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0 0 4   簡易測定法による東大阪市大気汚染の測定

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Vol.  11.  (1974) 

資 料

0 0 4   簡易測定法による東大阪市大気汚染の測定

中 村 勝 一 , 森 本 竹 美

Air P o l l u t i o n  I n   H i g a s h i o s a k a   C i t y  

Katsuichi NAKAMURA, Takemi MOR1MOTO 

(Received ]uly  19, 1974) 

Air pollution, which isa great problem of  the  people  of  our  nation, was observed  by the filter paper absorption method which is  simple and easily used in  many locations.  An alkalized filter paper which absorbed N02 showed the concentration measurement  by color intensity from Saltzmann solution. 

1n  the S02 concentration measuremnt, modified p‑rosaniline method was used.  The N02 measurement gave  a good result, and  in  the  S02 measurement a rough  estimation was able to  be carried out. 

Using these  methods air  pollution  of  Higashiosaka  city  area  was observed  from  August to  December in  eight locations. 

The results obtained were as follows:‑ 1.  S02 concentration was less varied. 

2.  N02 concentration rose  greatly  as  time  passed  by Dece¥Dber  the  value  had  nearly  doubled that of August or September. 

1 緒

昭和30年代以降,強力に遂行されれて来た,わが国 の高度経済成長政策は,驚異的な生産の拡大と,大量 消費,使い拾て経済を生み,その結果,環境に排出さ れる各種排出物,廃棄物は,今や人体被害まで生み出 し,死者も出るという状態[こまで,われわれの環境を 汚染して来ている。しかもそれらは,水俣や富山や四 日市などの局地的な問題としてではなく,現在では全 国的な,また全世界的な問題となって来ている。

東大阪市においても,ゼンソクや慢性気管支炎な ど,大気汚染(こ起因すると思われる人体被害が多くな っている。

行政機関においても,乙れに対する対策を講じてい るが,汚染され破壊された環境は直ちには回復しない し,経済的な体質に大きな変化もなし1から,依然とし て市民は悪環境から解放されない。

東大阪市には,大阪府の公害監視ステーションが,二

カ所(布施保健所,市役所東支所)ζi設置されている。

しかしこれらは,抱括的な状況を判断し得ても,局部 的な汚染状況を充分把握することはできない。またこ れらの装置を大量に設置する乙とは,経費や保守の面 から困難であろう。しかも,公害による人体被害は,

西淀川,四日市磯津地区,堺三宝地区などのように,

局地的に顕在化し,後に全体的な問題と発展してく る。東大阪市においても,瓢箪山ゼンソクなど生駒山 麗一帯の局地的なものとして人体被害が問題とされて 来 , さ ら に 全 市 的 な 問 題 と 発 展 す る 傾 向 を 見 せ て い

このような点を考慮するならば,さらに市内の多数 の地点で,より紙密な大気汚染観測が必要とされる。

筆者らは測定が容易で,多数の地点で局地的な汚染 の 程 度 を 知 り 得 る 白 紙 法 を 用 い , 大 気 中 の N02と S02 (})濃度を測定することを試みた。

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近鉄奈良線

図 1 大 気 汚 染 測 定 場 所

測定場所,測定期間および 測定方法

2‑i 測定場所

図1trA, B, C'…..Hで示した市内8カ所で測定 した.

2‑ii 測定期間

測定期間は,昭和48年8月より 12月まで,各月ご とに1日間の測定を連続して7日間(10月のみ上旬お よび下旬の2回)行なった。ただし,各測定点のうち 都合によりHは8月のみ, Fは10月以降の測定であっ た。

2 ‑iii  測定方法

2‑iii‑a  N02濃度の測定

口紙(2cm x 4cm)を30%炭酸カリウム溶液に浸し た後, 40"'‑'60oCで乾燥したものを吸収白紙とし,ポリ チャック袋に保管した。

吸収白紙を測定日に1日 間 大 気 中 に 曝 露 し た も の は,ふたたびポリチャック袋に保管した。 7日分の曝 露の終ったと乙ろで回収し, それぞれ 2cmx3cmと して10meのザノレツマン試液中化溶出し, 分光々度計

530nmで吸光度を求め, あらかじめ作製した検量線 より, N02量を求めた。

2‑iii‑b S02濃度の測定

白紙 (2cm x 4 cm)を S02吸収液に浸し, 液滴が 滴下しなくなった生乾きのものをサランラップなどの ポリエチレンシートに密着してはさみ,ポリチ守ツク 袋に保管した。

測定日に,ポリエチレンシートをはがし 1日間大 気中に曝露し,ふたたびシートにはさみポリチTク袋

lと保管した。

N02の場合と同様に,回収後それぞれ 2cmx3cm  lと切り,水5me tと溶出し, Pーロザニリン試液,ホノレ マリン試液を各111l

e

加え,分光々度計560nmで吸光 度を求め,あらかじめ作製した検量線より S02量を 求めた。

2 ‑:‑iii‑c 発色液の時間的退色

吸収白紙に N02,S02のそれぞれの標準溶液を吸 着させ,さきに述べたのと同じ方法で発色させ,発色 後15,30, 45, 60, 120分ごとの吸光度を求めた。

2‑iii‑d  妨害物質

吸収白紙にそれぞれ一定量のN02,S02の標準溶液 を吸着させ, N021r対しては NH3,HC1, S02を,

(3)

Vol.  11.  (1974) 

802 ~ζ対しては NH3 HCl , N02をさらに吸着させ て妨害の有無を調べた。

2‑iii‑e  N02吸収口紙の湿気に対する影響 乾燥した白紙と湿った口紙を N02ガスおよび大気 中に曝露し,湿気に対する影響を調べた。

2‑iii‑f 測定容器

図2~と示すように,プラスチック製薬品ピンの底を あけ,吸収口紙の下禄が,ピンの底様から1.5cmのと とろにくるようにした。

ポリ容器

ロシ

一一一一‑‑‑下

図 2 大気汚染測定容器 2‑iii‑g 試 薬

ザルツマン試液

スノレファニノレ酸5gを約800llleの水に入れ, 700Cぐ らいに温めて完全に溶解した後,氷酷酸501ll

e

,0.1 N‑

(1ーナフチル)エチレンジアミン塩酸塩0.05gを加え, 吸 全量を水で 1

e .

とし,褐色ピンに保存した。 光

802吸収液 度

塩化第二水銀13.6g, 塩化ナトリウム5.85gおよ びグリセリン 250gを水に溶解し,全量を500meと

し,ナトリウムアザイド 0.02gを加えた。

Pーロザニリン試液

p‑ロザニリン塩酸塩0.2gを水100meに溶解し,

その20meをとり,乙れに塩酸6meを加え,水を加え て100meとした。

ホルマリン試液 0.2%水溶液を使用した。

N02標準溶液

亜硝酸ナトリウム0.154gを水に溶解し, 1

e .

とし,

との液を水で10倍にうすめた。

802標準溶液

亜硫酸水素ナトリウム2.321gを水にとかして1

e .

とした。

3

測 定 結 果

3‑i 検 量 線

図3,図 4にそれぞれ, N02. 802の検量線を示し 7

吸 光 度

1.

5  ( 1O‑3m

1 ? )  

N02量

図 3 N02 検 。 量 線

5  (x 103m

1 ?) 

502量

図 4 802 検 量 線 3‑ii  各月におけるN02の濃度

図5‑‑..図10に各月ごとに,連続した7日間の N02

‑ 21‑

(4)

濃度の変化を示した。

mPl12cmday  (y 103) 

10 

20 

図 5 N02浪 皮 (8月) mP/12cm2day 

10‑3

10 

1 5 ¥ 2 0 日

図 6 N02民 度 (9月)

mPl12cm2day  ( x 10‑3)  HJ 

10 

図 7 N02浪 皮 ( 10月上旬)

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18  20  24 日 図 8 N02濃 度 ( 10月下旬)

15 

Hi  20 

図 9 N02出 皮 ( 11月)

24 11 

mp/ 12cmdav  (x 103

20 

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13  15  18  11  図 10 N02 iJ1~ 度 (12月)

(5)

Vo1.  11.  (1974) 

3‑iii 各月における802の濃度

図 11‑‑‑‑図 15~と各月ごとに,連続した 7 日間の S02

濃度の変化を示Jした。

mi/12cm2day  (x 10‑3) 

10 

図 11 mJ2/12cm2day  10‑3) 

10 

p/ 12cm day  (x 10‑3 10 

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図 15 S02濃 度 ( 12月) 3‑iv 汚染の推移

図16~ζ NOi 濃度の,図 17 に S02 濃度の各測定期 間 (7日間)の平均値をプロットして,それぞれの濃 度の推移を示した。

3‑v ppm濃度との関係

測定値は, 12cm2あたり , 1日あたり吸着された IA 

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図 17 S02濃度(月平均の変動) N02またはS02のmlでばかった量としてあちわさ れたので,これをppm濃度と比較するため, A地点 および D地点の値をそれぞれの地点に近い,大阪府公 害監視センターの観測ステーションの値(一日平均値)

と比較して,図18,図19に示した。

ppHm  1'¥02 

図 18

50  100  (x lO4) mk'/12cm2day 

ppmとml/12cm2.dayとの関係 ppHm  SO~

50  100 ( x lOm.Q/ 12cm day  図 19 ppmとml/12cm2.dayとの関係 3‑vi 発色液の時間的退色

表1に示したごとく, N02についてば,発色後30 分, S02については,同じく 15分で色ば安定し,放 置時間120分でもN02'S02とも安定で,有意な退色

はないと思われた。

3‑vii 妨害物質

表2にN02吸収口紙に対する NH3,HC ,lS02の 影響を,表3に S02吸収口紙に対する NH3,HCl, 

N02の影響を示した。

表 1. 発色液の時間的退色

思 l J 今ア尾市平明 J 三

表 2. N02吸収口紙に対する妨害物質の影響 N02 0.002ml吸者白紙

│ 吸 着 量

l

吸着物質

I

~(ml) │ 吸 光 度 0.232  0.002  0.233  NH

0.004  0.010  0.020 

0.232  0.230  0.230  0.025  0.232  0.001  0.232  0.002  0.230  HCl  0.004  0.230  0.010  0.237  0.020  0.234  0.002  0.232  0.005  0.233  S02  0.010  0.227 

o .

 

015  0.209  0.025  0.095 

表 3.'S02吸収口紙に対する妨害物質の影響 S02 0.002ml吸着口紙

吸 者 物 質 │ 吸 ( 昌 子 │ 吸 光 度 0.337 

HCl  0.002  0.338  0.004  0.338 

N02 

0.001  0.002  0.004 

0.241  0.174  0.066 

(7)

Vo1.  11.  (1974) 

S02 0.015m1吸着口紙 吸着物質│吸(書1)量 │ 吸 光 度

0.270  0.010  0.278  NH

光紙一吸

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吸一量)

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00010 

0.232  0.230  0.00015  0.230  O. 00020  0.228  N02吸収口紙に対しては,502がN02のおよそ 5倍吸収されると妨害する。

502吸収白紙に対しては, N02が502の1/10以 上吸収されると妨害する。 しかし, 502吸収白紙と N02吸収白紙を同時にN02ガス中に曝露してしらべ た502吸収口紙のN02ガス吸収率は,表4に示した ごとく ,N02吸収白紙のおよそ1/130であった。よっ て, N02吸収口紙で測定したN02量が,502吸収白 紙で測定した502量のおよそ15倍以上の場合は,妨 害の影響を考える必要がある。

表 4. 502吸収白紙のN02吸収率 白 紙 │ 吸 光 度

A  B 

1. 800  0.014  N02 白 紙

502 口 紙

表 5. N02吸収白紙の湿気に対する影響

n‑l‑FtFl 

I

吸 光 度

項 目 │ 時 間 │ ‑ a

conc. N02ガス 10分 2.070  2.075  dil.  N02ガス 1時間 0.292  0.375  dil.  N02ガ、ス 1日 1.146  1. 090  dil.  N02ガス 2日 1.196  1. 005  大 気 l日 0.282  0.303  大 気 2日 0.690  O. 710 

A:乾燥した白紙 B:湿った白紙

‑viii N02吸収口紙の湿気に対する影響 表5~と示したごとく, N02吸収口紙の湿気に対する 影響は殆どないと思われる。

4 考 察

図3,図4を見れば, N02については, Beerの法 則に一致するが, 502についてはバラツキが見られ る。これは,図19からもうかがわれるように,条件を 一定lこすることに問題があるように思われ,今後の課 題として残されるが,乙の方法によっても, N02はも

ちろん502について大よその汚染状態は把握できる と思われる。

図6'"'‑'図15を見れば,各測定期間中の各測定点の 大気汚染の様子は,おおむね同じ傾向を示している。

しかし,時には他と著るしく異なる値を示す場合のあ ることも観察できる(例えば, B地点10月 7日, D地 点10月21日, A地点12月13日のいずれも N02濃 度など,また F地点502濃度は他と著るしく異なっ ている)。

図16,図17を見れば, 502濃度はF地点を除け ば,その汚染状態はほぼ横ばい状態であるが, N02濃 度は著るしく増えつづけ, 12月には,8,9月どろのお よそ2倍に達している。図18を見ると, 12月のN02 濃度は,およそ0.06ppm程度となる。とれは,企業 活動および自動車排気ガスが原因として考えられる が,早急に対策を講じなければならぬ緊要な問題であ る。

F地点の著るしい 502濃度は,附近に点在する小 工場にその原因があると考えられる。事実この地域の 住民は,悪臭lζ悩まされ,時に吐き気をもよおす乙と もあるという。資本の之しい小企業,零細企業であっ ても万全の汚染防止措置を講ずべきであって緊急な措 置が望まれる。

5 お わ り に

この測定にあたり,絶大な御協力を賜わりました,

主婦のみなさん方に深く感謝致します。

参 考 文 献 1 )天谷他公害(下) 日本青年出版社

2)大気汚染研究全国協議会第二小委員会,大気汚染 の測定 コロナ社

‑ 25‑

参照

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