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Academic year: 2022

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硫酸化グリコサミノグリカンによるヒト瘢痕由来真 皮線維芽細胞の挙動変化

著者 堀米 知温

URL http://hdl.handle.net/10236/00027162

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2017 年度修士論文要旨

硫酸化グリコサミノグリカンによるヒト瘢痕由来真皮線維芽細胞の挙動変化

関西学院大学大学院理工学研究科 生命科学専攻 平井研究室 堀米知温

損傷を受けた皮膚では、真皮線維芽細胞が急激な細胞増殖を示すと共に、成長因子 Transforming Growth Factor-β (TGF-β) に応答して、α-smooth muscle actin (α- SMA)陽性細胞へと変化し、これがコラーゲンを蓄積して肉芽組織を形成するが、創 傷が治癒した後もこの状態が維持されると瘢痕が形成される。瘢痕を引き起こす α- SMA 陽性細胞は TGF-β によって線維芽細胞から誘導される一方で、同じく成長因 子であるbasic Fibroblast Growth Factor (bFGF) は瘢痕形成後に発現上昇を示し

TGF-β とは逆に α-SMA 陽性細胞を線維芽細胞へと戻す役割を持っていることが報

告されている。また、bFGF は細胞外へと放出され機能を発揮するにも関わらず、シ グナルペプチドを持っておらずクラシカルなタンパク質の分泌経路とは異なることが分 かっている。さらに bFGF と同じく、シグナルペプチドを持たずクラシカルなタンパク質 の分泌経路とは異なる機構によって細胞外へと分泌され形態形成を引き起こす形態 形成因子 Epimorphin (EPM) は瘢痕組織において発現上昇を示すだけでなく、α- SMA の発現にも関与することが示唆されている。加えて、これらの成長因子もしくは 形態形成因子が存在する細胞外マトリックスには硫酸化グリコサミノグリカン (GAG) を側鎖に持つプロテオグリカンが存在し、GAG は瘢痕組織の肥厚または退行におい て細胞外に存在する成長因子の活性を調節し、瘢痕の形成および治癒を引き起こす ことが報告されている。これらの報告を踏まえると、GAG は細胞外から α-SMA 陽性 細胞への変化を制御する TGF-β や bFGF、EPM の活性を調節することで真皮線維 芽細胞の挙動を制御しうると考えられる。しかしながら、GAG による細胞挙動への影 響は分子メカニズムにおいて不明瞭な点が多い。そこで本研究では、ヒト瘢痕由来真

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皮線維芽細胞を用いてTGF-βやbFGF、EPMそれぞれが細胞の挙動に与える影響 と、その細胞挙動を GAG がどのように制御するかを分子レベルで明らかにすること を目的とした。高硫酸化GAGの代用品として用いたheparinoidはTGF-βやbFGF によって引き起こされる細胞挙動に対して抑制的に働き、その原因として TGF-β や bFGFとheparinoidが結合することにより細胞へのアクセスを妨げる可能性が考えら れた。その一方で、EPM によって引き起こされた細胞挙動は heparinoid によって促 進され、その原因として EPM が heparinoid と結合することにより受容体との親和性 を高める可能性が考えられた。これらのことから、細胞外微小環境における TGF-β やbFGF、EPMはGAGにより活性が精密に制御され、これが瘢痕由来真皮線維芽 細胞の挙動を調節している可能性が示された。

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