Mem. Faculty. B. O. S. T. Kindai University No. 43 : 63 〜 72 (2020) 63
微生物由来揮発性抗菌活性物質の探索
大 池 達 矢I, 江 遁 正 平1, 松 川 哲 也I, 岡 南 政 宏1, 梶 山 慎 一 郎1, 岡 野 貴 司1
要旨
本研究では、環境土壊から単離した細菌が生産する揮発性有機化合物(M
i c r o b i a lV o l a t i l e Organic Compounds : MVOCs)
に着目し、MVOCs
による植物病原菌に対する抗真菌活性を試験した。また、植物 病原薗に対して強い抗真菌活性を示した細菌を4
株選抜し、それらのMVOCs
のGCIMS
分析を試みた。MVOCs
による抗真薗活性の結果、Mon
必 泊f r u c t i g e n a
は、使用した植物荷原薗の中で最もMVOCs
に高い 感受性を示す植物青原薗であり、今回使用した20株の細菌全てにおいて、75%以上の増殖抑制率を示した。一方で、Rhizoc白 血solaniおよび.Fusariu m勾 哩'KJrUII1fま比較的MVOCsに対し高い感剣生を示さず、強い折真薗活性を 示す細菌は少数であった。
GG
品B
分析の結果、細菌由来のMVOCs
は6
つ検出され、その内3
つのpeak
につい てライブラリーとの比較によって同定した。キーワード:揮発性有機化合物、抗真菌活性、微生物農薬
1 .
鯖 薗自然環境中において微生物は自身の生育のために様々な抗菌活性物質を生産することが知られている。
これらの微生物が生産する抗菌活性物質の一部は、有用物質として我々の生活の中で使用されており、抗 生物質や農薬、医薬品として幅広く利用されてきた。特に近年では、作物生産における植物病害防除の研 究が盛んに行われている。現行の病害防除の方法は、一般的に化学農薬が主体となっているが、環境や人 体に対する影響への懸念や近年のオーガニックフードの需要増加などによって、化学農薬の使用を減らす 取り組みが行われている
ω
。微生物由来である生物防除剤は、比較的環境への負荷が低い防除方法とされ ており、B a c i l l u s
属やPseudomonas
属、Trichoderma
属、放線菌などを用いた研究が報告されている@・6。 しかしながら、このような微生物を用いた抗菌活性物質の研究の多くが不揮発性の抗菌性物質であり、微 生物由来の揮発性抗菌活性物質の報告はそれらと比較すると少ないのが現状である。また、揮発性の抗菌 活性物質を主体とした微生物製剤や農業資材はほとんど実用化されていない。近年、一部の微生物が生産する揮発性有機化合物(M
i c r o b i a lV o l a t i l e Organic Compounds : MVOCs)
が他の微生物の生育に影響を与えると報告されている。例えば、Ba c i l l u s
属やPseudomonas
属の細菌に よって生産されるMVOCs
が植物に対して病原性を有する真菌や細菌に対しても抗菌活性を示し、様々な 病原性を低下させる事が報告されている(1,6)。また、抗菌活性のみならず、P .f l u o r e s c e n s
が生産する2 " b u t a n o n e
などのMVOCs
はシロイヌナズナの生長を促進することも報管されており、MVOCs
は、広義 的な農薬の概念として幅広い可能性を有しているω
。このように、MVOCsは様々な活性を示すことから
作物病害の防除剤としての利用や農作物の輸送、貯蔵などに関連するポストハーベストへの利用、植物生 長促進を期待した製剤など様々な農業資材としての可能性を有していると考えられる。原稿受付 2但O年1月20日、受理日 2020年2月26日
1.近畿大学生物理工学部生物工学科, T649‑6493 和歌山県紀の川市西三谷930
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