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メゾスケールの空間に対する認知地図の研究

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Academic year: 2021

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メゾスケールの空間に対する認知地図の研究

‑鳴門教育大学生と広島大学生を例として一

教科・領域教育専攻 社会系コース 坂 本 亜 衣

I  はじめに

地理学における認知地図に関する研究には、

ミクロな地域空間を対象とし、個人の直接的 経験で知識が構築されてし1く過程とそこに関 わる要因とを論じたもの(中村(1978)・岡本 (1981)・寺本 (1984)など)と、マクロな空 間を対象とし、マスメディアや学校教育など によってその認識が発達する過程や教育効果 などを論じたもの(小林(1985)・高橋(1985)・ 田中(1990)・寺本(1994)など)がある。

しかし日常的な生活空間と、たとえば日本 列島規模の大規模な空間との間には、イメー ジの形成において、マスメディア・教育など によるいわば画一的な知識(間接的経験)の みならず、ローカルな生活圏における直接的 経験や個人的に交換される間接的経験なども重 要な意味を持つ、いわばメゾスケールの空間も 存在する。本研究では、従来ほとんど検討され てこなかった、このメゾスケールの空間に対す る認知地図を取り上げる。具体的には(本研究 で事例とした大学生の生活空間では)、日本の中 の、いわゆる地方規模の空間がメゾスケールの 空間に該当するO

筆者は卒業研究において、鳴門教育大学生を 対象とし、中四園地方の都市などの位置の認知 について調べた。その結果、これらの地点の認 知に(土、高校段階における地理履修の有無と鳴 教大;こおける在学期間とが影響していることが 明らhになった。本研究ではこの成果を発展的

指導教官 立 同 裕 士

に確認するために、対象集団をさらに広げ、ま た前回調査よりも個人属性についてより詳しく 調べた。

E  調査の概要

本研究では、被調査者である鳴門教育大学 1 年生(104人)・2年生 (69人)・広島大学教育 学部2年生 (67人)に、中四国地方およびその 他の瀬戸内沿岸の府県庁所在地に若干の有名な 地点を加えた 24地点を、瀬戸内海の海岸線の みを描いた白地図に記入するよう求めた。24地 点は下記の通りである。

明 石 市 足 摺 岬 大 分 市 大 阪 市 岡 山 市 関 西 国 際 空 港 北 九 州 市 京 都 市 倉 敷 市 高 知 市 神 戸 市 下 関 市 高 松 市 徳 島 市 鳥 取 市 奈 良 市 新 居 浜 市 姫 路 市 広 島 市 福 山 市 松 江 市 松 山 市 山 口 市 和歌山市

同時に回答者の属性などに関する質問をお こなった。質問項目は、性別、居住歴、高校に おける地理の履修の有無、24地点に対する訪問 経験・頻度、幾つかの幹線交通路の利用経験な

どである。

さらに、アンケート調査では把握しきれない 個人の詳しい属性や、地図・各都市に対するイ メージを知るために、回答者の一部を抽出し、

追加の聞き取り調査を行った。

被調査者11:3グループ。とも西日本の出身者

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が中心で、鳴教生は徳島県出身者を中心に四 国出身者が、広大生は山陰出身者が多い。地 理の履修者はいずれも約 300/0程度で、あった。

また、ほとんどの回答者は出生から大学入学 まで、都道府県を越える転居を経験していな かった。

理 分 析

本要旨には個別の地点について回答の分布 状況を記述することはできないので、若干の事 例について紹介する:回答が特定の場所に最も 集中したのは下関・北九州で、逆に足摺岬・鳥 取についての回答は広い範囲にばらついている。

地理履修者の回答が狭い範囲に集中したのは倉 敷などである。特定の出身地の回答が集中的で あったのは姫路などである。高知など太平洋側 の地点に比べ、日本海側の地点(鳥取・松江) は回答のばらつきが大きい。

地点毎に、回答者および対象地点の属性が認 知位置の集団的な特徴にし、かに反映しているか を考察し、それを総括してそれらの要素のかか わり方をもとに、対象地点の分類を試みた。

①  集団の属性に関わりなく回答された位 置が共通しているのは、なによりも地図上の位 置的な特徴が明瞭であるためである(下関・北 九州)。また、特定の属性の集団が位置イメージ を共有している地点の認知位置に影響する要素 は、第ーには現住地で、出身地は副次的であり、

訪問経験はさほど意味を持っていないようであ る(明石など)。

.②  ①に属する地点よりも幾らか暖味であ るが比較的限られた範囲で位置イメージが共有 されている地点は、都市がし1ずれも瀬戸内海:こ 面していることから調査に利用した白地図の制 約(誘導)が考えられる(倉敷など)0 倉敷・山

口は現住地や出身地の影響もあるが、それ以上 に地理履修や「本州の西端j といった一般的知 識が影響している。

③  分布範囲がある程度限られているもの の、点的とはいいがたい地点もある。高知・和 歌山は「南国」という(県の)イメージが認知 位置を規定していると思われる。認知位置を共 有させる要素としては、大分などでは現住地の 影響が強く、新居浜などはどちらかといえば出 身地の影響が

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齢、ょうである。

④  共通した位置イメージが認められない 地点は、県域自体に対する認知度が低い、また は地形的特徴がなければ知名度が高く訪問経験 がある場所でも認知位置が共有されがたいこと がいえる。松江・足摺岬については現住地と出 身地の影響が認められ、京都については出身地 の影響が認められる。

なお、各地点についての回答のばらつき方に は調査に使用した地図の影響も考えられる。

W  おわりに

本研究では、回答者を属性ごとに集団に分類 し、その属性が各地点の認知位置(特にその共 通性)にし1かに関わっているかを検討した。

認知した点を地図に布置する場合、まず使用 する地図が大きく影響を与える。海岸線を頼り に回答できる地点とそうでない地点では、分散 範囲や準拠地点からの距離に差があることが分 かった。また、記入を求めた地点の属性(都市 の規模、知名度など)によっても回答は変化す る。

そして、学校での地理履修といった学習によ るもの、訪問頻度や出身地・現居住地といった 移動行動などの回答者個人の属性も認知地図に 大きな影響を与える。

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参照

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