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ベンザインの触媒的発生を鍵とする多置換芳香族化 合物の合成

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Academic year: 2022

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ベンザインの触媒的発生を鍵とする多置換芳香族化 合物の合成

著者 丸山 大輔

URL http://hdl.handle.net/10236/13604

(2)

2014 年度 修士論文要旨

ベンザインの触媒的発生を鍵とする多置換芳香族化合物の合成

関西学院大学大学院理工学研究科 化学専攻 羽村研究室 丸山 大輔

ベンザインは,高ひずみ構造に由来する多様な反応 性を示す高反応性活性種である。これまでに,種々 のベンザインの発生法が開発され,さまざまな有機

合成反応に利用されてきた。しかし,一般性の高い効率的な発生法は少なく,特に,芳香 環上に官能基を持つ置換ベンザインの発生は位置選択性や官能基選択性の観点から限定さ れている。これに対して,先に当研究室では,官能基選択性に優れた触媒的なベンザイン 発生法を開発しており,この手法を利用して,芳香環上に様々な官能基の導入が可能であ ることを明らかにしている。例えば,ヨードトリフラート

1

とリチウムエノラート

2

の共 存下,触媒量のアルキニルリチウム

3

を作用させると,ベンザインのヨードアルキニル化 が位置選択的に進行し,ヨードベンゼン

4

が単一の生成物として得られる

(

1)

。しかしな がら,この反応に利用できる求核剤はアルキニルリチウムよりも反応性が低い必要がある ため,求核剤の適用範囲に制限があった。このような背景の下,本修士研究では,ベンザ イン発生剤を新たに探索することによって,より効率的にベンザインを発生させる手法を 開発し,これを利用した各種有用分子を合成することを目的として,検討を行った。

1. 触媒的ベンザイン発生法の開発と位置選択的官能基化

ベンザイン開始剤として種々のリチウム反応剤を新たに試した結果,

n-BuLi

が触媒とし て優れていることが分った。すなわち,ヨードトシラート

5

とフルオレニルリチウム

6

共存下,

–78 °C

で触媒量の

n-BuLi

を作用させると,ベンザインのカルボヨウ素化が進行し,

ヨードベンゼン

7

が単一の生成物として得られた。このように,反応性の高い

n-BuLi

触媒 を用いることで,アルキニルリチウム触媒では困難であった求核剤の利用も可能となり,

芳香環上へ様々な官能基の導入が可能になった。さらに,この触媒系では酸素求核種や硫 黄求核種など,ヘテロ原子求核種を反応に利用できることも分った。これらの結果は,低 温下で,触媒量の

n-BuLi

を作用させることによって,触媒量のベンザインを速やかに発生 できるという特徴を活かしたものであり,これにより,多様な求核剤の利用が可能になっ ている。

I OTf

I

1 4

Li TMS

3

BnO BnO

THF, –78 → –30 °C 2

72%

Ot-Bu

OLi (10 mol%)

CO2t-Bu (1)

π π

π π X

X = O, S

キノイド型構造

(3)

2. ベンザインのヨードアリール化反応の開発

さらに,

n-BuLi

触媒によるベンザインの反応のさらなる応用・展開として,アリールリ チウムをベンザインの開始剤および求核剤とする新たな触媒系の構築に基づいた新規芳香 環連結反応を開発することができた。すなわち,

o-

メトキシフェニルリチウム

12

THF

溶液に,

–78 °C

でヨードトシラート

11

を作用させると,ベンザインのヨードアリール化に

より,ヨードビアリール

13

が収率良く得られた。この方法は官能基選択性に優れ,ハロ ゲン原子を有するアリールリチウムやヘテロ芳香族を利用して,さまざまなビアリール化 合物やヘテロビアリール化合物の合成を行うこともできた。

さらに,この反応の置換ベンザインへの適用を試みたところ,芳香環上の置換基の種類 によって,興味深い位置選択性が発現することを見出した。すなわち,芳香環上にアルキ ニル基を有するヨードトシラート

17

とアリールリチウム

18

の反応では,発生するベンザ イン

A

のアルキニル基から遠い側に求核剤が選択的に付加した化合物

19

を単一の生成物 として与えることが分った

(

2)

I Oi-Pr

77%8 9

BnO

I N(SiMe3)2 BnO

62% 10

I SPh BnO

79%

BnO I OTs 5

THF, –78 °C 6

Li

n-BuLi (10 mol%) 55%

BnO I

7

I OTs I

Nu

Li OTs

Li Nu

Li Nu LiOTs

I OTs

n-BuLi (cat.)

n-BuI (cat.)

I OTs

Li I

72%

THF, –78 °C MeO

OMe

11 12 13

I S

I N I Cl

82%

14

95%

15

57%

16

I OTs I

Li OTs

Li

LiOTs I

OTs Li

I

Li

I OTs

I OMe

17 19

Ph

THF, –78 °C → r.t.

Ph

MeO

Ph

A

Nu

18

59%

OMe Li MeO

(2)

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