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二事不再理」と二事不再議」

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(1)議事通則としての﹁一事不再議﹂. 既到力の封象︵客翻的範園︶. ︵=︸︶. 一 一事不再議則と一事不再理則. 一. 第三 ﹁一事不再議﹂に關する筆者の公蓮意見. ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 宗. 雄. 扁 ︶. ︵四︶ 既到力と一事不再理. 議事通則としての﹁一事不再議﹂. 二當事者主義訴訟構造と既到力. ︵三︶. 二事不再理﹂と二事不再議﹂. 系譜的研 究 の 必 要. 一事不再理則獲展の系譜. 齢. ローマ法 に お け る ﹁ 一 事 不 再 理 ﹂. 第一. 二. 既到力の限界. ﹁訴灌の浦耗﹂より﹁確定到決の効力﹂へ. ︵二︶. 三. 既到力の本質. 民事訴訟に聯ける既到力理論 ︵獅︶. 四. ︵五︶ 當事者の合意による既到力の排除 ︵六︶. 事情の攣更︵一事不再理則の妥當限界︶. 五 刑事訴訟における既到力理論 六. 刑事判決の既到力. 七. ︵二︶. 記︵高辻氏の庭論に懸えて︶. ︵鳳︶ 民事到決の既到力. 村. 第二 第二四回國會︵衆議院︶における公職選畢法改正法案の審議ーー﹁一事不再議﹂に關する論雫の経過. 八.附. 中.

(2) 一. ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 既鋼力理論ーその學説の封立 既鋼力理論と一事不再議則. 一事不再理則の系譜. 一事不 再 議 則 と 事 情 攣 更 則. 二. 四. 三. 五. むすび. ﹁一事不 再 議 ﹂ に 關 す る 質 疑 懸 答. 六 第四. 脚 ﹁一事不再議の原則﹂について 一事不再議則の存在根檬. ︵二︶. ︵六︶. 院議の尊重と審議過程の秩序維持. へ三︶. 二︵. 二. ︶. 一事不再議則の規定が存しない事由. 一事不再議則の緩和. 一事不再理則と一事不再議期との差異. 客観的事構の礎更. ︵一︶. ︵八︶. ︵器ぼωぎ. 事情攣更則の飢用. 形式的法治主義から實質的法治主義へ. ︵三︶. ︵五︶. ︵二︶. 事情攣更則の適用範園. ︵四︶ 一事不再議則と趾會憎勢の攣化. ﹁事情攣更の原則﹂について. 二大政黛封立のもとにおける意見の封立. ︵二︶. ︵七︶ 先決問題としての一事不再議則. 二. ﹁事情の憂更﹂にょる一事不再議則の排除. ﹁多敷の支配﹂と﹁寛容の精榊﹂. 議事の蓮管について. ︵一︶. ︵一︶. 三. ︵三︶. 第凶 一事不再理則護展の系譜 系譜的研究の必要. すべて制度には浩革がある︒ 否︑制度は︑浩革の所産ということができる︒ロ畜マ法の﹁一事不再理﹂.

(3) 箆oヨ︶は︑中世においてゲルマン法と合髄し︑また︑近代に至り國家椹力の伸張と︑その分割︵三権分立︶の影響が. これに絡み合つて︑制度として著しい攣貌をきたした︒﹁訴灌の浦耗﹂による﹁一事不再理﹂は︑ドイツ普通法の下. において︑﹁既濟事件﹂︵塞矯鼠9邑の効果︵抗辮︶に移り︑更に到決の効力としての﹁既到力﹂︵閑①魯おζ些︶と. なつた︒しかもこの既到力は︑民事訴訟と刑事訴訟とにおいて︑それぞれ異なる内容と機能をもつ︒更に他方︑﹁一. 事不再理﹂は︑普通法における既到力理論を通して︑會議艦における議事通則としての﹁一事不再議﹂に襲展して いる︒. すべて制度の護展には︑その背景において︑それを必然のものたらしむる力が働くと同時に︑また︑それを抑制せ. んとする反封の働きが必ずそれに件う︒現在の制度を正しく理解するためには︑かかる背景との關連において︑その ︵1︶. 護展の系譜を辿る必要がある︒既到力理論は︑訴訟法學における中心課題であり︑わが國にも︑これに關する研究. が︑藪多く獲表されている︒しかし概して現行制度を封象とした研究である︒筆者としては︑不充分のものではある ︵2︶. が︑ローマ法の﹁一事不再理﹂から︑現在の﹁既判力﹂に至るまでの獲展過程を︑制度史的立場において分析し︑序. 述した︒今回は︑それを土豪として︑前述の観黙から︑すなわち背景との關連において︑やや堀り下げたその獲展過 程の分析をしてみる︒しかしこの場合︑それは素描の程度に止まる︒. ︵1︶ 既到力に關する主なる文献︵わが國及び主としてドイッ︶については︑早稻田法學第一九雀︵昭和一五年︶所載︑拙稿︑確. 定判決の既判力六三頁以下に娼げてある︒その後の文献にっいては︑次註拙稿の各所に引用してある︒ 事訴訟理論の再構成に牧載︶︒. 三︵ 三 ︶. ︵2︶ 訴と請求並に既到力︵昭和二四年︶︒既到力の本質︵昭和三〇年︶︵民訴講座第二奮︑及び拙著︑自然科學に範型を求めた民. コ事不再理﹂と﹁一事不再議し.

(4) ニ. コ事不︑再理﹂と﹁一事不再議﹂. ローマ法における﹁一事不再理﹂. 四︵. 四. ︶. ローマ法は︑古代法制の常として︑形式的かつ纏験的である︒﹁一事不再理﹂︵莞まωぎ箆・ヨ︶も︑またそうであ. る︒訴訟制度の合目的蓮螢には︑同一事件については︑再度の審理を回避するをもつて適常とするという経験的考慮. にもとずく︒しかしこの法則は︑一度︑訴を提起すると訴灌が消耗せられて︑再び同一の訴を提起しえないという素 朴な物理的法律観によつて根擦づけられている︒極めて形式的な理論である︒. 二事不再理﹂は︑現象的には事件の訴訟係圃︵ま︒︒8馨霞呂o︶の効力である︒しかし﹁訴灌の浦耗﹂︵鐘ご8や. 召登一ξ︶という︒それは︑一事不再理の根擦を﹁事件﹂の主騰面︑すなわち當事者のうちにこれを求めるものに外. ︵3︶. ならない︒アクチオ法制の下︑當事者問の合意︑すなわち﹁認訴﹂︵蒙ω8具裟呂o︶が︑訴訟成立の基礎となつてい. る︒一事不再理も︑また︑その妥當根篠をこの當事者の﹁認訴﹂にまで遡らしめる制度である︒當事者が︑含意︵認 ︵4︶. 訴︶によつて︑一度︑訴訟を成立せしめたならば︑同一事件につき再度の合意を求めえないとする︒ここに︑英法に. 中村英郎︑訴訟の目的概念の生成過程︵早稻田法學三一巻一・二合朋︶五七頁︒. おける禁反言︵窪o薯3の法理の繭芽が見出される︒ ︵3︶. のとして︑花岡敏夫博士︑えすとつぺるノ法理ヨリ見タル到決ノ既到力︵大正五年︶︒. ︵4︶ 英法においては︑到決の既釧力は︑﹁記録による禁反言﹂︵霧8唇色ξお8門山︶の一場面とされている︒文献省略︒古いも. ロτマ法のアクチオ法制にては︑未だ実騰法と訴訟法とは︑未分離の状態にあつた︒從つて﹁訴灌の消耗﹂は︑そ ︵5︶ れと不可分の關係において﹁権利の確定﹂を件う︒到決が︑更改︵ぎ養き︶の効力をもつといわれるゆえんである︒.

(5) また︑一事不再理は︑訴訟手績の上において︑鴬事者の﹁認訴﹂による訴灌消耗の効果とざれているから︑その効力. は︑訴の提起とともに始まる︒これを現代の訴訟制度と比較するならば︑重複訴訟の禁止︵民訴⁝三條︶と確定到決 の既到力︵民訴一九九條︶とを併せたものが︑一事不再理の効力である︒ 前註︵3︶の論文五八頁︒. ﹁訴権の消耗﹂より﹁確定到決の効力﹂ヘ. ︵5︶. 三. ドイツ普通法の下において︑實艦法と訴訟法とが漸次的に分解した︒それは︑近代國家における司法灌の拡大張化. にもとずく︑訴訟の國家制度としての機能の増大に件えるものであり︑ドイツ各州において︑相踵いで訴訟法典が編. 纂されたことは︑この趨勢を示すものに外ならない︒一五三二年のカロリナ刑法典︵8臣艶&09B嘗Ω⊃冴○鎧呂醤︶. は︑アクチオ分解の初期における法典であり︑現代的意味における實艦法と訴訟法とが︑ともに︑これに盛り込まれ. ていた︒しかしその後二百年︑ドイツ普通法中期に至り︑ドイツ各州は︑三〇年戦箏の疲弊から腕して︑漸次︑國内. 騰勢の整備に赴き︑まず・ーマ法の藩絆を脆した訴訟法典が︑實艦法典に先立ちて制定された︒一七二四年のザクセ ︵6︶ ン訴訟並に裁到所法︵○げ賃凄肇浮ぼω警訂諄ぎ勺き器宰鐸&○蝕魯デO置雲轟<oヨ嵩隠︶︑一七五三年のバイエ几. ン裁到法典︵○&象甘岳野養憎叢﹃&§9︒&ぎ萄一︑N鵠︶︑一七八一年のオーストリー普通裁到所法ハO一︒≧蒔︒目蝕需. −. 五︵. 五. ︶. ○︒旨ぼ8&雲夷ぎ旨一刈o︒一︶︑一七九三年のプロシア普通裁判所法︵︾一一ぴQ窪邑需︵溶ユ9窃o箆昌霞韻︷騨島︒即︒蕊? 一ω3窪ω雷讐窪︶などである︒. ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 、.

(6) ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 六︵. ︵6︶ 藷稿にては︑一七八○年としたが︑ここで訂正しておく︒前掲拙著︑民事訴訟理論の再構成二八九頁︒. 六. ︶. このように訴訟法典が︑まず制定されたことは︑アクチオ法制の単一髄系が分解して︑實艦法と訴訟法とが︑それ. ぞれ異別の法艦系の構成に赴けることを示す︒實艦法と訴訟法とが分離すれぼ︑﹁一事不再理﹂は︑訴訟法上の事項. に厨することになる︒ドイツ普通法においては︑專ら後訴における抗辮︑すなわち﹁既濟事件の抗辮﹂︵︒蓉8ぎ憲 且一8奮﹀としで論じられた︒. める︒これには︑管ーマ法におけるコ事不再理﹂の形式理論が︑その儘に承纏されている︒ただ︑その根嫁が︑﹁訴. た︒しかし到決理由とは無關係に︑同一事件につき再訴を許さない︒既濟事件そのものに二事不再理﹂の効力を認. て一事不再理の効力を生ずべき事件が特定されたのに封し︑事件に翼する﹁鋼決﹂によつてそれが定まるものとレ. られた﹁事件﹂そのものにこ事不再理﹂の効力を認めた︒すなわちローマ法においては︑當事者の﹁認訴﹂によつ. 理論の攣貌には︑段階がある︒既濟事作といえば︑﹁到決を経た事件﹂のことであるが︑初期においては︑到決せ. 家意思︵到決︶へと︑制度の重黙が移行するに伴い︑﹁一事不再理﹂の理論に多くの攣貌を生じた︒. 善巽○&きぎ︶が背景となれる理論とみることができる︒かくしてローマ法における﹁當事者意思﹂︵前出︶から︑國. 事件﹂のかたちを通して︑判決に二事不再理﹂の効力を遡らしめるものであり︑近代國家における灌威思想︵雲δ昏. なわち到決を輕た﹁既濟事件﹂︵目霧一且陣爵寅︶それ自盤に︑一事不再理の根嫁を求めることになつた︒これは︑﹁既濟. うが如き︑素朴な理論によつて︑この制度の根豫づけを行うことはできない︒事件につき確定鋼決があつたこと︑す. 問題は︑この﹁既濟事件の抗辮﹂の成立根擦である︒近代國家ともなれば︑ローマ法における﹁訴灌の消耗﹂とい. い.

(7) 灌の消耗﹂から︑﹁既濟事件﹂に移り︑從つて効力の始期が︑當事者の﹁認訴﹂︵まの8讐婁亀o︶から︑到決の確定 へ7︶. ︵8︶. 時まで引下げられたというに止まる︒ドイツ普通法中期に至るまで︑すなわちアクチオ分解の途上における﹁既濟事. 件の抗辮﹂に關する訴訟手績理論がそれであり︑また︑英法におけるコ一重危険︵&菩︸ε8短&一£の防止﹂の制度 もこの段階に厨する︒. ︵7︶ アクチオの未だ完全に分解しない法制︑すなわち訴訟法が實髄法から濁立した燈系をもつに至らない法制の下においては︑. により︑訴訟手績上︑その一方が行使しえないことは︑アクチオそれ自髄の不成立とされた︵初期のアクチオ競含理論︶︒こ. 訴訟封象︵事件︶についての訴訟手績上の効力は︑それと不可分の關係に痴いて實髄法上の効力を内含する︒アクチオの競合. あつた︒. の時代におけるo蓉8ぎ窓こ&ぽ讐器は︑﹁既濟事件﹂︵お︒︒甘岳8冨︶そのものに一事不再理の効力を認める形式的抗辮で ︵8︶ これは︑日本國憲法第三九條の背景をなしている︒. 前述︑﹁既濟事件の抗辮﹂理論には︑到決の効力が直接織り込まれていない︒從って理由のいかんを問わず︑同一. 事件については︑再訴を許さないとする︒これは︑極めて素朴な理論であり︑・ーマ法の一事不再理理論から︑一歩. も踏み出していない︒民事訴訟の分野にては︑ドイッ普通法中期︑訴訟法の濁立艦系化と相關的に實艦法艦系が充實 するに律い︑この理論では賄い切れなくなつた︒. ドイツ各州は︑前述した訴訟法典の制定と併行して︑ユスチニアン法典に代わる實艦私法典の編纂に没頭した︒そ. れは︑實髄法膣系が漸亥充實すると同時に︑また︑司法灌の鑛大強化をも意味する︒一事不再理についても︑民事訴. 七︵. 七 ︶. 訟に關しては︑到決の内容に立ち入つて︑その効力範園を定める方向に赴いた︒これは︑確定到決に︑一事不再理︑ ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(8) ﹁一事不再理﹂とコ事不再議﹂. 八︵. 八 ︶. すなわち﹁既濟事件の抗辮﹂の根朦を求めることに婦する︒すべて確定到決は︑當事者冊において﹁法﹂としての効. 力をもつ︒從つて︑到決が確定するとは︑それが﹁法﹂としての効力をもつことであり︵§露︒︒犀感︷壽記凌︶︑同一事. 件につき再訴を許さないのは︑到決の﹁法としての効力﹂︵寄9冴ξ翼︶にもとずく︒それを﹁既到力﹂という︒前. 述一七五三年のバイエルン訴訟法典第一四章第二條︑一七八一年のオーストリー普通裁判所法第二五八條︑降つて. 一七九三年のプロシア普通裁判所法総則第六六條は︑﹁既到力ある到決﹂︵矯畠δぎ饗凝窪C二︒εの効力を規定して. いる︒なお︑一八〇四年のフランス民法第二二五一條は︑﹁到決の目的﹂︵い︑9寅身冒σQ①旨︒目︶につき︑﹁既濟事件の. 灌威﹂︵い︑窪葺譲3鼠畠8︒冒αQ曾︶を生ずる旨を規定する︒これは︑一般に︑前述したドイツ普通法における確. 定到決の既到力と同義に解されているが︑規定それ自髄としては︑﹁既濟事件﹂︵5畠・器冒鴨ρ器三包塁邑をも. つて︑こ事不再理﹂の根嫁となし︑系譜的には︑ドイツ法よりも前期に属するとみるべきである︒. 前述の翫判力理論は︑﹁︑一事不再理﹂をもつて確定到決の効力とするものである︒從つて再訴におけるコ事不再. 理の抗辮﹂も︑また︑・ての根嫁を前訴の確定到決にこれを求めなければならない︒﹁既濟事件の抗辮﹂︵田自亀¢号﹃. 冨9諾ぎ琴凝窪巨乞&窪窪ω蓉﹃︶には︑単に一事不再理という消極的︵形式的︶機能の外︑到決内容を雫いえな ︵9︶ いとする積極的︵實艦的︶機能をもつとするに至つた︵ケラー︶︒要するに實艦法と訴訟法との艦系的に分離した法. 髄系の下に︑ローマ法から引縫がれた震8旨oお二&一8衝Φ︵跣濟事件の抗辮︶は︑訴訟上の事項に属するが︵前出︶︑. なお︑實腔的内容をもつということである︒それと同時に︑この抗辮は︑前訴の確定到決の効力にもとずくのである. から︑到決の確定以前における再訴︵重複訴訟︶には︑未だこの抗辮灌が護生していないことになる︒この場合に.

(9) ︵m︶ は︑﹁読濟事件の抗辮﹂に先驕する﹁訴訟係驕の抗辮﹂︵段8嵐o惹言甘島鉱§・結を9器︶によるべきものとした︒. 前揚拙著︑民事訴訟理論の再構成二九五頁︒なお︑法源の解繹として︑窓㏄甘象8冨は︑﹁到決せられた事件﹂︵替αQ窪牌亀R. 知①魯塞8訂︶︑すなわち﹁既濟事件﹂を指すが︑﹁既到力ある鋼決﹂︵語︒窪降鼠庄αq霞¢旨巴︶をも意味したとする︵拙著前. ︵9︶. 掲二九〇頁註三︶Q. ︵10︶ 要するにローマ法の﹁一事不再理﹂︵きぼ㏄嘗箆①ヨ︶が︑﹁訴訟係鵬の抗辮﹂と﹁既濟事件の抗辮﹂とに岐れたことになる︒. 前述したところを要約するならば︑ドイツ普通法の下において︑ローマ法における訴権消耗理論に代わり︑後訴に. おける不再理の根腺を確定到決の効力に求める方向に赴いた︒これは︑近代國家における灌威思想の一つの現われと. みるべきものであり︑既に表示された﹁國家意思の奪重﹂ということが︑この制度の背景となつている︒確定判決の. 既到力にも︑また︑議事通則としての一事不再議則にも︑﹁國家意思の尊重﹂が︑そのバックボτンをなしているこ. 民事訴訟における既到力理論. とを見落してはならない︒. 四. 既到力は︑これを訴訟手績上からみれば︑後訴における前訴確定到決の拘束力に外ならない︒その拘束力は︑前訴. 確定到決の効力であり︑﹁國家意思の尊重 一に遡る制度であることは︑前述した如くである︒. 到決は︑﹁訴訟の封象﹂︵零8窃紹品窪匿注︶となれる事件︑すなわち當該﹁訴訟の目的﹂についてなされ︑それに. ﹁既判力﹂を生ずる︒既到力は︑到決の効力である点においイ︑﹁訴訟法上の効力﹂であると同時に︑當該﹁訴訟の目. 九︵ 九 ︶. 的﹂たる灌利關係を確定する黙において曇貝膿法上の効力﹂でもある︒また︑到決の封象︑すなわち當該﹁訴訟の目 ﹁︸事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(10) ﹁一事不再理﹂と﹁扁事不再議し. 輔○︵一〇︶. 的﹂たる灌利關係には︑事實面と法規範面とがある︒それ等のうち︑いずれをもつて︑理論の﹁出護黙﹂となすか. ︵謝壷黙誉難耀︶髪つて︑既勢理強︑分岐していく.. 既到力理論は︑第十九世紀の前牛︑歴史法學派の下に︑ドイツ︑バンデクテン法学が︑その理論を精緻ならしめ︑. 艦系の整備に赴ける時代において︑濁自の法理を組み立てた︒最初のものが︑實禮法的既到力説であり︑これは︑國. 家法︵訴訟法︶に封する市民杜會法︵私法︶の優位を背景とする理論である︒國家法の優位に立つ訴訟的既到力説の. 擾頭したのは︑一八七七年ドイッ民事訴訟法の制定以後のことに属する︒また︑既到力の勤象につき︑﹁請求の原因﹂. と﹁訴訟上の請求﹂とを巡ぐれる論箏︵後蓮︶は︑更にそれ以後︑この世紀に入つて後のことである︒これには︑實. 騰法の法律要件に依嫁して既到力の客鶴的範團を限定せんとする立場と︑灌威思想を背景とし︑裁到所の裁量範園蹟. 大を意圖する立場の相剋がみられる︒しかし︑後者の立場は︑ナチス訴訟理論へと獲展した︒ を ︵一︶既到力の本質 到決の効力としての﹁既到力﹂の淵源をいずこに求むるかの間題である︒アクチオ法制. の下にては︑﹁一事不再理﹂の形式的効力は︑それと不可分に灌利關係の確定という實艦的効力を律う︒しかし訴訟. 法の濁立艦系化により︑前述の如く﹁既濟事件の抗辮﹂は︑一事不再理を内容とする訴訟上の事項とされた︒訴訟上. の二事不再理﹂が︑何故に實艦法上の灌利を確定する効力をもつか︒すなわち︑アクチオの分解により︑實髄法と 訴訟法とが異別の法艦系を構成するに至つて擁頭した間題である︒. ローマ法において︑當事者の﹁認訴﹂による訴権浦耗の理論は︑到決が更改︵ぎ奉ぎ︶の効力をもつとする理論を. 必要とした︵前出︶︒鴬初においては︑この理論をその儘承縫して︑到決に更改の効力ありとし︑確定到決をもつて︑.

(11) 濁立の﹁灌原﹂. ︵11︶. ︵葺β2呂邑とみた︒當時の民法典のうちには︑その趣旨の規定を織り込んだものもある︒しか. しそれは︑﹁誤到﹂について問題を生じた︒﹁誤到﹂は︑畢寛︑實膣法に依檬しない裁到であるが︑何故にその到決の. 確定により既到力を生じ︑實髄法上の新灌原となるかということである︒ローマ法のアクチオ法制にては︑實髄法と. 訴訟法とが分離していない︒從つて當事者の﹁認訴﹂による﹁訴灌の浦耗﹂という形式的効力は︑それと不可分の關. 係において︑﹁灌利の確定﹂を︑それに随件せしめた︒しかし實膣法と訴訟法とが完全に分離した法制の下にては︑. そのような理論は妥當しない︒アクチオ分解の途上︑曖昧とせられていたこの間題が︑第十九世紀の中葉以來︑それ. が論雫の封象となつた︒銑到力ある到決の﹁不可孚﹂を規定した前記ドイッ民法第一草案第一九一條は︑第二草案以 下において削除されている︒ Zフ ン ス 民 法 ︵ 一 八 〇 四 年 ︶. 第二二五一條既濟事件の灌威は︑當該裁判の目的をなすものに關しなければ存しない︒. ︵11︶. そのためには訴求された事件︵事物︶が同一であること︑その訴求が同一の原因にもとずくこと︑その訴求が同一當事. 者の間に生じ︑かつその者のため並びにその者に封し同一の灌原︵2鑑邑をもつてなされたることを要する︒. 孚いある灌利關係が既判力ある裁剣により確定されたときは︑その裁判にもとずき︑濁立した灌利が追求されう. ザクセン民法︵一八六三年︶. る︒. 第一七六條. 第一〇〇六條ある債灌が債灌者に封し︑既判力ある判決若しくは仲裁判断により否認されたときは︑その債椹は消滅する︒. 一一︵一一︶. 既鋼力ある到決は︑當事者問の法律關係について基準となる︒既剣効をもつて承認されたところのものは︑最早. ドイツ民法第一草案 第一九一條. や孚うことはできない︒既封効をもつて否認ざれたところのものは︑最早や主張されえない︒. ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(12) 二事不再理﹂とコ事不再議﹂. 一二︵二輔︶. 既鋼力ある判決の効力は︑これを弛棄しうる︒裁判所は︑既到効が主張された場合にのみ︑ユ︑れを考慮することができる︑ ︵12︶. 既到力の淵源を實艦法に求める理論を︑實騰法的既到力読︵e舞包亀お魯岳象①寄3那ζ興チ8旨︶という︒實罐法. において︑到決をもつて椹原とする規定を設けていない限り︑この學説にては︑誤判の場合における既到力の根嫁を. ︵B︶. 説明することができない︒パーゲンシュテッヘルは︑ローマ法の﹁認訴﹂を範型として︑當事者の訴訟における宣言. 的契約に︑また︑クリュックマンは︑﹁灌利占有﹂の理論に︑それぞれ︑到決の實艦的確定力の根擦を求めた︒しか. しそれは︑軍なる封比に止まり︑既到力の實艦的根嫁を論護したものとはいい難いものである︒訴訟法學の主流は︑. この規定を巡ぐる解繹は︑. いずれも. 既到力をもつて實艦法と拘わりなき訴訟法上の効力とする訴訟的既到力読︵一︶3諦器彗一Φ菊a器ξ彰夢8膏︶へと赴い た︒. フヲンス民法典には︑前記﹁既濟事件の椹威﹂に關する規定がある︵民一五三一條︶︒. 到決に封し︑實燈法の領域における樫原︵2鑑参︶性を認める理論とみられる︒民事訴訟法學會における江藤粉泰氏報告︑. ︵12︶. 以上︑これをドイッ法と封比するに當りては︑フブンス民法に﹁既濟事件の穰威﹂に關する規定の存するということの外︑. ﹁フランス法における既到力概念に關する學読の叢展について﹂︵民訴雑誌第四號掲載豫定︶参照︒. いわゆるローぐ法式編纂方法︵ぎの蜂舞δ羅塁務おB︶により︑實燈法と訴訟法とが︑パンデクテン式編纂方法︵評&鼻8亭. ︒︒冨9旨︶によれるドイッ民法におけるが如く︑完全に分離されていない購に留意しなければならない︒. ︵13︶ 拙著︑訴と請求並に既鋼力︵昭和二四年︶三五〇頁以下︒前拐︑民事訴訟理論の再構成三〇〇頁︒. 訴訟的翫到力説は︑到決の既判力の淵源を專ら訴訟法に求めて︑實艦法に遡らない︒確定到決の銑到力をもつて︑. 箪に再訴の受訴裁到所をして︑前訴確定到決と矛盾した到決をなさしめない訴訟法上の効力であるとする︒これは︑. ローマ法の﹁一事不再理﹂におけるが如く︑既到力をもつて︑專ら形式的効力とみるものであり︑ザウエルは︑批評.

(13) G っき舞臣①ヨ象蝕①一写菊︒︒︸蕊ξ魯象︒︒§色毎・αQ っ霞駄¢旨①蔚し8炉ω﹂寅. へ14︶. して︑民事訴訟の分野においては︑既判力學説が︑ローマ法の一事不再理則に後退したという︒肯繁をえて添る︒ a︶. 確定到決の既到力を︑輩に後訴の裁到所を拘束する手綾法上の形式的効力と理解すれば︑實艦法的既判力説をデ帥︑. ドロックに乗上げしめた﹁誤到﹂の問題は︑簡軍に解決される︒否︑その問題から回避した學説なのである︒しかし. それに代わりこの學説には︑他の面に難關が横たわる︒それは︑後訴の裁到所を拘束する根嫁︑すなわち形式的効力 ︵15︶. 前掲拙著︑民事訴訟理論の再構成三〇二頁以下︒訴と請求並に既判力三五七頁以下︒シュタイン︑ヘルウィックは︑既釧力. としての既到力の成立根捺である︒これに關しては意見が多岐に岐れ︑しかもそのいずれも︑安當な根撮を示したと はいい難い︒ ︵15︶. る︒それには︑成交法上の根擦を敏くばかりでなく︑その間の理論的連關も明かになされていない︒ローゼンベルグは︑既到. の後訴に婁する拘束力は︑判決の言渡により受訴裁判所を拘束する鵬束力︵濁民訴︑一二八條︑日藷民訴二四〇條︶に遡るとす. 力ある到決により確定された法効果について︑﹁新たな審理並びに裁判を排除すること﹂に既判力の本質が存するという︒そ. ヨ鑑嗅魯︶なるものに既到力の根豫を求める︒しかしそのいわゆる﹁一回限りの原則﹂とは︑訴訟手綾における﹁一事不再. の何故かの説明が歓けている︒また︑ボェッティッヘルは︑﹁訴訟纒濟﹂に底礎する﹁一回限りの原則﹂︵の毎⇒駐碧NαR国ぎ. 理﹂を訴訟制度一般の公準に昂めたに止まり︑表裏の關係にある︒問題は︑かかる原則乃至公準の成立根嫁である︒﹁訴訟経. 濟﹂が︑その背景をなしていることは碓かであるが︑﹁訴訟経濟﹂というが如き脛濟理念から︑直ちに︑法の世界におけるコ. 回限りの原則﹂︑從つて﹁一事不再理﹂という手綾規髄は生まれて來ない︒法規範的根擦が必要である︒. ︵16︶. 元來︑訴訟的既到力説は︑實盤法と拘わりなく︑確定到決に既判力を生ずるとなすのであるから︑結局︑裁到それ. コニ︵ご二︶. 自艦︑すなわち裁到において顯現される國家意思︵裁到意思︶に既到力の成立根嫁を求めるものである︒從つて裁判 コ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(14) ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. を離れて︑別途に既鋼力の成立根檬を求めることはできない︒學読の分岐するゆえんである︒. 一四︵一四︶. 裁到は︑國家意思の宣言であり︑それは︑裁鋼の依擦する實艦法に内存する立法意思︵一般的抽象的意思︶と︑個別の裁勤. において働く裁鋼意思︵個別的具膣的意思︶の複合したものとみられる︒拙著︑マルクス主義理論と訴訟法學︵訴訟法學とそ. ︵16︶ の革新︶︵昭 和 二 五 年 ︶ 一 五 頁 以 下 ︒. 確定到決の既到力は︑後訴に封する拘束力であり︑專ら訴訟手績上の効力として機能する︒既到力をもつて︑訴訟. 手績上の効力とする訴訟的既到力説は︑その限りにおいて正しい︒しかし更に遡つて︑この訴訟手績上の効力の護生. 根嫁に及ばない︑いわば部分理論である︒ここにも︑訴訟法的一元観にまつわる宿命的鉄陥を露呈している︒. 到決︵本案到決︶は︑訴訟法によりて成立し︑實髄法に依篠した内容をもつ︒從つて到決には︑實艦法的性格と噺. 訟法的性格とが︑ともに内存する︒確定到決の効力としての﹁既到力﹂も︑また同様である︒それにも拘らず︑實艦. 法的既到力説は︑専らそれを實艦法上の効力とし︑訴訟的既到力説は︑反封にそれを專ら訴訟法上の効力とする︒端. さざるゆえんである︒既到力の本質乃至淵源︵その成立根嫁︶は︑更に高次の段階からこれを探求しなければならな い︒法規範的既到力読︵容︒ぼω昌9ヨ魯ぎ菊9穿葵箪距一ぽo密︶が︑それである︒. 法規範的既判力學説は︑訴訟法學の分野においては︑初めザウエルが提唱せるものであり︑筆者の既到力理論も︑. この系列に鵬する︒確定判決が︑既到力をもつのは︑到決が具体的法規範の宣言であることにもとずくとする學説で ︵茸︶. ︵18︶. ある︒﹁誤到﹂も︑また國家の裁到意思にもとずく具艦的法規範の宣言であり︑實存の灌利とは︑筆者の見解によれ. 前掲拙著. 訴と請求並に既到力三八一頁以下. ば︑規範抵鰯︵Z巽営窪ぎ色帥﹃︶の關係におかれる︒この學説の詳細については︑別著に譲り再説しない︒ ︵17︶.

(15) ︵18︶. ﹁既濟事件﹂︵誘一&討邑にコ事不再理﹂の効力を認める當時においては︑もとよゆ. 前註拙著三七五頁以下︒前掲︑民事訴訟理論の再構成三〇六頁以下. ︵二︶既到力の限界. その効力は︑﹁事件﹂それ自騰について生じ︑また︑﹁事件﹂の關係者一同を拘束する効力であつた︒しかしコ事不. 再理﹂をもつて︑既濟事件についての﹁到決の効力﹂とする理論の下においては︑そのコ事不再理﹂は︑當然︑到. 決の効力範園によつて限界づけられなければならない︒かくして︑既到力の効力範園が︑それに他の事情も加わり︑ ちくじ縮少されてきた︒. ﹁事件﹂には︑事實面と法規範面とある︒しかして到決は︑法規範的効力を内容とするが故に︑既到力は︑﹁事實﹂. について確定力をもたないとの理論がそれである︒また︑二當事者主義訴訟は︑當事者慮分灌主義︑同辮論主義を背. 景とするが故に︑到決の効力は︑當然︑當事者間に限定されなければならない︒從つて既到力は︑原則として當事者 ︵19︶. 問にのみ生ずる︵主観的限界︶︒しかもその効力は︑到決理由のうち︑到決主文に包含されるものに限定されるよう. この浩革については︑齋藤秀夫教授︑到決主文と既剣力の範園︑法學八巻︵昭和一四年︶四號﹂頁以下. になつた︒これが現代の制度となつている︒ ︵19︶. ︵三︶ 既判力の封象︵客観的範園︶. 確定判決の既到力は︑當該訴訟の封象︑すなわち﹁訴訟の目的﹂について生ずる︒﹁訴訟の目的﹂が︑既到力の生. ずべき封象となり︑また︑それを限界ずける︵客観的範園︶︒民事訴訟法學にいう﹁訴訟の目的﹂は︑訴訟における. 一五︵一五︶. 審理・到決の封象をなすのであるが︑軍なる杜會的な紛雫事實そのものでない︒民事訴訟は︑紛箏の法律的解決を目 ﹁一事不再理﹂と︸︑一事不再議﹂.

(16) ↓. 嚢去請求一. (訴訟法)適用さるべきr法規範面」(実体法). 一六︵. 一六︶. 到決の封象として﹁訴訟﹂において主張される︒從つて﹁實艦法的性格﹂と﹁訴訟法的. ﹁訴訟の目的﹂は︑かかる具燈的な法律事實關係であり︑それが原告によつて︑審理・. れなければならない︒法律要件の充足にょつて︑その法効果としての灌利が成立する︒. 的な灌利を主張する︒それには︑具髄的事實により︑實健法の定める法律要件が充足さ. それには︑﹁事實面﹂と﹁法規範面﹂とが内在する︒また︑原告は︑訴訟に診いて具醗. 評贋を與えた若しくは法律の型に嵌めた具艦的事實である︒從つて圖表に示すが如く︑. 詳言するならば﹁訴訟の目的﹂は︑紛孚事件につき︑原告がその主観によつて法律的. 象となる︒すなわち﹁訴訟の目的﹂である︒. ︵法律事實︶による裏付けがなけれぱならない︒それが︑訴訟における審理・到決の封. 法上の法律要件を充足し︑その法効果として原告の灌利主張を正當化するところの事實. する.︑從つて原告の罐利主張には︑法律上の根腺となるべ一き具艦的事實︑すなわち實艦. 椹利主張︵法律上の主張︶にっき︑裁到所が︑到決によつてその理由ありや否やを到噺. 指す制度であり︑原告︑被告の封立する二嘗事者主義訴訟構造の下においては︑原告の. ﹁輔事不再理﹂と﹁ 一事不再議﹂. 姻 へ請求の原因︶. 1,具体的事実により ︵請求の趣旨︶. 一騨曇事件欝箏 劇﹂. 2,法律要件が充足されること. ︸講酷一. 紛争の「事実面」. といい︑また︑実膣法に依擦する客健的な請求根嫁として︑ それは﹁権利若しくは法律關係﹂として形相する︵圃表. ﹁訴訟の目的﹂は︑これを一義的に把握しえない︒ 訴訟における主髄的な灌利主張として︑それを﹁訴訟上の請求﹂. 性格しとが︑ともに﹁訴訟の目的﹂ に内存する︒. r訴訟の目的」(訴訟対象)の分析.

(17) 参照︶︒すなわち︑﹁訴訟の目的﹂は︑﹁訴訟上の請求﹂でもあり︑また︑到決を受くる範園における﹁権利若しくは法. 律關係﹂ともいいうる︒それは︑訴欺に記載する﹁請求ノ趣旨及原因﹂によつて開示される︒. 既到力の客観的範園は︑その封象となる﹁訴訟の目的﹂をいかに把握するかにより廣狭の差異を生ずる︒﹁請求原. 因﹂に重馳をおく立場においては︑既到力は︑原告が﹁請求の原因﹂として主張する﹁灌利若しくは法律關係﹂につ ︵20︶. いて生ずるものとし︑﹁訴訟上の請求﹂は︑それを表示する﹁請求の趣旨﹂によりて︑既到力の及ぶ範園を限界づけ ︵21︶. るに止まる︒從つて事實關係が同一であつても︑異なれる法律要件の充足により成立する﹁権利若しくは法律關係﹂. に既到力は及ぱないものとする︒例えば不法行爲を請求原因とする請求を棄却した確定到決は︑同一事件につき債務. 請求原因についても︑事實面と法規範面とがある︒本文に蓮べる既判力理論は︑その法規範面に重黙をおく︒これに封し︑. 例えば︑十萬圓の貸金のうち︑五萬圓を請求する場合には︑五萬圓について到決され︑その限度において既判力を生ずる︒. 不履行を請求原因とする請求に︑その既到力を及ぼさない︒. ︵21︶. ︵20︶. 刑事訴訟法學に痴いて︑既鋼力の客観的範園を定める基準を﹁公訴事實の同一性﹂におく理論は︑ここにいう﹁請求原因﹂の. 事實面に重驕をおくものといえよう︒現在︑民事訴訟法學の銑判力理論には︑請求原因の事實面に重黙をおく理論は存しない︒. 實践的にその可能範園を擾大するために編み出された理論であつて︑既判力理論とは關連をもたない︵前娼拙著︑民事訴訟理. 請求原因に關する︑いわゆる﹁事實記載説﹂︵實髄化説ω仁ぴ逡睾臥o凄鑛ω島8ユo︶は︑訴の憂更を許さない法制の下において︑ 論の再構成二 四 七 頁 ︶ ︒. かつてドイッ著通法の下︑﹁既湾事件﹂に﹁一事不再理﹂の効力を生ぜしめた︵前出︶︒この場合︑﹁既濟事件﹂とは︑到決. 一七︵扁七︶. された肚會的事實としての﹁事件﹂であり︑﹁訴訟の目的﹂として法律的評償される以前のものとみるべきである︒英法にお けるコ一重危瞼の防止﹂により︑再起訴を免れる﹁行爲﹂も︑また︑同様と考える︒. ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(18) ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 一八︵一八︶. これに封し︑﹁訴訟上の請求﹂に重鮎をおく學読もある︒﹁講求の原因﹂から切り離した﹁訴訟上の請求﹂は︑實艦. 的内容を訣いた﹁到決の申立﹂若しくは﹁灌利保護の要求﹂ということになる︒この學読の下︑かかる﹁訴訟上の請. 求﹂が審理・到決の封象となるのであるから︑當該﹁訴訟上の請求﹂を支持するすべての請求原因について既到力を. 生ずる︒從つて前例と異なり︑不法行爲を請求原因とする請求を棄却した到決は︑同一事件につき債務不履行を請求 原因とする請求に既到力を及ぼすこととなる︒. これでは︑審理を経ない實髄法上の請求並びに請求原因につき既判力を生じ︑審理充足の理念に反する︒ニキッシ ︵22︶ ユは︑原告の主張により審理・到決されたところに既到力を生ずといい︑また︑ロTゼンベルグは︑到決は︑審理さ ︵23︶ ︵24︶ れなかつた請求︵實髄法上の請求︶については既到力を及ぼさないという︒いずれも︑論理の一貫しない主張である︒. 前娼拙著︑ 訴 と 請 求 並 に 既 鋼 力 一 五 〇 頁 ︒. これ等の見解に從えば︑訴︑すなわち﹁灌利保護要求﹂の範園と︑既到力の範園は一致しないことになる︒ ︵羽︶. 既到力と一事不再理. ︵2 4︶ 前註並びに前々註の個所参照︒. ︵23︶ 前掲拙著︑民事訴訟理論の再構成一九六頁︒. ︵四︶. ローマ法における﹁一事不再理﹂は︑﹁訴灌の消耗﹂により再訴を許さないとする訴訟手綾上の効力であつた︒ド. イツ普通法に尉ける﹁既濟事件の抗辮﹂も︑同様である︒ところが︑確定到決の効力としての﹁既到力﹂には︑本來︑ へ25︶ このような後訴を拘東する手績法上の効力は存しない︒そのためには︑特別の規定を必要とする︒. ︵25︶ 一八七七年のドイツ民事訴訟法は︑重複訴訟については︑これを﹁訴訟係厨の抗辮﹂︵田葭ao山R男o︒露昏ぎαQ蒔ぎε︾.

(19) して︑妨訴抗辮の一に組み入れ規定した︵醤二四七條三號︑現二七四條四號︶︑しかし確定判決については︑箪に既到力︵沁? oぼ葵鍔εをもつ旨を規定するに止まる︵茜二九三條︑現三二二條︶︒. 確定到決は︑直接には︑同一事件に關する後訴を許さない手綾法上の効力をもたない︒ただ︑それと異なる判決を ︵26︶. 許さないとするに止まる︒實髄法的既到力読によれば︑確定判決は︑樺利確定の効力をもつが故に︑再訴の受訴裁判. 所が︑前訴到決と異なる判決をなしえないことは當然である︒この黙︑法規範的効力読によるも︑同一の結論に到達. ローゼンベルグのいう如く︑同一事件につ. ﹁新たな審理並びに裁到を排除すること﹂が︑後訴に封する前訴確定判決の既到力ということになる︒. ︵27︶. する︒訴訟的既到力説も︑また︑いろいろ根嫁を求めているが︑結局︑ き︑. ︵26︶ 一八七七年のドイツ民事訴訟法が︑既到力を妨訴抗辮に組み入れなかつたのは︑嘗時︑實騰法的既釧力読の時代であつたこ. 前註︵15︶参照︒. とによるQ ︵27︶. かくして現在の既到力制度の下に於いては︑前訴確定到決の既判力の及ぶ場合であつても︑なお︑再訴を妨げな. 二事不再理﹂の攣貌である︒. コ事不再理﹂である︒ただ︑再訴を許さないとするローマ法的な﹁一事不再理﹂は︑現在において行われ. い︒しかし異なれる到決をなしえないのであるから︑その限りにおいて再度の審理も行われないことになる︒結局に. おいて︑ ていない︒. しからぼ︑前訴確定到決の既到力の及ぶ再訴は︑いかにこれを庭置すべきか︒﹁訴の却下﹂か︑或いは︑﹁請求の棄. 却﹂か︒これは︑訴訟要件︵訴訟上の障碍︶と本案要件との間に︑要件事項をいかに配分するかの問題にかかる︒既. .. 一九︵一九︶. 到力は︑訴訟法的性格と實艦法的性格とを︑ともに内存せしめていることは︑前述した如くである︒しかしてすべて ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(20) コ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. ︵28︶. 二〇︵二〇︶. 訴訟法的性格をもつ事項を訴訟要件に組み入れる立場に影いては︑既到力は訴訟要件に風する事項となる︒これに封. し︑筆者は︑實艦法的性格をもつ事項は︑これを本案要件に組み入れる立場をとる︒從つて既鋼力は︑本案要件の事. 営事者間の合意による既到力の排除. ての審理が先行しなければならないからである︒. 審理の序列に重驕をおく揚合︑この立場をとることになる︒けだし實燈法的性格をもつ事項の審理には︑まず請求原因につ. 項に厨するものとしている︒ ︵%︶. ︵五︶. 翫到力は︑確定到決の効力であり︑國家意思の奪重が︑この制度の背景をなしている︒從つてこの面からみれば︑. 確定到決の既到力は︑當事者問のム呈思によつて︑これを無効化︵!・︒旨8ぼ窪︶しえないということになる︒. しかし民事訴訟に齢いては︑當事者自治の原則が行われ︑當事者庭分権主義︑同辮論主義をもつて基本的な訴訟主. 義としている︒從つて︑確定判決の銑到力も︑また當事者意思の枠内において妥當するものとしなけれぼならない︒. 問題は︑いかなる程度にまで︑當事者意思に︑その主艦性を認めるかということである︒ へ29︶ ドイツ民法第一草案は︑當事者による既到効の抱棄を認めた︵同一九一條二項︶︒現在には︑このような規定を存しな ︵30︶ い︒しかし殊更にそれを否定すべき理由もないと考える︒ ︵29︶ 前註︵n︶に牧載. 監督主義. による三つの構造形式があ. 鋼決と相容れない和解の効力を認めた到例がある︵明治四四︑四︑一二︑大民二到決︑民録一七輯二〇八頁︑民抄録四〇巻︶︒. ︵三︶. ︵30︶. 糺問主義︑並びに. 二當事 者 主 義 訴 訟 構 造 と 既 到 力. ︵二︶. ︵六︶. 訴訟の構造には︵一︶二當事者主義.

(21) へ31︾. る︒現代にては︑民事訴訟︑刑事訴訟ともに二當事者主義の訴訟構造によつているが︑二當事者主義が︑本來のかた ︵32︶. ちにて行われているのは︑民事訴訟だけである︒嘗事者庭分灌主義︑同辮論主義を背景とするのが︑その本來のすが. たである︒この制度の下︑民事訴訟の到決は︑原告の主張・立謹によつて︑その﹁訴訟上の講求﹂を認容するか︑こ. れを排斥︵棄却︶するかの到断につきる︒それ以上のものでない︒從つて請求棄却の到決は︑それ自髄として當該. ﹁訴訟の目的﹂とされた﹁権利若しくは法律關係﹂の存在を確定するものではない︒当該訴訟の審理によつては︑そ ︵33︶. ︵鈎︶. の存在を有権的に確定しえないというに止まる︒しかしそれでは別訴をもつて再び孚う可能性を生ぜしめるが故に︑. 一九五六年二月號︶︒. 到決に甑到力をもたしめ︑当該到決に﹁不可雫﹂の効力を付與する︒糺問主義におけると異なる︒ 2︶ 前註拙稿一〇頁二段以下︒ ︵3. ︵31︶ 拙稿︑系譜的にみた﹁訴訟﹂の構造分折︵法律のひろぼ︑. め︑訴訟理論として片面の理論となつている︒. ︵33︶既鋼力をもつて專ら訴訟法的性格とみる訴訟的既釧力説は︑この限りにおいて正しい︒ただ︑既到力の淵源に遡らないた. ︵3 4︶糺問主義の下においては︑訴訟の全椹が戴判所に存し︑その裁到は︑絶封的眞實の漫見をもつて理念とする︒. 五 刑事訴訟における既到力理論. ︵35︶. 刑事到決についても既到力を生ずる︒事件が確定到決を経ているときは︑免訴の到決が言渡されるへ刷鰍一鰭︶︒刑事. 一二. ︵一二. ︶. 到決に既到力を認めるのは︑専ら被告人保護のためである︒.從つてその制度理論は︑事件の事實面に重黙をおく︒こ の黙︑民事訴訟の既到力理論と勤臨的である︒ コ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(22) ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 二ニヘニニ︶. ない︒その下に﹁一事不再議﹂則が行われなかつたこともあるようてある︵井上正治教授︑全訂刑事訴訟法原論二三九頁︶︒. ︵35︶前出︑カロリナ法典︵一五五三年︶は︑糺問主義訴訟構造を操用しているが︑糺問主義は︑當事者の権利保護に關心をもた. 英法の﹁二重危瞼﹂︵3昏︸ε8冨巳芭の防止の原則は︑﹁事件﹂そのものにコ事不再理﹂の効力を認める︒わが. 憲法第三九條は︑この原則を再現している︒しかし二重危険防止の制度は︑訴訟封象︵從つて到決勤象︶の決定が︑. 裁到所の灌限に属した糺問主義に封鷹するものであり︑現在の二當事者主義訴訟とマッチしないものがある︒その故. にわが刑事訴訟法學者は︑既到力の生ずべき封象︵物的範園︶をいかに定むべきかにつき苦心している︒尤ものこと. ︵36︶. である︒いろいろ異説があって︑或いは﹁事件の同一性﹂に︑或いは﹁公訴事實の同一性﹂にその基準を求めてい. る︒これを︑民事訴訟の銑到力理論に封比するならば︑請求原因の事實面に重瓢をおく理論といえよう︒ ︵36︶前註︵20︶参照. 刑事到決は︑結局において︑﹁事件﹂そのものに翫到力を生ぜしめる︒これには︑被告人保護の立場から︑既到力. の物的範園を宏くする意圖が織り込まれていることは確かである︒しかしそれには︑なお︑刑事法の構造が︑一役を ︵37︶. 購つていることが見出される︒現代の刑事訴訟は︑その構造において二當事者主義によるのであるが︑國家訴追主義. の採用により︑糺問主義が︑それに残存している︒糺問主義の下にては︑事件そのものが訴訟勤象となり︑到決され. た事件︵霧一&一︒讐帥︶につき︑﹁一事不再理﹂の効力を生ぜしめた︒現在の刑事訴訟理論には︑この法理が︑なお跡 ︵38︶. を牽いている︒のみならず︑刑事實髄法並びにその理論は︑パンデクテン式編纂による民法典並びにその下における. 私法理論の如く︑事實と法規範と完全に分離するに至つていない︒それ等が相待つて︑法規範的効力としての既鋼力.

(23) 議事通則としての﹁一事不再議﹂. な諸原理︑法學ゼミナー六號二四頁二段目同七號三七頁三段目︶︒. ﹁事. 實﹂のモメントが完全に捨象されないで︑抽象的犯罪行爲論ともいうべきものになつている︵拙稿︑民事訴訟における基本的. も前段階にある︒その結果として︑刑事實艦法における犯罪論では︑民事法學における法律行爲理論におけるが如く︑. ︵3 8︶刑事實艦法においては︑事實と法規範が完全に分離されていない︒この貼においてアクチオが完全に分離された民事法より. 頁上段︶︒. ることも︑刑事訴訟に糺問主義的色彩を残存せしめることに役立つている︵前掲拙稿︑法律のひろば︑一九五六年二月號一二. が強かつた︒職穰宅義により︑本來︑二當事者主義訴訟と相印の關係にある當事者庭分橿主義︑同辮論主義を骨披きにしてい. たる検察官に移譲し︑原告の地位においてそれを行使させるとみることができる︒蕾刑事訴訟法の下において︑特にこの傾向. ︵37︶ 二営事者訴訟構造の下︑國家訴追主義をとるならば︑糺間主義の下において裁到所に厨した椹限の一部を︑同じく國家機關. の範園を措定するに當り︑﹁事實﹂のモメントを捨象した理論を組み立て難きものならしめている︒. 六. 第一九世紀前牛︑ドイッ普通法末期において︑ローマ法の一事不再理は︑國家意思の尊重を背景とする確定到決の. 既到力へと攣貌した︒大艦︑それと時を同じくして︑國家意思の尊重︑その二分を防止する立場から︑英國のパーラ. メントにおいて︑﹁一事不再議の原則﹂が行われるようになつた︒ローマ法のコ事不再理﹂︵ま募嘗箆︒臼︶を母. 胎とするものといわれる︒このコ事不再議﹂は︑その後︑一般の議事通則として承認されている︒明治憲法第三九. 條﹁否決法案の不再議﹂は︑この﹁一事不再議﹂の一場面を限つて規定したものに外ならない︒. 二三︵二三︶. 議事通則としてのコ事不再議﹂は︑訴訟における﹁既到力﹂とともに︑ローマ法のコ事不再理﹂に遡るもので ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(24) コ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 二四︵二四︶. あり︑從つてその問に︑共通した性格と構造とが見出される︒概読するならば︑議事通則としてのコ事不再議﹂. は︑事實面に重黙をおき︑大艦において︑一八〇四年のフランス民法ニニ五一條に規定される﹁既濟事件の灌威﹂に. 封慮する︒しかし﹁政治﹂は︑動けるものであり︑將來に向つて護展する瓢に影いて︑過去の事件に封する裁到とは. 根本的に相違するものがあり︑從つてそれに特有の法理によつて支配される領域が存する︒また︑長く將來の議事を 拘束すべきものでもない︒明治憲法は︑同一会期にこれを限つていた︒. 現行憲法及び國會法には︑﹁一事不再議﹂に關する規定を存しない︒かつまた︑終戦後の國會においては︑種々な. 事情の下に同 法律が︑同一會期内︑敷回にわたり改正せられた例もある︒そこで︑現在の國會において︑﹁一事不. 再議﹂が議事通則として行われているか否か︒これに疑間をもつ者もある︒筆者としては︑國家意思の奪重︑會議の. 合目的かつ圓滑なる蓮用のため︑國會の議事蓮螢には︑當然の事理として二事不再議の原則﹂が行われる︒前述し た終職後の事例は︑例外の現象に麗し︑後述する﹁事構攣更﹂の場面と考える︒. 七 事情の鍵更︵﹁一事不再理﹂の姜當限界︶. すべて制度は︑﹁同一事情存績の原則﹂︵Ω窪毘帥おゴω昏器言げ霧︶によつて支配される軌二事不再理﹂も︑ま. た︑同一事情の存綾する限りにおいてのみ安當する︒事情が攣更すれぱ︑それと函敷關係的に制度の法則は︑その適. 用の基盤を失う︒問題は︑いかなる程度の事情攣更があれば︑例えばこの場合︑一事不再理則の適用が排除されるか ということである︒.

(25) ﹁同一事情存績の原則﹂の反面をなすものが︑﹁事情墜更の原則﹂である︒これは︑講學上︑コ般條項﹂︵︵︶窪R巴峯甲. 岳&と構せられるところのものであつて︑具髄的事案がそれに該當するか否かを到断するための基準を︑それ自髄. としてもつていない︒下位段階に属する基準に從つて到噺さるべきものとする︒從つてその到噺のための基準を見出. すところに問題がある︒けだし基準の立て方によつて︑結論が岐れる可能性をもつからである︒殊に︑﹁事情攣更則﹂. は︑一般條項のうち︑例外條項に属するから︑その適用について極めて愼重でなければならない︒. 法律は︑屡々﹁事傍の攣更﹂に封慮する規定を設けている︵例︑民二九八條三項︑四七六條︑借地二篠︑借家七條その他︶︒. 民事到 決 の 既 到 力. 到決は︑事實審における口頭辮論の終結時をもつて︑訴訟資料蒐集のための時間的限. いわゆる﹁事情攣更則﹂は︑それらの規定の存七ない場面についての法理である︒. ︵一︶. 界とし︑その時に至る迄の一切の攻撃防禦方法を包括する︒その反面として︑この時以後に生じた事實により到決の. 基本に攣更を生ずる場合には︑それにもとずいて︑また︑その限りにおいて︑判決の既到力を否認しうる︒すなわち ﹁事情の攣更﹂による既到力の排除である︒. 民事訴訟法には︑確定到決の翫到力を排除すべき﹁事情攣更﹂につき︑一般規定を設けていない︒僅かにそれに關 ︵39︶ 連して民訴法第五四五條第二項の規定あるに止まる︒その他は︑各場含について裁到所の事實認定と法律の解繹に委. 二五︵二五︶. せられている︒ドイッ民訴法には︑定期金その他縫績給付を命ずる到決につき︑重要な事情の攣更があれば︑各當事 者から訴をもつてその攣更を求めうる旨の規定がある︵同三二三條︶︒. −. ︵39︶ 再審事由のうち︑事情縫更に属するものがある︵民訴四二〇條八號︶︒. ﹁一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(26) 二六︵二六︶. 刑事到決は︑過去の犯罪に封してなされるのであるから︑到決後において訴訟勤象た. コ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. ︵二︶刑事到決の既到力. る﹁事件﹂そのものに︑事情痙更の生ずることはありえない︒刑事法規並びに公到手綾上の事情攣更は︑被告人の利. 國会に影ける同一法案の不再議は︑國家意思の軍一化を圖り︑併せて. ︑盆擁護のため︑これを認めない︵憲三九條︑刑訴喜二七條一號︶︒但し被告人の利盆に醤する若干のものが︑再審の請求 原因とされている︵ 刑 訴 四 三 五 條 ︶ ︒. ︵三︶議事通則としての﹁一事不再議﹂. 議事の圓滑なる運管を意圖する議事通則である︒議事の内容は︑現在の事實であり︑訴訟嵩象の如く︑過去の事件で. はない︒從つてコ事不再議﹂により︑永く將來の議事を拘束すべきでない︒これを同一會期に限定する︵明憲三九. 條︶︒なお︑同一會期内であつても︑﹁事情の愛更﹂があれば︑再議の許されることが當然である︒. 問題は︑同一會期内において︑同一法案の再度修正を必要とするが如き客翻的事情の攣更が︑現に存するか否かで. ある︒それには︑多分に政治的ファクタτが加わるから︑具艦的に各場合を規定することは不可能であり︑結局︑國. 會の良識による到断を待っ外はない︒殊に︑政治は生きものである︒同一會期内であつても︑再度の法律改正により. 新たな情勢を作り出すことを必要とする場合もありうる︒現代法治國家の下︑それには︑法律上︑是認せられうる根 篠を備えなければならない︒しかし更に︑重要なことは︑政治的安當性である︒. 八 附 記 ︵高辻氏の虎論に鷹えて︶. 本稿の執筆後︑第二四回國會︵衆議院︶における公職選畢法の改正に關連して︑法制局次長高辻正己氏が︑コ事. 、.

(27) 不再議についての疑問﹂と題する論文を公表された︵自治研究三二巻八号︶︒そのうちにて︑筆者の國會における公. 述意見にふれられているが︑それには若干の誤解があり︑また︑氏の意見に同調し兼ねる黙もあるので︑簡箪に卑見 を述べ︑本稿の追加とする︒. 高辻氏は︑筆者の公述意見をば︑﹁刑事訴訟法學の一事不再理の理論は︑その適用に合理的な修正の必要はあるに. しても︑基本的には︑國家意思の宣言のためにする國會の議決にも安當する︒﹂という意味に解され︑法律による ︵40﹀. ﹁裁到﹂と法律を攣改しうる立法過程における﹁國會の議決﹂と勤比し︑その關連において読明づけることは無理で あるといわれる︒ ︵40︶ 本文掲記の同氏論文︑自治研究三二巻︵昭和三一年︶八號八頁︒. ︵41︶ 國會において︑山本正一委員からもこれと同様な立場からの質疑があり︑繹明しておいたのであるが︑これには︑. 本稿第四︑一︵六八以下頁︶︒. ローマ法の﹁一事不再理﹂︵蓼獣のぼ箆︒目︶に遡ると. 筆者の見解に封する誤謬︑若しくは根本的な︑ものの﹁考え方﹂についての差異がある︒ ︵41︶. 筆者は︑議事通則としての二事不再議﹂が︑系譜的に︑. する︒しかして︑ローマ法のコ事不再理﹂は︑專ら訴訟手綾上の原則としてその理論を襲展せしめ︑第十八・九世. 紀の交に至り︑後訴における訴訟手綾上のコ事不再理﹂を︑前訴確定到決の効力とするに至つた︒これは︑近代國. 家における灌威思想を背景とし︑この場合︑﹁裁到﹂の形式をもつて顯現される﹁國家意思の奪重﹂︑その二分の防. 二七︵二七︶. 止︑すなわちその軍一化に重黙をおく制度とみることができる︒近代訴訟法學における既到力理論は︑ここから出護 コ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(28) ユ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂. 二八へ二八︶. している︒また議事通則としてのコ事不再議﹂は︑この段階における﹁一事不再理﹂を母胎とし︑成立した︒それ. は︑この段階に到達したこ事不再理﹂の制度と理論の裡に︑國家意思の尊重︑その二分の防止並びに手綾の合目的 的進行という議事通則の範型を見出したからに外ならない︒. 筆者は︑﹁一事不再議﹂の制度的系譜を以上の如くに理解する︒﹁一事不再議﹂をもつて︑ーローマ法のこ事不再理﹂. とは關係なく︑別系統に成立した制度とみる立場をとるならば︑間題は︑自ら別個に形相する︒. しかし筆者のいう如く理解する場合︑訴訟における既到力と︑議事通則としての﹁一事不再議﹂とは︑始源をとも. にし︑かつ制度として共通のモメントを内在せしめるが故に︑その理論の護展過程と︑學問的構造とにおいて︑或る. 程度の共通性を見出す︒しかして︑議事通則としてのコ事不再議﹂は︑英法における﹁二重危瞼の防止﹂︑若しく. は一八〇四年のフランス民法の下に齢ける﹁既濟事件の椹威﹂と封感する段階にあつて︑未だ民事訴訟における既鋼. 力理論に封慮する段階にまで︑制度としても︑また︑理論としても獲展するに至つていない︒これが︑筆者の見解で. あって︑﹁刑訴の一事不再理の理論が︑基本的には︑國會の議決に安當する﹂などとはいうていない︒. 次に高辻氏は︑議事通則としての﹁一事不再議しを原則として承認するのか︑或いは否定するのか︑氏の論交では. 明確にされていない︒現在︑わが國會において行われていないとするならば︑その根篠を示す必要がある︒しかしそ. うでもないようである︒とに角︑高辻氏は︑法律の再度の﹁改正が實質的意味をもつのであるかぎり﹂︑前後爾法案 ︵招︶ の問には︑﹁實質的な同一性を欠くものといわなければなるまい︒﹂とされる︒建にその通りである︒これは︑﹁請求. 原因﹂を異にすれば︑既到力︵一事不再理︶が及ばないとする民事訴訟の既到力理論に封慮する︑それと同一段階の.

(29) 理論とみることができる︒現段階における﹁一事不再議﹂の制度をもつて︑筆者の構想するところよりも︑更に一歩. 前掲論文一二頁︒. 前進したものとする理論である︒ ︵42︶. しかし問題は︑何をもつて︑法案の﹁實質的な意味﹂とし︑いかなる場合に前後の爾法案が﹁實質的な同一性﹂を. 訣くとするかにある︒二事不再議﹂を原則として承認する限り︑その限界を定めるについて︑法規範的な基準を見. 出さなければならない︒民事訴訟における﹁請求原因﹂については︑學説の封立は存するが︑法規範的な構造をも. ち︑到決の既到力を限界づけるにつき充分な役割を果している︒しかし議事通則としての﹁一事不再議﹂についで. は︑前後雨法案の間に﹁實質的な同一性﹂の有無を到断すべき何等の基準を存しない︒この制度は︑かかる基準を設. ける程度にまで獲達を途げていない︒公職選墾法改正法案の審議に當り︑政府委員が︑言葉を端して︑前後爾法案の 主旨︑目的が全く異なると陳辮したが︑要領をえなかつた︒それは當然のことである︒. 高辻氏は︑法律の改正は︑それぞれの﹁時期において成丈の法秩序を形成していた法律を改正しようとするもの﹂ ︵43︶. であるから︑前後二回にわたつて同一法律の改正法案が挺出されても︑﹁もともと實質的に同一だとみるわけにはゆ. かないのではあるまいか﹂とされる︒これでは︑實際問題として︑﹁一事不再議﹂に抵鰯する場合は絶無ということ. 前掲論文二二頁︒. になる︒ 二事不再議則﹂の否認に外ならない︒それは︑既に政治論であつて︑法理論としての行き詰りである︒ ︵娼︶. コ九︵二九︶. ﹁一事不再議﹂を議事通則として承認する限り︑それは法律制度であるから︑法規範的な構造と︑その限界をもたな ﹁一事不 再 理 ﹂ と ﹁ 一 事 不 再 議 ﹂. げ.

(30) ﹁一事不再 理 ﹂ と ﹁ 一 事 不 再 議 ﹂. 三〇︵三〇︶. ければならない︒筆者は︑注案の内容によつて︑その限界を定めうるまでに︑この制度は護達していないとみる︒そ. れなるが故に︑筆者は︑法案それ自膿に二事不再議﹂の原則的限界を求める︒しかし原則には︑常に例外がある︒. それと同時に︑例外は︑例外として承認されべき法規範的な根嫁を必要とする︒それには︑高辻氏の墾げられるが如 ︷44︶. き︑前回の法律改正に﹁誰れの目にも明瞭な過誤﹂のある場合︑﹁一事不再議﹂によつて衆議院の先議権を侵害する. に至る場合など︑コ事不再議﹂を排除する法規範的な根擦とするに足りよう︒筆者のいう﹁事情攣更則﹂に該當す. 前掲論交八頁︒. る場合も同様である︒ ︵44︶. ﹁事情攣更の原則﹂は︑法規範的基準である︒法律の改正を必然ならしめる﹁事情の攣更﹂があれば︑再度の改正法. 案につき﹁一事不再議則﹂の適用が排除される︒それが︑高辻氏のいう﹁實質的な同一性﹂を訣く場合に當る︒高辻. 第二四同國會︵衆議院︶における公職選暴法改正法案の審議. 氏の庭論は︑﹁事情攣更則﹂と結び付けることによりてのみ︑初めて法理論としての型態をもちうる︒. 第二. は︑. 衆議院議員︑参議員議員︑地方公共團罐の議員及び長︑並びに教育委員. !ー﹁一事不再議﹂に關する論争の経過. 公職選畢法︵昭和二五︑法一〇〇號︶.

(31) ︵1︶. 會委員の選撃について適用すべく制定された法律である︵同一條︶︒明治憲法の下では︑衆議院議員選畢法︵大正一 ︵2︶ 四︑法四七號︶並びに貴族院令︵明治一三︑勅二號︶にもとずく貴族院議員の選畢並びに互選に關する諸規則に分れ︑. また︑地方議會の議員選畢については︑府縣制︵明治三二︑法六四號︶︑市制︵明治四四︑法六八號︶並びに町村制︵明治四. 四︑法六九號︶に︑それぞれ別途に規定されていた︒それ等を取り纒め︑一本に規定したわけである︒民主主義國家機 ︵3︶. 構の下︑議員はすべて國民代表の性格をもつのであるから︑明治憲法下におけるが如く︑その問に差別を設けた選畢. 方法を規定すべきものでない︒しかし國會と地方議會との問︑また︑國會についても︑衆議院と参議院との間には︑. 性格的差異も存するのであるから︑それ等の選畢を一本建てにて規定することには︑どうも無理があるように思われ. る︒紗くとも︑それは第二四同國會において公職選畢法改正法案の審議に當り︑﹁一事不再議﹂則を巡ぐる深酷な紛 議を生ぜしめる原因となっている︒. ︵1︶ 地方教育行政の組織及び運畳に關する法律︵昭和三一︑法一六二號︶により︑教育委員については任命制に改められたので. 貴族院伯子男爵議員選畢規則︵昭和二二︑勅七八號︶︑貴族院帝國學士院會員議員互選規則︵大正一四︑二三三號︶︑貴族院. ︵同四條︶︑現在では︑公職選畢法第一條から︑教育委員の選畢が取りはずされている︵昭和三一︑法一六三號七條︶︒ ︵2︶. 多額納税者議員互選規則︵大正一四︑勅二三四號︶︒. 院議員選畢法中罰則の規定を準用するに止まつていた︵大正一四︑法四八號︶︒. ︵3︶ 極端の例としては︑貴族院議員の選畢並びに互選については︑罰則規定を歓き︑多額納税者議員の互選についてのみ︑衆議. 公職選畢法は︑その制定後︑f敷同にわたり改正されたが︑その多くは部分改正に止まつていた︒ところが政府は. 三一︵三一︶. 來るべき衆議院議員選蟹につき︑現行の中選蟹匪制を小選畢匠制に改めるという大改革を意圖して︑本年︵昭和三一 顧−一事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

(32) ﹁一事不再理﹂と﹁.一事不再議﹂. 三二︵三二︶. 年︶三月十九日附にて公職選離法の一部改正法律案を衆議院に提出した︒これには︑経緯がある︒一昨年末︵昭和二九. 年︶︑政蕪の合同により政界が二分し︑憲政の常道といわれる二大政窯の封立渉︑曲りなりにも實現されるに至つた︒. この新たな惰勢の下に︑政府並びに與窯は︑選畢制度の改正を企叢し︑その調査を始めると同時に︑政府は︑昨年五. 月選畢制度調査會に勤し︑選畢匠制その他選畢制度の改正を要すべき黙について諮間したところ︑同調査會では︑政. 局を安定せしめ︑國民多敷の支持を保つ政蕪を基盤とする政府をして︑責任をもつて内外の政策を途行せしめるには︑. 小選畢匠制を採用する外なしとの結論に到達し︑その趣旨の答申があつた︒そこで︑政府は︑この答申を基礎とし. て︑衆議院議員の選畢に小選畢匠制を採用することを中心とした﹁公職選畢法の一部を改正する法律案﹈を作成し︑. 國會に提出したのであるが︑その主な改正は︑政府の提案理由によれば︑次の諸馳にある︒. ︵一︶衆議院議員の選畢につき︑議員定敷を四九七人とし︑三〇名を増加する︵第四條の改正︶︒これは︑昭和三. 〇年一〇月一日に施行した國勢調査の新人口数によつて︑現行定員を都道府縣に按分し︑その間のアンバランスを調. 選畢匪の︑匠割を原則として一人匠とし︑人口の不均衡︑地勢︑地形等を勘案して︑二人匠を設定することが. 整するため︑必要なる最少限度に増加したものであるという︒ ︵二︶. 適當と考えられる場合には︑それに從うものとし︑結局︑一人優四五七匠︑二人匿二〇匠︑含計四七七︑匠とした︒. ︵三︶個人本位の選畢制度を︑政窯中心の選畢制度に改め︑政蕪の候補者の公認制度を確立するとともに︑. 動期間中における政黛の政治活動の規整を含理化し︑その政治活動が選畢蓮動にわたつても妨げないものとした︒摘. 記すれば︑衆議院議員の選畢においては︑一つの政蕪の公認候補者が︑同時に他の政黛の公認候補者となることがで.

(33) きない︒政窯は同一選墨匠において︑選畢すべき議員の敷を超えて︑候補者を公認することができない︒また︑公認. 候補者以外の他の候補者を︑推薦若しくは支持しえない︒政窯の公認候補者でなければ︑政窯に属する旨を公表し. て︑政治蓮動をすることができない︵二〇一條ノ三の改正︶︒その他︑政治活動のできる政窯を限定し︑またポスターの. 枚敷︑搬聲機︑看板等の使用についても︑新たな制限規定を設けた︒. ︵四︶連座制の強化のため︑選撃法違反の公訴に附帯し︑検察官をして當選無効の訴訟を提起せしめる﹁鮒帯訴. 訟﹂の制度を採用した︵二二條︑二五一條ノ三改正︶︒これは︑かつての衆議院議員選畢法にあつた制度を復活したも のである︒. ︵五︶ 選畢蓮動の期問を二〇日問︵五日短縮︶とし︑法定選畢費用を有灌者一人當り六圓︵一圓引下げ︶とした︒. 前記︑公職選畢法の一部改正法律案の提出には︑約一年にわたる政府・與窯問の折衝と調査會における審議を経. これは︑中選畢匠制から小選畢匠制に改め︑匠域が狡少となることによる︒. 二. ている︒その問︑別途に参議院において︑各炎翫籍ピ搬犠覗霧︶の協袴吉︑同じく公職葦法の改漢. 案を前國會︵第二三回︶に提出し︑参議院を通過したが︑衆議院において審議未了となつた︒しかしそれは︑第二四. 回國會において纏績審議となり︑政府が前記改正法律案を提出するに先立ち︑本傘︵昭麹三年︶三月四日に衆議院を. 通過し︑同月一四口︑昭和一三年法律第八號として公布された︒從つて前記政府提出の﹁公職選墾法の一部を改正す. 三三︵三三︶. 小選畢匠制の採用には︑肚會窯は︑終始反翼の立場にあつた︒選畢匠の癌割その他の關係から︑自民黛に絶封に. る法律案﹂は︑同一會期において既に改正せられた法律の再度改正ということになる︒. 三. コ事不再理﹂と﹁一事不再議﹂.

参照

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