年度 卒業論文
過去のメールから質問メールに対する 返答内容候補の予測
提出日:
年 月 日
指導: 村岡洋一教授
早稲田大学 理工学部 情報学科
学籍番号:
石垣 健太
目 次
第 章 序論
はじめに
研究の意義
本論文の構成
第章 関連研究
形態素解析
茶筅
関連研究
自動返信
自動返信アプリケーション
関連研究の問題点
本章のまとめ
第章 実装方法
実装環境
動作の流れ
概念検索と法
法を利用した類似の判定
法を利用した類似の判定の例
本章のまとめ
第章 評価と考察
評価方法
再現率
精度
値 評価
結果
考察
第章 結論
まとめ
今後の課題
図 目 次
!のユーザ画面
本研究の動作内容
法を利用した類似度の例
表 目 次
茶筅での解析結果
実装環境
形態素とその出現数
形態素と全文書中でのその出現頻度
文書ベクトル間の角度の
文書ベクトル間の類似度
実際使用した"#
質問内容の類似度数値
返答内容の再現率、精度、値
第 章 序論
本研究では、質問文が含まれるメールを受け取りそれに対して返信する際に、過 去の似たような受信メールに対する返信を返信内容の候補として挙げることによっ て、メールの作成効率を上げることを目的としている。
受信したメールの本文を形態素解析し、それをアルゴリズムによって 過去の類似したメールを検索する。そして以前にそのメールに対して返信がして あれば、その内容を利用する事によって、何度も同じような質問を受けるヘルプ デスクのような環境では、作業効率が向上すると予想する。
はじめに
近年日本ではインターネットを利用する人口が急激に増え、電子メールも約 万人$%と、日本人のほぼ半数がメールを利用している計算になる。職場での仕事 内容の伝達や家からの個人的なコミュニケーションなど、多様な環境と用途で電 子メールが用いられているが、ヘルプデスクもその中の一つである。
ヘルプデスクとは、製品の操作方法や特定の物事に対してのトラブル、故障な どの顧客電話・電子メール対応のことで、電話とコンピユーターが融合したCT I(コンピューター・テレフォニー・インテグレーション)の進展とともにそのシ ステム化の市場は、拡大しつつある。ヘルプデスクのような環境では、繰り返し 同じような内容の質問を受けるケースが多い。そのような環境で、毎回似たよう な内容のメールを作成していると非常に作業の効率が悪い。
そこで以前と似たような内容の質問をメールで受けた際に、一から適切な返信 メールを作成するのではなく、過去の返信内容から適切なものを自動的に検出す ることができれば、作業効率が大幅に上がる。
本論文では形態素解析や法$ %の技術を利用し、受信したメールの本文 と類似した内容を過去のものから検出する。そしてメール返信を行う際に、過去に 行った返信を表示させメール作成の手間を省く機能を実装したメーラを作成する。
研究の意義
ヘルプデスクシステムなどの電子メールを利用する環境では、迅速な顧客対応 やサポートコストの削減に今注目を集めている。従来のお客様相談窓口の延長線
上と考えるだけでなく、顧客ニーズをダイレクトに汲み取ることにより、積極的 なマーケティング活動へ活かそうという発想がある。そのためには従来の定型文 を自動返信するシステムではなく、本研究のような受信内容を読み取って個別に 対応できるインターフェースを利用することが必要となってくる。
本論文の構成
本論文は以下の章からなる。
第 章 序論
本論文の概要、目的、構成について述べる。
第章 関連研究
従来の関連研究を紹介し、その特徴について述べる。
第章 実装方法
プログラムの動作内容と実装方法について述べる。
第章 評価と考察
実装後のプログラムの評価と考察を行う。
第章 結論
本論文のまとめを述べ、今後の課題を述べる。
第
章 関連研究
本章では、本研究で使用する技術と関連研究について説明する。
形態素解析
形態素解析&!'とは、与えられた文を形態素(品詞列)に 分ける作業のことをいう。この作業には、それぞれの形態素がどの品詞に対応する かという対応づけも含まれる。形態素解析の技術は、自然言語処理の中ではもっと も基本的な技術であり、現在のところ唯一実用で普及しているものである かな漢 字変換など。また日本語には単語のどの品詞がどの品詞とつながるか、という厳 密な規則があることにより、計算機上のプログラムでもこれが可能となっている。
ここで、本研究でも使用する「茶筅」というアプリケーションについて述べる。
茶筅
茶筅とは奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科松本研究室が開発し提 供している日本語形態素解析エンジンである。オープンソースであり、フリーで 使えることから学術・研究分野で広く使われている。また辞書メンテナンスの容 易さ、解析の速さ、正確さなどからの商用システム、商用製品などでも使われて いる。 $%
例えば、このソフトで「会社に電子メールを今すぐ送ろう」という文を解析す ると以下のようになる。
表層語 基本形 品詞 活用 会社 会社 名詞一般
に に 助詞格助詞一般 電子 電子 名詞一般 メール メール 名詞サ変接続 を を 助詞格助詞一般 今 今 名詞副詞可能 すぐ すぐ 副詞助詞類接続
送ろ 送る 動詞自立 五段・ラ行 未然ウ接続 う う 助動詞不変化型 基本形
表 ( 茶筅での解析結果
今回の研究では形態素解析にこのソフトを利用する。
関連研究
ここでは、現在唯一メールの返信を補助する機能である自動返信機能について 述べる。
自動返信
メール自動返信とは、受信したメールに対して予め用意しておいた本文を自動 的に返信することである。特定のアドレスから受信した場合や特定のメールの件 名を受け取った時に、それぞれのケースに個別の内容を返信する。人材募集時の 要項を自動返送したり、ご意見箱アンケートに使って御礼のメールを自動返信 したりなど、会社の業務で様々使い方ができる。その時に自動返信するメールの 内容は、利用者が事前に設定する。
自動返信アプリケーション
メールの自動返信を応用したアプリケーションの例の一つとして「 !」 というソフトがある。ここでの自動返信は通常のように定型文だけではなく、受 信メールのサブジェクト内容により、必要な返信を作成して自動返信する。例え ば、ビジネス等で価格の問い合わせメールがあれば、価格表が自動返信され、納 期の問い合わせメールには、在庫表が自動返信される。用意されている返信に該 当しない問い合わせの場合は、「早急にご返事しますのでお待ち下さい」といった
デフォールトの定型メールが自動返信される。$%
図 ( !のユーザ画面
関連研究の問題点
サーバやメーラに付属している自動返信機能の問題点の一つとしては、予め本 文の内容を登録しておかなければならないところである。特定のアドレスや件名 に対して固有の本文内容を設定しなければならないので、その分の手間がかかる。
また返信される内容も決まっているので、予想外のメールを受信した時に対応でき る程の柔軟性はない。一方、それを応用した「 !」に関しては、前もっ て受信するサブジェクト内容と返信する書類のセットを登録しておかなければな らない、という点では従来の自動返信とかかる手間はそれほど変わらない。また 自動返信を判定する部分もサブジェクト内容によるものなので、サブジェクト内 容が抜けていたり、本文と関係ないものであったりすると、自動返信も機能しなく なってしまう。つまり既存の自動返信機能では、ある程度ユーザによる受信メー ルの予想や使用する環境においての件名のフォーマット化などが必要となり、柔 軟に対応できるとはいえない。
本章のまとめ
現在唯一存在するメールの返信を補助する機能が自動返信である。しかし、こ れはユーザ自身がある程度返信する内容を予測する必要があり前段階で手間がか かるのと、さらに前もって決めた内容を決めた条件に合う相手にしか返信できな いので柔軟性に欠ける。本研究ではそれらの問題を解決するために手間がかから ず、特定の条件が合う相手以外に発動する機能を目的としている。質問メールに 対して返信をする際に、過去のメールのやりとりから最適な返信内容を検出する 事により、何回も同じ質問を繰り返し受けるような環境でメール作成の効率性を 上げるようなインターフェースを実装する。
第
章 実装方法
本章では、まず本研究のメーラでの実装内容を簡単に説明する。次に、受信した 質問メールと同じような内容の過去のメールを検出するために必要な法 の説明を行う。
実装環境
以下は、本研究で実装を行う上での実装環境である。
)*+ *, -./
0" -1
23 456 7* *8
表 ( 実装環境
動作の流れ
図 は本研究で実装する機能の動作内容である。
まず最初に質問メールを受信した際に、その本文からヘッダを除去し内容自体に 形態素解析エンジン茶筅を用いて、文を品詞単位に分ける。個別に分けた品詞か ら名詞または動詞を抽出し、それらを類似するメール内容を探すときのキーワー ドとして保存する。また、その受信メールに対して返信した際には、その返信本 文も保存しておく。
次に内容の類似したメール本文を受信した時に、同じように形態素解析し名詞・動 詞を抽出する。そして、その品詞群から過去のメール本文を検索していき、
法を利用した概念検索により類似率が高いメールに対する返信内容を表示する。こ れらの機能により補助されるメール返信を搭載したメーラを実装する。
図 ( 本研究の動作内容
概念検索と 法
概念検索は類似検索とも呼ばれることがある。類似検索とは、文書の内容、す なわち話題であったり、意味であったりするが、それが類似しているものを探すこ とである。しかし、現状では、文書の意味を捉えて検索しているシステムはない。
概念検索は、文書中で使用されている単語や熟語(複合語)などの出現の仕方が 似ているもの(概念が似ていると解釈)を探すシステムである。そのとき、その 文書に含まれている単語の重要性を文書データベース全体で考慮している。これ らを実現する手法はベクトル空間モデルと呼ばれている。$%
その中で 9': , 9'と呼ばれる値 を使って重要性を判断する。 とは、各文書中の語の出現頻度、 とは語の 出現する文書数の逆数であり、 は、 と の値を掛け合わせたもの である。この値が大きいほどその文書集合中で文書を特徴付ける語であると言え る。すなわち、ある文書中で繰り返し使われる語であるが、他の文書ではあまり 使われていない。そのような語を持つ文書は、その語で特徴付けられると考える。
検索キーワードとして、その語が一つ指定された場合、その語の出現頻度が一番 多い( の値が最も大きい)文書が最初に検索される。一般的には、検索 キーワードは一つではなく複数指定されるので、複数の の値で調整され る。$%
法を利用した類似の判定
文書間の類似度を判定するためには、ベクトル空間モデルを用いる。ベクトル 空間モデルとは、どの単語がどの程度その文書中に出現しているかをベクトルの 形で表現し、文書どうしの類似性をベクトル間の類似性をもとに与えようという アイデアに基づいていている情報検索手法である。$%このモデルでは、文書は多 次元空間上のベクトルとして表され、次元数は全体での有効な形態素の数によっ て決まる。以下に示す例は、「原宿にある美容院」を検索する際に、「原宿」「美容 院」という二つのターム、また文書Dに新たに含まれる「お店」というタームを 形態素として次元のベクトル空間を描いたものである。
図 ( 法を利用した類似度の例
概念検索でベクトル空間モデルを利用する上で以下の二つは重要な話題となっ ている。
ある文書に対する文書ベクトルをどう作成したらよいか
文書ベクトルの比較をどのように行ったらよいか
まず、前者の文書に対する文書ベクトルの作成については、各単語のその文書 に対する重要度に応じて単語の重み付けを行うというアプローチが主流である。
ここでは、単語の重みとして,8と58の積を用いる。一方、後者については余弦
尺度と呼ばれる類似尺度の計算方式が広く用いられている。本研究では図
で表されたような文書ベクトル同士のなす角の大きさθの余弦を変換し、類 似度として用いる。以下は、その角の余弦から類似度の求め方である。
類似度 = ベクトルのなす角の余弦 × ベクトル長の比 × ベクトル長の和 ここで文書ベクトル長の比は,ベクトル長が類似しているテキストブロックほ ど類似しているという考えに基づいており,双方のベクトル長の和は,より長い テキストブロックの対応関係を重視するためである。2つの文書の似ている度合 が高いと判定された時ほど大きな値になる。
法を利用した類似の判定の例
ここでは以下の四つの文書を例に、実際に法を用いて類似判定を行っ た時の類似度の結果を示す。
形態素解析とは、形態素とそれ以上短くすると文脈上意味を持たなくなって しまう文字列のことをさし、文や文章を形態素に分解する技術を形態素解析 といいます。
形態素解析とは、形態素とそれ以上短くすると文脈上意味を持たなくなる文 字列のことを指し、文や文章を形態素に分解する技術を形態素解析と言う。
形態素解析とは、与えられた文を形態素に分ける作業のことです。この作業 には、それぞれの形態素がどの品詞に対応するかという対応づけも含まれる。
構文解析とは、与えられた文がどのような規則によって生成されたかを逆に 算出する作業のことです。
次の表は、これら つの文書を形態素解析にかけそれぞれの出現回数をま とめたものである。
形態素文書1 品詞 出現数 形態素文書2 品詞 出現数
形態素 名詞 形態素 名詞
解析 名詞 解析 名詞
それ 名詞 それ 名詞
以上 名詞 以上 名詞
する 動詞 する 動詞
文脈 名詞 文脈 名詞
上 名詞 上 名詞
意味 名詞 意味 名詞
持つ 動詞 持つ 動詞
なる 動詞 なる 動詞
しまう 動詞 文字 名詞
文字 名詞 列 名詞
列 名詞 こと 名詞
こと 名詞 指す 動詞
さす 動詞 文 名詞
文 名詞 文章 名詞
文章 名詞 分解 名詞
分解 名詞 技術 名詞
技術 名詞 言う 動詞
いう 動詞
形態素文書1 品詞 出現数 形態素文書2 品詞 出現数
形態素 名詞 構文 名詞
解析 名詞 解析 名詞
与える 動詞 与える 動詞
られる 動詞 られる 動詞
文 名詞 文 名詞
分ける 動詞 よう 名詞
作業 名詞 規則 名詞
こと 名詞 生成 名詞
それぞれ 名詞 する 動詞
品詞 名詞 れる 動詞
対応 名詞 逆 名詞
する 動詞 算出 名詞
づける 動詞 作業 名詞
含む 動詞 こと 名詞
れる 動詞 いう 動詞
表 ( 形態素とその出現数
表は32個ある有効な形態素に関して、出現する文書の数とまと めたものである。ここでは全文書中での単語の出現頻度のことで次のような 式で求めることが出来る。
;! < ( 文書数
( 形態素が出現する文書の数
形態素 出現文書数 形態素 出現文書数
形態素 指す
解析 言う
それ 与える
以上 られる
する 分ける
文脈 作業
上 それぞれ
意味 品詞
持つ 対応
なる づける
しまう 含む
文字 れる
列 構文
こと よう
さす 規則
文 生成
文章 逆
分解 算出
技術 いう
表 ( 形態素と全文書中でのその出現頻度
次に図の出現数と図の出現頻度を用いて、文書ごとに次 元のベクトルを作る。ここで次元数は形態素の種類の数によって決まる。またベ クトルの各要素は単語のとを掛けたものである。
文書ベクトル1:
{ ======== == ====
= == == == === == === === === == } 文書ベクトル2:
{ = == = = = = == = = = = ==
= = == = = == == == == == == == == } 文書ベクトル3:
{ = = = = = = = = = = = == = = = = = = = = = = =
= = = = = = = == === = =} 文書ベクトル4:
{ == = = = == = = == = = == = = == = = = = == =
= == = = = = = = = = }
以上の文書ベクトルから各文書ベクトルの類似度を求めるために、まず文書ベ クトル間の角度のを求める。その求め方は、以下のようなものとなる。
ベクトル½¾¿ とベクトル½¾¿ がなす角の:
;
½×½+ ¾×¾+ ¿×¿+
¾
½
+ ¾
¾
+ ¾
¿
+
¾
½
+¾
¾
+¾
¿
+
表 は文書ベクトル1と文書ベクトル2〜4を比較して、ベクトル間の角度の
の数値である。
比較ベクトル
文書ベクトル1・2
文書ベクトル1・3
文書ベクトル1・4
表 ( 文書ベクトル間の角度の
最後にこれらの余弦値に、双方の文書ベクトル長の比と双方の文書ベクトル長 の和を以下の方法掛け合わせる。
文書AとBの類似度 = ½
¾
½
>
¾
( 文書ベクトルAB間の角度
½
( 文書ベクトルAのベクトル長
¾
( 文書ベクトルBのベクトル長
その結果は表で示される。
比較ベクトル 類似度 文書ベクトル1・2
文書ベクトル1・3
文書ベクトル1・4
表 ( 文書ベクトル間の類似度
以上の結果からわかるように、ほとんど変わらない文書1と文書2の類似度は
と非常に高く、内容が同じ文書1と文書3が次に高く、内容が全く違う文書 1と文書4の類似度は と非常に低くなる。
実装するメーラでは以上の手法で類似検索を行い、受信した質問メールと過 去の質問メールとの比較を行い、類似した内容のメールを判定する。
本章のまとめ
本章では、まず本研究のメーラでの実装内容を簡単に説明した。次に、受信し た質問メールと同じような内容の過去のメールを検出するために必要な 法の説明を行った。そして法を利用した類似の判定方法を、具体的な例 を用いて一段階ずつ詳しく説明した。次章では、ここで説明した法を利 用した類似の判定方法を利用したメーラの評価方法の説明と、その評価と考察を 行う。
第
章 評価と考察
この章ではまず評価方法の再現率= 精度= 値に ついて述べる。そして実際に評価を行い、最後に考察を述べる。
評価方法
今回実装をしたメーラに関して、タスクをどの程度うまく行なえたかを示す指 標として再現率=精度=値を用いる。以下にその 特徴を述べる。
再現率
再現率とは検索が見つけて返してきた結果のうち、自分が探してた内容 を含むの比率の事である。精度とトレードオフの関係にあり6?検索 エンジンなどユーザの要求に対する適合文書のみを掲示したいときに高い値が必 要となる。$ %以下はその求め方である。
再現率; 被験者が正しく適合と判断したテキスト数 実際に適合するテキストの総数
精度
精度とは全ての検索候補のうち、探している内容に合っているもの 全体の数から、どのくらいの数が検索結果に含まれたかである。再現率と トレードオフの関係にあり、特許文書の検索など検索漏れを少なくしたいときに 高い値が必要となる。$ %以下はその求め方である。
精度; 被験者が正しく適合と判断したテキスト数 被験者が適合と判断したテキストの総数
値
本研究では、との両方を評価の対象とするため、その二つから
値出す必要がある。$ %以下がその求め方で、*と0 の相乗平均の事である。
値 ; ¾× ×
+
今回の機能を実装したメーラで実際に類似するメール内容を検出して、その結果 がどれくらい正確かを値を求めることにより評価する。
評価
実際の評価では、質問メールとそれに対する返信メールに相当する部分に、5 つの別のサイトから同じ内容のFAQの質問内容と返答内容を利用する。これは 同じ内容の質問を複数用意し、評価するためである。使用したサイトは表 に示 す。次にそれらのサイトの内容に対して、10種類のランダムな質問を用意し、各 質問について類似度が高い質問内容を高い順に5つ検出してそれらの類似度の数 値を評価する。この際類似度の数値が 以下の場合は明らかに質問が類似してい ないと判断し、評価対象には加えない。そして検出された質問内容に対する返答 内容に関して値を求め、評価する。
< 使用した"#のサイト +0@
456 "# &,,(& !8,' 689
超初心者向け456講座 &,,(666,A,B 8A' 初心者のためのパソコン講座 &,,(6666& ?!
半角初心者 &,,(666!,B3C'1' "#集〜656〜 &,,(666B,,,5D&,
表 ( 実際使用した"#
結果
以下に、類似検索を行った時に出る質問内容の類似度数値とそれらに対する返 答内容の再現率、精度、値の結果を示す。
質問< 類似度
平均
表 ( 質問内容の類似度数値
質問< 再現率 精度 値
平均
表 ( 返答内容の再現率、精度、値
考察
まず表 について説明する。この表は用意された 種類の質問内容それぞれ に関して、類似度の高い質問内容を検索し、類似度数値の高い順から5つ表示し たものである。これは、このケースでは同じ内容の文は最大でも5つまでしか用 意されていないためである。
今回のケースでは、質問内容のFAQはすべて初心者用456の23のこと に関してである。用意された質問内容の中で、質問<「シャットダウンの仕方」、
質問<「コントロールパネルの開き方」など簡単でオーソドックスな質問に関 しては高い類似度とたくさんの候補を挙げる結果となった。しかし逆に、質問<
「B:のパスの通し方」など初心者の質問内容には見当たらないような内容に関し ては、類似度が低くなる結果となった。
次に表 について述べる。ここでは、表 で検出された類似度の高い質問内 容の内、それに対する返答内容が実際に求めているものとあっているかを考えて、
再現率と精度を計算した。
このケースで精度の結果に最高値の が幾つか見られるのは、そ の質問内容がある程度パターンが決まっている質問であるためである。分割され た形態素からある程度質問内容が限られてくるのである。例に挙げて説明すると、
先ほどの質問<「シャットダウンの仕方」に関しては、シャットダウンという形 態素用いた中では考えられる質問内容が限られてくるので精度が高くなるという 結果になる。また類似検索で高い類似度数値を示した質問内容でも、返答内容に 関して微妙に合わず、適合かどうかの判断が難しいものもあった。
これらの結果を見てわかることは、質問内容によって結果にばらつきがあるこ とである。これは、質問内容の単純さやその質問の表現の仕方によって類似検索 における必要数値が大幅に変わってくるためである。同じ内容の質問でも、その 質問におけるキーワードとなる形態素を用いるか、用いないかによって結果が違っ てくる。さらに質問内容がマッチしても、それに対する返答内容が必ずしも適合す るとは限らない。すなわち、それは類似度の数値が高いものが内容として正確なも のを返すということではないことを指す。また検索する過去の質問のテーマが違 うとまた異なる結果が出てくることも予想できる。そのテーマに関しても無数に あるため、この実験に関しては場合場合で類似度が異なってくることがわかった。
第
章 結論
まとめ
まず本論文の第1章では、本研究の概要と目的を述べた。本研究では、質問文 が含まれるメールを受け取りそれに対して返信する際に、過去の似たような受信 メールに対する返信を返信内容の候補として挙げることによって、メールの作成 効率を上げることを目的とした。従来のメーラに付属するような自動返信機能で は、ユーザ自身がある程度返信する内容を予測する必要があり前段階で手間がか かり、前もって決めた内容を決めた条件に合う相手にしか返信できないので柔軟 性に欠ける。メール受信内容を読み取って個別に動的に対応できる機能の実装を 試みた。
第2章では、従来の関連研究を紹介しその特徴について述べた。また形態素解 析についても簡単に説明した。
第3章では、本研究のプログラムの動作内容と実装方法について述べた。類似 判定と類似判定に用いられる法という技術を説明し、さらにその類似判 定を例を用いて解説した。
第4章では、実装後のプログラムの評価と考察を行った。作成したプログラム で実験を行ったところ、類似度と返答内容の適合の結果に関しては質問文、また その中に含まれる形態素によってばらつきが見られた。実験結果を見る限り、必 ずしも類似度の高い質問文が返答内容の適合を意味するわけではないことがわか り、改良の必要性を感じた。
今後の課題
最後に今後の課題を以下のように挙げて、本論文を終了する。
今回の実験の結果では、類似検索で求めた類似度数値の高さが直接、質問 メールに対する返答内容の適合が結びついているわけではなかった。今後の 課題としては、その適合率をあげるために返答内容も走査する必要があると 考えた。質問内容と返答内容の関係を考慮することによって、より高い確率 で正しい返答内容が検索できると予想する。
また今回類似度判定を行うために使用した法に、さらに重み係数を 持たせることによって、その場合に沿った検索が出来ると考える。例えば、
ケースバイケースで固有名詞などに重みを持たせると形態素の中でも優先順 位を持たせることが出来るのではないか。
関連図書
$ % 形態素解析・構文解析入門 &,,(666D!A5,
$% 自然言語処理論&,,(666B,B A& 58
$% レポート類似度判定システム
&,,(666,,&B?,5'5, &,
$ % 理科大 文書間の内容類似度に関する研究
&,,(666 ?,,A,,B AA',A
$% ,, ! , 38,6 "-E@@"< *02
&,,(666 A B5, ! !&,
$% 財団法人インターネット協会 &,,(666B!6
$% 文書間の内容類似度に関する研究&,,(666 ?,,A,,BAA',A
$% 大容量検索論 &,,(666,AB AA0
$% 形態素解析システム茶筌&,,(&,B&A)&3
$ % 5' に お け る 評 価 に 関 す る 補 足 説 明 &,,( −
666,,&B,8:,_&,
謝辞
本研究にあたって、研究用の実験環境等の提供、研究に関する方向性の提供、そ して温かい御指導をして下さった村岡 洋一 教授には、厚く感謝致します。
本研究を進めるにあたり、日頃から惜しみなく御指導して頂きました村岡研究 室の先輩の皆様、ならびにOBの方々に深く御礼を申し上げます。
また、同研究室で共に研究をした学部4年の皆様には様々な助言をもらい非常 に研究の励みとなり、また多くの事を学習する事が出来、大変感謝しています。本 研究は私一人の力でできたわけでなく、様々な人達の力があったからこそ終える 事ができました。
再度心より感謝し御礼申し上げたると同時に、研究生活を暖かく見守っていて くれ、精神的に支えてくれた両親と妹に愛と感謝を捧げます。
平成 年月日