の 「三 国 政 策調 整 会 議」 とい う二 つ の 友好 国集 団 が 激 し
く対 立 して い るの が実 態 であ る。
さ らに、 日米 と中 国 は経 済 的 な相 互 協 力 の側 面 が あ る反面 、 ア ジ ア太平 洋 地 域 にお け る対 立 の側 面 も著 しい。 特 に 、 「自由貿 易 地 域 」(freetrade area:FTA)の 創 設 問題 をめ ぐって の利 害 が 対 立 して い る。 そ れ は 、 この
「自 由貿 易 地 域 」 創 設 が 地球 大 規 模 の 地 政 学 的 な立 場(geopolitics)を 大 き く変 える潜 在 的 な可 能性 を含 んで い るか らで あ る。例 え ば、経 済 的統 合 が 政 治 的統 合 を導 くと言 う理 論 に立 って考 え れ ば、 そ の発 展 の結 果 、東 ア
ジア にお い て主役 に な り得 る の は 中国 で あ るか らであ る。
中 国 の発 展 と将 来 は世 界化 な く して は考 え られ ない 。 そ う言 う意味 で 中 国 の経 済 圏 の 一部 と して考 え られ る北朝 鮮 の 自給 自足経 済政 策 は、 中国 か ら見 る と、 幼 稚 な現 実 否 定 に近 い もの と して 見 え る に違 い ない 。 中 国 は ASEAN10ヶ 国連 合 の結 成 を提 案 して い る。 こ れ は勿論 中 国 の国 内市 場 を 開放 す る と言 う意味 もあ るが 、 そ れ以 上 に 中国 商 品 の海外 輸 出 を意味 す る もの で あ り、急 速 に政 治 大 国化 す る中 国 がASEAN諸 国 を引 きつ け る もの で あ る。 そ う言 う意 味 で 、 中国 の提 案 す る 「自由貿 易 地 域 」 の創 設 に関 す る提 案 は、経 済 的 な意味 を持 つ提 案 とい う よ りは、 む しろ政 治 的 な意 味 を よ り強 く持 つ 提 案 で 、東 ア ジ ア にお け る 日米 両 国 の利 益 と拮抗 す る性 質 の もので あ る。 そ の上 、 日本 は、 もはや1980年 代 や1990年 代 初 期 の よ うな経 済 力 を持 つ 国 家 で は な く、 また 日本 の地 政 学 的位 置 が 占 め る重 要 性を経 済 的 な側 面 か ら補 う役 割 を果 たせ な いで い る。 したが って 、 日本 は政治 、経 済 、軍 事 的 に米 国 の同 盟 国 と して 、米 国 の支 援 を得 ざ る を得 ない 。 こ う し て 、東 ア ジ アに お け る 日米 中 間 の新 しい冷 戦 状 態 は しず か に強化 され てい
るか の よう に思 われ る。
(109)96
東アジアにおける国際体制の再編成について
め 、2002年2月 、 ブ ッ シ ュ 大 統 領 「年 頭 教 書 」(TheStateoftheUnion
Address)の な か で 「悪 の 枢 軸 」(Axisofevil)の3ケ 国 の 一 国 と して 指 称 さ れ た 北 朝 鮮 と米 国 の 関 係 は 急 激 に悪 化 し、 北 朝 鮮 は逆 に 米 国 を 「テ ロ 集 団 の 親 玉 」(kingpinoftheterrorism)と 名 指 して 批 判 し対 抗 して い る 。 そ れ だ け で は な い 。 昨 年12月 に は 、 北 朝 鮮 の 船 と思 わ れ る 「不 審 船 」 が 日本 の 海 上 自衛 隊 に よ っ て 、 中 国 の 経 済 水 域 で 「撃 沈 」 され た が 、 北 朝 鮮 と友 好 関 係 に あ る 中 国 は 、 「不 審 船 」 を 引 き揚 げ て 調 査 し よ う とす る 日 本 に 、 中 国 の 主 権 尊 重 を 理 由 に船 体 の 引 き揚 げ に反 対 の 意 を 表 して い て 、 日本 と 中 国 は 不 審 船 に 関 る立 場 が 異 な っ て い る 。
ま た 、9月 同 時 多 発 事 件 以 来 、 「テ ロ の 撲 滅 」 と 「人 道 主 義 」 に 対 す る 見 解 に は 多 くの 国 家 が 賛 成 を 表 明 し、 タ リバ ン政 権 に対 す る 攻 撃 に対 して も支 持 して い た が 、そ の 立 場 に は 自 国 中心 的 な 動 機 が 強 く見 られ る 。特 に 、 中 国 の 場 合 は 、 中 央 ア ジ ア 少 数 民 族 とチ ベ ッ トの 中 国 か らの 分 離 独 立 運 動 を抑 圧 す る 手 段 と して 「テ ロ の 撲 滅 」 と い う概 念 が 用 い られ るふ しが 強 い 。
ま た 、 米CIA長 官Tenetが3月19日 の 上 院 軍 事 委 員 会 に お け る公 聴 会 で 述 べ た よ う に 、 「テ ロ作 戦 に お け る 日本 の 軍 事 的 役 割 」 を米 国 が 奨 励 し た こ と を 、 中 国 は 日本 の 再 軍 事 化 を 米 国 が 支 持 して い る もの と見 な し 、 米 国 が 東 ア ジ ア 地 域 に お い て 、 「中 国 の 犠 牲 の 下 で 、 影 響 力 を強 め て い る」 と、
い う こ とで 米 国 に 対 す る警 戒 感 を持 っ て い る。
そ して 、 「人 道 主 義 」 の 尊 重 を 主 張 す る 米 国 と の 間 に は 、 中 国 の 反 体 制 人 権 活 動 家 の 抑 圧 問 題 を め ぐ っ て 対 立 して い る 。 こ う した 中 国 の 立 場 が 鮮 明 に現 れ た の は 、2002年2月20日 に 北 京 で 行 わ れ た 「江 沢 民 一ブ ッ シ ュ 共 同 記 者 会 見 」(jointconference)で あ っ た 。
この よ う な立 場 を と っ て い る 中 国 は 、 有 事 事 態 が 発 生 す る 際 に は 、 北 朝 鮮 は 「悪 の 枢 軸 」 の0国 で あ る と 主 張 す る 米 国 を 支 持 す る よ り も 、 む し ろ
「悪 意 の 敵 対 政 策 」(vicioushostilepolicy)を と っ て い る 「米 国 帝 国 主 義 」 (Americanimperialism)と 闘 う と言 い つ づ け る 北 朝 鮮 を 支 持 す る 可 能 性 が 大 き い 。 米 国 の 同 盟 国 と して の 日本 は 状 況 認 識 の 点 で 米 国 と ほ う ぼ う同
に基 づ き 日朝 国交正 常 化 交 渉 の過 程 で 、 日本 も対 応 して い るか の よ うに思 われ る。
また、戦 後 の 日本 に と って未 解 決 の ま まに残 って い る 問題 は、 北方 領 土 の返 還 で あ る 。 日本 とロ シア(ソ 連)と の北 方 領 土 返還 に関す る交 渉 の歴 史 は 、1951年 以 来 、平 和 条約 の締 結 と共 に長 いが 、北 方領 土 を返 還 して も ら うた め に、 日本 外 交 に とって何 よ りも必 要 な の は東 ア ジア 国際 環境 にお け る安 定 と平 和 の確 保 で あ る。 そ の た め に は、東 ア ジアの 国 際秩 序 の"急 激 な変革"で は な く、今 なお依 然 と して残 って い る 「冷 戦体 質」 を平和 と
安定 を基 盤 とす る 「平 和 体 制 」へ 再 編 成 し、 最近 目立 つ よ うに な った新 し い冷 戦状 態 へ の潮流 を食 い止 め る こ とで あ ろ う。 この よ うな安定 した平和 的 な 国際 環 境 な く して は 、 日本 の 国 内 でい くら、 い わ ゆ る 「二 島返 還 論 」 や 「四 島 返還 論 」 を議 論 して み て も、北 方 領 土 の 問題 を解 決 す る こ とに は 繋 が らない よ うに思 われ る。 そ れ は、 最 近 、議 論 され て い る北 方領 土返 還 に関す る 「モ リ(森)構 想」 とか 、1951年10月19日 に行 われ たサ ンフ ラ ン シス コ条 約 を審 議 した 「衆議 院特 別 委 員 会」 で 、西 村 熊 郎条 約 局 長 が 行 っ た発 言 が 蒸 し換 え て議 論 され て い る こ とか ら も察知 で きる。
また、 人 道 主 義 問題 へ の対 応 も 日本 外 交 にお け る大 きな問題 で あ るが 、 この問題 との 関連 で は、拉 致 問題 とテ ロ リズ ム問題 の解 決 が 重 要 で あ るか の よ うに思 わ れ る。 現在 、 日本 人拉 致 問題 の解 決 が 日朝 国交 正常 化 交 渉 に 重 要 な懸 案 議題 にな って い るが 、そ の解 決 は容 易 な こ とで は ない。そ して 、
日本 人拉 致 問題 は 、(従 来 は 日朝 国交 正常 化 交 渉 の 重 要 な問 題 と して 扱 っ て な か った が)、 今 や 、交 渉 にお け る重 要 な交 渉項 目に な りつ つ あ る。
(2)東 ア ジア の 国 際 環 境 と 「新 冷 戦 」 へ の 回 帰
2000年9月11日 の ニ ュ ー ヨー ク にお け る 同時多 発 テ ロ事件 や ア フガニ ス タ ンにお け る タ リバ ン政 権 の 崩壊 以 後 、東 ア ジ ア にお け る国 際環 境 も急 変 して い る傾 向 で あ る。 まず 、 米朝 関係 を見 る と、 ク リ ン トン前 大 統 領 時代 に見 られ た米 朝 間 の友 好 ム ー ドは ブ ッシ ュ政 権 の 下 で 次 第 に悪 化 しは じ
(107)98
東アジアにおける国際体制の再編成について
係 が 悪 化 す る と 日朝 国交 正 常 化 交 渉 も中 断す る とい う傾 向が 見 られ る。 し たが っ て、 日本 の朝 鮮 半 島政 策 は、端 に 日本 の 朝鮮 半 島 に対 す る 「独 自の 政 策 」 に よ って遂 行 され る とい う よ りは 、 日米 同盟 に基 づ く米 国 の ア ジア 政 策 と密 接 な連 携 関係 を持 ち なが ら遂 行 され て い る性 格 が 強 く見 られ る 。
したが っ て 、 日本 の朝 鮮 半 島 政 策 お よび東 ア ジ ア政 策 を研 究 す る際 に は 、 米 国 の ア ジ ア政策 の考 察 を抜 きに して は考 え られ ない 。 しか し、こ こで は、
共 同研 究 の 中 間的(暫 定 的)な 研 究 の一 環 と して朝 鮮 半 島 お よび東 ア ジ ア 地域 に対 す る 日本 外 交 を規 制 す る諸 要 因 を概 括 的 に考 察 して み た い の で 、 米 国 の東 ア ジア政 策 に関 しては必 要 最小 限 に留 め て お きたい 。
(1)地 政 学 的 要 因
脱 冷 戦 時期 に入 っ てい る と言 わ れ る今 日お い て 、 イ デ オ ロギ.̲̲.が持 つ 意 味 が 冷 戦 時期 の よ うに強 くは な い と言 って も、 い まなお 否 定 す る こ とはで きない 。 しか し、 こ こで は 、 イデ オ ロギ ー に・基づ く外 交 政策 の遂 行 よ りも 国 家利 益 を優 先 して い る 時期 の 入 って い る とい う意味 で 、 日本 外 交 にお け
る イデ オ ロギ ーの果 た す役 割 は暫 く保 留 し、 その 反射 と して行 われ る地 政 学 的側 面 と安 全保 障 の側 面 につ い て考 察 してみ たい 。
地 政 学 的 な観 点 で 日本外 交 に大 きな影 響 を及 ぼ して い るの は 、朝 鮮 半 島 お よび 日本 の北 方 領 土 の問題 で あ ろ う。 まず朝 鮮 半 島 につ いて 考 察 して み る と、 日本 は13世 紀 の モ ンゴル の来 襲 、19世 紀 末 の 日清 ・日露 戦争 をは じ め と して 、朝 鮮 半 島 とは密 接 な 関係 を持 ち、今 日にお い て もそ う した 関係 に変 わ りは ない。
特 に、今 日にお い て は、 地 理 的 な隣接 が 日本 の安 全 保 障 問題 と連 繋 して い て 、 そ の重 要性 を大 き く増 してい る。 この こ と との 関連 で は 、北 朝鮮 が 行 って い る とい う 「核 開発 」 と ミサ イル 開発 が 地 理 的 に隣接 して い る 日本 に脅 威 感 を与 え、 日本 の対 外 政 策 の姿 勢 に大 きな影響 を与 え て い る とい う 事 で あ る。 もち ろん核 開発 問題 や ミサ イ ル開発 問題 は 、米 朝 関 係 の 懸 案 問 題 に な っ てい るが 、 日本 に とって も大 きな問題 で 、米 国 と同様 な共 通認 識
6)ア ジ ア 地 域 へ の 政 策 の 調 整
7)航 空 輸 送 に お け る ハ ブ ・ア ン ド ・ス ポ ー ク の 枠 組 み 構 築
アジ ア地域 で は 日本 を は じめ まだ不 況 か らの本 格 的 な脱 却 が で きて い な い 。 そ の 中で 新 国際 秩 序 を構 築 す る に は、 完全 なプ ロ グ ラム を用 意 して か らの 出発 で な く、着 手 で きる案件 か ら部 分 的 にで も取 り組 む とい う行動 こ そが今 ま さに必 要 に な ってい る。
日本 の朝鮮 半 島お よび東 ア ジア政策
郷 田正萬
は じめ に
1990年 以 後 の脱 冷戦 期 にお け る 日本 の対 外 政 策 は様 々 な側 面 にお い て 、 そ れ以 前 にお け る政策 と異 な る点 が多 く見 られ る。 そ の政 策 の転 換 が 最 も 鮮 明 に現 れ た の は、1991年1月 か ら始 ま っ た 日朝 国交 正 常 化 交 渉 で あ ろ
う。
周知 の よ うに、韓 国 との 国交 正常 化 は、14年 間 に亘 る正 常 化交 渉 の結 果 、 日韓 基本 条約 締 結 とい う形 式 で1965年 に締 結 され たが 、北 朝 鮮 との 国交 正 常 化 交 渉 の 開始 まで は 、 日韓 両 国の 国 交 正常 化 締 結 後 、 さ らに26年 間 を待
た な けれ ば な らなか った。
しか し、 世 界 的 な 規 模 で 展 開 され た 冷 戦 の 崩 壊 の 新 しい状 況 に伴 い 、 1991年 か ら1992年 まで 開始 され 日朝 国交 正 常 化交 渉 は、北 朝 鮮 の 「核 開発」
と関 連 す る問 題 で 第8回 の 会議 を最 後 に 中止 され たが 、2000年4月 に平 壌 で 再 開始 され 、2000年11月 の第11回 の 会議 を開催 した後 、再 び中 断 の まま に な って い る。 こ う した 日朝 国 交正 常 化 交 渉 の 進行 を考 察 して み る と、 日 本 の対 北朝 鮮 政 策 は核 問題 な どをめ ぐる米 朝 関係 の進 展 と連 繋 して進行 し て い る こ とが よ く分 か る。 つ ま り、米朝 関係 が 順調 に進 行 して行 け ば 、 日 朝 関係 の正常 化 交 渉 も米朝 関係 に合 わせ て順 調 に進展 して行 くが 、 米朝 関
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東アジアにおける国際体制の再編成について
表22000年 の ア ジ ア主 要 国 人件 費比 較 (単位=US$/1時 間) 日本
韓 国
マ レー シア イ ン ドネ シア タ イ
シ ン ガポ ール 台 湾
中 国
5025590521α211t
総 合 評価 で は 中 国製 に需 要 が殺 到 す る こ とか ら も、競 争 力 を高 め て い る現 状 が 明 らかで あ る。
(7)日 韓 産 業 構 造 の 再 構 築
企 業環 境 で見 るか ぎ り、 ア ジ アの経 営 資 源 は 日韓 か らす で に 、 ア セ ア ン と中 国 に そ の優位 性 が移 転 してい る。 そ こで 、 日本 や韓 国 は どの よ うな枠 組 み で新 国際 秩 序 の構 築 を図 って い った ら よいの で あ ろ うか。 ここで は新 国際 秩 序 に関す るい くつ か の提 言 を考 察 す る。
1)ア ジ ア地域 をア セ ア ン10力 国 と日本 、韓 国 、 中国 の い わ ゆ る アセ ア ン +3(ア セ ア ン ・プ ラ ス ・ス リー)で 設 定 す る。 これ は現 在 の ア ジア諸
国の 直接 投 資動 向 か ら も現 実 的 な地理 的枠 組 み設 定 で あ ろ う。
2)ア セ ア ン+3で の産 業 ・製 造 業 の再 配 置 を考 え る。
3)人 材 育 成 に関 す る積極 的 な協 カ ー般 労 働 者 の技 能 向 上
管理 能 力 の拡 充
経 営 者 レベ ル で の密 接 な交 流
4)ベ ンチ ャー ビジ ネス育 成 へ の共 同事 業 イ ンキ ュベ ー タ ・プ ロ グ ラム
ベ ンチ ャー キ ャ ピタル の導 入 5)基 礎 研 究 へ の協 力 体 制
費 用 とリス クの 共 同分担
日韓 のい ず れ もが 各 々の高 度 成 長 期 に重 化 学 工 業化 を志 向 し、 社会 資 本 整 備 や輸 出 産 業へ と育 てて きた 。今 ま さに次 の主 力 産 業 を立 ち上 げ、両 国 の み な らず 周辺 諸 国 をAPECの 視 野 か ら捉 え た市 場 の 形 成 に 向 か うべ く、
政 府 間 レベ ル の情 報 イ ン フ ラ等 の整 備 を中心 とす る政 策協 調 と、民 間企 業 間の競 争 促 進 が平 行 して進 め られ る と きで あ る。
(6)製 造 業 に 見 る 日韓 関 係 を取 り巻 く企 業 環 境
2000年6月 の南 北 朝 鮮 首脳 会 談 は、 産業 界 に も大 きな景 気 浮揚 の期 待 を もた ら した。2000年 にお け る ア ジア地 域 の 生 産面 か らの状 況 を数 字 で お さ えて み る と、北東 アジ ア の政 治環 境 好 転 の期 待 感 とは別 に、主 要 工 業 製 品 特 に電 気 電 子 機 器 に お け る生 産 数 量 で は 、 中 国 シ フ トが 明 確 に見 て とれ
る。
表1か ら、主 要5品 目の電 気 電子 機 器 で は、 日本 が シェ ア トップ なの は DVD、 韓 国 で は携 帯 電 話 で あ る。 そ れ 以外 の3品 目はい ず れ も中国 、 アセ ア ンに主 要生 産拠 点 が 移転 してい る。 その 主 な理 由 は 人件 費格 差 で あ る。
製 造 業 にお け る競 争優 位 は単 純 な人件 費 比 較 で はわ か らない 。 そ こに は 労 働 者 の熟練 度 や 基礎 教 育 の水 準 、 勤 労意 欲 な ど多 くの付 帯 的 な要素 が 関 係 す る か らで あ る。 しか し、近 年 の 中国 製製 品の 信頼 性 は急 速 に高 まっ て きて お り、費用 対 効 果 す なわ ち ヴ ァ リュー ・フ ォー ・マ ネー で見 た場 合 の
表12000年 アジア域 内、主要品 目別の生産 数量 (単位=万 台)
カ ラ ーTV
VCR DVD
携帯電話
PC
日 本 4.6 6.50%
4.5 10.10%
s.7s 49.60%
50 31.10%
4 16.00%
韓 国 10 14.20%
4.55 10.20%
4.26 1.90%
63 39.10%
・ ・
22.7%
中国
1w 43.80%
X2.5 28.00%
2.9 21.30%
35 21.70%
10.3 41.20%
ASEAN 24.9 35.40%
23.1 5t70%
3.7 27.20%
13 8.10%
5 20.00%
〔103〕102
東アジアにおける国際体制の再編成について 訴 た もの で あ る。
日米 韓 の 中 で 、 これ か ら も どの 国 の どの 企 業 が次 の新 製 品 の標 準 仕 様 を 勝 ち取 るか は 、熾 烈 な競 争 が続 くで あ ろ う。 そ の競 争 は常 に資源 配 分 の効
率 を もた らす 枠 組 の 中 で行 わ れ な けれ ば 、競 争 相 手 の企 業 で は な く各 国の 消 費者 に とって 不利 な状 況 を導 くこ とにな る。 関係 す る政 府 は その よ うな 枠 組 づ く りを明確 な方 針 の 中で 示 し、民 間企 業 の 活性 化 を図 っ てい くこ と
が重 要 で あ る。
(5)ベ ン チ ャ ー 企 業 の 育 成 協 力
日本 で は バ ブ ル 経 済 崩 壊 後 の 不 況 の 中 で 、 こ の 数 年IT分 野 、 メ デ ィ ア 分 野 ・ テ レ コ ム 分 野 で の 成 長 企 業 が 登 場 し、店 頭 公 開 、上 場 を果 た して い る。
ま た2000年4月 か ら の 介 護 保 険 法 施 行 を受 け て 、 介 護 分 野 で も企 業 の 参 入 が 相 次 い で い る 。
同様 の 現 象 は 韓 国 で もあ る 。 月 間 設 立 数 2000年3月458社
4月543社
累 計6547社(韓 国 産 業 資 源 省 速 報値)
韓 国 の ベ ンチ ャ ー 企 業 の 特 徴 は や は りイ ン ター ネ ッ トを 中 心 とす る分 野 で の 創 業 で あ り、 累 計 件 数 で は1998年 末 の3倍 強 に な っ て い る。
い わ ゆ るe一 ビ ジ ネ ス で は 、 企 業 が 国 境 を超 え て 販 売 な どの 事 業 活 動 を 行 う こ とは 当 然 の こ とで あ る 。 企 業 が 開 くホ.̲̲̲ムペ ー ジ は 、 決 して 大 企 業
だ け の もの で は な く、 む しろ 広 告 や ダ イ レ ク トメ ー ル を行 う経 費 の な い 企 業 に こ そ ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス が 舞 い 込 ん で く る。 従 来 か らの 系 列 や 商 慣 行 に 捕 わ れ ず 、 よ り良 い もの を よ り安 く提 供 で き る 企 業 に は 世 界 中 か ら注 文 が 届 く。
企 業 ベ ン チ ャ ー企 業 の 育 成 に 関 して は 、日本 国 内 で 投 資 先 の な い 資 金 が 、 創 造 性 に 富 み 開 発 力 に 優 れ た 企 業 へ の 投 資 家(エ ン ジ ェ ル)と な れ ば 、 ま
さ に次 世 代 へ 向 け た 新 産 業 の 育 成 に な ろ う。
一 括 教育 は何 らか の 成果 をあ げて い る ものの 、経 営 幹 部 の育成 には時 間 も 予 算 もか けて い ない 。 一 方韓 国の 企 業 で は 、選 抜 され た一 部 の エ リー トグ ル ー プ に対 し、十 分 な予算 と人 を割 い て留 学 な ど も含 む教 育研 修 を実 施 し て い る。 これ か ら さ らに 人材 が何 よ りも重 要 な生 産 要 素 とな るの で 、 人材 開発 の経 験 や ノ ウハ ウな ど も、特 定 国が 資 産 と して抱 え込 む の で な く、 こ れ らの 蓄積 され た もの は共 有 して 、 人作 りに協 力 しなが ら役 立 て て い く必 要が あ る 。
(4)競 争 条 件 を整 え る民 間 部 門
政府 間 で の政策 協 調 が あ る一方 で 、民 間部 門 で は よ り一層 の競 争 が資 源 配 分 を高 め 、企 業 の経 営 意欲 を動 機 付 け る こ とにな る。 企業 の論 理 はす で に先行 して い るの は通 常 で あ り、IBMの 一 般 ユ ーザ ー 向 け最 高仕 様 の パ ー ソナ ル ・コ ン ピュ ー タは、既 に韓 国で 生産 され 日本 市 場 で販 売 され てい る。
す な わ ち企 業 は 、最 適 生 産拠 点戦 略 の もと、 よ り良 い もの を よ り安 く調 達 で き、消 費 地 へ の輸 送 搬 送 に適 した生 産 の ロジ ス テ ィ ックス を考 え るの で あ る。 その よう な拠 点 展 開 が 市場 原 理 で 行 わ れ 、競 争 要 因 が高 め られ る よ うな条件 整 備 こそ が 政府 の役 割 で あ ろ う。 競 争 制 限 的 な企 業行 動 に こそ 政 府 は注意 を払 い 、 自由競 争 が 維持 され る こ とが何 よ りも重 要 であ る。
しか し、今 日脚 光 を浴 びて い るIT(情 報技 術)関 係 の場 合 に は、社 会 資 本 投 資 が莫 大 に な り、 公 共性 が 高 い分 野 で もあ るの で 、慎 重 な対 応 が必 要 にな る。 す なわ ち一 企 業 が 開発 した仕様 が ロー カ ル ・ス タ ン ダー ドと して 使 わ れ て い くうち に、業 界標 準 の デ フ ァク ト ・ス タ ンダー ドに な る。 これ が 世界 標 準 の グ ローバ ル ・ス タ ンダー ドに な る に及 んで 、企 業 の支 配 力 は 圧倒 的 な もの に な ろ う。 従 来 の 自動 車 や家 電 な どが 、 さ まざ まな意 匠 や工 夫 で 大企 業 のみ な らず 中堅 ・中小 企業 の市 場 参 入 を可 能 な ら しめ てい たの に対 し、IT分 野 で は大 きい企 業 は よ り大 き くな る仕 組 み を持 っ て い る。
2000年4月 に一 審 に敗 訴 した マ イ ク ロ ソ フ ト社 の 閲 覧 ソフ トのOSと の組 み合 わせ 販 売 は、 ア メ リカ司法 省 が そ の市 場 支 配 力 に対 す る警 告 と して提
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東アジアにおける国際体制の再編成について
に 必 要 と さ れ る 公 的 資 金 の 追 加 注 入 も42兆 ウ ォ ン(約370億 ドル)に 達 す る と い わ れ て い る 。 こ の 結 果 、 い わ ゆ る 不 良 債 権 比 率 は ピ ー ク 時 の20‑
30%か ら 、 昨 年 末 で11.3%ま で 低 下 して き た 。 不 良 債 権 比 率 の 低 下 は 、 タ イ の38.6%や イ ン ドネ シ ア の32.8%に 比 べ て も大 き く低 下 し、 安 定 方 向 に 向 か っ て い る 。(図1)事 実 、 金 融 機 関 の 数 で 見 て も 、1997年6月 に は26 社 あ っ た 都 銀 ・地 銀 が2000年4月 に は17社 に 減 っ て お り、総 合 金 融 会 社 も、
同 じ く1997年 の30社 か ら14社 に激 減 した 。 こ の よ う な不 良 債 権 処 理 は 自 国 の 経 済 発 展 の ひ ず み を膿 と して 出 す だ け で な く、 諸 外 国 の 信 頼 を 高 め て 貿 易 や 投 資 を 呼 び 戻 す も っ と も確 実 な手 段 で あ る。
(3)日 韓 の 政 府 間 協 力
日本 と韓 国 は 地理 的 に最 も近 い 関係 で あ りなが ら、歴 史的 に複雑 な課 題 を抱 えて きた。 しか し金 大 中大 統 領 就任 後 、 日韓 関係 が 大 き く新 た な段 階 に入 った こ とは特 筆 すべ きこ とで あ ろ う。 政府 間 の関 係 にお い て も、過 去 の諸 問題 に一 定 の確 認 を した後 、 今 後 両 国 関係 を どの よ う に構 築 す べ きか を考 え て い こ う とい う、 きわ めて 建 設 的 な方 針 が 貫 か れ て い る。 あ たか も 朝 鮮 半 島の 南 北 関係 に対 して、 太 陽 政策 を とる ご と く、前 向 きの積 極 的 な 協 力 関係 を議 論 す る段 階 に入 った 。 そ の場 合 、 日韓 関係 を2国 間 だけ で考
え る の で な く、 太平 洋 を は さん だ ア メ リカ も含 むAPECの よ うな枠 組 で考 え る こ とが 必 要 で あ る。政府 間 レベ ルで は 、貿 易 ・投 資 の促 進 だけ で な く、
IT(情 報 技 術)の 動 向 をに らんで 、 日米 韓3力 国 の枠 組 を考 え る と、太 平 洋 を跨 い だ地 域 統 合 が形 成 で きる。 その 中 で情 報 通 信 、 人材 育成 な ど進 め て い くこ とで 、 よ り現 実 的 な連 携 が 可 能 に なろ う。APECの 人 材 育 成 部 会 で は 、指 導 者 を養成 す る トレイ ナ ーズ ・トレ イニ ング を行 った り、 経 営 幹 部 や 管 理 者 の 育 成 プ ログ ラム の 比較 を通 じて、 先 進事 例 か ら後 発 国 が 学 ぶ こ と も出 来 る。 この場合 の 先 進 あ るい は後発 は、 一 人当 り国内 総 生 産 で は か な らず し もな く、 日本 が経 営 者 の人 材 育 成 で は か な り遅 れ てい る こ と も 事 実 で あ る。 日本 企 業 の 多 くで は 、新 入社 員 か ら実 施 され て い る 階層 別 、
国 会 で取 り上 げ られ た い わ ゆ る旧住 宅 専 門会 社(住 専)の 事例 に似 てい る。
日韓 い ず れ の金 融 当 局 も、韓 国の 総合 金融 会 社 と 日本 の 旧住 専 に対 し、資 金 供 給 を制 限 しきれ なか った こ とは共通 して い る。 特 に韓 国 で は財 閥 グ ル ー プの 会 長室 権 限が 強 大 で 、チ ェ ック ・ア ン ド ・バ ラ ンス が効 か なか っ た。
また財 閥 内 の各 企 業 の経 営 の 自立 性 確 保 が重 要 な課 題 と して指摘 され て い た 。 これ ら財 閥 の 内 包 す る諸 問題 は 、IMF(国 際 通 貨 基 金)の 融 資 条件 (コ ンデ ィシ ョナ リテ ィ)で あ る。 金 大 中大 統 領 就 任 直 後 の ク リ ン トン ・ ア メ リカ大 統 領 との ワ シ ン トンにお け る会 談 で も、融 資 条 件 の 早期 の完 全 実 施 が確 認 され た。 これ を契 機 に欧 米 の積 極 的 な金 融機 関や 投 資 家 は改 め
て韓 国 の成 長性 に着 目 し、少 しず つ韓 国市場 に戻 りつつ あ る。
(2)ア ジ ア経 済 危 機 後 の 韓 国 の現 状
IMFの 融資 条 件 を実施 す る こ とは、 公 的部 門 の縮 小 、 公 共投 資 の圧 縮 だ けで な く、 民 間部 門へ の影 響 が大 きか っ た。1999年 末 まで に、 金融 期 間健 全 化 の ため の 公 的 資 金 は64兆 ウ ォン(約562億 ドル)に の ぼ り、2000年 内
図1ア ジア4力 国 の不 良債 券 比 率(%)
40 35 so 25 20 15 10 5 0
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韓 国 タ イ マ レ ー シ ア イ ン ドネ シ ア
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東アジアにおける国際体制の再編成 について
向 け て の 基 盤 が 形 成 さ れ る と考 え られ る 。 も ち ろ ん 、 そ の な か で 日本 国 内 の 産 業 や 雇 用 ・職 業 な ど を どの よ う に再 編 して い くか と い う 困 難 な 問 題 も あ る 。 しか し、 問 わ れ て い る の は 日本(人)の 主 体 的 な姿 勢 で あ り、 そ れ な く して は 「ズ レ」 の 克 服 も新 た な 関 係 の 構 築 も困 難 と な ろ う。
「東ア ジアの戦 略的提携 の構築」 日韓産 業構造 の一考察
田中則仁
(1)ア ジア の 経 済 環 境
1997年7月2日 の タイ ・バ ー ツの ドル ・ペ ッグ制 離 脱 を契 機 に発 生 した い わゆ る ア ジア経 済 危 機 は、過 去20年 間の ア ジ ア諸 国 の成 長 の ひず み を さ ま ざ まな面 で顕 在 化 させ た。 ア ジ ア経 済危 機 の 本 質 は国 に よっ て異 な り、
この3年 間 にお け る回復 過 程 に も基本 的 な違 い が見 て取 れ る。
タイで は1980年 代 か らの 急速 な経 済 成 長 と社 会 資 本 整 備 の 立 ち遅 れ に よ る格 差 が お こ した ボ トル ネ ック現 象 が 道 路 の渋 滞 な ど と して 有 名 で あ る。
この度 の危 機 で は制度 の 問題 が 金 融 面 で もみ られ、 欧 米 短期 資 本 の流 入 に 対 して有 効 な通 貨 金融 政 策 を処 方 し得 なか っ た こ とが 問題 を引 き起 こ し深 刻 化 させ た。 イ ン ドネ シア で はス ハ ル ト元 大 統 領 の 長期 政 権 に よる政 治腐 敗 が 人心 の荒 廃 を もた ら し、規 律 の低 下 が 生産 性 の 回復 や経 済 成 長 に も未 だ先 行 きの 見 え ない不 確 実 性 を もた ら し、 メ ガ ワテ ィ政権 にの しかか って い る。
韓 国 にお い て は 、財 閥(チ ェボ ル)の 経 済構 造 にお け る支 配 力 が 、経 済 主 体 に強 い不 透 明感 を与 え 、市 場 の活 性 化 や競 争 圧力 を削 い で きた。財 閥 (チ ェ ボ ル)は これ まで 韓 国 の経 済 発 展 の大 きな牽 引 力 とい う役 割 を果 た し、1970年 代 以 降80年 代 に は国 内総 生 産 の拡 大 と6大 重 点 産業 の発 展 に大 き く寄 与 して きた。 しか し、 韓 国 の都 市 銀 行 や 地 方銀 行 へ の金 融 監 督 当 局 の厳 しい 監 視 をのが れ る よ うに、総 合 金 融 会社 が 資 金 の供 給 者 と して金 融 資 本 市 場 の撹 乱 要 因 に な って い った。 この 経 緯 に関 して は1996年 に 日本 の
問 題 や 朝 鮮 半 島 情 勢 に よ っ て 、 「自 国 の 防 衛 力 増 強 」 を意 識 して い る 点 が 目 立 つ 。 しか し第2に 、 「相 互 理 解 」 や 「地 域 的 な 安 保 体 制 」 もあ が っ て い る 点 に も注 目 す べ きで あ ろ う。 こ の 点 で 、 日本(人)が 先 に み た 日本 に 脅 威 ま た は 不 安 を 感 じ る隣 国 民 の 心 情 を考 慮 しな が ら 、 北 東 ア ジ ア 地 域 に お け る安 全 保 障 の 枠 組 み 形 成 に どの よ う に か か わ っ て い くの か 、 が 課 題 と
して 生 じて い る と み られ る 。
(6)問 わ れ る 日 本(人)の 主 体 性 一 「ズ レ 」 の 克 服 に む け て
以 上 、 朝 日新 聞 社 に よ る2つ の調 査 結 果 を手 が か りに して 、 日 ・中 ・韓 3か 国 の 国 民 の 意 識 を比 較 して きた 。
そ の 比 較 を通 じて な に よ り も注 目 す べ き点 は 、 日本(人)と 中 国(人 〉、
韓 国(人)と の 間 の 「ズ レ」 で あ ろ う。 も ち ろ ん 、 こ う した 「ズ レ」 は 通 常 同 一 国 民 の 間 で も生 じて い る こ とで あ っ て 、 ま して や 他 国 民 間 で は 当 然 の こ と 、 と考 え る こ と もで き よ う 。 しか しに も か か わ らず 、 こ の 「ズ レ」
は 「歴 史 問 題 」 に 対 して も、 深 ま りつ つ あ る 経 済 関 係 に 対 し て も、 さ ら に 北 東 ア ジ ア地 域 に お け る安 全 保 障 問 題 に対 して も生 じて お り、 い わ ば 構 造 的 な性 格 を もつ と思 わ れ る 。 しか し、 多 くの 日本 人 は 通 常 こ う した 「ズ レ」
を意 識 化 あ る い は 対 象 化 す る こ と は 少 な い 。 あ る い は場 合 に よ っ て は 、 こ う した 「ズ レ」 の 意 識 化 が 自 己 を 破 壊 す る か も しれ な い と い う恐 怖 を敏 感 に 感 じ と っ て 、 タ ブ ー 化 して い る の か も しれ な い 。 しか しい ず れ に せ よ 、
「ズ レ」 を 意 識 化 し な い で 放 置 す れ ば 、 日 本(人)は 孤 立 を まぬ が れ な い だ ろ う。
も ち ろ ん 、 意 識 化 す れ ば 「ズ レ」 が 克 服 さ れ る わ け で は な く、 日本(人) の 主 体 的 な 努 力 が 必 要 と さ れ る 。 そ れ は 一 言 に し て い え ば 、 明 治 以 来 の
「脱 亜 入 欧 」 や そ の 戦 後 版 的 性 格 と 冷 戦 下 の 性 格 を あ わ せ も つ 「脱 亜 入 米 」 か ら 「入 亜 入 欧 米 」 へ の 転 換 で あ る 。 い い か え れ ば 、 米 国 一 辺 倒 あ る い は 米 国 依 存 か ら脱 して 日本(人)独 自の 姿 勢 を もつ こ とで あ る 。 こ う した 日 本(人)独 自 の 姿 勢 あ る い は 主 体 性 を もつ こ と に よ っ て 、 「ズ レ」 克 服 へ
(97)108
東 ア ジ アに お け る 国際 体 制 の 再 編 成 につ い て
が64%と 群 をぬ い て 多 く、 中 国 人 で は 「米 国 一 極 支 配 」50%、 「中 台 問 題 」 41%、 「日本 の 軍 事 力 の 拡 大 」33%、 韓 国 人 で は 「朝 鮮 半 島 情 勢 」64% 、
「日本 の 軍 事 力 の 拡 大 」31%、 と 回 答 さ れ て い る(2つ の 選 択 回 答 で 数 値 は 選 択 肢 ご との もの)。01年 の 調 査 で も、 こ れ と は や や 異 な る 設 問 の 仕 方 を し て い る が 、 軍 事 的 に 脅 威 を 感 じ る 国 と し て 、 日 本 人 で は 「北 朝 鮮 」 43%・ 中 国 人 で は 「米 国 」69%、 「日 本 」20%、 韓 国 人 で は 「北 朝 鮮 」 50%、 「日本 」30%、 と ほ ぼ 同 様 の 結 果 と な っ て い る(1つ の 選 択 回 答)。
以 上 の 結 果 か ら 明 ら か な よ う に 、 第1に 、 日本 人 と韓 国 人 で は 「北 朝 鮮 」 を 中 心 と した朝 鮮 半 島 情 勢 、 中 国 人 で は 米 国 あ る い は 中 台 問 題 とか か わ る 米 国 、 とい う よ うに 各 国 民 を と り ま く固 有 の 状 況 を あ げ て い る 。 しか し第 2に 、 こ れ と と もに 中 国 人 、 韓 国 人 と も に 「日本 」 を あ げ て い る 点 が 注 目 され る 。
と く に後 者 と か か わ っ て 、 多 くの 日本 人 は 、 中 国 人 、 韓 国 人 が 日本 に 脅 威 あ る い は 不 安 を 感 じて い る 点 に つ い て 、 意 外 な 思 い を い だ くか も しれ な い 。 しか し、 こ の 点 につ い て は 、 す で に99年 調 査 で 「日米 防 衛 ガ イ ドラ イ ン 関 連 法 」 の 設 問 で 、 日本 人 で は 「抵 抗 感 が あ る」40%に 対 して 、 韓 国 人 で は53%あ っ た こ と 、 ま た01年 の 調 査 で 「テ ロ対 策 特 別 法 」 に よ る 自衛 隊 の 海 外 派 遣 に 対 し て 、 「不 安 を 感 じる 」 が 韓 国 人 で は57% 、 中 国 人 で は 61%あ る こ と を考 慮 す れ ば 、 こ の 点 で も また 「ズ レ」 の 存 在 を 指 摘 で き る
だ ろ う。
こ う した 「ズ レ」 を か か え な が ら 、 「ア ジ ア の 平 和 と安 全 保 障 に と っ て 大 切 な も の 」 とい う99年 の 調 査 で 示 さ れ た 回 答 は 次 の 通 りで あ る 。 日本 人 で は 、 「核 廃 絶 へ の 努 力 」50%、 「国 連 の 機 能 強 化 」47%、 「相 互 理 解 」 45%、 「地 域 的 な安 保 体 制 」39%、 韓 国 人 で は 、 「自国 の 防 衛 力 増 強 」49%、
「相 互 理 解 」48%、 「国 連 の 機 能 強 化 」47%、 「核 兵 器 に よ る 抑 止 」38%、
「地 域 的 な安 保 体 制 」39%、 中 国 人 で は 、 「国 連 に よ る 機 能 強 化 」58%、
「自 国 の 防衛 力 増 強 」56%、 「相 互 理 解 」47%、 で あ る(3つ 選 択 で 数 値 は 各 選 択 肢 ご と の も の)。 以 上 の 結 果 か ら、 第1に 中 国 人 や 韓 国 人 で は 中 台
回 答 して い る の で あ る。 少 な く と も中 国 人 ・韓 国 人 の 国 民 の 意 識 の レベ ル で は 、 日本 は 「置 い て き堀 」 に さ れ て お り、 か わ っ て ア メ リ カ に期 待 が 寄 せ られ た り、 ま た 韓 ・中 の 関 係 強 化 へ の 期 待 が 目 立 つ 。 経 済 の 分 野 にお い て も ま た 、 日本 人 と 中 国 人 ・韓 国 人 との 間 の 「ズ レ」 が 生 じて い る と い っ て よい だ ろ う。
そ して 、 こ の 「ズ レ」 を 、 実 際 、 多 くの 日本 人 が 実 感 しつ つ あ る 、 と も い え よ う。 一 方 で は90年 代 の 経 済 危 機 あ る い は 低 迷 の な か で 自信 喪 失 状 態 に あ り、 他 方 で は 中 国 経 済 の 高 度 成 長 を み て い る か らで あ る 。 と くに 後 者 の 中 国 経 済 の 成 長 が 単 に 中 国 内 部 の こ と と して す ま され る わ け で は な く、
中小 企 業 を含 む 企 業 の 工 場 移 転 、 そ れ に 伴 う 日本 国 内 の 産 業 空 洞 化 や失 業 増 大 な ど、 日本 の 経 済 に い わ ば マ イ ナ ス の 影 響 を与 え て い る こ と を実 感 し
つ つ あ る 、 とい っ て よか ろ う。 日本 と中 国 ・韓 国 と の 問 で 経 済 関 係 の 強 化 、 一 体 化 が 進 む な か で、3か 国 の 経 済 関 係 の あ り方 とそ れ に伴 う 日本 国 内 の 再 編 成 とが 連 動 す る と い う 問 題 に対 して 、そ の 見 通 し を得 ら れ な い こ と に 、 多 くの 日本 人 は 不 安 や イ ラ立 ち を 感 じて い る 。 そ こか ら 「中 国 脅 威 論 」 も 生 じて く る の で あ る 。
こ う し た 影 響 も あ っ て 、01年 の 調 査 で3か 国 がEUの よ う な 経 済 面 で 結 び つ きが で きる か とい う設 問 に対 して 、 日本 人 で は 「で き る と思 う」12%、
「そ う は 思 わ な い 」71%と な っ て お り、 中 国 人 の 各 々32%、68%、 韓 国 人 の 各 々33%、67%、 と比 べ て 否 定 的 な 意 見 の 多 さ が 目立 つ 。 も ち ろ ん 、 中 国 人 、 韓 国 人 で も否 定 的 な 意 見 が 多 い が 、 日本 人 以 上 に 、 こ の2か 国 の 間 で の 関 係 強 化 が 進 む 基 盤 が 少 な く と も国 民 の 意 識 の 上 で 生 ま れ つ つ あ る 、
と考 え ら れ よ う 。
(5)安 全 保 障 に 対 す る 意 識一 高 ま る 日本 へ の 警 戒
次 に軍事 関係 を中心 と した安 全保 障 に対 す る意 識 をみ る こ とに しよ う。
まず 、 ア ジ アの安 全 をお び や かす 要 因 と して何 をあ げ て い るか が 問題 と な るが 、99年 の調 査 結 果 は次 の通 りで あ る 。 日本 人 で は 「朝 鮮 半 島情 勢 」
〔95〕110
東 ア ジア にお け る 国際 体 制 の 再 編 成 につ い て
姿 勢(心 理 的 な も の を 含 め て)に あ る 、 と考 え られ る 。
(4)経 済 分 野 に お け る3か 国 の 関 係 強 化 と 高 く な い 日本 評 価
「歴 史 問 題 」 に対 す る韓 国 人 ・中 国 人 と 日本 人 と の 間 の 「ズ レ」 が 各 国 民 の 意 識 の 内 容 に 大 き な 影 響 を もた ら して い る が 、 一 方 で は 経 済 な どの 分 野 で3か 国 の 関 係 の 深 ま りが み ら れ る の も事 実 で あ る 。 こ う した 状 況 が 、 01年 の 調 査 結 果 に も現 わ れ て い る とみ て よ い だ ろ う。 す な わ ち 、 今 後3か
国 で 関 係 を 深 め た ら よ い と思 う 分 野 で は 、 と も に 「経 済 」 を あ げ て お り、
他 の 選 択 肢 を 引 き は な し て い る(日 本73%、 韓 国80%、 中 国66%)。 こ の 経 済 分 野 で の 関 係 強 化 に 対 す る期 待 の 中 で 、 と く に 中 国 に注 目が 集 ま っ て い る 。 日 ・韓 ・中 ・米 の う ち 今 後10年 間 で 経 済 が も っ と も成 長 す る 国 と し て 、3か 国 と も 「中 国 」 を あ げ て お り(日 本 で は64%、 中 国 で は76%、 韓 国 で は78%)、 ま た10年 後 に ア ジ ア で も っ と も影 響 力 の あ る 国 と して も
「中 国 」 を あ げ て い る(日 本 で は54%、 中 国 で は82%、 韓 国 で は74%)。 中 国 人 は 「改 革 開 放 」 以 後 の 経 済 成 長 に 自信 を も ち 、 日本 人 と韓 国 人 は 景 気 回 復 の テ コ と して 中 国 に注 目 して い る とみ ら れ よ う。
しか し、 こ う した 経 済 で の3か 国 の 関 係 強 化 が 期 待 さ れ る な か で 、 中 国 人 ・韓 国 人 の 日 本 へ の 期 待 や 評 価 は 高 くな い 。99年 の 調 査 で 、 「こ れ か ら の ア ジ ア の 経 済 に と っ て 、 日本 、 ア メ リ カ 、 中 国 の う ち 、 どの 国 の 影 響 力 が 強 い の が 望 ま しい か 」 とい う設 問 に対 す る 回 答 が そ れ を物 語 っ て い よ う。
日本 で は 「米 ・日 ・中 」35%、 「日 ・米 ・中 」22%、 「日 ・中 ・米 」16%で あ る の に 対 し て 、 韓 国 で は 「米 ・日 ・中 」 が35%あ る もの の 、 「米 ・中 ・ 日」24%、 「中 ・米 ・日」15%が 目 立 つ 。 中 国 で も 「中 ・米 ・日」27%、
「中 ・日 ・米 」22%、 「米 ・中 ・日」15%、 と な っ て い る 。 日本 人 が い だ い て い る期 待 あ る い は 自 己 評 価 よ り も、韓 国 人 や 中 国 人 は低 く評 価 して い る 。 こ の 傾 向 はOl年 の 調 査 結 果 に も現 わ れ て い る 。 「中 国 に と っ て 、 経 済 の 上 で 、 今 後 、 関 係 を深 め た ら よい と思 うの は 日本 、 ア メ リ カ 、韓 国 の ど れ か」
とい う設 問 に 対 して 、 中 国 人 自 身 、 ア メ リ カ58%、 韓 国27%、 日本15%と
調 査 で は 、 日本 人 で は 「決 着 し た」23%、 「決 着 し て い な い 」70%で あ る の に対 して 、 韓 国 人 で は 実 に94%が 「決 着 して い な い」 とな っ て い る 。 調 査 デ ー タ は な い が 、 中 国 人 の 場 合 も韓 国 人 と 同 様 の 傾 向 が み ら れ る だ ろ
う 。
しか し、 この 「ズ レ」 は 単 な る数 量 的 な 問 題 で は な く(日 本 人 で も 「決 着 して い な い 」 が70%あ る)、 そ の 理 由 こ そ が 問 題 な の で あ る 。99年 の調 査 で は 、 「決 着 して い な い 」 と認 識 して い る韓 国 人 の 場 合 、 「過 去 に対 す る
謝 罪 が 十 分 で な い 」35%、 「歴 史 認 識 や 教 科 書 の 記 述 に 問 題 が あ る 」23%
が 注 目 され る の に 対 して 、 日本 人 の 場 合 は 同 じ選 択 肢 で は20%、13%で あ り、10ポ イ ン ト以 上 の 差 が み ら れ る 。 そ して 、 こ う した 「ズ レ」 が 「過 去 の 問 題 に つ い て 、 日本 が 一 番 力 を 入 れ るべ き だ と思 うの は 、 ど ん な こ とか 」
とい う問 題 に も 「ズ レ」 を 生 じ させ る の で あ る 。 韓 国 人 で は 「被 害 を 与 え た 国 に対 す る 心 か らの 謝 罪 」42%、 「被 害 者 へ の 金 銭 的 な 補 償 」18%、 ま た 中 国 人 も 同 じ よ う に各 々39%、19%で あ る の に対 して 、 日本 人 で は 「謝 罪 」 が20%あ る もの の 、 「過 去 に と ら わ れ な い 新 た な 関 係 作 り」41%、 「ア
ジ アへ の 積 極 的 な 貢 献 」21%、 と な っ て い る 。
以 上 の 調 査 結 果 か ら み る と 、 日本 人 の 意 識 の 特 徴 は 、 そ の 大 半 が 「歴 史 問 題 」 に対 して 「決 着 して い な い 」 と認 識 しな が ら、 同 時 に 日本 が::力
を入 れ るべ き点 と して 「過 去 に と らわ れ な い 新 た な協 力 関係 作 り」 や 「ア ジ ア へ の 積 極 的 な 貢 献 」 とが 並 存 して い る こ とで あ ろ う。 しか し、 韓 国 人 や 中 国 人 か らみ れ ば 、 こ の 並 存 こ そ 日本 人 が 「歴 史 問 題 」 に 真 剣 に 向 き 合 っ て い な い 状 況 を示 す 、 とい え よ う。 す な わ ち 、 日本 人 の 多 くが 「歴 史 問 題 」 に 対 して 「決 着 して い な い 」 と考 え る な ら ば 、 ま ず も っ て 「心 か ら の 謝 罪 」 や 「補 償 」 「歴 史 教 育 の 充 実 」 を す べ き で あ っ て 、 こ れ を欠 い た
「新 た な 関 係 作 り」 は あ り え な い 、 と み て い る だ ろ う 。 し た が っ て 、 そ れ を 欠 い た 日本 人 に お け る並 存 状 況 に対 して 、 韓 国 人 や 中 国 人 は 不 信 を もつ とい っ て も よか ろ う 。 こ う した 「ズ レ」 を もた らす 最 大 の 原 因 は 、 歴 史 問 題 に対 して 「決 着 して い な い 」 と考 え る 理 由(認 識 根 拠)と そ れ に 対 す る
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東 ア ジア に お け る国 際 体 制 の 再 編 成 につ い て
(2)各 国(民)に 対 す る 包 括 的 な 意 識 一 中 ・韓 の 「嫌 日 」 意 識
まず は じめ に 、 日 ・中 ・韓 の 国 民 が 各 国(民)に 対 して 持 っ て い る 包 括 的 な 意 識 を み る こ と に し よ う。 そ の 端 的 な 現 わ れ で あ る 各 国(民)に 対 す る 「好 き、 嫌 い 」 意 識 は 、99年 の 調 査 で は 、 韓 国(人)に 対 す る 日本 人 の 場 合 、 「好 き」13%、 「嫌 い 」12%、 「ど ち ら で もな い 」72%で あ り、 逆 に 日本(人)に 対 す る 韓 国 人 の 場 合 は 、 「好 き」10%、 「嫌 い 」43%、 「ど ち らで もな い 」48%、 で あ る。 しか し、01年 の 調 査 で は 、 韓 国(人)に 対 す る 日本 人 の 場 合 、 「好 き」21%、 「嫌 い 」15%、 「ど ち らで も な い」61%、
と 「好 き」 が 増 加 して い る が 、 逆 に 日本(人)に 対 す る 韓 国 人 の 場 合 は 、
「嫌 い 」 が57%と な り、 日本 人 と は 逆 の 様 相 を呈 して い る 。 ま た 、 中 国 (人)に 対 す る 日本 人 の 場 合 、 「好 き」19%、 「嫌 い 」16%、 「ど ち らで も な い 」62%で あ り、 そ の 逆 の 場 合 は 、 「好 き」13% 、 「嫌 い」62%、 「ど ち ら で も な い 」23%、 と な っ て い る(中 国 人 の場 合 は 、01年 調 査)。
以 上 の 調 査 結 果 か ら も明 ら か な よ う に 、 日本(人)に 対 す る 中 国 人 ・韓 国 人 の 包 括 的 意 識 の 特 徴 は 、 根 強 い 「嫌 日」 意 識 で あ り、01年 の 調 査 で は そ の 高 ま りが み られ た 点 で あ る 。 と くに01年 で は 、 歴 史 教 科 書 の 検 定 や 小 泉 首 相 の 靖 国 神 社 参 拝 問 題 が 大 き く影 響 して い る こ と は ま ち が い な い だ ろ う 。 こ れ に 対 し て 、 中 国(人)、 韓 国(人)に 対 す る 日本 人 の 意 識 の 特 徴 は 、 「ど ち ら で も な い 」 が 大 半 で あ る 点 に あ り 、 こ れ は 戦 後 、 中 国 (人)・ 韓 国(人)に 対 す る 「好 き ・嫌 い 」 の 思 い や そ の 表 現 が 一 種 の タ ブ.̲̲.とな っ て い る こ と と無 縁 で は な い とい っ て よ か ろ う。 そ して 、 こ う し た 意 識 は 日本 人 の 「欧 米 志 向 」 や 「一 流 国 」 意 識 と根 底 で つ な が っ て い る
と も考 え られ よ う。
(3)「 歴 史 問 題 」 に 対 す る 「ズ レ」 一 日本(人)へ の 不 信 感
中 国 人 ・韓 国 人の 「嫌 日」 意識 の基 底 に は、 戦 前 の 日本(人)の 侵 略 戦 争 や植 民 地 支配 に対 す る抗議 と戦後 の 日本 人 の この 問題 に対 す る向 き合 い 方 を含 む 「歴 史 問 題 」 へ の 「未 決 着 」 とい う認識 が あ ろ う。 実 際 、99年 の
得 られ そ う な い くつ か の 資 料 に触 れ て き た 。 今 後48年 〜49年 に つ い て も同 様 の 作 業 を行 い 、 早 急 に 論 文 の 形 に ま と め る こ とで 、 国 共 内 戦 の 激 化 、 中 華 人 民 共 和 国 の 成 立 と続 く過 程 で そ の 後 しば ら く は封 じ込 め られ る こ と に な っ た戦 後 直 後 の 中 国 人 の 日本 観 を 明 らか に した い と考 え て い る 。
日 ・中 ・韓 の 国 民 間 の意 識 の比 較
横倉節夫
(1)相 互 比 較 と相 互 影 響
日 ・中 ・韓 の 国 民 が そ れ ぞ れ の 国(民)を ど の よ う に み て い る の か を比 較 考 察 す る場 合 、2つ の レベ ル で の 各 国(民)間 の 相 互 影 響 を考 慮 す る必 要 が あ る だ ろ う。 第1は 過 去 か ら現 在 へ の 歴 史 的 時 系 列 的 な相 互 影 響 で あ り、 と く に 日本(人)が 中 ・韓(お よ び 台 湾 ・北 朝 鮮)の 国 民 に 対 し て 行 っ た 戦 前 期 や ま た1980年 代 以 後 の 諸 政 策 、 行 為 を ぬ く こ と は で き な い 。 第2は 、 こ う した 日本(人)の 諸 政 策 、 行 為 が 中 ・韓 の 国 民 の 生 活 と意 識
に 直 接 影 響 を与 え て い る と して も、 そ れ ぞ れ の 国 の 内 部 で の 政 治 と くに 政 府 の 政 策 、歴 史 教 育 の あ り方 、経 済 あ る い は 企 業 の 方 針 、 メ デ ィア の 姿 勢 、
さ ら に諸 団 体 の 運 動 等 が 相 互 に 影 響 を与 え あ い な が ら 、 国 民 の 意 識 を つ く りあ げ て い る 点 で あ る 。
本 来 な ら ば 、 こ う し た2つ の レベ ル で の 相 互 影 響 の 分 析 の 上 に 立 っ て 日 ・中 ・韓 の 国 民 の 意 識 の 比 較 を行 うべ き で あ る が 、 以 下 で は 朝 日新 聞 の 行 っ た調 査 結 果 を 手 が か り に若 干 の 特 徴 を 記 す こ と とす る 。
注)こ こ で 使 用 した朝 日新 聞 に よ る調 査 とは 、1999年9月 と2001年11月 に行 っ た もの で あ る 。 デ0タ ー は 、99年9月 に つ い て は 『朝 日総 研 リポ ー
ト』No.141、Ol年11月 に つ い て は01年12月25日 『朝 日 新 聞 』 に 記 載 の も の を使 用 した 。
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東アジアにおける国際体制の再編成について
され てい れ ば 、 そ こに盛 り込 まれ た 内容 か ら して 、 当時 の 日本 観 を知 る上 で 貴重 な資 料 を提 供 し得 る もの とな っ た ろ うが 、 そ の他 の 関 連雑 誌 の発 刊 の有 無 を含 め て 今後 の検 索 を必 要 とす る。
47年 に は 、 日本 の 中 国研 究 所 か ら出 され た 『中 国研 究 所所 報 』1〜10号 が あ り、 中国 で の 日本 問 題研 究 の動 向 を紹 介 してい る以外 に、 当時 の 中国 人 の 日本 へ の 強 い まな ざ しを感 じる現 地 レポ ー トも載 っ て い る。 例 え ば、
その7号 に作 家 謝泳 心 の 「戦後 にお け る 中国 青年 婦 人 の 日本 へ の 関心 」 と 題 す る報 告 が あ り、 そ の 中で謝 は 、一 時帰 国 の折 りに各 地 を回 って 日本 の 状 況 を紹 介す る と、彼 女 が 日本 の こ とを話 す行 為 自体 に 「なん と出 しゃば りな 女 だ ろ う」 との反 応 が あ り、特 に南 京 で は対 日感 情 の 険 しさ を感 じた 、 そ れ は 、 「なん とい っ て も、 あ の南 京 城 攻 撃 の 際 に、 日本 軍 が 南 京 の市 民 に加 え た鬼 畜 に も等 しい殺 鐵 行為 に対 す る 、悪夢 の よ う な記 憶 が 原 因 して い る よ うで あ った」 と述 べ て い る。
また、発 行 は48年 で あ るが 、 内容 は46、7年 時 点 の 中国 にお け る 日本 理 解 を概 括 的 に紹 介 して い る 『中 国 の 日本 論 』(中 国研 究 所 編 、 潮 流 社)が あ る。前 述 の平 野 義 太郎 を含 む7人 の 中 国研 究 者 と 日本 問題 研 究 者 であ る 中 国 人謝 南 光 が執 筆 して お り、3年 来 中 国 で は 日本 を ど う見 て きたか を知 る上 で は誠 に便 利 な本 で あ る。
さ らに現 在 、筆 者 は上 海 で 当 時発 行 され てい た 『文 匪報 』 か ら関 連 記事 を集 め つ つ あ る。 単 行本 もさが して い る とこ ろだ が 、例 え ば47年 発 行 の王 芸 生 『日本 半 月』 に は、賠 償 問題 に一 節 を設 け て 、 当時 日本 か ら何 を どの 位 賠 償 させ る か を国 際 的 に論 じてい る状 況 を紹 介 し、 それ は中 国 が と りわ け 注 目すべ き問 題 だ と して い る点 が 興味 を引 く(な お 、 中国 にお け る 当時 の賠 償 問 題 につ い て の議 論 の経 緯 は、股 燕 軍 『中 日戦 争賠 償 問題 』 御 茶 の 水 書 房 、96年 刊 に詳 しい)。
(4)小 結
こ れ ま で 、45年 夏 か ら47年 ま で の 中 国 人 の 日本 観 を知 る 上 で 手 が か り を
て い るの は国 際問 題研 究 者 の宙 郷 で あ る。彼 の書 く 「消 えや らぬ 疑惑 」 に は 、 「投 降後 の 日本 は 口 中 蜜 だ らけ に して 、 中 国 に対 し"中 国 を討 った の は、 全 く仮借 の余 地 な き錯 誤 で あ る"と か 、"今 後 の 中 日は必 ず 親善 合 作 せ ね ば な らぬ"… とか 甘 い事 ば か り」 言 って い るが 、 「そ の 実 、 日本 人 は心 中依 然 と して 中 国 に対 し驕 慢 で あ り、軽 蔑 して 居 る」、冷 静 に現 状 を観 察 してみ る と、 「日本 の統 治者 及 び一般 人民 が … な お敗 戦 の教 訓 を悟 らず 、侵 略 の正 義 と和 平 に反 す る もの とな る こ とを悟 っ て居 らない こ とは 明 らか で あ る」 と記 して い る。 作 者 は敗 戦 後1年 の 日本 の動 きか ら、上 の ご と くに読 み取 っ たの で あ る。 また、 これ ほ どに は辛 口 で な い石 決 明 「日 本 の乞 食 と中国 の 三」 中 に も、「私 は どっち か とい え ば神 経 質 の 方 で あ る。
日本 天 皇 と"満 州 国"皇 帝 との握 手 、 東 条 と注 精 衛 との握 手 な どの 写真 を 見 る と、 ど う も前 者 が 後 者 を 見 下 して 、 対 等 的 な 感 じは 少 し も起 ら な い … 当 時 日本 天 皇 や 東 条 の!'儀 や注 精 衛 に対 す る気持 ちが マ元 帥 の場 合
まで行 か な くて も 勿 論行 く筈 は無 いが一 多少 で も対等 的 な気 持 ちが あ った ら、戦 争 は幾分 か延 び得 た で あ ろ う」 と書 くの は 、戦 後 の マ ッカ ー サ ーへ の屈 従 的 な態度 と比 較 す る形 にお い て、 歴 史 の真 実 を突 い た指 摘 と い うこ とが で きる。 なお 、 この 「対 日箴言 集 」 につ い て は後 にふ れ る 『中 国 の 日本 論 』 中の 平 野義 太 郎 「中 日新 関係 樹 立 の 前提 一 新 中 国は い か に 日 本 をみ 、 要望 す るか 」 が詳 し く紹 介 して い て 、 日本 の 一定 の読 者 が 当時 読
ん で注 目 して いた 可能性 を うかが わせ る。
後 者 は、 日本 問題 を研 究 す る専 門雑 誌 と銘 打 っ て8月15日 付 で 改造 出版 社一 お そ ら く先 の 日本 語 雑誌 『改 造 評 論 』 を出 した の と同 じ出版 社 で あ ろ う一 か ら創刊 号 が 出 され、翌 月2号 が 出 され て い る。2号 共 に 「対 日論 集 」
と題 して最 近 の新 聞記 事 を複 数掲 載 してい るの は貴 重 で 、 そ の 中 に は賠 償 問題 を論 じた もの が 数 篇あ って 、 この時 期 に賠 償 に関す る議 論 が 民 間で も 起 こ り始 め た こ とを うかが わせ る もの とな って い る。 また2号 には 、6人
の執筆 者 に よる戦後1年 来 の 日本 の政 治 、経 済 、教 育 、マ ッカー サ ー の 占 領 政 策 な ど を概括 す る文が 載 って い る。 も しも 『日本 論 壇 』 が そ の後 も出
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東 ア ジ ア にお け る国 際 体 制 の 再 編 成 に つ い て
る。 「青 年 の力 が 消 して も消 しや らぬ火 で あ る」 の は どこ の 国 で も当 た り 前 の こ とな の に、 日本 で は消 え た ま ま に な って い る。 「日本 の学 生 は 戦 時 中猫 を冠 っ て ゐ た。 しか し戦 争 が 終 わ っ て 蓋 を あ け て み た ら本 当 に猫 に な って ゐ た」 ので は ない か。 「現 在 の 日本 は崩 れ か か った封 建 的 な建 物 を、
老 ひ さ らば え、 朽 ち果 て た和 洋 折 衷 の柱 等 で懸 命 に支へ ん とす るだ け で手 一 ぱ い で あ る」。 これ と似 た状 況 下 に、 中 国 で は か つ て五 四運 動 や五 三 〇 事 件 が 起 こ り、学 生 た ち は 「政 治 的 、社 会 的 問 題 を … ・自分 達 の 問題 と し
て 受 け 入 」 れ て 立 ち 上 が っ た 、 そ れ は 、 学 生 の 政 治 運 動 とい う よ り も、
「必 然 的 に起 こっ た本 能 的 な救 国 運 動 で あ る」、 日本 の 学 生 よ、 「ど こか に 保持 して きた に違 い ない青 年 の"火"を ・… 現 実 に復 活 して見 せ て くれ給 え」 とい うの が そ の論 旨で あ る。 戦 時 中 か ら 日本 の 青 年 た ちの動 向 を知 る 者 の冷 徹 な観 察 力 が感 じられ る内容 で 、 この文 を読 ん だ 日本 の学 生 の 反応 は ど うだ った のか を知 りたい ところで あ る。
(3)46年 〜47年
終戦 か ら1年 近 く経 過 した 頃の 新 聞報 道 に は 、 日本 の復 興 ぶ りを伝 え る 記 事 と共 に 、 日本 軍 関係 者 に対 す るい わ ゆ るBC級 戦 犯 裁 判 や 、 中 国 人 対 日協 力 者 に対 す る い わ ゆ る漢 好 裁 判 に関 す る記 事 が 時 々載 る よ う に な る。
これ は、 現 実 に これ らの裁判 が 開始 した こ とを反 映 す る もの で あ るが 、 そ れ に と どま らず 、 さ ま ざ まな立場 で 日本 の 戦争 に関 わ った者 の 生 き様 が 問 題 に され て い る様 子 が うかが え る 内容 とな って い る(漢 好 裁判 につ い て は す で に詳 細 な資 料 集 が 出 され て お り、BC級 裁 判 につ い て も徐 々 に資 料 が 公 に されつ つ あ る)。
他 に46年 で 注 目すべ き もの と して あ げ られ るの は 、「対 日箴 言 集」(箴 言 とは 、戒 め る言葉 の意)と 『日本 論 壇 』 の存 在 で あ る。前 者 は 、6月 に上 海 で発 刊 され た 日本 語 の 雑 誌 『改 造 評 論 』 創 刊 号 に載 っ た もの(『 中 国 』 71年10〜12月 号 に再 録)で 、専 門 を異 にす る33人 の知 識 人が 縦横 に 自 らの
日本 観 を語 っ て い て読 み応 え が あ る。 その うち際立 って辛 口の論 を展 開 し
当 時 の状 況 を知 る こ とが 可 能 に な ったが 、例 えば 、 中国 共 産党 機 関紙 『新 華 日報』8月14日 号 には 、 「侵 略 戦 争 の元 凶 、 日本 の 戦争 犯罪 人(一)」 と 題 し、 「戦 犯 に懲罰 を加 え る こ とは単 に報 復 す る とい う レベ ル に と ど ま ら ない。 これ は 、 日本 の 軍 国 主義 を根 絶 し、今 後 戦 争 を起 こ させ ない よ う に す る際 に踏 むべ き ワ ンス テ ップな ので あ る」 と して 、東 条英 機 を先 頭 に軍
人 指 導 者 をず ら り と並 べ 、 さ ら に政 治 家 、資 本 家 の 名 を複 数 記 して い る (拙 文 「中国 は 日本 敗 戦 を どうみ たか 」、 『銃 後 史 ノー ト』復 刊6号)。 同紙 は以 後 も、戦 後 の 日本 の動 き を遂 一報 じる と共 に、社 論 で も 「ポ ツ ダム宣 言 の立 場 を堅持 して 日本 フ ァ シズ ム権 力 を根 絶 せ よ」 と訴 え てい る(8月 16日 号)が 、軍 国主 義 が復 活 す る可 能性 を残 す と思 し き日本 の動 きには容 赦 ない批 判 を行 って い る のは 、共 産 党系 の新 聞 ば か りで は ない 。
8月15日 とい えば 、 中華 民 国 国民 政 府 主 席蒋 介石 が ラ ジ オ を通 じて 行 っ た 「抗 戦 に勝利 し、全 国 の軍 民 、 お よび世 界 の 人 々 に告 げ る演 説 」 はつ と に知 られ て い る。 内容 は8年 間 にわ た って受 け た苦 痛 と犠牲 を回顧 し、 こ れ が 世 界 で最 後 の 戦争 にな る こ とを希望 す る と共 に、 日本 人 に対 す る一 切 の報復 を禁 じる もの で 、 そ れ ゆ え当 時 の 日本 入 に は感激 と共 に受 け とめ ら れ た演 説 だ った。 筆 者 が 最近 読 ん だ文 に も、上 海 で の敗 戦時 の体 験 と して 中 国 人 に暴 力 をふ る っ た 日本 人 は仕 返 しを受 け る こ とが あ った け れ ど も、
そ れ も蒋 介 石 の演 説 で止 ん だ とい う一 節 が あ って(太 田進 「個 人 的体 験 を とお して 中国 人民 共 和 国成 立 前後 の時 期 をふ りか える」、 『野草 』67号)興 味 を覚 え たが 、 「徳 を もっ て 怨 み に報 い よ」 とい う有 名 な一 節 以 外 に も、
「日本 人 民 を敵 とせ ず 、 日本 の横 暴 非 道 な武 力 を用 い る軍 閥 の み を敵 と考 え る」 と言 うの は、 共 産党 指 導 者 の、 日本 の軍 国 主義 者 と人民 を区別 す る との考 え に通 じる ものが あ る な ど、 さ らに吟味 す べ き内容 を含 んで い る。
最 近 に な って在 日華 僑 や元 留 学 生 に よる戦 時 中 あ るい は戦 後 す ぐの体 験 談 を 目にす る こ とが多 くな ったが 、45年 に書 か れ た数 少 ない在 日中国 人 の 文章 の一 つ に、 東大 経 済 学 部 院生rirr南(の ちの邸 永 漢)の 「青 年 の 火 を 燃 せ 一 日本 の 学 生 と中国 の学 生」(『大 学 新 聞 』 昭和20年10月11日 号)が あ
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