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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

日本ウズラにおける卵殻表面色素の貯留及び放出に 関する生理学的研究

宗, 知紀

Graduate School of Agriculture, Kyushu University

https://doi.org/10.11501/3088180

(2)

.,..._

第3章 卵殻腺部の色素貯留と排卵機構との関連

第1節 卵殻腺部における色素貯留と排卵された卵子の卵 管通過刺激との関連

緒 百

第2章第l節で示されたように、 卵殻表面色素は排卵後、

卵形成の進行に伴って卵殻腺部の粘膜上皮に徐々に貯留さ れ、 卵殻形成の終期に放出されて卵殻表面に沈着し、 斑紋を 形成する。 すなわち、 卵殻腺部における色素の貯留は排卵後 の卵形成と平行して行 われることから、 両者は密接な関係 があると考えられる。 卵の構成分のうち、 卵白及び卵殻膜の 成分は排卵された卵子が卵管を通過あるいは卵管に滞留す る物理的刺激によって卵管から分泌 される(Asmundson and

Jervis, 1933; Burmester and Card, 1939, 1941; Wentworth, 1960)。

さらに卵殻形成に関しても、 Nakada and Koga (1990)は排卵さ れた卵子の卵管内への取り込みを阻止すると、 本来卵殻形 成が盛んな時期 の排卵6 '" 18時間後の間におげる卵殻腺部 のカルシウム分泌量は減少することを示し、 Tanaka (1976) は卵殻物質の分泌は排卵された卵子が卵管上部から卵殻腺 部まで通過して来ることによって開始されることを示唆し た。 また、 形成中の卵が卵殻腺部内に存在するごと、 あるい は卵殻腺部を拡張するごとがカルシウム分泌量の増加に密

(3)

援に 関係し て い る こ と も 報 告 さ れ て い る (Eastin and Spaziani, 1978; Nakada, 199 0)。 これらの報告はいずれも卵管 に対する物理的刺激がカルシウム分泌ないし卵殻形成に大 きく関与していることを示すものである。 一方、 排卵に近接 した時期に模擬卵黄を卵管に挿入すると硬殻卵が形成され るが、 排卵から離れた時期及びクラッチ最終卵(Ct)の放卵 後に模擬卵黄を挿入しても軟卵として早期に放卵されるこ と(Tanaka, 1976; Nakada et a1., 1976, 1980)、 あるいは休産日 におけるカルシウム分泌量は、 物理的な刺激に対してわず

かにしか増加しない ごと(Eastin and Spaziani, 1978; Nakada and Koga, 1990 )などの報告は、 排卵ないし排卵と関連した生 理的変化が卵殻形成と密接に関与していることを示してい る。 卵殻形成と同様に卵殻腺部の機能の一つである卵殻表

面色素の貯留についても、 排卵及び排卵 された卵子の卵管 通過刺激が関与している可能性が考えられる。 この点を明

らかにするため、 本実験ではまず、 卵子の卵管通過刺激と卵 殻腺部における色素貯留との関連性について検討した。

材料及び方法

動物:第2章第1節と同様の条件で飼育した12 "-' 36週齢 の連産中のウズラで、 放卵間隠が24時間に近い個体を選び 実験に供した。

試料の採取 : 実験区として次の6区を設定した。 すなわ ち、 卵管ろ斗部を結紫する区、 卵管膨大部と峡部との移行部

(4)

を結支きする区、 卵管峡部と卵殻腺部との移行部を結まきする 区、 排卵直前の最大卵胞を切除する区、 卵管結紫、 最大卵胞 切除の偽手術区及び休産日区である。 なお、 手術は休産日区 を除いてすべてCs推定排卵時刻1.5---3時間前に行った。

卵管ろ斗部結繋区、 最大卵胞切除区及びそれらの偽手術 区は左第6及び第7肋骨聞を、 また卵管膨大部一峡部移行 部結索区及び卵管峡部一卵殻腺部移行部結繋区は正中線に 沿って腹部中央よりやや左側を、 それぞれ2cm程度切開し、

所定部位の緩やかな結索、 最大卵胞の切除または偽手術を 行った。 これらの区では手術時に卵殻腺部内に存在してい た形成中の卵( 前卵)の放卵18時間後に、 また休産日区にお いては Ct放卵18時間後にウズラをと殺した。 なお、 最大卵 胞切除区及び休産日区以外のウズラで、 と殺時に排卵を確 認できなかった個体はすべてデータから除外した。 すべて のウズラはと殺後ただちに卵殻腺部を摘出し、 湿重量を測 定したのち色素抽出時までー2 0 oc下で保存した。 色素の拍出

及び測定は第2章第1節で述べた方法で行った。

統計処理:平均値の差の検定はStudentのt検定(Snedecor and Cochran, 1980)を用いた。

結 果

卵管のそれぞれの部位を結殺した区、 あるいは最大卵胞 を切除した区の卵殻腺部における貯留色素量は表3 -1に示 した。 卵管ろ斗部結繋区では排卵された卵子は卵管に受容

(5)

_.-...-

表3 -1 排卵前の卵管結繋 あるいは最大卵胞切除が卵殻腺部の 貯留色素量に及ぼす影響

処理1) 個体数

卵管ろ斗部結紫区 7 卵管膨大部一峡部移行部結葉区 6 卵管峡部一卵殻腺部移行部結象区 5

最大卵胞切除区 5

偽手術区 17

休産日区

貯留色素量2)

(l4!,/g

tissue)

107:t18b 123:t24ab 104:t 24b 102:t18b 132:t 25a 33:t 12c

1) Cs推定排卵時刻1.5'"'-'3時間前 に各処理を行った (休産日区を 除く)。

2) 前卵放卵18時間後(休産日区はCt放卵18時間後)の貯留色素量 (平均値±標準偏差)、 異符号聞に有意差あり(p<0.05)。

されず、 すべて腹腔内排 卵 で あることが観察された。 この区 の前 卵 放 卵18時 間 後における貯 留 色素量 は、 偽 手 術 区の値 よ りは 有意(pく0.05)に少なかったが、 かなり高い値 を示し

た。 また、 卵 管 膨 大 部一 峡 部 移行部結数区及び卵 管 峡 部一 卵 殻 腺 部 移 行 部結繋区では、 それぞれ結索した 部 位に形成中

の卵が滞留していた場合と、 卵白ある い は 卵 殻膜が形成さ れた 卵が 腹腔内に存在していた場合とが観察されたが、 卵 の位置による貯留色素量の差は認められず、 また 両結繋区 の聞及び この両 区と上述の卵 管 ろ 斗 部結紫 区と の聞 に、 そ

れぞれ色素量の有意 差はなかった。 さらに、 最 大 卵 胞 切 除 区 の 貯留色素 量も、 卵 管 を結紫 した3区の値とほぼ同程度の

(6)

ー国�

値であった。 ごれらの4処理区と偽手術区を比較すると、 卵 管膨大部一峡部移行部結紫区のみ有意な差が 認められず、

他の3区は有意(pく0.05)に低い値であった。 一方、 休産日区 では剖検時に次卵(c工)の排卵は観察されず、 その貯留色素 量は他の5区に比較して明らかに低い値を示した。 この値 は、 第2章第1節で得られた 排卵周期内の最低値である排 卵2時間後の卵殻腺部貯留色素量と、 ほぼ同じ値であった。

考 察

本節では、 卵形成に密接に関連していると推定される卵 の卵管通過刺激が、 卵殻腺部の色素貯留に及ぼす影響を検

討した。

休産日区、 すなわちCt放卵18時間後では、 卵殻腺部の貯 留色素量は非常に少なく、 排卵周期内の最低 値とほぼ同程 度であった。 このことは、 排卵及びその後の卵形成が行われ ない休産日では、 色素はほとんど卵殻腺部に貯留されない ごとを示している。 一方、 排卵前に卵管ろ斗部を結繋して、

卵子の受容を阻止した 後の卵殻腺部における 貯留色素量 は、 偽手術区に対しては有意に小さかったが、 この値と他の 卵管結繋2区の値との聞に、 有意な差は認められなかった。

これらのことから、 卵管ろ斗部結繋区の貯留色素量が減少 した原因は、 卵子の卵管通過刺激がまったく与えられなか ったためではなく、 むしろ卵殻腺部に対する滞留 刺激がな かったためと考えられた。 これは、 卵の卵殻腺部滞留刺激が

(7)

_.・ーー

ない場合には、 卵殻腺部のカルシウム分泌が減少するとい う結果(Nakada, 1990)とよく似た現象である。

休産自の貯留色素量は排卵周期内の最低値とほぼ同じで あるため 、 この値を卵殻腺部における色素量の基底値と考

えた場合、 卵管ろ斗部結繋区の基底値からの増加量は偽手 術区のそれの約70χである。 したがって、 排卵につづく卵子 の卵管通過刺激が ない条件下でも、 かなりの量の色素が卵 殻腺部に貯留されることが確かめられた。 さらに、 排卵直前 の最大卵胞を切除した場合においても、 卵管ろ斗部結紫の 場合と同程度の色素貯留が認められた。 これらの結果は、 卵 殻腺部の貯留色素量を増加 させる要因が 、 排卵現象そのも のではなく、 排卵と関連して生ずる生理的変化であること を意味している。 また、 卵殻腺部に色素がほとんど貯留され なかった休産日と最大卵胞切除の場合とを比較すると、 両

者とも排卵及び卵子の卵管通過刺激は存在しないので、 両 者間の差異は排卵を誘起する要因の有無だけである。 した がって、 排卵を誘起する要因が 色素貯留に関与しているご とが示唆された。

(8)

田園--←

第2節 卵殻腺部の色素貯留と排卵の誘起要因との関連

( 1) フェ ノパルピタール投与による排卵阻止が卵殻腺部の 色素貯留に及ぼす影響

=ョ.Eコ

第1節において、 卵殻腺部の色素貯留に対する排卵誘起 要因の関与が示唆された。 鳥類における排卵の誘起要因と しては、 LH及びプロジェ ステロンの血中濃度の増加が考え られる。 ウズラにおいて、 血中LH及びプロジェ ステロン濃 度の増加は推定排卵時刻8時間前から始まり、 3 --., 6時間前

にほぼ最高値に達すること が報告されている(Doi et a1.,

1980; Gulati et 81., 1981)。 血中LH濃度の急激な増加(LHサ ージ)はプロジェ ステロンのpositive feedbackによって引き 起こさ れる (Johnson and Van Tienhoven, 1984; Lang et a1.,

1984a; Johnson et 81., 1985)。 本実験では卵殻腺部の色素貯 留に対する排卵誘起要因の関与を明らか にするため、 プロ ジェ ステロンのpositive feedbackを阻止するごとによって、

下垂体からのLH放出を抑制し、 排卵阻止の作用をもつこと が知られているブエ ノパルピタール(Fraps and Case, 1953) を用い、 色素貯留とLHとの関係を検討し、 さらにLHサージ を伴わないプロジェ ステロン投与の効果を追究した。

(9)

___.

材料及び方法

動物:第2章第1節と同様の条件で飼育した12... 36週齢 の連産中のウズラで、 放卵間隔が24時間に近い個体を選び

実験に供した。

試薬 : フェノパルピタール( 保栄薬工)はプロピレング リコールに溶解し、 100mg/mlに調製した。 プロジェ ステロン は前項で述べた方法で調製した。

試料の採取 : Cs推定排卵時刻の14時間前にフェノバルピ タール15mgを筋肉内に投与した後、 推定排卵時刻 4時間前 にプロジェ ステロン0.5mgを筋肉内投与する区と溶媒のゴ マ油0.05mlを筋肉内投与する区を設定した。 その後、 前卵放 卵18時間後にウズラをと殺して卵殻腺部を摘出し、 色素抽 出時までー2 0 ac下で保存した。 また、 ウズラのと殺時に剖検 して排卵の有無を観察した。 色素の抽出及び測定は第2章 第1節で述べた方法で行った。

統計処理: 平均値の差の検定はStudentのt検定(Snedecor and Cochran, 1980)を用いた。

結 果

排卵前のLHサージを抑制し排卵を阻止するため、 推定排 卵時刻14時間前にフェノバルピタールを投与した場合の、

前卵放卵18時間後の貯留色素量は表3 -2に示すとおりであ る。 フェノバルピタール投与後ゴマ泊を投与した場合では、

(10)

,回--

表3-2 フェノパルピタールの投与が排卵及び卵殻腺部の貯留色 素量に及ぼす影響

処理1 )

フェノノVレビタ-}レ +ゴマ油

フェノノVレ ピタール +フ。ロジェステロン

供試 排卵 羽数 羽数

5

貯留色素量2 ) (tLg/g

tissue)

59士6 101:tl0 *

1) フェノバルピタール (15mg)を推定排卵時刻14時間前に、 プロジェス テロン(0.5mg) あるいはゴマ油(0.05ml)を推定排卵時刻4時間前にそ れぞれ筋肉内投与した。

2) 前卵放卵18時間後の貯留色素量(平均値±標準偏差)。

本両処理区の聞に有意差(p<O.05) があることを示 す。

排 卵は阻止され、 その 貯 留 色 素 量はかなり低い値であった。

一方、 フ ェ ノ パ ル ピ タ ー ルを投与した後 、 プロジ ェ ステ ロ ン を推 定 排 卵 時 刻の4時 間 前 に投与した場合では、 排卵は誘 起さ れな かったが 、 そ の 貯 留 色 素 量 は前者より 有 意に

(p<O.05)高い値を 示した。

考 察

フ ェ ノ バ ルビ タール の 投与 による排 卵の 阻止は、 プロジ ェ ステ ロ ンによる視床下部への刺激が下垂体前葉へ伝達さ れるのを 阻止するためとみな されており、 フロジ ェ ステロ ン に よ る誘起排 卵をも阻 止 す る こ と が報告されてい る

(11)

'固---

(Tanaka et 8.1., 1970; 田中, 1972)。 したがって 本実験の場

合フェ ノパルピタール投与後ゴマ油を投与した区では、

positive feedbackの欠如により、 血中LH及びプロジェ ステロ

ン濃度の急激な増加が抑制されており、 一方フェノパルピ タール投与後プロジェ ステロンを投与した区ではプロジェ ステロンの血中濃度は上昇 しでも、 LHは多量には放出され なかったものと考えられる。 フェノパルピタールの投与に よって卵殻腺部の貯留色素量がかなり減少し、 フェノパル ビタール投与後プロジェ ステロンを投与すると、 排卵が誘 起されないにもかかわらず貯留色素量がかなり増加した。

したがって、 卵殻腺部におげる色素貯留に関与するのは、 排 卵誘起要因のうち、 下垂体前菜から放 出される LHではな く、 プロジェ ステロンの血中濃度の上昇であると推定され た。 なおこの場合、 表3 -1で示した偽手術区 に比較して色素 量が少なかったのは、 卵殻腺部におげる卵の滞留刺激が欠

知していたためと考えられた。

(12)

,ー--

(2 )排卵20時間前の卵胞切除が卵殻腺部の色素貯留に及ぼ す影響

一一百

前項では、 排卵誘起要因のうち、 プロジェステロンが卵殻 腺部の色素貯留に関与していると推定した。 このプロジェ ステロンの血中濃度の増加は、 主に最大卵胞から分泌され るプロジェステロンによってもたらされている(Shahabi et al., 1975; Bahr et al., 1983; Mori et al., 1984; Mori and

Kantou, 1987)。 したがって、 本実験では色素貯留に対するプ ロジェステロンの影響を除くため、 血中LH及びプロジェス テロン濃度の増加が起ごる以前に卵巣の最大卵 胞を切除 し、 その処理が推定排卵時刻後の卵殻腺部における色素貯 留に及ぼす影響を検討した。 また、 卵胞切除後にプロジェス テロンを投与し、 卵殻腺部の色素貯留に及ぼす影響につい

ても検討した。

材料及び方法

動物:第2章第l節と同様の条件で飼育した12 ---... 36週齢 の連産中のウズラで、 放卵間隔が24時間に近い個体を選び 実験に供した。

試薬 : プロジェステロン (Sigma Chemical Co.)はゴマ泊に 溶解し、 10mg/mlとなるように調製した。 持続性プロジェス

(13)

'固---

テロン製剤(商品名ルテウムデポー110 : 1ml中カプロン酸 ヒドロキシプロジェステロン100mg及びプロジェステロン

10mgを含有、 帝国臓器製薬)はゴマ油で10倍に希釈して用 いた。

試料の採取 : Cs推定排卵時刻20時間前に、 前節の方法と 同様にウズラの左第6肋骨と第7肋骨聞を切開し、 卵巣の 最大卵胞を切除した。 卵胞切除 16時間後(推定排卵時刻4時 間前 )にゴマ油 0.05ml を投与する処理区、 プロジェステロン

0.5mgを筋肉内投与する処理区、 及び卵胞切除直後に持続性 プロジェステロン製剤の 10倍液を0.05ml(カプロン 酸ヒド ロ キ シ プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 0.5mg 及 び プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン

0.05mg)皮下 投与し、 さらに推定排卵時刻4時間前にプロジ ェステロン0.5mgを筋肉内投与する処理区の3 区を設定し た。 推定排卵時刻20時間前すなわち 前卵排卵のおよそ4時 間後に手術を行ったのは 、 この時期 は卵管内の卵が卵殻腺 部に到達する 前であり、 手術後の早期放卵が起こり難いた めである。 すべての処理区において、 処理後に観察された 前 卵放卵 18時間後(手術後約38時間)にウズラをと殺し、 た だちに卵殻腺部を摘出して色素抽出時までー20 oc下で保存 した。 色素の抽出及び測定は第2章第1節で述べた方法と

同じ方法で行った。

統計処理: 平均値の差の検定はStudentのt検定 あるいは Cochran and Coxの近似法(Snedecor and Cochran, 1980)を用い た。

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----

結 果

各処 理区の 前 卵 放 卵18時 間後 におげる 卵 殻 腺 部 の 貯 留 色 素 量 は、 表 3-3に示すとおりであった。 なお、 この 表には比 較対照のため、 第2章第1節で得られた排 卵18時 間後 にお ける貯留色素量、 ならびに前節で得られた排 卵 直 前 の 最 大 卵 胞 切 除 の場合の 貯 留 色 素 量 の値も同時に示し た。 推 定 排

表3 -3 排卵20時間前の最大卵胞切除 及びその後のフ。ロジェステロン 投与が卵殻腺部の貯留色素量に及ぼす影響

処理

最大卵胞切除+ゴマ泊 最大卵胞切除

+フ。ロジェステロン2 )

最大卵胞切除

+ 持続性プロジェステロン +フ.ロジェステロン幻

正常4 )

個体数

12 9

12

9 最大卵胞切除 (排卵直前 ) 5) 5

貯留色素量1) (J4!,/g tissue)

77:t 18c 89:t 25 bc

110:t36b

15 2:t49a 102:t 18b

1)処理後にみられた前卵放卵18時間後の貯留色素量(平均値±標準偏 差)、 異符号間に有意差有り(p<O.05)。

2)最大卵胞切除後、 推定排卵時刻4時間前にプロジェステロン(O.5mg) を筋肉内投与した。

3)最大卵胞切除直後に持続性プロジェステロン(O.55mg)を皮下投与、

推定排卵時刻4時間前にプロジェステロン(0.5mg)を筋肉内投与し た。

4)表2 -1より転載。

5)表3 -1より転載。

(15)

卵時刻20時間前に最大卵胞を切除した後、 ゴマ泊を投与し た区の卵殻腺部の貯留色素量は77 ::t 18�/gであった。 これ に対し最大卵胞切除後、 推定排卵時刻4時間前にプロジェ ステロンを投与した区の貯留色素量は、 ゴマ油投与区の値 と比較してわずかに増加したが、 両者の間に有意な差はみ られな かった。 一方、 卵胞切除直後に持続性プロジェステロ ンを投与し、 さらに推定排卵時刻4時間前にプロジェステ ロンを投与した処理区の貯留色素量は大きく増加し、 ゴマ 油投与区と比較して有意な差が認められた(p<0.05)。 持続性 プロジェステロンに加えてプロジェステロンを投与した区 の貯留色素量は、 正常ウズラで得られた値には及ばなかっ たが、 排卵直 前に最大卵胞を切除した場合とほぼ同程度の 値を示した。

考 察

前節では、 排卵された卵子の卵管内への受容を阻止し、 あ るいは排卵直前の最大卵胞を切除して、 卵形成が行われ得 ない状態にした場合においても、 卵殻腺部の貯留色素量は 休産自のそれと比較する と明らかに増加したことから、 排 卵後の卵殻腺部における色素貯留は、 排卵の誘起要因に影

響されてい る ものと考えた。 鶏(Johnson and van Tienhoven,

1980; Johnson, 1986)あるいはウズラ(Doi et 81., 1980; Gulati et a1., 1981)において、 排卵前に起こる血中ホルモン濃度 の大きな変化はLHおよびプロジェステロン濃度の急激な増

(16)

...--

加であり、 これらのホルモンの投与によって、 排卵を誘起し 得ることが知られている(Sturkie, 1965)。 しかし、 LHの卵殻 腺部に対する作用は、 卵巣の性ステロイドホルモンを介す る間接的な ものと考えられ、 本節(1)ではLHサージを抑制 した状態では前卵放卵18時間後においても、 卵殻腺部の貯 留色素量はかなり低い値のままであった。 しかし、 これにプ ロジェ ステロンを投与すると貯留色素量が増加することが 示されたので、 本実験では排卵前の血中プロジェ ステロン 濃度の増加がみられる以前の 時期に、 プロジェ ステロンの 主な産生部位である最大卵胞を切除し、 プロジェ ステロン が卵殻腺部の色素貯留に及ぼす影響をさらに追究したもの である。

血中プロジェ ステロン濃度の最高値が出現する時期( 排 卵の3 -.... 6時間前)より はるか以前の推定排卵時刻20時間 前に最大卵胞を切除した場合、 前卵放卵18時間後の卵殻腺 部における貯留色素量は、 正常な個体の排卵18時間後なら びに排卵直前に最大卵胞を切除した場合の前卵放卵18時間 後の値と比較し、 有意に低い値であった。 Doi et a1.(1980)に よれば血中プロジェ ステロン濃度は推定排卵時刻1 0時間前 から増加し始めるが、 この増加の大部分が最大卵胞からの 産生によるものである。 したがって、 最大卵胞で産生される プロジェ ステロンが排卵後の卵殻腺部の色素貯留に影響を 及ぼしていることが考えられた。 最大卵胞切除による血中 プロジェ ステロン濃度の低下を補うため、 最大卵胞切除16 時間後( 推定排卵時刻4時間前)にプロジェ ステロンを投与

(17)

_..島一l

したところ、 卵殻腺部の貯留色素量は最大卵胞切除のみの 場合と比較してわずかに増加したが有意差はなく、 色素貯 留に対するプロジェ ステロン投与の顕著な 効果は認められ なかった。 排卵前24 '" 12時間 におけるプロジェ ステロンと エストラジオールは排卵誘起のために重要な役割を持つこ とが示されていること(Sekiguchi and Imai, 1988)から、 卵胞 切除後のプロジェ ステロン 産生量の減少によって、 早い時 期から排卵誘起 に必要な生理的変化の発現が阻止され、 そ のことが排卵に近接した時期 に投与されたプロジェ ステロ ンの効果を無効にしたという可能性が考えられた。 一方、 持 続性プロジェ ステロン製剤を卵胞切除直後 に投与し、 さら にプロジェ ステロンを卵胞切除16時間後 に投与した場合の 貯留色素量は、 最大卵胞を切除しただけの場合 より有意に 増加した。 このことから、 排卵後の卵殻腺部の 色素貯留に は、 排卵前の最大卵胞が産生するプロジェ ステロンが大き な影響を及ぼしていることが示された。

(18)

'回'一

第3節 卵殻腺部の色素貯留に対するステロイドホルモン の関与

品目ロ

前節の結果から、 排卵前の最大卵胞で産生されるプロジ ェステロンと排卵後の卵殻腺部における色素貯留との関連 性が示された 。 前節 ( 1 )では排卵を阻止するため、 下垂体前 葉からのLH放出を抑制する作用を持つフェノパルピタール を用いたが、 この薬剤は直接卵胞に作用しステロイドホル モンの産生を抑制 するものではなく、 またこの処理によっ て実際に排卵前の血中プロジェステロン濃度の増加が抑制 されたことを実験的に確認してはいない。 さらに、 プロジェ ステロンの投与量の差による貯留色素量の変動及びプロジ ェステロン以外のステロイドホルモンが色素貯留に及ぼす 影響についてもまだ明らかではない。 ステロイドホルモン の生合成を阻害する薬剤と しては、 一般に aminoglutethimide

(AG )が用いられている。 AGはチトクロームP-450が関与する 水酸化反応の阻害物質であり(Uzgiris et al., 1977)、 ステロ イ ドホ ル モ ン の 生成過程に必要な 20α- hydroxylase 、

22-hydroxylase、 C2o-C221yase(Uzgiris et al., 1977) な ら び に aromatase(Thompson and Siiteri, 1974)の酵素活性 を阻害する

ことが知られている。 したがって、 本節では色素貯留に対す るプロジェ ステロンならびに他のステロイドホルモンの影 響 を明らかにするため、 まず実験1において、 排卵前のAG

(19)

'国'一

の投与が排卵、 血紫ステロイドホルモン濃度及び卵殻腺部 の色素貯留に及ぼす影響を検討し、 次に実験2において 、 血 祭プロジェステロン濃度の増加を抑制し排卵を限止し得る 量のAG を投与した後、 プロジェステロン、 エストラジオー ル及びテストステロンを投与し、 ステロイドホルモンの色 素貯留に対する影響を検討した。

材料及び方法

動物: 第2章第1節と同様の条件下で飼育した 12-24週 齢の連産中のウズラで、 放卵間隔が24時間に近い個体を選 ぴ実験に供した。

試薬: AG(Ciba-Geigy Pharm. Co.}は、 Lang et a1.(1984a, b)の 方法に準拠し、 3N-HCl溶液に溶解し、 3N-NaOH でpH3.5 ---.., 4.0に 調整して濃度を100mg/mlとした。 ステロイドホルモンは、 標 準試薬用あるいは筋肉内投与用としてプロジェステロン、

テストステロン及びエストラジオール17β(Sigma Chemical Co. )を、 RIA用にはトリチウムで標識されたプロジェステロ ン及びエストラジオール17β(Du Pont/NEN Research Products) をそれぞれ用いた。

RIA法: 血疑プロジェステロン及びエストラジオール濃 度はTanabe et a1. (1979)の方法によって測定した。 プロジェ ステロン及びエストラジオールの測定に使用した抗体は群 馬大学内分泌研究所より寄贈された OBGY#l(抗プロジェステ ロン)及びHAC-AA64-01RBP79( 抗 エストラジオール)で、 両者

(20)

'回'一

とも最終希釈倍率160,000倍 で使用した。 相対結合率はプロ ジェ ステロン抗体で30 -- 40%、 エストラジオール抗体で25χ

であった。 アッセイ内変動係数はプロジェ ステロンで8.4%,

エストラジオールで7.6%、 アッセイ間変動係数はプロジェ ステロンで11.2% であった。 なお エストラジオールの場合、

アッセイは1回のみであったためアッセイ問変動係数は得 られなかった。

試料の採取 : (実験1 ) Cs推定排卵時刻10時間前に 5、

10 あるい は20mg/100g体重( BW) のAGを皮下投与(Langet a1.

1984a, b)する処理区を設定した。 なお 20mg投与区の場合 は 10mg/l00gBWずつ2回に分げ30分間隠で投与した。 排卵前の 血祭プロジェ ステロン濃度の測定に あたっては、 推定排卵 時刻10、 8及び5時間前(AG投与0、 2及び5時間後) にヘパ

リン処理した注射筒を用い、 尺側皮静脈よりO. 3 "" O. 5mlを 採血した。 前卵放卵の6、 12及び18時間後にそれぞれ供試 羽数の約1 /3 に当たるウズラをと殺して卵殻腺部を摘出 し、

色素抽出時までー20 oc下で保存した。 また と殺直前に心臓採 血により、 2 "-' 2.5mlの血液 を 採取して前卵放卵後の血禁プ ロジェ ステロン及びエストラジオール濃度の測定に用い た。 すべての血液試料は1,500 X gで10分間遠心分離を行 い、 得られた 血援をRIAに用いるまで ー30 oc下に 保存した。

対照区としてはCs推定排卵時刻10 時間前に AGの溶媒(HCl 溶液、 pH3.5)0.3mlを皮下投与したウズラを用いた。 なお、 AG の10mg/100gBW を 投与した ウズラの一部については血妓ホル モン濃度及び卵殻腺部の色素量は測定せず 排卵の有無だけ

(21)

'回'一

を観察した。

〔実験2 ) Cs推定排卵時刻の約10時間前に20mg/100gBW のAGを実験1と同様に皮下投与し、 その後各ステロイドホ ルモンを筋肉投与した。 すなわち血中プロジェステロン濃 度が増加し始める 推定排卵時刻8時間前(AG投与 2時間後)

に、 フ。 ロジェステロンを0.05 、 0.1 及ひ・0.2mg/100gBW、 あるい はテストステロンを0.5mg/100gBW投与する区を設定した。 ま たエストラジオールについては 推定排卵時刻8時間前に0.1 あるい は1. 0mg/100gBWを投与する区、 及び推定排卵時刻8時

間前と 前卵放卵1時間後に0.lmg/100gBWずつ計2回投与する 3区を設定した。 さらに推定排卵時刻8時間前にプロジェス テロンと エストラジオールを0.lmg/100gBWずつ 投与する併用 区、 及び推定排卵時刻8時間前にプロジェステロンを、 前卵 放卵1時間後にエストラジオールをそれぞれ0.lmg/100gBW投

与する区の2区も設定した。 各ステロイドホルモンは それ ぞれエタノールに 溶解した 後、 エチレングリコールで必要

な濃度に希釈して使用した。 なお対照としては AGの溶媒 (HCl溶液、 pH3.5)を投与する区(V区)及びAG投与 後ステロ イ ド ホルモンの溶媒( エチレングリコール)を投与する区 (C区)の2区を設けた。 各区と も前卵放卵18時間後にウズ ラをと殺して卵殻腺部を摘出し、 色素抽出時までー200C下で 保存した。

色素量の測定:色素の抽出 及び測定 は第2章第1節で述 べた方法と同じ方法で行った。

統計処理:平均値の差の検定 はStudentのt検定あるいは

(22)

,回ー-

Cochran and Coxの近似法(Snedecor and Cochran, 1980)を用い

。た

結 果

(実験1 ) AG投与によるステロイド合成の 阻止が 排卵に 及ぼす影響を明らかにするため、 推定 排卵 時刻10時間 前 に AGを投与した結果は表 3-4に示した。 対照区(v区)及びAG を 5mg/100gBW投与した区(AG5区)では全例とも排卵は 阻止さ

れず、 ほぼ推定 時刻どおりに排 卵が行われた。 一方、 AGを 10mg/l00gBW投与した区(AGI0区)では 30%の個体において、 ま たAGを 20mg/l00gBW投与した区(AG20区)では87%の個体にお いて排卵が阻止された。 したがって以後 の記述において、

AGI0区のうち排卵が阻止されなか ったものをAGI0+区、 排卵 が阻 止されたものをAGI0-区と区分した。

表3-4 ウズラにおけるAG投与後の排卵阻止率

処理1) AG投与量 排卵阻止率(%)2)

V 溶媒(0.3ml) O( 0/40)

AG5 5mg/100gBW O( 0/19)

AG 10 10mg/l00gBW 30(19/63 )

AG20 20mg/l00gBW 87 (20/23)

1)推定排卵時刻10時間前に皮下投与した。

2)括弧内は排卵阻止羽数/供試羽数を示す。

(23)

'回,ー

各処 理区 におけるAG投与 後の血祭プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 濃 度 の変動は表 3-5の とおりであ った。 この表に示 すよう に

AGI0+区、 AGI0-区及びAG20区の各区では、 AG投与直後の値と 比較して、 推 定 排 卵 時 刻8時間前(AG投与 2時間後)の血紫 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 濃 度 はいずれも有 意 に減少したが、同5 時間前(同5 時間後)の値 は 排 卵が観察された区では顕著な 上昇がみられ、 排 卵が阻止された区ではこのような上昇 は

認められなかった。

表3 -5 AG投与が排卵前血援プロジェステロン濃度に及ぼす影響

処理1】

血紫プロジェステロン濃度(ng/ml)

推定排卵時刻前の時間(AG投与後の時間)

、1ノーnnHU 〆,‘、‘nH nU 噌EA

5h(5h) 8h(2h)

V o . 90 :t 0.582 )

(40)

0.77:t0.21 (19)

0.79:tO.24 (23)

0.77:t0.20 (19) 0.67:tO.22 *

(20) AG5

AGI0+

AGI0-

AG20

O. 95:t 0.48 (40)

O.94:t0.27韓 (19) O.63:t0.24 *# ..

(23) 0.51:t0.27 .. *器

(19) 0.29:t0.13 *盆..

(20)

2.87:t1.06件 (40)

2. 58 :t: 0 • 88非 (1 9)

2.35:t0.79幹 (23) O. 99:t:0.32 ..

(19) O.45:t: 0.20 .. *茸

(20)

1)表3 -4を参照。AGI0+は排卵、 AG10-は排卵限止を示す。

2)平均値±標準偏差、 括弧内の数値は供試羽数 を示す。

市縦のカラムでVに対する有意な差を示す(p<0.05)。

持横のカラムで前の時間に対する有意な増減を示す(p<O.05)。

(24)

次に、 ごれらのウズラにおける 前 卵放卵 後 の血祭プロジ ェ ス テロン 濃 度の変動を表 3-6に示した。 前 卵放卵6時間後 の血祭プロジ ェ ス テロン 濃 度はV区の値と比較してAG5区で 低い値を示したものの、 他はいずれも顕著な差は認められ ず、 また 同6時間後と同12時間後との聞にも有意な 変動 は 認められなかった。 その後前卵放卵18時間後になると、 す べての区で次 の排卵に関連すると考えられる上昇がみられ た。 ごのうちAG10- 区では異常に高い測定値が得られたが、

その理由は不明である。

表3-6 AG投与が前卵放卵後の血築プロジェステロン濃度に及ぼす影響

血祭プロジェステロン濃度(ng/ml) 処理Il

前卵放卵後の時間

6h 12h 18h

V 0.65:!:0.232l 0.7110.19 2.0411.06

(13) (14) (13)

0.41±0.18 * *

AG5 0.47士0.14 1. 59士0.83

(6) (7) (6)

*

AG10+ 0.77:t 0.17 0.8810. 16 1.62:t0.99

(9) (8) (6)

* *幹

AG 10- 0.85:t 0.21 0.9110.16 9.91:t3.86

(6) (7) (6)

0.6510.17

AG20 0.69:t0.33 2.6111.98

(7) (6) (7)

1),2),*,骨表3-5の脚注に同じ。

(25)

�ー←

前 卵 放 卵 後 の 血 祭 エ ス ト ラ ジ オール 濃 度の変動は表 3-7

に示した。 血 紫 エ ス ト ラ ジ オール 濃 度は各区とも放 卵 後 の 時 間の経過に伴って徐々に上昇する傾向が認められたが、

排卵が阻止された区はV区と比較して有意に低い値で推移 した。

表3-7 AG投与が前卵放卵後の血祭エストラジオール濃度に及ぼす影響

血紫エストラジオール濃度(pgjml) 処理1)

前卵放卵後の時間

6h 12h 18h

V 115 :t 572) 90:t40 203:t 52韓

(13) (14) (13)

AG5 84:t 34 94:t 42 140:t32*非

(6) (7) (6)

AG10+ 94 :t 46 104:t 45 118土56*

(9) (8) (6)

* 54±19*量P *

AG10- 24 :t 12 64:t 18

(6) (7) (6)

45±19*量P *

AG20 22:t 13 95:t 74

(7) (6) (7)

1),2),*,辞表3 -5の脚注に同じ。

(26)

次に、 AGを 投 与した各区におげる前 卵 放 卵 後 の 卵 殻 腺部 の 貯 留 色素 量 については表 3-8 に示すと おり であった。 排 卵が観察された区ではいずれも時間経過に伴って貯 留 色素

量が増加し、 V区とほぼ同じ値を示した。 一方、 排卵が阻止 された区では時間経過に伴う色素の増加 量はわずかであ り、 放 卵18時間後 においてもV区のほぼ1/2あるいはそれ以

下の値でしかなかった。

表3 -8 AG投与が前卵放卵後の卵殻腺部の貯留色素量に及ぼす影響

卵殻腺部の貯留色素量 (1451g tis sue) 処理1l

前卵放卵後の時間

6h 12h 18h

V 60:t192l 89:t 20韓 138:t 25韓

(13) (14) (13)

AG5 53 :t 14 88:t 11 # 136:t 20韓

(6) (7) (6)

* 99:t 16韓 143:t41骨

AG10+ 47:t10

(9) (8) ( 6)

* *

AGI0- 4 2:t 10 5 2:t 26 71:t 23

(6) (7) (6)

* * *

AG20 45:t 14 43:t 7 56:t 19

(7) (6) (7)

1). 2).*.持表3 -5の脚注に同じ。

(27)

司�・

〔実験2 )推 定 排 卵 時 刻10時 間 前 にAG 20mg/100gBWを投 与 し、 その 2時 間 後(排 卵8時 間 前)に プ ロ ジ ェ ステ ロ ン 0.05、

0.1及び0.2mg/100gBW を投与し た場合 、 それぞれ4/13{31%)、

4/16{25%) 及び6/13{4 6 %)の割合で排 卵が誘起された。 プ ロ ジ ェ ステ ロ ン 投 与後 の卵 殻 腺 部 における 貯 留 色 素 量 を、 排 卵 の有 無 によって区分し て 示すと表 3-9のとおりである。排 卵が誘起された各投 与 量区 とも、 AGのみを投 与 し たC区に 対し明らかに大きな 貯 留 色 素 量であったが、 AGの 溶 媒 のみ を投 与 し たV区より は小さい値であった。なお、 プ ロ ジ ェ ス

表3 -9 AG処理後のプロジェステロン投与が 卵殻腺部の貯留色素量に及ぼす

排卵有り

排卵無し

影響1)

卵殻腺部の貯留色素量(�/g tissue) プロジェステロン投与量(mg/100gBW)

0.05

124::t 18a b (4)

102::t2pc (9)

0.1

115::t74abcd (4)

92::t 22c (12)

V2 ) 0.2

119::t 18b 143::t 228

(6) (7)

106:t42bc (7)

C3)

59::t 13d (5)

1) AG(20mg/100gBW)を推定排卵時刻10時間前に皮下投与、 プロジェステロン をAG 投与2時間後に筋肉内投与した。数値は前卵放卵18時間後の貯留色素量 (平均

値±標準偏差) 、 括弧内の数値は供試羽数を示し 、 異符号聞に 有意差有り (pく0.05)。

2) AGの溶媒(0.3ml)を推定排卵時刻10時間前に皮下投与した。

3) AG(20mg/100gBW)を推定排卵時刻10時間前に皮下投与、 プロジェステロンの溶 媒(0.15ml)を推定排卵時刻8時間前に筋肉内投与した。

(28)

、...---

テロン0.lmg/100gBWを投与した区 は個体聞の変動が大きく、

C区 及びV区に対し統計的に有意な差は認められなかった。

一方、 プロジェステロンの投与後排卵が誘起されなかった 場合にお い て も、 貯留色素量はC区に対し有意に大きな値 を示した。 また、 プロジェステロンの各投与量区において、

排卵誘起の有無による貯留色素量の差は小さく、 統計的に 有意ではなかった。 さらに、 プロジェステロンの各投与量区 間における貯留色素量の差異も認められなかった。

推定排卵時刻10 時間前にAG20mg/100gBWを投与した後、 ェ ストラジオールおよびテストステロンを投与した場合の卵

殻腺部の貯留色素量は表3 -10 に示した。 両ホルモンとも、

その投与によって排卵は誘起されず、 また卵殻腺部の貯留 色素量も少なく、 C区に対し有意な差は認められなかった。

AG投 与後に プ ロ ジ ェ ス テ ロ ンとエスト ラ ジ オ ールを 0.lmg/100gBWずつ投与した場合の卵殻腺部の貯留色素量を表 3 -11 に示した。 両者を組み合わせて投与した場合の排卵誘 起率は、 プロジェステロン0.lmg/100gBWを単独で投与した場 合の25%と比較して、 推定排卵時刻8時間前にプロジェステ ロン及びエストラジオールを投与した場合は5/14 (36克)、 推 定排卵時刻8時間前にプロジェステロンを、 前 卵放卵1 時間 後にエスト ラ ジオ ー ルをそれ ぞ れ 投 与 し た 場 合 は4/ 14

(29克)とわずかに上昇した が統計的には 有意差は認められ なかった。 また卵殻腺部の貯留色素量は、 排卵が誘起された 場合及び誘起きれなかった場合の いずれとも、 それぞれプ ロジェステロン単独投与 の場合とほぼ同様の値を示した。

(29)

、...---

表3-10 AG処理後のエストラジオール及びテストステロン投与が卵殻腺

部の貯留色素量に及ぼす影響1 )

0.12) 排卵有り

排卵無し 42士20b (8)

卵殻腺部の貯留色素量(l.4':J/g tissue) 投与量(mg/l00gBW)

E 1.02 )

65:t 3 P b (6)

0.23)

52:t16ab (6)

T 0.52)

70士19a (6)

C4)

59:t 13 a b (5)

1)表3 -9の脚注1)を参照。

2) AG投与2時間後にエストラジオール(E)あるいはテストステロン(T)を 筋肉内投与した。

3) A G投 与 2時間後 及 び 前卵放 卵 1時間後に エ ス ト ラ ジ オ ー ルを 0.1mg/100gBWずつ筋肉内投与した。

4)表3 -9より転載。

表3 -11 AG処理後のプロジェステロン及び エストラジオールの組み合わ せ投与が卵殻腺部の貯留色素量に及ぼす影響1)

排卵有り

排卵無し

卵殻腺部の貯留色素量(l.4':J/g tissue) PE 1

108:t 328 b (5)

87:t 22b (9)

PE II

147:t24a (4)

87:t 26b (10)

P

115:t74ab (4)

92士22b (12)

1)表 3 - 9 の 脚 注 1 ) を 参 照 。 A G投 与 2時間後 に プ ロ ジ ェ ステロ ン (0.1mg/100gBW)を投与し、 エストラジオール(0.lmg/l00gBW)をそれ と同時に(PE1 )あるいは前卵放卵1時間後に(PEII )筋肉内投与した。

(30)

'F'h

考 察

AGはステロイドホルモ ンの合成を問害することによっ て、 鶏の 排卵 を阻止する効果があることが知られ ている

(Johnson and van Tienhoven, 1984; Lang et 81., 1984a, b)。 実験 lにおいて推定排卵時刻10時間前のウズラに20mg/100gBWの AGを投与した場合、 ほとんどの個体で排卵が阻止され、 ま たその1/2量の 投与でも30%の個体で排卵が阻止された。 排 卵阻止の場合、 排卵前の血策プロジェステロン濃度は対照 区に比較して明らかに低い値を示し、 これらのウズラの前 卵放卵18時間後におげる卵殻腺部の貯留色素量は対照区の 値の1/2以下であった。 一方、 AG投与後に排卵 され た場合 は、 排卵前の血禁プロジェステロン濃度ならびに前卵放卵 後における卵殻腺部の貯留色素量は対照区と同様の変動を 示した。 これらの結果から、 20mg/100gBWの AGを投与するこ とによって、 排卵前の血競プロジェステロン濃度の上昇が 抑制され排卵が阻止されるとともに、 その後の 卵殻腺部の 貯留色素量もわずかしか増加しな いことが明らかとなっ た。 なお、 前卵放卵後の血祭プロジェステロン濃度に関して は、 排卵阻止の場合においても 対照区と同程度かあるいは それより高い値であったことから、 前卵放卵後に は卵胞に 対するAGの直接的影響は消失したもの考えられる。 したが って、 排卵が阻止された後の血妓エストラジオール濃度が、

前卵放卵後の各時期とも 対照区と比較して低い値であった ことは、 排卵が阻止された結果によって生じた現象である

(31)

-FJh

と考えられる 。

実験2において、 AG投与 後にプロジェ ステロンを投与し た場合、 排卵が誘起された個体と誘起されなかった個体の 両者が観察されたが、 両者ともその 後の卵殻腺部の貯留色 素量は増加し 、 AGのみを投与して排卵を阻止した個体の貯 留色素量より高い値を示 した。 この結果は排卵前 における 血紫プロジェ ステロン濃度の増加 が、 排卵後の卵殻腺部に おける色素の貯留 と密接に関与しているごとを強く示すも のである。 一方、 プロジェ ステロンの 投与量の差による貯留 色素量の変動は観察されなかったごとから、 本実験で投与 した最低量でも十分に貯留色素量を増加させ 得ることが示 された。 次にエストラジオールをAG投与の2時間後、 ある い は 前卵放卵後に 投与したいずれ の場合も、 卵殻腺部の貯留 色素量の増加は観察されなかった。 またAG処理 後、 プロジ ェ ステロンとエストラジオールを適当量組み合わせて投与 した場合においても、 プロジェ ステロン単独投与の場合と 比較して、 貯留色素量の増加は認められなかった。 したがっ て本実験の結果 からは 、 エストラジオールの色素貯留 に対 する関与は認められなかった。 また、 同様にテストステロン

につ いても卵殻腺部の色素貯留との関連を示す結果は得 ら れなかった。

エストラジオールで前 処理したロードアイランドレッド 種のヒナにプロジェ ステロンを投与することによ って、 卵 殻腺部のポルフィリン合成酵素の一つであるALAsの活性が 高まることが報告されている(Miller and Kappas, 1974)。 した

(32)

p--

が っ て、 ウズラにおいてプロジェ ステ ロ ンが卵殻腺部の ALAs活性を高めて、 色素合成を刺激し、 その結果、 色素貯留 が促進されるという可能性も考えられる。 しかし、 正常な排 卵周期中におげる色素貯留と関連してプロジェ ステロンの

作用機構を追究した報告は、 現在までのところまったく見 あたらないので、 本実験で示されたようなプロジェ ステロ ンの効果が、 どのような機構によってもたらされているか は不明である。

(33)

要 約

本章では卵殻腺部における色素貯留に関与する要因につ いて検討した。

第l節では卵管の物理的刺激が卵殻腺部の貯留色素量に 及ぼす影響について検討した。 すなわち、 推定排卵時刻1.5

'"" 3時間前に卵管ろ斗部、 膨大部一峡部移行部及び峡部一 卵殻腺部移行部を結紫する区、 ならびに排卵直前の最大卵 胞を切除する区を設定した。 各処理時に形成中 であった前 卵の放卵18時間後に卵殻腺部の貯留色素量を測定した結 果、 各処理区間の値に大差はなく、 排卵された卵子の卵管通 過刺激が存在しない場合でも、 正常な場合に対し約70%の量 の色素は貯留されることが認められた。 一方、 Ct放卵18時 間後におげる卵殻腺部の貯留色素量は、 排卵周期中の最低

値とほぼ同じ値であった。 以上のことから、 卵殻腺部におげ る色素貯留に対し、 卵の卵管通過刺激はある程度の 影響を 及ぼしてはいるが、 主に関与する要因は排卵の誘起要因で あると推定された。

第2節では排卵の誘起要因が色素貯留に及ぼす影響につ いて検討した。 推定排卵時刻14時間前のフェノバルピター ル投与によって排卵を阻止すると、 正常個体と比較して、 卵 殻腺部の貯留色素量が大きく減少した。 一方、 フェノパルビ タール投与後推定排卵時刻4時間前にプロジェ ステロンを 投与した場合は、 排卵誘起を伴わなかったにもかかわらず、

フェノパルピタール投与のみの 場合と比較し、 前卵放卵後

(34)

'F'h

の貯留色素量を増加させた。 次に、 推定排卵時刻20時間前 に最大卵胞を切除すると、 排卵直前の卵胞切除と比較して、

前卵放卵18時間後の貯留色素量は大きく減少した。 同一処 理後、 推定排卵時刻4時間前にプロジェステロンを投与し た場合は前卵放卵後の貯留色素量にほとんど影響を及ぼさ なかったが、 卵胞除去直後に持続性プロジェステロンを投 与し、 さらに推定排卵時刻4時間前にプロジェステロンを 投与した場合は貯留色素量を増加させた。 これらのことか ら、 卵殻腺部における色素貯留と関連する排卵誘起要因は LHではなく、 排卵前の最大卵胞 が産生するプロジェステロ ンであると考えられた。

第3節では、 AG投与が排卵、 血疑ステロイドホルモン濃 度及び卵殻腺部の色素貯留量に及ぼす影響について検討し た。 推定排卵時刻10時間前にAGを投与し、 血祭プロジェス テロン濃度及び排卵に及ぼす影響 を検討した。 AG10mg及び 20mg/l00gBWを投与した区ではそれぞれ30%及び 87χの個体で 排卵が阻止された。 排卵阻止の場合、 推定排卵時刻5時間前 の血援プロジェステロン濃度、 前卵放卵後の血筑エストラ ジオール濃度及び卵殻腺部の貯留色素量は、 溶媒のみを投 与した対照区に 対し有意に低い値であった。 一方、 排卵が行 われた場合、 ごれらの値はいずれも対照区と同様な変動を 示した。 次に、 排卵10時間前にAG 20mg/l00gBWを投与後、 プロ ジェステロン、 エストラジオール及びテストステロンを投 与し、 前卵放卵18時間後の 卵殻腺部の貯留色素量を比較し た。 プロジェステロン投与後の卵殻腺部の貯留色素量は、 排

(35)

、,F'

卵誘起の有無に拘らず、 AGのみを投与した対照区に対し有 意に高い値であり、 またプロジェステロンの投与量による 貯留色素量の差もみられなかった。 一方、 エストラジオール あるいはテストステロン投与の場合、 排卵は誘起されず、 貯 留色素量は対照区と同程度の値であった。 またプロジェス テロンとエストラジオールの組み合わせ投与も、 プロジェ ステロン単独投与の場合と同程度の貯留色素量であり、 卵 殻腺部の色素貯留に対するエストラジオール投与の効果は

認められなかった。 これらのことから、 排卵前の血中プロジ ェステロン濃度の増加が、 排卵後の卵殻腺部における色素 貯留に関与していることが示された。

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